
総合評価
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powered by ブクログ自分も旅をしている気分で読めたし、その土地をゆっくり楽しんでいる感じがして心地よかった。 インスタ映えの風景を探したりネットでおいしい店を探すのではなくてゆっくり歩いてその土地の空気を吸って旅をしてみたいものだ。
0投稿日: 2025.11.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「『旅の長者』になるためには『面白がる精神』が必要なのだ」 上記のセリフは「旅」を「人生」に変えても成り立つと思います。「面白がる」そうできる余白を心に持っていることが人生においても大切なのだと思いました。
2投稿日: 2025.11.08
powered by ブクログ☆☆☆ 2025年10月 ☆☆☆ 2025年10月。和歌山に帰省し、JR和歌山駅のくまざわ書店で購入。 沢木耕太郎といえば、『深夜特急』が有名だが、初めて沢木耕太郎の本を読んだのは2007年か2008年ぐらい。その時、未知の世界を自ら旅しているような気分を味わえた。さらにいくつかのノンフィクション作品により、それぞれの時代や人物に肉薄するような感覚になった。 さて、今回の『旅のつばくろ』 沢木氏が若いころから行ってきた国内旅の経験や、感じたことを伝えるエッセイ集。一つ一つはそんなに長くないから、ちょっとしたた旅に持っていくにはオススメしたい。少年時代の初めての一人旅である東北一周については『旅するノート』という本にも詳しい。東北、奥州と英場いえば日本の奥地、という感がある。 『旅のつばくろ』でも東北がたびたび登場する。 「ごらんあれが竜飛岬北の果てよと…」という『津軽海峡冬景色』の歌詞でも有名な「竜飛崎」とか。ローカル線と町営バスに揺られて、少年時代には行けなかった場所に50年越しの忘れ物を拾いに行くかのように向かう沢木氏。 「終着度がなかなか」という三厩駅に降り立ち、50年前に思いをはせる。旅に生きた作家だけでなく、きっと誰もがこのように感じる場所があるのだと思う。 「あの時行きたかったけど、いけなかった」というようなところが。 東北の旅以外にも、東京(奥多摩)の旅や小淵沢、金沢など それぞれの旅エッセイを気軽に楽しめる本。
11投稿日: 2025.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ネットで調べずに、自分の五感を研ぎ澄ませて旅に出よう。失敗を経験できる。たしかに。旅先でご飯難民になるのが嫌で、下調べや予約をすることが多いけど、ふとした出会いの機会を自分で潰してしまっていたんだなぁ~。 ゆったりとした旅行したい。
0投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ国内の旅エッセイ。移動手段は主に電車。1話が5ページ程度なので空き時間に軽く読める。金沢は私も行ったことがあるので、思い出してまた行きたくなった。 国内の小さな旅も、ちょっとした非日常の冒険として楽しみたいな~と共感した。
9投稿日: 2025.09.18
powered by ブクログ恥ずかしくも初めて沢木さんの著書を読んだ。 エッセイを読んでこれ程心震える感覚はなかなか味わえないような気がする。 国内旅行での体験や人との関わり。 言葉一つ一つが刺さってくる。 生きていく上で大切なことは、肌身で感じることなんだと思い知らされる。 知った気になったりわかったつもりになりがちな現代人にこそ読んで欲しい。 今しかない時を逃さないで、失敗出来る時にたくさん失敗しろとメッセージが込められている。 その土地を味わうには自分の足で赴くことだ。
0投稿日: 2025.09.08
