
総合評価
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powered by ブクログ中絶作『悪霊』を読むと確かに『孤島の鬼』級の畢生の大作になりそうな雰囲気がありますね。当時の読者が完結を待ち望んでいたことが容易に想像できます。 序盤の密室殺人、異様な猟奇殺人、奇妙な暗号、乞食の謎、記述の不可解さなど広げすぎた風呂敷のほぼ全てに辻褄を合わせるだけでなく、乱歩の嗜好を真相の核に持ち込み、尚且つ『悪霊』の真の中断動機を荒唐無稽ながら提示しています。半端なデキでは許されなかっただろうし、恐ろしく高かったハードルを芦辺先生は見事に飛び越えたのではないかと率直に思います。 大作家の中絶作に90年の時を経て挑むという偉業と偉大なる大作家へのリスペクト精神に星4
0投稿日: 2025.10.15
powered by ブクログ江戸川乱歩未完の連載「悪霊」を補完しつつさらに乱歩周りも小説にしてしまうとという、超面白い合作。というか2次創作。乱歩の人柄を見せるのが面白くて良き。
1投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
連載2回で中断した乱歩小説を書き足して完成させる 意欲的な試み ほぼ定説となっている犯人像があるようで それを覆す格好で二段オチ 記号の謎は無理やり感が強いけれど 乱歩趣味を上手く取り入れている。 このミスで評価が高いので呼んでみたが、マニア向け作品
1投稿日: 2025.01.19
powered by ブクログ大学教授が主催する心霊学会会員の未亡人が、自宅の土蔵で殺害された。不可解な傷を負っており、現場は密室。謎めいた記号の描かれた紙切れが残され、現場付近には謎めいた人物(乞食)も存在した。その後、学会関係者が集まる場で、憑依した霊媒の少女によって殺人事件の“予言”が語られる。やがてさらなる事件が… 1933年に連載がスタートされるも、道半ばで中絶された江戸川乱歩未完の作品「悪霊」。およそ90年の時を経て、芦辺拓によって書き継がれた怪作。 ハウダニット、密室、不可思議な記号、フーダニットなど本編の謎全てを解答に導くと共に、なぜ乱歩が「悪霊」中絶に至ったのか?についてもさもありなんな解釈をつけ、着地させている。記号の意味については、あまりにも○○過ぎて苦笑してしまったけれど、乱歩ならありうるかもという妙な納得感もある。作品内世界と外側世界が入り乱れるメタ構造も、物語に上手く噛み合っている。 令和の現代では問題視される差別用語が頻出するが、昭和初期の世相及び乱歩の怪奇幻想テイストな作風を鑑みると、この表現のままで正解だったと思う。 週刊文春ミステリーベスト10 8位 このミステリーがすごい! 11位 本格ミステリ・ベスト10 14位 ミステリが読みたい! 9位 今年は本作で読了&レビュー登録ちょうど100冊目。年初に設定していた目標にギリギリ届いてほっと一息。今年は比較的新作を数多く読んだが、”探偵小説の父”である乱歩作品(のオマージュ)で締めくくれたので、温故知新。来年は少しペースを落とつつ、旧作にも手を伸ばしていきたい。みなさまもよいお年をお迎えくださいませ。
19投稿日: 2024.12.30
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1933年、派手な前宣伝で煽って連載をスタートした「悪霊」。傑作となるはずと期待された本格ミステリ。 それは、とある犯罪記録の手紙。 美しき未亡人が不可思議な血痕を裸体に残し、蔵の2階で発見される。密室、現場で見つかった記号。 謎が深まる中、未亡人が属していた怪しげな人物ばかりの降霊会で、霊媒の少女が告げる死の予告。 連載3回で中断した「悪霊」の秘密とは。 江戸川乱歩の「悪霊」が挟まり、視点がころころとかわるので、どこまでが「悪霊」で、今語ってるのが誰なのか混乱する。 「悪霊」の登場人物たちと、舞台がドキドキするほど怪しいので、これが途中のままなんて、これぞ乱歩からの挑戦状だー!とりあえず、結末を読めることにホッとする。 芦辺編の結末はちょっと強引かなとも思いつつ、乱歩の薄暗いどろりとした空気に近くて楽しかった。最後まで謎めいてるのもニヤニヤする。
