
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
〜1周目〜 2024.04.29 女の小説という感じ。 女の人はどこかしらに、何かしらに依存していて、それが人なのか、モノなのかは人それぞれ。 心の拠り所を失うときには他にも綻びが出て、生きていけなくなる。 生きていくのが怖くもなる、身の回りの物語なのだという感覚になった。
1投稿日: 2025.11.04
powered by ブクログ初めて読んだ作家さん。女子の描く性描写のリアルさを感じました。短編集でしたが、内容はどれも重めでした。一人称で語られる感情の表現も繊細でした。星3つかな?
9投稿日: 2025.11.04
powered by ブクログ「ソーシャルディスタンス」って、今やもう懐かしい言葉だ。 未知のウイルスに世の中が怯えていたあの頃、基準を設けられた社会的な距離は、ある程度他人が決めてくれたからある意味で分かりやすかった。今思えば異常だったと思う面もあるけれど、当時は怖かったのだからしょうがない。 だけどこれは、アンソーシャル。確かにあの頃も、親しい間柄での距離感は社会の基準よりずっと近かったし、信用できたのはほぼ100%心理作用によるものだったと思う。ウイルスなんて、目には見えないのに。 5篇の短篇集。金原ひとみ作品らしく、すべて主人公は女性で、そして様々なかたちで病んでいる。 表題作はまさしくコロナウイルスが猛威をふるっていた頃。コロナ禍でも「適切な距離」なんて保たず、心も身体も濃厚接触(この言葉も懐かしい…)を続けて突っ走る沙南と幸希の物語。 元々厭世的で、10代のときにリスカや脱法ドラッグなどで一度社会からフェードアウトしたものの、大検を受けどうにか大学生になった沙南と、対照的に様々なことを上手くすり抜け切り抜けてきた同じく大学生の幸希。幸希は一見真っ当に見えるけれど、実は沙南と似たような魂の持ち主であったことで、2人は惹かれ合う。 他には、私生活(主に恋愛)が上手くいかずストロングゼロで気を紛らすのが癖になり、ついには仕事中でも飲むようになって破滅に向かう主人公や、若くして夫とセックスレスになったのがきっかけで不倫を始めたがその相手が病んで執着心を強めていき…という物語、10歳以上歳下の後輩と恋愛関係になった途端自分の老いが気になりだし美容医療のドツボにはまっていく35歳の女性など、いろんなかたちで自分を追い詰めていく女性たちの物語群。 ラストの「Technobrake」は、コロナ前には良好に付き合っていた1組のカップルがコロナをきっかけにだんだんと関係性を変えていくお話。主人公の芽衣がウイルスに敏感になりすぎて恋人の蓮二にまで要求を強くしてしまったことから…という。 こういうことは実際あったかもしれないな、思う。私自身、コロナ禍当時飲食店を経営していたし高齢の母もいるから普通より気をつけなきゃいけない立場だったけれど、その頃付き合っていた彼は無頓着で飲みや集まりを頻繁にしていたから、それを責めはしなかったけれど一時的に距離を置かざるを得なくなった。その直後くらいに結局別れてしまったのは、コロナが直接的な原因ではなかったけれど、意識の違いが浮き彫りになったことも一因としてあったと思う。 そういう意味でコロナって、色んな関係性の意識の差を浮き上がらせた出来事だったと思うし、試される場面も多かった。混沌としていて、振り回されて、おかしな時期だった。 …ということを、読みながら思い出していた。病んだり、執着したり、破滅に向かったりなんて、何がきっかけか分からない。他人から見たら順風満帆に見えても、実はどうなのかなんて本当のところはその人にしか分からない。 またあんな風に大々的に試されるような出来事が起きたりするのだろうか。普段からもっと些細な出来事で、試されてはいるのだけど。
1投稿日: 2025.10.13
powered by ブクログ思考を巡らせてもどうせ何か見覚えのあるストーリーにのせてベルトコンベアの上を運ばれていくだけなら、ドパミン放出を道標に、何をどうしたいのかわからないけど何かをしている状態で生きていてもいいよなあとは思うのだけど、 実際はわたしみたいな社会不適合人間は社会に適合する形で守られないとダメだなという思いが強まった 退屈で演技くさくて茶番だけど、これが1番の安全策 結局やりたいこともやりたくないことも自分の意思の本物らしさを信じきれないのであれば、世間に伺いを立てながら飼い慣らされる方が楽 下手に抗おうとすると、その抵抗するスタンスが自分の意思らしきものの形成に大きく関与してしまって逆に支配される構造になる気すらする 主人公たちが自分のことを分析しようとしているけど結局よくわからず放置して、コントロール不能感に身を任せているのがいい 解説が面白い アルコールでブラックアウト、二日酔いで頭が宙に浮いた状態での勤務、辛いもの依存、思い当たる節ありすぎてひやひや、セックスはまだ大丈夫。 死ぬという行為に踏み出さない限り、生きるのをやめないでいるという状態がそれなりに持続するから、大事な連絡や警告も混ざっているであろうメールボックスに未読を溜め込んだままぎりぎりまで通知が増えるのを放置しておく たまに、思い切って整理した方が楽なんだろうなと思い立って未読開封の儀式、社会適応に精を出す、そのルーティンをちまちまと繰り返す、こうした一連の退屈さに耐えきれなくなってまた刺激を追い求める
7投稿日: 2025.10.12
powered by ブクログそっか、一人称による視野狭窄されているからかと巻末の解説(朝井リョウ著)を読んで納得してしまった。 読了後、5つの短編いづれも金原ひとみさんは現代に生きる女性感を見事に表していて素晴らしいなという感想だった。 だがしかし、これは著者の巧みなスキルに陥り、「現代女性感を見事に表している」と思わされていたのだ。 著者の巧みな一人称による視野狭窄スキルにより、著者が作り上げたフィクションにも関わらずましてや日本女性の価値観ってこれでしょ?と言う総意でも正解でもないのに私はそう思わされていた。 ただ、テーマ自体が私が暮らす社会とマッチしていることもあり、嘘と本当が混ざり合った一番タチが悪い状況を作り上げているので尚更視野狭窄に陥る。 素晴らしい作品でした。 あと、朝井リョウもさすがです。
7投稿日: 2025.09.28
powered by ブクログ始まりはみんな普通 自分で自分を狭量に定義付けて、自ら剣山の仕込まれている穴に向かっていくような女性たち 過激な行動と思想だけど、身に覚えがあるものばかり そうなりそうだったから子供を産んだのかもしれないなと思う自分に気付く 最高でした
6投稿日: 2025.09.26
powered by ブクログ金原さんの作品は「蛇にピアス」以来だったが、リアルで露骨すぎて、ある意味新鮮だった。ストーリーや内容はオブラートに包むことなく、どストレートで、時に不快感を覚える時もあるが、感情に波を起こさせてくれるところが昔と変わらない良さなのかなと思った。言葉の使い方や選び方などが印象的で、共感できることが多い。読む人を選ぶ作品かもしれないが、私はこういう忖度のない、妥協のない、人間の本質をえぐる作品を描く作者のことをこれからも応援したい。
0投稿日: 2025.09.22
powered by ブクログ・「一人称視点の視野狭窄による唯一無二のドライヴ感。それでいてその筆先は深く広く大きな場所に届いている――このアンバランスなバランス感が、まさに金原文学のひとつの大きな魅力」 ・「金原ひとみという作家は、有形無形問わず”管理される”ということに小説という形で徹底的に抗っている。そして、どう管理しようとしたところでハミ出るしかなかった感情や思想に命を宿す試みをずっと続けてくれている。」
1投稿日: 2025.09.21
powered by ブクログどの話しも切れ味があった。 心理描写がリアルで言語化がすごい。 何かに依存したり、何かに縋ってみたり 生きるって難しいよなぁ…
1投稿日: 2025.09.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