powered by ブクログ旅の楽しさを感じられる一冊。 東北方面の話が多く馴染みがない土地の話ではあったが、ノンフィクションの良さに溢れる
1投稿日: 2025.09.07
powered by ブクログ沢木さんの代表作とも言える深夜特急を読む前に、内容も知らずこの本を手に取りました。 海外のイメージが強かった沢木さんの国内旅行エッセイ。 海外旅行好きな私ですが、 やっぱり国内も旅行したいなと思わされました…。
0投稿日: 2025.06.08
powered by ブクログ41編の短編集。 東北中心の旅のエッセイ。 Googleマップで予め行きたい場所やお店を決めて行くのではなく、気ままに行き当たりばったりで旅がしたい。
1投稿日: 2025.06.07
powered by ブクログ作者が若い頃訪れた時は津軽のお国訛りが全く理解できなかったのに、今回の旅では…。理由は沢木さんの方言の理解度が高まったのではなく、方言が標準語に近づいてきたからでちょっと残念そう。私も京都の町なかで「もっと京都弁がききたい」って思ってしまう。それは旅する者のわがままだろうか。 数ヶ月前にたまたま著者の代表作「深夜特急」に触れる機会があり沢木耕太郎を知った。 私にとっては深夜特急の装丁がちょっとワイルドすぎて手に取ることすら敬遠していたけど、読んでみると心やさしい旅人の旅の話を聞かせてもらっているみたいだった。旅のつばくろは国内の旅だし深夜特急より大分後から書かれたものなので年齢的にも親しみがわく。沢木ファンになってしまいそう。
5投稿日: 2025.05.18
powered by ブクログ2025年2月21日、YouTubeで「本を読むこととお金を貯めること」と検索して勝間和代さんの動画に行き着き。3年前の動画「読書は金なり。お金持ちになりたかったら、もっと本を読もう」という動画を見た。→つば九郎の中の人が亡くなったばかりなので目に止まった。 コメ欄より: 私の趣味は読書。立花隆と。沢木耕タロウ。そして黒木売。オウサワ在昌。などなど https://youtu.be/vh2fnHw_pZs?si=M0ktqSqcJzcWR2cc
0投稿日: 2025.02.21
powered by ブクログ沢木耕太郎さんも今年で78歳か。「深夜特急」はいまだに自分の中で生涯ベストの作品です。本書は初の国内旅エッセイだそうです。海外の旅と同じスタンスで、自由に旅をして人と出会う。文体も若いころのまま。旅に出たくなる良書でした。
0投稿日: 2025.02.05
powered by ブクログJR東日本の車内誌の連載をまとめたもの。なので、北への旅に関するエピソードが中心。 ふらりとその土地に行って、出会いを楽しむ。目的はあるようでない、そんな旅を疑似体験できた。 深夜特急を寝食忘れて読んだ学生時代、世界に飛び出して行くことを教えてくれた沢木さんが、今度は日本の良さ、面白さを紹介してくれた良エッセイ。
17投稿日: 2025.01.05
powered by ブクログ著者のはじめてのひとり旅は16歳の時の東北。歳も経験も重ね同じ土地を旅する。 有名無名に関わらず、ひととの出会い、エピソードに心が暖まる。 特に現地で偶然目にした人々の様子、何気ない会話に惹きつけられる。 「失敗」の考え方にも共感できる。
9投稿日: 2025.01.03
powered by ブクログ旅感を味わえるエッセイで気分よくさらりと読めた。自分が一番そうだよなぁ…と感じたのは、本文ではなく、文庫本あとがきとして書かれた「ただそれだけで」。なんとなく感じていることを平易な文章で書かれてるけど、沢木耕太郎さんの文章は素敵だ。
1投稿日: 2025.01.03
powered by ブクログ日本のあちこちの旅エッセイ。若き日に訪れた北国の再訪や、いけなかった場所についに足を運んで得る感慨。しかし、下調べしないからこそ、適当にたどりついたお店での感動とか、旅の達人ならではだな~。こういう旅のしかたってどんどん難しくなるんだろうなあ…。
