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わたしに会いたい
わたしに会いたい
西加奈子/集英社
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総合評価

157件)
3.3
16
26
81
14
2
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    ずっと読みたかったこの小説。 女であるがゆえの苦しさ短編集。 わかる、すごくわかる。 容姿への評価に縛られて行きてきた人生だったし、今も縛られている。 でも女である苦しさを感じながら、女であることで得を感じるくらいには女を利用している私は、 純粋に怒る事は出来ない。

    0
    投稿日: 2025.11.21
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    全「わたし」の短編集。 女性特有の悲惨さを集めてどう立ち向かうのかっていうお話たちが、悲痛だったりポジティブだったり感情がいったりきたり。 人間の暗い部分をあっけらかんとした関西弁だったり単調に語ってみたりと重くなり過ぎないように書くところが少し不気味だった。 VIOが面白かったな。発想が斬新。 乳がんのお話も自身の経験をもとに書いたのかなって思うとリアルで他人事ではないなって危機感を感じました。

    40
    投稿日: 2025.11.16
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    (あなたのなかから感想) 「がん」が一人称で語り部をやっていたと判明するのがいい。自分は今まで自分の身体も「私」という一人称に含まれると考えていたが、この話では「がん」という自分と呼べるかグレーな存在が体の中から自分のことを二人称呼びしてくる。大腸菌とかミトコンドリアとかの共生生物(?)からしたら「私」も「あなた」なんだなと思った。人間の生命を蝕む悪というのが人間から見た「がん」だが、「がん」はただそこに存在するだけで、その善悪は人類が勝手にラベル付けしたものだという当たり前のことに気付く。 自分はまだ「がん」を意識せずに生きているが、死にたいほど辛いのに死ぬのが怖いというのが自分がやがて味わう苦痛なのかと思うと恐ろしくてかなわない。 (あらわ感想) ホルマリン漬けにしておいた自分の乳首を乾燥させて樹脂固めしてピアスにするの最高だ。恥など露には元々無かったが、偽りの恥を演じるのに辟易して恥とされているものを両耳にぶら下げるのかっこよすぎる。 (掌感想) 「表参道にあるパンケーキ屋、めっちゃ美味しいらしいで!」、「甘酒って飲む点滴と言われてるんやって。」、←これを「知識」として送ってくる人は本当に居て自分はとても対応に困る。こういうどうでもいい雑談が出来るというのはスキルの一つなのだろうが、自分はその人は休日の過ごし方がとてもつまらない人間だと感じてしまう。視野は広げれば偉いということでは無いが、なんて浅薄な情報を選び取って、かつそれを何故容量の限られた脳みそに埋めようと思えるのだろうと感じてしまう。 (ママと戦う感想) 親の善意が間違ってる時が一番苦しいのは本当にそう思う。そして自分が将来子供を育てることになった時に自分の苦しみなぞとうに忘れて同じことをしてしまいそうなのが怖い。親に間違った善意を向けられると、孝行しないことは悪であるという価値観が染み付いてるゆえ、感謝を期待されているのだろうという義務感から「ありがとう」を絞り出す。これが本当に苦しい。こんなに誰も幸せにならない間違いは減れば減るほどこの世が良くなる。 (チェンジ) 毒を吐くパートが読んでいて気持ちいい。

    7
    投稿日: 2025.10.20
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    2025.09.30 結論 :55歳男子のワタシが、女性を理解しようとする歩みはこれからも続けないといけないなと感じた。 「あらた」と「チェンジ」の2作が特に余韻をもたらした。 自分が男で大変だと思うことよくあるけど、女性はワタシよりもっと女は大変だと日々感じて生きている。

    10
    投稿日: 2025.09.30
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    ほんとのわたしはどこ? ってな事で、西加奈子の『わたしに会いたい』 わたしに会いたい あなたの中から VIO あらわ 掌 Crazy In Love ママと戦う チェンジ の短編集 西さんらしい内容と言うのか、今を生きる人間の複雑になってきた環境(色んな考え方、色んな生き方、色んな情報)が、飛び交い過ぎて生き方や人に対して優しくあったり、また逆に生きにくかったり厳しかったりで何とも言えない世界。 昔みたいに飛び交う情報が少ない方が考える事も少なくて生きやすかったのかと思ってみたり。 じゃが、全ての短編からは『生きてく』ってエネルギーが溢れてる感じを受け取ったかな。 個人的にはママと戦うがなんか好きじゃったな 身体のガタが出てきてるので何かしら格闘技とか習いたい 2025年24冊目

    1
    投稿日: 2025.09.27
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    搾取される性、生きづらい世の中、本当の自分を肯定する、そんな感じのことが書かれた短編集。 読み終わると、自分の体を大切に、愛したくなるような。 西加奈子さんが自身の乳がん治療で得た気付きが描かれているんだろうな。 しかし表現がストレートすぎて私は正直不快な気持ちになってしまった。 特に「あらわ」の乳首の話が全く共感できず苛々してしまい残念ながら合わなかったと思う。 「Clazy In Love」は関西ノリでちょっと笑えた。

    29
    投稿日: 2025.08.23
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    初、西加奈子作品! 表紙のデザインで選ぶ事も多くて、この表紙はあんまり惹かれなかったけど本大量買する時に勢いで買った中にあった本。 ほんと出会えてよかった!勢いに任せておいてよかった! 全てのお話が、女性の生きづらさや葛藤を描いたお話で、すごく真っ直ぐで刺さった! くもをさがす、も読んでみたいと思った!

    1
    投稿日: 2025.08.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「くもをさがす」を読んだばかりだったので、余計に西さんご本人の闘病などが反映された作品だと強く感じました。 8作の中で3作、主人公が乳がんに罹患しているし、特に「あらわ」の乳首の話や、「Crazy In Love」はそのまんま西さんのご経験の話じゃないか!と。 ふみえの「例えば自分の経験をベースにした小説を書く場合、私は、出来る限り登場人物と距離を取ろうとする。」という言葉を読んで、これも西さんのやり方なのかなあと思った。 やっぱりカナダの女性の言葉が関西弁に聞こえるっていうのが面白い! 「わたしに会いたい」以外の作品はすべてジェンダー感というか、女性性に関するメッセージがかなり強かった。 性的に見られるのを嫌悪する人が多いと思うが、「あらわ」のようにエロく見せることに誇りを持つ人もいる。人間一人一人、考え方がそれぞれ違うということを忘れて「男」「女」といったものに区切りがちになるのは気をつけないといけない。 時間がなく駆け足で読んでしまったので、また改めて落ち着いて読み返したいと思えた作品です。

    0
    投稿日: 2025.08.15
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    初めての西加奈子さん 表現がすごいな、うってなるくらい真っ直ぐで、感じてたけど表現できずにいた、気づかないふりしてたことをズサズサ言葉にしてる 読んだ後に、誰かと話したくなる短編だった あなたの中から 胸をグッて掴まれつづけてるかんじ 女性が、生まれて生きていくその時々で晒される苦しさを淡々と1人の女性の人生と一緒に体験する、一緒に苦しくなる。 ある人が読んでも、なんとも思わず、人ごとになるのかな。大袈裟だなって思われてしまうのかな。こんなに生きにくい世界だってことに当事者以外は気づくことができないのかな。 ママと戦う 同じことを体験したことがあるわけじゃないんだけど、その気持ち悪さ、そのやるせなさ、悔しさ、わかる。わたしも戦いたいって思う 当たり前になって言及もされない女性に課せられた生きづらさが社会に蔓延してるってことを気付かされるし、そう思うことはおかしなことじゃないんだって思わせてくれる。 チェンジ 心の叫び 自分の違和感や怒りに蓋をしなくていいんだと、息がしやすくなりましたって長濱ねるちゃんの感想があった。 黙って飲み込むことしかできなくてそうすることが当たり前だ、みんなそうなんだからって思ってる時の救いになる