◾️record memo 小さい小さい嘘を重ねて少しずつ自分のイメージ操作をする彼といる間、彼の作り上げた虚構の世界に付き合わされ、ずっとディズニーランドに生きているような気分だった。最初の一ヶ月は楽しくて仕方なかったけれど、半年経つと疲弊が蓄積し、一年も経つとハリボテの裏を知り尽くし、その虚構性に嫌悪しか抱かなくなった。 皆は一体他のどこにそんな要素を見出せるのだろう。何が彼らの足場となり、普通に立っていられるのだろう。それとも足場などなく、普通に地面に立っているのだろうか。だとしたら私が直接地面に立てず足場を必要としているのは何故なのだろう。 結局のところ、明日死ぬかもしれない世界で、何歳で結婚何歳で出産何歳でマイホーム何歳で昇進何歳までに幾ら稼いで老後資金コンプリート、みたいなことを考えている人は、私にはコントロール・フリークにしか見えないのだ。広告代理店的な受け売りの欲望の奴隷である彼らは、もし着実にその欲望を叶え続けたとしても永遠に自由を手に入れることはないだろう。 本当の理由は「なんか」だ。「なんか好きじゃない」の「なんか」が重大な理由だ。人は「なんか」好きになるし、「なんか」好きじゃなくなるし、「なんか」セックスをしなくなる生き物なのだ。確固とした意志、信念、理想がありそれに則って生きている人間が果たしてどれくらいいるだろう。憶測でしかないがだいたい人口の五パーセント程度だろう。 「俺は茜音ちゃんと結婚したいよ。それが最上。結婚が無理なら、ずっと一緒にいたい、それが無理なら、定期的にセックスし続けたい、セックスが無理ならただ会い続けたい、それが無理なら連絡とり続けたい、とにかく茜音ちゃんと繋がってたい。繋がり方は茜音ちゃんの望む形でいい。でも本当は結婚したい」 頭の中に何があろうと、今の私は夫に全てを捧げているようでもある。私は夫のことが好きなようでもある。そういうものだから、セックスはそれ自体が暴力なのだろう。 人は自分の内面をさらけ出せば出すほど、その大したものの出て来なさによって、底の浅さを認識する。でも元々大したものでもない自分に何かあると妄想してしまうことの方がよっぽど恐ろしいことであるはずだ。 今の会社に転職して三年、どこかで馴染めていない気がしていた。いや、私は最初にBAとして働き始めた時から一度も、自分が職場に馴染んでいると思ったことはなかった。イベントや企画を成功させても、上司に評価されても、後輩に慕われても、どこかで疎外感を抱いていた。 自分の趣味でないものを頭ごなしに否定するのは、若い男にありがちな傾向ではあるが、そういう子供っぽい面を見せても大丈夫な相手と思われているのかと思うと情けなくなる。 この人に全てを差し出したいと願った。私はなぜこんな願いを持つのだろう。全てを差し出したら私はなくなってしまうし、向こうだって全てを差し出されても困るだろうに。 全ての恋愛は洗脳的な側面を持っている。それは宗教が恋愛に似ていることによって証明されている。 「子供を欲しいと思ったことがない」「自分のことが嫌いだから、そういう人間を再生産してしまうのかもと思うと子供を持つことに前向きになれない」 嫌だな。行き交うサラリーマンたちを見つめながら思う。だっさいスーツ着てだっさい鞄持ってだっさい仕事すんのか。 激しくとっ散らかった火花をバチバチ弾け飛ばしてふっと消える花火。沙南のことを思う時、いつもそんなイメージが浮かぶから、ずっと彼女の周りに風除けの手を差し伸べ、強い風から守ってきたつもりだった。彼女の火を絶やしたくなくて、風が当たらないように雨が降らないように生き急がないように、守り続けてきたつもりだった。 左手で浴衣の袖を内側から握り、沙南の頬の涙を拭っていく。次から次へと溢れてくる涙を拭い続けながら、沙南の涙を拭う仕事があればいいのにと思う。
1投稿日: 2025.09.01
powered by ブクログ短編集ですらすら読めた! とにかく過激で鬱鬱鬱な色々なことを抱えている女の人たち! 依存するってやっぱり恐ろしいなって思った。 ストロングゼロもこうやって人ってアル中になっていくんだなってすごく感じた。 共感できない部分も多かったけどどれもついつい読んじゃう話だった。
0投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後の章が1番好きだった。全能感に打ちひしがれていた無敵の二人はコロナウイルスの蔓延によって信頼を失い、芽衣はシェルターに閉じ籠るようにして生きるようになった。それは生きていると言えるのかはわからないけど、誰にも迷惑をかけないしコロナに罹ったり誰かを感染させたりする心配もなく、ひどく自己完結的な生き方だと思った。喘息持ちの芽衣に心から向き合っていない蓮二と、同じく蓮二そのものに向き合う気のなかった芽衣。
0投稿日: 2025.07.19
powered by ブクログ山本文緒 無人島のふたりに出てきて読みたくなった 借りてきたけど、合わないので途中挫折。きちんと読めて評価できる人がうらやましい。
1投稿日: 2025.07.18
powered by ブクログ登場する女はみな仕事ができる。オトコにモテる。彼女たちは密かなこだわりを絶対手放さず、仕事もオトコも抱え込んだまま暴走する。 世に幾多と存在するお仕事小説の女たちよ、生きづらい人々よ。君たちが曖昧に表現してるところ、金原ひとみが暴露しつくしてるよ‼︎
3投稿日: 2025.07.02
powered by ブクログあまりにもな言語化の嵐で、共感とか理解はなくても、沈むように引きづり込まれた。身に覚えがない体験に相乗りした気分。
2投稿日: 2025.06.26
powered by ブクログおもしろかった!! ストロングゼロ、整形、不倫、、 このままでいいわけないのに、どんどん深みにハマっていく。 一人称の女性たちの疾走感がたまらない。 暗く、辛い話と思いきや、 テンポよく、どんどん読める。
1投稿日: 2025.06.07
powered by ブクログ短編集。どの話も上手くいってない女性の心情の吐露が秀逸。アルコール依存、整形、不倫…あまり共感したくはなかったけど、何か歯車が狂うとこうなるし、秩序だてて生きていても、人の欲とか焦燥感はそう簡単に抑えられるものではないことが泥沼にはまっていく登場人物の様子から強く感じた。
15投稿日: 2025.06.05
powered by ブクログ文章がえぐるように鋭くて深い。特に最初の3つは当事者になった気分が味わえるのでおすすめ。最後の2つはちょっと常軌を逸していてあまり共感はせず。
0投稿日: 2025.05.14
powered by ブクログ現代、といっても昭和からの現代じゃなくって、本当に「今=現在」という意味での現代の文学、といった感じ。 そんな意味での現代文学に触れられて嬉しい。年齢のせいなのか、人生の経験値のせいなのか、性格のせいなのか、私には分からない&刺さらないことも多々あった。 でも客観的に読んで、女性的な鬱をとてもうまく、巧みな文章力で表現されていて、「すごい!」と本当に心から感動。 辛い環境をなんとか生き抜くために、他人からは理解不能な行動をとること、でもそこまでそれによって周りに迷惑をかけていない範囲なら、第三者がジャッジすることではないなと痛感。乗り越えるも、乗り越えないも、その人の勝手。 「私だったらそんなことはしない」ほど余計な発言はない。 最後の章の、性加害者になりうる瞬間の描写にはかなりハッとされされる。本当にひやっとした。自分には1番心に残るシーンだった。 そしてハルキ的でない、女性目線からの性描写もとても良かった!!(笑)
0投稿日: 2025.04.29
powered by ブクログ3話目を読み終わった時に、これ以上読めない(いい意味で)と思い、一回本を置いた。それくらい吸引力というか自分の暗い深い部分を引きずり出される感覚。
0投稿日: 2025.04.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
〈ストロングゼロ〉 鬱。鬱鬱鬱鬱鬱鬱。いや終わり方えっぐ!救いようがない、救い方が分からない。 ミナ、一生懸命だった仕事もユキのお世話(軽い介護って言ってもいいんじゃないか)のせいで疲れ果てて酒に走ってそれで失った。吉崎さんに「桝本さん、酒臭いよ」って言われた時の衝撃。(こんなに飲んでて酒臭くないのかなって思ってたけどやっぱそうだったんだ。)てかいつから。職場でもそう思われてたのかも。ユキから解放されたから、やっと仕事も恋愛も打ち込めるのかなとか思うけど、ミナもう鬱だから多分無理かも。一回実家帰った方がいいよ。 〈デバッガー〉 バグね…。彼と同年代くらいの若い時の自分と今の年を重ねた自分を比べて、見た目で変化した箇所をバグと呼んでいるんだよね?それはバグではなくて積んだ経験や過ぎた時間の証なだけだと思ったけれど…。とっても素敵な彼氏だったように思うけど、主人公のバグという捉え方とか、見た目をすごく気にしてしまって大山くんの優しさを素直に受け入れられないところとか、全て総合して、今の2人は別れて正解だったかもしれないね。 〈コンスキエンティア〉 あ、もしかして最後、原田さんとも不倫なさる感じですか?︎^_^ 茜音モテるなあ。美人さんなんだろうな。男見る目ないけど。奏にも龍太にも旦那にも全員とふわふわ関係もってる。「このままでいいと思ってない」とか「ずっと一緒にいたいと思ってるよ」とか、不倫してる側が一生離婚しないのに言う常套句だよね。茜音って良心とかないんか。