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ともぐい
ともぐい
河崎秋子/新潮社
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総合評価

293件)
3.9
73
119
69
13
1
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    熊爪は猟師だ。鹿を狩り、熊を狩る。近くの町の白糠へ出て、狩った獲物や山菜を売り、米や銃弾を買う。まだ熊が冬眠しているような季節、物音を聞いて行ってみると、男が熊にやられたところだった。男は目玉をやられていて、小屋に連れ帰って洗ってやった。そこから熱を出し、落ち着いたところで町に下ろした。あの熊は冬眠しなかった穴知らずで、さんざん釧路の町を荒らしまくった上に、家に入り込んで物を食べるような熊だった。人を傷つけることを知った熊はどうしても狩らねばならない。また繰り返すからだ。でも熊爪はあまり気乗りしない。

    13
    投稿日: 2025.12.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    想像もつかなかった猟師の世界を赤裸々につづっていた。大自然の中で生きる男の生き様。街の生活と小屋の生活が対比されていたが、自然の中が行きやすい熊爪は、街で生きる女に命を絶たれた。

    2
    投稿日: 2025.11.25
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    類を見ない小説だった。 唯一無二。 私が知っている限りではあるけれど。 こんなにも「生命」をありありと描写する作家に興味を持った。 河﨑秋子さんとは、どんな人物だろう。 調べてみると酪農の家に生まれ育ち、ご自身は羊飼いだったとか。 納得。 しかも『ともぐい』というタイトルのイメージ通り、爽やかさ0で、何ともうすーく不穏な空気の漂うお話だった。 サイコパス度合いもまぁまぁ。 またも、遺伝には逆らえないというメッセージを受け取ってしまった。著者はそんなことは意図してないかもしれないけれど。 暗い小説は嫌いじゃないけどね、暗さが私の想像を越えてしまっている。 誰にでもお勧めできるお話じゃない。 直木賞だけど。 R指定小説。 自然の雄大さと、実に人間らしい気持ち悪さを味わいたい方にお勧め。 河﨑秋子さんの人物像があまりにも興味深くて、しばらく検索が止まりそうにない。

    44
    投稿日: 2025.11.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    '24年 第170回直木賞。初読み 河﨑秋子さん。 面白いかどうかは別なんだけど、すごい本を読んだ気がする。 直木賞も納得なのだけど、純文学のようでもあった。 明治初期、北海道白糠町の猟師 熊爪。来歴はほぼ不明。人との関わりは獲物を最低限の金品に換える時に下山する程度。野生のヒト科ヒト属ヒト。 生死を賭けた猟師と羆の戦いの物語かと思ってたら全然違ったw 第二部とも言える、町から貰った陽子の出産育児を通して描かれる後半に、熊爪というヒト⇒人の生命の哲学が。 目の治療をした場面と、赤毛を仕留めた後の射精が非常に印象的。「見えるのに見ない、楽に生きられるのにそうしない」「理解できない、面倒臭いものを遠ざけたい」この気持ちはよく分かる。 熊爪の最期の選択は生物 ヒトとしての父性でもあったような気もする。 突き詰めると、一皮剥けば獣も人もほとんど同じで、寧ろ熊爪の方がずっと人としての大事な物を持っていたのかもしれないな。

    1
    投稿日: 2025.11.10
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    人間関係に悩むときに、僕自身も誰もいないところで、誰とも会話しないで過ごしたいと思う時はあるが、実際にそんな生活は自分ではできない。山で一人で生きるという選択は普僕にはできない。主人公の熊爪であっても、生活必需品を得るためには最低限の町との繋がりは必要であり、そこで人間関係も生まれる。不器用で、山で生きて、山で死ぬ男。何も望まないで生きていたはずなのに、熊撃ちの過程でケガを負い、盲目の少女との出会いが運命を変える。一人の女性に出会えたことは幸せだったのだろうかどうかはわからない。

    0
    投稿日: 2025.11.09
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    羆嵐をよんで羆文学に興味を持ち、読んだ。 熊爪の強者感からの怪我してからの弱って行き方や赤毛に挑む心情描写が良かった 死に様も私としては納得いった。 みんな言ってるが顔をやられた人の手当て描写はすごい。これ読まなければ一緒こんな描写読まなかったかもと思う。 (今年の春前に読んだので思い出しながら感想書いた)

    1
    投稿日: 2025.11.02
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    直木賞受賞作を読むシリーズ。山の中で一人で暮らす猟師の話なので、独白部分多かったです。熊との戦いのシーンなどは見応えありましたが、人間と関わっていく後半部分は必要だったのかな、、?

    29
    投稿日: 2025.10.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    明治後期、人里離れた山中で犬を相棒に狩猟をして生きていた熊爪。ある日、血痕を辿った先に負傷した男をみつける。男は冬眠しない熊「穴持たず」を追ってきたというが…。 熊爪の生活、「穴持たず」「赤毛」との戦い、不思議な少女。緊張感のある山での生活だけでなく、里の変化が不気味で怖い。熊だけではなく人間も怖い。

    0
    投稿日: 2025.09.29
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    賢くていいわんちゃんが、終始救い。 熊にやられて治療する描写が、なかなかにグロくて薄目になりました。

    1
    投稿日: 2025.09.25
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    久々の読書。 ハードボイルドな男と熊の猛々しい純文学かと思い、読み進めると前半はまさにそんな雰囲気だったが、良輔や陽子、赤子とのやり取りなどから、生と死、獣にも人間にもなりきれない半端者な熊爪の在り方という文学らしいテーマにシフト。 ラストシーンの、わんこだけが熊爪を覚えててくれてて、犬かわいいーってなった。 物語を通して、一番熊爪と向き合ってくれていたのは、人間なんかではなくわんこだと思った。 名前つけてあげてほしかったなぁ。。

    13
    投稿日: 2025.09.16
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    熊との闘いの話だと思っていたけど、熊爪が孤独な生き方を脱し家庭を持つ話?かとも思ったけれど、そうでもないようで。話の主旨が分からないが、グロテスクな場面も多く、目を塞いだり、首を抑えながら読破。

    1
    投稿日: 2025.09.14
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    直木賞受賞作と知って読んでみた。私にはなかなか難しかった。「生きる」ということをいろんな視点から見ている作品だった。熊との格闘の場面の描写は目に浮かぶようだった。

    0
    投稿日: 2025.09.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    明治時代、山で熊や鹿を狩り生活している男の生きざまを描く。 熊との死闘、仕留めた鹿や兎の解体の様子のが生々しい。 自分自身も自然界の獣のひとつのように死を受け止める熊爪の最期を覚えているのは名をもたない犬だった

    1
    投稿日: 2025.09.10
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    生きるために生き物の命を奪い食べることは日常の行為、でも、それを普段を感じないままに過ごしているけど、熊爪の生き方、生活はほんとにすごいし、それをリアルに描いていて、面白かった! 人が動物であることを感じられる作品でした!