    1
    投稿日: 2025.07.26
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    女性の身体や人生についてさまざまな角度から描いた短編集。 不思議なものでコロナについて書かれているとすごく昔のことに感じる…。 西さんが持つ、フェミニズムやSRHR、紛争や平和へのしっかりとした温かい眼差しが伝わってくる良作揃いだったと思う。 「VIO」がお気に入りかな。 ★時間とお金のムダ ★★普通〜微妙 ★★★よかった ★★★★心が動いた(感動した、意表をつかれた、ショックだった) ★★★★★人生の本棚に入れたい

    0
    投稿日: 2025.06.24
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    自分自身を取り戻す過程を描いた短編集 とくに最後の「チェンジ」は終わりに向けてのスピード感が素晴らしく、力をもらった

    0
    投稿日: 2025.06.21
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    読んでいて高い質を感じるんだけど内向的でその世界に飛び込めるわけでなく、グイグイ入り込む一歩手前で立ち止まっちゃう感じの読み味でした。 女性の体や性的な話題から展開している事。 私は男性であり共感というより疑似体験ご魅力となる。 電車内で読んでいること。 読書環境が適してないな。

    0
    投稿日: 2025.06.14
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    今の私には、とても重く読み進めるのが怖くて、途中で断念しました。 3編まで読みましたが、どの話も共感するところもあれば、表現しづらい違和感を感じるところもあり…。 心に余裕がある時に再読したい

    6
    投稿日: 2025.05.23
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    くもをさがすに続けて読了。くもをさがすを元に編まれた短編集。どの話の主人公も自分の身体に愛を持って向き合っていて、自分のことは自分が一番の理解者だし、どんな自分も誰に何と言われようと愛おしい存在なのだと肯定してくれるような一冊。

    0
    投稿日: 2025.04.25
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    私もわたしに会いにいかなきゃと思った。 西さんありがとう! ママと戦うが1番好き。 逞しくわたしで生きないとすぐ何かに縛られる。センター試験の日が狙いという日本の闇、最低。日本は安全じゃない。恥ずかしい。

    1
    投稿日: 2025.04.16
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    図書館にて借りる、第730弾。 (京都市図書館にて借りる、第196弾。) 西加奈子の短編集。 西加奈子は癌を経験したことで、作品にその人生観が反映されたように思う。 元々、真の熱い作品を描く作家だったが、より温度が上がったような。 読むこちらの体力を奪うというか、ヘラヘラ読めないというか。 長編作品を待ちたい。 星は3つ。3.4としておく。