自分意外どうでもいいんか。救ってるように見せて核まで踏み込まないし、だから救いきれないし。まあ相手もそれを望んでいるのか。う〜ん共感し難い。旦那のコンスキエンティアの説明がめちゃくちゃしっくりきた。さすが茜音の旦那。妻のことよく分かってるねって感じだ。 でも旦那とは「好きだー!ってブルドーザーみたいに結婚した」んだよね?それなのにこんなに冷え切ることもあるんだね。人間関係に永遠は無いんだと肝に銘じておきます。 〈アンソーシャルディスタンス〉 幸せな人達が不幸せをしてる話だった。 逆かな?不幸せな人が幸せしてる話か。うーんやっぱり私は前者な気がする。まあ本の中の人は他人だから…幸せに見えてもその人自身は不幸せに感じていたら不幸せだし…? エロ描写が多くて、つまりマイナス距離で、アンソーシャルディスタンスでした。笑 〈テクノブレイク〉 コロナで別れた人って多いよね…。 大共感した文章があって“エロには後先考えない盲目的な部分があるからエロいのであって、事の前にあれしてこれしてっていうのはその反対。「ゴム付けて」って言えない女の子がいるのもそういうことだ。”(もう本が手元にないのでニュアンスですが)みたいなところ…。そうなんだよわかる!と思ったしコロナの時はそこが大事な人とそうでない人がわかりやすく分かれたよな…。あとそれゆえそういう雰囲気も全体的に見て減ったというか。 だから主人公ちょっとかわいそうだったな。 全部コロナのせいだね!! 〈総じて〉 鬱な内容でした。 人に見せないような奥の部分も解読して解説してくれているような。自分だけ黒いんじゃないんだってちょっと安心できるかも。
2投稿日: 2025.04.15
powered by ブクログ人は辛い経験や環境を乗り越えるために、時に他人には理解できない行動もするんだなと感じた。ただ、その善し悪しを第三者がジャッチしてはいけないし、乗り越えるかどうかは本人次第だと思った。
2投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログ5編からなる短編集 どの短編も、ほぼ主人公の一人称で語られており、危なかしくて、ハラハラする。 だからついつい読んでしまう。 どの主人公も、いろいろなパターンで落ちるところまで落ちてゆく。 文章が本当に上手くて、言葉選びは絶妙。 ☆ストロングゼロ☆ 鬱病の彼に振り回され、はけ口にストロングゼロを飲み続け、仕事中も容器を移して飲みまくり、仕事もままならなくなる。 ☆デバッガー☆ 同じ会社の10歳年下の彼に、間近で顔を見られる事を気にして、整形依存に走る。 ☆コンスキエンティア☆ 夫とうまくゆかず、不倫を繰り返すがどの相手にも納得がいかない。 ☆アンソーシャルディスタンス☆ 生きているのが辛い大学生。 自分を好きな彼を道連れにしようとするが… ☆テクノブレイク☆ コロナ禍、自分の思うように、手洗い、マスク、消毒をしてくれない為に、上手くいかなくなった彼の位置情報見続けている、セックス依存の主人公。 この本を読んでみたいと思ったキッカケは、 山本文緒さんの「無人島のふたり」を読んでいた時、 「もう直ぐ死ぬとわかっていても、読みかけの本が気になって読んだ。金原ひとみさんのアンソーシャルディスタンスは、死ぬ事を忘れるほど面白い。」 とあったから、いつか、とずっと思っていた。 自分とは全く違う世界の人々…… と思いたいけど、ほんとにそうだろうか。
27投稿日: 2025.03.15
powered by ブクログ様々なストレスにより、何かに依存していく女性を描く五編。 読んでいる間は苦しいし、 社会通念上、幸せやまともと言える状態じゃないけど なんとなく突き抜けたような爽快感を憶えてしまうラストが多かった。 これが朝井リョウさんが解説で言うところの「とにかくキマる!」なのかな。 表題作の2人の厭世観のようなものに少し共感できた。
6投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログ登場人物の誰にも共感出来なかったけど、奈落の底に落ちていくようなドロドロの依存の行末が気になってグイグイ読める。 欲望に溺れ狂気じみていくのが痛々しいけど、メンヘラ的なこういう感じ結構好み。
2投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログ2025.1.31 読了 あぁ〜。大好きだ。正直、デバッガー以外共感出来なかったんだけど、共感とかどうでもよくて。 痛くて、絶望的で、、なんて気持ち良い作品なんだろうか! 唯一共感出来たデバッガーでは、老いへの恐怖に首ブンブン振ってた!
6投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログ2021年 『谷崎潤一郎賞』受賞作品 5編からなる短編集。 金原ひとみさんの作品は本書が初読みでした。 帯にも書いてあるように、 整形や不倫、共依存とアルコール依存に性的依存… 内容はとても生々しく、読んでいて辛い場面もあったが、どのお話も現実味のある物語でとても読みやすかった。 「ストロングゼロ」「コンスキエンティア」は、 読みながら あー!⤴︎︎あぁ!⤵ ︎⤵︎ ︎うわあ…なんでぇ⤵︎ ︎ と感情に揺さぶられ、自分の心の中の感情と本書と会話してしまうほど没頭して読みました。 「デバッカー」はただただ切なくなり… 「テクノブレイク」は内容がスっと入ってきて 主人公の気持ちが分かる部分だったり、現実にありそうなお話だと思った。 どのお話も好きだけど個人的に、 「デバッカー」「アンソーシャル ディスタンス」が好み
9投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログまさに「イマドキ」な生きざま! 相手を傷つけないように嫌われないように 人との距離感にびくつきながら生きる感じ そして突然コップの水が溢れ出す感じ
11投稿日: 2025.01.12
powered by ブクログ自己肯定感が低い主人公達に共感しつつ、生きることがままならない人生っていろんなパターンあるよなーって思ったり。短編集みたいな感じなので、それぞれ重いんだけど読み切れた。読了後はざらっとした感覚だった。朝井リョウとかと似ているかも。金原ひとみさんは蛇とピアスで華々しくデビューされて話題になってイメージで食わず嫌いだったのかもしれない。他の作品も読んでみたい。
0投稿日: 2024.12.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
コロナ禍の話が1番私に近かったかも。恥 結構、性描写が露骨なので大分読み飛ばした。 自分の楽しみ(欲)のために嫌な事(社会的にさせられること、やらなあかんこと、やりたくないけど無我の境地でしたこと)を無理して頑張ったのに、その楽しみが無くなってしまい、パリンと心が壊れたりピンと張っていた糸が切れたような感覚に陥るっていうのが今回の短編集の共通項のひとつ、なんだけど、コレ分かりみが過ぎる!! 一個一個積み上げてきた、と思ってたのに、今までやってきたことに意味は無かったのかな、とかがやるせなさ、に繋がるのかな。 鬱っぽさ。もテーマ。そして、その原因もはっきりせず、なんかなのも、なんか分かる!言語化してしまえないまんまなのが更に頷く要素。 逆にえ?なのはアウトゾーンにいっちゃうというか、モラル内に全然とどまれてなくて逸脱しないと生きてけない、とかダメな人に優しくしちゃう、とか連絡取り続けちゃうところ。現実じゃありえない。 なんかね、生きづらさ、をハツラツと書いてて、でもそんなダメなやつを自愛するでもなく流されちゃってるんです、でも終わりにしないといけないの分かってて。ただそこまで執着して行き着いた先に待ってるのは他人に迷惑かけてないし、罰せられるようなこともしてないよね。で、話が終わるのが、正しさを読者に押しつけてなくてほぉ、てなった。作家として10代の頃から活動されていたら上から物を言いたくなりそうなものなのに、そういう説教めいたものを感じないのが凄いところだと思う。 すがるってあんまり分かんなかったけど、こういうことかー。私だいぶ旦那さんにすがった発言日常的にかましてるけど、こう客観的に読むと、自身のことが白けてくるなーってなった。
0投稿日: 2024.12.19
powered by ブクログどの登場人物たちにも共感できるところがある。アンソーシャルディスタンスが個人的に刺さった。厭世的でいながら、抗うほどの燃料も積んでない、生きているのか死んでいるのか分からなくてそんな自分が嫌いで。それでも生きなきゃいけなくて辛いなー。 自分のことが嫌いだとか、死にたいみたいな気持ちを著者は否定しないし、肯定もしない。読んでる時は心がザワザワしてすごく苦しいけど1番救われる。めちゃくちゃ面白かった!
