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アジアを生きる
アジアを生きる
姜尚中/集英社
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総合評価

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    「在日二世」の観点から、アジアにおける日本の立ち位置を論じている。筆者の人生が色濃く反映されていて、大局的観点だけでなく韓国人と日本人双方の視点が入っているのはこの筆者ならでは。 話は過去の思想家やそこから繋がる現代の状況、世界各国まで広がるので少し難しい。しかし筆者が述べている通り教科書でほんの数行だけ「韓国併合」などと触れられていても実態を理解できるものではなく、世界中の過去からの流れがあってその歴史が刻まれていくということを考えれば、古今東西まで話が広がるのは当然だろう。 筆者自身の生い立ちを歴史に絡めた知的エッセイのようなテイストの本。

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    投稿日: 2024.03.23
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    西洋一神教に基づく善悪二元論とは異なる新しい世界秩序とはどうあるべきか、それはかつてアジアにあった思想と根底で通じるものはないか、考えさせられる。少なくとも西洋文明こそが理想であり到達点であり、総ての人類はそこに向かうべき、という思想を今更信じる人は居ないのだろうが、さりとてその代わりが安易なナショナリズムである筈も無い。 「理解は出来ないが受け入れる(梨木香歩先生)」という考え方を持ちつつ、相容れない思想を抱きつつも最後の一線だけは越えないように出来ないか。相手が攻めてきているのにそんなナイーブな事は言っていられない、というのはその通りである。防備は必要だろう。だがそれは話し合いが無くて良いという事では無いはず。防備しつつも話し合いを絶やさないこと、決して分かりあえない事を知りつつも努力を続ける事が求められるのだろう。 中国の和平が打算に基づくと知りつつも、その打算が成立しないようにしつつ、なお平和を達成することが出来ないか。相手が変わらなくても良い、こちらに従わなくても、同じ考え方をしなくても良い、互いに理解は出来ないが共存は出来る、となるのが、現状、ベストであり最も難しい道なのだろう。だとすれば、「東アジア」といった緩い枠組みの中で、鍔迫り合いながら同床異夢のまま過ごす、というのは、意外と最も有効なのかも知れない。

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    投稿日: 2023.07.16