
総合評価
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powered by ブクログ『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』を読んだときの衝撃から何年も経ち、 表紙に導かれ、手にした作者さまのエッセイとルポルタージュ 衝撃を受けた作品であればあるほど作者さまに興味を抱くんです、ワタシ 今回も佐々涼子という人にふれられて良かった 自分自身で考えつづけ、しっかりと自分自身で体験し、目を背けない だからこそ文章に力がある 佐々木涼子さんのお父さまとお母さまも素敵な方で…。 『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』はドラマ化もされましたが、書籍でぜひ読んでほしいです!!
53投稿日: 2025.10.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
エッセイは佐々涼子さんの歴史 依存症 回復には後光がある。ある日閃く 取材であった人に震災の話を「家族に言ったことのない話」を聞いた。話すことは背負わせること。家族友人でもない、仕事でもない人だけに話せること。
0投稿日: 2025.10.20
powered by ブクログ佐々木さんの本は2冊目です。 まさか不治の病にかかられて 亡くなっていたとは知りません でした。 家族、病、看取り、移民、宗教 小さな声に寄り添う事で大きな ものが見えてくる。 エッセイ、ルポルタージュを 読みながら文章にする事に きっと自身の中にも心理的葛藤 があり、関わった事への軋轢も あったのだろうと思いました。 56歳という若さでこの世を去る 命を削って作品を書き続けた人 寿命の長い短い、そこに至る病気 も様々だが、神様には人間にわかる はずもない順番があるのだろう。 亡くなられた事がとても残念です 合掌)
22投稿日: 2025.09.14
powered by ブクログ「エンド•オブ•ライフ」に次いで2冊目の佐々作品。作家として当然ながら確たる核を持ちながらも、変に自分を飾らず取り繕わず正直な姿勢がとても好ましくファンになってしまう。昨年お亡くなりになってしまったのは「エンド•オブ•ライフ」を書き上げた作者にとっては本当に何という皮肉か、大変残念。 遡って他の著作も読みたい。 以下心に残る、残したい表現の数々。 p.20 私は死に方を知らないが、きっと体は知っている。 p.27 行けない旅はどうしてこうも美しいのだろう。 p.39 亡くなりゆく人は、怒り、否認、取引、抑うつを経験しながら、やがて諦念のあとに死の受容に至る。 p.56 (筋トレ後の)新しい体は居心地が良かった。ほかの人はこんなにすがすがしく毎日を生きていたのか、と感動した p.75 自分の痛みすら思い出せないのに他人の痛みや苦しみをわかるはずがないではないか。 p.93 いくら自分の外側を探しても答えは見つからない。自分の内側に戻って自分なりの生き方を見つけよう。そう思えた時、世界を旅して、僧侶たちに言われた言葉の意味がようやく腑に落ちた。「今を生きなさい。自分の内側に戻りなさい」 p.142 少子高齢化により働き手としての外国人に頼らざるを得ない日本人が、いよいよ個人としての鎖国を解かなければならない日がやって来ることを、私たちは知っておく必要があるだろう。 p.204 社会は生産性のないものを「愚」と呼ぶが、仏教ではそれを「聖」と呼ぶ逆さまの世界だ。 p.255 「佐々さんは、絶対にこちらに戻ってきますよ」と、私をよく知っている担当編集者が言っていた。(略)私は世俗にまみれて生きるのが性に合っている。
1投稿日: 2025.09.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「エンド・オブ・ライフ」を書かれた佐々さんの最後の本。ずっと終末医療について書かれていたと思っていたが、その前におこなっていた仕事のルポルタージュ(現地報告。 社会問題などを綿密に取材して事実を客観的に叙述する)だった。 佐々さんは、日本語教師をされていた。幼いころは母がたくさん絵本を読んでくれた。そういう過去から、「エンド・オブ・ライフ」にもつながったのだなと思う。 やはり流石の文章力で、宗教を学ぶための世界放浪では、宗教の意味について深い考察と表現があった。 「いくら自分の外側を探しても答えは見つからない。自分の内側に戻って自分なりの生き方を見つけよう。そう思えた時、世界を旅して、僧侶たちに言われた言葉の意味がようやく腑に落ちた。 「今を生きなさい。自分の内側に戻りなさい」」 最後は自身の病について少しだけ触れられている。希少がんの「希」に希望を見る。「私たちは、その瞬間を生き、輝き、全力で愉しむのだ。そして満足をして帰っていく」。「ああ、楽しかった」と。
1投稿日: 2025.08.03
powered by ブクログ人を魅了するノンフィクション作品の難しさ(話を盛ったりすることは、既にノンフィクションではない)について、考えさせられました。 また、一つ一つが短いエッセイであるため、隙間時間に少しずつ読んでいくことができました。 著者は、仏教にも関心があり、実践や体験を通じて、僧侶との交流もあったようですが、いわゆる高名な僧侶についても、ありのままの視点で、痛烈な皮肉と感じる表現をされている部分があります。とても親近感が湧きました。 また、日本語学校の教師というキャリアからも、その体験や思いをつらつらと著されていますが、その現実や今後の展望についても解りやすく示されていました。 ご興味が少しでもある方は、是非読んでいただきたいです。
2投稿日: 2025.05.12
powered by ブクログノンフィクション作家、佐々涼子のエッセイ集。あとがきの翌年、2024年に亡くなった。既に病魔と闘い、死を覚悟していた時期の出版であり、読んでいて胸が痛む。人と真摯に向き合い、公私も交えてとことん取材し、命を削るように作品を仕上げていく様子が伝わる。佐々さんの作品は、読む人の心に響き、立ち止まらせ、深く思索させるものばかりだ。
2投稿日: 2025.05.02
powered by ブクログ当たり前に食べている食材に、当たり前に過ごす毎日に気づかされる本。 あとがきまで読み終えて、そうか自分は生きているんだなと改めて思う。
0投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログ前半がエッセイ、後半がルポルタージュで構成された作品集。 死生観にまつわる数々のノンフィクションを手掛けられた著者の作品集だけに、自分の知らなかった世界を垣間見ることができたし、取材先での出来事を通じて、大変な苦労や葛藤されたことが窺い知れた。 著者の死生観に寄り添うことで、掴みどころのない死に対する答えが見えてくるのか、と前のめりになって読んでみた。結局のところ、生きている限りそれは誰にも分からなくて、いくら自分の外側を探しても答えは見つからないという。自分の内側に戻ること、自分なりの生き方を見つけることが大事だと。なんだか宗教的な感覚だけど、少し腑に落ちる感じもした。 いつか迎えるであろうその日に向けて、心構えや生き方を見つめ直すきっかけになった。 また本書では『言葉』の重要性について、印象的なエピソードが幾つかあった。 外国人労働者の子どもたちが抱えるダブルリミテッド問題。この現状を打破するべく、日々戦っている日本人がいること。こんな現実があるなんて、と考えさせられた。 タイトルの『夜明けを待つ』。 理不尽なことや不条理な出来事が往々にしてある世の中だけど、日々前を向いて生きている全ての人たちにとって、夜が明けたあとに明るい未来が待っていればいいな、と思った。 あとがきの著者のメッセージ、しっかり胸に刻んで生きていこう。