    0
    投稿日: 2025.04.11
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    あなたは、自分の『存在を認識した』瞬間を覚えているでしょうか? う〜ん、なんとも難しい質問ですね。あまり深く考えると哲学的な質問にもなってしまいそうです。私たちは、この世に生まれ、自分以外の人間との関わりの中に、やがて、自分という『存在を認識』しはじめます。それは、大人への階段を上っていく中では必然とも言える瞬間です。 そんな瞬間の起点はもちろん人それぞれに異なります。何かしらインパクトある出来事がそこに起点を与えてもいきます。それは人の数だけあるとも言えると思います。 さてここに、『5歳の時』に『わたし』の『存在を認識』したと語る主人公の物語があります。まさかの『ドッペルゲンガー』が登場するこの作品。そんな存在が『わたし』の存在を意識させてもいくこの作品。そしてそれは、インパクトある舞台設定が繰り広げられる西加奈子さんの短編集な物語です。  『初めて「わたし」の存在を認識したのは、5歳の時だ』と振り返るのは主人公の『わたし』。『わたしより4つ上で、くるくるの天然パーマが可愛らしい、痩せた男の子』という『いとこの基(モト)の家に遊びに行っていた』『わたし』は、『四人姉妹だったわたしと違って、一人っ子のモトの部屋に』ある『たくさんのおもちゃ』や『たくさんの本』の存在にモト自身を『憧れの存在』と認識します。『妖怪を教えてくれたのも』、『赤ん坊』が『母親の股から出てくることを教えてくれたのも』モトで、『家も近かったし、幼稚園にも近所にも友達がいなかったから』『毎日のようにモトの家に遊びに行った』という『わたし』。そんな『ある日』、『わたしの歩き方がおかしい、と先生に言われた』ことをきっかけに『幼稚園を休』み、『ママと一緒に病院に行った』『わたし』は『色々体を見られ』ます。『そして、わたしの骨が変形していること、歩き方は生涯直らないこと、を告げられ』ます。『ついでに、骨の成長が途中で止まるから、体も大きくならない』とも言われた『わたし』。そんな『帰り道、ママは何も話』さず、『家に着いても』話しません。やがて、ようやく『なんで。』と『とても静か』に、『平坦』にそんな言葉を口にした母親。そして、『お姉ちゃんたちはわたしのことをこれから先一生「友達なんて出来ない」し、「彼氏も出来ない」し、「子供を産むことだって出来ない」』と言います。 場面は変わり、『モトの家に行』き『やっと安心した。はず』でしたが、『ずっと「なんで。」と呟』く『私』。そんなところに『モトが帰ってき』ました。しかし、『部屋を出る前に、モトの声が聞こえ』ます。『あれ?どうしたの?』と言うモト。『家にいるのはわたしだけのはず』にもかかわらず、『来なよ。』と言うモトを『不思議に思って玄関に向かうと』『玄関の扉を半分開けたまま、外に顔を突き出してい』るモトの姿がありました。『モト。』と言う『わたし』に、『ピクッと体を震わせ』るモトに『誰を待ってるの?』と訊くと『うわああああああ!』と『大声を出す』モト。『どうしたの?』と訊くも『え?え?ミィ?』と『まるでわたしに100年ぶりに会ったような言い方』をするので『そうだよ、ミィだよ、ハロー。どうしたの?』と言う『わたし』。そんな『わたし』に、『え?え?あれ?え?ずっとそこにいた?』と訊くモトに『ううん、モトの部屋にいたよ。でも、モトの声が聞こえたから。誰に話しかけてたの?』と返すと『ミィだよ!』、『そこにミィがいたんだ!』と『玄関の扉を開け』るモト。しかし、『その先には、ジャーン、わたしが…もちろんい』るはずがありません。『そこ、そこの角にいたんだ、今!』、『こっちを見てるから、なんで来ないんだろうと思って。』と続けるモトに『わたしずっと部屋にいたよ。』と答える『わたし』。訳が分からない出来事であるも『モトはもちろんそれを知ってい』ます。『それは、「ドッペルゲンガー」という』ものでした。『もう一人の自分で、同時に異なる場所に現れる。でも、自分のドッペルゲンガーに会うと、その人は死んでしまうのだそうだ』という『ドッペルゲンガー』。『ミィ、会わなくて良かったよ!』と『珍しく興奮』するモトは、『まるっきりミィだったよ!』と続けます。そう、『それが、わたしが「わたし」を意識した最初の瞬間だった』と思う『わたし』。そんな「わたし」の物語が描かれていきます…という最初の短編〈わたしに会いたい〉。『ドッペルゲンガー』というまさかの存在を登場させるインパクトある表題作な好編でした。 “この本を読んだあと、あなたは、きっと、自分の体を愛おしいと思う。「わたし」の体と生きづらさを見つめる珠玉の短編小説集。 コロナ禍以前の2019年より、自身の乳がん発覚から治療を行った22年にかけて発表された7編と書き下ろし1編を含む、全8編を収録”と内容紹介にうたわれるこの作品。「すばる」の2019年1月号などに掲載された5編、「文藝」2022年春季号など掲載の2編、そして書き下ろしの1編から構成されています。8つの短編に関連性はありませんが、とことん『女性』に向き合っていく作品ばかりになっています。 かなり個性の強い作品ばかりという印象が残るこの短編集ですが、今回のレビューでは、そんな中から3つの短編に順番にフォーカスする構成としたいと思います。  ・〈あなたの中から〉: 『私はここにいる。「あなた」の中にいる…「あなた」が生まれる前から、「あなた」の中に、ずっといた』という『私』は『あなた』のことをずっと見ています。『逆子で生まれた』『あなた』を見て、『なんだ、女か。と言った』祖父。『「あなた」の家には、「跡取り」が必要』であり『跡取りは絶対に男でなければならないの』でした。『「あなた」の母は、「あなた」を胸に抱きながら、祖父に』『次はきっと、男の子を産みます』と『頭を下げ』ます。そして『「あなた」が4歳の時』『この子は器量が良くないから、良縁は望めないかもしれないね』と言う祖母。そんな中『待望の跡取り』となる弟が産まれます。『家族の視線が弟に注がれている間、「あなた」は様々な冒険をし』ました。『幼稚園の友達と性器を見せ合い、近所のインターフォンを押して逃げた』『あなた』。そんな『あなた』は小学校に入り『最下層のブス』と呼ばれるようになり…。 『あなた』、『あなた』、『あなた』…と語りかけられていくような文体がこの短編の大きな特徴です。このような独特な文体で思い出すのは2023年に第168回芥川賞を受賞された井戸川射子さん「この世の喜びよ」です。小説でめったに使われることのない三人称による表現で描き切られた物語はインパクト絶大であり強く印象に残っています。一方で西加奈子さんのこの作品では、短編全体を『あなた』で通すのは井戸川さんと同じですが、一点異なるのが冒頭にこんな言葉が置かれているところです。  『私はここにいる。「あなた」の中にいる』。 井戸川さんの作品とは異なり物語の視点はそんな『私』にあることがわかります。このことによって『あなた』をその中から見る『私』という関係性がハッキリする中に『あなた』が産まれてから以降の人生を描いていくのです。   -『中学に入ると、「あなた」は再び太った…「あなた」はブスではなく、最下層のブスと呼ばれた』。   -『「あなた」は大学に行きながら、キャバクラでアルバイトを始めた…キャバクラで女を売ることは、「あなた」をゾクゾクさせた』。   -『「あなた」は欲情される女であり続けた…「あなた」は密かに男性社員を見定めていた』。 そんな風に描かれていく『あなた』の人生は壮絶極まりないものです。一体『あなた』はどうなってしまうのか、『あなた』にどんな人生が待っているのか…もう、キョーレツという他ない物語が繰り広げられていきます。  ・〈あらわ〉: 『両の乳房を切除してから』『生活は変わった』というのは主人公の露(あらわ)。『切除して数週間は、傷口の痛みや突っ張り、胸に繫げられたドレインの違和感にばかり気を取られていた』ものの『徐々に元の生活に戻ってゆくうち、肩こりが劇的に軽減していることに気づいた』という露は、『Gカップの乳房』が『露の肩に相当の負担をかけていた』ことに気づきます。『持っていたブラジャーを全て捨てた』露は、一方で『自分には似合わないと諦めていたTシャツを何枚か買って、それに合わせたジーンズとスニーカーを身につけると』『自分が生まれ変わったような気が』する露。そんな『露が乳がんと宣告された時、右胸にあったしこりは、3センチほどの大きさになってい』ました。『抗がん剤治療を受け』、『あらゆる体毛を失った』露は、『無毛の頭のままで過ごし』ます。そして、『その姿で外出すると、周囲の、露を見る目が変わ』ったのに気づきます…。  『両の乳房を切除してから、露(あらわ)の生活は変わった』。 そんな衝撃的な一文から始まるのがこの短編です。主人公の名前が露(あらわ)という点でもインパクトがありますが、この冒頭の状況は、露が『乳がん』治療の手術によって『乳房』を失ったことが語られることからはじまります。一つのポイントはそんな露の職業です。現在28歳という露。  『彼女の職業は10代から続けていたグラビアアイドルで、乳房を失った途端、その仕事も失った』。 『両の乳房を切除』したことで露は自分の置かれた立場を実感します。『露自身ではなく、露のGカップの胸こそが、大切なのだった』という現実に気づく露。『乳房はなくなっても、自分にはキャリアがある。「エロく見せる技」は、10年の経験でことごとく心得てい』ると思うも、『乳房のない露は、もうエロくないのだ』と思いつめていく露は、ふと一つのモノに気づきます。  『乳首』 まさかの『乳首』の存在を思う露が描かれていく展開はこれまたキョーレツそのものです。これは、女性にしか描けない物語、女性だからこそ描ける物語だと思うインパクト最大級な物語でした。  ・〈チェンジ〉: 『指定された部屋の扉をノック…人が近づいてくる気配がして、背筋を伸ばす。営業用の笑顔を作る』、そして『こんばんは』と声を出すも『多分30代くらいの、細い男の人』に、『自己紹介をする前に』『チェンジ』と言われてしまったのは主人公の『私』。『3ヶ月前から、この仕事をするようになった』という『私』は、『昼間はアパレルの店員をし』、夜の空いた時間に『デリバリーヘルス』をするようになりました。『客が指定する場所(自宅やホテル)まで出向いて、挿入以外の性的なサービスをする』という仕事には『送迎のドライバーが現場まで送ってくれ』ます。『危険な客に当たったら』『外で待機している』ドライバーに『連絡すればよい』という体制。そして、『今日指定された』のが『新宿のラブホテル』でした。『チェンジ、言われたら、その場で事務所に連絡して、代わりの女の子を呼ばないといけない』と、『一人残された廊下で』電話をかける『私』は…。 まさかの『デリバリーヘルス』の”お仕事小説”的側面を見せるこの短編。主人公が『チェンジ』と言われてしまった後の様子を描いていきます。『デリバリーヘルス』の主人公という点でもインパクト絶大ですが、そんな物語に影を落とすのがこの作品が執筆された時期に関わるものです。『ホームページ』にこんな表記があることが記されています。  『アルコール消毒や手洗い、うがいの徹底、望む人には行為時のマスク着用』 そうです。あの辟易するようなコロナ禍がこの短編の背景にあります。『客が密集する危険はない』ものの『濃厚接触、しかも知らない人とのそれであることに変わりはない』という『デリヘル』。コロナ禍を舞台にした作品は数多ありますが、『望む人には行為時のマスク着用』という謳い文句はこの職業ならではです。そこには、こんな皮肉も続きます。  『それで何が防げると言うのだろう(そもそも、マスクをしたままフェラチオなんて出来ない)』 ノーコメントとしたいと思います(汗)。一方で、この短編では感染者数が増えた場合に『赤色に発光』する都庁、『東京アラート』を『なんだよそれ』と思う主人公の姿も描かれます。  『そもそも「警戒を呼びかけられた」ところで、働かないと、生活が出来ない。そんな私たちに、あの光は何の意味があるのだろう』。 そんな風にコロナ禍の『警戒』をある意味で冷めた視点で見る主人公の『私』。『チェンジ』という言葉を投げかけられた『私』の心情をそんな冷めた日々の中に上手く描いていく、この短編集を締めるに相応しい大人な短編だと思いました。 以上、3つの短編を取り上げましたが、他の短編も含め、女性だからこそ描ける、さまざまな立場、境遇の女性主人公の日常がこの作品には描かれていきます。『生理』や『陰毛』、『乳房』、『乳首』といった女性の体を赤裸々に描写していくこの作品は、女性の方にこそ是非読んでいただきたい、心の機微が存分に丁寧に描かれていました。  『それが、わたしが「わたし」を意識した最初の瞬間だった』。 『ドッペルゲンガー』というまさかの存在が描かれていく冒頭の短編〈わたしに会いたい〉を含め、インパクトある物語展開にギョッとさせられること多々のこの作品。そこには、生きづらさの中に日々を送る8人の女性の物語が描かれていました。生々しく赤裸々な描写の頻発に驚かされるこの作品。女性ならではの表現に満ち溢れたこの作品。 「わたしに会いたい」、そんな女性が発する心の声が聞こえてくるような作品でした。