5投稿日: 2024.11.22
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江戸川乱歩の未完の作品『悪霊』の謎を追いつつ完結させようとしている作品。 乱歩が書いた部分と、付け足した部分がわかりやすく区別されつつも、全体的に乱歩らしさを残していると思った。 『私』についてはおっ!と思うところもありつつも、終盤にいくほど納得できない展開ではあった。 図や土蔵での殺害方法は無理があるように思うし、ページ数が少ないせいか流された感じになっている登場人物も多い。 ただ、無理があるだろうという無茶苦茶さを乱歩らしさとして出したかったというのであればこうなるのかなぁとも思った。
1投稿日: 2024.10.19
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めちゃくちゃ面白かった!!!前半は実際に乱歩が書いた『悪霊』で、後半はその事件の推理パートという構成。悪霊を読んだことがなかったのでどこまでが実際の悪霊なのか初めはわからなかったけど、推理パートの探偵役が乱歩自身だったから気づいた。(本作では乱歩は実際の作者じゃないとされていたけど)作者自身が作品の中で探偵役になるという構図が斬新。原作の雰囲気を壊さず、事件の謎全てに納得のいく説明をつけて未解決事件を1つの解決に導いたのすごすぎる。しかもちゃんと面白い!最後が怒涛の展開であまり頭を整理できていないまま一気に読んだので、真相を知ったうえでまた読み直したい。
1投稿日: 2024.10.15
powered by ブクログそもそも乱歩の悪霊を読んでいないので、本当の意味でコチラを楽しめたかは分かりませんが、未読であっても話の流れは分かりますし、レトロな雰囲気に浸れます。 言い回しなどは乱歩風に時代掛っているので、そこが読みにくく感じる方はいるかもしれません。 乱歩ファンの方、古典的なミステリーが好きな方にオススメ
1投稿日: 2024.09.08
powered by ブクログ恥ずかしながら江戸川乱歩に未完の作品があるとは知らなかった。その未完の作品を乱歩作品らしいおどろおどろしさや人間の業を加えて「完結」させた意欲的な一冊。 最後は一気に読んでしまったが、終盤少し駆け足気味で、人物の掘り下げがもう少しあってほしかったし、少々わかりにくいところもある。でも「これしかない。」という解決を示したことは素晴らしい。
1投稿日: 2024.07.31
powered by ブクログ過去に途中で終わってしまった「悪霊」を再構築しながら、事件の解決を導くと言うミステリー。私は乱歩作品をあまり読んでないから、悪霊も知らなかったが充分楽しめた。
7投稿日: 2024.06.06
powered by ブクログ江戸川乱歩の未完の作品を謎の解明も行いつつ補完した書籍。江戸川乱歩が好きな方なら、現代にそぐわない身体描写やどろどろした作風も受け入れられるかなと思う。私も小学生のころ乱歩作品を読んでいたので、久しぶりに体験する雰囲気だなと面白く読んだ。
0投稿日: 2024.05.21
powered by ブクログ乱歩が未完のまま残した作品を引継ぎ、登場人物たちの関係を明らかにし、事件の謎(密室、全裸遺体、複数の傷とバラバラな方向への流血、犯人、動機)を説得力を持って解き、さらには物語を膨らませて乱歩が未完のまま残した理由まで提示するという、ほとんど不可能な課題に挑戦し、それぞれ矛盾がないばかりか、1冊の作品としても十二分に成立する品質で成し遂げた、労作にして痛快作。 文中の一人称の使い方に唸る。 本書の困難さは作者のあとがきに凝縮されている。