52投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログ『エンドオブライフ』つながりで読んでみた。 氏の作品は、『エンジェルフライト』『紙つなげ』『エンドオブライフ』に次いで4冊目。これを書いた佐々さんはもういらっしゃらないんだなと、そんな思いを反芻しながら読み終えた。 以前、お仕事をご一緒したさる版元の編集者が、初期の頃に佐々さんとお仕事をされたそうで、『エンジェルフライト』が開高健賞を受賞したときに喜びの投稿をしていたのを読んだ。ふだんSNSをやらない彼だったが、そのうれしさがつたわってきて、編集者としてうれしい気持ちになった。 p16 「人は死に方を知っているし、家族も送り方を知っている」と在宅で看取りをする医師が言っていた。 *在宅の看取りでは無理な治療や延命を施さないので、人はスイッチが切れるようにではなく、潮が満ち、やがて引いていくように亡くなっていく。そして、残される家族も、引き裂かれるような悲しみを感じたとしても、見送り方を知っている。死別に耐えうるようにできているから人類は滅びない。この大きな悲嘆をいつか乗り越えられるように生まれついているのだ。 ↓ 父が亡くなった時、悲嘆の中で、なぜ人類はいろいろな面で発達してきているのに、この悲しみはなくならないんだろう、と考えた。それでも私は生きている。思い出すと悲しいし、さまざまな感情が湧きおこるけれど、でも生きている。すなわち耐えられた。だから人類は滅びない。本当にそうだと思う。 p45 著者は小さいころから背が高く、男子からそれをよくからかわれた。内心「これ以上背が伸びませんように」と祈っていたほど。大きいと異性に振り向いてもらえないかもと不安になった。それでうつむき気味の背の高い女性に育ってしまった。 * いったい誰の視線を気にして私たちは縮こまっていたのか。ばかばかしい。昔は体型でからかうことなどありふれたことだった。だが、それは、ひとりの女の子の背骨の形を決めてしまうほどのできごとなのだ。 ~ 背が高かろうが低かろうが、重かろうが軽かろうが、身体がのびのびといられる世の中でありますように。 ↓ 著者をお見かけしたことはないが、背が高かったそうだ。私も同様。背が高くてからかわれたり、揶揄されたり、男のようと言われたり(これは別のファクターもありそうだが)、そして著者と同様、姿勢の悪い背の高い人になった。背の高さを気にせずにいいと悟ってから、20代で3センチ伸びたほど。 人の外見をいろいろ言うのはこれほどの罪だということをみんな知るべきだし、自分も無意識でそうしていないか注意が必要。 p48 *私は父の娘でよかったと思うことがある。私は自分の文章を書く時にひとつだけ決めていることがある。それは誰かをかわいそうな人と決めつけて、そう書かないこと。それはとても表層的な見方だからだ。 p59 *悲しみは依然としてそこにある。だが、人はどんなに悲しくても、お喋りはするし、おなかもすく。声を立てて大笑いできる。どんなに大切な人を失っても一緒に死んだりしないように作られているのだ。だから人類は絶滅せずに生き延びてきた。 ↓ 繰り返し語られるこの部分。胸に刻みたい。 p68 東日本大震災の取材に入った時、たくさんの人に話を聞く中で、誰にも話さなかった、話せなかったことを聞かせてくれる人がいた。 *なぜ、私に話してくれるのだろうと、不思議でしかたがなかった。マザーテレサみたいに手を握って話を聞くわけでもないし、何か気の利いたことを言うわけでもない。終末医療の取材では、亡くなりゆく人が、私にだけ胸の内を明かすこともあった。今ならわかる気がする。近くにいる人にいえばその人にも苦しみを背負わせてしまう。 p74 30代で椎間板ヘルニアになって横浜の病院に入院した時のこと。寝ているだけで背骨が折れてしまうという高齢のご婦人と相部屋になった。 *春の夜、お吸い物に桜の形の麩が浮かんでいた。すると彼女は病室の人たちに向かって、「みんなで想像のお花見をしましょう」と呼びかける。「あら、いいわね」と別の人。私たちは、みなで想像上のお花見をした。「お花がきれいね」「そうね」と患者たち。その日の夜、どこかで散る桜を想像しながら眠りについた。あの夜のお花見は、どんな年より記憶に残っている。 p75 *退院の日、病室の皆が「もう、帰ってこないようにね」と笑顔で送ってくれた。 私は他人を描く仕事をしている。調子に乗っている時が危ない。「さもわかった風に書くなよ、佐々」と、今もあの日の私が私を戒める p109 晴れ女、晴れ男発言について。佐々氏は自分を「晴れ女」だと思っていた。仕事で同行したカメラマンに言われたことがきっかけだという。それに対して担当編集者がこう言う。 *「僕の先輩の有名な編集者がこんなことを言っていました。『仕事は、自分は運がいいと思っている人と一緒にしろ』と。佐々さんが晴れ女だというたびにその言葉を思い出します」。晴れ女とはつまり、自称「運のいい女」なのだと言いたかったのだろう。 ↓ かつていわれなき「雨女」認定をされたことがある。そこに参加するのは私だけではないはずなのに「あなたが来ると雨になる」と。そして彼女は胸を張って「私はどしゃぶりの予報が出ていたのに傘をささずにすんだことが頻繁にある」と言うのだ。自分を晴れ女、雨女と思ったことも、人のことをそう思ったこともなかった私にとって、その非難(?)は認めがたく理不尽なものだった。だけど甘んじて受け入れなくてよかったと思う。ネタとして笑えはしても、「運」という観点で見れば雨女なんて思う必要はない。お天気のことだよ、私の努力でどうなるものでもなし。 そう言っていた彼女、仕事はやめたと聞いた。自分の運の強さと共に次の場所で邁進されていることでしょう。知らんけど。 p111 *運がいいか悪いかは、無数の事実からある事象を抜き取って解釈することで熟成される。誰の上にも空は広がっている。その中から晴れの日のエピソードを記憶していれば晴れ女に、雨の日を強く印象に持てば雨女になる。 p216 隻手の音声(せきしゅのおんじょう) 白隠 両手を打ち合わせると音がする。では、片手ではどんな音がするか。 本を閉じた時、また同じ思いがわきあがった。 この本を書いた佐々さんはいない。
3投稿日: 2025.03.18
powered by ブクログ死をテーマとしたノンフィクション作家による、ルポとこれまでのエッセイをまとめている。 一つ一つのエッセイが適度な長さで読みやすい。 「エンジェルフライト」、「エンドオブライフ」を読み、他の筆者の本を読みたくて、手に取った。 エッセイからは、これまで語られなかった筆者自身のことや母を看取った父のその後の話を知ることができた。 姿勢についてのくだりには大いに共感した。 「いったい誰の視線を気にして私たちは縮こまっていたのか、ばかばかしい」 「背が高かろうが低かろうが、重かろうが軽かろうが、身体がのびのびといられる世の中でありますように。」 本の後半に差し掛かった頃、筆者は、この本で何が言いたかったのだろうと思った。ルポやエッセイの内容が雑多な印象を受けたからだ。 あとがきを読んで、軽くショックを受けた。 筆者が他界していることは知っていたが、この本をまとめるのに、そのような背景があったとは・・・。 病気について簡潔に語っていることで、かえって静かだが確実にずしりと読み手に響いてくる。 死をテーマにしてきた筆者が終末期の患者になるという状況はエンドオブライフの訪問介護師の方と重なって見える。彼と同様の立場になった時に初めて理解できることが何かあったりしたのだろうか。筆者の中で全く葛藤はなかったのだろうか。 「ああ楽しかった」でお別れしたいという筆者の言葉は、「エンドオブライフ」での「楽しく、楽しくね」という言葉(記憶が定かではないが…)を思い出す。そうやって受け継がれていくような…。 筆者が本の中で「出会う人はすべて一冊の本。表紙だけ見てもわからないが、それぞれがユニークな運命をたどっている」というその言葉のように、筆者自身の人生の物語を読み終えたような気分になった。
0投稿日: 2025.02.07
powered by ブクログ死を扱った本であるがゆえに、生きる希望を感じさせてくれる作品である。それはやはり作者が懸命に生きる人々を丁寧に描いてきたからだろう。佐々さんは「ああ、楽しかった」と最期を迎えられただろうか。そう願わずにいられない。 佐々涼子さん ありがとうございました。
2投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログ読書感想文についてのエッセイが良かった。 安全圏から離れたら、ひとは思い出すために言葉を必要とする。
0投稿日: 2025.01.08
