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百鬼園事件帖
百鬼園事件帖
三上延/KADOKAWA
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総合評価

46件)
3.7
5
21
12
2
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    <目次> 略 <内容> ネタバレ! ドッペルゲンガーに関するお話。ただ内田百閒がどのように関わったのかは結論が出ていない。百閒先生にもドッペルゲンガーは付いてくるが、他の人物よりも強靱なようだ。不思議な感覚でお話は終る。理論的な解決策は出てこない…

    0
    投稿日: 2025.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    病室での内田先生のドッペルゲンガーとの邂逅は油断した。話しぶりに更に油断した。 甘木さんが内田先生のドッペルゲンガーに啖呵をきったのはかっこよかった。 宮子さん、そんな気軽にドッペルゲンガーに頼み事しちゃって。宮子さんのドッペルゲンガーも危ないと分かっててお手伝いしちゃって。対策出来てないけどちゃんと忠告は聞いているから危ないと怒るに怒れない。 百聞は一見にしかず。 怪異なら尚更だなと思ったり。

    1
    投稿日: 2025.07.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    内田百閒をモデルに、彼とその教え子が遭遇する不可思議な事件・怪異との出会いを描いていく連作集。メインとなる怪異はドッペルゲンガーなのだが、これがとても面白く活きている。確かに、ドッペルゲンガーに会うと死ぬと言われているが、ドッペルゲンガー側はどうなるのか。そして、自分以外のドッペルゲンガーに会うとどうなるのか。そこにひとつの解釈・設定を持って世界観ができている。 日本の文化と西洋の文化が丁度混ざり合う時代を舞台に、現か夢か、虚構か真か分からないものが混ざり合う日常を読んでいて、ぞっとするような、どきどきするような、期待と恐怖の入り混じる心持ちで読んだ。やはり明治・大正時代への憧れは尽きない。

    2
    投稿日: 2025.05.26
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    内田百間とそのお弟子さんがちょっと不思議な事件と遭遇するお話。文豪×ミステリとか文豪×妖っていうテーマで百間とは。シリーズ化して欲しいな! 百鬼園事件帖ってタイトルが『百鬼園随筆』から取ってるのは読み終わるまで気がつかなかった。こっちも読もう。

    0
    投稿日: 2025.05.08
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    怪異。ミステリー。 影の薄い学生と少し個性の強い教授の物語。 影の薄い学生、甘木が色んな怪異に出会っていき、話に惹き込まれた。ありえないことばかりだけど、面白い。

    0
    投稿日: 2025.04.22
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    ほんのりと怖くて、 ほんのりと儚く、 ほんのりと切ない。 大正ロマン×怪異譚。 相性のいいことこの上なし。 カツレツにポークチャップ、カレーライス。 不純喫茶の不味いコーヒーも何となく味わってみたくなる。 凄く、脳内で映像化しやすい文章と言う点も魅力的。 ドッペルゲンガーと対峙していく場面は、 どこかジャンプの漫画を読んでいるような気分にもなった。バトルシーンの緊張感、そして高揚感が手に汗を握らせる。

    5
    投稿日: 2025.03.31
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    文豪に怪異、大正~昭和初期と、好きなものが詰まった物語。 怪異は、ほんのり怖い程度で、嫌な暗さはない。

    0
    投稿日: 2025.01.30
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    極端に印象が薄い学生の甘木が、大学の教授である内田榮造(内田百間)と親密になったことで、様々な怪異にまきこまれていく。 このタイトルをみても、ピンと来なかった私が、内田百間にとても興味を持つようになった。「百間先生邂逅百間先生図」が物語の中で持つ意味が、怪異的で少し怖くもあったが、どんどん興味が湧いてきた。芥川龍之介や夏目漱石などの文豪とも親交があったようで、物語への興味が増した。 一話から三話までの怪異もほどよい感じで、第四話の「春の日」が、この物語をうまくまとめていたように思う。今後またなにか起きそうな感じもした。 読後、こういう感じの小説もおもしろいな、と思った。いろんな出会いがあるから、読書は楽しい。