1投稿日: 2024.05.02
powered by ブクログ中絶作「悪霊」を引き継ぎ、完成させられた作品。のみならず、何故「悪霊」の続きが執筆されることがなかったのか、という謎まで解かれてしまいます。 「悪霊」は噂を聞いただけで、読んだことがなかったのですが。うわー、これはたしかに続き読みたい! いかにもな要素がいっぱいで、ぐいぐい引き込まれてしまいます。なのでここで初めて読んでよかった……でなければとっても不完全燃焼でした。芦辺さんの書かれた解決編、これですっきり納得できましたし。 そしてさらなる謎、何故「悪霊」が未完のまま終わったのかという部分についても、ミステリとして見事な着地です。こういうことが現実にあったとしたらちょっと楽しいかも、と思ってしまいました。
2投稿日: 2024.04.21
powered by ブクログ江戸川乱歩の未完の作品『悪霊』を芦辺拓が引き継いで“事件を解決”した一冊。公開済みの文章から謎や伏線を掬い上げる試みはこれまでにも乱歩ファンや研究家によって行われてきたが、本書が出色なのは「なぜ乱歩は一度始めた連載を中止したのか?」の真相にも新解釈を与えている点。しかもこれが多少ぶっ飛んではいるものの(いや、ぶっ飛んでいるからこそ)乱歩作品へのリスペクトを感じさせるのがニクい。もちろんミステリーである以上は乱歩が執筆した前半部分との論理的破綻は避けなければならず、いわゆる「俺が考えた最強の乱歩風味の小説」では読者を納得させられない。先行研究を前に「これならあっちの説の方が面白いよ」と酷評されるリスクとプレッシャーを乗り越えて一冊の探偵小説を完成させた著者の手腕と情熱には敬服。ある意味で本書のクライマックスはあとがき。
3投稿日: 2024.04.08
powered by ブクログ江戸川乱歩のもとに小説の材料として売り込まれた記録から話は始まる。資産家の美しき姉崎未亡人が密室の土蔵で全裸で殺されていた。現場に残されたメモに書かれた奇怪な記号。事件前に目撃された矢絣の女。死を予言した黒川博士の盲目の養女。邸前の空き地にいるいざりの乞食。未亡人を取り巻く心霊学会の仲間たち。心霊学会が降霊術を行うと、盲目の養女に降りた霊が「犯人はこの中にいる」「次の犠牲者はこの中にいる美しい人」と言う。 雑誌「新青年」に連載された乱歩の「悪霊」はもともとここまでで中絶するのだが、芦辺拓はこのあとを切れ目なく繋げて真犯人を提示、さらには乱歩が中絶した理由まで説明してしまうのだ。どこが切れ目なのか正直見分けがつかないくらい、耽美的で猟奇的でグロい乱歩の世界観を見事に再現している。乱歩本人ではなく乱歩ファンの芦辺拓が乱歩の世界を書くんだからそのツボは見事にファンの心を押さえている。200ページほどなので一気に読んでしまった。
3投稿日: 2024.04.05
powered by ブクログ江戸川乱歩の書き下ろした「悪霊」が、ルビ付きで旧かなづかいのないおかげで、とても読みやすくすぐに入り込めた まるでからくり箱のように、ここか?ここを開けるのか?そうなのか!と、ただ書きつなげただけかと思っていたのに、こんなふうに入り組んで二転三転して、これは書いている人(芦辺拓)も楽しかったろうなぁ あとがき込みで終了する本です
3投稿日: 2024.04.03
powered by ブクログ謎解きに興味のない私は乱歩への関心に本書を手にとった 中断した作品に作者が登場する。書き手のトリック、子どものトリックは名作にある だか、猟奇・欠損する人体・土蔵・覗き・変装・鏡・少年...と乱歩ワールドが展開する
2投稿日: 2024.04.02
powered by ブクログ途中から別の人が引き継いだものって、違和感があるんだけど、これは完璧なんじゃないかと思う。しかし、ただただグロくて、読むのがしんどかった。
1投稿日: 2024.03.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