1投稿日: 2024.12.15
powered by ブクログコロナ禍の不安を思い出した。独特な本だなぁ。 ものの捉え方とか人と違うんだろうな、金原さん。他の本も読んでみたいな。オススメ教えて下さい。
9投稿日: 2024.11.20
powered by ブクログそうそうそうそう、これこれ。 こういう極端でじわじわと悪い方向へどんどんどんどん進んで出口が見えなくなって救いようのないような作品、大好きなんだな。中庸とか、平衡とか、バランスとか、効率とか、要領良くとか、出来ればそうありたいところではあるけれど、私が本当に本当に大好きなのは、極端であること。 本当に人に勧められないような、自分で何でこれがいいんだろうと思っていてもどうしてもたまらなく欲してしまうのは、こういう作品なんだよな。 どうしてそんなに悪い方向にしか考えられないの?どうしてそんなに依存してしまうの?どうしてそんなに過剰なの?よくないよくないよくないよくないよ……悪循環だよ、とハラハラしながら読み進める。こういった作品がたまらなく好きな自分は一体何だ? でもいいもん。少なくとも一人、朝井リョウはこんなズブズブのいけすかない作品を評価している一人だし、言いたいことはほとんど朝井リョウが解説で言語化してくれてるんだから、いいもん。
11投稿日: 2024.11.17
powered by ブクログ著者の作品はなぜか初読だったけど、とてもよかった。 特に「ストロングゼロ」「デバッガー」の2作。 主人公の女目線で、生きづらい現代を描いてる。 著者は現代の無頼派作家と言えるんじゃないかな。 妄想キャスティング 「ストロングゼロ」 桝本美奈(私) 夏帆 彼氏 行成 藤ヶ谷太輔(暫定) 行成はもう少しカラッポっぽい人がいいかも。 読みながら「私(美奈)」は頭の中で夏帆さんがしゃべってた。
1投稿日: 2024.11.11
powered by ブクログ金原ひとみさんの小説を初めて読んでみた。 朝井リョウさんの言うとおり、とてもキマッた!! ストロングゼロ、不倫、美容整形、セックス、希死念慮等々、あらゆるものに溺れていく女性が主人公である短編が5つ入っていた。 みんな溺れていくことで生活にとんでもない支障をきたしているのに、そこから抜け出せないし、抜け出せない状態自体をどこか心地よく感じている部分もあり、こちらとしても読みながら脳が痺れる感覚がありました。 完全に共感できるわけではないですが、なんとなく分からなくもない、といったところです。 男の自分でもとても痺れましたが、女性にならもっと響いているかもしれないです。 一番好きだったのは、「アンソーシャルディスタンス」でした。
16投稿日: 2024.11.02
powered by ブクログ中編5作品。仕事中にストロングゼロを飲むその名もストロングゼロって話が読みたくて買ってみた。面白かったが読むのに大変疲弊する一冊だった。読んでてヒリヒリと痛いんだよね。心が。登場人物たちの赤裸々すぎる行動や心情の描写がめちゃくちゃ痛い。巧みすぎる。しかし後半のセックスばかりしてるカップルの会話や思考が高度すぎて違和感がとても強かったな。乖離とか擬態というのが一つのテーマになってたけど、なんとなくそれが陳腐に感じもした。だってそうしてない人なんているかよ?って話なんだけど、作中には全く乖離がなくてむしろモンスターだって言う人物も出てきて面白い視点だと思った。最も過激で最も抵抗を感じたのがラストのテクノブレイクなんだけど、抵抗を感じながらも最も強い共感を覚えた描写が出てきたのもこれだった。セックスがエンターテイメントだって言うのは一理ある。読者の心をざわつかせるのが金原ひとみはとってもうまい。しかし彼氏が鬱になる描写連続したり過剰とも言えるセックス描写が連続したりと作者の当時の心境を邪推しそうになったな。
1投稿日: 2024.10.22
powered by ブクログ何かに溺れる女性たち。読んでいて辛い…彼女たちに少しでも明るい未来を歩んでほしいと祈りながら読むも、日を追うごとにのめり込み悪化していく。 どのように終結するんだろう?そこが気になりよみ進める感じ。
0投稿日: 2024.10.13
powered by ブクログ退廃的なというのか、それからあのコロナ禍の異様な空気は共感できるような感じで書かれていたように思う。 結構大人な自分ですが、大人の恋愛物語だなというか、今どきの物語なのか、そもそもそれがメインでもないのかもしれない、共感とかはゼロだった。(そもそもこんなに他人を惹きつける“普通”の女性がいるのかな?) 短編で読みやすかった。 少し今が嫌になった。
5投稿日: 2024.10.10
powered by ブクログ朝井リョウさんが推薦しており、女性をメインに描いた短編集ということで非常に興味があり手に取りました。 結論から言うと非常に面白い本でした。個人的にはストロングゼロとテクノブレイクが好きです。 性行為と激辛料理に溺れる様をもちろん官能的に描写するだけでなくどこか哲学的なそんな考え方が多く、一人称視点で構成される本書は非常に魅力的でした。
0投稿日: 2024.09.16
powered by ブクログ金原さんの女視点→セックス→哲学みたいなものが本当に癖に刺さる。 話題になっていたストロングゼロが気になって購入。しかし、テクノブレイクに一番惹かれた。 テクノブレイク、自己嫌悪と1人で過ごしている時の偏った視点と急に俯瞰になる感じの解像度が高すぎて深くのめり込んでしまった。
0投稿日: 2024.09.05
powered by ブクログ文章とストーリーが噛み合っていないような印象を持った。全部読んだけど読みながら若干不愉快だったかもしれない。おもしろくなかった。 前半3編はどれも似ていた。主人公の女性たちが本当にバカに見えた。しかもバカであることをほのかに自分で自覚しているあたりがちょっと気持ち悪かった。 強いて言うなら「アンソーシャル ディスタンス」が一番さらさらと読めた。
1投稿日: 2024.08.19
powered by ブクログ24/08/15読了 4編とも怖かった。誰とも友だちにはなれる気はしないし近くにいたら軽蔑しそう、なのに欲求はわかるし自分と何が違うのかとも思う。自分に対する嫌悪感も湧き上がってきてしまい、怖かった。
0投稿日: 2024.08.16
powered by ブクログ朝井リョウ氏による文庫解説が好評とのこと、読んでみたいと願っていた一冊。朝井氏曰く「オリンピック新競技“文庫解説”」ですって‼︎ パリ五輪の最中にね、五輪とか新競技とか、そんな記述など知り得ない、予想だにすらすることなく、この本を手にした“偶然”、この手の偶然みたいなことって、じつは僕にはありがちで、軽々しくも“運命”だなんて言葉でもって話題にする機会も時々ある。現在の僕は、これまでにないペースで読書を続けている。筋金入りの読書家の皆様方から御覧になれば、僕のごときの読書量など取るに足らないものではございましょうが、そんな僕ですら読書を通じて“偶然”や“運命”など、見出すたびに読書の奥深さの一端に触れた気持ちになります。 読書って、ほんとうに面白い。 “現在”というのは、どれくらいの鮮度を示すのだろうか。記憶に新しい、これくらいの過去は“現在”に含まれるのかな。それともすでに過去は、時を経ると同時に過去なのだろうか。厳密には過去であるに違いないのだろうけれども“過去”と割り切るには生々し過ぎるパンデミックを連想させるタイトル、それでも“現在”、現時点では?言われてみれば、ああそうだった程度の認識しか、もう僕には残っていなくて、いささか軽薄では、と自戒の念がふと浮かんだ。あくまでも僕は、パンデミックに関して傍観者に過ぎなかった。どうなることやら、と気を揉むこともあったけれど、切実さの度合いで言ったら、ワクチン接種の効果や意義に懐疑的だったとか、その程度しかなかった。僕には、そもそも潔癖性の傾向があり、マスク着用も消毒も抵抗が無かったし、うがい手洗いなどは、生涯における習慣だった。 ちなみに現在でもマスク着用は言うに及ばず、外出時に電車に乗る機会があるならば手袋を携行している。ニトリル素材の薄手のものではなく、軽作業向けの、比較的しっかりとした手袋を。吊り革や手すりを素手で掴むことを避けるために…余談でした。 現状ではウイルス感染云々、僕の周囲ではどんな場面でも話題にならないけれど、喉元を過ぎれば、とはいわないまでも、一時の過熱ぶりが何事も無かったように冷めていく、そんな状況を見聞きして思い出したことがある。似たような経験が過去にもあったな、と。 それは原発事故の放射能漏れの件である。 当時の僕は地元の「心配しすぎ」「騒ぎすぎ」と“まとめられた”方々と連携していた。僕は放射線云々というよりも、それら危惧に対する行政の姿勢に疑問を抱いていた。「問題無い」と一点張りの行政の応えに納得がいかなかった。低線量の長期被曝は、経験が無いことだから「問題無い」ではなく「わからない」というのが正しいと思っていた。たぶん僕の考えは間違っていなかったと今でも思っている。 原発事故は2011年で、以降現在に至るまで生活圏内における放射線被曝による直接の被害などは見聞きすることがなかったけれども、イコール「安全」ではなくて、たまたま「運が良かった」だけだった、と捉えている。自らの周囲に何ら影響が無かったのなら、それまで感じていた脅威などは鮮度を失い、じきに風化してしまう。この、いわば“時の作用”をいったい誰が責められようか。 パンデミックも、いずれこんなふうに扱われていくのだろう。すでにそんな状況に片足どころか両足を踏み込んだとすら感じる。危惧の声然り、政府の対応然り、賛同と反対の対立もまた然り、諸々まとめて無かったことにされてしまうだろう。それを望むのも人の思いだけれど、無かったことにはできない思いも、決して消し去ることができないだろう。 『アンソーシャル ディスタンス』 最後まで読んでみて、何が良くて何がダメで、なんて一向に答えが見出せないのは人の世の定めと思った。「なるようになる」とはいえ、それすら確信には至らない。おそらく人生には正解はないのだろう。きっと、それぞれの主観を根拠にした“現実”があるだけなのだ。それら“現実”に苛まれ続ける物語だった。徹底的な切実さに胸がつまった。