    33
    投稿日: 2024.11.04
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    ビブリア古書堂の著者による文豪×怪異ミステリー。主人公の大学生、甘木と内田百間が出会うところから始まる摩訶不思議な出来事は想像よりは怖くなく楽しく読めた。ドッペルゲンガーの話は不気味で恐怖だけどその怖さを芥川龍之介が緩和してくれてるようで友情を感じる。内田百間って、偏屈でこだわり屋で借金だらけで笑ってしまうところも多いのにどことなく魅力的で作品を読んだことがないのが残念。夏目漱石や芥川などの蘊蓄も楽しくて芥川が書いた百間の絵も興味深かった。こんな怪異に巻き込まれるのはごめんだけど昔は不思議がいっぱい。

    2
    投稿日: 2024.10.29
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    読んでいる私も昭和初期にタイムスリップして、自然と怪異な世界へ入り込んでいました。最後に内田先生が見せる心の内が切ないです。

    2
    投稿日: 2024.07.21
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    怪異譚。 CGとか駆使して怖がらせてくる系PG12指定映画ですら怖くて直視出来ないお子ちゃまオバハンの私には、これくらいの怖さでちょうどいいくらい。 三上延さん、聞いた事のあるお名前だなと思っていたら、ああ、ビブリア古書堂の。お久しぶりです。相変わらず文学に造詣が深くていらして。

    6
    投稿日: 2024.07.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    昭和の大学生と教授が織りなす探偵物語。 主役となる内田百閒は実在する文豪である。 偏屈で神経質であるのにお金にはルーズで借金も多い。そして電車では靴を脱いで窓の方を向いて正座する。こんな面白い人がほとんどこのままの人格で存在していたと思うと面白すぎる。そりゃ主人公にしたくなるよね。 どこから虚構なのか私には判別つかないが、甘木くんの名前も、文献に「某学生」と記されているところが、本当はこの「甘木学生」だったかもしれないね、とい余地を持たせているのかもしれない。 交流があったという夏目漱石や芥川龍之介を絡めたエピソードもあり、文豪という人種そのものに興味のある人たちからしたらとてもたまらない一冊なのではないかと思う。 レトロでクラシカルな雰囲気が心地よい一方、ホラーとしてもしっかりじっとり怖かった。軽めの文体だからなのか、状況がすっと入り込んできて、情景がそのまま浮かんでぞわっとする。 ・病床で反応も虚ろな春代が急にざらざらした大声を出すところ怖い。 ・春代ちゃんの印象が甘木と青池と先生で全然違ってるの怖い。 ・幽霊とは無縁そうな屈託のない明るい人のところに白昼堂々分身が現れるの怖い。 ・一見賑わっているカフェーの客が、全員人ならざるドッペルゲンガーなの怖い。 ・ざわめきは聞こえてくるのに、障子を開けども開けども人の姿を見かけない料亭怖い。 学生街のカフェー、アイスコーヒーとビール、夜の市電、西日の射した病室、桜が満開の春の川沿い、突然の怪異、交錯する過去と現在。もう好みの要素しか出てこない。映像化してください。 読後感もすごく良くて、電子図書館でなんとなく借りてみた自分GJ。

    1
    投稿日: 2024.06.27
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    内田百閒をキーパーソンとした、昭和初期が舞台のレトロなミステリー。 と思わせておいて、けっこうアクロバティックな展開をする物語だった。 お、そっちいくか、みたいな。

    2
    投稿日: 2024.06.13
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    内田百閒の作品読んだことないが何かリンクしてるのだろうか。ドッペルゲンガーを働かせるのにはびっくり。

    1
    投稿日: 2024.05.26
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    文豪・内田百間と大学生・甘木。二人が怪異と遭遇し、謎めいた因縁を解き明かすミステリー仕立て。 内田百間の内面に切り込み、彼の懊悩と鬱屈をときほぐす物語であったと思う。怪異はドッペルゲンガーがその任にあって、彼らの存在と恐怖はあるのですが、心胆寒くさせるには迫力不足であったかな。 内田百間の作品を読んでいないので、物語への没入感が少なくなってしまったのかと思う。こういうところで浅学な自分を知り、もったいないことをしているな、と感じる。いずれ機会があれば、読んでみたいが文豪の文語体は馴染みが薄いので苦労するのだよ。 内田百閒ですが、内田百間としているのは作中表記に習いました。