    266
    投稿日: 2025.03.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2作目「あなたの中から」 1人の女性の半生を淡々と綴ってる作品なんだけど、なぜか本当に涙が出そうになった。 女として消費され続け、自分の価値を自分で認められなかった人が、病気を通じて自分の価値を見つめ直す話。 がん細胞の目線から話が展開するのがユニークだし、希望の見えるラストだったので読後がとても清々しかった。

    0
    投稿日: 2025.03.25
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    2021年に乳がんと診断された西さんが送る、 「わたしの身体」と生きづらさを見つめる珠玉の短編集。 闘病中に並行してこれらの物語を書いていたとのこと。 過酷な状態にメンタルがやられることもあったろうに、 それでもこれだけの圧倒的なインパクトとスケール感、 短編と言えども中々過激で衝撃的で赤裸々な物語達は、 価値観がひっくり返る程の力があり、本当驚かされる。 生と性、抑圧と解放、がテーマの今作。 短編なので好き放題感がいつも以上に出てる気がして、 それもまた良し。頭追い付かない感じもするけど、笑。 ◆「わたしに会いたい」 周囲からからかわれるミィに現れたもう一人の「わたし」。 苦しかったり辛かったり消えたいと思う時にそれは現れた。 自分が自分の味方でありヒーローだと気付かされる話。 まさかのとんでも急展開な結末に胸がすく思いがした。 ミィが優しく強く、好奇心旺盛でピュアでとても素敵。 ◆「あなたの中から」 女であることにこだわる「あなた」を私はずっと見ている。 自分の価値を周囲に、男に、委ねて生きてきた「あなた」。 女性を抑圧するような固定観念の箇所が太字になっている。 “男の血を絶やさないように”、“最下層のブス”、“美魔女” “欲情される女”、“若作りに必死なイタイおばさん”… そんな呪いは確実に世間にも私にもある。目が覚める思い。 しかし癌患者の様子を描く容赦なさが、私には本当辛い…。 ◆「VIO」 年齢を重ねることを恐れる24歳の私は、陰毛脱毛を決意。 その脱毛サロンでの出来事をきっかけに価値観が変化する。 なんで陰毛脱毛からそんな大規模な話に!?と仰天した。 でも確かに、些細な事から話が壮大になることはある、笑。 ◆「あらわ」 グラビアアイドルの露(あらわ)は、乳がんで乳房を全摘出。 胸の再建手術を断り、飄々と、堂々と生きていく事を決意。 いやああらわが格好良過ぎる!全世界の女よこうであれ!笑 「エロさ」も実は受動的で、そこに物語性があるからこそで、 「恥ずかしそうにする」のと「全裸で突っ立ってる」じゃ、 訳が違うもんなと再認識!笑 エロですら何かの影響下も元! ◆「掌」 ケイシーの叔母のアズサが手に入れた不思議な能力。 それはあの状況下のみ発揮されるものであった。 この話が私的には一番難解…解読不能だったかな? エロさを求められるくせに、いざ女が快楽を求めると嫌悪。 LGBTQ+の観点から、私は私だと認めていく話かな。難し。 ◆「Crazy In Love」 乳がんの摘出手術を受けることになったふみえ。 看護師や医師とのやりとりの中で明るさと逞しさを感じる。 西さんの実体験の話だそうで。私も思わず笑ってしまった。 ◆「ママと戦う」 フェミニズムに目覚めた娘を愛するママと一人娘のモモは、 お互いの気遣いのちぐはぐさと距離感を埋めるべく、戦う。 話の進み方と掘り方とまさかの解決?策が面白かった。 対立ではなく、共に戦う、の方で、気持ちよく読めた。 それにしても痴漢共のネットワーク最悪。死んでしまえ。 ◆「チェンジ」(書き下ろし) デリヘルで働く私は、客から「チェンジ」を告げられる。 嬢仲間、常連客、世の中、家族、自分の感情を解放し叫ぶ。 初めての屈辱により、放出された怒りが最高に痛快だった。 勝手にくだらないことで傷付けられた痛み。傷付けた痛み。 「おい、今度はてめえの番だろ。てめえがまるっきり変われ。 世界にたった一つのこの体のために、てめえが、変われ。」 「チェンジ!!!!」あーーー泣ける。 「女性の身体って、乳首があって、膣があって、生理があって。そういう子供を産む機能があることで、社会から過剰に意味づけをされて、多かれ少なかれ困難さを強いられてきたと思うんです。自分はそれをフラットにしていきたい。 そう自覚してから、小説も世界に照準をあわせるのではなく、自分の感覚をしっかり書きたい、と思うようになったのかもしれません。 たとえばニュースを見た時に、自分が最初に何を感じるかを知ろうと思うようになったように、小説にも、自分が思った一投目を投影したい。」 この西さんの話に、大納得大共感させられた…!!! 嗚呼、やっぱり、私は西加奈子の文章が大好きだ!! 生命力に満ち溢れていて、血湧き肉躍るような、躍動、 興奮、高揚、熱気、爆発、瞬発、狂気、驚喜、狂喜! そして自分が正直であることを肯定するということを しみじみ考えさせられる、のであった。 (自己肯定感上げてこ!みたいな単純なことではない。笑) https://bessatsu-bunshun.com/n/n5ec86f01422a 西先生のこの本のインタビュー記事、最高よ。

    7
    投稿日: 2025.03.05
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    短編集。乳がんにまつわるものが2編。執筆時に西さんが乳がんが発覚し闘病されていた経験が基になっているのだろうか。

    0
    投稿日: 2025.03.03
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    全編覆う辛辣さシニカルさが、ヒリヒリチクチクして痛かった、しんどかった。 振り切ったキャラの登場人物や状況設定の短編の中で、書き下ろしの「チェンジ」が、理不尽な世の中を呪いながら悪戦苦闘してる主人公の普通さが自分の感覚に馴染んで、一番腑に落ちた。

    0
    投稿日: 2025.02.15
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    著者が癌を患い闘病した体験を基にして書かれたのだろうなと思わされる短編もあり、前作の『くもをさがす』のノンフィクションの内容を思い出した。 女性ならの視線で書かれており、性や女性の芯の強さが小説全体の核になっているように思った。 中々書くことがはばかれるような内容も多くて、それに敢えてチャレンジして小説を書いたのだろうと感じた。 著者の西さんは、闘病生活を経て久しいが元気で過ごされていたらいいと思う。また、素敵な小説を書いて欲しいと思います。

    2
    投稿日: 2025.01.14
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    西加奈子さんによる短編小説集。表題作の「わたしに 会いたい」を読むと『わたし』という自分との付き合い方 向き合い方が掴めるような、そんなお話です。 短編集なのでふらっと好きなところから読んでみてください。  インタラクティブメディア学科4年

    0
    投稿日: 2024.12.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    西加奈子さんの性的に生々しい描写は時として苦手なこともあるが、その独特な感性と語り口にいつも感心する。 「VIO」の主人公リナが、脱毛レーザーを照射された瞬間に〈とんでもない殺人兵器〉を思いついた…というくだり。 黒い色だけに反応し燃やすレーザーが存在するのだから、黒い髪、黒い瞳、黒い皮膚を持つ人間だけを殺す兵器が開発されていてもおかしくない、という発想にハッとさせられた。 どこかの国が狂信的な白人至上主義・人種差別に傾倒したら、そんな恐ろしい兵器が使われる日が来るかもしれない…なんて。

    0
    投稿日: 2024.12.09
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    ラブレターと書いてあったが私には中々難しく、どこがラブレターなのかわからなかった。どれも不思議な?変わった話。性に関するものが多い。 全部を通していうと一番最初の「わたしに会いたい」が一番面白かった。ドッペルゲンガーについて。

