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海賊たちは黄金を目指す 日誌から見る海賊たちのリアルな生活、航海、そして戦闘
海賊たちは黄金を目指す 日誌から見る海賊たちのリアルな生活、航海、そして戦闘
キース・トムスン、杉田七重/東京創元社
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総合評価

8件)
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    面白かったーー。 マンガ「ダンピアのおいしい冒険」読者はみんな読んだ方が良いと思う。 以前、この漫画のもとになったダンピアの手記は楽しく読んだのだけど、この本で書き手の個性もよくわかった。 戦闘の様子はあまり触れずに、植物動物のことばっかり書いてるダンピアさんよお。 複数の手記を横断しながら海賊たちの事実に迫る記録という体裁で、この本ではほぼ主役のリングローズ、準主役のダンピア、シャープ、ウェーファのみならず、ソーキンズがどんな人だったか、などもよくわかる。 (リングローズはもっとも中立的に、かつ筆豆に書いていたからこの本では中心人物になったのかも) スペイン人に対して、残虐は残虐なんだけど、一世紀前に入植してきたスペイン人も大概だし。 現地の人たちにはとんでもなく迷惑だったと思うけど、そちらもすでに西欧人への恨みつらみと疑いが大きく、実際にウェーファたちはクナ族に処刑される寸前だった。 飢えと渇き、ケンカと賭博と酒と黄金と海図。 これがもう彼らの全て。 一攫千金とアッサリした戦死、たまにチラつく絞首刑。 その上に成り立つ冒険というか暴力だ。 恐ろしい時代だけど、このスケールに男たちは盛り上がったんだなあ。嫌だなあ。 事実は小説より奇なり、の連続で、読む手が止まらなくて楽しい一冊だった。 ダンピアのマンガの最終巻にあった番外編の内容もこの一冊でよく理解できました。 ハリス(のおじさんのハリス)はただ死んだんじゃなかったんだね…両足を…おえええ。 ・シャープ、やっぱりあのダリエンのシーンで本当はレイ⚪︎してたんだな…そんなことも日記に書き残すんだなあ…(その程度の認識、とも言える) ・船の外科医の手術が怖すぎる。三分から五分で手足を切る。時には船大工が普通のノコギリで。麻酔がないから良い酒飲んで。あああ。 ・外科医の技術や知識は身を守ることが多い ・ダンピア、ウェーファは自分を知識側と認識していて、野蛮系のメンバーを軽蔑してるっぽい。まあやってることは一緒だけどね。 ・ウェーファは外科医だけど、仕事の内容は普通の船員とあまり変わらないのはなんで。(捕まった酔っ払い外科医三人組とは明らかに仕事内容が違う) ・リングローズ、、、妻子をロンドンに置いてきていたか、、、あの童顔で、、、お前、、、。 ・リングローズは本当に親切で聡明な人だった。スペイン人捕虜や奴隷にも優しくて、それがもとで窮地に陥っても助けてもらったり。 ・そんなリングローズがだんだん悪に染まって?シャープ側で船に残ったのがなかなか酸っぱい事実。ダンピアもウェーファも、リングローズを説得したかっただろうなあ。再会できてよかったね。 ・ウェーファがクナ族の集落に残されたとき、ほかに四人も一緒にイギリス人が残っていたのか。しかもそこにマンガにもいた、ボウマンという仕立て屋がいたのか。 ・案内人なしのジャングル、本当無理。これはダンピアの手記でもヤバかったけど、ウェーファたちはほんとうによく生きてたねえ。極限状態の五人がギリシア語聖書をゆっくり解釈するシーンで、人間のリアルが見られるような。 ・リングローズと操舵士チャペルの決闘、えー、その後どっちも生きてたの、なんなん。 ・敵に情けをかけることが良い事態を招くこともあれば、悪い事態を招くこともある 最後にシャープと仲間三人を売った(らしい)、ポウヴィーなる人が漫画版ではどう描かれていたのかなと思って、探してみたがどの人かよくわからなかった。気になります。 そのシャープのその後に顛末も含めて、シャープに対する興味が俄然湧いてきました。 すごい人格だな、この人。 それにしてもダンピアは冷静ですごいな。 スペイン人たちがSOSの信号の偽物を出したのをちゃんと察知できてたシーンに痺れました。 独特の倫理観と一応の民主制のある狭い船での閉鎖空間 and 広い海での冒険。やばい衛生環境と食事情。肉が欲しいと喚くし、水は全然足りない。ときに大金が簡単に手に入るが、死はいつも隣にある。 こんな極端な世界にしばらく身を置いてしまったら、そりゃあオカの生活にはなかなか戻れない気もするなあ。 船でのお楽しみは歌と酒なんだね。なんだか素朴。ペットの犬も和む。(しかし極限状態になるとこの犬は…) 船長には公平なリコール選挙があるし、決闘は船内を二分してしまうから、船上では禁止だった等、なるほど。 船で生き残るには仲間の協力が必須だし、未知の土地では案内人が必須だ。 つくづく、海と未知の土地に生きることのシンプルさに目が眩む。 つまりはあれだ。日記を残すことの価値がすごい。←語彙。 (個人的な覚書。今年小4になる子供がこの本を三分の一ほど勝手に自力で読んでしまった。まあ良いんだけど、良いのかな、良いんだけど。レイ⚪︎シーンも読んじゃった。あああ。ダンピア読者だったとはいえ、普段児童書しか読んでないのに、こんな翻訳物の非小説を読んでいたのには驚いた。それだけこの本が面白かったってことかー)