1投稿日: 2025.01.01
powered by ブクログこの作者さんの本はたなぞうやブクログを始める前に結構読んでいるのだけど、この本棚では2008年に読んだ「凍」に続き2冊目。 JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」の連載から選ばれたという41のお話。コロナ禍もあって行きたいところに行けなかったから、こういう旅の話は嬉しいね。 以下、感想とも言えない、読みながら思ったこと、良かったフレーズなどなど。 ■夢の旅 「アップダウンクイズ」 確かにハワイは夢でした。「笑ってコラえて!」 ダーツの旅は当たりハズレが大きそう。 ■縁、というもの 『ここにいる必要はありません』と言ってくれた吉村昭さんが素敵。 ■贅沢の効用 花巻に行けば、やはり宮沢賢治だなあ。 ■近くても遠いところ かつて「凍」で読んだ山野井さん夫妻が登場。すごく辺鄙なところに住まわれているのね。 ■皮膚が変わる 私は若い時から温泉が好きだわ。 ■絵馬の向こう側 絵馬にそういうことが書いていると知れると何か感嘆するよねえ。でも、絵馬って個人的なことでいいんじゃないかとも思う。 ■朝日と夕日 私は冬に通勤電車の中から見える生駒山の向こうから昇ってくる朝日が好き。 ■点と線と面 転勤族なんで、面になっている場所、結構ある。 ■がんばれ、宇都宮線! 一度だけ乗ったことがある。寝過ごすなんてあり得ない。 ■心の華やぎ もはや不道徳な物書きの人は減ったように思う。 ■終着駅 私が全く分からない方言を聞いたのは、中学生の頃、鹿児島に行った時。 ■風の岬 龍飛崎をして『風は強いところだったけど……それ以外、何もない』というのがいい。 ■なりつづける 『どんな者にでもなることはできる。難しいのはなりつづけることだよ』 ■人力飛行機 「ねめまわす」ような視線で観客を見つめる寺山修司。 ■赤と青 「杯〈カップ〉」を読んだのを思い出した。 ■最後の一瓶 『焼酎の中に湯を入れると怒られた。湯に焼酎を注ぎ入れるのだと』 そりゃそうよ。 ■ごめんなすって 東京に“城南地区”という言い方があるのを初めて知った。「春に散る」は新聞に掲載されているのをしっかり読んでいたな。 ■太宰の座卓 そう言えば太宰治ってほとんど読んだことがない。この本棚には一冊だけ。あとは「走れメロス」くらい? ■初めての駅、初めての酒場 日暮里ね、確かに降りたことないや。また出てきた吉村昭さん、『取材に出かけたどこかの町で初めての飲み屋に入ると必ず警戒される。刑事か税務署員に間違えられる』というのは面白い。 ■兼六園までI/兼六園までII 『生きていくというのは、そうした後悔を無数にしながら歩むことなのだろう。後悔なしに人生を送ることなどできない。多分、後悔も人生なのだ』 オホホホホ。 ■床しさや 金沢にはまた行きたいな。この前行った時は時間がなくて犀川のほうへは行けなかったし。『心から雪うつくしや西の雲』 ■小さいけれど 能登の復興未だし。『小さいものより大きいものの方がよいとは限らない』 ■葉桜の季節に 『雪舟と雪村の区別もつかないようでは恥ずかしい』 いや、まったく。 ■情熱についてのレッスン 永六輔さんのレッスン、なかなかね。 ■今が、時だ 何事もここに書かれているように洗練されていくと良いのだがなあ。今のオーバーツーリズムはいかんともし難し? ■旅の長者 関門トンネルではそうと思って乗っていれば「斜め感」は味わえると思う。 ■子ネズミとばったり 小樽にも行ってみたい。『多くの観光客が札幌からの日帰り旅行で済ますため、小樽に泊まる客が圧倒的に少ない』というのは今でもそうなのかな?だったら私は泊まるよ。 ■臨海と林間 私の小学校では「林間学校」に行きました。 ■もうひとつの絶景 『これもまた偶然というものに柔らかく反応することのできた私への、旅の神様からのプレゼントだったのかもしれない』 こういうことがあったらいいよねえ。 ■水で拭く 山本周五郎の逸話、興味深かった。 ■寄り道の効用 鎌倉にも行ってみたいのだがなあ、人が多そうでちょっと躊躇う。 ■過去への回路 今度は将棋の話だが、出てきたのが中原誠とは。 ■浄土ヶ浜から 映画みたいな別れのシーンが素敵。 ■あの夏、私は…… 『同じ「上流階級」の家でも、アルバイト学生の扱いに雲泥の差があることを知った』 さもありなん。 ■書物の行方 『六、七十代の男性がいっせいに本を処分なさろうとしているせいです。この方たちが紙の本を大量に買った最後の世代なんだと思います』 古書業界全体が供給過剰で困っているとは知らなんだ。 ■車中の会話 会話を耳にしての夢想も楽し。 ■駱駝に乗って 旅に出るとケチになる気持ち、分からないでもない。 ■一瞬と一瞬 天文台の研究員の方の説明にはとても説得力があるが、あまり納得はしたくない。 ■雪 ライフワークかあ…。 ■夜のベンチ 『私は、あの十六歳のときの東北一周旅行で人から様々な親切を受け、それによって、旅における「性善説」の信奉者になった』 本の中で何回も語られた東北一周旅行、素晴らしいエピソードがあったものだ。 文庫版あとがきのキャバクラの客引きの話も良かった。この夏休みは出掛けてみるよ。
46投稿日: 2024.07.23
powered by ブクログ旅を通して、得られる出会いとご縁。 見知らぬ地で、目に着いた物や人から得られる気づきや、学び。 そして、そこで思った感情や想いが言語化されていてた。 素晴らしい一冊。
0投稿日: 2024.04.21
powered by ブクログ深夜特急は読んだ事があったので、他の著書も読んでみたく購読。 国内旅のエッセイなので、海外と比べて情景が浮かびやすく、短編集なので読みやすかった。少年期の旅がその後の旅のスタイルの原点になっているようで、沢木さんの生き様の一片を知ることができたように思えた。
0投稿日: 2024.03.20
powered by ブクログ沢木氏の代表作「深夜特急」は間違いなく面白いが、海外経験が乏しいと実感が持ちにくい部分もある。 その点、本書は旅先が日本国内なので海外経験の有無は関係なく読める。 観光案内ではなく、旅先での出来事が主観的に綴られているのだが、不思議と現地に行ってみたくなる。 沢木氏の原点とも言える「東北一周の旅」に関する一連の文章が強く印象に残り、学生時代に訪ねた龍飛崎にもう一度行きたくなった。
13投稿日: 2024.02.18
powered by ブクログ花吹雪ごめんなすって急ぎ旅 間近に控えた自らの死を、大仰に悲愴がったりせず、大衆演劇の舞台で花道を退場する三度笠姿の渡世人になぞらえでもするかのように、ちょっとした滑稽みを漂わせつつ突き放している先輩の辞世の句。
0投稿日: 2024.01.28
powered by ブクログ旅ならぬ出張のお供に持っていった。沢木さんのテンポのよい文章は読みやすい。2時間ほどの飛行機の中で、すっと読めてしまった。 JR東日本の車内誌の連載から何本かピックアップしてまとめたもので、沢木さんにしてはめずらしい、日本国内の旅のエッセイである。沢木ファンとしてはこの連載は楽しみで、ゆっくり読むためよく『トランヴェール』を持ち帰っていた。 本書を読む直前に、司馬遼太郎の『街道をゆく』を読んでいたので、司馬さんと沢木さんの旅のスタイルの違いが面白く感じられた。 司馬さんの『街道をゆく』は、おそらく出版社が行く先々のセッティングをしている。編集者や記者も同行して意外に賑やかである。訪れた先でのエピソードはあまり語られない。むしろその土地を媒介にして、司馬さんは時空を旅して、歴史上の人物たちと語らうのである。 対する沢木さんは、基本的に一人で旅をする。そして、旅自体を楽しんでいる。当然ながら、語られるエピソードは、今を生きる人たちとの偶然の出会いが多い。その偶然の出会いこそが沢木さんの旅の醍醐味でもある。 どちらの旅のほうがいいということでもない。司馬さんほどではないにしろ、土地の記憶を読み込んだうえで、沢木さんのようにガイドブックには手を出さずに旅を楽しむというのもまたいい。仕事抜きで、ゆっくりと旅がしたい。
