
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
見えない傷と見える傷がある 見えない傷は他人からは知られずずっとぐじゅぐじゅに膿んでたりする 見える傷は関わった大切に思ってくれる人がいつまでも忘れられない原因になる 案外本人は気にしてないこともあって ただその人にも気にしてほしくないから隠す場合もある 見えない傷を無視されたくなくて見えるようにした 見える傷ができてやっと傷ついていたことに気づかれた 傷、をテーマにしてこんなに物語が広がるものなのかって驚いた 「私が描きたいのは生き延びたあかしだから。死体の傷口というのはひらいたままだ。血が乾き、腐敗し、蛆がわくことはあっても、ふさがることはない。傷痕になることはないんだ。だから、これらは生者の勲章だ。」 私は今幸せ 私の見えない部分についてた傷は もう塞がった傷跡になったから 私が必死に生き延びた証 たまに、ここに傷があったんだよなって思い出す 思い出して切なくなるときがあっても もう痛くて動けない日は多分来ない それを誇らしく思ってる
0投稿日: 2026.01.21
powered by ブクログ傷をめぐる10の物語。 1 竜舌蘭 2 結露 3 この世のすべて 4 林檎のしるし 5 指の記憶 6 グリフィスの傷 7 からたちの 8 慈雨 9 あおたん 10 まぶたの光 脳内配役は 1、10は上白石萌歌 2、3、4、6、7は宇垣美里 6の表題グリフィスの傷には、あの、も出演してもらいました。 どれも千早茜作品らしい、静かで、生々しい情緒が描かれていて、その上こんなに同じ人に出てもらっていたのに、被ることなく違う物語の景色があり“傷”がありました。 . . . . . 『傷痕が消えますように。もう傷を負いませんように。雨音の中、そう祈っていたのだろうか。 傷なくして生きていくことが不可能だとわかっていても、祈ってしまう気持ちを私は知っている。』(p.154) 自分にも、相当数の“傷”があり、憶えているようで忘れていたり癒えてるようで時折り疼く。それを抱えているからこそ、大切な人がこれ以上“傷”を負ってしまわぬよう祈らずにはいられない。
15投稿日: 2025.12.27
powered by ブクログその人の身体にある傷って確かにその人の人生のストーリーがあるよなって。 良いストーリーか悪いストーリーかは分からないけども。 この世のすべてのって物語があるのですが、これが一番背筋が凍りつきました。
1投稿日: 2025.12.21
powered by ブクログ表題を含む、【傷】をテーマにした短編集。千早さんの書く感情、情景がより好きになった1冊。最後の『まぶたの光』が1番印象に残った。ストーリー全体がキラキラしていて、瑞々しくどこか切なくてよかった。
0投稿日: 2025.11.04
powered by ブクログ傷をめぐる短編集。体の傷だったり心の傷だったり。 幼い頃の額の傷にまつわる『慈雨』がとても良かった。気づいたら涙が出ていた。 千早茜さんの本で、主人公が最初から母親って今まで読んだ中ではほぼなくて新鮮な感じがした。 『あおたん』の刺青の話では『桜の首飾り』を思い出した。 千早さんの本全部読みたいキャンペーン中なのでこれからもどんどん読む。
0投稿日: 2025.10.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
また千早茜さん。これは短篇集です。すべて、心や体に傷を負った人を描いている。高校でクラスメイトから完全に無視されていたけど、ある日ケガをして血を流しながら登校したところ、みんながぎょっとして、さわぎになった…心にいくら傷を負っても誰も気づかず、黙殺され続けていたのに、ちょっと(ちょっとではないんだけど)体に傷を負って少々血が流れているだけで無視されなくなるなんて変なの…という話や、 初めてのセックスで相手の女の子を傷つけてしまったかも…というカップルの話や、 かつて犬にやられて体や顔に傷を負っており、とにかく犬が嫌いな男と、かつて集団レイプされて心に深い傷を負っており、とにかく男が嫌いな女の子の話や、 かつて工場でのバイト中に指が全部ちぎれた男の子の話や。 ↑この話切なかったな。このときに指を拾ってくれた社員さんとの、その後のやりとりが語られるんだけど、たぶんその社員さんはうだつの上がら、誰からも敬意を払われていない男なのだろう。でも事故のとき、自分の適切な処置で若い男の子の手をもとに戻すことができた!という想いが、その後の彼の人生を支えている。しかし男の子はもうそれがうっとうしくなってくる。それでも一応、礼を尽くしていはいる。最後に、身寄りのない男が孤独死した部屋を訪れる…。 これまで親しんだ千早茜さんらしい、「女性の目に見えない傷」を描いたものだけでなく、男性の生きづらさや、女性の男性に対する誤解なんかもさらりと描かれていて良かった。男性にも、女性にもあったかい小説。
12投稿日: 2025.10.21
powered by ブクログ傷ー痛みを伴う。身体に刻まれるものもあれば、魂に刻まれるものもある。傷のない人間なんていない。でも他人から見たら、その傷は分からない。そんなお話を10個集めた短編集。 艶やかで、それでいて澄んでいる。境界線がくっきりと浮かぶ話が多かった。 その中での「この世のすべての」の話は特徴的だった。でも、他者から見たお爺さんの傷と主人公の傷なんて、どっちも分からない。結末には驚かされたけど、理にはかなっている。読んだ後にモヤモヤっとしたけれど、納得はできてしまう。 「林檎のしるし」可愛い話だった。丸くツヤツヤした林檎色が浮かぶ。ちょっと切ないけど、湯たんぽを用意すること、そこに込められた想いが"興味ない"訳がない。切ないけど、キラキラしていた。 女性に対する"傷モノ"の意味を、今まで考えたこともなかった気がする。改めて認識した。そういった経験がないけど、痛いのかな… 千早茜さんのお話は色がよく思い浮かびます。
3投稿日: 2025.10.15
powered by ブクログ傷にまつわる短編集。 傷跡になっていても、チクリと残るようなそんな痛みを感じるような少し苦しめの内容が多かった。
1投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ傷跡にまつわる短編集。 傷はほぼ確実に身体的な痛みを伴うし、傷跡はそれを忘れさせてくれない。 登場人物たちは、日々の暮らしの中で傷跡にいつまでも翻弄されたり、逆に希望に気づかされたり、その様子がとてもリアルで生々しかった。
1投稿日: 2025.09.30
powered by ブクロググリフィスの傷とは… 見えない傷のこと。 p115 ガラスは仕方がないからって言った。 ガラスは本当はとても頑丈だけど、目に見えない傷がたくさんついていって、何か衝撃を受けた時に割れてしまうものだって。あなたが割ったように見えるけど、いままでの傷が積み重なった結果だから気にしなくていいのって。そういう目に見えない傷のことをグリフィスの傷っていうんだって教えてくれた 傷に関するお話。 どれも 身体の傷や心の傷、他人には、自分の痛みは正確には伝わらない。計り知れない痛さを想像できればいいけれど、文中にもあるように、人は他人の痛みには鈍感だ。 竜舌蘭のお話は、印象的。 国語の教科書にのらないかな?そしたら、平気な顔をしてるからって傷ついていないとは限らない。みんなそれぞれ大小のみえない傷を抱えて生きているってこと、10代のうちから知れたらいいのにな。
2投稿日: 2025.09.09