    1
    投稿日: 2024.05.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    影の薄い大学生の甘木と、個性の塊と言うか子供っぽい拘りを持つ内田榮造の周りで起こる怪異奇譚。 実在する先生なんですね。

    1
    投稿日: 2024.05.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    昭和初期の神楽坂が舞台。存在感の無さに悩む大学生、甘木くんと、偏屈な大学教授、内田先生は、行きつけのカフェーで同席したのを機に親しくなる。先生の背広を間違えて着てしまった甘木くんは、何故か怪異に遭遇するようになり、内田先生とともにその謎に迫っていく。 短編集ではあるけど、順番に読んでかないとダメなやつ。最初はまあまあ怖いかな、という感じなのが、読み進むうちにどんどん怖さが増してきて…。ドッペルゲンガーの話でヒェ〜となり、若くして亡くなった伊成くんの話では悲しみも加わって、胸が締め付けられる。 私は内田百閒を名前くらいしか知らなくて、読み終わってから調べてみた。偏屈で借金大王で、鉄オタで…夏目漱石に師事し、芥川龍之介とも交流があったという。物語の中でもそういう事には触れているので、彼のひととなりを知ってから読むとより面白いのではないだろうか。 甘木くんは、そんな内田先生と良いコンビだ。途中、ある理由から疎遠になってしまうけど、また元鞘に納まってから話は終わる。続きがあったら、ぜひ読みたい。 ノスタルジーを感じるブックデザインも良き。

    6
    投稿日: 2024.05.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    連作短編集。  頃は関東大震災後の8年後。大学生の甘木は喫茶「千鳥」で、ドイツ語教授内田榮三と出会う。本来人の印象に残らない甘木だが、内田は彼のことを覚えていた。  しかし、内田の周りでは不思議なことが度々起こる。動く背広(内田の師、夏目漱石の形見)、喫茶の女中の狐憑き、ドッペルゲンガーの出現など。ドッペルゲンガーについては、内田とは長い因縁があるようだ。 《感想》 ミステリーというよりかは怖くないホラー?内田百閒と甘木が日常で出くわす怪異に対応する、という話。内田のキャラクターが何かしら魅力があって、安心できる。こだわりが強くて、美味しい食べ物が好きで、飄々としていて、観察眼がある。その割には自分の文才の方向が定まっていない時期。甘木に言われて列車の話や食べ物の話を書き始めるところは、実際の作品とつながった感じで印象に残った。

    2
    投稿日: 2024.04.26
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    なかなか、読み進まなかったのだけど、内容は面白かった。内田百間さんって、こんな感じだったのだろう。 鉄ちゃんだったことに反応

    6
    投稿日: 2024.02.18
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    面白かった。内田百閒が大学でドイツ語を教えていた時代に、学生と怪奇に巻き込まれるという内容の連作短編で、背筋が少しゾッとするような話たちだけれど、とても面白かった。今よりも建物の内も外も暗く(暗がりの多い)、自然が身近だった時代―昭和初期―の雰囲気も話に非常に合っていて、良かった。 私は内田百閒は随筆しか読んだことがないのだけれど、ゆったりおおらかで愛嬌があって味のある…というイメージそのままの百閒先生で登場するのも、面白かった。 昔、宮部みゆきさんがよく超能力者(異能力者)が登場するお話を書いていた時、あまりに描写がリアルに感じられて、宮部さんの近くに超能力者(異能力者)が実在するのではと思っていた(今も思っている)。なので、百閒先生は霊能力が強くて実際に色々不思議な体験をしたからそれを基に怪奇ものを書いたのでは、という発想からこういう話が生まれたのかなと思うと、すごく納得がいく。 著者の三上さんはビブリア古書堂の著者でもあると読み終わって気付いた。私は当作の方が好きかもしれない。

    9
    投稿日: 2024.02.09
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    少しホラー、怪奇譚。でも怨念や怨嗟といった類ではない。大正から昭和初期の世俗や街並みも丁寧に記述されてとても楽しく読めた。途中まで読んでやっと内田百閒先生って人実在していたような・・・?ってぐらい何も知らずに読んだけれど内田先生の著書がどういうものなのか興味がわいた。

