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総合評価

53件)
3.4
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22
8
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    【短評】 早逝の天才・小林泰三によるホラー短編集。 昔々『酔歩する男』という作品に大層感銘を受けたことを良く覚えている。本作を読んでも感じたが、この人の作品には「自己認識」という領域に対する偏執的とも言える関心が垣間見える。 「私とは何か?」「私は本当に正しいのか?」「私に作用するものとは?」 異なるアプローチに基づくスタンドアロンな作品達の根底に、何故だか同じ衝動を感じさせるのは穿ち過ぎというものだろうか。短編集は各話の好き嫌いが発生するため、総合的な点数が伸び悩む傾向にあるが、トリを飾る『本』は図抜けた傑作だと感じた。この一本に出会えただけでも手に取った価値は十二分にあろう。 ①人獣細工 ★★★☆☆ 先天性の疾患ゆえに、生後間もなくから種々の臓器をブタの臓器に置換・移植した少女の物語。代謝に起因する自己の連続性への疑念というのは、午後の思索に丁度良い高尚なテーマだが、これをブタでやるとは思わなかった。果てしなくキモくて忌まわしい。『魍魎の匣』を思い起こさせた。テーマは大好物だが、着地点がやや安直かなと思ったので三点評価とした。 ②吸血狩り ★★★☆☆ 少年が吸血鬼を退治せんと奮闘するお話。非常に厭な読後感を齎す作品なのだが「非常に厭な読後感を齎そうとしているな」と早い段階で当たりがついてしまった作品。予期した着地点に淡々と着地した印象が先行したため、評価は振るわなかった。 ③本 ★★★★★ 本作品集のベスト。有り体に言えばこの作品だけはレベルが違う。端的に言えば、奇っ怪な内容の本を送りつけられた人々が発狂する的なお話なのだが、人を発狂せしめるメカニズムが実にユニークだった。「芸術」である。芸術が如何にして人間の精神に作用し、伝播していくかを「論」という形式を以て叙述する手法が実に気味が悪い。また、本の内容が幻想文学としても一級であり、「鼻血を啜り上げる男」とか「名付けることが禁じられた土地、ゲリル」といった奇妙としか言い様のないモチーフが嫌でも脳に刻みつけられる。インストールに失敗した人の振る舞いを含め、不気味で仕方がなかった。 『本』という奇貨を与えてくれた出会いに感謝したい。 また、盤外の感想で恐縮だが、呂后による「人豚」の逸話が取り上げられた作品を二作品連続で読むこととなった。読書を長く続けていると、こういう出会いもあるものである。感慨深いものだ。

    10
    投稿日: 2025.11.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「テセウスの船」は知ってるだろうか。 古代ギリシャの伝説で、英雄テセウスが使った船にまつわる話。 老朽化した船の木材を次々と新しいものに交換していき、長い年月をかけて最終的にすべての木材が新しくなったとする。 このとき、「この船は本当にテセウスが乗っていた船と言えるのか?」という疑問が生じたことに由来する。 さて、これが人に行われたのが本書だ。 とある少女が臓器移植の専門医である父に、長い年月をかけて豚の細胞を移植し続けた。 少女:夕霞は先天性の病気で生まれた時から多くの臓器に血管があり、赤ん坊の頃から臓器移植のを繰り返して生き延びてきたと説明されている。 心臓、腎臓、肝臓から始まり、角膜、肛門、皮膚、眼球、唾液腺、舌、涙、卵巣、子宮、腕など。人体のほとんどの部位が豚から移植されたこの少女は、人間と言えるのか? そんな哲学的で、グロテスクなことが身に降りかかった少女は自分という存在、人としてのアイデンティティが何か分からなくなっていった。 ただ、そんな夕霞にもギリギリ自分が人間であるとすがれるものがあった、 それは「生まれつき右肩にある魚のような形の痣」だった。 物語冒頭時点では父は病死しており、夕霞は父の残した研究室・記録を整理しながら自分の手術の真相を探っていく。 そこでとあるビデオテープを見つけた。 そこには遺伝子操作を施された母豚が、大量の奇形の子豚を「排泄するように」産み続ける映像が延々と映っている。 その中の一匹の子豚の肩に、夕霞自身のものと同じ痣があるのを、彼女ははっきりと目撃してしまったのだ。 物語はここで終わり解釈は読者へと委ねられた。 夕霞の肩の痣は「人間の母から受け継いだ印」ではなく、豚側に元々あった形質(=彼女の“オリジナル”は豚の身体)という解釈が有力視されている。 「物体の同一性」や「自己とは何か」といった、哲学的な問いかけをしてくるエグいストーリーだ。

    0
    投稿日: 2025.11.21
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    3部作の短編集。 どれも衝撃的なお話でした! 最後の『本』は、自分自身もその中に入って体験してるかのような描写があったりと、それに限らず3部作とも濃い内容でした!