powered by ブクログ「傷」がテーマの短編集。 短編でも更に短い短編だった。 けれど、それぞれの中に、重くて深い長編が綴られていた。 竜舌蘭の棘だったり、リスカだったり、不慮の事故、犯罪被害などなど、体に付いた様々な傷。 刺青のように、自ら傷をつける人もいる。 見た目は分からなくなった傷跡も、心の中に小さな、あるいは深い傷を残しながらいつまでも引きずるだろう。 一度、傷をつけたら、そのことはなかったことにはならない。 「竜舌蘭」「この世のすべての」「からたちの」 は、胸がチリチリ痛んで、読んでいて辛かった。 「結露」「林檎のしるし」「慈雨」「まぶたの光」 は、読み終えて、何だか温かい気持ちになった。 「指の記憶」「グリフィスの傷」「あおたん」 は、ラストがぞっとして、背筋が寒くなった。 10編の中には、ひょっとして読者自身と重なる傷があるかもしれない。 メンタルの弱っている場合は、読むのを控えたほうが良いのでは・・・・ そのくらい、人の心にグサッと刺さる本だった。
40投稿日: 2025.09.04
powered by ブクログ目を背けたくなるような傷。誰かの傷だったり、私自身の傷だったり。無垢で傷のない人間なんていない。もちろんそれは身体に付く見える傷だけではなく、心無い言葉なんかで心が傷ついてしまうこともある。 忘れて前に進むことだけが"治癒"じゃない。 いつかは消えて無くなって忘れてしまうこともあれば、どこまでも(もしかすると一生)この傷と付き合うかもしれない。 傷と向き合い、折り合いをつけることはその傷の持ち主だけが決めることができる。 本人だけが癒すことができて、付き合う覚悟を持つことができる。 ただ、誰もが持っている傷、その癒し方を指南するわけではなく、官能チックで艶やか。 傷があることを恥ずかしくない、美しいものだと言ってくれた気がした物語たち。 物語があまりに美しく繊細で、個人的には読むだけで癒される。 勝手に、こうした物語たちは"女性"が傷ついてきた話が題材にされることが多いと思っていたんだけど、男性も、女性もどちらも描くのがすごく面白い。 年齢も性別も関係なく傷つくし、傷つけてしまう。十人十色の傷を巡る短編集。
0投稿日: 2025.09.03
powered by ブクログ傷をテーマとした短編集 生々しい傷というより、けがの傷が多い。 痛みがあり治そうとするものなのにどこかに傷ができたことで、自分を保つようなお話が多い印象。 千早さんの空気感や温度感に浸された作品で読んでいて心地よかった。 竜舌蘭、結露が好きだった
0投稿日: 2025.08.18
powered by ブクログ傷に関する短編集でした 私が好きだったのは ・竜舌蘭 ・この世のすべての でした どちらも少し暗めです 『この世のすべての』はラスト驚きつつも何だか収まりが良かったです 傷がついた瞬間、その後のこと、シチュエーションはそれぞれですがとても静かな気持ちで読了しました
15投稿日: 2025.08.17
powered by ブクログ傷がテーマの短編集。 感情が質感を持って描かれていた。 どこか仄暗さのある世界観。 一作一作が短いので読みやすかった。 ☆3.0
0投稿日: 2025.07.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
皆、身体や心のどこかに大小問わず深浅問わず傷を負い生きているかと思います。それが目に見えるのか見えないのか、見えないようにしているのか 本当に様々だろうとも思います。 様々なキズの短編小説。 中でも、『慈雨』が好きでした。 愛するがゆえ 想うがゆえ。 私も知らず知らずに、誰かに見えないキズを 消えないキズを負わせてないか?と振り返りました。 誰かの存在が 言葉が 笑顔が 態度が 私のキズを浅くも 小さくもしてくれたとも思い返しました。
31投稿日: 2025.07.21
powered by ブクログ図書館で借りた。短編集。 表題のグリティスの傷は、ガラス表面に出来る細かい傷、細かく繰り返し傷付けられることでいつかは壊れてしまう儚さを描いた作品。
2投稿日: 2025.07.19
powered by ブクログ千早茜さん、久しぶり3作目だった。 読み始めてすぐ、心にグサグサくる表現と情景を想像すると苦しくなっちゃうのに自然と想像させられてしまう文章が、千早さんだなあと感じた。 今回は「傷」が「癒える」とは何かを問いかける、というあらすじからこの本を選んだ。今自分には大きめの心の傷があると感じているけど、この物語の人たちはどう乗り越えていったのかなと。 正直今の自分には刺激的な文章ばかりだったけど、いつか私の傷も癒える日がくるはずだと思えた。
3投稿日: 2025.06.09
powered by ブクログ傷をテーマにした短編集。 重たい話が多いかなと思っていたが、そんなことはなく終わり方がスッと綺麗で尾を引かない作品が多かった。
0投稿日: 2025.06.05
powered by ブクログじんじんと重くしみ込んでくるような痛みの傷をめぐる短編集。傷を抱えて生きていく、なんて言うのは簡単だけど、悲しみ、怒り、憎しみ、愛おしさなど、傷に伴う感情によっては胸を抉られるような向き合い方を選ぶ場合もある。なかなかしんどい気持ちになる一冊だった…
0投稿日: 2025.05.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【人は驚くほど、人の痛みに無自覚なのだ】 傷にまつわる10篇の短編集。見えている傷と見えない傷をめぐる物語ということでさぞ重苦しい内容かと思いきや、意外や意外、優しさや温かさに包まれる作品もあり読後感は心地よい。1つ目の『竜舌蘭』が一番好みで、一度抱えた心の傷は癒えることはなく一生抱えたまま生きていくしかない…でも見えている傷痕が自分をそっと守ってくれる時もあるのだということが描かれていて、読後色んな解釈の余地があってとても良かった。『結露』『林檎のしるし』『指の記憶』『慈雨』『あおたん』も好きだなぁ。
26投稿日: 2025.05.12
powered by ブクログ2025.5.7〜2025.5.10 メンタルが不安定で、とにかく優しい本が読みたいと思った時に、本棚にあった中で1番最初に目に入った本をチョイス。 内容はあらゆる「傷」がテーマの短編集。登場人物に沢山愛着を持ちたいタイプなので短編集って実は苦手なのですが、最初の作品を読んだ瞬間「この作家さん、めちゃくちゃ好きだ…!」と何と言うわけでもなく感じて、読めば読むほどするすると心と頭に入ってくる感じがしました。タイトルがあえて短編集の中の「グリフィスの傷」を持ってきたのも、意味を知ると本当に素敵だなと思います。 面白いだけじゃなくて考えさせられる部分や、思わずポロッと涙が出てしまうところもあるとってもとっても良い作品でした!個人的に今のところ今年の三本指の一つです。
1投稿日: 2025.05.10
powered by ブクログ傷痕の意味 体に残る傷をテーマとした短編集。 犯罪でつけられたもの、幼少期に親の不注意でついてしまったもの、自分でつけたもの、先天性のもの…。 さて、私にも傷がある。母にも、姉にも、娘にも。 生きていて傷がつかない人は、実はそれほど多くはないのではなかろうか。日常は、安穏として見えて案外危険が潜んでいるから。 全体を通して、不穏なテーマであっても静かで淡々とした美意識に打ちのめされた。
0投稿日: 2025.05.08
powered by ブクログ目に見える傷、見えない傷、単純に、そんな物語の本だろうと思って、読んでみたが、なんだか、もっともっと奥深い部分をえぐられるような、物語だった 他人を傷つける人、自分を傷つける人、 どちらも、どこに感情をぶつけていいのか、わからないのだろうと思うが、人の世には、どうしようもないことなのだろうな
0投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ傷ついた過去を乗り越え、生きた証として傷跡は残るのだと思った。 無数についた傷がきっかけで突然砕け散ることがあるから、痛みに鈍感になることがいいわけではない。 傷ついてないふりなんてしなくていいから、痛みにも自分にも素直になれたらいいなと思った。