28投稿日: 2024.01.28
powered by ブクログ下記(あとがき)の言葉が、沢木さんが伝えたかった事だろう。ワクワクドキドキが旅の醍醐味なのだから! 「だが、国内における短期の旅などというのは、ささやかな失敗をしても容易に回復できる数少ない機会であるだろう。 私がもったいないと思うのは、失敗が許される機会に、失敗する経験を逃してしまう事なのだ。 人は、失敗することで、大切な何かを学ぶ事ができる。失敗に慣れておく事もできるし、失敗した後にどう気持ちを立て直すかの術を体得できたりもする。 可能な限りネットに頼らず、自分の五感を研ぎ澄ませ、次の行動を選択する。 ただそれだけで、小さな旅もスリリングなものになり、結果として豊かで深いものになるはずだ。」
3投稿日: 2024.01.24
powered by ブクログつばめのように自由に、気ままにこの日本を歩いてみたい―。世界を歩き尽くしてきた著者の、はじめての旅は16歳の時、行き先は東北だった。(e-honより)
0投稿日: 2024.01.16
powered by ブクログ旅行してるみたいで楽しかった。 沢木さんの本を他にも読みたくなった。 現地に行って自分で感じること。 最後の小さな失敗をする機会を失うのはもったいない、と言うことに共感した。
2投稿日: 2024.01.13
powered by ブクログ時間とお金を考えなくていい旅に行きたくなりました。余裕を持つために会社を変わったのに時間は窮屈になってしまい、旅行もせいぜい2泊まで。去年はコンサートにかこつけてホテルに1泊するだけがほとんど。コロナで次々にダメにしたヨーロッパに行きたいなぁ…
4投稿日: 2024.01.13
powered by ブクログ年末旅行の移動中に読んだ。移動手段と宿だけ押さえた他はノープラン、せめて飯屋くらいは調べておいた方が良いだろうかと悩んでいたが、却って本書で無計画旅行のモチベーションに油を注いだ結果になった。トランヴェールの連載エッセイだからと忖度するわけでもなく、旅先で感じたことが率直に書かれており、各章ごとに一期一会の旅の醍醐味を感じた。 津軽地方について書かれた章は特に、少し前に太宰治の津軽を再読していたので、二人の感じ方の違いが見られて興味深く読んだ。
0投稿日: 2024.01.07
powered by ブクログ思っていた以上に面白かった! 最後のあとがきで、食べログで調べて地元の名店を探す方法もありだけど、それは旅先だからできる失敗の経験をするチャンスを失うということなのだと。自分は結婚してからは、旅行に行くときはいつもカミさんが段取りしてくれて行くから、この沢木さんのいうチャンスをずっと失ってきたのだなと思う。別に残念では無いけれど、この本を読んでたら、日本に住んでいるのに、この本に出てくるところを全然知らないなと思い、今住んでるところと会社の近辺しか知らない人生はかなりつまらないのかもなとしみじみ感じた。まぁ、こういう名文のエッセイを読めば、そこに行った気にはなれないこともないから、読むだけでも良いのかもしれないけれど。
0投稿日: 2023.12.22