    3
    投稿日: 2024.02.03
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    誤表記・誤字があった。 校正をしっかりしてほしい。 P. 142 3行目「甘木の言葉」→「青池の言葉」 P. 167 5行目「カンカン棒」→「カンカン帽」

    0
    投稿日: 2024.02.03
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    いや…最初の2編は、まぁ 日常の謎系のミステリな感じですが 後半2編は怪異譚じゃん! うーん、ヒャッケン先生のキャラは だいたい私好みの路線だったんだがな。

    1
    投稿日: 2024.01.21
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    面白かったけど、今までずっと百間先生の色んな文章を読み散らしてきたから、知り合いのおじさんがドラマに出演して台詞言った感あった。「やだおじさんちょっと、あんなこと言ってるよwwwかっこいいじゃんwwwヒィ」みたいな。 芥川とか太宰はこういうのいっぱいあるだろうけど、百間先生自体が物語の登場人物になるのってあんまりない気がする。純粋に嬉しいです。 百間先生の、亡くなった方々との思い出を書いた文章を再読したくなった。

    2
    投稿日: 2024.01.17
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    怪異な現象がいろいろ出てきて、でも人間的な温かさもあって、不思議な味わいの良い本でした。 たまたまだけど最近大正時代が舞台になっている小説を読んでいて、ちょっと妖しい世界が似合う魅力的な時代だと感じました。

    5
    投稿日: 2024.01.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    悪くはなかった。 内田百間の帽子や背広がイメージしづらい。表紙の絵も違う気がする。筆者のビブリアシリーズと異なり、現代を描いたものではないから、私の脳内では映像化が難しかった。 性格もよくわからず。 ドッペルゲンガーとの対決は、ちょっと呆気ない感じ。

    0
    投稿日: 2023.12.24
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    内田百閒(閒の字は作中では敢えて間で表記)先生を探偵役に、甘木という内田先生の教え子の目を通して不思議な世界を描く。 内田百閒と言えば「ノラや」のイメージが強すぎて猫好きな先生なのかと思っていたら、取っつきにくい怖そうな先生として描かれている。 食べることが大好きだがこだわりがあり、整理整頓が好きで、ドイツ語教師としては鬼のように恐れられていて、だが一方で常に借金を抱えていてそこはルーズで。 何よりも不思議な世界とずっと関わってきていて、内田先生の周囲では人死が多い。 漱石先生、内田先生の教え子たち、そして芥川龍之介。 芥川龍之介が描いたという『百閒先生邂逅百閒先生図』という不思議なタイトルの不思議な似顔絵。 こういうものがあるとは初めて知ったが、その解釈がまた面白い。 これをこのような不思議な事件に発展させるというのはさすが作家さんだと感心。 読後調べたら、甘木という主人公の名前は『百鬼園随筆』にも度々登場するらしい。 この辺りも作家さんの遊び心が感じられて楽しい。 また内田先生と芥川龍之介との親交の深さも感じられて興味深かった。 背広、猫、竹杖…様々なモノが起点となって始まる、ちょっと怖くて不思議な世界。 そこに引き込まれて時には命を落とす者もいるが、甘木は意外にも強い。 彼の、人の印象に残りづらい平凡な容貌と、優しくも粘り強い性格が内田先生を助けている。 一人で異世界と闘ってきた内田先生の変化も楽しい。 作中に出てきた内田先生の『冥途』やタイトルにも使われている『百鬼園随筆』にも興味が出てきた。そのうちに読んでみたい。

    54
    投稿日: 2023.12.16
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    内田百閒と学生の甘木(影の薄い)が不思議な、そして身のすくむような体験をしていくミステリーというよりホラーでした。 交流のあった夏目漱石や芥川龍之介の名前も出てきて昭和初期の匂いも感じる小説でした。 いくつか気になる小説のことにも触れているので、それも読んでみたいです。 とても面白かったです。

    2
    投稿日: 2023.12.15
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    文豪×怪異×ミステリーと帯にあったので、怪異にまつわる事件を解決していく話なのかなと思ったら、実際は謎解き要素はほとんどなく怪異とかファンタジーとかそちらの色合いが強かった。 内田百閒、芥川龍之介が好きな私にはグッとくる場面も多くて良かった。いろいろ読み返したくなる。とくに『山高帽子』。 主人公の甘木くんとの師弟関係も良く、切なさと温かみがある終わり方も好き。 まだ続けられそうではあるので、続編がもしでたら読んでみたい。