6投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログいろんな"傷"にまつわる短編集。 どれも身体の傷にまつわるお話だけど、それと同時に心の傷みたいなもの含まれているよな。身体の傷と心の傷は表裏一体なんだよなぁと思う。人体切断系が本当に苦手なので"指の記憶"はなかなかしんどかった…8作目の"慈雨"が好きでした。泣いた。
0投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログ傷をめぐる10の短編集。短編ながら千早茜さんの物語は、静かに進み今回も深くて良かった。 「グリフィスの傷」はガラスにつく目に見えないような傷、と文中にありました。 色んな傷があるけれど、生きてる証なのかな、と思います。補って傷を癒しているのかと。
36投稿日: 2025.04.26
powered by ブクログ傷跡をテーマにした10篇からなる短編小説集!どのお話も良かったけど「慈雨」が予想外に刺さってぽろぽろ泣いてしまった。どのお話にどんなふうに気持ちが動かされるかで、自分の心の傷跡がどこにあるのかがわかるような短編小説集だと思う。千早茜さんの文章、好きすぎてずっと読んでられる。
0投稿日: 2025.04.17
powered by ブクログ傷をテーマにした短編集。 甘苦いもの、はっとするもの、痛々しいもの色々あり。 竜舌蘭、結露 この2つは好きだったな。 指ちょんぎれとか痛いのはほんとやだったー 2025.4.12 73
7投稿日: 2025.04.12
powered by ブクログ傷にまつわる十遍からなるお話。 『傷』がテーマなのでほぼ暗い重い話ばかりだけれど、不思議と読後感が悪くない。 ああ、そうか。 全ての作品、希望があるラストだからか。上手いなあ、と思う。読み終わった後、じんわり心が暖かくなる。 特に印象に残ったのは『指の記憶』『慈雨』 『指の記憶』は決して一言では言い表せない人間関係の感情を上手く表現してて、結末に驚いた。 『慈雨』は父娘の不器用な愛情表現に、人間味を感じた。
0投稿日: 2025.03.20
powered by ブクログ精神的に弱っている時のよすがにしたいような、傷痕を撫でてもらいたいような、そんな短編集。 (厨二病に罹患した時に得た)オタクの知識でタイトルの意味は知っていた。古傷を撫でて回顧する話もあれば、癒えない傷痕を守るために必死な話もあり、テイストの違う傷にまつわる話を読んだ後は頭が熱に浮かされるようなくらくらする読み終わりだった。 一番好きな「竜舌蘭」は現代人には共感できる話だと思う。相手が平気そうだから傷ついてないと思った、実際に血を流していないと傷ついていないことに気が付かない、というどこかで見たことのある光景・体験したことのある痛みがじくじくと心に疼いてくるようだった。 千早さんの文章は読みやすいのもあるけど、文章と纏う雰囲気が好きで読みたくなる。
1投稿日: 2025.03.20
powered by ブクログ最近、本の題名が、わからない言葉が多いと、感じる私。 手にしたこの本も、題名だけでは、何の事だろう?と、…… そして、初めて読む 作者 千早茜氏。 10話からなる。 どれも、傷による話。 治癒しても、それは、完全に元に戻るものではない。 最初から、「人は、人の痛みに気づかないから。血が噴き出すまでは」の言葉に なるほど!と、思いながら、読んでいた。 人間の血液が、透明なら、誰しも痛いとは、感じないだろう。 心の傷が、そうだろう。 赤い血のようなものは、他の者から、心の中まで、見ることが、出来ないのだから。 最初のクレーマーの応対から始まるのだけど、学生時代のイジメ。 自転車の登校中に、竜舌蘭の刺で、切ってしまった足。 しかし、その竜舌蘭を育てているおばあさんの意図が、刺が無くても生きていける。 数年、もしくは、50年に一度しか咲かない花だけど、とても美しい花を咲かせる。と、何気なく言った言葉は、意味深長の言葉。 笑って、過去の傷を思い出しているのは、この竜舌蘭の花が、主人公の心の中で、開花したのだろう。 どれも、傷の話だけど、短い話の中、内容は深い。 そして、題名の「グリフィスの傷」の言葉は、P115にだけ、その意味が書かれている。 今までの話の中の『傷』の意味が、理解出来た。 私も、身体に手術跡がある。 薄くなった傷痕だが、天気の悪い日には:痛む。 外見からは、わからないだろうけど…… 人は、笑顔でも、心の中で、グリフィスの傷のようなものが存在しているだろうなぁ、と、思いながら、この本を閉じた。
0投稿日: 2025.03.16
powered by ブクログ傷に関する短編集。好きな話は圧倒的に慈雨。千早茜っぽいなと思うのは林檎のしるし。 一般論で、いじめや嫌なことってした方は覚えてないけどされた側は一生覚えてるっていうのはよくある話。でも慈雨は、傷をつけられた側はすっかり忘れていて、傷をつけた人は一生忘れられず、ずっと後悔しているという話。不器用だが愛情深い父親が好き。 自分の痛みに敏感すぎる人こそ、他人の痛みに鈍感になってしまうことがあると思うので、自分はそうならないように気をつけたい。
9投稿日: 2025.03.12
powered by ブクログ傷がテーマの短編集。心の傷というより体の傷で、グロテスクなものもあって、ちょっと苦手だった。 『慈雨』の話が良かった。 娘が点滴されている姿を見て具合が悪くなってしまった夫に、「意気地がない」と思った後、夫が血や怪我を怖いと思うようになった出来事を知る。家族でもどんな関係性でも、相手には知らない過去がある。自分の価値観や経験だけですぐにジャッジをしてしまう時はあるけど、ちゃんと話を聞こうと思った。そして、私もちゃんと話そうと思った。 幼い頃から、父が姉より自分に無関心なことを寂しく感じていた私。それは、小さい時に父が目を離した隙に顔に傷が残る怪我をさせてしまったことを悔やんで、顔が見られなかったからだった。それをずっと気にして、雨の晩には「傷痕が消えますように。もう傷を負いませんように。」と祈りながら、眠る私の頭を撫でてくれていたことを知る。父の不器用な愛情と、それをそっと受け取る私の、穏やかな素敵な話だった。
0投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログ身体や心に残る傷にまつわる短編集。 血が流れなくなっても傷はずっと残り続けてなかったことにはならない。傷つけられた側は忘れても傷つけた側はずっと忘れられない。 中でも「慈雨」ってお話がよかった。
1投稿日: 2025.03.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『「傷」をめぐる10の物語を通して「癒える」とは何かを問いかける、切々とした疼きとふくよかな余韻に満ちた短編小説』 本自体が190頁という短さで文章も繊細でありながら読みやすく2時間ほどで読了。どの話もそれぞれ傷にまつわる繊細なエピソードが描かれていてよかった。 中でも特に刺さった話についての感想を。 『竜舌蘭』 ある日突然クラスメイト全員に無視され存在をないものとして扱われるようになった主人公と、その日々を終わらせるきっかけになった太ももの傷の話。 太ももの傷から流れる真っ赤な血は周囲の人間に衝撃をもたらし、身体の傷ははっきりと認識されたが、主人公の心の傷についてクラスメイトたちは無頓着だ。 傷つけた側は何事もなかったように主人公に接触してきたり、大人になり日々を送っている。 「人は驚くほど、人の痛みに無頓着なのだ」という一文は日々の人間関係に煩わされる自分にじんわり刺さった。 そして最後の「きずあとは高校生のときの肌のようにつるつるとしていて歳をとらない」という一文は主人公の心の傷が今も高校生の頃と同じようにそこに存在していることを示していて少し重たい気持ちになった。 『結露』 男が全員、女が自分の所有物でないことに早く気づけばいいのに、と思った。 『この世のすべての』 性被害にあった女性と犬に噛まれて顔や体に醜い傷が残った男。 男は住んでいる地域の犬を執拗に憎み恐れ、周囲の住人から疎まれ恐れられてさえいる。 男は自分にとっての犬が女性にとっての自分だと気づくことができず、同士であるかのようなそぶりさえ見せる。『竜舌蘭』の「人は驚くほど、人の痛みに無頓着なのだ」という一文がここでも思い出された。 『慈雨』 自分には愛情も興味もないと思っていた父は自分の不注意で娘の額に傷をつけてしまったことに罪悪感をもち、娘の顔を見ることができないでいただけだったと知った主人公の得た癒しの物語。 雨の夜、額を撫でてくれていたのは母ではなく父だった。傷がなくなりますようにと祈って。 額の傷をなでる父の記憶に穏やかで切ない、深い愛情を感じて涙が出た。主人公の心のわだかまりが溶けていくようなほっとした困った笑顔にも。