powered by ブクログ70年代の若者は小田実の『何でも見てやろう』に衝撃を受け、80年代は沢木耕太郎の『深夜特急』に触発され、バイトをしてはバックパッカーとして世界中を貧乏旅行していた。 大学4年間ろくすっぽ授業に出ず、世界をリュック担いで世界を巡っても卒業できて社会人に…ある意味では戦後日本の高度成長と繁栄の象徴のひとつだったという見方もできる。 方や今の学生は入学して息つく間もなく就活が口を開けて待っており、ボランティアに資格取得にと社会に巣立つ前の『武装』が求められる時代だけに。 さて本書。その世界中をひとり巡った著者による初の国内旅エッセイ。旅のスタートは東北。沢木耕太郎にとって、東北は『深夜特急』の前哨戦であり、ひとり旅の愉しさと手応えを知った、16歳春 沢木少年の12日間にわたる『みちのくひとり旅』にある。それから約60年。この国内紀行は青春の旅路であった東北から始まる。 いずれの話も『聞かせどころ・読みどころ』が用意されている。通底するのは『宿縁』というか『袖触り合うは多生の縁』に類するエピソードに溢れ、沢木耕太郎はそれを『旅運』という言葉に置換する。 旅先で予期しないことが起きた時、むしろ楽しむ精神が『わらしべ長者』よろしく、良縁を引き寄せる磁力のようなものを育むと語る。う〜ん、ひとり旅の達人ならではの箴言ですな。 沢木耕太郎って〈孤高でコミットしない性向〉と勝手に思いこんでいたけど…なんのなんの実に人なっこい御仁なのだと印象一新。 例えば、キャバクラの客引きから居酒屋の名店を聞き出したり、講演先で訪れた宮城では講演後に熱心な読者の持参した著書にサインした後、その読者の経営する寿司店に流れ一献。その縁が取り持ち良好な付き合いが継続中だったり、軽井沢では駅で知り合った老婦人から紅葉スポットを教えてもらい即その情報に乗っかり足を向ける。そこに待っていたのは息を呑むほどの絶景…。 それもこれもひとり旅の年季の入り方が違うわけで、ひとり旅の手練れなんですな。とは言え、これまで『あっちゃ〜』の失敗の上に成り立っているのは言うまでもなく、ホームラン王に輝いた大谷翔平が今季143の三振を喫してるように、とどのつまり は数なんですな。めげずに振る、懲りずに旅立つ。 そこで、あとがきにはふたつのアドバイスめいた下りが綴られる。 ①国内旅行なら失敗をしても容易に回復できるから、ひとり旅をするなら先ずは国内から! ②ネット情報に背を向け、自身の直感と経験を総動員すべし! 後者のアドバイスなんて、ネットなんて無い時代からひとり旅をしてる人だから言える芸当だからで、昭和のアナログ世代の困った時は人に尋ねるといった強引なコミュニュケーション手段が備わっている世代のなせる技で、思わず苦笑。 この本が優れているのは、お手本となる〈ひとり旅の醍醐味をエアー体験できる!〉ってこと。 わずかな路銀で愉しめるひとり旅を探している方なら、この本でまず心得を胸に刻み、旅先を決めるのもいいのかも…。
3投稿日: 2023.12.06
powered by ブクログ以前「トランヴェール」で読んだ「水で拭く」というエッセイがとても印象的だった。今回文庫として手元に置けるようになり歓喜! 更に、「旅先に沢木耕太郎を持って行ったらとても情緒ある雰囲気を醸し出せるはず」と帯同させたのだが、結果旅先で折れ曲がったり表紙が破れたりでぼろぼろに…それもまた味… そもそも『深夜特急』も全く読んだことがないのに…ミーハー極まり無い… ちなみに「水で拭く」のはお墓参りのエピソード。花も線香も持たず布で一心にお墓を拭く姿に、澄み切って凛とした空気と、相手へのあたたかな思いを感じた。 旅先での不思議な縁や、共に過ごしてきた人との思い出や。沢木さんほどになれば、日本全国に結び付きの地があるんだなあ。そもそも高校生の時既に東北一周の旅をしていたとか…。そりゃ旅人になるだろうね!強! あと、遊佐って名字、自分もいいと思います。 小説家は、登場人物の出身地から想定できるのが楽しそう。その土地や知識が無いと深まりが出ないだろうから、知識の量は求められるかもしれないけれど、人物と一緒に旅ができそうで少し羨ましいような気持ちになる。 文末の「〜、だと。」は個人的にある知人を思い出すので笑ってしまう。もしやこれを意識していたのか…?