    5
    投稿日: 2023.12.07
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    「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの三上延。今作は、推理物というよりはオカルト•ホラーです。 内田百閒(1889〜1971)は、アンソロジーに収められた短編をいくつか読んだくらいで、私は馴染みがない。黒澤明の映画「まあだだよ」の人、という印象が強い。 主人公の甘木は大学でドイツ語の講義を受けている内田教授と近しくなる。そのきっかけとなったのは教授が着ていた背広で、それはかつて内田教授が師事していた"ある人物"の形見分けの品だった…。 「背広」「猫」「竹杖」「春の日」の4話連作です。どれもじわじわと恐怖感が増していく感じの物語で、楽しんで読めました。 "証拠を積み重ね、推理をもとに真犯人を追う"的な『事件帖』ではありません。推理物でもS Fでもなく、あくまでオカルトです。…「オカルトとUFOはS Fの敵!」という"コアなS Fの人"には合わないだろうなぁ(笑)

    36
    投稿日: 2023.11.23
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     影が薄い大学生と偏屈で有名な大学教授のコンビが、遭遇する奇妙な出来事の謎を解く連作短編オカルトホラーミステリー。  物語は主人公の甘木という大学生の視点で描かれていく。            ◇  大学生の甘木は午後の講義が終わった帰りに、夕食を摂ろうと行きつけのカフェに入った。  ここ●喫茶千鳥には週イチで来ている甘木だが、影が薄く存在感が希薄なため、未だに女給から馴染客として扱ってもらえない。  そんな自分を内心で嘆きながらふと隣のテーブルを見ると、そこには大学で見知った顔が口をへの字に結びギョロリとした目でアイスクリームを睨んでいる。偏屈で厳しいと評判の内田榮造教授だった。       ( 第1話「背広」)※全4話。        * * * * *    名探偵役を務めるのが、百閒先生こと内田榮造です。  漱石山房のメンバーの中でも変人として知られた百閒は、独特の作風が特徴の作家で、優れた ( 変わった?)短編を多く残しています。  気が向かないことには関わろうとしない性格だったと伝わる百閒ですが、本作では門人には寛容だった漱石に似て目下の者に対する面倒見がよいという設定です。  作中の百閒は、主人公たちを助けようとして怪異に挑みます。  また、気難しい顔から一変したゴキゲンな顔で百閒がアイスクリームを味わうシーンがありますが、子どもじみたところがあったという百閒らしい描写だったと思います。  そのように登場人物から小道具、エピソードに至るまで、百閒ファンはもちろん漱石や芥川のファンも思わずニヤリとしてしまう構成になっています。  その他にも主要舞台となる「●喫茶千鳥」にもおもしろい物語を用意するなど、凝り性の三上延さんらしく、背景もよく考えられていました。  もっと書きたいのですが、ネタを割ってしまいそうなのでこのあたりで置いておこうと思います。  ところで、もし三上延さんが続編を考えていらっしゃるのならお願いがあります。  内田百閒先生の『ノラや』という随想が私は大好きで、不器用な先生が可憐な野良猫に愛情を注ぎ、愛猫を喪ってロス感に悲しむ様子には共感してしまいます。  そんな百閒先生の猫好きの一面を、ぜひ続編で描いてくださいませんか。  三上先生、編集者の方、どうかご一考ください。お願いします。

    43
    投稿日: 2023.11.21
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    実在する人物が登場しているので背景も知りたくなり検索しながら読んでしまうと時間がかかります。 主人公は影の薄い甘木という学生。ドイツ語の内田先生と親しくなるにつれて、怪異に遭遇してしまい、、、。 最近多い怪異や妖ものかと思いきや、大正から昭和という時代背景もありスピード感よりもジワジワくる薄気味悪さを感じる怪異物でした。