    0
    投稿日: 2025.09.09
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    前半の狩りの描写や村での人間離れした描写はとても面白かった。 後半腰を怪我してから陽子を攫う辺りは前半の山に生きる熊爪から人が変わってしまったような気がして、作中の良輔と同じように寂しく感じてしまった。

    0
    投稿日: 2025.08.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    明治後期、北海道の奥山。獣のように生きる猟師・熊爪は、熊との死闘や人との出会いを経て、「自分は何者か」という問いに向き合う。 自然の中で生き抜く研ぎ澄まされた感覚が凄まじい小説だった。 熊爪は猟師の養父に拾われ、山で暮らす術しか知らない。街との関わりは、獣の皮を売るために馴染みの商店を訪れる程度。判断基準は自分や山の生き物の観察から得たもので、人間よりも獣に近い。 ある日、熊に襲われた男を助けたことが転機となる。見捨てなかったのは、自覚はなくとも養父に助けられた経験が影響したのだろう。その後、穴持たずとの闘いで最強の熊・赤毛と遭遇し負傷する。人間社会で助け合う経験を経た熊爪の思考は、人間らしい悩みに満ち始めた。 炭鉱夫への誘いもあったが、彼の最終的な判断は獣のそれであり、赤毛との死闘に挑む。赤毛を倒し、自分が死場所を求めていたと悟る姿は、人間にも獣にもなれない哀れさを帯びていた。 その後、人のぬくもりを求めて盲目の少女・陽子を攫い、擬似家族のように暮らすが、穏やかな生活はしっくりこない。死場所を求めて熊に挑むような男が、道理に外れた行いをしてのうのうと生きられるはずがない。 やがて、道理外れの象徴のような陽子に命を奪われ、熊爪は本望だったのだろう。近代化の進む日本で、彼なりの幸せな最期を迎えたのではないか

    2
    投稿日: 2025.08.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    明治時代頃の、北海道の山奥で1人暮らす猟師の話。人と関わらずに1人で静かに、たまに町で獲物を売りその金で鉄砲の玉や米や酒や女を買って暮らす。が、暴れっぽい熊とそれにやられた男、九死に一生の経験から違う人生を考え始める。山の王である熊と死ぬこともできず、女と山奥で暮らすことを選ぶ。が、殺された。人間は他の動物とは違うようで、結局同じなのかもしれない。

    1
    投稿日: 2025.08.05
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    レビューするのは複雑だ、、、 まず最初においっ羆かよって。最近羆に喰われた福島町の郵便配達さんのニュースに肝を冷やし。この羆、数年前におばあちゃんも食べてて既にウェンカムイだった。8月福島町旅行予定だったがチビり過ぎてキャンセルした身の私にまた羆かよと。羆の恐ろしさは、キンカムと慟哭の谷で既に充分学習済みww 引き込まれる小説なのは間違いない。炭鉱が栄えてくる時代だから1900年前後の北海道。ほとんどが原野でしょう。養父に育てられみっちりと山で生きていく術を叩き込まれた男。この男は山深い場所で狩猟や山菜採りの自給自足の自活者としては全方向に常に細心の注意を向けて準備万端慎重に生きてる。独り狩りをする様子や肉の処理など描写は鮮やかだ。 物語に引き込まれる一方で、ずっと気持ちが落ち着かない。この男が狩猟や採取した山菜など売るために稀に町におりた先にいる人達も、こっちをなんとなく不安にさせる人物ばかり。 なんでこんな落ち着かない気持ちになるのか考えた。私なりの結論は、この男が全く社会性がないところなんじゃないかと。後半は町の人が出てくる場面が多くなるが、なんせ彼は人と一緒に生きていない男だ。この男を見ていると人間ではなく火や銃を扱う野生動物な気がしてくる。この男=野生動物≠ヒューマンなところが私の脳をバグらせ、不穏にさせているのではないか。この男の一生は、人間ではなく動物の一生だった。人も動物なんだけど他人と関わらない生き方はたいそう私を不安定にさせる。

    2
    投稿日: 2025.07.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    直木賞受賞作ということで、図書館で借りた本。 赤毛と熊爪の決闘シーンからページがすごく進んだ。 熊爪という無骨な男の生き方が、野生のクマに例えられている。結末には驚いたが、狩人としての矜恃を持ちながら死に場所を求める、熊爪の生き方に惹かれるものがあった。

    0
    投稿日: 2025.07.25
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    羆嵐とかシャトゥーンが好きなので、熊文学!と思って読んだら期待したものと違った。前半は結構良かったけれど人食われない。。人と獣に違いはないけれど、人は獣のようには生きられない。 わんこ可愛い、それに尽きる。

    1
    投稿日: 2025.07.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    電子書籍で最初に読み、引き込まれた。 途中から本で読みたくなった。 こんな動物的な生き方があるのか。 なんとも言えない生臭い表現がちょっと怖かった。 ともぐいってどういう意味なのかと 読後も色々な妄想をした。 母として子を守るために陽子もまた動物的な選択をしたんだと思った。 なんとも言えない終わり方で熊爪の幸せと言うより 陽子の強さを感じた。

    3
    投稿日: 2025.07.05
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    2025年21冊目 これまでに読んだことがないタイプの一冊。 長い。が、その分、読み終わったあとの余韻もすごい

    1
    投稿日: 2025.07.05
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    熊撃ちの男の話。穴持たずの凶暴な熊との対決を、目指すが倒したのは屈強な赤毛の若い熊。猟師の最後の目標とした赤毛。目標を失うが、女と山での暮らしを続ける。どこまで生きていいのか、その先は、、、

    1
    投稿日: 2025.06.30
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    結構なグロテスクで途中読み飛ばしたところもあったが、グイグイ、引き込まれていった。 熊と格闘するところがとにかく見どころ。 体の不自由がきかなくなってからは、ちょっと迫力にかけた。

    0
    投稿日: 2025.06.11
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    むせかえるような男臭さのハードボイルド小説。今時こんな生活をしている人はまずいないし、誰が描いても想像力と地道な調査に基づく知識がないとできない仕事。どんな人の作品なのかと思いきや、女流作家の作品ということで驚嘆させられた。序盤の鹿狩りのシーンから圧倒され一気に深い山奥の世界へ引き込まれてしまった。さすがは直木賞受賞作。ハードボイルド娯楽小説として文句なしの満点。

    1
    投稿日: 2025.06.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「愚か者の石」と「森田繁子と腹八分」を読んで北海道小説河崎秋子に注目、追いかけてみようと読んだ3作目がこの本。いやいや、またまた全然違うテイストの小説。 人間と獣の違いってなんなんやろ?どこからが人間でどこからが獣なんやろって、読んでる最中は夢中でも、どこかに境界線を意識させられている。 主人公熊爪の生き様は、単純明快。生きて猟をして飯を食って排泄して、時々町に出て肉や毛皮や山菜を売った現金で米や調味料を仕入れて、女を買う。 猟のことや山で生きていくことの手間は惜しまないが、人間らしい面倒くさいことは極力省略したがる。壮絶なミニマリズムライフである。 中盤以降、熊爪の生活に迷い熊と盲目の女という2つの違和感が入ってきたことの連鎖反応がなんとも凄い。怒涛というかとんでもないラストに向けての物語のスピードアップも心地よい。 いやー、すげー小説やわ。直木賞受賞らしいが、この本の熱エネルギーなら当然やろなぁとも思う。

    1
    投稿日: 2025.06.08
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    一人の猟師の物語。読み始めてすぐにストーリーに引き込まれていった。色々な意味で衝撃的。実際に獣臭や血の臭いがしてきそうだった。強烈な印象を受け、読後に変な疲れが残った。

    1
    投稿日: 2025.06.06
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    ともぐい 作者は何と何を称してともぐいとしたのだろう 最終章は「とも喰らい」 親とこの関係 人間関係 自分の生き方 色々考えさせられた

    1
    投稿日: 2025.06.03
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    熊文学という響きから連想するイメージや期待を裏切らず物語が進行していく 猟師としての行動や思考の過程は、人として生きる我々の範疇からずれているが、本来の動物の一員として生きる本来の姿だろうとも思う そして物語は熊文学のジャンルを越えた何かに変容していき、想像していた狩人と獲物との関係といったものとは異質な展開に引き込まれた これは昇華とも違う、いわば沼の中に沈み込んでいくような感覚だった