0投稿日: 2023.11.26
powered by ブクログJR東日本の雑誌『トランベール』に連載していたエッセイから、著者自ら41編を選んで一冊にまとめたもの。当時、新幹線の車内で読んでいた人が羨ましくなる、素晴らしい内容でした。 例えば「絵馬の向こう側」では、日本人と海外から来た人の書く内容から、視点の違いにドキっとしたり、「旅の長者」では、旅に出て予期しないことに出くわす”旅運”についての記述など、たくさんの興味深いエッセイがありました。 なかでも、一番好きなのは「夜のベンチ」です。著者が、16歳の春に初めての一人旅である、東北一周の旅に出たきっかけが「終着駅」に書かれていますが、そのときに起きたあるエピソードについて書かれています。人っていいなと、心温まる内容でした。 あと、文庫化に際して「文庫版あとがきとして」が追加されており、そちらも素晴らしい内容です。何かしらの自己啓発本を読むよりは、心に響くと思います。文庫化前の四六判を既読の人は、この「文庫版あとがきとして」だけでも読んでみるといいでしょうね。 以下、文中に出てきた本に関する覚え書き。未読のものは、読んでいきたいと思っています。 『津軽』太宰治(他作品『哀蚊(あわれが)』) 『戦艦武蔵』吉村昭 『火宅の人』檀一雄 『奥の細道』松尾芭蕉 『檀』『ハチヤさんの旅』『春に散る』『流星ひとつ』沢木耕太郎 『火花』又吉直樹 『ある華族の昭和史』酒井美意子 『かげろう日記遺文』室生犀星 『今も時だ』立松和平 『方丈記』鴨長明 『菜穂子』堀辰雄 『アレキサンダーの道』『孔子』井上靖 高倉健出演映画『八甲田山』(原作:『八甲田山 死の彷徨』新田次郎) 作家のみは、宮沢賢治(詩:「永訣の朝」)、佐藤春夫、吉行淳之介、横尾忠則、瀬戸内寂聴、小林多喜二、山本周五郎
8投稿日: 2023.11.15
powered by ブクログ沢木耕太郎『旅のつばくろ』新潮文庫。 東北新幹線の車内誌『トランヴェール』に連載された国内旅のエッセイから41編を収録。 新型コロナウイルス感染禍が始まる前から『トランヴェール』に連載されたエッセイで、東北地方についても触れていたので、新幹線に乗車する度に楽しみにしていた。2020年1月、いよいよ新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい出すと新幹線を利用する機会も無くなり、このエッセイを読む機会も無くなってしまった。 先日、4年振りに新幹線に乗車すると『トランヴェール』の連載エッセイが柚月裕子に変わっていたのを初めて知った。 沢木耕太郎の初めての旅は16歳の時に周遊券を握り締めて回った東北旅行だったという。昔は東北地方の周遊券の他に北海道の周遊券もあり、学割で2万円で1ヶ月乗り放題だった。今でも周遊券はあるのだろうか。 このエッセイを読むと、あらためて旅の面白さが認識出来る。旅先での見知らぬ人との出会いや、受けた優しさ。何十年も前の出来事を今だに覚えている。最近の若者たちは旅をしないらしい。特に海外に向かう若者たちが激減しているのだと言う。旅ほど面白く、人を成長させるものはない。自分も国内外で様々な旅を経験し、様々な体験やトラブルを経験したが、まだまだ旅には行きたいと思っている。 本体価格550円 ★★★★★
71投稿日: 2023.11.04