0投稿日: 2024.08.10
powered by ブクログキマった!!!!! 朝井リョウさんが好きで帯に名前があったから買ったけど本当に正解。 朝井リョウさんが解説を書いてる本でハズレを引いたことがない。最高。 共感できて引き込まれる文体でスラスラ読めた。 視野狭窄のおかげだ!とは解説を読むまで思えなかったけど、知っている感情が並んでて凄かった。 綺麗に現代社会の綺麗じゃない部分が表現されている気がした。 これからも大切にしていきたい1冊
0投稿日: 2024.08.08
powered by ブクログあなたは、『ソーシャル ディスタンス』を意識していますか? 『コロナ禍』初期、首相官邸・厚生労働省が掲げた”密閉・密集・密接”を避けることを謳う”三密”という言葉。そんな言葉を誰もが口にするようになる中で、私たちは人と人との間の距離感を意識するようになりました。対面で会話することさえ憚られる日々の中に、私たちは自然と人から離れることを意識するようにもなっていきました。 そして、新たに登場した『ソーシャル ディスタンス』という言葉。そんなカタカナ言葉の登場とともに、人と人とは一定の距離を置くことが当たり前のような雰囲気感がさらに高まってもいきました。私たち人間の関係性はどのようになっていくのだろう、こんな世の中がこの先ずっと永続してしまうのだろうか?鬱屈とした日々の中にあった『コロナ禍』の私たち。 さてここに、そんな『コロナ禍』真っ只中に刊行された作品があります。五つの短編から構成されたその作品の中で一人の主人公はこんなことを思います。 『蓮二と最高のセックスをするために生きていた私は、いつの間にか「マスクして!」「手を洗って!」と迫る人になってしまったのだ』。 この作品は「ソーシャル ディスタンス」が叫ばれた時代に人と人との繋がりを見る物語。距離を置くことが大切とされた時代にそんな距離感を意識する物語。そしてそれは、「アンソーシャル ディスタンス」という書名が問いかける人が人を求める想いに光を当てる物語です。 『ミナちゃんは今の彼氏と結婚するの?』、『イケメンバンドマンとの結婚なんて憧れるなー』と同僚の吉崎に言われ『彼安定した職についてないし、まだ分かんないです』、『今はただのフリーター。それにそんなイケメンじゃないよ』と答えるのは主人公の桝本美奈。『確かに彼はイケメンだ。私の彼氏はイケメン』と心の中では思う美奈は『先に社食を出ると、歩いて三分のコンビニに入りストロングのレモンを二本手に取り』ます。そんな時『スマホが震え』、『六本木の熟成肉の店行かない?』と誘う裕翔(ゆうと)の名前をトーク画面に見る美奈を『憂鬱が襲』います。『元々彼女とはうまくいってなかった』、『二股してたのは事実だし』、『彼氏と別れろとかそういうことは言わないから、辛い時とか寂しい時に使われるガス抜きでいいから…』と『裕翔が彼女と別れたと告白した時』の話に『体のいいセフレ』と公言されたと感じた美奈は、『二本目のストロングに指をかけ』、その後会社に戻ります。 場面は変わり、家に帰り『薄暗い部屋の中ベッドに潜ったままの行成(ゆきなり)と目が合った』美奈は、『忙しいの?』、『言ったでしょ。今週校了』と短い会話を交わします。『付き合い始めて二年は天にも昇るような気持ちで毎日を過ごしていた』二人でしたが、そんな日常が一年前に『狂い始め』ます。『新しく配属された女性編集長に気に入られ』た行成でしたが、『彼女いるんで』と話したことから嫌がらせを受け始めます。バイト先を解雇され、その後、『明らかな鬱状態に突入し』た行成は、『ベッドにいる時間が日増しに長くな』ります。『眠れる薬が欲しいと言う彼のために』、メンタルクリニックに赴き、『彼の症状をそっくりそのまま虚偽申告し、抗鬱剤と睡眠導入剤をもらってきた』美奈。そんな美奈はその頃から『酒量が増え始め』ます。『アル中という言葉が常に頭のどこかに存在しているのを感じながら、見て見ぬ振りをし続け』る美奈。『朝起きてまずストロングを飲み干』し、『化粧をしながら二本目のストロングを嗜』み、昼食中『あるいは戻る前にビールかストロングを飲』み…『帰宅後一分以内にストロングを開け意識が混濁するまで飲んでからベッドに入るかソファでそのまま寝付く』。朝起きてから寝るまでアルコールに溺れていく美奈は、『私がシラフでいる時間はほとんどなく、睡眠時間以外でお酒を飲んでいないのは会社にいる時間と移動時間だけと言っても過言ではなかった』という日々を送ります。『もうずっと、自分のことを把握できていない』という思いの中にいる美奈は『行成を捨てたい訳ではない、行成と別れて裕翔と付き合いたい訳ではない、二股を継続したい訳でもない、どうしてもお酒が飲みたい訳ではない』と『全て否定形』の考えに陥ってもいきます。しかし、『お酒が抜ければ、一度ゆっくりスマホもストロングもないところで自分と向き合って考えれば、自分の望み、今後の展望は見えてくるはず』と思うものの、『そんな機会は今の生活の中では完全に失われてい』るとも思います。『私がシラフでいる時間はほとんどな』いという、アルコールに溺れきった美奈の苦悩の日々が描かれていきます…という最初の短編〈ストロングゼロ〉。アルコール飲料そのまんまのタイトルがあまりな絶妙な好編でした。 “私は、もう、だめだ”、”絶望の果てに暴走する女性たちを描く鮮烈な短編集”という言葉が”不倫”、”整形”、”ストロングゼロ”といった単語と共にピンク色の本の帯に踊るこの作品。どこか暗い雰囲気が漂う表紙と絶妙な対比を見せてくれます。五つの独立した短編から構成されたこの作品は、「アンソーシャル ディスタンス」というどこかで嫌というほど聞いた言葉に似た書名がつけられています。そうです。新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策としてすっかり耳慣れた言葉『ソーシャル ディスタンス』。そう、この作品の単行本が刊行されたのは2021年5月26日です。今から振り返れば、まだまだコロナ対応に大きく振り回される日々を私たちが送っていた時期に執筆されたことがわかります。そのため、五つの短編の後半二つの短編には、『コロナ禍』どっぷりな物語が描かれていきます。しかし、一方でこの作品はそんな言葉の先頭に『アン』という否定の表現が置かれています。これは何を意味するのでしょうか?この点もとても気になります。 では、まずは後半二編に記される『コロナ禍』の表現を見てみましょう。この作品では『コロナ禍』に対する金原さんの考え方を垣間見る表現が多々登場します。まずは、なんと『コロナ』を『世間』に比喩する表現です。 『コロナは世間に似ている。人の気持ちなんてお構いなしで、自分の目的のために強大な力で他を圧倒する。免疫や抗体を持った者だけ生存を許し、それを身に付けられない人を厳しく排除していく』。 『コロナ』を語る表現多々あれど、『世間に似ている』というような視点から比喩した表現は聞いたことがありません。非常に興味深い視点であり、『コロナ』というものが当時の世相にあってどのように位置付けられていたかがよく分かります。もう一つ『コロナ』を比喩した表現を見てみましょう。 『何があっても死ぬことなんか考えないようなガサツで図太いコロナみたいな奴になって、ワクチンで絶滅させられたい。人々に恨まれて人類の知恵と努力によって淘汰されたい』。 これは凄いです。自分たちの人としての弱さを嘆く主人公の沙南と幸希。そんな思いをまさかの『コロナ』になりたいと考える先にその強さに憧れていくという場面です。最後は『コロナ禍』で散々に言われた『同調圧力』についての表現です。 『自分たちが感染源となり何の罪もない人たちを殺してしまう結果になることも怖かった。なんていう偽善を盾にして、私は万力の如き同調圧力で、自分と同じだけのことができない人たちを押しつぶし、殺してやりたいと思っていたのだ』。 これも表現としてかなり過激です。『コロナ』が厄介な病だと思ったのは”無症状者”が存在するからだったと感じます。従来、病気とは何らかの症状があってのものという考え方は基本でした。しかし、『コロナ』は症状が出ていなくても”無症状者”として、人に感染させる危険があるという考え方が登場しました。