    1
    投稿日: 2025.06.01
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    愛情という感覚を知らずに育った熊爪の生きざまが興味深かった。 シンプルでより動物に近い生き方。 街の人々の混沌とした関係や感情になじまない。 その素朴さに魅かれ面白がった良輔の気持ちは、よくわかる。 己の弱さのためだけに、熊として強く立派で素晴らしい赤毛を殺してしまったときの熊爪の気持ちは、言葉で表しにくい痛みだと感じる。 自分の醜さと弱さを痛感したことと思う。 あそこで、熊爪は終わったのだと思う。 陽子の気味の悪さ。 名前からして存在を欺いているかのようだ。 この物語において、女はこわい。 どの女も、こわくて気味が悪い。 男のシンプルさ・愚かさが引き立つように思った。 私には、熊爪の最期は、なんだか熊爪にふさわしいような気がした。

    0
    投稿日: 2025.06.01
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    釧路から西へ10km程離れた白糠(しらぬか)の山中が主な舞台となっている。 そこに熊爪と称する猟師が、一頭の名の無い猟犬とともに住んでいる。 熊爪は、銃弾などの必要最低限の物を求めに白糠の人里に下りるが、基本は山中で自給自足の暮らしを送っている。 唯一人間社会と繋がりを保っているのは、毛皮や鹿肉などを高額で買い取ってくれる門矢商店の主人、井之上良輔とその同居人たちに限られていた。 地元の人達は、山男の得体の知れない熊爪を忌み嫌っていたのだが、良輔は分け隔てなく親しみを込めて熊爪と接してくれた。 時代が進むに従って、漁港を中心にした牧歌的な白糠の町にも、近代化の波が押し寄せて来る。 好人物だった良輔も、家業であった門矢商店を他所に炭鉱業に関心を示すようになり、それによって人柄までもが変わってしまう。 これまでの良輔を慕っていた人々も、徐々に離れてゆくことになった。 熊爪も同様に、人里を離れて山に戻って人生の最終章を送ろうと心に決める。 その時に、良輔宅に住んでいた身重の少女を貰い受け、山小屋に連れて帰る。 少女の陽子は小屋で男児を産み、その後に熊爪の一児をも産んだ。 熊爪は、陽子と子供達を通して命の意味を考えるようになる。 真からの猟師である熊爪は、これまで鹿や熊との命のやり取りを通して、新めて命そのものの意味を考えるようになる。 そして畏敬の念を抱いていた熊との最後の命のやり取りに対峙することになる。

    9
    投稿日: 2025.05.23
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    赤黒い読後感という表現が、どれほど正しいものかはわからない。 体の中の内臓をかき回せばきっとこんな温度なんだろうと想像する。どろりと重く、明度の低い血の色が思い浮かんだ。凝縮された血の濃さを、口の中で確認するかのような生臭さや吐き気にも似た何か。 ぎょっとするような、グロテスクとさえ感じてしまう表現は、ずしりずしりと重たく響くのに、なんて静かな命の物語なのだろうか。 生きることも死ぬことも、すべてにおいて取り繕うことのない、生命のやりとりを描いた一冊。 決して心地の良い物語ではない。 しかしだからこそ頭の中に刻まれ、残り続ける何かがあるのだとも思う。

    7
    投稿日: 2025.05.21
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    直木賞受賞作。 基本的に、こういうのは苦手です。 ただ、読んでいくうちに、引き込まれて、どんどん先を読みたくなる。 鹿を仕留めて、解体していく描写などが詳しく、気持ち悪いのですが、目の前に迫ってくるというか…。 北海道の山の中で、鹿や熊を狩って暮らす猟師の熊爪。 白糠の町へ肉や皮を売りに行き、その収入で、米や酒、鉄砲の弾などを買って生活している。 ある時、冬眠しない熊を仕留めそこねて、熊に襲われた男を助け、応急処置をしてしばらく介抱して、白糠まで連れて行った。男を助けたのは、同情ではない。男をそのままにしておくと、熊に食べられ、人間を食べた熊は、再び人間を襲うので、自衛の意味もある。 男をいつも白糠で肉を買い取ってくれる商家へ連れて行った。そこで、事情を話すと、主人に、人を襲った熊を仕留めてくれと頼まれる。 山に戻り、人を襲った熊を探す。見つけた時には、他の赤毛の熊と戦っていた。赤毛の熊は、昔、熊爪が仕留めた熊の子どもで、当時は逃したが、立派に育っていた。感慨深い。 狙っていた熊は、赤毛に襲われ死にそうになった時、熊爪を見つける。そして、熊爪に向かって突進して来た。熊爪は、銃を向けるが間に合わず、襲われて意識を失う。目を覚ますと、熊が上に覆い被せられていて、それを退けると、赤毛の熊が、去って行くのが見えた。熊は死んでいたが、それを食べる気にはならなかった。そして、熊爪は、激痛に襲われ、骨盤あたりを骨折しているようだ。鉄砲を杖にして、小屋まで帰って、寝入る。 人の声で目を覚ますと、白糠の商家の小僧と医者が来ていた。飼い犬が知らせたようだ。 医者が診てくれ、骨折しているので、寝ていれば骨はくっつく、動けるようになったら、町に見せに来いと。その間、小僧や使用人が食料を運んでくれた。 ある程度元気になったので、山を降りて、商家に向かう。まだ、回復しておらず、医者にも怒られ、商家でしばらく世話になった。足が治らず、猟師を続けられるのか…。商家の主人から、炭鉱で働かないかと誘われた。少し考えると答えた。 回復して山に戻る。以前のようには狩はできない。あの赤毛の熊を倒してから、考えようと決意した。しかし、夏は草木が生い茂り、狩には向かない。初雪が降って、熊が冬眠するまでの5〜10日が勝負。 赤毛を見つけ、仕留めるが、微妙に急所を外してしまい、赤毛に襲いかかられる。熊爪は、死を覚悟、でも、山で死ねるのは本望と思ったが…赤毛は、熊爪に襲いかかる一本手間で生き絶えた。 熊爪は、生きる目的を失った。 疲労困憊で小屋で寝ている時に、急に思い立つ。 商家にいた目の見えない女が欲しいと。 白糠まで行くと、あの商家は、寂れていた。 主人に、目の見えない女が欲しいと伝えると、連れて行けと。女は主人の子を宿していた。 女を連れて、山小屋に戻り、2人の生活を始める。 出産を見ると、熊の出産のようだと感じる。 子どもと女を食わせるために、鉄砲ではなく、弓矢を使い、兎など小動物を狩るようになる。2人の存在が煩わしくもあり、1人の生活を恋しくも感じる。 そのうち、女は、熊爪の子を宿す。 子が流れると女に性交を拒まれるが、無理矢理襲う。目が覚めると、女に首に小刀を突きつけられている。 殺す気かと尋ねれば、そうだと答える。 熊爪は、女に殺される事を選ぶ。

    5
    投稿日: 2025.05.18
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    色んな意味で衝撃的な作品だった。 自然界でも人間界でも弱肉強食と言われるが、本当の強さって何だろうと思った。 ストーリーもインパクトがあったが、描写も素晴らしい。山の空気や匂い、野獣との死闘の迫力など、読者をこの物語世界へ引き込んで体験させる力があった。

    0
    投稿日: 2025.05.10
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    これは大作。 文字だけで未開の大地で死闘を繰り広げる獣たちの様子を読者に鮮明に思い描かせる。 それだけでなく匂いや叫び声、空気の流れまでも。 著者がどんな結末を用意しているかと思っていたが、『ともぐい』というタイトルに負けず劣らずの衝撃的な選択だった。

    1
    投稿日: 2025.04.18
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    誰もがいろんなことを抱えて1人で生きているのかもしれないです。ならば、人同士の関わり合いというのは何なんだろう。良くもあり、ある種の苦痛も伴うものなんだろうか。生きるって何なんだろう…。 狩の様子や気持ちの変容など、描写が素晴らしく、のめり込み一気に読んでしまえる1冊でした。

    0
    投稿日: 2025.04.11
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    熊爪の人生。 熊や野生の生き物と、人間との関わり。 この人が、この後の人生をどう過ごしていくのか? 思わぬ怪我で、人としての人生を歩む熊爪。 人として、こんな人生もあるのかと感銘を受けた本だった。