2投稿日: 2025.03.03
powered by ブクログ傷痕を見ると、それができたストーリーを人は想像する。傷=ネガティブなもの、あってはならないもの、から発展させて、可哀想な人、自業自得、罰とか。 それから発せられる心の痛みも想像する。傷をつける悪意、つけられた遺恨、寂しさ、虚しさ。傷が生まれた意味を知ろうとする。 傷をもちつつ日々を送っていく、とても静かだけど深い話がどっしり詰まってた。さらっと読めるけど読み応えのある本。 『グリフィスの傷』が、特に面白かった。
0投稿日: 2025.02.23
powered by ブクログちょっと久しぶりの千早茜さん。好きな作品の多い作家さんですが、こちらもかなりタイプのお話でした。 10章の短編集で各章20ページくらいの短さですが、濃密な世界観なのでもっとボリュームを感じました。 全話に共通したテーマが「傷痕」。テーマのイメージ通りの悲しい話・怖い話もありますが、優しくて温かいお話も。『慈雨』が一番好きかな。「自分が忘れてしまった傷を覚えている人がいる。そんな安心感がこの世にはあるのだーーー」(147P)
4投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログ傷にまつわる短編集。文章は綺麗だがそれぞれの作品が短すぎてあまり心に残らなかった…。怪我の描写が多く痛々しい。 「妻は僕の傷口だから」なんてリアルで言う人がいたら別の意味で痛すぎてビビってしまう。小説でもリアリティは欲しい。
0投稿日: 2025.02.14
powered by ブクログそれぞれが持つ目に見える傷、人に言えない、知られたくない傷も、他人に話すことで癒されることもある。見えるもの、見えないもの、振り帰れば自分にも幾つも傷があり、人を傷つけてきた。 この作品でも千早茜さんは、深いところに刺さってきた。 装丁の色、中表紙の色も惹かれる。
8投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログ傷に纏わる短編集。 目に見える傷、見えない傷。 誰にでも一つはあるであろう。 傷は軽いものから一生消せないものもある。 傷とともに、その時の状況や感情も身体に刻み込まれている。 これらの短編は、読んでいてあまり気分の良いものではなかった。
20投稿日: 2025.01.19
powered by ブクログ『きず』に纏わる10篇 「すばる」2022-2023年連載作 実際の身体の傷と、心に受けた傷が交差し、 複合的な痛みになり、それぞれの主人公の辛さを増す ちりちりして、苦しい いじめ、セックス、レイプ、不倫、パワハラ、 自傷、殺人未遂、親との確執、顔の美醜と整形、、、 『この世のすべての』 身近な加害動物は一匹でも減らしたいの、痺れた
0投稿日: 2025.01.11
powered by ブクログ「傷」に纏わる短篇集です。 私の傷は何だろう…と読み終わった後にふと考えさせられました。 目に見えない傷も、身体に刻まれた傷も、覚えてる傷には何かの感情がある。刻印のような、痛くない傷も含め、色んな傷を思い出しました。
0投稿日: 2025.01.08
powered by ブクログ傷をめぐる10本の短編集。怪我であったり、心の傷であったり、刺青であったり、自傷による傷であったり。 千早さんの本は、登場人物の心のゆらぎ、うつろい、抱えているものを様々な手法で表現してくれる。短編でありながら、どれも味わい深い。今回もプティ・フールのような物語だった。 一年の最後に読む本が、この本でよかった。
4投稿日: 2024.12.31
powered by ブクログ初めての千早茜さん この本は“傷”に関する10作の短編で構成された本でした やはり傷ということで、痛々しい描写も多いから胸?胃?とにかく内臓がじんじんするのを感じながら読了 「癒えるとは何かを問いかける小説」と紹介されているけど私にはあまり刺さらずふーんで終わっちゃった 文章はすごく読みやすくさらさらと読めました 千早さんの他の本も読むぞ〜〜!
6投稿日: 2024.12.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2024年12月12日、グラビティの読書の星で紹介してる人がいた。 「傷をテーマにした短編集。 1編あたり20ページほどなのに内容が濃く、語られる傷の重さと痛みを感じます。 いかに傷というものにテーマ性や物語性があるのかがわかります。 最後に恐怖を感じるとともに少し納得してしまった「この世のすべての」とアイドルグループとSNSをテーマにした「グリフィスの傷」、物語の最後に父親の態度の真相が判明する「慈雨」が印象に残りました。 傷をテーマにしているだけあって、気楽に読むのには向いておらず、感想を書くのも色々と考えてしまいました。 それでもゆっくりと静かに読書を楽しめた本でした。」
0投稿日: 2024.12.12
powered by ブクログ著者の作品はフェティッシュなところが良いんだけどあまり深みを感じられない なんかいつも刺さりそうで刺さらない
1投稿日: 2024.12.09
powered by ブクログ様々な傷痕と、それを持つ人たちの物語。希望を持たせて終わった話も、後味が悪い話もあったけれど、どれも面白かったです。 表題の「グリフィスの傷」。この言葉の意味を知った時、「もしその傷を可視化できたら、人は他人に対してもっと優しくなれるのかなぁ」と考えたけれど、多分そうしたらそうしたで、新たな悪意や偽善に晒されることになるんでしょうね。 あと、自分の耐久値みたいなものを知ってしまったら余計に辛いかもしれない。そう考えると、見えない傷は見えないままの方がいい。それで救われている部分もあるのかもしれない、と思いました。
0投稿日: 2024.12.07
powered by ブクログ最近ハマっている千早茜さん。 「傷」をテーマにした短編が10作品。1つ1つが短めなので、サクッと読めました。瑞々しくて、のびのびした文体が多く、読みやすかったです。 「傷」の記憶。しみじみと感じるものがありました。
52投稿日: 2024.12.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
傷がテーマの短編集。千早さんの文章ってキレイで品があるから好き。どれもよかったけど慈雨が好き。自分が忘れてしまった傷を覚えている人がいる、がなんかじんとくる。
0投稿日: 2024.11.30
powered by ブクログ全編なにかしらの「傷」を扱った短編集。描写の巧みさなのか、私が血とかが苦手だからなのか「あ、無理」となってしまう短編もあり。文章はとてもきれい。
0投稿日: 2024.11.27
powered by ブクログ身体に刻まれた傷にまつわる10の短編集。 どのお話も短くあっという間に読み終えてしまったが、一編ごとにじんわりとした余韻が残る。 読みながら疼くような感覚を覚えてしまう、痛々しくも瑞々しい文章。身体の傷と同じように心の傷がチクリと痛み、背中がざわつくような、千早さんの繊細な表現が美しかった。
7投稿日: 2024.11.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