結果的にこのことが、”人に迷惑をかけてはいけない”ことを何よりも重視するこの国において、ある種”ツボにはまった”状況が生まれたのだと思います。『万力の如き同調圧力』…物凄い表現ではありますが、この主人公の叫びのような心持ち、改めてなんと恐ろしい時代だったのだろうと思います。 『コロナ禍』が過去のものとなった今から見ると只の狂人としか思えない描写が連続するこの作品ですが、あの時代この雰囲気感は決して他人事ではありませんでした。スーパーの買い物かごを持つことに抵抗感を感じたり、マスクのちょっとしたズレにヤキモキし、それが諍いの元となるなど社会全体がどうかしていたと思います。私はこの作品を『コロナ禍』が過去となった時代に読んでいますが、『コロナ禍』リアルの時代に読んだ方とは恐らく見方、感じ方が違っているとも思います。ブクログのレビューには、コロナリアルだった時代に書かれたレビューが多数並んでいますが、今読ませていただくと、その感覚の違いがよくわかります。なかなかに興味深い視点を見せてくれる作品だと思うと共に、『コロナ禍』描写の作品を多々刊行されていらっしゃる金原さんにとって『コロナ禍』は、創作意欲を掻き立てる起点でもあったのかもしれない、そう思いました。 では次に五つの短編の中から三つの短編をご紹介しましょう。 ・〈デバッガー〉: 『今日大山くんと飲むって?』、『大山くんて愛菜にとって男なの?』と同僚の優花に訊かれ『まあ、男の子じゃない?』と返すのは森川愛菜。11歳年下の24歳という大山とは、会社の取引先のおっさんの『単細胞ハラスメント』発言から愛菜が庇ってもらったことをきっかけに一緒に出かけたりするようになります。そんな中で、次第に『意識し出すと小じわや毛穴なんかが激しく気にな』りだす愛菜。そんな愛菜はやがて『皺を目立たなくさせるための美容外科施術』を『取り憑かれたように』検索しだします。『至近距離からの直視に耐えうる顔を手に入れなければ…』と『美容整形』に思いが囚われていく美奈は…。 ・〈アンソーシャル ディスタンス〉: 『もう妊婦じゃないのか』と『悲しげに笑う』彼を見るのは小嶺沙南。『私と幸希の赤ちゃんが搔爬され吸引器によって吸い取られ、死んだ』と思う沙南。場面は変わり、『おかえり、ちゃんと手洗った?』、『完全に除菌するには一分は必要よ』と母親に言われる沙南は逃れるように『二階の部屋に上がってい』きます。そして、『ベッドに横たわりスマホを見』る沙南は、内定をもらっている『HILDEからメールが届いてい』るのに気づきます。『不要な外出を控えるよう注意喚起を促す』内容を見て迫り来るコロナウイルスのことを思う沙南。そんな沙南が幸希の『旅行行こう!』という誘いの先に旅に出る様子が描かれていきます。 ・〈テクノブレイク〉: 『犯罪起きそうじゃね?』、『恋人同士で使ったら絶対浮気できなくない?』と『位置情報共有アプリ』の『ゼンリー』のことで盛り上がる面々。流れの中で『インストールした』のは芽衣。そんな芽衣は『映画や本の趣味も、激辛料理好きというところも一致してい』る蓮二と付き合っています。『全ての嫌なことのご褒美に蓮二とのセックスを設定していた』と二人の『セックス』にのめりこんでいく芽衣は、蓮二にも『ゼンリー』をすすめます。そんな中にまさかのコロナ禍が訪れます。『マスクを何箱も買い溜め狂気じみた怖がり方をするようになっていった』芽衣に対して、『戸惑いと呆れを隠さな』い蓮二のそれからが描かれていきます。 五つの短編のうち、レビュー冒頭で作品冒頭をご紹介した〈ストロングゼロ〉を含めいずれの作品も二十代から三十代の女性が主人公となり、そんな彼女たち女性視点で物語は描かれていきます。それぞれの短編は、内容紹介にある通り”絶望の果てに暴走する女性たち”という点が共通しています。いずれも金原さんの作品らしい狂気と背中合わせの内面感情を迸らせる女性が主人公として設定されているのが特徴です。一編目〈ストロングゼロ〉の主人公・美奈は、『鬱』に苦しむ同棲相手の行成の面倒を見る中に『アルコール』に溺れていきます。『まるでアルコールを求めて徘徊するゾンビみたい』とある意味冷静に自分のことを思いもする美奈ですが、 『私がシラフでいる時間はほとんどなく、睡眠時間以外でお酒を飲んでいないのは会社にいる時間と移動時間だけと言っても過言ではな』い まさに『アル中』な日々を送ります。この作品に見られる美奈の『アルコール』への依存を示す描写のリアルさには『アルコール』の恐ろしさが強いインパクトをもって伝わってきます。また、強いインパクトという意味では二編目〈デバッガー〉の主人公・森川愛菜がのめり込んでいく世界も負けてはいません。 『ここ数年の画像に残る私は明らかに二十代の頃と違う輪郭をしている。体重は変わっていないのに顔が変わるということは、やはり加齢でしかないはずだ』 そんな思いの先に14歳年下の大山と付き合う日々を送る愛菜は『美容整形』にのめり込んでいきます。 『こうして人は美容整形に溺れていくのか』。 そんな思いの先に後戻り出来なくなっていく愛菜を描く物語は『美容整形』の世界のリアルをこれでもか!と読者に晒していきます。そして、この作品の大きな特徴は後半の二編に突如『コロナ禍』の描写が現れることです。二編とも『コロナ禍』初期の世の中を描いていますが、最後の短編〈テクノブレイク〉に描かれる主人公・芽衣はそんな『コロナ禍』を象徴したような存在です。『映画や本の趣味も、激辛料理好きというところも一致』という蓮二を恋人とし、セックス漬けといって良い日々を過ごしていた主人公の芽以ですが、二人の関係は『コロナ禍』によって大きな変化を迎えます。 『蓮二と最高のセックスをするために生きていた私は、いつの間にか「マスクして!」「手を洗って!」と迫る人になってしまったのだ』。 『コロナ禍』は、人による感じ方の違い、もしくは、人の性格の違いが顕著に現れた時代だったと思います。『コロナ危険厨』という言葉で呼ばれる人々の登場。しかし、それを見て『未知のものを怖がる人を笑うのは良くない』と言う芽に対して『でもあれは滑稽だよ』と苦笑する蓮二。『コロナ禍』はそれまで深い繋がり合いの中にあった人たちを分断する起点を作っていくものでもありました。 “コロナは未知のものだったので、特に人間の弱いところや嫌なところが剥き出しになった瞬間だったと思います” 作者の金原さんは『コロナ禍』初期の状況をこんな風に語られます。未知のものに触れる時の人の反応とそこに生まれる感情はまさしくその通りだと思います。金原さんはそんな『コロナ禍』の中にこの作品を執筆することにした経緯をこんな風に語られます。 “コロナに対する反応は人それぞれでものすごく差があることに驚きと興味を抱いていました…人間ってここまで両極端でいろいろな反応があるんだという発見がありました。それは小説が今、言わなきゃいけないことだと思いました” とても強い説得力を感じる金原さんの言葉。『コロナ禍』には”巣篭もり需要”という言葉も生まれ、それまで読書に関心のなかった方の中にも読書を始めたという方はたくさんいらっしゃると思います。その代表格がかく言う私・さてさてだと思います。生まれてこの方、本というものを真面目に読んだことのなかった私ですが、『コロナ禍』直前の2019年12月に、ふと始めた読書&レビューの日々がここまで続いたのは間違いなく『コロナ禍』あってのことです。そんな日々の中には、『コロナ禍』に刊行されているにも関わらずそんなものがまるでないかの如く書かれた作品も目にしてきました。このあたりは作家さんのお考えの違いもあり何が正解とも言い切れないものがあります。そんな中でこの作品を皮切りに『コロナ禍』を舞台にした作品を多々発表されていかれた金原さん。そんな金原さんは『ソーシャル ディスタンス』という人と人との距離が叫ばれた時代にあって、敢えて「アンソーシャル ディスタンス」という言葉を書名に掲げてこの作品を刊行されました。そんな作品の中で”絶望に溺れ、必死にもがく”女性たちの姿が赤裸々に描かれていくこの作品。そこには、『コロナ禍』であっても失われることのない、失われてはいけない、人と人との繋がりの大切さを見る物語が描かれていたのだと思います。 『コロナに関する意見の食い違いは、その芽衣の自己中心的な資質を浮き彫りにした』。 2020年に突如世界を襲った『コロナ禍』。この作品では、人と人との距離をとることが求められる時代にあって、敢えて人との距離間の大切さを見る五つの物語が描かれていました。『コロナ禍』に対する金原さんの思いを具に見るこの作品。”絶望の果てに暴走”した五人の女性の深い苦悩のリアルな描写に驚くこの作品。 読者の心に突き刺さってくるような筆致の中に、金原さんの魅力を改めて感じる素晴らしい作品でした。
254投稿日: 2024.07.13
powered by ブクログ2、3年前だろうか。職場の同僚が「最近出勤時間にストロング缶を飲みながら歩いている女性とすれ違うんだけど、大丈夫かなあの人・・・」と漏らしていて、それってどういう状況?!と思っていたのだが、「ストロングゼロ」の主人公がまさにそんな感じで、現実とクロスオーバーした。 どの話も女性が中心だが、男女の配役が逆だったらどうだったんだろう?と考えて2度楽しめた!