    10
    投稿日: 2024.12.09
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    『生と性、抑圧と解放』をテーマにした8篇の短編集。女性の生きづらさと、それでも生き抜く逞しさが描かれていた。 最も心に残った章は『あらわ』で、グラビアアイドルの“あらわ”が乳がんのためにGカップの乳房を全摘する話。彼女の前向きな姿勢や明るさに触れ、先日の乳がん検診で、要精密検査となった自分の不安な気持ちが少し落ち着き救われた。

    13
    投稿日: 2024.11.24
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    西さん自身の乳がんのお話だったのかな。明るくサクッと書いてあるところに芯の強さを感じた。最後のお話は何かに最高にブチギレててスカッとした。

    1
    投稿日: 2024.11.14
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    受容と、それでもわたしはわたしでありたい そんな叫びの本 マインドフルネスとかカッコいい言葉でも表現できるんだろうけど、それよりもっと人が持っているレジリエンスに肉薄した1冊 「この本読んでるんですよ」と人に言うための本ではなく、脈打つ動脈のような自分のための本

    5
    投稿日: 2024.11.03
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    大好きな西加奈子さん。 短編は初めて読んだ。コロナ禍の内容なのが特徴的だったかな。 なんだかすべて強烈に性的で、少し胸焼けした。短編なのに。

    0
    投稿日: 2024.10.18
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    かなりあけすけに綴られたお話が多く、ドギマギしながら読んだ短篇集。 その中の「ママと戦う」の結末が、いちばん気に入った。

    5
    投稿日: 2024.10.05
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    肉感溢れる描写 作者のエネルギー溢れる芸大生のようなパワフルな文章 説得力がある 乳がん コロナ 社会的弱者 いずれのテーマも重いが 作者の筆圧が強くそちらに心を持っていかれる

    1
    投稿日: 2024.10.01
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    人はそれぞれ違う部分があって当たり前なのに、自分と違う部分を持った人、違う考えを持った人を蔑んだり、怖がったり、たぶんどこかで自分もその一員なんだろうなと思った。 『チェンジ』の最後、全てをぶつけた真っ直ぐな言葉たち、なんかスッキリした。 この短編の中に出てくる人たちみたいにかっこいい人になりたい!

    0
    投稿日: 2024.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み始めたとき、正直なんのはなし?って少しなったけど 読めば読むほど、大切に思える作品だった。 女性ならば1つは共感できる話があるだろうし 男性ならば女性を知るという意味で読むのもいいかもしれない。 乳癌を経験した西さんだからこそ 治療の辛さや、大変さ 周りからどう見られるかがリアルに表現されていた。 看護師さんとのやりとりが「くもをさがす」と一緒で 西さんの経験が生かされている素敵な作品なんだなあと改めて感じる。 生理や痴漢の被害、ルッキズムでの偏見や差別に 強く立ち向かっている女性が多く登場してきて 勇気をもらえる話が多い。 少し刺激的な話もあるけど 中学生や高校生にぜひ読んでほしい作品でした。 身体の特徴はみんな違うけど みんな自分の身体を好きになれればいいなと思いました。

    0
    投稿日: 2024.09.23
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    性に関する投げかけ。これってどうなの?という問いかけが多い。決めつけや価値観に苦しみながらのそれでも強く生きようとする人々が描かれていた

    0
    投稿日: 2024.09.20
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    短編集ってどれだけ良くても長編小説の充足感には届かないんだけど、これは本当に全部の話が良かった。 全話通じて、西さんの静かで力強い怒りが脈打っていて、 多様性やらMeToo運動やら言われているけど それでもまだまだ私たちの中にも見えない、いや見させてもらって来なかった変な価値観の根がはっているのだと思い知らされた。 2編目の『あなたの中から』では涙が出た。 女性だけでなく全人類に読んでほしい作品。

    1
    投稿日: 2024.09.16
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    私たちはなぜ、性について語ることについてタブー感や恥ずかしさを感じてしまうんだろう。 太ること、頭髪が少なくなること、体毛が濃いこと、一重瞼であること、背が高いことや低いことを、なぜ忌み嫌うんだろう。 おならをすること、げっぷをすること、排せつすること、生理がくること、生理が終わることをなぜ人から隠したくなるんだろう。 私は、自分のからだが唯一無二のものであること、自分自身で大切にしてあげないといけないということをちゃんと教わってこなかった。 からだとこころはつながっているのに。

    2
    投稿日: 2024.09.16
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    わたしに会いたい 著者:西 加奈子 --- **内容説明:** 西加奈子が贈る8つの短編からなるラブレター。乳がんの治療経験や生きづらさを通して、女性の体と心に焦点を当てた珠玉の短編小説集。自分の体を愛おしく思えるような作品です。コロナ禍以前から2022年にかけて発表された7編と、書き下ろし1編が収録されています。 --- **感想:** 西加奈子さんならではの生々しい表現や、意外性のある展開、時折挟まれる笑いがとても印象的です。女性が自分の心と体、そしてそのセンシティブな部分に向き合い、葛藤しながらも前向きに進んでいく姿が描かれています。それぞれの短編を通じて、様々な女性の人生を疑似体験したような感覚を味わいました。読むたびに新たな気づきがあり、どの作品も非常に力強いメッセージを持っています。

    15
    投稿日: 2024.09.12
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    友達の勧めで読みました。 ここまで性的な描写が多い本は今まで読んだ事が無かったので新鮮でした。 短編ではなく、一つ一つの話をもっとじっくりと読んでみたいと思いました。

    0
    投稿日: 2024.09.12
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    どの短編も赤裸々でリアルな女性たちの葛藤や考え方が滲み出てていい。西加奈子らしさ満開の短編集だった。

    1
    投稿日: 2024.09.10
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    さまざまな女性の人生が描かれていて良かった。どこかにいる、誰かの人生を垣間見たようなリアルさがあって良かった。

    0
    投稿日: 2024.09.09
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    他者や世間との価値観のすれ違いで自己愛が形成されるが、それが自己肯定感に変わった時に本当の自分が見つかるよ、ということがテーマなのかなと思った。 短編集でそれぞれの小説の主人公の設定や背景はかなり異なり幅があって楽しかった。

    19
    投稿日: 2024.09.02
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    女の人の性の話。 偶然にも近いテーマのお話が並んで面白い。その子さんのお話は古い価値観の感じ悪い男の話だったけど、こちらのお話は今の女の人の価値観とは、みたいな感覚だった。みんな戦ってるんだなぁ。

    0
    投稿日: 2024.08.31
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    短編8冊 前作のくもをさがすと同様、作者の自伝も含まれているような気がする 自分に会う どういうことか 考えさせられた

    1
    投稿日: 2024.08.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    他の女性たちも闘っていること、(病気や社会や男たちと)改めて気付かされたけれど、読んでいて辛くなったりイタくなったり。 ため息が出てしまうほど共感も出来るけれどもイヤ〜な気持ちになる箇所との振り幅が大きすぎてもう一度読みたいとは思わない。 『くもをさがす』こちらはノンフィクションだったので読まずにきたが、読んでみたいと思った。

    8
    投稿日: 2024.08.30
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    オーディブルで聴きました。 女性の身体周りの話に釣られて、うんうん、わかる、わかる、とついて行くと、ぜんぜん違う場所に連れて行かれて、勝手にぐるぐる連れ回されたような読後感。 文章はテンポよく、聴いていられるので、さらりと軽く聴き流せばいいのかと思うけれど、時々グロテスクな場面が出てくるので、安心もしていられない。 途中で何度もやめようと思いつつ、最後まで聴いたけれど、途中で放りだしても良かったかな。。

    0
    投稿日: 2024.08.29
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    女性であるからこそ起こる嫌な出来事や感情に対して思いを巡らせる本だった。 癌の描写も出てきて、西さんの人生に大きな影響を及ぼしたのだと分かる。 読む側もエネルギーがいります。

    3
    投稿日: 2024.08.23
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    女性 性 苦しみ 叫び 伝わってくるものはありました。感想を文章にできない。 心身に余裕が出て再読したら、また違う感想が出てくるのかな?