淡々としてるけどどこかピリッと痛むような作品だった。どれも傷をテーマに扱っているのが面白い。 竜舌蘭、この世のすべての、慈雨、まぶたの光、あたりが印象に残った。 「竜舌蘭」は血が出ないと周りは痛みに気づかない、というような話にドキッとした。語り手を無視することに加担したクラスメイトの一人になった気分だった。 「この世のすべての」は最後の展開に驚いた。他の短編と比べてかなりダークだった気がして印象的。 「慈雨」はなんだか涙が滲んだ。自分のせいで娘の顔に傷をつけたと、ずっと娘の顔をちゃんと見れない語り手の父のことを想った。 「まぶたの光」はこの短編集の最後に相応しいと思った。傷から光が差す感じ。
0投稿日: 2024.11.15
powered by ブクログ傷について改めて考えてみると、見えるものもあれば、見えないものもある。生じた背景も事件、事故、自傷等、原因も様々だ。ここには、そうした色々な角度からの傷があり、テーマは同じなのに、十もの物語が紡がれており、レパートリーの多さに敬服した。 中には、刺青のお話があり、あおたんと表する女の子がいた。どちらの発想もなかったので印象に残っている。
16投稿日: 2024.11.06
powered by ブクログ傷をテーマにした短編集でした。淡々とややシニカルな内容と思います。 私個人はあまり思い入れるようなところがなく星2つとしましたが、綺麗な読みやすい内容だと思いました。
1投稿日: 2024.10.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
傷をめぐる物語 傷跡といえど様々、けが、事故、自傷行為、手術跡、見えなくなった傷、心に残り続ける傷、誰かにつけられた傷、忘れてしまっていた傷…、そこから物語られるストーリー。 千早さんの小説は今回が初めて読む作品でした。千早さんの描く中年男性はやけにリアルで文章から加齢臭が漂ってくるようでした。 傷というのは負の印象だけではない、時により救われる傷、生きているという勲章にもなる。死んでしまえば身体に刻まれた傷さえも消えてしまう…、傷が今存在しているということは生きているということ。 なぜ傷ができたのか…、他者へのアイデンティティとなり、自分への記憶でもある。 短編それぞれのどのタイミングで傷の話が出てくるのか気になり、どんどん読み進めてしまいました。 誰しも生きていれば大なり小なり傷というのは負ってしまう、たとえ消えてしまったとしても、見ることのできない心の傷でも。自分の負った傷や家族の傷、そのときの思い出や感情がよみがえってきました。
0投稿日: 2024.10.25
powered by ブクログ一番最初の「竜舌蘭」が良かった。 目に見える形になるまで、人の痛みに気づかない。 興味がないものは見えない。 説得力があり過ぎて困った。 命を懸けるくらいなら、前段階として血が滴るほどの傷を見せつけてみるのも一つの手段かなと思った。
14投稿日: 2024.10.20
powered by ブクログおもしろかったものと、あまり…のもの半々くらい。 「結露」「林檎のしるし」はよき。 本のタイトルになっている「グリフィスの傷」は全く読解できんかった。
1投稿日: 2024.10.11
powered by ブクログあらゆる「傷」に関する10の短篇集。 ひとつひとつが短く、だけど衝撃は強め。 「傷」にもさまざまある。身体の傷、心の傷、そしてそのふたつの傷が同時につく場合もある。 場合も、というか、連動することのほうが多いのかもしれない、と読んでいて思った。 クラス内でのいじめによる傷、過去の背徳的な恋愛でついた傷、犯されることで負ってしまった傷、夫の愛人に刺し殺されかけたときについた傷…そういう傷に、またべつの(他者のものであったりとか)傷が重なる、言い方は変だけど、「傷のコラボレーション」のような物語群だった。 自分自身、からだの一部に消えない傷を負ったことがある。心のほうもあるだろうけど、目を逸らしたままのほうが楽でいられる傷もあるし、複合的な積み重ねにより生まれてしまう傷もある。 時間の経過によって徐々に薄れる場合と、強いトラウマによってなかなか薄まらない場合とがある。 向き合うことで克服できる傷もあれば、向き合ってしまうことでその人を殺してしまうかもしれない傷もある。 色んな種類の「傷」の物語を読みながら、自分の傷、そして人の傷について思った。 静かで、痛くて、美しい小説でした。
3投稿日: 2024.10.10
powered by ブクログ手にとった時、随分薄い本だなと思った。 けれど、中身は充分厚かった。 傷をテーマに幾つもの短編。哀しみや切なさがたくさん含まれているけれど読後はなぜかすっきり。 自分自身の傷痕を久しぶりにみたけれどわたしはもうすっかり癒えていた。
13投稿日: 2024.10.06
powered by ブクログ繊細でくっきりした、ジェットストリーム(0.38mm)のインクで描かれたような物語。 消えない傷は生者の勲章。なるほど。確かに。温かい思い出に繋がる傷も、人生を損なう取り返しのつかない傷も、人生を開いてくれる傷もある。様々な傷が、それぞれの形で描かれる。 描かれているのが傷だからか、妙に生々しく感じられた。
5投稿日: 2024.10.06
powered by ブクログからだは痛みを忘れない_ たとえ肌がなめらかさを取り戻そうとも… この静謐な世界観にひたると 過去に得た傷が疼きだし どくどくと脈を打つような感じがした… 目に見える傷 見えない傷 自分を変えてくれた傷 後悔が残る優しい傷… 傷にも大切なヒストリーがある… 心がざわつき ヒリヒリとさせられる でも不思議と どの短編も 仄かな切なさや優しさを残してくれる… 千早茜さんの小説は 狂おしいほど面白く いつも夢中になって読んでしまいます♡
3投稿日: 2024.09.30
powered by ブクログ1.多肉植物の「竜舌蘭」が女子高生のふとももに傷。 2.社内のイメージとは想像できない唯さんの傷は、外側へ滲み出た「結露」。 3.「この世のすべての」犬が怖い、傷を負った男。と「この世のすべての」男が怖いわたし。 4.「林檎のしるし」のような火傷を負ったオクモトさんを好きになりかけた、あたし。 5.切断された「指の記憶」。蜜柑で黄色い千田さんの「指の記憶」。 6.ガラスでできたマリア像にはたくさんの目に見えない「グリフィスの傷」がある。 7.美しい「からたちの」花を描くように、傷を負った女性を描く画家。 8.血を見るのか怖い父と、夜の雷の雨が怖い私は 「慈雨」な親子。 9.周りからジロジロ見られないように私は「あおたん」をした。おっちゃんの刺青と、きっと同じ 「あおたん」を。 10.さやちゃん先生の初めての手術はわたしの「まぶたの光」だから、初めてのメイクもさやちゃんにお願い。 すべて傷にまつわる短編で、差別やコンプレックス、カモフラージュ、孤独、伝わらなさなど人間模様を描いていました。 最後の「まぶたの光」が一番優しい傷でした。 実際に見える傷として映し出されても、それは心の傷に繋がらないようにしたいですね。
9投稿日: 2024.09.27
powered by ブクログ切傷に裂傷に咬傷に熱傷に刺傷に火傷に刺青?に、とにかく傷だらけのオムニバス。どうにも痛々しい物語が連なる。ところがそれぞれ傷痕を抱く本人たちは、過去にとらわれ過ぎずに案外と前向きに現在を生きている。むしろ傷痕を生きていくひとつの糧にしているところもあって感心する。リスカとて死ぬ気がどうこうよりも、そのリスカ跡が自分の心の傷を具現化してくれて救われるってな、まあ上手く表現できないながらも分かる気がする。と、こうした物語になる傷群はともかく、今年の私は老齢を感じる転倒で深傷を負っている。先日も墓参でよろけて…
3投稿日: 2024.09.27