    2
    投稿日: 2025.04.10
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    上手く言葉に出来ないのだけど、自然と共に生きる男の数々の死闘や葛藤が、なぜかぬくぬくと現代に生きている自分にはその気持ちが分かってしまって、最後は大声で泣きたくなった。

    0
    投稿日: 2025.04.10
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    簡潔な文体だけれど熾烈で強烈な読み応えで、山の木々や谷川や風や雲や鳥獣から立ち上る濃厚な匂いに押しつぶされながら読み続けた。圧倒された。 猛々しく細心に、知恵と本能で闘う猟師熊爪がとても魅力的だったので、後半の転調は物足りなかったけれど、結局、彼ははんぱものとしてあり続けることは許されず、山の生き物として生き果たし、最後は山に同化して朽ち果てたのだなと思った。

    1
    投稿日: 2025.04.09
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    行間から立ち昇る獣臭や血の匂い。 山の季節の移ろい、獣や樹木、森羅万象の描写が とても秀逸。 熊を題材にしたフィクション、 ノンフィクション問わず読み漁ってきたが ダントツNo. 1でした。 山岳小説も大好きなので風や雪、光の表現なども とても良かった。 ストーリーもグイグイ引き込まれ、 ページを捲る手が止まりません。 後半からラストも圧巻! 読後感もとても満足でした。 あくまで個人的には星5個では足らない‼︎

    1
    投稿日: 2025.04.05
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    河崎秋子さんは北海道で牧羊をしながら作家をしているという変わり種でしたが、その風変わりでワイルドな生き方にふさわしい作風で、個人的に応援していました。 この作品のマタギをテーマにしているので、めちゃくちゃワイルドです。この「 ともぐい」というのが熊と、熊と同化したい主人公の共食いという意味なのかは読んだけどちょっと分からなかったです。

    9
    投稿日: 2025.04.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    熱中して読み進められる本に久しぶりに出会った。 最初は抵抗感ある場面もあったけれど、なかなか知り得ない世界....!と思うと、なるほどなぁ、へぇ〜と感心しながら読み進められた。 文章が簡潔でいて場面を想像しやすいので、世界観にすぐに引き込まれる。 獣と人間と、あらゆる登場人物がそれぞれ印象に残り、個人的には犬の存在がこの物語の1番心温まる部分だったので、最後まで描かれていてよかった。

    3
    投稿日: 2025.03.25
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    好き嫌いあるだろうとは思うが、 個人的にはとても面白かった。 人の世に目を背け、人間と動物の境界線を行き来する二人の姿の向かう先が気になって一気に読んだ。

    2
    投稿日: 2025.03.25
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    後半のなんとも言えない荒々しい感じがつらかった。 ただ、最後の最後。 終わり方がなんだか優しく儚い感じがして不思議と読後感は悪くない。

    8
    投稿日: 2025.03.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    https://note.com/futen_seisuke/n/nf7c58c15b2e7 第170回直木賞受賞作!己は人間のなりをした何ものか――人と獣の理屈なき命の応酬の果てには_ 死に損ねて、かといって生き損ねて、ならば己は人間ではない。人間のなりをしながら、最早違う生き物だ。明治後期、人里離れた山中で犬を相棒にひとり狩猟をして生きていた熊爪は、ある日、血痕を辿った先で負傷した男を見つける。男は、冬眠していない熊「穴持たず」を追っていたと言うが……。人と獣の業と悲哀を織り交ぜた、理屈なき命の応酬の果ては――身体の芯をえぐられるような死闘の連続! *** 明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河﨑流動物文学の最高到達点!!

    0
    投稿日: 2025.03.21
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     仕事から帰って、着の身気のまま、顔も洗わず、風呂もキャンセルして(いらん情報)一気に読み尽くした。こういう読書は久しぶり(^.^)  明治後期、独り山の中で、猟をして暮らしていた熊爪。食糧は自分で穫った動物や山菜。獲物の皮は服や布団としても使い、自分で食べない分の肉や山菜は町に売りに行き、米や酒や煙草や銃弾を買って暮らしていた。町の人間に勧められても町では暮らさず、山と動植物のことを知り尽くして独りの暮らしを守っていた。  そんなある日、熊爪の平和を乱す出来事が…。他所からきた「穴持たず」(冬眠しない)の熊とそれを追ってきた、「よそ者」の愚かな男。熊に襲われ怪我をした男のことはどうでも良かったが、熊に人間の血の味を覚えさすわけにいかなかった。そして人間との喧嘩で憤った熊を放っておくわけにもいかなかった。  他所からきて、この山の小熊を食べ、その母熊を犯し、熊爪の生活まで乱す、荒くれ者の熊。「許せない」と闘いを挑む熊爪は人間から動物に対する視線というよりも「熊対熊」か「人間対人間」かと思うほど、熊爪は熊と対等に闘う。だけど本当に闘うべき相手はそんなチンピラの荒くれ者の熊ではなかった。人格(熊格?)もリスペクト出来る熊の中の王がいた。怪我をし、猟師として立ち行かなくなった熊爪は熊の王と闘って熊の王に殺してもらいたかった。だけど殺してもらえなかった。 「熊にも人間にもなれなかった」 熊爪はそれまでの一匹狼の生き方をやめ、人間の女と暮らし始める。熊爪も人らしく所体を持つようになったのか…。 熊爪は人間としてというよりも一匹の雄としての生き方を全うしたと思う。そしてその女も雌としての生き方を選んだと思う。 「生きざま」という言葉は本当は無かったらしい。「死にざま」という言葉があったから誰かが「生きざま」という言葉を使いだしたらしい。 「生きざま」とは本当は「どう死ぬか」を決めることではないだろうか。 熊爪を育てた男はアイヌ人に育てられたらしい。アイヌの文化もまだ残り、熊爪が一日がかりで山から降りたところの町では漁師や商売人がいる。それなりに潤っている町に炭鉱が作られ、そして日露戦争の影が忍びよる。戦争の時はアイヌ人が「日本人」と認められたいため、進んで戦地に赴いたことなどを他の本で読んで知った。アイヌ人にしても本州から移住した人にとっても厳しい北国の生活を送る中、国が始めた戦争に協力することは尚も厳しいことだったろうな。北海道の歴史にも触れられているところが興味深い。

    98
    投稿日: 2025.03.21
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    命の描写が巧み。生物の息遣い、体温、野生への憧れ、一体化。作者の描写には反する気もするが、合理でなく半端な存在が人間と理解。

    7
    投稿日: 2025.03.20
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    北海道の山奥に一人住まう男、熊爪の死生観と生き様が描かれている。最期は意外な展開だったが。生きるとは...。"命を余すことなく使いきる"その作法も描かれているのではないかと感じた。