江戸川乱歩の未完作「悪霊」。真相とされている「通説」をひっくり返し、それを踏まえて中絶の理由に言及している。 フォントの違いや差別表現を含めた旧来の言葉遣いが雰囲気を出している。 そして、作者が提示した真相は、(私が考えている)乱歩らしさがふんだんに盛り込まれていて、乱歩作品としてありそうだと思った。書き継いだ勇気に拍手。
7投稿日: 2024.03.14
powered by ブクログ★5 江戸川乱歩の未完作『悪霊』 遂に続きと謎が明かされる!乱歩愛に満ち溢れる合作 #乱歩殺人事件 ■きっと読みたくなるレビュー ミステリー好きと言いながら、実は乱歩作品は傑作選にある有名どころの短編しか読んいない私… こんなにも面白いとはびっくり! 古典と言っても特段読みづらくもないし、むしろ文字がするりと入ってきます。装丁もフォントも紙質すらも風情をだしていて、カッコイイし、不気味な雰囲気ながらも艶っぽく魅惑的。 謎解きも意味不明な問題を出されて、底知れないポテンシャルを感じます。いやー痺れました。大変勉強不足だったと反省しております、やっぱり大学で文学をしっかり研究したいなぁ。 本作は江戸川乱歩が途中休載してしまった『悪霊』に対して、芦辺先生が続きを追加した作品。さらに単に物語を紡いだだけではなく、なぜ乱歩は休載することになってしまったか、なぜ乱歩殺人事件というタイトルになっているかなど、非常に手が込んでる。二度三度美味しい仕掛けが技ありですね。 個人的には乱歩が書いた問題提示がめちゃくちゃ面白く、どんな真相を描いてくれたんだとワクワクしてたんですが、これが素晴しかった。伏線っつーか、乱歩のオリジナルの文章の中から怪しいところを拾い上げて、それを推理につなげていくんですが、犯人と動機、隠されていた真実がかなり衝撃でした。謎解きの納得感が高く、しかも乱歩の世界観も保たれてる。 目ん玉が飛び出たのは、紙に書かれた「符号」の解答ですよ。乱歩だったらありえる、そうだったのかも!と思えるほどで、精神にくる解答に打ち震えましたね。 ■ぜっさん推しポイント 芦辺拓先生のあとがきにもありますが、乱歩愛が満ち溢れていて嬉しくなります。こんなにも愛せる作家がいるなんて、ホント幸せなことですよね。 そして乱歩の歴史から作品から何から何まで、よくここまで調べました。研究書としてもあっぱれな作品で、きっと今年を代表するミステリーの一冊になるでしょうね。
113投稿日: 2024.03.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
乱歩先生が本当にここで休載したという連載小説の続きを今、芦辺先生が解決してくださった。 なるほどこのような事情なのではさすが乱歩先生も休載せねばなるまいねという納得のゆく解決編でした。 時を遥か超えそれでも紡がられてゆく一流の探偵小説にページをめくる手がとまらなかった。 乱歩先生の時代のままにオドロオドロしさが残っていて紙質、フォントが変わっていなかったら、素人読人の自分では現代に戻ってこられなかったやも。
10投稿日: 2024.03.03
powered by ブクログ江戸川乱歩伝説の作品『悪霊』を芦辺拓が引き継いだ時代を超えた共作です! 何処から何処までが乱歩か芦辺か分からないぐらいスムーズに描かれた作品で、芦辺的解釈で上手く着地させてます!! ただ近年のミステリーに慣れてたら物足りなさと読みづらさがあるかも!?
3投稿日: 2024.02.26
powered by ブクログ江戸川乱歩が連載を中断した、未完の作品『悪霊』。書簡体で描かれる物語は、メインの趣向や犯人が知れ渡っている作品でもある。その伝説的な作品に、芦辺拓が結末をつけるという。果たして、虚と実を着地させる発想は見事であり、無邪気なミステリ読者への一撃も効いている、メタミステリの良作である。
1投稿日: 2024.02.12
