
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
以前、著者と上野千鶴子先生の往復書簡集を読んだり、雑誌のコラムを読んだりして気になる書き手さんでした。 薄い本ならなじみのない世界の話でも読めるかなと手に取ってみましたが。なじみなさすぎでしたね(笑) でも2000年代くらいでこういう世界もあったのなと覗き見の気持ちで読了。 著者が本作を出されたのは40歳くらいでしょうか。書かれたのはもうちょっと若い時なのか、それとも書いてすぐ出されたのか。 そこはわからないけれど主人公からは俯瞰するような離れた立場で書いてますね。そういう経験も多少お有りだったのかもしれませんけど。 しかし主人公の若さが痛い。「いやぁ、若いなぁ」とどこを読んでいてもひたすら思いました。 「生理の時会えないのは恋人じゃないよ」(p71) 確かにそうかも。若い女の子みんなにそう言ってあげたいね。 「女でいいことなんてさ、子ども産めることと身体売れることくらいしかないんだから」「子どもいてヘルス嬢やってる私って最強じゃん」(p73) いやぁ若いわ。子供を産まない(産めない)女も、身体を売らない(売れない)女も存在することなんか度外視したある種、傲慢さを感じるようなこのような世界限定の若さの発露だなと。全然羨ましくもなく理解もほぼできないけども、そういう女の世界があるんだなと産んだことも売ったこともない(当然これからもない)おばちゃんは思ったわけで。 (著者は確か近年産んだんじゃなかったかしら⋯) 他の著作を読んでないのでわからないけれども、本作の読みにくさはわざとこのような文体にしているのかなと感じさせられます。 センテンスが長い。その長さの中に2つも3つも情景や感情(はっきりとは書いてないですが)を盛り込んで語っていくので分かりにくいのだと思います。しかしこの一読して理解しにくい文体は、主人公の居所のあいまいさをあえてこのような文体にすることで浮き上がらせる効果もあるのかなとも感じました。タイトル浮き身、だけに。 淡々と露骨な感情を盛り込まないよう、人物も女以外、男は誰も名前を出さないのは主人公が男に必要以上に感情を寄せないスタンスでいることの表現なのかなと。(考えすぎ?) 意図はわかりませんが、こういう文体を貫ける著者の知性を感じました。 他の著作を手に取るかは⋯うーん、ちょっと未知の世界の若さに食傷したのですぐはいいかなぁという感じですかね。
3投稿日: 2025.05.26
powered by ブクログ00年代初頭っぽい空気感って好き。主人公が女の子は名前で、男は金髪とか細眉とか呼ぶ女子大生だったっていうのが、質感分かって良い。
0投稿日: 2025.05.08
powered by ブクログ読了。闇金ウシジマくんを思い出した。ひどいシーンがあるが、それほど傷もつかずに読み進んだ。なんでかなと考えると、本人にとって、それほどしんどいことでないような語り口調だったからかもしれない。自分の住んでる世界とは別世界で、怖さを感じる。
0投稿日: 2024.04.30
powered by ブクログ冷たく乾いた筆致で性風俗界隈に蠢く女性を描き出す鈴木さんの作品は、嫌いじゃないんだが受け止め方がよくわからない。 本作は、外資系企業で働くアラフォー女性が、男と別れた直後に19年前の出来事を回想する。マンションの一室でデリヘル開業準備中の男女がひしめく中、部外者であるにも関わらず出入りを黙認されている彼女は、そんな彼らを冷静に観察している。酒や煙草だけではなく薬物もありの環境で、ぶっ飛んだあげくにやられてしまったりもする。 タイトルの「浮き身」とは水泳用語だろうか?
4投稿日: 2024.02.25
powered by ブクログ私には読みにくかった。 デリヘルの開業部屋の掃き溜め部屋の話。 想像しにくかったというのも大きいかも。 タバコの煙やお酒の感じはすごくイメージできた。
0投稿日: 2024.01.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自分の意思で読んでいるはずなのに、街で見かける風景くらいの解像度で通り過ぎていく。ある意味それくらいどこかの街の一部分を切り取ったようなリアリティがあるとも言えるのかもしれない。 帯にフェミニズムの文字があったけれど、この作品のどの部分を指すものだったんだろう。同様に帯に「産むことにも売ることにも稚拙に抵抗しながら」とあったけど、性風俗はしてなくても自分の性を代償に居場所を手に入れていたらそれは"売った"ことにはならないんだろうか…
0投稿日: 2023.12.02
powered by ブクログギフテッドの人の本なのね。知らなかった。最初と最後の話が始まる前と後の文章がとても読みづらい。難解。ストーリーはあんましない。横浜なんだろうけど、それがいつの話なのか?20年前なの?じゃあそれを振り返ったの?がはっきりしないや。それ以上の感想はない。ギフテッド挫折したけど、同じテクなら最初の難解文章を超えたら読めるようになるのかな
0投稿日: 2023.10.13
powered by ブクログデリヘルを開業するための部屋に集う主人公含めた若者たち。 退廃的な雰囲気で、薬も当たり前のように皆やっていて…と私には縁遠い世界で興味深い。 主人公が、自分のセックスに価値があると思っている女子大生をちょっと見下しているところが良かった。 他には特に印象的なところはない。 筆者の本は2冊目だが、いつも読んでいて難しく感じる。筆者がどういう意図でこの本を書いたのかか分からないため、純粋に楽しめない自分が残念だ。
1投稿日: 2023.08.17
powered by ブクログ購入する前から、村上龍さんの『限りなく透明に近いブルー』を彷彿とさせるな、と思っていた。 読んでいる間、断続的に生微温い空気に覆われている気がした。紫煙の煙たさ、吐瀉物の酸っぱい匂い、前日のアルコールによる喉の痛み、十代の、どこにも居場所がなく、日常に不確かに漂うメランコリック。 まあまあ好き、といった感じだった。『限りなく〜』が好きだったので(比べるのはどうかと思うが)、ちょっと過度に期待していたところはある。鈴木涼美さんの他書は読んだことがないのでわからないけど、本書には読みづらさがあったように思う。 タイトル、内容自体はとても好き。不穏で不快な生臭さが匂ってくる感じも好き。 読了後に、身体中に澱みを感じさせるような物語は、個人的に大好物だから。
0投稿日: 2023.07.24
powered by ブクログ今から19年前、デリヘルを開業しようとする若者たちが集う酒と薬にまみれた掃き溜めのような11階のマンションの一室での狂騒。鈴木涼美さんの筆致は大好きなのだが、今作はなぜかとても読みにくかった。 それから19年後の今、「もうすぐ子どもは産めなくなる」という事実を彼女はどのような実感を伴って受け容れようとしているのだろう。
5投稿日: 2023.07.17
powered by ブクログ芥川賞を狙える作品だった。 純文学でありながら、回想に入るとスピード感をもって、展開され、結論を持たず、読者に委ねる。 見事です。
1投稿日: 2023.07.16