    0
    投稿日: 2025.03.11
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    ヒグマとはどういう生き物なのか?chatGPTさんに聞いてみました。 体重と大きさ: 成獣のオスは120~300kg、最大個体は500㎏近くになることも。体長は2~3mほど。 走力: 時速50km以上で走ることができ、短距離なら馬や人間よりも速い。 泳ぎ: 優れた泳ぎ手で、湖や川を渡ることができる。 咬む力: 噛む力は約800~1200kg/cm²で、骨を砕くほど強力。 爪: 長さ8~12cmの鋭い爪で、木を削ったり、一撃で大型動物を倒すことも可能。 腕力: 前足の一撃は500kg以上の衝撃があるとされ、牛の頭蓋骨を砕くほどの力を持つ。 いや、凄まじいですね。彼の地の複雑な食物連鎖の頂点に君臨する、まさに殺戮の王です。ことさらに肉食を好むわけではないそうですが。 ヒグマから見ると1/5程度の体重、柔らかい皮膚を持ち、爪も牙も毒も持たず動きも遅い人類が対抗するなど、初期のイキリヤムチャがフリーザにケンカ売るみたいな結果になるでしょうが、それができる人間もいるんですね。 この小説で、小説技法的な誇張もあるでしょうが、完成された猟師というものがいかに人間離れした存在か知りました。すごいぞ。 思考方法が異質です。シンプル。 「自分は他の生き物の命を奪う存在だ」 そこに罪悪感などありません。 殺して、喰う。または売って弾丸と米を買う。そしてまた殺す。 他の存在(動物、人間関係なく)は獲物かそうでないか、役に立つか立たないか、で判断。 自分の縄張りを犯す者には激しく怒り、人助けをしているように見えてもそれはヒューマニズムではなく自分の縄張りの保全のため。必要なら子犬でもちょっとしたものを片付けるように殺す。必要がなければ獲物がお腹さらして昼寝していても無視する。 北海道、白糠の山中の小屋に一人で常駐し、零下30度でも活動できる体力がある。 周辺の動物からするとその小屋は地獄の鬼が棲む巣に見えるでしょうね。人間というハンデを抱えつつも、あのヒグマをも狩ろうというのですから。一章の小タイトルの通り”冬山の主”です。白糠山中を仕切る頂点捕食者(トッププレデター)として存在しています。 最強同士の戦い(ジェノサイドキングかプレデターか)が、この物語の前半の主題です。 そして後半は、様々な理由でかつての自分ではなくなった「はんぱもん」たちがとも喰らいを始めるやや腥い展開となります。 主役の猟師から獲物を買い取る大店の主人に良輔さんという人が出てきます。いかにもな旦那衆で鷹揚な対応をしてくれ、猟師の話を聞きたがります。ちょうど本を読んでいる我々と同じ視点で、自分ならこんなことを猟師に聞いてみたいと思うことを聞いてくれるので実に気持ちがいい。前半は良輔さんの視点から物語を見ていく感じになります。  良輔さん、日露戦争へと時代が動く中で変化していくことになりますが、この人最後まで好きだった。とても人間らしい。物語の終盤で実にいいセリフを吐きます。 この物語で唯一、はんぱもんに囲まれながら己を貫き通した、名前すら与えられなかった「犬」の見事な生きざまと、はんぱもんたちのうろたえ蠢くグロテスクな姿の対比がとても印象的でした。 作中猟師の使う村田銃についてちょっと調べてみました。 村田銃: 薩摩藩の火器専門家、村田経芳がフランス、グレース銃をモデルに開発し、1880年(明治13年)に陸軍に採用された銃。 後に紙製の薬莢ではなく金属製に変更するなど当時としては世界でも最新鋭の銃だった。 (明治)13年式、16年式、18年式、22年式とあり、22年式のみ装弾数8発、それ以外は1発。 口径は11㎜、猟銃として使用されたのは主に13年式と18年式だった。 やはりというか、ヒグマ相手には威力不足も甚だしく、卓越した技術と精神力の猟師が至近距離でピンポイントの急所に当てないと斃せないそうです。

    10
    投稿日: 2025.03.09
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    めちゃくちゃ凄い小説だった。 衝撃的だった。 生きることの全てが書かれている。 狩りや治療の細密な描写は気持ち悪くなって読めなかったけど、それ以外はぐんぐん読めた。止められなくなる。 気持ち悪くなる程の描写は、それがとても大事なのだ。命というもの、生物というもの、それをはっきりさせる。 冒頭長めにそれを持ってくることに意味がある。 3/4くらい読んだところでコロナに罹患して、入院中に読み終えた。 元気な時ならもう少し違う事も思ったかも知れない。 でも、説明とか感想とかは不要に思える作品に感じた。 爽やかな良い話、泣ける話、というのではないけれど、私はこの本は凄く良い本だと思う。姪と甥が読めるようになったら読ませたい。

    2
    投稿日: 2025.03.09
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    迫力満点でした。描写が上手くて読んでいてぞくぞくしました。 抜歯後に読んでいたのでどんどん歯が痛くなって、頭も痛くなってしまいました。 犬がよかったなぁ。 普段読まないジャンルも読んでみるとなかなかおもしろいですね。無敵の熊爪が打ちのめされて、己とは、生きるとは、生かされるとは、考えるところがよかったです。は?って思うところもあったけど最後まで読んでしまいました。

    0
    投稿日: 2025.03.05
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    北海道の山奥で1人生きる熊爪の生き様がすごい。人間を超越した何かのよう。ヒグマとの死闘はまさに手に汗を握るが、わりとあっさり片がついたのは拍子抜け。赤毛のヒグマを倒した後はまさしく半端者になったのか、温もりを求めてその果てに殺される。まさしく山でしか生きられなかった熊爪ってなんだったんだろうな…

    1
    投稿日: 2025.02.26
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    この小説は「死」を、そしてそれに伴う形で「生」を描いていると思う。前半だけなら「山の主とも言うべき大きく強い熊」とその山で1人で生活している主人公「猪爪」との生きるための壮絶な闘いを描いている。しかし、後半は怪我を負って「山で生きることの出来なくなった」猪爪の「山で死ぬための」生き方を描いているようだ。最高の生き方とも最悪の死に方とも思えないが、ある意味「極限の生き方」かも知れない。そして読み終わった時、何とも言えない感動と虚しさを感じてしまう。つまり「命を賭けて闘うこと。自分の死に場所が分かっていること」に、そして「そう言う生き方しか出来ない人間であり、死ぬ時も死ぬ場所も誰に知られることなく死に向き合えること」等。 人それぞれ感想は違うと思うが、私はそう感じた。

    0
    投稿日: 2025.02.26
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    「森田繁子と...」を読んでから、手にした本。迫力ある描写で、圧倒される。熊との闘いだけかと想像していたが、良い意味で裏切られた。タイトルもいい。

    5
    投稿日: 2025.02.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    強烈な獣臭が漂ってくる生々しい描写に終始圧倒されっぱなし…! 限りなく野生に近付いた人間と、限りなく知性を得た猛獣の、命を賭けた決闘! まるでその場に居合わせたかのような臨場感があり、まさに手に汗握る一騎打ちでした!このためだけに読む価値のある物語だと思います 後半はそれまでとは打って変わり、人にも獣にもなりきれない「はんぱもん」としての葛藤ともどかしさが伝わってきました。 熊爪がもし他の生き方を知っていたら、、、人生に目的を見出すことができたなら、、、と考えずにはいられません…何かを変えることって本当に難しい 何のために生きて、何を以て死ぬのか かなり考えさせられた一冊でした

    14
    投稿日: 2025.02.23
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    直木賞受賞作品は個人的にあんまり合わないものが多いが本作品はただただ勢いにのまれたというか、圧倒されまくりだった。熊との死闘が永遠と続くのかぁと半ばがっかりしていた自分がいつの間にか自然の脅威と共存する熊爪の生き方に翻弄されていた。びっくりするやら信じられないやら猛々しい内容に必死でくらいついていったようなきがする。人との交わりで足を踏み外すのか、踏みとどまるのか後半も目が離せなかった。犬の健気さにも胸が熱くなり、ラストまで行くと妙な達成感すらあった。すごい、この一言に尽きる❗️

    12
    投稿日: 2025.02.12
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    熊と人間の息詰まる攻防の前半と山でしか生きられない男と親に見捨てられた女のやり取りの後半がシンクロしてくる構成は妙に納得させられ、見事の一言である。

    3
    投稿日: 2025.02.11
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    直木賞受賞作なので一応読んだ そして一気にファンになってしまった 自分も本物に憧れて久しいが 何者にもなりきれていない 熊爪は本物の狩人だ やはり一定の魅力があるのだろう なかなか読み応えのある面白く 迫力のある作品だった