powered by ブクログ「傷」にまつわるお話。身体についた見える傷や見えない傷、心の傷。 小さかった娘の顔に傷を負わせた父は、娘と向き合えずにいた。傷など忘れていた娘は、そんな父は自分を愛していないとずっと思ってきた。ある日、母から父がずっと傷を負わせた娘にすまないと思っている事を聞き、父は自分に興味がないのではなく娘にすまない気持ちがあったのだ、自分はずっと愛されていたのだと知る。 「慈雨」が一番良かった。 「まぶたの光」も好きだ。
1投稿日: 2024.09.26
powered by ブクログ基本的に傷は負いたくないし、何かを傷つけたくもないけど、傷に関わらずにいられる人なんていないよなと思います。 傷ってデリケートな話題だから誰かと話すこともあまりないけど、それでも傷なら「大丈夫?」とか「どうしたの?」とか聞けるのに傷跡って傷ついてからある程度時間が経っているので触れちゃいけない感じでミステリアスですよね。ネガティブ寄りな題材だけど私はするすると読めました。違うタイミングで読んだら刺さり方も変わりそう。 最後のまぶたの光が好きでした。傷の種類によっては怖かったです。(特に切断の傷)
1投稿日: 2024.09.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【あらすじ】 からだは傷みを忘れない――たとえ肌がなめらかさを取り戻そうとも。 「傷」をめぐる10の物語を通して「癒える」とは何かを問いかける、切々とした疼きとふくよかな余韻に満ちた短編小説集。 「みんな、皮膚の下に流れている赤を忘れて暮らしている」。ある日を境に、「私」は高校のクラスメイト全員から「存在しない者」とされてしまい――「竜舌蘭」 「傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、わたしはずっと祈り続けます」。公園で「わたし」が「あなた」を見守る理由は――「グリフィスの傷」 「瞬きを、する。このまぶたに傷をつけてくれたひとのことをおもう」。「あたし」は「さやちゃん先生」をめがけて、渋谷の街を駆け抜ける――「まぶたの光」 ……ほか、からだに刻まれた傷を精緻にとらえた短編10作を収録。 『人は人の痛みに気づかないから。血が噴き出すまでは。』 『傷つけている意思もないまま誰かを傷つけた時にどうやって謝り、どう自分を納得させて生きていくのか。人は驚くほど、人の痛みに無自覚なのだ。』 『『なんでもいい』と言えるのって安心なんですよね。それを、困るよと叱られる安心、なんだかんだ決めてもらえる安心。3つの安心を確認しているんだなって。』 『傷痕を消しても、記憶は消えません。あなたの腕に刻まれた傷の数だけ、いやきっと、もっとたくさん、あなたは言葉の暴力を浴びました。その見えない傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、私はずっと祈り続けます。』 『傷つけられた本人は忘れている。でも、傷つけたほうは覚えていて、見るたびにその体に残る傷痕を探してしまう。どんなに薄くなっても、後悔の味はそのたびによみがえるのだろう。哀れだけど、優しい痛みに思われた』 『傷なくして生きていくことが不可能だと分かっていても、祈ってしまう気持ちを私は知っている。』 【個人的な感想】 やっぱり千早さんの書く文章が好きだと思った。 『結露』『グリフィスの傷』『慈雨』が特に好きだった。
0投稿日: 2024.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「傷」をめぐる短編集。身体の傷、心の傷…傷といっても様々で、10つの物語全てが濃厚だった。 「この世のすべての」を読んで結末にああ…とやるせない気持ちになると同時に、心の傷に対する理解の浅さを痛感。 何を持って「癒えた」というんだろうか。痛みに寄り添うとはなんだろうか。
3投稿日: 2024.09.22
powered by ブクログ痛いです。読んでてまるで自分が痛いような感覚におちいりました。足がむずむずする、読み進めたいのに読むのが痛いって感じでした。
0投稿日: 2024.09.19
powered by ブクログ身体に傷有りますか❓ ってな事で、千早茜の『グリフィスの傷』 竜舌蘭 結露 この世のすべて 林檎のしるし 指の記憶 グリフィスの傷 からたちの 慈雨 あおたん まぶたの光 の傷に纏わる短編集。 切なさ、寂しさ、恐怖、恋心…… 傷付くこと、傷付けること、どちらも共に身体だけじゃなくて心にも傷跡を残す事になりがち その傷は得てして絆として人とを繋げる事も有り、何とも悲しい事ばかりではない。 『傷』を付けることによって開ける世界も有るもんで……。 わしの身体にも鞭とロウソク熱の跡が……おっと 痛いのは嫌いじゃないです(;//́Д/̀/)ハァハァ 皆さんもどんな傷がお有りでしょうか❓ 2024年25冊目
5投稿日: 2024.09.16
powered by ブクロググリフィスの傷=ガラスについた目に見えない傷。 見えない傷が蓄積し、ガラスは割れる。 壊れるまで、血を吹き出すまで気づいてもらえない傷がこの世にはたくさんあるのだと気付かされました。
0投稿日: 2024.09.15
powered by ブクログ2024.9.15 様々な種類の傷に纏わる短編集。 ガラスの表面につく見えない傷をグリフィスの傷というらしい。 その傷が重なってある時割れてしまうことも。 生きていれば小さな傷を負うこともある。 それが生きてる印かも。
0投稿日: 2024.09.15
powered by ブクログからだに傷跡がついたものは、もうそれまで自分ではいられない。古傷が疼くというように、傷痕は別人格のように自己主張する。 からだに傷跡があるものには古傷がえぐられるかのように感じる。一方でこの本の「竜舌蘭」の主人公のように嬉しそうに傷痕を語るときのは本当に同感する。
10投稿日: 2024.09.12
powered by ブクログやばいすごく面白い。表現の仕方といい短編集ひとつひとつが濃い。 たくさんの傷がついても血が溢れない限り相手に痛みも何も伝わらない、だが、痛みを知る者同士でも助け合いができるわけでもない 「傷」って本当に罪深い 自分を強くしてくれるのか弱くなっていくかこれからの人生色々な傷物語だと思う。
8投稿日: 2024.09.12
powered by ブクロググリフィスの傷は目に見えない傷。誰もが傷の痛み抱えて生きる。 「からたちの」傷痕を描く画家。傷痕は不条理を呑込む。心は不条理を受入れない。 虐め/対人恐怖/低温熱傷/誹謗中傷/入墨/先天性疾患
15投稿日: 2024.09.10
powered by ブクログ傷にまつわる短編。グロテスクな感じかなぁと思いながら読み進めて、傷にも様々あるなと思い直した。傷の見方が変わった。 慈雨が特に好き。
0投稿日: 2024.09.09
powered by ブクログ心の傷、身体の傷の話で、わずか20ページ程度で完結する短編集 私が印象的だったのは 「竜舌蘭」「慈雨」「林檎のしるし」 千早茜さんの作品は、いつも心にささる。 短編集なので、あっという間に読了したが、また千早さんの世界にはまりたくなる。
69投稿日: 2024.09.07
powered by ブクログ「傷」をめぐる10の短編。 「人は驚くほど、人の痛みに無自覚なのだ」 初っ端からストレートに切り込んでくる。体に残された傷痕がきれいになっても、心に残った傷みは消えないこともある。 様々なシチュエーションで傷を受けた主人公たちの傷との折り合い方、それは生きていくということそのもの。 傷痕の絵ばかりを描く画家が言った言葉、「私が描きたいのは生き延びたあかしだから。これは生者の勲章だ」に納得。 静かで、ひんやりとしていて、どこか哲学的な、短いけれど味わい深い物語の数々。 好きなのは「グリフィスの傷」と「指の記憶」。 久々に読んだ千早作品は凄くいい意味で変貌していました。
7投稿日: 2024.09.03
powered by ブクログ短編10作 特に好きな短編は 「グリフィスの傷」 「慈雨」 「竜舌蘭」も好きかも。 「この世のすべての」と「林檎のしるし」は少しだけミステリー味が最後にあって おっ。っとなった。 「指の記憶」はただ読むことが痛かった 笑 単純に傷だけでこんなに多種類の物語が読めるのすごい。 千早さんの作品はついつい追ってしまう