    28
    投稿日: 2023.11.15
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    内田百聞が大学でドイツ語の先生をしている頃、印象の薄い学生、甘木と知り合いになり、事件というほどでもないような怪異がおこる作品。内田百聞を知らないと面白さ半減以下です。 夏目漱石の弟子であり、芥川とも交流のあった内田百閒。物語にも、かの文豪たちが登場します。どんな形で出てくるかは読んでのお楽しみ。 背広 内田百問の背広と甘木が友人から事情あって借りた背広が入れ替わる。そこが甘木の内田先生との親交の始まりであり、怪異の入り口だった。 猫 コーヒーがまずいが出す料理は結構うまい行きつけの喫茶の給仕が具合が悪い。しかし彼女から受ける印象は人によって極端に違うようなのだ。 竹杖 百聞先生邂逅百聞先生図という知人からもらった上手くはない不思議な絵。その絵と百聞先生が抱えている秘密は密接にかかわっていた。 春の日 百聞先生から距離をおかれた甘木。しかし、以前百聞先生と親しくしていた学生の影がちらついて、二人はまた近づくことになる。

    5
    投稿日: 2023.11.14
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    どこか気味の悪い空気感とノスタルジックな雰囲気とどこか掴みどころのないキャラクター性で繰り広げられる会話が独特な世界観を作り出していて面白かった。

    3
    投稿日: 2023.11.12
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    ビブリアの著者が送る新しい世界 主人公は甘木という影が薄い大学生 この大学生が大学でロシア語を教えている教師と怪異な体験をする あなたはもう一人の自分と遭遇したらどうしますか?と私ならキャッチフレーズをつけてしまうかな ドッペルゲンガーを題材にしたお話 ただ少し残念なことに・・・これ続編があるの?って感じで終わっている できたらまた続編書いてほしい もうちょっと喫茶店での鬼気迫るシーンが見たかった。

    1
    投稿日: 2023.11.11
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    内田百閒を巡っての怪異の短編集4篇 芥川龍之介のドッペルゲンガーとの邂逅の場面など怖いけれど温かみがありしみじみ良かった。全編の内田百閒の先生としての人柄がリアルに描かれていて、怪異現象も含めとても面白かった。

    1
    投稿日: 2023.11.05
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    「謎を解き明かす」というより「怪異譚」。怪異譚の連作の印象です。 序盤は☆3ぐらいかな、と思って読んでいたのですが、話の重ね方が好感だったので思ったより楽しめました。 あと、恥ずかしながら内田百閒を知らなかったので勉強になりました。

    3
    投稿日: 2023.10.27
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    私立の大学生・甘木は、顔立ちはそこそこ整っているが、これといって特徴がない故に人の記憶に残らない。そんな甘木を覚えていてくれたのは、大学のドイツ語部の教授・内田。行きつけのカフェでバッタリ会った縁で交流を持つ事に。そこから不可思議な事が甘木の周りで起き始めて… ちょっと軽いホラーミステリーみたいな感じでした。文学の偉人がチラホラ出ていて、中々興味深かったです。 そして、内田と師弟関係となった甘木が次はどんな事件に巻き込まれるのか、シリーズ化希望です。

    5
    投稿日: 2023.10.22
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    独特な読後感だった。百鬼園って内田百閒のことだったんだと知る。読み手に色んな知識があれば、繋がるところがあって、もっと楽しめたかな。

    3
    投稿日: 2023.10.21
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    百閒へのオマージュということで勝手に期待してた自分が悪い 内田百閒の作品に出てくるものが次々と登場してたのしい怪談だった

    3
    投稿日: 2023.10.16
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    昭和初期、大学生の甘木は内田教授と知り合い、親しく交流するようになる。内田百閒という筆名を持つ先生はさまざまなこだわりを持ち、さらにその身の回りでは不可思議なことがよく起こる……。怪異の要素も強い連作ミステリです。 内田百閒は少し読んだことがありますが、あまり詳しくは知りませんでした。偏屈でありながらも案外と人情に溢れていたり、わけのわからないこだわりがあったりと案外親しみやすいキャラクターの印象で、実際の作品ももっと読んでみようかなと思います。そして他の文豪に関わるものが登場したりするのもかなり興味深いポイントでした。 お気に入りは「竹杖」。ドッペルゲンガーの恐怖がどんどん広がるさまはとても恐ろしかったのですが、しかししんみりするところがあったりも。怖いというなら「背広」の方がもっと怖かったなあ。「夢十夜」は好きなんだけれど。夢に出るのは怖い。

