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ヤマケイ文庫 愛犬王 平岩米吉 「日本を代表する犬奇人」と呼ばれた男
ヤマケイ文庫 愛犬王 平岩米吉 「日本を代表する犬奇人」と呼ばれた男
片野 ゆか/山と溪谷社
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総合評価

7件)
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    日本の動物愛護と動物文学を支えた、こんな人がいたとは。知らなかった。狼や海外の動物を家で飼育するという、今なら様々な法律で阻まれて無理そうなことをやってのけている。交友関係も多岐にわたる。南方熊楠やまどみちおの名前が突然出てきて面食らった。戦前・戦中・戦後と時代の移り変わりに翻弄されながらも、最終的にはフィラリアのライフサイクルが突き止められ、今の予防方法が確立されたということはもっと知られも良い。研究機関に属さず自身で研究を続けられる人が、かつては存在したという証でもある。現在では非常に稀な存在だと思う。

    4
    投稿日: 2025.04.21
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    裕福な家庭に生まれた米吉が動物を愛護して動物文学を手掛けるノンフィクション それと同じ頃には以前読んだ「アラシ」の主人公は北海道の山奥でとても賢い狼犬と生活していたのを思い出す 自由が丘の裕福な家庭の犬でもアイヌの犬でも主人への忠誠心は同じなんだよな...

    6
    投稿日: 2024.12.31
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    まさしく犬の王。 シーザー・ミランに先立つこと70年、本邦にこのような方がおられたとは。 平岩米吉の思想、そしてそれを基底に提唱される具体的な啓蒙の種々を読んでいると、それらが発せられた時代が昭和初期でありあるいは戦後まもなくであった、という事実を思わず忘れてしまう。 それほどまでに、洗練されているし、まったく色褪せていない。 特に"犬畜生"などと呼んであからさまに犬猫を下等なものと見なすことが当たり前だった当時の日本において、彼らに対し過剰とも言える愛情を注ぎ、観察を通じた科学的な知見を披歴した上で、彼らを尊重すべしと訴える存在の特異さは際立ったことだろう。 アニマルウェルフェアの精神性を日本で顕現した魁でもあるのではないか。 2024年の現在ですら、犬や猫の習性を知らず(学ぼうとせず)、誤った方法で飼養している飼い主は少なくないと見受けられるのは実に嘆かわしいこと…。 冒頭で半ば冗談混じりでシーザー・ミランになぞらえたが、犬たちの王として群れの中で君臨する理屈を超えたカリスマ性に加え、平岩米吉には学者然とした思考力と分析力、そして文筆家としての能力も備わっていた。 「動物文学」の創刊と発行の継続は、そういった平岩米吉の才能と功績を示す代表例かと思う。 当時の文壇における錚々たる面々がヴァリエーション豊かな原稿を寄せ、時にUMA的な存在にも言及して真面目に論を戦わせていた総合誌、私もリアルタイムで購読したかった! 読了した今、なるほど短歌という形態こそが、平岩米吉が目指すところの究極の動物文学なのだということもよく分かった。 アニマルウェルフェア実践の先駆者であると同時に、文字通り世界をリードする動物行動学者でもあり、さらには流麗な歌も詠みこなす文人であったとは、アンリ・ファーブルとコンラート・ローレンツも裸足で逃げ出す超人ぶりではないか。 おっと、フィラリア撲滅に心血を注いだ愛犬家としての顔もあった。 今、当たり前のように私たちは月に1度、犬に薬を飲ませることでほぼ完璧にフィラリアを予防することができているが、ここに至るまでに平岩米吉が大きな役割を果たしていたということを知った。 これほどのスーパーマンである平岩米吉を、多面的に見事に描ききった著者、片野ゆか氏の力量も素晴らしい。 平岩米吉の家族や近しい人たちから聞き取ったエピソード類はもちろんのこと、例えばオオカミに関する論考など、対象の周辺にある事柄を必要に応じて詳述することで、生身の人間としての平岩米吉を各読者が感じやすいように工夫が凝らされている。 すべてを読み終わった後、家族として一緒に暮らす我が犬への愛が深まっていることを感じた。