    16
    投稿日: 2024.08.20
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    乳がんの治療を経て、のいろいろと、女性であることの辛さ、葛藤などの短編。 内面の読み取りが追いつかない、スピード感? わかる!、とうーん…が無いまぜになる。

    1
    投稿日: 2024.08.17
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    性のこともハッキリ文字にしてあった。引き込まれるかと言ったら全く引き込まれず…読んでて苦痛だった。この人の作品別なものも読んでみたい

    2
    投稿日: 2024.08.10
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    読んでいて楽しいか、好きかと言われるとよく分からない。女性として、イヤな気持ちや息苦しさを覚える部分もある。 でも西さんが伝えようとしている何かを掴みたくて、ただひたすらに読んだ。

    3
    投稿日: 2024.08.04
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    闘病を経験されての、心の叫びなのだなぁと思った。 病気は価値観を変えるから。 価値観が違う登場人物、でも共感できる部分もある。 表現が露骨だったり、性的なことも描かれており、特に中盤から難解になってきて読むのがしんどくなったことは否めません。でもこんなにも怒ってくれている、という力強さを感じました。 年々体が思うようにはならなくなり、相変わらずコンプレックスはあり、しかし、自分は自分しかわからないから。ありのままでいいんや、という。 女性の生きにくさや、もしかしたら多くの方が感じているのかもという、根深いことが描かれているのだろうと思いました。

    26
    投稿日: 2024.08.04
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    「くもをさがす」に続き西加奈子さん2作目 「くも〜」にどこか繋がっている様な短編集 生きづらさを抱えた女性の生や性 重たい内容の割には、サクッと一気読み 今度は長編も読んでみたい

    1
    投稿日: 2024.07.28
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    西加奈子はどうしてかくも女子を等身大で文字起こしできるのか、とまたまた思わされる作品群。 I miss me 強くありたい。 自分を本当に大切にできる自分でありたい。

    1
    投稿日: 2024.07.24
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    (2024/7/16読了) なんとも言えない。読者中は気分が悪く、読後もイヤな気持ちが残る。 でもギブアップしなかった、読むことをやめられなかったので、星はふたつにした。 読むことをやめられなかったのは、かつて好きだった西加奈子さんを感じたからだと思う。 あんなに好きだったのに。

    1
    投稿日: 2024.07.16
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    私も乳がんになって胸を全摘しましたが、喪失感というものはないです でもなんだろう、乳がんになって、女ってなんだろう、そんなに胸は女の中で大切な物なのかい?ってもやもやと思います 「あなたの中から」は自身の癌からの目線で私を描写してます 自分の体が美しくある事に価値をもっていた女性が乳がんになり治療によって女としての価値がなくなった可哀想な女になってしまう そして初めて自分が自分になるのを感じる ほんと女ってなんなんだろうってやっぱり思う 「あらわ」乳首のピアスエロいでしょ?はすごくスッキリする いったい女ってなんなんだろう

    3
    投稿日: 2024.07.15
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    「くもをさがす」と地続きになっているような短編集。どれも私が私で在り続けるために私を取り戻す話だと思った。 「チェンジ」の主人公が最後「チェンジ。」と呟いてからの畳み掛けが爽快だったな〜〜! なんでこっちが変わらないといけねぇんだよ。変わるのはそっちだろ。って、まじでそう!!!!

    0
    投稿日: 2024.07.14
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    前作の「くもをさがす」がささりにささったので、今作も購入か、、、と思ってところ、たまたま図書館で出逢い読みました。 うーん、、、 購入するほどではないかなぁ、、、 共感できる部分はあるが、あまりにも生きづらさだったり女性の部分にスポットがあてられていて、読者層が限られるのでは、、、? 歯切れのいいテンポ感は好きですが、、、、

    0
    投稿日: 2024.07.06
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    #わたしに会いたい #西加奈子 23/11/2出版 https://amzn.to/3zpPUD4 ●なぜ気になったか 乳がん闘病記『くもをさがす』はノンフィクションであり、今までとは異質の作品だったがそれはしょうがないことと思った。闘病後の作品、どんな変化をしたのか感じとりたい ●読了感想 「えっ、なにこれ?」が正直な感想。このような作品を書く方というイメージがなかったので驚き。乳がん闘病の影響なのだろうけれど相性合わなかった。残念だが読みたい作家さんではなくなった #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き

    10
    投稿日: 2024.07.01
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    くもをさがすを読んでいたのでなんとなく繋がりを感じた作品。女性であることの不公平さや理不尽さが軽めの文体だからこそひしひしと伝わる作品でした。

    0
    投稿日: 2024.06.19
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    好き嫌いが分かれる本。 私はどっちでもないけれど、これを読んで西加奈子を読まなくなってしまうのはかなしいので、最初は漁港の肉子ちゃんとかサラバ!とかを読んでほしい。 短編では勿体無いほどの濃度だけれど、この手の話を長編で読むのも辛いからこのくらいでいいのかもしれない。

    1
    投稿日: 2024.06.18
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    うーーん、刺さらない。 時間の無駄。 なかなか時間の無駄と思うことも少ない本選びしてたつもりだけど。

    0
    投稿日: 2024.06.14
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    西加奈子さんの作品からは生への欲望というか、生きることへの貪欲さというか、そういうものを感じる。私にとって刺激的な作家さんだ。 さらけ出す、という言葉がしっくりくる短編集だった。 著者のパワーに圧倒され、感性の違いを感じ…

    0
    投稿日: 2024.06.03
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    書評で見たのだったか。久しぶりに読んだ西加奈子。 なんというか、自分自身の解放、みたいな短編集なのだけれど、そうか、という感じで私にはあまり刺さらなかったなあ。

    2
    投稿日: 2024.06.01
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    本当の自分ってよく分からないのに、自分らしさにこだわったりするのって、ありそうだけど変だよな。 この本、電車の中などで読むなら、VIOって話は飛ばした方が良いです。 そうでないと、なんだかドキドキしたり恥ずかしくなったりしますよ

    3
    投稿日: 2024.05.31
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    西さんの不思議ワールド系短編集来ました。初めて西さんの本読むなら、こういうタイプだけ読まないで欲しいかなぁ。ちょっととっつきづらかったです。長編小説の方がわかりやすいと思う。 でも気持ち悪い感じも含めダメなものを見たいみたいな感覚で速攻読んでしまった。

    7
    投稿日: 2024.05.29
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    「くもをさがす」の西加奈子さんの短編集。乳がん闘病中に書かれたものと思われるが(「Crazy in Love 」は「くもをさがす」にも登場した筆者の実体験)、いろんな価値観を持った登場人物をさまざまな視点で描いていて面白かった。

    0
    投稿日: 2024.05.24
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    短編集。 女性と癌と性といのちがテーマなのかなと。 好きか嫌いかというと、どちらでもないと思いつつ最後まで読了。 視点のおもしろさは感じた。

    0
    投稿日: 2024.05.24
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    自分の身体は自分が1番大切にしてあげたいと思った。 ちょっと難しいところもあったけど、色んな人の解釈や感想を見てみたいと思う。 女性が読むのと男性が読むのでかなり解釈が変わりそう。思っていたよりも過激な小説だった。その分自分の心に響くものも多かった。