powered by ブクログ『エンジェルフライト』『紙つなげ!』『エンド・オブ・ライフ』『ボーダー』 どの作品からも佐々さんから「生きていること」の意味が問いかけられていた。 もう彼女の声を聞くことができないのが残念でならない
1投稿日: 2025.01.08
powered by ブクログ2024年9月に希少がんのグリオーマで亡くなった佐々涼子さんのエッセイ集。 人の死や、生きていくということを色々な人を取材し作品にしてきた作者が、あとがきで、自分の人生が間も無く終わることを静かに語った上での以下の言葉が印象的だった。 「いつか私にも、希望の本当の意味がわかる日が来るだろうか。誰かが私を導き、夜明けを照らしてくれるだろうか。もし、それがあるとするなら、『長生きして幸せ』、『短いから不幸せ』、と言った安易な考え方をやめて、寿命の長短を超えた『何か』であってほしい。そう願っている。そして遺された人たちには、その限りある幸せを思う存分、かみしめてほしいのだ。」 ちょうど今観ている韓流ドラマでは、「人生は公平ではない。一生デコボコの人もいるし、必死で走った先に崖が待つ人もいる」という台詞があり、ずっと頭に残っていた。続きを観ていくと、その台詞を言った主人公が、人生を必死に走って崖から落ちた経験を持つ本人だったのだけれど、最後はヒロインに出会って幸せを取り戻すという話だった。 時に崖から落ちても、きっと誰かが導いてくれて夜明けがやってくる、そんな希望を持ちつづけたい。
14投稿日: 2024.12.08
powered by ブクログ佐々涼子さんの最期の書籍だったのですね。あとがきには2023年9月になってましたね。この一年後旅立たれたのですね。ルポルタージュの章の禅を書かれた章と中国残留孤児の話が印象に残りました。実は僕の両親は満州の引き揚げで青春を満州で過ごした人です。母は多少中国語が話せたので1990年代中国残留孤児の帰国のボランティアをしてました。二年程ボランティア活動したのですが、母は突然辞めました。生き別れた親子の再会をみるのが辛かったようです。 佐々涼子さんは希少ガンで発症して亡くなられて死生観というものをいろいろ考えられたのでしょうね。
3投稿日: 2024.12.08
powered by ブクログ死ぬこと、生きることについて考えさせられた。 世界各地の仏教の僧院に無料で泊まったりしながら、も、冷静な感覚で、自分と向き合う姿に感動を覚える。佐々さんの死生観に触れた。 もう一度読み返したい。
1投稿日: 2024.12.07
powered by ブクログやっと読んだ佐々氏の本。 エンジェルフライトを数年前読みたい、と思ったままの自分に、日々大切に生きろ!と言われた気がする… 友人で弁護士になり入管重要問題を扱っている、と言う人の話や、柿を送ってくれる東北で頑張る本屋の話、ベトナムなどアジアからの就労で来た外国人実習生へのインタビューなどは涙が出てくる。 日本語は生きるための言葉を教えないと意味がない!と。 佐々氏の本を通して仏教をみる人がいるようだ。国際霊柩送還士、東日本大震災など死生観に関わるようなノンフィクションを描くのはきっと身を削るようなところがあるのだろうか、ある日文章がかけなくなり、旅に出て各地の宗教、瞑想を求め旅をするが、ふと「旅は終わり」と感じる時が来るようだ。その感覚とても大切な気がする。 前半日経新聞に載せていたエッセイ集、後半も雑誌などに載せた話がまとめてある。エッセイの短い分からいくつも心に響く言葉があった もう新刊を読めないことがとても残念だが、まずは書かれたものを全て読みたい。 私は新しい命を前にして、なぜか濃厚に死を意識した。… ムンクはこう記している。 「我々は誕生の時に、すでに死を体験している。これから我々を待ち受けているのは、人生で最も奇妙な体験、すなわち死と呼ばれる、真の誕生である。- 一体、何に生まれるというのか?」 p. 33 ある寓話に、落とした針は落としてしまった場所で探すべきなのに、人は探しやすい場所ですばかり探していると言う話がある。人は幸福を見当違いの場所で探しがちだ。 p. 54 美容師など、家族でもなく、友人でもない、仕事相手でもない、利害関係の発声しない距離感。そう言うところにいるひとは年々大事になってくるような気がする。…通り過ぎる他人なら、言葉を託しても気が楽だ多分彼らは私を通して、なにか別のもっと大きなものと対話をしているのではないか。 p. 69 本当になくすまでは、そばにいる人がいなくなるなんて思いもしない。ありふれた言葉ですが、何気ない日々の暮らしが一番貴重です。どうか、目の前にいる人を大切にしてほしい p. 90 死についての未経験者だ。他の人の死を見て、あれこれ想像している。でもどれだけの賢者でもやはり生きている限り死などわからないと思ったら生きるのが楽になった。いくら自分の外側を探しても答えは見つからない。自分の内側に戻って自分なりの生き方を見つけよう。「今を生きなさい。自分の内側に戻りなさい」 p. 93 JITCO国際研修協力機構のHPより、外国人技能実習制度がある、1960年より始め、大企業に呼べる外国人を見て中小企業らが商工会議所や商工会が受け入れ窓口をつくったもの。 静岡県浜松市、日系南米人子弟のための学校、ムンド・デ・アレグリア ダブルリミテッドとは、日本語も母語も年齢相応の言語力に達していないことを言う 帰国子女や移民問題の一つ
2投稿日: 2024.11.21
powered by ブクログ佐々さんのノンフィクションが好きなので、通読。 前半とか、禅の話はかなりのめり込んで読んだ。ノンフィクション作家としての苦しさ、メンタルを削る感じが伝わってくる。それでも、知りたくて仕方ない、そんな気持ちだったんじゃないか。 もしかするとそのストレスで、寿命を縮められたかもしれないが、ご本人が書かれている「命は長いから価値がある、というわけではない」というところには、佐々さんだからこその実感と重みが伝わってくる。 欲を言えば、佐々さんの本をもっと読みたかった。
0投稿日: 2024.10.31
powered by ブクログ追悼を捧げます。 本人を初めて知った上に、「エンゼル・フライト」も見ていません。 でも心の叫びを読み易い、短いセンテンス、章の区切りで表すことに拠ってか、内容的に血反吐を吐くような想いのモノでもスゥ~っと心に染みました。 読んで泣く、涙が止まらないというレベルの内容ではないと心から思います。 私より一回りも若く、したいことが山積み、毎日を【楽しい】と思えるような人間が召されたことは、心よりの敬意をもって頭を下げるばかりです。
0投稿日: 2024.10.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
気になるところに付箋を貼りつつ読んでいたら付箋だらけになってしまった。 佐々さんの文章がとても染みる。以前読んだ「エンジェルフライト」や「紙つなげ!〜」がとても良かったので本作も早く手に取りたかったけれど出会えたのは亡くなられてからになってしまった。 病を得て余命が僅かであることを知ってから綴られた文とその以前からの文との陰影を感じながら読み進めた。 最初の章のエッセイはまだ余命を知る前に書かれたものなのかなと思った。 でも状況や物事の捉え方がやはり深くてとても命を意識した表現に自然となっていると思った。 p58「弔いの効用」の中の枕経のシーンで、とても悲しい場面なのにどうしてもおかしい状況が出てきてしまい堪えきれずにみんなで大爆笑してしまう場面が出てきた。そこで佐々さんは人は「どんなに大切な人を失っても一緒に死んだりはしないように作られている」大発見について書いている。 自分にも似たような経験がある。どんなに悲しくても辛くても人は笑うことができるという発見は、確実に生きる力になると私も知っている。 当たり前のようなことだけれどとても大切なことだと思うしこれを知っていると知らないでは悲しみや困難の乗り越え方が変わるだろうと思う。 他のどの章も胸が痛くなりながら読んだ。p84「ひろちゃん」は、精神科に入院している母のことを友人に話して傷つけられて以来、自分の友達たちには二度と母のことは話さないと決めた事を思い出した。 第2章からのルポ「ダブルリミテッド」にも考えさせられた。