    3
    投稿日: 2025.02.11
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    すごかった。最初に助けた男の治療場面で痛みに耐えられず本を閉じた。 何日か不意に思い出しては痛くて続きは読めないかも…と思ったけど、何とか薄目で読み切った。 小説からこんなにも肉体的な痛みを感じたことはないかもしれない。ほんと容赦ない。そこらのサイコキラーものより痛い。 自分と掛け離れた世界の話なのに、なぜこんなにも現実味を伴って痛みを感じるのだろう。

    2
    投稿日: 2025.02.09
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    強烈な読書体験だった。水を汲みに立ち上がることもできないくらい、ページをめくる時間も惜しいくらい、引き込まれて読んた。 主人公「熊爪」は人間なのか獣なのか、純粋なのか鈍感なのか、賢明なのか愚かなのか、何とも現代人からかけはなれた人物像であった(時代設定は明治時代)。 吉村昭氏の『熊嵐』などを彷彿とさせた。熊の人間の襲い方は同じなんだなと。顔、なのね。 熊爪が熊にやられた男(太一)を介抱する場面も強烈だった。現代人には持ち得ない生きる知恵と技術…… そして想像もつかないラスト…… あぁぁ、すごい作品でした。女性が書いたものとは……という驚きも。

    3
    投稿日: 2025.02.07
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    明治時代。北海道白糠の山で生活する熊爪。山で肉をとり、冬を越え生活していたが、穴持たず(熊)にやられた人間に出会ってから少しずつ運命の歯車が回り出す。 最後まで読んで、なるほど、こういう感じで終わるのねって思った。熊爪の山での生活や気持ちの変化などが微細に描かれていて面白かった。

    1
    投稿日: 2025.02.04
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    2023年(第170回)直木賞受賞作品 明治後期、主人公の熊爪は深い山奥で犬とひっそり暮らす猟師 兎、鹿、熊と向き合って狩って食って暮らす まれに白糠の町に出かけて白糠一の金持ち良輔の店で 毛皮や肉と鉄砲の弾やなんかを交換する 番頭や奥方や盲目の少女陽子が居るが人との暮らしは合わない そんな暮らしをずっと続けるはずだった熊爪に様々な変化が訪れる 熊の穴持たず、赤毛との接触、人との交わり、時代に追われ。。。 タイトルの「ともぐい」は熊のそれか?それとも。。。 熊爪はどうなって行く 獣のように?人間らしく?厳しい自然と時代に翻弄されて生々しく生きる男を描いた魅力的なお話

    1
    投稿日: 2025.02.03
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    凄いとしか言いようが無い作品 山奥で一人と犬一匹で狩りをして 生きる熊爪 時々白糠の町に毛皮や熊の胃 干し肉 などを売りにいく 店の主人は彼の話を聞くのを楽しみに している 冬眠しない熊を追って来た猟師を 助けたことで彼の運命は大きく変わる 彼を山奥で育て山で生きる術を教えた 父親は彼が山で一人で生きられるようになったある日 雪山に犬と出かけどうなったか わからないままで 多分自分で死ぬ時と場所を選んだ 生き方 山で生きるとはそういう事か その昔は人間誰しも持っていた力 今は誰しも持ち得ない力 読み終わってため息がでた 凄い作品

    1
    投稿日: 2025.01.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人としての情や道理を教わらずに育った変わり者の猟師の営みとその変節。 もとは連載の作品であるためか、同じような説明が多く、やや冗長だと思った。短編で読むほうが面白かったかもしれない。 日露戦争前の道東が舞台で、基調のリアリティは確かに感じられる。

    0
    投稿日: 2025.01.24
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    これだけ臭いのする作品、あるでしょうか。 単なる読書体験を超えてくるものがありました。 キーポイントは、犬でしょうね。

    0
    投稿日: 2025.01.19
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    職場でも地域社会でも、人間関係をうまくやれない私は、太古の昔──狩猟で暮らしていた時代に生まれたかったなぁ、とよく思っていました。でも、そんな甘くないですね。息詰まるような命のやり取り。熊を撃つのは命懸け。想像もつかない、いろんな野性の臭いに満ちています。

    22
    投稿日: 2025.01.16
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    ●環境学生委員会推薦コメント● 第170回直木賞を受賞した小説。 明治後期、北海道の山奥にいる孤独な猟師が、熊や人間と関わり、自分自身にとって「生きる」ことの意味とは何なのかを模索する物語。人間と熊の関係性を生々しくも美しく描いた作品です。 ●農学部図書館の所蔵はこちらです● https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD04935692

    0
    投稿日: 2025.01.14
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    なんだったんだ…これは… というのかを読み終わったときにでた一言です。。。 読むのがハードでした…最初から最後までほぼほぼ… 犬だけ、応援したくなる存在。

    1
    投稿日: 2025.01.06
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    第170回直木賞受賞作。 ちなみに、第146回芥川賞受賞作も同タイトル(「共喰い」と漢字表記ではあるが)。 明治後期の北海道の山奥で、ひとり自給自足の生活をする猟師の物語。 大自然の中の孤独に思いを馳せると、生きるとはどういうことか突きつけられる。 一気に読ませられる。 結末はあまり好きじゃないけど、主人公にとっては望んだ形なのだろう。

    45
    投稿日: 2025.01.05
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    とにかく凄かった。 漫画のファブルみたいな、山で育った熊爪という男が主人公です。熊に襲われた人を手当てするシーンの描写の部分なんかは壮絶すぎて、感情をオフして読みました…。 あと相棒の犬が強すぎ(笑)。 ドラマ化するなら誰かなぁと考えてみましたが 熊爪→青木崇高 良輔→高橋一生 陽子→浜辺美波 で観てみたい。 でも実写化厳しいかなあ。

    2
    投稿日: 2025.01.04
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    猟師と山の動物達と町の人間達との対比した生き様の物語。 リアルすぎてグロテスクな表現が時々あり目を背けたくなった。 面白いかと言われれば苦手な作品だが、凄いものを読んだという気になった。

    1
    投稿日: 2025.01.01
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    熊爪の猟師としての生き様、世の人間よりも熊や鹿、兎のこと、山の自然と四季の移り変わりを最も知っていた。熊爪は自然の一部として生きていた。 読者は、そんな熊爪に憐れみ物悲しさを感じるが、読了してそうではないかもと感じた。 自然を、生きることは何かを感じられる。流石、直木賞受賞作品だと思った。

    5
    投稿日: 2024.12.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最後の方まで、うーんあんま面白くないなあって思いながら読んでたけど、最後の熊爪が陽子に殺されるところと後日談が秀逸だったわ

    0
    投稿日: 2024.12.15
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    熊にも人にもなり切れない男の生き様を凄絶に描いている。 穴持たずや赤毛との命を賭けた戦い、かどやのみせの不穏な顛末、陽子や犬との本能的な結びつき。どのドラマも読みごたえがあったし、それぞれきちんと熊爪視点の解像度で描かれているのが良かった。 ジビエ描写が秀逸で、食べたくなってしまった。

    1
    投稿日: 2024.12.11
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    40代初めの女性が描いた作品。 第170回直木賞受賞作。 熊との闘い、鹿やウサギを獲る様子。山での生活。何と描写の巧みなことか!女性でも こんな小説が描けるんだ!たくましい! 酪農家の家に生まれ、ニュージーランドで綿羊の飼育に携わり、今も実家を手伝っているそうだ。

    1
    投稿日: 2024.12.08
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    直木賞ということで読んでみた。 それなりに面白かった。 今でも、あらすじを思い出せるので、とても印象に残る作品です。

    1
    投稿日: 2024.12.06
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    なんと熊を題材にした河崎秋子さんの直木賞受賞作。 河崎さんならではのこの作品、文学性も感じれて面白かったです。