1投稿日: 2024.09.02
powered by ブクログ自分で好きで作る「傷」病気 やけど 事故 等できる「傷」色々有るが 自分で作る「傷」はこうなりたいと思う「傷」 それは最後までお金もかかるしそれを維持していかなくてはならない。思うようにならない「傷」最後は医者を訴える様になる。「傷」は心の奥まで一生残る辛いと思う。自分が好きで作った傷。
0投稿日: 2024.09.01
powered by ブクログ傷――それは、怪我をして治療 すれば完全に治るものと、事件や事故の傷から心に残る傷があるのではないかと思う。 虐待などで受けた傷が原因のトラウマという傷もある。 SNSという言葉から受けた傷、そしていじめ、これは自殺というもっとも悪い結果を引き起こすこともある。 ――様々なキズ―― この本には、表題作の「グリフィスの傷」を含む全10話の短編が入っている。 本当に、ひと言でキズという言葉で片付けられない、考えさせる話が多かった。 私は、若い頃にひとりで乗ったタクシーの運転手に、執念深いのかも知れないが、まだ覚えている言葉がある。 気分が悪くて乗ったのだが、距離のせいだろう、文句を言われた。 その会社のタクシーには乗りたくない! これも、傷だ。 普段乗るタクシーが、そのタクシーでなくて、家の周りを走っていなくて良かった。 今でも、忘れられない―― 2024、8、30 読了
64投稿日: 2024.08.30
powered by ブクログ傷にまつわる短編集 心の傷、身体の傷、傷と言っても様々 そのエピソード 傷つけてしまった側は覚えてて、傷つれられた側は覚えていないこともあるしその反対も 案外気にしてないことも反対にとても気にしてることも 人を傷つけたことがない人はいなくて誰かしら傷つけたことはある SNSで会ったことがない人の誹謗中傷が簡単に出来る現代だからこそ
8投稿日: 2024.08.29
powered by ブクログズキズキした。ゾワゾワした。ここに描かれる人々が、誰ひとりとして、私の想定範囲内に留まらなかったことが、心地よい読後感を与えてくれた。 短編なのに、圧倒的で重くてたくましい。
1投稿日: 2024.08.28
powered by ブクログ「傷」にまつわる短編集。 体に出来た「傷」は、心の「傷」とも密接に繋がっているのだと感じた。 一つのテーマでこれだけのストーリーを生み出せるのはすごい。ピンとくるもの、イマイチ入り込めないもの…内容は様々だった。 個人的には「竜舌蘭」が一番好きだったかな。 本題からそれるけど、先日ガラスが割れる仕組みについてお話を聞く機会があり、そこで聞いたのがまさに「グリフィスの傷」。 その時は単に化学の話として聞いていたけど、こんなところで目にするとは! 色々な切り口で物語を生み出していく作家さんって、すごいなと改めて思った。
37投稿日: 2024.08.25
powered by ブクログ傷をキーワードにした短編集。怪しく読みやすい。目に見えない傷のことをグリフィスの傷というそうです、メモメモ。個人的には、表題作より「指の記憶」が後悔なのだろうか、余韻があって良かった。
1投稿日: 2024.08.24
powered by ブクログダヴィンチ・プラチナ本。最近読んだ氏の直木賞受賞作に続き、本作も読了。で思ったことは、自分の趣味に今ひとつ合わない作家かも、ってこと。本作は、色んな傷に纏わる短編集で、題材としては結構自分好み。でも読んでいて、訴えてくるものが乏しい。つまらないと思う訳じゃなく、好きな人は好きだろうし、これはもう、相性の問題。この先、本屋大賞受賞!とかあれば、また手に取る機会があるかもしれないけど…。
1投稿日: 2024.08.16
powered by ブクログ短編なのでどれもさくさく読めますが、どの話も短いながらもぐさっと刺さります。 癒えたと思っても思い出すたびにズキっとうずく傷が誰にもあると思いますが、その傷も愛しく思えます。傷つけられたことで救われた「竜舌蘭」の話が一番好きです。千早さん独特の静謐な世界感が最高。
9投稿日: 2024.08.15
powered by ブクログ「傷」にまつわる短編10作。どれも30頁足らずの短編だけれどその世界観にグッと惹き込まれてしまう。胸の奥の方が静かに深く痛い。どの主人公にも幸せを願ってしまう。凄く好みの作品。
1投稿日: 2024.08.11
powered by ブクログ傷についての短編。 私も人につけてしまった傷がある。人につけられた心の傷もなかなか簡単には癒えない。どちらも一生忘れられないのかな。できることなら記憶ごとなくなって欲しいと思ってしまったり。。 傷はつけても、つけられても心が辛い。 たくさんの繊細の塊でできてるのが人間だと思うから、本当に難しいと思う。
15投稿日: 2024.08.11
powered by ブクログ目に見えない傷のことを(グリフィス)と言うそうだ。グリフィスの傷、他傷にまつわる短編10作。 傷は消えても心の中に残るグリフィスがあるかもしれない、それでも癒しは自分自身で探すしかない
1投稿日: 2024.08.03
powered by ブクログ目に見える傷、目に見えない傷、さまざまな傷にまつわる物語。 傷を持つ者の受け止め方や考え方も千差万別で、同じ傷はふたつとないので、他人の想像は及ばない。 どんな傷でも何かしらの痛みを伴うが、傷まないことが良いことだとも言い切れない。隠そうと、晒そうと、傷は傷として在り、目にする度に蘇ることもある。考えるほどに傷痕に呑み込まれそうになる。
1投稿日: 2024.07.27
powered by ブクログさすが千早さん。今回は傷についての短編集。どの作品にも繊細さが備わり、短編集でありながらどの作品にも千早茜ワールドにするりと飲み込まれる。私たち誰にでも体の外、内関係なく、生きていれば傷はたくさんできていく。それを誇りに思えるようにしてくれる、そんな優しい作品だとわたしは感じた。私は最初の竜舌蘭がお気に入り。
1投稿日: 2024.07.25
powered by ブクログ92/100 これは多分普段の私が読んでたら星3~4だった! けど今の自分には染みすぎる 「自分が忘れてしまった傷を覚えている人がいる」 直木賞作家の千早茜さんの本 なんかもうめっちゃよかった。文章が優しい染み込んでくる自分が誰か傷つけてもそれをずっと忘れない人でいたい 傷つくことが怖いけど傷つけるのも怖い話。 傷つけられ側の話を読むことで、大切な人を傷つける悲しみがより一層自分に罪悪感になって浮かんできた。 グリフィスの傷 題名に隠されてたこの意味をしばらく経っても忘れないようにしておきたい
1投稿日: 2024.07.23
powered by ブクログずっと気になっていていつか読むと決めていた千早さん。短編集好きなので、これは読まねばと。 どこか他人と一線を引いているような主人公たちは、読んでる私も突き放しているような感じがした。そして私は、その距離感がとても心地よかった。 どのお話も好きだけれど、特に好きなのは表題作のグリフィスの傷と、あおたんと、竜舌蘭。 この世のすべての、の何とも言えない読後感も好きだな。 みんな、何かしらの傷がある。見えてるものもあれば見えていないものも。その傷は、決して他人に奪われないし、他人に分け与えることもできない、自分だけのものなんだな、と思う。
4投稿日: 2024.07.22
powered by ブクログ竜舌蘭にのトゲは心の傷から赤い血を滴らせた。 体の他の人には見えない傷、明らかに分かる傷。 様々な傷を持つ人達の話からなる短編集。 見に見えない傷がたくさんついていって、なにかの衝撃で粉々に割れてしまう。それが本の題名にもなった「グリフィスの傷」だという事を知った。
9投稿日: 2024.07.15