0投稿日: 2024.07.07
powered by ブクログ(ストロング) イケメンで大好きだった彼氏が鬱病を患い引きこもり、それに加えて仕事のストレス、セフレとの怠惰な関係の閉塞感が相まってアル中へと移行させてしまった。 周りの物事に否定的で、いつも自分が被害者な主人公の目線で綴られる言葉は、アルコール臭さを孕んでいるようで湿っぽく、重たい。 締切を忘れたり、約束を反故にするなど仕事に影響するほど酒を飲み、ついには仕事中にも飲んでしまう横暴ぶりには呆然としたが、アル中とはそういうものなのでしょうね。 「とりあえず酒を飲もう。それから考えればいいや」 粗大ゴミを片付けるように彼氏を追い出したあとにやってきたものとは・・・!? 随所に笑ってしまうような表現が仕込まれており、マンネリを感じず一気に読めた。 (デバッガー) 好きな男に気に入られるために手をつけはじめた整形手術が、いつしか自分の理想のための整形になり、自己肯定感どころか終わりのない自己否定感を生むスパイラルに陥っていく女性の話。 これが1番インパクトが強かった。 理想を追い求めるのは賭博中毒のようで、際限がなく、一度そのレールに乗っかるとブレーキをかけることが難しくなる。 P100 「大山くんの存在がきっかけで、私はバグだらけの人間になってしまった」 恋愛と美容整形との関連は深い。 もはやそれなしでは相手に会えない状況になっているなら、それはもう依存だ。 全体的に言えることだが、性描写が多すぎる。 しかも、表現がやけに具体的で、時にグロい。 若者の現状を描くには最適だったのかもしれないが、読むにつれて辟易する一方だった。 不必要な文章が多かった、という読後感。
0投稿日: 2024.07.07
powered by ブクログああ、そうか。 私もうつ病で苦しんでいる時に、自分目線の物語を記録して、一人称視点で描いてみたかった。
0投稿日: 2024.07.05
powered by ブクログ「私が予測していなかっただけで、今の彼だって百パーセント彼なのだ。今ああして浮き彫りになった彼は、彼の内面そのもので、私はそれを『治したい』と思っている』。私の好きな彼は失われた。でも私の好きでない彼もまた彼」 「未来に仮押さえしていた数々の予定が全てキャンセルになって、その時間分の空白がどっしりと目の前に構えて行く手を阻まれているようだった。」
0投稿日: 2024.07.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
朝井リョウや山本文緒の評に「たしかに!」と思って頷いてしまう 依存って恐ろしいな それにしてもこの人の作品を読むと知らない言葉を覚えるのだ 今回は希死念慮 コロナ禍をリアルに描写 だんだんみんな感覚麻痺していくからこういうの読むと思い出させられる アンソーシャルディスタンスのお母さんみたいになってたな自分と思ってゲンナリした
0投稿日: 2024.06.29
powered by ブクログコーヒーを飲んでいるフリをしてストロングゼロは流石に引いてしまうけど、世の中にはそういうので救われている人もいるのかなぁと。私は至って凡人だなと思って安堵した。
0投稿日: 2024.06.10
powered by ブクログコロナ禍とコロナ後と。それが文学にどう影響するのか。それは震災前と震災後にも界隈で議題の一つにあがったテーマだったと記憶している。いつだって、人の心に傷跡を残す出来事は起きる。それをスルーするかむきあうかは人それぞれではあるが。金原さんは不器用なまでにむきあっている気がしなくもない。情緒不安定な彼女たちは恋愛に執着しすぎな気がするし、そこに共感はし難いけれど。自分の中にもそういう一面は確かにあって、ここまで言語化されると自分ごとのように思える瞬間はあった。
0投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログ初めて金原ひとみを読む。 山本文緒が「死ぬことを忘れるくらい面白い」と言っていたが納得でしかない。 死ぬほど面白かった。 最終章がテクノブレイクなのは草。センス良すぎ。
0投稿日: 2024.06.03
powered by ブクログこれはイカれてる。 メンヘラ女子の転落ぶりが章が進むごとに加速していく。 怖いもの見たさ的に読んでしまうが、結局なんだったんだろうかという読了感。
7投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログ全編通して、とてもしんどかった。確実にこういう話はありえるからこそすごくズーンとくる作品だった。ただ、それぞれ必死に生きているのも痛いほどよくわかるし心情の表現が好みで読んでよかったと思う。表題ともなったアンソーシャルディスタンスが個人的に好きだった。
0投稿日: 2024.05.16
powered by ブクログ【購入動機】 故・山本文緒さんの最期のエッセイで「アンソーシャルディスタンスを読んだ。死ぬことを忘れるくらい面白かった」とあり、文庫化された際にはぜったいに買おうと思って購入。 【ざっくり概要】 なんらかの要因で退廃的な生活を送る女性たちを描いた短編集。 【よかった点】 一作目の『ストロング・ゼロ』という作品がめちゃくちゃよかった。主人公がどんどん追い詰められていく展開にはハラハラしたし、オチもめちゃくちゃ皮肉が効いていて、主人公的にはどん底の状態に陥るわけだけど、読み手としてはなぜか爽快感あった。 あと金原ひとみさんの文章はやや読みにくくて苦手だったが、本作についてはすっきりとした文体と書かれていて◯。 【イマイチな点】 浮気や不倫、ちょっとハードな性行などなど、金原ひとみさんの作品に登場する女性は性におおらかな人物が多く、それ自体はべつに悪いことではないのだけど、同じタイプの登場人物が多かったかなという印象。もうすこし登場人物のバリエーションがあるとよかったかなと思った。 【どんな人にオススメできるか】 純文学好きで、登場人物たちの退廃的な雰囲気の作品が好きな人。
0投稿日: 2024.05.14
powered by ブクログコロナ禍で生活様式が一変し、今までと同じように人と距離感を保てなくなるとそこには独特の寂しさややるせ無さ、怒り、嘆きが自然と発生する。この作品はアルコール中毒、整形依存、男依存、心中など、当事者からの強烈なな悲鳴が聞こえてくる。綺麗事一切なしの書きっぷりに魅了されるとともに、死生や性を余す事なく表現する著者の感性に何度揺さぶられたか分からない。5篇の短編小説を通して見えてくるものは、圧倒的なリアリティだと思いました。
1投稿日: 2024.05.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『テクノブレイク』が面白すぎる。コロナ禍の神経質さに絡む狂気。母親へのスタンプ5回送信。ゴキブリの出現。プルダックポックンミョン連呼しすぎ。ぶっ飛びすぎて笑うしかない。小説を読みながら爆笑したのは初めてかも。最後は切ない。 #金原ひとみ #プルダックポックンミョン
1投稿日: 2024.05.12
powered by ブクログ読売新聞の書評を読んで購入。恥ずかしながら初めての金原ひとみ。 心を病んだ恋人との生活に耐えきれず、高アルコール飲料に依存する女性・・・ 十歳年下の彼氏の肌の若さに当てられ、整形沼へ走る女性・・・ 夫から逃げだしたのに、今度は不倫相手に振り回される女性・・・ 生き甲斐だった推しのライブが中止になり、彼氏と豪遊の心中旅行に繰り出す女性・・・ 恋人と会えない孤独の日々の中、性欲と激辛欲が荒ぶる女性・・・ コロナ禍の女性を描く5つの短編が納められています。 かなり抉られる感覚の5編ですが・・・イマイチ夢中になれませんでした。私がオジサンだから??(^_^;)
1投稿日: 2024.04.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
朝井リョウみたいな鋭さがあるな、と思ったら解説を朝井リョウが書いてくれてて嬉しかった。どれも共感できるライフスタイルでは無いけれど、説得力がある。そうなるのは避けられなかったな、と思わせられる。
0投稿日: 2024.04.17
powered by ブクログ頭を使わず人のゴシップを楽しむような感覚で読める本。なんとも希望のない未来の見せる終わり方が記憶に残った。
0投稿日: 2024.04.17
powered by ブクログくらった!短編集だけどどの話もずっしりカロリー高め!でもサクサク読める。もう一度落ち着いて読んでから感想かく
6投稿日: 2024.04.17
powered by ブクログ朝井リョウ氏のあとがきに「面白かった、感動した等という感想ではなく、ただただすごいものが通り過ぎていった、そう思わせてくれる」とあって、なんて言い得て妙なんだ、と感心してしまった。 5編の短編はいずれも主人公が何かに中毒のようにハマっていく。精神が崩壊して依存するのか、依存し始めたゆえに精神が崩壊するのか。 その狂気と彼女たちの絶叫が聞こえてくるかのような臨場感に、それこそ、ただただすごいものを読んだ、という気がする。
0投稿日: 2024.03.28
powered by ブクログ連続20回以上自慰行為して死亡した少年がいるらしい←テクノブレイク 女性には限界が無いのだろう‥‥生々しい。
0投稿日: 2024.03.23
powered by ブクログコロナ禍における非日常にある日常。生きづらい閉塞感を抱えた登場人物たちが描かれる。氏のお得意の作風と個人的に出てくる人達がビッチであるのは、見ていて痛々しくもあり、清々しくも写った。とりわけ第一話のストロングゼロは気持ち良いくらいにストロングゼロを摂取して、プルタブを開ける音、飲み干した空き缶の音が溜まっていき、共鳴し合う様まで聴こえてくる。あいも変わらず罵詈雑言、ビッチ100%の吐露に心地よい共感を感じ、ディストピアに生きる純粋な愛の物語を味わった。5つの話どれも好きだ。
11投稿日: 2024.03.18
powered by ブクログ全五篇の短編集。ストロングゼロ、デバッガー、コンスキエンティア、アンソーシャルディスタンス、テクノブレイク。 タイトルからして、時代を、今を、反映した五篇。舞台設定のリアルさよ。 いつからかのボタンのかけ違いで何かがズレ始める。そして流されるように進んでいく。全編多種多様の息苦しさを感じる。締めの少しのゆるさが多少の希望といえばそうかもしれない。 息苦しさ、虚無感、絶望感。舞台設定はリアリティそのもの。だがなんだか一枚薄皮が掛かっている。逆にリアリティが強過ぎるせいなのかもしれない。 なににどれだけ絶望しようと、どれだけ足掻こうが足掻かまいが、どうであろうと明日は来る。来てしまう。良くも悪くも…そんな事を思った。