    3
    投稿日: 2025.06.27
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    初めてのノンフィクション、興味そそられるが読みにくかった。 海賊は空想の世界だと思っていたが、実際にいて生きるために品々を奪ってきた。 海賊の中でも色々な人がいて、成り立っていた。 とっつきにくい本でも読めるようになりたい、読み切れたことは褒めたい。

    1
    投稿日: 2025.06.08
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    長編を読む際は、別の本と併読することが多い。 でも今回は一冊通しで読み切った…!ノンフィクションなのに、書いてある出来事が丸ごとフィクションみたいで、全然飽きなかったから。 その分、随分カロリーを消費しちゃったけど笑 「『短いながらも愉快な人生』というのが海賊たちのモットーで、本書の原題”Born to Be Hanged”(絞首刑になるために生まれてきた)に象徴されるように、絞首台に上がって早期に人生を終える者が多い」(訳者まえがきより) これは、かの有名なカリブの海賊たち(※)の冒険譚であり、略奪劇である。それも前述の通り、全編ノンフィクションだ。 著者はなんと2年にも及ぶ航海の記録を、7名の海賊が残した日誌から、そして、彼らを取り締まる側の手記も交えながら、本書を仕上げている。海賊の航海日誌は犯罪の証拠になり得るため、書き手は事実をうやむやにしたり、時には誇張したりするらしい。(実際、略奪や殺害をかなり遠回しな言い方に書き換えていたり…) そこでより公平な視点も取り入れるために、今回取り締まる側の手記も拠り所にしたわけだ。 (※)ほとんどが、イギリス人・フランス人・オランダ人 「絞首刑になるために生まれてきた人間は、溺れ死にはしないというのは本当だぞ」(P 88) 17世紀後半の中南米。そのほとんどを掌握していたスペイン軍に、孫娘をさらわれた先住民の王は、海賊たちに救援を求める。海賊側も、目的地のパナマを同時に攻略すれば、そこに眠る金銀財宝を自分たちのモノにできるため、取引に応じる。 孫娘の救出作戦を経て、追われる身となった海賊たちの長きにわたる航海が、ここに幕を開ける…。 史料をもとにするだけで、こんなに臨場感たっぷりな出来になる!?もう最初の冒険から解散後に至るまで、ヒヤヒヤしっぱなしだった。 なかなか黄金にありつけないけど、みんな信じられないくらいに命を繋いじゃってるし… スペイン領の情報ネットワークも見上げたもので、海賊が上陸した街や村では既に海賊襲来の通達がなされており、セキュリティも強化されていた。海賊側のとんでもない判断ミスでイラついたりもしたけど、お宝や食料(特に肉!笑)・水のために果敢に飛び込んでいくスタンスは、逆に潔さすら覚えてしまう。 確かに出くわすのが軍艦であれば冷や汗ものだが、商船であれば千載一遇のチャンス。それに船体が深く沈んでいるともなれば、それだけ積荷が多いということ。あとは、略奪行為一択である。 勝手気ままな印象の海賊暮らしだが、船の上は意外と秩序だっていた。 船長の選出など、何事も多数決で決定するという民主制。遠征の際には契約書が作成され、労働災害に対する補償が定められていたり(負傷した部位によって取り分が決まる等)と、何だか人道的。仲間意識も強いから、クリスマスもご馳走を並べてみんなで祝う。 一方で、真面目だった船員が船長に選ばれ、船長らしくあろうとして冷酷非道になっていく…といった生々しい現実も、同時に突きつけられた。 破壊や略奪行為ばかりを強調するディズニーランドの「カリブの海賊」が、霞んで見えてくる…