    12
    投稿日: 2025.10.26
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    何だか独特の世界観と個性的な文章。 3部作になってます。 外国文学の様な、古典文学の様な文章に ホラーの様なSF作品。 不思議な違和感の世界に引き込まれる。 好き嫌いは別れると思います。 映画になったらB級の面白いホラーになりそう。 ただし、監督が優秀でないと 痛い作品になるでしょう。

    0
    投稿日: 2025.10.22
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    最高値は星5です。「人獣細工」が最も面白かったです。、落ちが非常に残酷で、その落ちへの導線がしっかりしている印象でした。ほんとに面白かったです。残り二つの話は知りません。よく分かりませんでした。

    0
    投稿日: 2025.10.17
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    ホラーのかな????? 『人獣細工』 テセウスの船的な話かと思ったらまさかのオチでした。でもじゃぁ結局どゆこと???って疑問は少し残ってしまった 『吸血狩り』 結局彼は吸血鬼だったの???それまた疑問を残す話。きっとこれが小林先生の手法なのか! 『本』 世界観としては1番好きでした!でも理解は難しかったし、ちょっと力が抜けちゃうような展開も。特にこれ見よがしな関西弁は読んでてちょっと疲れた笑「世界5分前仮説」ぽい雰囲気もあって良かった

    1
    投稿日: 2025.10.12
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    『人獣細工』は、単なるホラーを超えた、どこか不気味で後味の悪い世界観が印象的な作品集です。タイトルにもなっている「人獣細工」は、人間と獣の境界が曖昧になる恐怖を描き出しており、その独特の気持ち悪さがじわじわと心に残ります。 三編収録されている本作は、どれも強烈な恐怖を前面に押し出すというよりは、読後に「なんとなく気持ち悪い」という感覚を残すタイプの作品で、ホラーの持つ不快感や違和感を巧みに操っています。人によって好みが分かれるかもしれませんが、その不穏な雰囲気や異様な設定が印象深く、好きな人にはたまらない魅力があると思います。

    0
    投稿日: 2025.09.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人獣細工。人体実験の末に生まれた愛も何もないオモチャのような存在。吸血狩り。吸血鬼だと思っていたけど本当はただの人間だったのでは?ともとれるこの2作はラストの「本」に関しては読みづらく、何が書きたいのかもわからないまま本を閉じた。

    1
    投稿日: 2025.09.22
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    表題作の『人獣細工』 先天性の病気が理由で生後間もなく ブタの臓器を全身に移植され続けてきた少女の話 何故こんな事をしたのか 亡き父の記録を調べていくうちに 彼女が辿り着く真実は、、 倫理観を問う話だった 2作目の『吸血狩り』 ちょっぴりエロティックな ノスタルジーを感じさせる田舎が舞台で 吸血鬼から従姉を護る少年の話、、 3作目の『本』 どこかリングを感じさせた どれも短編なのに、とても完成度が高い 久々のホラー作品で、初読みの作家さんだけど 良かった

    27
    投稿日: 2025.06.29
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    個人的にこの人の作品が好きというせいもあるかもしれないけれど、小林泰三の作品は期待を裏切らない面白さと読了感がある。 文の中で全てを語らずに、それでいてちゃんとその物語の違和感に気づかせるのが抜群に上手く、読んでいて楽しい。 自分がいる「現実」や「世界」に、いとも簡単に疑問と不安を生じさせる(現実について、自己について考えざるを得ない)作風は、今回も私に思考の機会を与えてくれた。

    2
    投稿日: 2025.06.02
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    ※ 『アリス殺し』〜関連は面白く読んだんですが、 この『人獣細工』と『本』はわたしにはエグさと グロさのハードルがかなり高かった。 一口にホラーで括るには歪み方が違うというか、 何といったら良いのか…。 好きな人はハマるんでしょうかね。 心身の具合が良い時に再トライできればいいかな。

    6
    投稿日: 2025.04.19
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    個人的には人獣細工の設定はすごく好きだから面白かったが、他は...。 長編でほりさげてくれるとよかったなぁ。 短編の良さが私にはいつも分からない。