    0
    投稿日: 2024.12.16
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    詳細はあとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノートをご覧ください  → https://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-2086.html とにかく 平岩のイヌをはじめとした生き物への 愛と探究心の深さに、圧倒されました。 戦前からのいろんなことを知ることもでき、面白い本です。

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    投稿日: 2024.09.25
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     こんな人がいたのかと驚きながら読み進めた。自宅の庭で犬はもとより、キツネ、オオカミ、ジャッカル、ハイエナなどの動物とともに暮らし、深い愛情を持ってその生態を観察し、研究を続けるとともに、雑誌『動物文学』を立ち上げ、日本に真の意味での動物文学をつくろうと努力を続けた人物。晩年には「犬奇人」と呼ばれていたそうだが、犬の愛好家と言う人は結構いるとしても、普通の常識では考えられないという意味で、「奇人」という言葉に相応しい人だったのだろうと思う。  今でこそ犬の寿命は延びて10年以上生きるのは普通になっているが、平岩米吉の愛犬の多くは数年で亡くなってしまっていた。その大きな原因の一つが、蚊を媒介とする寄生虫フィラリアだった。多くの愛する犬を見送ることとなった米吉の悲しみ、それを詠んだ短歌が何首か収められている。どんなにか辛い別れだっただろう。  一匹くらいの犬ならともかく、何頭ものシェパードに加え馴染みのないオオカミやジャッカルの世話をするのは大変だったろうし、家のドアは傷だらけ、襖、障子は破れ放題という生活に耐えたというのはスゴイこと。もちろん本書の主人公は米吉であるが、その研究を支えた妻、そして長女の献身振りもしっかりと描かれている。  現代では、ペットは家族の一員として大事にされるようになってきた。それもこのような先人の努力があったこそなのかと、本当に頭が下がる思いがした。庭で遊ぶ愛犬たちと米吉ら家族の写った写真や、懐いているオオカミやハイエナと一緒のところ、愛犬との散歩風景などは微笑ましいが、最も愛した愛犬の死に顔のスケッチ、見ていて切なくなる。

    7
    投稿日: 2024.05.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    <目次> プロローグ 第1章   狼に憧れた神童 第2章   白日荘のにぎやかな住人 第3章   動物文学に集う人々 第4章   愛犬の系譜 第5章   戦火のなかの動物たち 第6章   犬は笑うのか? 第7章   狼との対話 第8章   奇人先生の愛した犬たち エピローグ <内容> 戦前の日本には「奇人・変人」が数多いたようだ。南方熊楠然り、牧野富太郎然り…。この平岩米吉もその一人。彼らは裕福な家に生まれ、その財力で自由気ままに自分の興味を掘っていった。それだけで無く、ちゃんと成果を出したワケだ。米吉は犬の生態から狼やハイエナの生態まで。さらにちゃんとした動物文学の紹介まで。人口に膾炙したところでは、『シートン動物記』の紹介か。片野さんは「イヌ」など動物への視点が温かい。

    1
    投稿日: 2024.05.18
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    犬を飼ったことは無いが(猫は飼ってる)犬の賢さ愛情深さは少しは知ってるつもりだったけれど、狼やハイエナが人に慣れたりこんなにかわいいなんて思いもよらなかった。そもそも彼等のご主人である平岩米吉氏が抜群に面白いのだがご家族もみな器量と愛がデカ過ぎる! 村井理子、高橋源一郎、高野秀行の帯に惹かれて手に取ったのだけれど、とにかく最初のエピソードから引き込まれ驚かされ、一気読みさせられる事間違いなし!写真も楽しい。

    9
    投稿日: 2024.05.02