    48
    投稿日: 2025.04.23
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    17世紀に活躍(?)したバッカニア海賊団のうち、7名の航海記を元に書かれたノンフィクション海賊ストーリー 某有名海賊漫画で度々出てくる、政府公認の7つの海賊組織なんなの…?海賊なのに公式?とか思っていたが、結構遠からずで当時のイギリスの海軍事力を補完するような役割を担っていたらしい。 荒くれ者の集まりなので略奪や内紛シーンが多くありつつ、意外と民主主義的な部分や一般的な倫理観を持った一団だったんだと、面白かった。

    1
    投稿日: 2024.04.28
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    17世紀の日誌を元に再構成した、海賊たちの日々。 生活の全般を描いたのではなく、本当にその特定の航海を七人の海賊の航海日誌から語っており実に興味深い。 海賊本人が書いていることから、不都合なことを省いて色々誇張、美化もある前提であり、肉付けも薄いがその分生々しい部分もある。 意外に民主主義的であったり、無駄な殺人は嫌悪したり、勇猛に戦ったりするが、所詮は違法行為。 しかしというか、この時代にある程度以上の収入を得ようとしたら、一部の大資産家、事業家になるのか、その富を奪うのか、どちらかになるくらい生産性が低かったのかなと思うところもあり。 良書。

    1
    投稿日: 2024.02.07
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    イギリスの海賊バッカニアの物語。海賊達の日誌や記録をベースにしたノンフィクション。海賊といえば、よく映画に登場する荒くれ者で金銀などの財宝に目がくらみ 残虐行為も辞さない恐ろしい人達というイメージがあった。当然、世間のルールは無視、一般社会とはかけ離れ、上下関係の厳しい世界を想像していたが、重要な決め事は多数決、指導者は選挙で決める民主主義的な世界だったようだ。逆に掟を破ると追放されるし、船という狭い世界においては逃げ場がないので、それは当然の帰結だったのかもしれない。また航海は必ず記録を取り、各人が航海日誌をつけていた。海賊の中には、医者がいたり、博物学に詳しい人物(ウィリアムダンピア)もいた。数世紀後の私達が、この航海を辿ることができるのも彼らの記録があったおかげだ。 この本では、ウィリアムダンピア等数名の経歴、海賊になった経緯、カリブ海からパナマ、ペルー周辺の海賊活動、ライバル国スペインとの戦い、その後の逃避行、南アメリカ南端を回ってカリブ海諸島に到達し、本国へ帰還するまでの状況を細かく紹介しており、大変面白く読めた。 著者は数名の航海日誌を相互参照し、彼等の行動や考えを詳細に検証して、多少の推測も含めているが、大変信憑性の高いノンフィクションとなっている。強大なスペインに立ち向かうイギリス海賊も、スペインとイギリスが友好関係を結ぶと立場が微妙になる。海賊たちのその後の人生もいろいろ。自分の航海日誌を元に本を出版した ウィリアムダンピアは、合計3回も世界就航し、何度も危機に会いながらも生還して博物学にも大きく貢献。彼は海賊という カテゴリーを大きく超越した人物だった。 彼の波乱の人生を見ると、幸運な人物というのはこういう人のことを言うのだろうと思った。とにかく面白い本で翻訳も大変読みやすかった。

    2
    投稿日: 2023.12.14
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    漫画化され、復刊もしたダンピアの冒険記を読み、さらに深掘りできないかと探していたところに見つけた一冊。 本作はダンピアだけでなく、シャープ、リングローズなどの日誌を読み取って冒険を再構成したものだ。漫画や冒険記ではキャラ・人物を良く見せているが改めて海賊たちの行動を読み通すと、無計画すぎて、ヤバい。よく生きて帰って来れたな。それでまた海に戻ろうとする連中が大勢いたところがすごい。 ただし、私のように深掘り用サブテキストにするには本作は物足りない。その理由は、参考資料がまさに岩波文庫のダンピアの日誌や、海賊の生活を研究している歴史家・ベナーソン氏『海の盗賊の日常』などだからだ。 とはいえ、海賊がなんで毎度砂糖や小麦粉を町や船からゲットしてたのかとか、意外と気づかなかったところが分かるのは面白い。冒険に出かけた海賊たちの精神を知るのに良い。

    2
    投稿日: 2023.11.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どちらかというと原題のborn to be hangedのほうが合ってる。バッカニアの荒っぽさよ。日記が残るのはすごいことだなあ。

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    投稿日: 2023.10.04