書かれた日にちを見ると10年以上前の話だけれども、今のほうがむしろ事態としてはより深刻になっているのではないかと思う。 日本語と他言語が母語であるのにどちらも話せない状況を「ダブルリミテッド」と呼ぶということを初めて知ったけれど、その状況にいる子どもは郊外に住んでいる自分も今やよく目にする。 特別支援などを受けて対応しているところもあるが学校現場は多忙すぎて手が回らず実質放置されてる子供もいるように感じることもある。教師をしている友人はそのことに一層の危機感を持っていて、早急に対応しないと今もどんどん外国人が生活の場へ入ってきているのでこのままそういう人がさらに増えていくと日本の社会が回らなくなっていくだろうと言っている。 佐々さんが10年も前に言っていたことが今現在良くなるどころかもっと深刻になっていることに憂う。 その後からの章では宗教や死生観に絡む話が続く。火葬場の灰の上に寝るシーンは、佐々さんが死に呼ばれている感じがしてきて怖くなった。読み進めると何だか呼ばれすぎていると感じる箇所が他にもあってざわざわした。その後の作品を手掛けてきたきっかけがこういう体験の数々だったのかなとも思うけれど、形にするまでは本当に心がしんどいことだったろうと想像される。 p245「人は死を目の前にするとスピリチュアルにならざるを得ない」確かに。 先日読んだ「人は死なない」もそれと同じことだろうと思った。何かを信じる信じないは別として、命のことを考えたら宗教的にものに惹かれてしまうのは性や本能のようなものなのかなと思う。 あとがきがまた染みた。2023年現在記となっているが、悪性脳腫瘍の一つグリオーマは10万人に1人の発病率で平均余命は14カ月だという。自分の親は14年前に同じ病で亡くなったがその頃とほぼ発病率も平均余命も変わってないことにショックを受ける。 佐々さんは覚悟している。あとがきから感じられる。でももっと書きたかったし生きたかったろう。自分ももっと佐々さんの書く本が読みたかった。 良い本だと思うにつけ残念だと思う気持ちが増してしまう。切ない。 読後本の装丁の空の写真がまた染みた。
11投稿日: 2024.10.23
powered by ブクログエッセイ作品集 「紙つなげ」の文章が好きで知ったライターさん 同世代なのに脳腫瘍で亡くなるなんて
0投稿日: 2024.10.23
powered by ブクログ第2章ルポタージュの日本語学校が考えさせられた。 技能実習生、看護、介護、海外からきた労働者の子供の日本語学校。日本語だけでなく母国語さえも使えなくなる現状に驚く。 「会えない旅」は会えない故に父親の心境が、彼のそれまでの苦悩と共に伝わってきた。
0投稿日: 2024.10.19
powered by ブクログエッセイに共感し、ルポルタージュでは佐々さんの取材姿勢や物事の受け取り方に感じ入りながら読み進めた最後に、ご自身の脳腫瘍のくだり。しかも余命数ヶ月という。 「誰もがいずれは通る道」「その瞬間を生き、輝き、全力で楽しむ」そして、「ああ、楽しかった」と言って別れる。 目の前に死が迫っているその瞬間にこれを言える佐々さんの、「強さ」という言葉だけでは言い表せない、人としての深さを感じた。 知らずに読み始め、慌てて調べたら、1ヶ月前の9月1日に亡くなっていた。この日は自分の誕生日。年齢もさほど変わらない。大病から命拾いした身としては、自分が今生きている事実を重く受け止めずにはおられない。他の作品も読んでみたい。
0投稿日: 2024.10.06
powered by ブクログ追悼読書 エッセイ エッセイは難しいと思う。そもそも好きな著者エッセイしか読まないし、その中でも、好きな著者の書いたものとしてもエッセイは好き、嫌い、良し悪しあると感じる。 この本を書いていた時に、こんな苦労があったり、プライベートではこんな事があったのだなあと言うことを感じるには良い。
1投稿日: 2024.10.06
powered by ブクログエッセイを一つ、ルポルタージュを一つ読むたびに 「佐々さんはもういないんだな」と想いがこみ上げてきた。 途中、闘病中の番組をYouTubeで観たりもして、どんな気持ちで執筆されていたんだろう…と。 たくさんの「死」と向き合ってきた方だけど、ご自分のとなると一筋縄ではいかなかっただろうと思う。 過去のもの〜最近のものまで書かれた年代はバラバラだけど、どれも大切に読ませてもらった。 特にあとがきの言葉は、すっと心の奥まで入ってきた。 今、この瞬間を「あー楽しかった!」と言えるように。限りある幸せを存分に味わえるように。 メッセージ、しっかり受け取りました。
42投稿日: 2024.10.01
powered by ブクログダブルリミテッドの話は、西川美和「スクリーンが待っている」でも同じような話が出てきたのでとても興味深かった。 本当に使える生きた日本語は「どけ」とか「やめろ」とか、命令形であってですます調の丁寧な日本語ではない。 「会えない旅」がとても印象に残った。アポも取らず、会えるともわからないけど会いに来る。こういう行動力があって、多くのノンフィクション作品を生み出したんだろうなとうかがえるエピソードだった。 ご冥福をお祈りします。
0投稿日: 2024.09.19
powered by ブクログ「エンジェルフライト」のドラマを観てとても面白かったので、原作を読もうと思い手に取ってすぐ、佐々さんの訃報が。 調べたら、最新刊のこの本の「あとがき」にご自身の病のことも触れられているとわかったので、さっそく図書館から借り出して読みました。 いくつかのエッセイやルポルタージュの中には、なにやら暗示的な事柄も書かれていました。 一日一日を大切に生きなければなりませんね。
0投稿日: 2024.09.19
powered by ブクログ佐々さんが生きておられる間に「読むぞ読むぞ」と思っていたのに間に合わなかった。お亡くなりになっておられるのに、まるで傍におられるような感じで読み終えた。 7作の著作のうち、後の5冊を読んだことになる。どのご著作も、身体ごと飛び込んでおられるノンフィクションだった。命を削っての作品だったのだろう。もっともっと読みたかった。
1投稿日: 2024.09.15
powered by ブクログ感想 人類誰も経験したことがない。それは安寧なのか苦痛なのか。わからないから今日1日を必死になって生き抜いてみる。何かを遺せる日を信じて。
0投稿日: 2024.09.05
powered by ブクログ佐々涼子さんの訃報に残念でなりません。ご病気のお話を知っていたので回復することを願っていたのですが… 全ての作品からたくさんの刺激をもらい素敵な仕事をしていただいたことに感謝です。 いままで魅力ある言葉を紡いでもらいありがとうございました! 佐々涼子さんの著作を大切に…宝物として私の心に活かしていきますね。 みなさん… ぜひ〜
16投稿日: 2024.09.02
powered by ブクログ佐々涼子さんの生死感が描かれているエッセイで、あとがきはまるで彼女の遺書のようで心が痛い。「この世に生きている人はみな同じく、死についての未経験者だ。ほかの人の死を見て、私たちはあれやこれや想像している。でも、どれほどの賢者であろうと、やはり生きている限り死など分からないのだ。そう思ったら生きるのが楽になった」佐々涼子さんは、今この瞬間、どのように生きておられるんだろう。
0投稿日: 2024.08.29
powered by ブクログエンジェルフライトを読んで好きになった佐々さん。本人の経歴もなかなかで面白かった。オウムはちょうど世代だけど思い出すきっかけを与えてもらいました。大変な病気を患われていると聞いていましたが、あとがきで病名を知りました。穏やかな日を送られることを願います。まだ読んでいない著書があるので楽しみにしています。
0投稿日: 2024.08.01
powered by ブクログ佐々さんが命にかかわる病気だと以前から知っていました。 今回新しい本が出版され それは今までの佐々さんの生きてきた証のような本で 佐々さんがまっすぐ体当たりで ご自分の命を削っての執筆であったとよく理解しました。 だからどの作品もあんなに心を動かされたのてすね。 今はご自分の人生とどんな風に向き合っていらっしゃるのでしようか? 次回作を楽しみにしてもいいですか?
