Reader Store
ソマティック・エクスペリエンシング入門
ソマティック・エクスペリエンシング入門
ピーター・A・ラヴィーン、アン・フレデリック、花丘ちぐさ/春秋社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

1件)
5.0
1
0
0
0
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    世間的に認知されている性被害や戦争によるPTSDなどの"単発性のトラウマ"のイメージが先行して、特別な体験をした人だけの、どこか遠くの出来事のように感じていた「トラウマ」だけれど、もっと身近で多くの人が知らない内に抱えてしまっているものだということが分かった。 トラウマや生きづらさの対処として、ヒプノセラピーやインナーチャイルド、内観内省など自分の心の中を深堀っていくという手法しか知らなかったけれど、本書で紹介されている「ソマティック・エクスペリエンシング」では体からトラウマへのアプローチを行っていくというのが新鮮で試してみようと思えた。 トラウマの症状は、そのトリガーとなった出来事そのものが原因ではなく、「未完了の凍りついたエネルギーの残滓が神経系に閉じ込められたままでいること」によって発症する。トラウマという概念を持たない、野生の動物たちは、恐怖体験や事故のあと体を自発的に震わせたりするなどして、エネルギーの解放をする様が観察されるらしい。 つまり、人間の脳は爬虫類脳/哺乳類脳/人脳の3層構造になっているが、爬虫類脳に関連する自律神経が闘争/逃走/凍結モードに入ったあと、その時の体の感覚や感情などを感じきる(爬虫類脳/哺乳類脳)前に、親や他人のために理性などで「こんなものは平気だ」と抑圧してしまう(人脳)ことに原因がある。だから、出来事の重大さに関わらず、環境により誰しも知らず知らずのうちに、トラウマを持つ可能性がある。 静かに座り目を閉じて、自分が着ている服の感触、部屋の暑さや湿度、重力に耳を傾けたりするなど、身体的な感覚に対する「フェルトセンス」を高めていくことを入り口として、"理性的な人間としての自分"ではなく"野性的な動物としての自分"との接触を通して、トラウマへアプローチしていくことが大切とのこと。 個人的には、幼少期に自転車から頭から落ちたことが思い出されたのと、意外だったのは全身麻酔を伴う手術や歯科手術、目の斜視の手術などの経験があったが、麻酔をしていたり意識がなかったとしてもトラウマとして、それらが体に刻まれている可能性があると知って驚きと納得感があった。 【トラウマからくる症状のリスト】 ・光や音などに対する極度の過敏性、パニック発作 ・多動 ・回避行動 ・過度の内気 ・感情の消失、減少 ・熱中できなくなる ・慢性疲労、身体的エネルギーが過度に低い ・免疫系の問題、甲状腺機能障害など内分泌系の問題 ・心身症、頭痛、首や背中の痛み、喘息、消化器系、重度の月経前症候群 ・うつ、今にも悪いことが起きるという感覚 ・孤立感、疎外感、孤独、生ける屍状態 ・人生に対する興味の減退 ・死や早死すること、気が狂うことへの恐怖 ・頻繁に泣く ・唐突な気分変調、怒りの爆発など ・性行動への以上な更進や減退 ・記憶喪失、健忘症 ・無力感 ・他人を愛し、慈しみ、親密になることが出来ない ・睡眠の問題、悪夢 ・ストレス対処、計画を立てる能力の減退 など 当てはまるものが多すぎて、愛着障害や発達障害、HSPやエンパス、アレルギーの問題として半ば諦めていたいろいろなこととの関連もあるのかもと思った。もっと、トラウマ系の本を読んで理解を深めていきたいなと思った。

    0
    投稿日: 2025.08.12