    4
    投稿日: 2023.10.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    舞台は昭和初期。大学生の甘木が、変わり者の内田教授と親しくなる。 そこから怪異な出来事に巻き込まれ始める。 夏目漱石、芥川龍之介、ドッペルゲンガー… 怪異物は好きでたまに読むけど、ちょっと不思議なテイストだった。

    4
    投稿日: 2023.10.13
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    百閒好きには最高な贈り物でした!! 古書を知り尽くす著者だから、イメージを壊さないで文豪たちを登場させてくれる。 アイスクリームを食べる、車窓を眺めるシーンと想像するだけでわくわくするあの偏屈ものの大先生が浮かんでくる。 是非、シリーズ化して欲しい。 こんどは列車にのって、異世界を旅するとか。

    11
    投稿日: 2023.10.12
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    ほう…今度は内田百閒ときましたか! と、ホクホクするも、ちゃんと読んだことないんだよな、百閒…(^◇^;)スミマセン。 いや、面白いとは聞いているんでね、ええ、うちの父親とかにね…川上弘美さんも好まれていたりするので、読んでみたいとは常々思ってはいるんだけど、なかなかね…。 ところで「偏屈作家と平凡学生のコンビが、怪異と謎を解き明かす」なんて紹介だし、ちょっとのどかな感じで読み進めていたら、そんじょそこらのホラーよりゾゾッときたし!! いやぁ、楽しかったです!!! 内田百閒、今度こそ読んでみないとだなぁwww

    5
    投稿日: 2023.09.22
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    この小説は内田百閒の好きな方ならとても楽しめると思います。 私は芥川龍之介や夏目漱石が出てくるくだりは面白く読めましたが百閒は積読中なので、面白さがいまひとつわからなかったと思います。 百閒とは怪異や亡くなった人の話を書かせると上手い作家だということでした。 第一話 背広 昭和の初め関東大震災が起こった八年後、市谷の私立大学に通う甘木は食事も出す喫茶店でドイツ語学部教授の内田榮造と出会います。 その時、甘木は友人の青池に借りた背広を着ていましたが、女給の宮子の間違いで榮造の着てきた背広を着せられて帰宅します。すると甘木はおかしな夢を見ます。 それを聞いた青池は…。 果たして内田榮造は漱石の門下の内田百閒でした。青池にはとあるたくらみが浮かんだのです。 第二話 猫 甘木と内田先生は宮子のカフェでときどき会うようになり、そこに青池も加わりました。 カフェ千鳥には新しく若い女給の春代が入ってきました。 甘木は大人しい春代に魅かれて病気で店を休んだ春代を宮子と一緒に見舞いにいくことになります。 百閒先生は「おかしな娘には気をつけなさい」といいますが、果たしてその意味は…。 これもまたちょっと不思議な話です。 第三話 竹杖 甘木はステッキをつき、和服の男に出会います。 その男に甘木はどこかで会ったことがあるような気がしますが最初は誰なのかわかりません。 でも次第に、その男の正体がわかってきます。 内田先生は『山高帽子』という芥川龍之介との思い出を小説にしていました。 その男は亡くなった芥川龍之介のドッペルゲンガーだったというお話です。 ドッペルゲンガーとは自分とそっくりの分身でそいつと顔を合わせると死んでしまいます。 内田先生にはドッペルゲンガーがとり憑いていたのです。 第四話 春の日 内田先生の元教え子で笹目や多田と同期の伊成の話。 内田先生には自分の怪異のせいで伊成が亡くなったと思い伊成の実家のいなり屋を訪れています。 甘木も狐に化かされていなり屋で迷子になってしまいます。 内田先生は伊成のドッペルゲンガーに未来の話を聞き、伊成は病気で亡くなったのだと諭されます。

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    投稿日: 2023.09.22
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    『ビブリア古書堂の事件手帖』の三上延の作品.推理小説ではなく怪奇小説で,従来作とは毛色が違う.推理小説ファンとしてはちょっと不満が残る.

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    投稿日: 2023.09.14