0投稿日: 2024.08.01
powered by ブクログ死と向き合い、入管、外国人就業制度、日本語学校などのもどかしさ、ご本人の病気、お母さんの病気、色々考えさせられた
0投稿日: 2024.07.14
powered by ブクログ膨大な数の事象から何をピックアップしてどんな物語を紡ぎ出すかはそのひとの解釈次第だ。 起きる事は運。それをどうものにするかは才能。 刺激と反応の間にはスペースがある。そのスペースの中に自らの反応を選択する自由と力がある。私たちの成長と幸運は私たちの選ぶ反応に掛かっている。 ヴィクトール・E・フランクル
0投稿日: 2024.06.24
powered by ブクログまず驚いたのは、著者の佐々涼子さんが悪性脳腫瘍で余命宣告を受けて2022年末から闘病中だと知ったこと。 色んな媒体に掲載されていたエッセイを集めた本で、最後のほうに「私には時間がないのだ」というような記述があり、気になって読み進めたところあとがきに病気のことが書かれていた。 だからおそらく、この先佐々さんが新しく文章を綴ることはないのだろう。と思うと、何とも言えず辛い気持ちになってしまった。 これまでさまざまな「死を見つめる」本を著してきた著者によるエッセイ集。 元々は日本語学校の教師だったそうなので、日本国内にある日本語学校の現実が綴られている章が多めだった。 海外から働き手としてやって来た外国人に日本語を習得させるのが困難なのは、日本語には情緒的な要素が多いからなのだろう。名詞や動詞は多少時間をかければ覚えさせることが出来るけど、概念的なことはなかなか難しい。 例えとして「人権」という言葉が挙げられていたけれど、これは確かに、外国人じゃなく日本で生まれ育った日本人であっても解釈に差が出そうだし、そもそも正しい解答があるのかどうかも分からない。 そういうことだとか、あとは金銭的なこと・体制的なことが切々と書かれていて、日本語学校を運営することの大変さがよく理解できる。 他にも「死のこと」「難病の末亡くなった母のこと」「遺された父のこと」「宗教のこと」「会いたい人のこと」などが書かれている。 病気が分かってから作られた本だと思うので、内容としては、雑多と言えば雑多だ。だけどどこを読んでもそこには「佐々涼子」がいて、生きて歩んできたことの証を感じる。 改めて、物を書くってすごいことだ。それを読むことで、世の中で起きている現実や、知らなかった世界のことを知れる。私にとっての魔法のような時間が読書をする時間で、色んなことを授けてくれる著者に、心の中で敬意を感じながら読んでいる。 知識を得ることがそのまままっすぐ自分の役に立つわけではなくても、覚えておくことで人との会話のときに役立ったり、自分以外の誰かのためになることもある。 佐々さんの新刊はもしかしたらもう読めないのかも、と思うと悲しいし残念だけど、既刊で未読のものもあるので、それらを大切に読んでいこうと思う。
10投稿日: 2024.06.19
powered by ブクログ夜明けを待つ 佐々涼子さん。 ノンフィクション作家さん。 エッセイ作品集。 最初のツカミと、あとがき が良かった。 「 ああ、楽しかった 」
0投稿日: 2024.06.16
powered by ブクログ佐々さんが書かれた本で初めて読んだ本がこちら 外国人実習生、オウム真理教などについても書かれていた 冷静な落ち着いた文章 人生、生きていくために大切なことが書かれていた あとがきにはびっくり 毎日をあぁ楽しかったと思って終われるようにしたい
0投稿日: 2024.06.12
powered by ブクログ佐々涼子さん。すごいです。10年書きためてきたエッセイとルポルタージュから厳選された作品集。重い現実に真正面から向き合って、伝えてくれるこの本に出会えてよかったと思いました。 初めの〈「死」がおしえてくれること〉から、一気に自分が体験したことに引き戻されました。いざ親の死と向き合ったときに、オロオロして自分の無力さを感じたこと。「親は死してまで大切なことを教えてくれる」というのは、私もそのときに感じたことでした。 次の〈夜明けのタクシー〉も、親になって、ワンオペで心細かったときに、ふとした言葉に救われたことを思い出しました。 〈体は全部知っている〉では、「人は死に方を知っているし、家族は送り方を知っている」という言葉で、見送ったときのことを思い出しました。「命のことは体に委ね、任せればいいのではないだろうか」という言葉では、佐々さんの強さを感じました。 死、技能実習生のこと、外国人の日本語教育のこと、宗教のことと、私たちが普段見ないように過ごしていることに、きちんと向き合い伝えてくれている本でした。 あとがきでは、本当に驚かされました。重い病になったからこそ見えるものがあり、それを伝えてくださったことに感謝の思いでいっぱいになりました。「遺された人たちには、その限りある幸せを思う存分、かみしめてほしいのだ。」というのは、見送った両親も思っているような気がして、救われました。 読後、佐々涼子さん、ありがとう、という気持ちでいっぱいになりました。
11投稿日: 2024.06.07
powered by ブクログノンフィクション作家の、書き溜めてあったエッセイとルポタージュ。あとがきにて、悪性の脳腫瘍罹患の報告。 相変わらず文章が良い。新聞などに投稿された短めのエッセイも内容も素晴らしい。 仏教や宗教的なテーマも取り扱いながら、平静さと鋭さを保っている。 是非とも回復されてまたお書きになるのを祈るばかりです。
0投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログ「エッセイは前後の話や経歴を見るに、ある言葉を不用意に使っている気がし、ルポライターとしてそれはどうなのかとモヤモヤ」とか「やっぱこの人のルポはいいな。エッセイよりコッチがいい」とか「でもオウム関連は、目論み自体が直接関わりの無い人目線を切り口だから仕方ないのかもしれないが、も少し地下鉄以外の関連事件も調べてからにしてほしかったなあ」とか読みながら色々思ってたのだが、「あとがき」で全てが吹っ飛んだ。絶句。素で「嘘だろ…」と唖然とした。なんてこった。なんて悲しいどんでん返しだ。そして、なんてしなやかで落ち着いた文章なんだ。
1投稿日: 2024.04.30
powered by ブクログ佐々さんの本からいつも、何も知らないことに気づかされ、知らないといけないことを教わりました。もっともっと、まだまだ、佐々さんからたくさんの声を言葉を届けてほしい。
0投稿日: 2024.04.21
powered by ブクログ3月に読み終えたものの登録を忘れていた。 余りにも衝撃で・・・ 佐々さんが、そんなそんな・・・ 図書館にかえしてしまった本で、 正確ではないのだけれど・・・ 横浜の子どもホスピスを訪ねて彼女は言う。 「子ども達は、『またね』を言わない。 自分の状況をよくわかっているから。 そのかわり今の一瞬を目一杯楽しむ。 なんて素晴らしいんだろう。 今を生きることを大切にしたい」 佐々さんの今が、穏やかな時間でありますように。
2投稿日: 2024.04.17