    0
    投稿日: 2025.04.15
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    表紙買いならぬ タイトル買いならぬ 帯買いです。 帯にYouTuberけんご氏激推し って書いてあったもので。 小林泰三先生の作品は 「玩具修理者」以来です。 表題「人獣細工」「吸血狩り」「本」の3篇。 個人的には「玩具修理者」の方が刺さりました。

    5
    投稿日: 2025.04.15
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    表題作、一気に読みました。 「父親」の所業がおぞましすぎる。縫い目に無頓着なの、そういう……。 人間の定義とは? 定義にこだわらずに生きられないのか? とかいろいろ頭の中ぐるぐる。 夕霞が救われることはありえるのか。 通りすがりのパンク野郎が「バンドやろうぜ!!」とか言ってきて、夕霞が出口のない鬱屈を全部ロックで爆発させる未来を想像した。

    1
    投稿日: 2025.03.14
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    2025.3.6読了 バチクソにクトゥルフホラーで大歓喜!今まで著者の作品はハヤカワ文庫のSFとミステリばかり手に取ってたんだが、ホラーの毛色もド好みすぎる……ただのホラーじゃないのが個人的に大好き。他作品も味わって読みます

    0
    投稿日: 2025.03.06
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    んんん〜イマイチ感満載ですね♪ ラストは『やっぱり、そのオチか』って予想できたかなぁ…全体的にはやってること意味不明でしたー

    6
    投稿日: 2025.02.20
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    移植技術を研究している父は、 病を治すため 豚の臓器を娘の全身に移植し続ける。 そう彼女は全身豚娘。 人と豚との境界はどこにあるのか。 ふと、父の書斎で見つけた手術記録を遡っていくと。。。 命を弄ぶ倫理観ゼロが私にはたまらない。 道徳の教科書に載せて欲しい。

    1
    投稿日: 2025.01.24
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    人獣細工▶たしかにそれは人なのか彘なのか境界線はどこなのか、最後は衝撃だった 吸血鬼▶果たしてどっちなんだろうな、どっちともとれる結末すごい

    0
    投稿日: 2025.01.17
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    『本』 小学校の同級生から届いた一冊の本、それは非常に年季が入ったものでタイトルは「芸術論」。 この本は他の同級生にも送られてきているようで、ある日その同級生の元を訪ねると__。 こういった狂気や謎から引き起こされる恐怖が非常に好みであるため、そういったものが好きな人なら満足出来る一冊であろう。 本に綴られている内容も読み物としても興味を唆るもので、異質な世界観を形作るものであると同時に作者の叡智を感じさせる。

    1
    投稿日: 2024.12.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    個人的には吸血狩りが特に面白かった。 主人公の子供故のあまりの純粋さと、子供の有り余るエネルギーで行動しまくって 子供(従姉妹)に手を出すキモイ男の冗談を信じて殺してしまう そりゃ、吸血鬼なんだから殺さなきゃと思うよね 子供からしたら 自分みたいな感情移入して読むタイプの人間からすると最後は人間だったんかい!!と突っ込んでしまった笑

    1
    投稿日: 2024.11.21
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    1冊目。 3編の物語で構成されている。、1つ目の人獣細工は読みやすく、1番分かりやすい面白さだった。ある程度展開は想像出来てしまうものの最後の1文は衝撃的で読み終わってからより面白さが際立つ。2つ目の吸血狩りは最初は普通の吸血鬼の話だと思うが、読み進めていく内に違和感を感じ想像もしない展開に気づく。主人公の従姉への依存、執着が現実を歪ませ主人公を正当化する世界を作り出してしまっている。3つ目の本はただただ狂気的。現実とはなにかを考えさせられる。面白いが芸術論のところは読むのが苦痛。そして自分の知識では理解できないところがあったため少し難しい話な印象。

    2
    投稿日: 2024.11.15
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    短編3話。ホラー系?なのかな? 最初の話が面白かった。狂気は感じるけどお父さんは天才すぎたのかな?真実を知っても受け止められないよね… 最後の話が難しかった。