4投稿日: 2024.03.11
powered by ブクログ人間って、進化しているようで、いつまでたっても全然孤独で全然寂しくて、めちゃくちゃ暇でどうしようもないことばっかり考える。そんなどうしようもない部分にいろんなシチュエーションで光を当てた。短編小説集。
1投稿日: 2024.03.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
持ち歩くように文庫も購入 そうなんだよ! 金原文学は読んでいる時、 目の前がパチパチとスパークすんだよな! と朝井リョウの解説を読んで思った 朝井さんの意地悪でユーモラスな文章も好きなんだよな 再読後 初めて読んだ時、お守りのように感じた、 コロナ禍での自分では言語化できない感情はこういうことだったんだなと漠然と思え、謎の安心は 特にアンソーシャルディスタンスとテクノブレイクにあった アンソーシャルディスタンス 大学、就活生という、自分がコロナ禍に直面したときの年代と丸かぶりだからかもしれないが、コロナと言う先の見えない不安、そこに重なる自分の先の見えない将来、そして希望としていた音楽ライブをはじめとする文化の停滞とそれに対する補償をしない政府への怒り。さらにはこうきのお母さんで表現されるように、周りを過剰に伺いながら生活しなくてはいけなかったあの時。テクノブレイクにもつながるかもしれないけど、SNSとかで繋がりやすくはあるものの、それが監視にも繋がり、また自分も監視をしてしまうような息苦しさ。 なんか全部がもうどうでも良くなってた。 そんな感情があってもいいんだって。 それがわかりあえる人が1人でもいれば生きていけるんだって。そんなふうに思えたのかな。 テクノブレイク 自分は結構過剰にコロナに反応してた人間で、 でもそれは友人の影響もあって、その友人が大切だったから、合わせて過剰になっていった節はある。 作中でみなが風呂に入らなくなり、 金が減って行く恐怖からものを買わなくなって、 でも人に合わないから金使うこともないな、 なんて思ったり、それでどんどん社会と切り離されて行くところが、自分にとってコロナ禍の恐怖だったことが描かれていて、自分の当時のわからなかった感情を言語化してくれた気がした。 また呆れと馴れ合いのベタベタした関係を築いていたみたいな文章も思い当たる節があり過ぎて刺さって抜けない。痛え。 死ぬまで読む一番好きな小説
1投稿日: 2024.03.06
powered by ブクログ解説で浅井リョウ氏が、金原ひとみの魅力はその文体にあると書いていて「脳内を疾走する言葉を速度をそのままに完全再現したようなドライヴ感」だとその文体の魅力を伝えている。脳内で処理する言葉のスピードに呼応できているからこそ、作品はどんなにぶっ飛んだ設定だろうとリアリティを失わない。浅井氏が読後、「ありがとう金原ひとみ」と高揚して賛辞を述べていたが自分もそれに強く共感した。
16投稿日: 2024.03.05
powered by ブクログその時の行動はその時の正義。 そう思って読まないとダークさに飲み込まれる。 女のというより人間の嫌な部分が見れたという感じ 。
33投稿日: 2024.02.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「なんでそうなる?」「おいヤメロその選択は地獄への直通便やぞ」「そうはならんやろ」「エビデンス!科学的根拠を調べろ!君が大枚叩いてるソレは肺がやってくれてる!」「その理屈はおかしい」「少しで良いからブレーキ踏もうや」「ちょっと冷静になろ?視点がミクロすぎるからマクロに見よ?」「その発想は無かった」「あーもうめちゃくちゃだよ」 と、心の中でずっとツッコミながら読んでたから、疲れた。 しかし仕事をこなしつつ男もこなす姿には嫌味でもなんでもなく感心する。孤独感が底無しな分パワフルさも青天井。いくら自分の中の穴を埋めるためでもこんなに必死にはなれないので色んな意味で圧倒された。 コロナ絡みの話はあんまし面白く無かったから星4。もうひと掘り欲しかった。 金原ひとみさんの本はAMEBIC以来久しぶりだったけどかなり読みやすくなったなぁと感じた。 いろんなメンヘラ男が出てくるけど、一番イライラさせられたのは龍太くんかなぁ!幼稚な浅慮クンであるならばせめて、若さに任せた勢いだけは堅持してほしいところなのに不倫相手の痣を見て勃たなくなるのはお笑い草だ。痣の上書きくらいしてみせろってーの! どの男にイラッときたかをテーマに同書を読んだお友達と話したらすっごく面白い一冊だと思います。
0投稿日: 2024.02.28
powered by ブクログとにかくダークだ。 読んでいてメンタルやられっぱなしなのに 怖いもの見たさでついつい引き込まれていく…。 5編の短編で、章を追うごとに闇が濃くなっていく感。 女って強そうでいるけれど、実はとても脆くて 何かに依存してしまうと どんどん奥底に落ちて這い上がれなくなってしまう生き物だと痛感させられた。 依存と簡単に言ってしまえば あっけないけれど、 彼女たちはそれに対して心から真剣なんだとも感じ取れた。 真剣だからこそ、それを失う怖さも弱さもわかっていて、 ますます負のループが繰り返されていく。 読後、かなりの疲労感で、あぁ…ようやく読み終えた…と安堵した。
1投稿日: 2024.02.23
powered by ブクログ35歳の女の人が11個したの男の人と付き合ってから自分の老いが気になって整形やめられなくなっちゃった話がほんとにリアルで悲しくなった。好きな人ができてよく見られたい綺麗に見られたいって誰しもが思う事でそこにさらに年齢の壁がってなると辛すぎた。相手の男の子はそのままの彼女の事を好きになってるから気にしなくてもいい事なのにやっぱり気にしてしまうのが女の子で、11個も下の若い男の子と顔のアラが気になってちゃんと顔が見れなくなるのもなんかわかるなぁって。
0投稿日: 2024.02.19
powered by ブクログ5編の女性の依存症の物語を描いた短編集。 ストロングゼロ、不倫、整形、自殺願望・・・ 15年ぐらいの自分が凝縮されているみたいで、読んでいて辛くなる。 自暴自棄になってしまう時期は、誰でもあると思う。 その程度が違うぐらいで・・・ ストロングゼロを記録をなくす為に飲み続けたこともあるし、もちろんその時は仕事もまともに出来なかった。 不倫に抵抗がない時期もあった。誰も傷つけなかったら、不倫なんて・・・って思ったこともあった。 もちろん自殺願望も・・・ 美容整形だけは手を出さなかったけど、他の主人公の気持ちはちょっとだけ理解出来る。 人間誰しも器用に生きられる訳ではない。 不器用な人間がいることを、この作品を読んで知ってもらうことが出来たらいいと思う。 最後に一言。 ストロングゼロだけは、深みにはまってはいけない。
29投稿日: 2024.02.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
5編の短編すべて、依存がイタくて関わりたくない女性が主人公。整形、複数の不倫、自殺志願、激辛潔癖、そして冒頭作のアルコール… 依存するものがあってこと人生に張りがあるという側面は大いに認めるけど、病的に依存してしまう人には近づきたいない気持ちもある。その境界線はどこなのか?自分も依存しているものがあるが、人生の張りなのか病んでしまっているのか? 他人の趣味趣向…言い換えると依存するものや、そのハマり具合はその人の生き方なので、自分に被害を与えない限り勝手にさせたらいいし、俺の趣味趣向に外野は極力圧力をかけないで欲しい。大きく言えば許容力とか多様性とかいう話なんだろう。 そういえば、そういう個の多様性に大きな障害として立ちはだかったのは「コロナ」だったんだと。弱者を守るためという誰も反対しようのない大義名分で、趣味趣向、飲食ですら制限が設けられ、それだけならまだしも誰もが(は言いすぎか、イヤになるほどたくさんの人が)他人の行動を監視しイチャもんをつけ、それを正義と勘違いしていた。 コロナ直接の被害より、他人の正義感が与えた被害の方が大きかったんじゃないかという、そういう総括がそろそろ出てくるのかも知れないな。
1投稿日: 2024.02.18
powered by ブクログページいっぱいを埋めた一人称の独白のリズムとドライブ感。彼女たちの苦しみに、共感したり軽蔑したりしつつ読み進める読書体験だった。 コロナ禍、アルコール依存、ルッキズム、鬱をはじめとしたメンタルヘルス、そちらから見た世界の話。
1投稿日: 2024.02.16
powered by ブクログ5つの短編。出てくる登場人物も話も違うのに、男も女もみんなが生きることにも性的にも澱んでいて疲れた。『ストロングゼロ』はもう、職場で飲むくらいアルコールに支配されている主人公が見ていられなかった。
10投稿日: 2024.02.14
powered by ブクログ五篇とも主人公が全員痛々しい。でも、自分のとある側面の分身のような女たちばかりで、全然笑えない。何かに依存することで保てるアンバランスな均衡もある。とてもひりひりした。
4投稿日: 2024.02.13
powered by ブクログ柔らかく温かい男女の体に鋭く冷たい刃物のような気持ちや状況が切れ込んでいく感じ。 しかもその刃物を呼び寄せているのは、他ならぬ自分自身という救いのなさに「嫌」と思いつつも、どんどん読み進めてしまう。
1投稿日: 2024.02.10
powered by ブクログコロナ規制が少し緩和された、それでも感染者が膨大な数になっていた頃に発刊されて、文庫化されたら買おうと思い読んだ。 内容が都会的で密室過ぎる。 どの章も私個人とはかけ離れすぎているが、分からなくもないところが怖い。 私は田舎の准医療従事者であるため、読んでいるとき時折嫌悪感を感じたことは否めないが、それだけに引き込まれて読んだ。 もがき溺れる彼女たちには意識が飛びそうだった
2投稿日: 2024.02.09
powered by ブクログ最近は完全に金原中毒。 昔の作品よりもずいぶんと読み易くなったのは作者の年齢のせいか。 内容は相変わらずのぶっ飛んだ女性のやりたい放題だが、普通に小さな事柄で悲しんだり起こったり嫉妬したりとホッとする場面もある。 そういう部分を描くのはちょっとズルいなと思う。(笑) 関わると駄目と解ってながら離れられない女性の典型的なタイプか。 基本的な内容や描写等が同じ(マンネリとまでは言わないが本人が描きたい物が徹底してるのか)で何故か食べ物の説明が細かくて。 中毒性と言う意味では村上作品と同じような感覚。 兎に角、何だかんだで物語に引き込まれてしまうのは作者自身の持つ人間的な破壊力なんだと思う。
2投稿日: 2024.01.30