powered by ブクログ「エンド・オブ・ライフ」が本屋大賞ノンフィクション部門をとった時、読んでみたいと思った。 読んでみて、なんてすごい本を書く方なんだろうと思い、その他の書籍も読みたいと思いつつ、月日がかなり経った。 そして、インターネットの記事で、著者がグリオーマに罹患していることを知り、衝撃を受けた。 あんなすごい本を書く方がいなくなるなんて。。。と、心底残念に思った。 先日、この本を本屋で見つけた時、最後になるかもしれない。。と、手に取った。 中身は、著者が過去に書いたエッセイとノンフィクションを集めたもの。 著者自身も認識をされているが、「死」に接する文章が多い。 昨年、自分の身近な人々に「死」がまとわりつき、自分自身も「死」とはなんなのか。をやたらに考えた。 その答えが、ここにあった気がする。 明確な答えではないが、ああ、こんな感じなんだろうな。自分だけが抱くものではないんだなと知り、安堵した。 ノンフィクションは、衝撃的だった。 意味で知ってこようとしてこなかった世界だったから。 ニュースなどで、その世界のことは知っていたが、完全に他人事として捉えていたこと。 あれらが書かれていたのは2013年頃。 あれから10年以上たち、日本は確実に没落の一途を辿っていると思う。 そこには、いまだに、無意識の差別や、格下思考が蔓延っているのも事実。 悲しい現実だ。 今の著者は、どんな状況だろうか。 これが最後かもしれないと思い、手に取ってはみたが、やはり、少しでも多くの言葉をこの世のに残して欲しいと、切に思うばかりだ。
0投稿日: 2024.04.17
powered by ブクログ「紙つなげ…」をはじめ、新刊が出ると必ず手に取ってきました。まさか、闘病中の作品とは知らず。難しい病気ですが、少しでもことばを残していただきたいです。
1投稿日: 2024.04.16
powered by ブクログノンフィクション作家、佐々涼子さんのエッセイ&ルポタージュ。 「エンジェルフライト」「エンドオブライフ」など、正と死に焦点をあてたルポを書かれているが、ご自身が今、悪性の病にかかっておられ、もしかするとこれが最後の作品になってしまうのかもしれないと思うと、残念でならない。 一作でも多くの作品を書いて欲しい。
15投稿日: 2024.04.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
知っている内容が多かった 私は死に方を知らないが、きっと体は知っている 禅は、私たちの身体が自然の一部であることに気づくための作法です 最後の作品になってしまうのだろうか
0投稿日: 2024.04.04
powered by ブクログ21.#夜明けを待つ 国際霊柩送還士のルポ『エンジェルフライト』を読んで知った佐々涼子氏のエッセイ&ルポ 様々な死と向き合い、心の拠り所を求め行き着いた先は 本書にて現在の著者様を知る 希望の本当の意味を見つけ 「ああ、楽しかった」 その日がずっとずっと遠くにある事を願う
0投稿日: 2024.03.19
powered by ブクログ佐々涼子さんの文章が好きです。 この本に収録された「世界の外側」を読んで、なぜだか、少しわかった気がした。子どもの頃の、言葉にできなかった時の思いや風景や大切なものをずっと抱えてきた人だから、と。そのうえで、多くの体験を重ねてきたから、こんなに心に響く文章なのだと。 ダブルリミテッドのルポや禅やオウムについてのエッセイなど、この1冊にまとめてもらえなかったら、たぶん読むことはできなかった。心から感謝。 そして、あとがきを読んで、祈らずにはいられない。佐々さんが、「ああ、楽しかった」と、今日も明日も、1日でも多く、言えますように、と。
0投稿日: 2024.03.11
powered by ブクログ命を削りながら 一文字一文字を 刻みつけておられる その様子が ひしひしと伝わってくる 「紙つなげ…」 に出逢ってから 「エンジェル・フライト」 「エンド・オブ・ライフ」 と 読み進めていく中で 命のこと 死に向き合うこと そして 生きていくこと 静かに 深く 自分の中で 自問自答させてくれる 素晴らしき書き手が 佐々涼子さんである 佐々涼子さんの愛読者と 今こそ 語り合いたい
1投稿日: 2024.03.10
powered by ブクログこれまでに読んだ作品にガツンと衝撃や感動をもらった佐々さんのエッセイとルポルタージュ。 家族、病、看とり、移民、宗教などさまざまな著書で綴られていたことの背景にも触れられていました。 『小さき声に寄り添うことで、大きなものが見えてくる』 という表紙見返しの言葉にも頷ける。 さまざまな問題が複雑に絡まりあって、社会に存在していることを感じました。 佐々さんの文章には、どうしてこんなに心を揺さぶられるんだろう…。言葉がダイレクトに届いてくる。 「ダブルリミテッド」という新しい言葉も初めて知った。 新たに知る事実に向き合いながらも、いつの間にか自分と向き合っているような気持ちになるし、これからの社会のあり方についても自然と考えさせられる。 エッセイと言えど実に濃い内容の1冊。 知りたかった佐々さん自身のこと、家族のことなども知れて良かった。 だけど、佐々さんが現在患っている病気のことはとにかくショックでした。
8投稿日: 2024.03.08
powered by ブクログノンフィクション作家として知られている佐々涼子さんの本は何冊か読んでいる。 『エンジェルフライト』『紙つなげ!』 『エンド・オブ・ライフ』『ボーダー』など。 読みやすいうえに心の奥にまで伝えたい思いが、ひしひしと伝わり届いてくる。 彼女があと余命わずかだと知りとても驚いている。 この「夜明けを待つ」は、エッセイとルポタージュで構成されている。 生と死を見つめ続けてきた原点である。 なぜ取材するのか。 それはきっと私に想像力がなく、人の気持ちもわからないからだ。 だからこそ人の中に入り、話に耳を傾ける。 彼らと一緒の空気を感じ、その表情を見つめ、そして少しだけ彼らの世界を知る。 そう彼女は書いてあるが、人の気持ちがわからないわけじゃないと思った。 わかるからこそ言いたいことの思いが文章で伝わってくるのだから。 これほど的確に気持ちまで伝わってくるルポはないのだから。 エッセイで彼女の家族のことや病のこと、そして取材相手に対する姿勢が見えてくる。 ルポでも過酷な取材のなかで憤りや虚しさなども幾多とあっただろうと感じられたが、それを超えて素晴らしい作品を見せてくれた。
63投稿日: 2024.03.03
powered by ブクログ家族や終末期医療などの取材から生と死を見つめてきた著者の言葉が、静謐で、時折ハッとさせられる。あとがきでは著者自身も希少がんに罹患し、余命が限られている事に触れ、一層生き死にを考えさせられる。
0投稿日: 2024.02.25
powered by ブクログ文章のそこかしこに人柄や生きてきた証が見える。 ゆるっと流れにまかせて生きながらも、コレは違うと思った時には即座に自ら方向転換できる方。 どのエッセイもすごく共感できた。 涼子さん自身の病や子育て、友人の週末医療に寄り添った経験や家族の介護と看取り、人の生と死を真摯に、一心不乱に見つめて書かれていて。 経験が人を作る。宗教も厭世観も死の受容も、生身の人間の積み重ねられた経験から生まれる。 禅を学びに行った著者自身が、結局は俗世に戻ることが自分に合っていると結論した経緯はとても面白かった。禅とは自分を徹底的に削ぎ落とし減らすことだと思っていたけれど、もしかしたら自らの心のキャンバスを増やしていく作業なのかもと思った。 どうやったって人は煩悩と欲を持つもの。幾つになってもそれは毎日増え続ける。人を喜ばせ、苦しめ、楽しませ、悲しませるのも全て欲。 欲の本当の意味とは、人が成長するための経験の積み重ねをするためではないか。積み重ねた経験が溢れすぎて潰れてしまわないように、人は禅という白いキャンバスを増やすことを願うのではないか。
5投稿日: 2024.02.15
powered by ブクログたくましく生きてきた作者の生き様が感じられるエッセイとダブルリミッテッドなどのルポ。仏教の悟りを求めての旅やオウム真理教への追想など興味深く読んだ。 あとがきで驚いた。言葉がありません。
2投稿日: 2024.02.10
powered by ブクログ(recommend by Ariyoshi) 新聞の書評で佐々涼子に出会い、ノンフィクション作品の魅力を再発見した。彼女は現在55歳、40歳を目前にノンフィクションライターになった。そして、1年半前に悪性の脳腫瘍と診断され、現在、闘病中だ。初のエッセイ集のこの本は彼女の遺作になるかもしれない。これから佐々さんの作品を追いかけて読んでみたいと有吉さん。素晴らしい作品を書き続けているのですね。