powered by ブクログ短編集というのは全ての物語が自分好みではない事が多い為、評価として難しいものがあるものの、本書の場合、様々な視点で人間と『傷という存在』が共に生きていく姿を、プラスにもマイナスにも見せてくれた事によって、私が思っていた以上に、多様でありながら繊細でもあったのだという点に、少し救われたような気持ちとなることができた、それは、まるで心の傷を抱えた人達が集う会に於いて、一つとして同じものの無い、様々な話を聞かせていただいているような気持ちにさせてくれた、善意も悪意も感じさせない、自然と抱かせてくれるような私の居場所であった。 まずは、10の短編の印象的な点を書いていきます。 「竜舌蘭」 『興味がないものは見えないの』という言葉は、捉え方次第で胸に突き刺さるものがあるけれども、そんな人間でも存在しているのだということと、数年、五十年、百年に一度、美しい花を咲かせるものとを相対的に描いた、傷が人生を切り開く物語。 「結露」 『その人の身体はその人のためだけに在るものだから』という思いが、その人の全てを愛しく感じられることへと繋がっていく、傷への愛おしさ。 「この世のすべての」 この終わり方には賛否両論あるのかもしれないが、本人にしか分からない辛さというのは、決して心で制御できるものではなく、『頭の記憶はなくても体は覚えている』という言葉が、正にそれを如実に表していて、その人の人生をどれだけ変えさせてしまうのかを痛感させられた、人に傷を付けるということの重大さ。 「林檎のしるし」 好きでも嫌いでもない、人の存在自体に心地好さを感じられる空間と、そうした状況になって初めて抱かせた、傷を付けてでも取り戻したい思いとの対照性が際立つ、愛と引き換えにできそうな傷のあり方とは? 「指の記憶」 『あの日から、ある、と、ない、の境目がぼんやりしている』男の悩みが、やがて解消された時の言葉にできない思いには、ファンタジーの要素もあるのかもしれないが、それは改めて傷が気付かせてくれた、体の全てが自分のものなんだという無上の喜びなのだと思う。 「グリフィスの傷」 『目に見えない傷がたくさんついていって、なにか衝撃を受けたときに割れてしまう』というガラスの描写が、人間の心を表しているようにも思われた事には、何とも胸に迫るものがあり、だからこそ『傷つけられたら、傷がついたことを見せなきゃ』という気持ちには、共感できない人もいるのかもしれないが、私には痛いほど共感できた、傷の持つ恐ろしさ。 「からたちの」 「なぜ?」、「どうして?」 という思いが、虚しく宙を彷徨い続ける、こんな思いに人をさせてしまうのは、時に世の中に起こるいたたまれない出来事であり、そこには人が人の身体に遺していった、悪意という名の見えない痛みを想像させるには充分な生々しさに、とても正視できないものがあった、傷が呼び起こす不条理さ。 「慈雨」 『自分が忘れてしまった傷を覚えている人がいる』と、秘められた親子の思いとが交差する、心の温まる物語は、傷ひとつあるくらいで女の価値が損なわれると判断するような男に向けた、『結婚のときのいい判断基準になる』という言葉に思わず笑ってしまった、千早さんの人柄が垣間見えそうな展開も微笑ましい、傷を忘れない思いに裏打ちされた、人の限りのない愛情。 「あおたん」 残り二編は本書書き下ろしとなり、いずれも手術が鍵となった、自ら傷を付けることになるその覚悟は、『一度でも身体を変えたら死ぬまでその傷を更新していかなくてはいけない』が、『自分で選んだ痛みに耐えることで、私は私になれた』ことで生きることができるのであれば、それでいいのだと思えた、見える傷と見えない傷との繊細な違いを思い知るアウトローの物語は、最も私好みであったし、西の言葉にまた心を打たれた。 「まぶたの光」 『手術ってね、もう一度、傷をつけることなんだよ』という言葉に、思いの外、考えさせられるものがあったが、彼女にとっての世界が、そうした傷でできた素晴らしい世界なんだということを実感させられたのは、きっと先生にとっても救いになるのだろうと思われた、傷が傷を癒す不思議さ。 本書のタイトルである「グリフィスの傷」には『見えない傷』の意味があるそうで、傷というものは、目に見える直接的な痛みもそうなのであろうが、それ以上に苦しめるのが、目には見えない痛みなのだと思い、それは、どんなに慮ろうが分からない、本人だけにしか感じ取れない繊細なものでありながら、見えない故に、それが癒えたのかどうかも分からない、そんな傷の存在を、もっと感じ取って欲しいという願いを込めて書かれたようにも思われた。 そして、もう一つ大切な事として、たとえ同じ傷のように思われても、それは決して同じなのではなく、人それぞれの生まれ育った環境や性格、価値観によって、全く異なってくる、その人だけが持つ個別の痛みなのだということを知る大切さなのだと、私には感じられた。 ひとつ、私の体験談を書かせていただきますと、若い頃に、アパートの下の階の方の騒音に悩まされて以来、人の立てる大きな音が苦手になりました。 当時、最初にそれを訴えた時、その人は騒音対策をしてくれましたが、それはあくまでもその人の中での、こうすればうるさくないだろうという判断基準であり、それが私のそれとは異なるものであったことが致命傷となり、その辛さを訴えても相手は受け入れず、結局引っ越すことにしましたが、以後その時の辛さを身体が覚えてしまい、人の立てる音がする度に、背中がピリッと引き攣るような感覚が遺るようになり、それと共に心が疲弊していく状態に耐えられなくて、アパートやマンションでは暮らせなくなりました。 それでも仕事の都合上、仕方なくアパートで我慢して暮らさざるを得ないときもありましたが、半年と持たずに引っ越しの繰り返しとなり、今でも戸建ての賃貸で暮らさないと安心できないような状態でして、時を経る毎に、少しずつ背中の引き攣りは治まってきましたが、人の立てる大きな音を聞いた瞬間、身体が勝手にビクッとしてしまうのは未だに治りません。 正直なところ、こうした自分の傷の一部を書くのも白けるだけなので、どうかとも思ったのですが、これを読むことで、一人でも前向きな思いや安心感のようなものを抱いてくれればいいかなと感じ、書かせていただきました。 でも、おそらく私だけでは無く、誰もが何かしらの傷をいくつも抱えて生きているのかもしれないということを実感させてくれたのは、大きな勇気をいただいたようでもあって、こうした他の作家さんが中々取り上げないテーマで作品を編み上げてくれた、千早茜さんには感謝の気持ちでいっぱいです。 ありがとうございます。 そして私は、これからも一生消えることの無い、見えない傷たちと共に生きていく。
62投稿日: 2024.07.14
powered by ブクログ私たちは日々、見えない傷をつけられたり、つけたりしながら生活している。 人が壊れてしまうのは、そんな見えない傷の積み重ねで、些細な事が引き金になってしまうこともあるということに気付かされました。 だからといって、傷つけない・傷つけられない日々を送ることは到底無理なので、互いに理解し合い、助け合って毎日を過ごすかが大切か痛感しました。
9投稿日: 2024.07.11
powered by ブクログ私には響かなかったかな…。 短編集なので、中にはイイなと感じるものもあったけど、全体的に今ひとつでした。
1投稿日: 2024.07.09
powered by ブクログガラスが割れる原因って、目に見えない傷なんですね。ガラスに限らず、人間関係や内面的なモノもグリフィスの傷で壊れていくんでしょうね。 自動車のフロントガラスについた小さな傷は、早いうちに補修すれば大丈夫ですが、放っておけば全面に広がって交換が必要になります。このロジックは他の傷にも適応されそうですね。
7投稿日: 2024.07.09
powered by ブクログ傷に纏わる短編集。見えない傷の事をグリフィスの傷って言うらしい。人を傷つけた事を忘れてしまう事も傷が着いた本人より傷を付けてしまった方に見えない傷が残る事もある。生きていれば傷つかずにいる事はできない。
5投稿日: 2024.07.08