    0
    投稿日: 2024.12.03
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    直木賞受賞作。 明治後期、ロシア戦争の直前の頃。 北海道、白糠の山中で犬と暮らしている熊爪(くまつめ)という猟師の話。 冒頭の鹿狩りと捌き方の描写で熊爪の世界感に一気に引き込まれる。熊に襲われた男の傷への処置、熊との死闘、最期の場面まで、連綿と続く死と生の連鎖に圧倒された。白糠の「かどやのみせ亅に連なる人々も味がある。エピローグは愛犬家にはたまらないだろう。

    1
    投稿日: 2024.12.03
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    野生に生きる気高さを、ありのままに描いた作品。熊狩りの哲学があり、それが生きる軸である熊爪は必要があれば町に降りると忽ち文化的な営みとも交わる。明治時代が背景にあるからか、豊かにならなければ、死に向かう皮肉が込められていて、それが現代の私たちを貫く刃にも思えてならない。

    1
    投稿日: 2024.11.28
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    迫力満点!経験のないジャンルで初めはスムーズに読み進められなかったが、慣れてくると一気に世界観に引き込まれる。人間とは何か問われ、頬を強く叩かれたような感覚。

    1
    投稿日: 2024.11.17
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    戦前の北海道。孤児の熊爪は養父に猟を教わり山に1人で暮らしている。人と交わることを避け、自然を相手に生活をするが、熊爪が自然と一体化さて獣のような豪快な生き方はグロテスクにさえ思う。熊爪のものの見方考え方はよく理解できないが自然の摂理ってこういうものかもしれない、と思わせる作品だった。

    0
    投稿日: 2024.11.14
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     冒頭の鹿を狩る描写で、一気にこの世界に引き込まれた。 仕留めてから解体する場面では、リアル過ぎて気分が悪くなるほどであるけれど、読むのを止めることは出来なかった。  特に後半の狩りの描写では、息をする事を忘れていて、熊爪と一緒に″大きく息を吸い、吐″きながら読んでいた。  作品の時代背景を考えたり、山の暮らしを想像したりするのも面白かった。  最後に、犬と暮らしているからかと思うが、名付けられることなく、熊爪を主人として暮らした犬の忠誠心が、心に響いた。

    1
    投稿日: 2024.11.08
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    圧巻。こんなに迫力のある本読んだことない。グロテスクな表現含め、すごく引き込まれる。自然とは…ってなった。物語後の彼らの行方が気になる…

    3
    投稿日: 2024.11.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    もし、挫折しそうになったら「ゴールデン・カムイ」を見てから(読んでから)この小説を読むのです。 「ゴールデン・カムイ」と時代・場所の設定が ほぼ同じで、熊についても出てくるので、 ちょっと読んでいて遠いな、わからないな、と思ったら「ゴールデン・カムイ」を見てからこの小説を読むことをおすすめします。 後日譚のある小説て最高! 読者にめちゃくちゃ寄り添ってくれている。 「その後、どうなったのだろう」と、 ちょうど思ったところでそれがある。 色々思いを馳せることを楽しみにする読書方法もあるけれど、 もやっとさせられぱなしでは、消化不良。 胃もたれどれだけすればいいねん!と ツッコミ入れてしまう。 多少お腹いっぱいな場面もあるけれど 満腹小説として、良い感じで読み終えることができる。 触感・嗅覚にうったえてくる小説でもあり、 自分の中では、こういう小説て良書だと思う。 未経験なことなのに、こちらの日々の経験したことから想像を膨らませさせてくれる。 丁寧に補助をつけてくれている。 置いてけぼりにさせない。 見事な書きぶりだと思う。

    0
    投稿日: 2024.11.02
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    第170回直木賞受賞作。 ということで、河﨑秋子作品に初挑戦。 明治後期、北海道の冬山で主人公の熊爪が鹿を狩るシーンから始まる。まるで映像を見るような自然の描写。鹿を仕留めて内臓を捌いていく一連の流れがとてもリアルで、一気に引き込まれました。 両親を知らず、山に籠って猟師をしていた養父に、幼い頃から育てられた熊爪。人間というよりも野生の獣のような熊爪が、熊との対峙を通して瀕死の大怪我を負い、自分自身に向き合っていく。自分は何者なんだ… 万全の身体とは程遠い熊爪が赤毛を追うとき。 "痛みへの恐れ、衰えへの恐れ、それらは熊爪を縛る鎖であると同時に、ある種の臆病さをもたらしていた。そしてその臆病さは、時に強みともなる" 己を知り、受け入れて、最善を尽くすことが大切なことを教えてもらった。 全然関係ないけど、ふるさと納税をよくする『白糠町』が出てきて、何となく親近感を覚えた。笑

    55
    投稿日: 2024.11.02
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    圧倒的な迫力。相手の命をいただくこと、いただいた後の自分。「ともぐい」にいろんな意味を込めているのだろうが、熊は熊を鳥は鳥を、人は人をともぐいしているとも。久々に肉をちゃんと食べたくなった自分にちょっと驚く。

    2
    投稿日: 2024.10.27
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    2023年11月の直木賞作品。描写がともかく具体的で詳しい。北海道の人里を離れて一人で狩をする猟師と熊の物語。圧倒的な自然の中で、野生との死闘が描かれる。しかもこの猟師は超人ではなく、明治期の時代のうねりの中で翻弄されもしている。後で知ったが、作者の河崎さんは知床の牧場の産まれで、実感こもって詳しいのに納得。但し、人間の書き方には私は不満ありましたが、最後の終わり方は流石と思いました。やっぱり本を読む事は、自分の知らない世界を垣間見せ、我が身を振り返らせてくれます。

    9
    投稿日: 2024.10.25
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    人間は動物であり、どう生きるのが良いのか、それは決まった形がない。 出会える人や機会によって人生は形成される、プラスにもマイナスにも作用する。 自然の中で生物的な本能のままに生きる。狩猟民族であった頃が人類は一番しあわせだったのかもしれない。 米作りから貧富の概念が生まれるところかは始まり、豊かさを追い求めることを止められない現代人、豊かさ、便利さ、は人間の幸せにどれほど大切なものなのか。

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    投稿日: 2024.10.25
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    山で1人、狩をして暮らす熊爪。人との関わり、暮らし、社会というものが煩わしく面倒臭えと考えている。狩で得た動物の肉や毛皮を町で金に変えて必要な銃弾や米を手に入れる繰り返しの生活の中で、「純粋で、凶暴な願望」を抱かせる熊と出会う。「俺は、俺に怪我を負わせた熊を仕留めたあいつを、殺したい。山に君臨しつつある若い雄に勝ってから、己の運命を見定めたい。」 普通の人々の暮らす社会とかけ離れ、山の中で獣に近い野人の様な暮らし振りや、熊爪の熊狩りに際してみせる集中力、神経を研ぎ澄ます辺りの描写は、実際に猟師の経験のある作者ならではの緊張感で引き込まれた。

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    投稿日: 2024.10.23
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    物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。 東大OPACには登録されていません。 貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください 返却:物性研図書室へ返却してください

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    投稿日: 2024.10.22
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    淡々と描く北海道の猟師の話。読後感もあっさりしたものです。でもそれが、諸行無常を感じさせる本作の魅力だとも思いました。

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    投稿日: 2024.10.16
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    圧巻だった。女性作家が描く文学とは思えない荒々しい表現。 野生の狩りの臨場感と迫力にドキドキした。 登場人物全ての思考に理解することはできなかったけれど、狩るということは常に生死が隣り合わせだ。狂っているのか否かわからない。 野生的な反応と一言では言えない。

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    投稿日: 2024.10.15
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    山の中一人で暮らす熊爪。そこでは自然と共に生き喰らい人間としての本能が研ぎ澄まされている。 他所から熊を追ってきた男を助けた事から、人間との関わりを余儀なくされる。熊爪の生き方は圧巻。