2投稿日: 2024.02.04
powered by ブクログ社会の課題に惹きつけられるようにして、それに向き合ってきた作者の人生。書きぶりが悲観的ではないので、読み終えることができた。
2投稿日: 2024.01.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2023/11/26リクエスト 12 エンジェルフライトがとても良かったので、それ以来、佐々さんの著書を読んでいる。 今作は 幼い頃に来日し、日本語も母語も年齢相応の言語力に達していない「ダブルリミテッド」 がとても心に残った。 親とも学校でも話せない。 そんなことが、起こるのか… 生と死の見つめ方が、一歩引いて俯瞰でみつめる書き方のため、冷静に読めて好きだった。 まだまだこれからも読みたいと、なんの疑いもなく追いかけるつもりでいた、これからも追いかけたいので、書き続けてほしい。 頑張ってほしい、という言い方は適切ではないかもしれない。 医者の見立てを裏切ってほしいです。 それを心から祈ってます。
3投稿日: 2024.01.28
powered by ブクログ本文は、過去10年のあいだに書かれたエッセイとルポルタージュで構成されている。 これまで読んだ佐々さんの著書は、『エンド・オブ・ライフ』だけだったので、日本語教師として働いていたことや、仏教への親近感、その一方で宗教的なものへの疎外感など、私自身と共通している部分が結構あることを初めて知った。 十数年前に取材されたダブル・リミテッド(帰国子女や移民の子どもたちにみられる、日本語も母語も年齢相応の言語力に達していない状態。子どもが母語をきちんと確立できないと、どれほど深刻な影響をもたらすか)の問題は、現在どれくらい解決されているのだろうか。 『エンド・オブ・ライフ』で、在宅の看取りをテーマに、友人でもあった一人の訪問看護師の最期の日々を描き切った佐々さんだが、『夜明けを待つ』の唯一の書下ろしとなった「あとがき」で、自身の病について明かしている。 ー「希少がん」。いい響きではないか。私は、その名前をとても気に入っている。……その名前に刻まれた「希少」は、私には「希望」に見えてくる。
2投稿日: 2024.01.26
powered by ブクログ辛い。 生と死を見つめ続け、数々のノンフィクション作品を世に送り出して来た佐々涼子さん。 まだ55歳。 今度は自身が自分の死と向き合う事になろうとは。 生を受けた以上、いずれは誰もが死を迎える。 戦争や震災、病気、死に方はそれぞれで、私も今まで大切な人を何人も亡くし喪失感が消える事はない。 エッセイとルポルタージュ、あとがきで構成された本作からは佐々さんの命に対する真摯な想いが感じられる。 横浜にあるこどもホスピス「うみとそらのおうち」の話は胸がつまる。 人生を終える瞬間「ああ、楽しかった」と言える様に生きたいと思った。
4投稿日: 2024.01.26
powered by ブクログ前作『エンド・オブ・ライフ』を読んだのはコロナ初年度の2020年の8月。次回作を楽しみにしていたところにTwitterで著者御本人が体調崩されたと知り、通院から手術それから徐々に緊迫していく経過報告を祈るような気持ちで受けとめてきたが‥。本書はこれまで著者が10年にわたり書きためたエッセイやルポルタージュの作品集。「あとがき」を含め全編から佐々涼子さんの誠実なお人柄が伝わってくる。これからの日々が穏やかでありますよう。
2投稿日: 2024.01.24
powered by ブクログ佐々涼子の夜明けを待つを読みました。 佐々涼子はノンフィクションライターで、前に読んだ作品もあります。 二部構成で一部はエッセイで二部はルポタージュです。 エッセイは、この人で無ければ書けない感じで面白かったです。 ルポタージュは、知らなかったことが多くあり勉強にはなりましたが、最後の頃のオウム真理教の話などはあまり興味が持てなかったです。 ダブルリミテッドと言う言葉も出てきました。 ダブルリミテッドとは、2つ以上の言語を話すことができるが、どの言語も年齢相応のレベルに達していないことをいいます。 セミリンガル、限定的バイリンガルともいわれ、例えば、日本語と英語のバイリンガルの子どもがどちらの言語も6歳程度の能力である場合は、ダブルリミテッドの状態だということです。
3投稿日: 2024.01.24
powered by ブクログとても優しく、とても静かで、とても力強い本でした 特にオウムに関するエッセイは、圧巻でした 今後の人生で何度も読み返すことになると思う 本当に素晴らしいエッセイ本でした
3投稿日: 2024.01.20
powered by ブクログ恥ずかしながら「佐々涼子」の名を初めて知った 送ってくれた友人に感謝 そして彼女の生きざまに☆五つ! 一章 エッセイ 柔らかい言葉で綴られた彼女のこれまで 二章 ルポルタージュ やはりルポが秀逸! ・外国人技能実習生の現実 ダブルリミテッド ・禅 ・オウム真理教 そして、あとがき 衝撃を受けた どうか『ああ、楽しかった』と終えられますように…… この一冊でいろんなことを教えていただきました 他の本も読んでみたいと思います ありがとうございました ≪ 生と死を 見つめ続けて 今もなお ≫
26投稿日: 2024.01.12
powered by ブクログ作者の著作では、「紙つなげ!」「エンジェルフライト」を拝読したのですが、人の生死が目の前にある現場に相対しながら、飾らず盛らずに事実と人々の生きるさまが冷静に綴られていました。 本作でも、「死」という、必ず人の行きつく先にあるもの、そしてそれをも含んだ「人生」まるごとについて、著者の経験に基づく示唆が記されていて、自然と生きていくことそのものについて考えさせられました。 親しい人の看取りを通じて、外国から来た労働者の立場を知り、宗教の教えを感じ、様々な角度からの「生きること」が浮かび上がっていき、作者の考えや想いが記されていきます。 そのいくつもの考えに対し、ただ同意するだけでなく自分自身でも理解を深め、いつかは作者が感じたように「楽しかった」と心底思えるように生きられるようになれたら良いな、とそう思います。
2投稿日: 2024.01.08
powered by ブクログノンフィクションはあまり読まなかったが、著者の本をきっかけにジャンルが広がった。 今回もエッセイというけれど、やはり一つ一つが渾身のノンフィクション、ルポルタージュだ。襟を正して、読まないと心が負ける。 なにも出来ないけれど、Xでフォロー、皆さんの応援を拝見している。
8投稿日: 2024.01.05