    1
    投稿日: 2024.05.23
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    この前読んだ、『くもをさがす』を思い出させる描写がいくつかあった。女性として生まれてきて、女性として生きていて、直面する問題が多い。いままでの時代では見えていなかった問題が、近年、いくつも浮かんでは問題視されるようになって、みんなの考えるきっかけになってきている。女に生まれた時点で負けているところからスタートすると捉える人もまだいる。一人一人が大切にされるべき存在であるのに、生まれた瞬間に価値が決められるなんておかしい話だが、価値を決めるのは自分ではなく他人なので、これは存在している話なのだ。そういう人が、ほんとにいるんだよ。考え方を変えてほしいが、そんな人たちにどうやったら考え方を変えてくれるか、なんて考える私の時間がもったいない。だから私自身に目を向ける。私も今は表面化していないだけで問題視されるべき言動をとっていることがあるかもしれない。考えすぎもストレスだが、考えてなさすぎは周りのストレスになる。女性として生きていく上で、もちろん強さは欲しい。ただ、おしとやかさ、可愛らしさ、謙虚さ、おとなしさ、愛想の良さなど、女の子らしいところは大切にして磨いていたい。これも賞味期限があると言う話がでてきた。確かに30歳を境に大きく変わる気がする。ここから先に残っていくものを早いうちに見つけて大切に育てていくことが未来のためになると思う。豊胸や整形は今の自分にしか目が向けられていないが、今の自分の幸せが未来に良い方向で繋がることもあれば、足枷のように「昔は良かった」と邪魔になる可能性もある。それを分けるのは、自分が未来に何を持っていくか、ということだと思う。周りに誰がいて欲しいのか、自分は何を離さないで大切にしていきたいのか、これから見つけるところだ。女性として生まれた自分を見つめるきっかけになる話だと思った。『あなたの中から』は特に胸に響いた。周りが求める女性像に自分を合わせなくて良い。自分を見失う前に自分を掴んで欲しい。みんなに対してそう思う。

    0
    投稿日: 2024.05.22
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    仕事中も 早く本を開きたくって ウズウズするくらい 西加奈子先生の本が大好き ジャンプの発売日が楽しみな少年や アイドルのCDをフラゲしにいくオタクたちと 同じ感情で 西加奈子先生の新作がいつも楽しみ 今回も、とてつもないエネルギーと文体で 世の中に光を放っていた そこそこフェミニズム系の短編集なども増えて ある種、女性作家が通る登竜門的なテーマだからこそ フェミニズム全開な作品をまとめることって 勇気がいると思うけど ユーモアのある 突拍子のない設定とか それでいて、なんだか ふんわり感じていた 私が悩まないといけないことなの?という鬱憤を 「あなたは あなたの身体を受け入れたらいいんだよ」って言ってくれる そのままを肯定してくれるけれど 課題から逃れることではなく 自分と向き合って社会と対等だと叫ぶ 希望を放つ西先生にエネルギーもらった!

    1
    投稿日: 2024.05.18
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    8 正しさって、時々人をものすごく傷つけることがあるんだ。 180 それがどんなものであれ私の意見を絶対に肯定すると、ママは決めていたのだった。

    1
    投稿日: 2024.05.18
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    世知辛い世の中で、本当の『わたし』を模索し続ける8人の女性たち。覚醒した『わたし』が、非難すべき言動を太字にし、従順な『わたし』に報せる『あなたの中から』。警戒アラートを発する都庁に向かって絶叫する私『チェンジ』。性差別、貧困、ルッキズム…敬遠しがちなテーマに力強く斬り込む著者に『I miss me』を感じた。

    1
    投稿日: 2024.05.14
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    ずっと読みたいと思っていた西加奈子さん。 本書が初読、コテコテの関西人というイメージがあったのでイラン・テヘラン生まれというのには驚いた。 すごい人だなと思った。一瞬でファンになる感覚。 西さんのモヤモヤとか女性として腹が立った経験とかたくさん詰まっていて励まされた。 他の方の感想に、「登場人物がみんな強く生きてて良い」と書いてあってその通りだなと思った。 「私は自分の存在に、窒息などしなかった。どころか私は、自分のこの濃厚な体に守られ、深く息をしていた。」

    8
    投稿日: 2024.05.14
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    女性であることだけで、差別や侮蔑に合う。容姿や若さのことで揶揄される。それは学校で、勤務先で、街で、普通に起こっている。いつもどこかで感じていたのに、嫌悪に気づかないふりをして、それが当たり前などと思って受け入れていた。どうして自分はなにも気づかないふりをしていたのだろう。 8編の女性たちはみんな私なのです。 ジェンダーに対して少しでも世界が変わっていくことを祈ります。

    1
    投稿日: 2024.05.14
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    短めの短編なのに、重くて深くて、なかなか読み応えがありました。ドキドキと考えさせられる話題が多くて、ドキドキしました。 2024/4/4読了

    1
    投稿日: 2024.05.13
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    『くもをさがす』を読み終え、少し経ってから今作を読んだ。 女性の生きづらさをリアルに描いた短編集。 それぞれの登場人物のこころの痛みや傷口に触れたようで、同じ女性として読んでいてひりひりとこころが痛むような感覚があった。

    6
    投稿日: 2024.05.11
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    1月24日読了。 読んでて辛い話もあったけど読みだしたら止まらない。みんな意外と強く生きてるところもいい。

    1
    投稿日: 2024.05.10
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    今年のマイ課題図書『1984年』を読み終えて 普段の読書生活に戻った爽快感。 短編集 女性と身体がテーマ 特に癌と商品としての身体について 共感、痛快、そして学ぶことも、 ハッとさせられることも多く 同世代同時代を生きる同性作家の作品を 読める喜びを全身で感じて読了。

    4
    投稿日: 2024.05.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    8つの短編集をまとめた本。 「わたしに会いたい」★★★★ ドッペルゲンガーの作品。 死について。 死にたいと思うのは、むしろ遠ざける為に思う。 →本当に死が近づいているのは、何も思わなくなった時かも。 「あなたの中から」★★★ 「あなた」の体は誰のためにあるの?という作品。 主に女性の体についてだったが、男も実際そうで、男らしい体はモテたいと思うから。逆もそうで、デブは忌み嫌われる。人生は他者で成り立っているんだなぁとつくづく思う。 「VIO」★★★★ 脱毛のVIOから社会貢献のVIOへ転ずるのが面白いと思った。施術者のヨウさんが、暴力と痛みに反対する団体をつくるってのが良い。ギャルが戦争語っても良いし、VIOの施術途中で戦争について語っても良い。 「あらわ」★★ 乳首って何?って話。 恥ずかしそうにしている表情に需要がある。 乳首まで晒したら需要が無くなってしまう社会。 逆に乳首が生まれつきない女性は最強だなとも思った。 「掌」★★ 最後の「男性の射精が終わっても、女の人生は続くことを、2人はよう知っていた。」 という一文が言いたかったんだなぁと思った。 「あなたの中から」を別の視点で描いた作品。 「Crazy in Love」★★ 前作の「くもをさがす」の手術へ向かうシーンを抜粋した作品。この笑いながら手術台へ向かうシーンは忘れられないくらい笑える。これは実は実話。 「ママと戦う」★★ 西さんはかわいそうという言葉が嫌いなのかも。 たしかにかわいそうって残酷だなーと思った。 マリアさんの「生き延びて!」がリアルに感じた。 「チェンジ」★★★ 社会と自分について。 こっちばっか変わって、社会が全く変わらないことに対しての愚痴みたいな、怒りみたいな事を書き殴ったような最後に共感した!

