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紅蓮の雪
紅蓮の雪
遠田潤子/集英社
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総合評価

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    皆様が 遠田さんの新作を読んでいるというのに… 今ならすぐ読めるコーナーに差し込まれていた本作を。 紅蓮とは、燃えさかる炎のように赤い蓮。 激しい怒りや情念、苦しみが噴き上がるさまを表す言葉であり、 仏教用語「紅蓮地獄」に由来する、激痛と怨念の象徴でもあります。 渦巻く地獄に堕ちた親子。 汚れた血脈は、双子の姉弟を幼少期から呪縛として絡め取っていく。 久しぶりの遠田潤子作品。 冒頭の展開は早く、あっという間に演劇の世界へ引き込まれた。ただ、あっという間すぎて そんなには上手くいくまいとは思います。 歌舞伎でも繰り返し上演されてきた『三人吉三』の因縁が、物語の中に巧みに織り込まれていました。

    102
    投稿日: 2026.01.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    特別な絆で結ばれていた双子の姉朱里が自死した。遺品の中に大衆演劇の半券を見つけた伊吹は、朱里の死の理由を知りたい一心で舞台を観に行く。手がかりを得られないまま思わぬスカウトを受け、そのまま一座に加わることになるが‥。 伊吹が何某かの暗い過去を抱えていることはすぐに分かるのだが、その殻に閉じこもったままの傲慢さがなかなか受け入れがたく、読んでいて抵抗感があった。救いは大衆演劇の面白さと看板役者の慈丹の仏のような嫌味のなさだ。 後半、伊吹のルーツが次第に明らかにされ、予想していたより深い闇に呆然とする。 (伊吹と朱里、2人の間だけのことかと思っていた。) それでも最後の最後まで慈丹と一座に甘えている伊吹に心から寄り添うことはできなかった。伊吹の人生がここから始まる、という終わり方なのだということは理解できるのだが。

    0
    投稿日: 2025.07.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    姉・朱里の自死の謎。伊吹が他人との接触を忌避する理由。伊吹だけが日舞と剣道を習わされていたこと。両親の二人に対する扱いなど、数々の謎に対する興味が、序盤から本作に没入させてくれました。 しかし、伊吹と朱里の過去を振り返る章では、二人がかなりキツい扱いをされることもあり、精神的に滅入る場面があったりします。 加えて、朱里をはじめとして両親や西尾和香など、相手への想いが、それこそ紅蓮地獄の炎のように強すぎて、不幸な結末を迎えてしまう人物たちが何人もいたりします(ちなみに仏教の紅蓮地獄は鉢特摩(はどま)地獄とも言うそうで、鉢木座の「鉢」は何かつながりがあるのかな?)。 主人公の伊吹も彼らと同じく不幸な結末を迎えてしまうのかと心配になりますが、希望を捨てずに読み進められたのは間違いなく聖人・鉢木慈丹さまの存在のおかげ。 伊吹のことを本気で心配して、23歳という若さなのに時には体を張って守り、時には厳しく叱ってくれる。劇団一座の若座長という立場もあるでしょうが、それを差っ引いてもあまりある献身ぶり。 何か裏があるのかな?と疑ったりもしましたが、それ以上に私からの慈丹に対する信頼度が勝ります。 故に、終章で伊吹が破滅的な行動をとろうとする場面でも、心の片隅に「きっと慈丹が来てくれる」と、スラムダンクの仙道のような期待感がありました。 しかし半面、「遠田作品だから心をエグるような展開もありうる」という不安もあって……というより、こっちの不安がはるかに大きかったため、慈丹がマジで来てくれたときは、彼の登場と伊吹が道を踏み外さなかったことへの安堵で、読了まで涙が止まらなくなってしまいました。 結末としては前向きな終わり方で、伊吹の周囲の人たち(特に慈丹を含む劇団一座の人たち)に良い人も多く、明るい場面も多かったので、遠田作品としては「銀花の蔵」以来、珍しく後腐れの少ない作品でした。

    0
    投稿日: 2025.07.05
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    ふたごの姉が20歳の誕生日に実家の裏山にある城から飛び降りた。自殺だ。親に愛されず二人でけで生きてきたつもりだった。理由を教えず、なぜ姉は死んだのか。 主人公の青年は大衆演劇に身を投じて原因を探していく。両親も親に愛されず育った、許されぬ血のつながった関係。新たな事実が浮かび上がる。 最後に姉の自分への気持ちに気づいた主人公が切ない。 自分探しと大衆演劇。知らない世界が見えてなおかつ上質なミステリー。面白い。

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    投稿日: 2024.11.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    202402/好みではないが物語に引き込む力がすごい。ちょっとVCアンドリュースぽいかも。母親はそれほど嫌悪感ない突き抜けつらぬいてるからか。生い立ちゆえとはわかってても伊吹と朱里の練習のほうが受け入れがたい…。父親弱さと無責任。伊吹は好きになれない。

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    投稿日: 2024.07.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大衆演劇に今まで触れたことがなかったが、伊吹の入団からの軌跡を一緒に見ることで非常に親近感が湧き、観てみたいと思った。序盤は謎なことが多く、伊吹の振る舞いにモヤモヤすることもあったが、きれいに伏線回収された最後には可哀想で居ても立っても居られなかった。救われてよかった、、 若座長が完璧な人間過ぎて、彼の舞台を観てみたくなった。ただ、きっと一度見たらお花をつけるために奔走してしまうんだろうなとも思った(笑) 情景が浮かびやすく、最後まで楽しめる作品でした。

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    投稿日: 2024.06.27
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    遠田潤子『紅蓮の雪』集英社文庫。 相変わらず遠田潤子は読者を物語の中に引き摺り込むのが巧い。双子の姉の自殺の真相を追う弟、姉が自殺する1週間前に観劇した大衆演劇、何故か大衆演劇の鉢木座に女形として入団してしまう弟。序盤からの怒涛の展開に気付けば物語の中に佇んでいる自分が居た。 そして、いつの間にか物語の世界に浸る自分に忌まわしき血脈の呪縛と禁断の真実が鬼気迫るかの如く烈しく襲い掛かって来る。もう何度も駄目だと思いながら、救いの無い物語として嫌な気持ちのままに結末を迎えるのかと思ったのだが…… 読み終えて、これ程ホッとしたことは無い。 双子の姉、牧原朱里が20歳という若さで自殺する。大学の先輩で伊豆の老舗旅館の跡取りとの婚約を破棄して、自殺したのだ。彼女が自殺する1週間前の足取りを追い、遺された双子の片割れ、牧原伊吹は大衆演劇・鉢木座を訪れる。 伊吹は初めての大衆演劇に魅入られるかのように昼と夜の2回の公演を観劇し、公演が終了した後で座長に自分の姉のことを尋ねるが、何も知らないと言われる。 途方に暮れる伊吹の前に座長の息子の若座長・慈丹が現れ、伊吹を鉢木座の女形としてスカウトする。初めは伊吹の加入に難色を示した座長だったが、慈丹と伊吹の熱意に押され、加入を許される。 少しずつ鉢木座に馴染む伊吹は、幼い頃から自分は汚れているのだという思いから他人と触れ合うことが苦手だった。そんな訳で伊吹は座員や客との距離が縮まれば縮まる程、苦痛を感じていたのだ。 やがて明らかになる己の血脈の呪縛と禁断の真実。鉢木座と姉の自殺との関係とは…… 本体価格880円 ★★★★★

    92
    投稿日: 2024.03.04