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    投稿日: 2024.10.14
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    オーディブルで聴きました。 眼の怪我の手当てのところなど、あまりにもグロくて引きずっている。 作者はニュージーランドでの1年間の経験だけで、こんなリアルな表現ができるほどのことを学んだのだろうか。(実際にリアルかどうかは見たわけじゃないからわからないが。) この作者がホラー小説を書いたら凄いことになると思う。 熊爪が赤い熊を追った理由はよくわからない。別に被害にあったわけじゃないのに。 彼はオオカミに育てられたオオカミ少年のクマ版のような、クマ男なのだろう。半分動物だから彼の考えることはよくわからない。 ハルコの子どもたちのその後が気になる。特に女の子のほう。 いい気持ちになる本ではないけれど、救いはとにかくイヌ。本当におりこうで泣ける。

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    投稿日: 2024.10.12
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    人とは獣だな… 熊爪は人と交わらず 動物を撃つ。 人と交わらないのは それを学んでこなかったからだ。 狼に育てられた子どものように 獣を狩ることだけを教わった。 狩りは命のやりとり。 町でおいしいものやしゃれたものを得たり 美しい女と楽しく過ごしたり または 山でとて家族と温かな家庭を築き 一生を送ることもできるのが人間なのに そういう欲がない。 あるのは 獣を狩りたい欲 そして高ぶった気持ちを収めるための性的な交わりへの欲 熊爪は果たして人間なのだろうか。 人間とはなんなのだろう。 幸せとは。 生きるとは。 特に後半の熊爪の感情の動きが 私にはわからなかった。 これが女性の作品か… すごい。

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    投稿日: 2024.10.09
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    人が何かの生命を食らい、死を迎える。生命というものを極限まで生々しく書き上げている。読んでいる間ずっと獣の匂いと血の生臭い臭いがまとっていた。 生きて行くために動物たちは同族を殺す。雌は雄を殺す。最後はそれになぞらえた形となった。すごい作品ではあると思う。が好き嫌いは別の話で、自分にとってどう利用出来るかが相手の存在価値だという事、殺すという事に対しての躊躇いのなさに、げんなりした。あのままだと犬が老いた時は迷わず殺しそうで怖い。主人公に対して全く好感が抱けず、むしろ嫌悪感すら抱いてしまったので、読むのがしんどかった。動物大好きには胸くそ。最後犬に「行け」と言った事はホッとした。

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    投稿日: 2024.10.08
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     読みたくてたまらなかった本がやっと読めた。北海道出身の女性作家が買いた熊撃ち猟師の物語にして、直木賞受賞作品。熊撃ち猟師以外の何も人生において知らぬ男。戦前の道東は白糠の山中で熊を撃ち、白糠漁港に大店を構える常客としかほぼ対人交流をしない孤独な男。そんな主人公はどこにでもいそうだが、今は絶対にいそうにないし、当時だってここまで孤高の人生を貫く人間は多かったとは言い難いのではないかな。  ぼくはヘミングウェイを思い出した。『老人と海』を。もちろん本書『ともぐい』の主人公は老人でもなければ舞台は海でもないけれど、動物と人間との闘いという極度に個対個という一対一の世界で人生のほとんどの時間を送る人間の存在が、とても似ているように思う。国も生きる背景となる自然さえも異なるけれど、人間の孤独を支える狩猟という時間が、地球の各所では、かつて多く営まれていたに違いない。  山の中や海の上に一人ぼっちでいるときに、人はどんな風になるのだろうか? そんなシンプルな疑問にある回答を与えてくれる文学、というものがここにある。それはもちろん、人はなぜ生きるのか? という命題にも繋がる。熊撃ちの猟師が、熊と対峙し闘う孤独。そしてその孤独が敗れるとき、例えば若い女性や生まれてくる子供、といった家族ができるとき、これまでずっと山で独りで生きて来た男はどうなるのだろうか?  作者は女性であるが、狩猟の場面はワイルドこの上なく、荒々しく猛々しい。野生は容赦なく、血は赤く流れ、息は雪原に白く凍る。それでも呼吸をして生きてゆくように人も熊も森の中で闘う。原初的なその姿とその行く末、人間界のもたらす時代の変化はどう影響を与えてくるのか? 多くの命題をつきつけながら、作家はそれを文字にしてゆく。  物語は自然界で生きる人間が、社会というものの端っこに引っかかって、結局は戦争や時代の荒波に影響され、孤独であることから変貌してゆかねばならなくなったときに、どんな心情になるのかを描いて生々しい。社会環境の変化は、歴史に語られるように多くの民に影響をもたらす。人は独りでは生きられない、という命題と、人と人との絆という、現代の人間たちが失いかけているかもしれない何か、とを非情な両手で差し出されているような気がする作品であると思う。  かつてこうであったという単なる歴史小説ではないからこそ、人間という個体とそれを取り巻く野生、文明と三つ巴の均衡を、シンプルな男の半生を描くことで表現した作者の筆力以上に、この作品を書いた動機の方に強烈な興味が湧。作者の受賞時のインタビューをTVで観たものの、当時は本書を読んでいなかったので、今更ながら本書と組み合わせて、執筆の独自性と今後の方向性に浅からぬ好奇心をぼくは抱いている。

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    投稿日: 2024.10.02
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    初めてのマタギ小説。生々しいマタギの生活感を描写していて興味深かった。多分作者が伝えたいのはそれだけじゃないんだろうと思いながら、私の理解力、想像力では、それ以上のものは得られなかったのは残念。マタギの人が読めばまた思うところがあるのかな。

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    投稿日: 2024.09.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2023年度下期直木賞受賞作。 難しい読書。 明治後期、日露戦争も見え隠れするような世の機運にも我関せず、北海道東部の山中で主人公の熊爪は生まれ持っての猟師生活を営む。 出来損ないの猟師が連れてきた、穴もたず(自分の寝ぐらを持たず冬眠しなかった熊)の不遜な立ち振る舞いのせいで、自身の猟場周辺が乱されていることに、半ば腹立ち紛れに仕留めようと狩りに立つ。 だが、辿り着いた先では力量でさらに上回る赤毛の熊が穴もたずを翻弄していた。 中途半端に手を出してしまった熊爪は怪我を負い、これまでの確固たる自身の生き様が揺らぐ。 屈強に、孤高の道を歩み、何も変えることなく、変わることを望まず、このままを貫き通すのが定めであるかのような熊爪の生活に突如訪れた惑い。 自分のしたいように出来ないもどかしさ。 山での猟師生活を続けるのか、町に下り炭鉱で働くことにするのか。 惑いを晴らすためにも今一度あの赤毛との対決を心に決める。 文章の濃密さ、向き合うもののテーマ性、熊爪の荒ぶりようが直木賞というより芥川賞よりの印象。 狂気すら孕んでくる終盤もさることながら途中途中の登場人物達の幕引きの真意・含意が掴みきれず悶々とする。 理屈ではなく感覚で読み通す類の物語のような気がする一冊。

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    投稿日: 2024.09.29
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    序盤がとてつもりなく面白かったが、良輔の家が堕ち始めて、熊爪の生き方も少しずつ変化してゆくのと一緒に、読む勢いが衰えてしまった。 物語に込められたパワーに読み手の勢いまで引き込まれて併される、これが正しいならばとんでもない技術だ。ブクログに読書記録をして17年、こんな本、今まで読んだことないぞ:(;゙゚'ω゚'): 本書は熊撃ちの獣のような猟師が激しい闘いの中で己が人なのか獣なのか分からなくてなってゆく……話では全くなかった。 獣じゃぁない。剥き出しのヒューマニズムであった。帯に「熊文学」て書くな。全然違うじゃぁないか。 力の限り、思うように、思うがままに生きるとはこういうことだ。

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    投稿日: 2024.09.28