powered by ブクログ佐々涼子(1968年~)氏は、早大法学部卒、専業主婦として2児を育てつつ、日本語教師等を経てライターになった、ノンフィクション作家。2012年、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で開高健ノンフィクション賞、2014年、『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』でダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR第1位等、2020年、『エンド・オブ・ライフ』で本屋大賞ノンフィクション本大賞を受賞。 本書は、2013~22年に、日本経済新聞や雑誌各誌に掲載したエッセイ33編と、「集英社クオータリー kotoba」等の雑誌に寄稿したルポルタージュ9編をまとめた作品集である。 私はノンフィクションが好きで、これまで多数のノンフィクション作品を読んできたが、佐々さんも支持するライターのひとりで、『エンジェルフライト』、『紙つなげ!~』も読んでいる。 そして、ひと月前に行きつけの大手書店で本書を見かけたのだが、佐々さんにしては珍しいエッセイ+ルポルタージュ集だなと思いながら、購入はしなかった。が、それから程なく、NHKの朝の番組の特集で、佐々さんが悪性の脳腫瘍に罹患し、余命長くないことを知り、即座に入手し、読み終えた。(尚、佐々さんが悪性脳腫瘍に罹り、残された時間が少ないことは、本書のあとがきで書いている。私は本を見るとき、大抵はあとがきから読むのだが、書店で見かけたときには、なぜかあとがきを読まなかったのだ。。。) 本書に書かれているのは、作品集という性格上、様々な題材ではあるが、通底する大きいテーマはいくつかである。これまで「死」をテーマにした多くの取材をし、作品を書いてきた佐々さんが、そのときどきにどのようなことを感じ、考えていたのか。ライターになる前に日本語教師をしていた経験も踏まえて、国を跨いで生きる子ども達にとって最も大切なことは何で、そのために我々は何をするべきなのか。そして、『紙つなげ!~』を発表した後、10年間闘病した母親を失ったこともあって、スランプに陥り、インド、バングラデシュ、フランス、タイ等の寺院を訪ね歩き、そこでどのようなことに気付いたのか。。。等である。ノンフィクション作家というのは、取り上げるテーマとそれを描くアングルに、作家本人の価値観や人生観が如実に反映されるものだが、佐々さんのそれには大いに共感を覚えるし、また、いくつもの新たな気付きを与えられた。 その中で、最も印象に残ったのは、ノンフィクション作家の使命について書かれた、次の一節である。 「私は震災や、事件、事故について書いている。殺人についても、終末医療についても取材をしている。世の中には、災害があり、テロがあり、戦争がある。子どもの虐待があり、貧困や、病がある。いいことも、悪いことも書くのは、いいことも悪いこともあるから書くのだ。理不尽なことは、この世に存在している。それはただそこにある。だから私は書いているにすぎないのである。しかし、私は、「それでも」世の中は決して捨てたものではないと思っている。世の中は基本的に信じるに足ると思っているし、それがなければ、こんな仕事を誰もしないのではないだろうか。私が書きたいのは、「それでも」のあとにやってくるものなのだ。」 あとがきは次のように締めくくられている。 (こどもホスピスの取材をしたときのことを振り返って)「取材をしていた時には、まだピンとこなかった。だが、その時わからなかったことも、今ならわかる。私たちは、その瞬間を生き、輝き、全力で愉しむのだ。そして満足をして帰っていく。なんと素敵な生き方だろう。私もこうだったらいい。だから、今日は私も次の約束をせず、こう言って別れることにしよう。「ああ、楽しかった」と。」 また佐々さんの書いた文章を読めることを願って。 (2024年1月了)
3投稿日: 2024.01.02
powered by ブクログ恐らく彼女のこの先対象に寄り添った様な新しいノンフィクションを読む事は出来ないかも知れないと思うと今までの作品が宝物の様に思えて来る。 同世代で同じ様な経験をし同じ様なモノを見聞きして来た仲間の様に勝手に思っていた人が今静かに先に進もうとしている。 どうか「楽しかった」と終えれます様に。 まだまだ早目の「ありがとう」に変えて。
20投稿日: 2023.12.31
powered by ブクログちょうどこの作品を読み始めたとき、佐々涼子さんの特集が組まれている朝のニュースを観ることができ、絶句してしまいました…。だって、そんな悲しい……。私は佐々涼子さんの描くノンフィクションが好きで、「エンジェルフライト」も「紙つなげ」も「エンドオブライフ」も「ボーダー」も読んできました。それぞれ、心に響くものがあって、この作品を読めることを楽しみにしてて読み始めたけれど、序盤ではそこまで深刻だとは思ってもいなかったのに…佐々涼子さん、脳腫瘍の希少がんで闘病中、平均余命13ヶ月との告知を受けたのは昨年の11月って…。 この作品は、そんな佐々涼子さんが今までに綴った短いエッセイとルポをまとめたものになっています。ノンフィクション作家として感じたこと、読み手に伝えたいこと…それは自らの死生観や宗教観であったり、元日本語教師の目線も含め日本で生活する外国の子供達のことであったりとさまざまなな内容となっています。印象的だったのは、外国人技能実習生に関わる内容で日本はこのままでいいのか、問題提起しています。今のままでは、日本に来てくれる外国人はいなくなってしまうと…。 佐々涼子さんの紡ぎ出す文章は、読みやすくてどこか優しいんですよね…!まだまだ、書き続けてほしい思いと、家族との大事な時間を穏やかに過ごせればそれもありなのかとも思ったりもして…。今を愉しむ人生、「ああ、楽しかった」と言える人生を、私も送ることができたら幸せだと感じました。
68投稿日: 2023.12.27
powered by ブクログ著者の作品はすべて読んでいるが、今回はエッセイということであとがきを先に読んでしまった。 驚きで本編を読むのに暫く時間を置いたが、あとがきのせいかどのエッセイも沁々してしまった。 手元に置いておき、これからも屡々読み返すことだろう。
0投稿日: 2023.12.20
powered by ブクログ生と死を見つめたすぐれたノンフィクションを上梓してきた佐々さんが、これまでに発表し書籍化されていなかったエッセイやルポをまとめた本。自身の家族の話、死生観、この国と外国人、そして宗教……。どれも佐々さんらしいテーマだが、意外な一面もある。主な作品はすべて読んだが、エッセイはあまり読んだことがなく新鮮だった。 現在、佐々さんは悪性の脳腫瘍と診断され、手術・入院を繰り返している。残された時間は少ないという。そんな中で届けてくれた貴重な1冊だ。
3投稿日: 2023.12.02
powered by ブクログ今までどれほど沢山の事を佐々さんの本に教えてもらっただろう。どれだけ救ってもらっただろう。 佐々さんがこれまであちこちに綴ってきたエッセイの中なら厳選された数編が収められている今作。 読めばこれまでの作品の数々がフラッシュバックしてくる。 佐々さんの作品をまだまだたくさん読みたい。
12投稿日: 2023.11.30
powered by ブクログ「紙つなげ!」や「ボーダー」など、印象深くわたしが大好きなノンフィクション作品をたくさん世に問うてくださった佐々涼子さんの過去に発表された文章と近況が書かれた一冊。 日経新聞夕刊の連載「プロムナード」と季刊誌「kotoba」に連載された「ダブルリミテッド」は抜けがあるものの読むようにしていたので、半分ぐらいは読んだことのある内容だったが、他の文章からの情報をあわせてみると、病気で書く仕事が中断した間の状況や気持ちなども答え合わせのようにわかり、そしてこの秋に書かれたあとがきを読み佐々さんの現在を思い胸がいっぱいになる。 まだ読んでない「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」と「エンド・オブ・ライフ」も読むので、もうしばらくこの世で待っていてほしい。 生と死をみつめる取材と執筆を重ねてきて、ある意味そのへんの僧侶よりずっと悟りを開いているといってもいい佐々さんの今この瞬間がすがすがしく満ち足りていることをひたすら祈る。
2投稿日: 2023.11.29
powered by ブクログ何かで見かけて、これは読まなきゃならないやつ…という気が強く強くして、迷わず買った。その通りだった。 エッセイ部分は、そうだよねーと思ったり、ちょっとフフッと笑ってしまったりしながら読んだ。生について。死について。人生に起きる善いこと悪いことについて。大事なことがたくさん詰まっている。 それにしても、なんと言ってもタイトルがいい。
9投稿日: 2023.11.27