    1
    投稿日: 2024.05.03
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    「くもをさがす」を読んだばかりだったので、西加奈子さんが今まさに「性と生」について深く探っているのだろうな…と感じた。 女が女として生きることの苦しみは年齢を増すごとに深くなることが多い。でも、闘病など様々な体験することで「わたし」に出会い、全く違う視点で生き直すことができる気がした。 西加奈子さんはきっと「わたし」に出会えた。 私もきっとこれから「わたし」に出会える。 そんな希望を抱かせてくれた本。

    12
    投稿日: 2024.04.29
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    面白かった。 最近問題になってる女性の生き方やあり方をいろんな方向から見せてくれている感じ。 フィクションなんですが身近にある出来事なのではないかと思えるぐらい現代なお話でした 自分はあなたの中からが好きでした。 他の作品も読んでみたいです。

    2
    投稿日: 2024.04.27
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    「女性の身体」と「生きづらさ」をモチーフにした短編集…ご自身の乳がん経験が反映されたような一作も。 昔に比べ反ルッキズムは浸透した気がするけれど個々の感覚はどうだろう。比較してしまいがちなSNS社会でもある。 自分が思春期の頃にインスタがなくて本当に良かった。 あれこれ考えながら読みました。

    4
    投稿日: 2024.04.22
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    (短編 『あなた』) 女であるがゆえに これまでいかに 『ブス』『デブ』という言葉に怯え日々努力し 『若さ』を失うアラーム音に絶望し 『独身』という個人の自由を嘲笑され 『子なし』というワードに劣等感を抱き 『劣化』という冷たいワードに当然のようにさらされてきたか。 人生まで 映えに支配されなきゃいけないの? 最近1歳になる息子や 他の赤ちゃんたちをみて 思うんです。 自由だなぁ ほんとは、こうあるべきだよねって。 ここまで女として生きてきた そしてこれからも生きていくために 『あなた』 ぜひ読んでほしいです。 そして、わたしに会いたいと 思ってほしい。

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    投稿日: 2024.04.20
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    同じ女性として、考えさせられる内容だった。 女性はこうあるべきだっていう謎の価値観、理想像がこの世界には作られてて、それを目指すのも、抗うのも自由だなと感じた。 生きづらさを抱えながら生きてる女性たちへの応援本。

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    投稿日: 2024.04.16
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    なんて光に満ちた色鮮やかな世界だろう、ざわめく喧騒のなかでも「ミィ」の声がはっきりと聞こえる、そんな世界の中心を感じるような力強い作品でした。 作品はどれも壁を乗り越えるというよりもぶち破る、という表現が似合うくらいカッコ良く生きていこうとする主人公たちが生きていました。 「正しさって、時々人をものすごく傷つけることがあるんだ。」という言葉が印象的です。正しさを押しつけられていた生き苦しさからの解放を感じました。 #プルーフ

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    投稿日: 2024.04.15
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    ちょっと不思議なようでいて、痛烈で、共感も違和感もあって、沸々とした怒りのパワーも感じたり。 明け透けで、生身の女性の生、性に思いを馳せる短篇集。 8篇ありひとつひとつは短いけれど、とてもエネルギッシュ。 私の身体私の人生は、私のもの。 世間の価値観やら先入観にとらわれず、自分自身を肯定することの難しさと素晴らしさを教えてくれるような本。

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    投稿日: 2024.04.02
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    正直、今大切なこの時期に読みたくなかったな、ってくらいブッ刺さる痛々しい話達だった。 ラブレターといえば、そう、ラブレターではあるのだけど。 これから産まれてくる娘はまだ何にも知らなくて良い世界だな、と思ったと同時に、どうか大人になって傷つくことがあった時に、大切にしてくれる誰かがいてくれてるような世界であってほしい、 乗り越えるためのお守りを自分の中で持てるような人であってほしい、 そう思いました。 誰しもが順風満帆に人生を歩むわけではない、 口には出さずとも皆んな何かを抱えてて、こっそり乗り越えて生きてる。 でも西さんの小説に出てくる人物はみんなだたそれだけじゃなくて、心の中のお守りがしっかりあるように感じる。 だからきっと読むとパワーになる気がするし、「それでも頑張れるぞ!」って気にさせてくれるのだ。 相変わらず奇想天外パートもあるけど、どの話も彼女自身の闘病生活が根底にあるような気がした! とにかくみんな、自分の人生、自分が生きたいように 後悔無く過ごせたらいい!!!

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    投稿日: 2024.03.24
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    「くもをさがす」のアンサーソング的な(?)短編集。西さんの話を読むと、女って強えな!って思うし、がんばろって思う。 カナダの看護師さんが変わらず関西弁なの嬉しかった。

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    投稿日: 2024.03.19
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    女性だから直面する様々な状況、起こってしまうこと、間違ってしまうこと、人を傷つけてしまう事、傷つけられてしまうこと。 時には男性に嫌な思いをさせられたり、傷つけられることも。でもどの立場の者も幸せそうには思えない。 強くなるしかないのかな。

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    投稿日: 2024.03.17
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    病の経験を踏まえて書かれたであろうと思われる短編集。 ジェンダーや性に関して、一歩以上踏み込んでイラストや生々しい表現で描いてゆく。 ややもすれば、メッセージ性や卑猥さを拾われてしまう作品になるところであるが、そこはうまく文学作品に仕上げられている。

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    投稿日: 2024.03.14
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    すぐ最近のことを書いているので新鮮。ただ、言葉が少し過激なので、目を離しながら読んだ。乳がんの欄は、痛々しかった。

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    投稿日: 2024.03.14
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    普通ならネガティブに考えそうなテーマを嫌味なくポップに表現していてテンポよく読むことができました。 全体的に男性よりは女性に刺さる話が多かった印象の短編集でした。

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    投稿日: 2024.03.13
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    西さんの短編 女性の生きづらさや性や病気や なんか色んなことについて描かれているのだが 短編一つの中でも ものすごいスピードで物語が過ぎていって 全然思考が追いつかなかった。。 もっとじっくりと考えたいテーマではあるので 読み手側としては ちょっと置いてきぼりをくらった でも西さんは 伝えたいことがものすごくあって それを伝えたんだろうということは伝わった 西さんの作品は何作か読んだけど どうしても世界観に入り込めないものもある。 でも西さん自体はとても好きで 扱ってるテーマに共感するし、 ちょっとした表現はハッとするほど 好きなものもある。 きっと私の理解力が足りないんだろうなあ。。 それが悔しい。

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    投稿日: 2024.03.13
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    『わたし』を冷静かつ客観的にみての作品。辛い時ほど、自分を客観視できるのかも知れない。生きづらいとき、苦しいとき、人と分かり合えないとき。 『女』としての視点が痛いほど登場。 西さん、強い!

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    投稿日: 2024.03.10
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    インパクト大!海外文学の訳書を読んでいるようだった。 『くもをさがす』でご自身が経験されたことが色濃く反映されている短編はどの話も「しがらみ」に苦しみもがいて「わたし」を見つけて自分を解放しよう(決して「されよう」ではない)としている。酸素はあるけど薄くて足りない場所から、みんが大きく息を吸える場所にいけるよう切に願う。

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    投稿日: 2024.03.08
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    自分は誰のものでも誰のためでもなく、ただ自分のために存在している。少し難しくて付いていけないお話もあったけれど、西さんらしい8話短編。

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    投稿日: 2024.02.29
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    人間の体の事を赤裸々に綴っており、その体の事で不快に思ったり、煩わしく思ったりし、さまざまな感情が揺れ動く。短編ですが、どのテーマもヘビーで考えさせられる内容でした。

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    投稿日: 2024.02.29
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    あなたの中から ママと戦う チェンジ が個人的には好きだった。 月経など女性の性について生々しい描写があり、最初は戸惑った。更年期障害の一症状であるホットフラッシュなど私の初めて知ることもあり、新たな発見もあった。20代で小説によって初めて知るということは、今まで女性のことを理解しようとしてこなかったのかなと反省するととともに、女性に対して無理解な自分を恥じた。

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    投稿日: 2024.02.28
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    くもをさがす、を読んだ直後ということもあり重複する部分をうまくキャッチできず、というか短編集で受け取ることは自分には出来ず、改めて長編作家としての魅力を感じました。テーマにしろ、ストーリーにしろ、これを描きたいし、書くことによって勇気づけたいという社会性みたいなものを感じました。また新作を読みたいので楽しみにします。

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    投稿日: 2024.02.23
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    私が「わたし」なのに、近かったり、遠かったり、好きだったり、嫌いだったり。私が、「わたし」だから。 私が生きる。「わたし」が生きる。 傷ついても、苦しくても、好きでも、嫌いでも、世界平和を祈っても、誰かを強く憎んでも、私と生きる。

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    投稿日: 2024.02.23