    13
    投稿日: 2024.11.03
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    この作家の本は初めて読んだ。 「人獣細工」、「吸血狩り」、「本」の三篇を収録。 どれも読み終わった後の後味が悪かった。 「人獣細工」は狂った医学者が自分の娘に豚の臓器を次々と移植するお話。 プロットの設定としては、有りがちかもしれないが、最後のどんでん返しが気持ち悪い。 「吸血狩り」は、ホラーによくある設定の吸血鬼が出てくる。 吸血鬼と対峙するのは、大人ではなく、子供だ。 最後には子供が吸血鬼を滅ぼすが、その意外などんでん返しに、後味が悪い。 「本」は、あのホラーの傑作、リングと同じ感じ。 リングはビデオを見ると呪われるが、本作では「本」を読むと呪われる。 「本」に記述してある内容は、あまり意味がない。 「本」には芸術論や共生体のことが書いてある。 パソコンのハードウェアやソフトウェアについても書いてある。 意味不明の記述もある。 最後に読んだ「本」は、私には意味が良くわからなかった。 映画の「マトリックス」のような、仮想現実を表したかったのか?

    8
    投稿日: 2024.10.26
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    医学の発展の中で決して踏み込んでは行けない部分のホラー。現代でも豚の心臓を移植したニュースが出ていたけどもしかしたら現実的に有り得てしまうような事例なのでは。 他のストーリーも入っているのでホラー短編として読みやすいかと思います。 ただ3回くらい読んでるとストーリーを覚えてしまえるくらいだったのでリピートは個人的にはもうしないかもしれません。

    0
    投稿日: 2024.10.10
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    ドキドキしながら読み進めることが出来た。ラストはどういうこと??ってなったので口コミを調べてやっと理解することができた

    1
    投稿日: 2024.10.08
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    玩具修理屋がすごく好きで、続く話ということで楽しみにしてました。表題の人獣細工は好みでしたね。 テセウスの船みたいな話でした。 その他2作品ありました!

    0
    投稿日: 2024.09.23
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    話題の「人中細工」は、読んでいて気持ちが悪くなるほどのリアルさだった。最後は衝撃の事実、、、 3つの話の中では、「吸血狩り」が分かりやすく、展開も楽しめました。 「本」は自分では意味が汲み取りづらく、狂気さは楽しめましたが、後味はあまりすっきりしませんでした、

    0
    投稿日: 2024.09.18
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    小林泰三的ジュブナイル物とみた。 「人獣細工」 テセウスの船人体版。 思春期の自我の確立と己のルーツを知る葛藤。 「吸血狩り」 少年の一夏の経験。 従姉の変わりようの方が恐ろしく感じた。 「本」 世界系? 親友と謎に挑む、的な。 ラスト現実と非現実の融合。 小林氏なのでグロ描写や気持ち悪さはあるんだけど、夏休みに読むにはちょうどよかったな。

    0
    投稿日: 2024.08.14
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    The狂気って感じ 本 は挫折しかけて何とか読み終わって、でも脳パンク ほんと後味悪くて人におすすめしようとは思えないけど好き

    0
    投稿日: 2024.08.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人獣細工 後味がここ最近読んだ本の中で1番悪かったです。 最後のあの1文で全てがひっくり返りました。 1番最後の他にも全てにおいて狂ってました。 上手く言葉が出ないけど言えることは狂ってる。 『本』も表現がとてもリアルでした。 血濡れた表現がとても上手かった。

    0
    投稿日: 2024.07.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人獣細工を読むために購入。 自分を構成する臓器が9割以上豚のものだったら、あなたは人、豚のどちらに該当するでしょうか。 何をもって人、動物とを定義するのか。 唯一自分が生まれた時からある大きな痣。 これが私を人間たらしめている。 そう思っていた。この痣のせいで、私は…。

    0
    投稿日: 2024.06.30
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    某TikTokerがオススメしていたので読んでみましたが、私には合いませんでした。オチが想像できた。

    0
    投稿日: 2024.06.29
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    【2024年126冊目】 私は人彘なのだ――「人獣細工」 従姉を助ける、取り返しがつかなくなる前に――「吸血狩り」 呪いを広げる芸術論を騙る書物――「本」 表題作「人獣細工」を合わせた三編からなる中篇集。 表題作が読みたくて買ったのですが、どれもこれもパンチが強くて「また増えたな現代の奇書が」って思いながら読みました。 まず、まずね「彘」こんな漢字初めて見たんですけど?じわじわ絶望で攻めてきて耐性をつけさせてくれているのかと思いきや、最後の最後で這い上がれないほどの絶望に突き落としてくるの最高でした。くそー好き。 「吸血狩り」はフェアな吸血鬼にきゅんとしました。えっ、優しくない…?結末が不服でしたが。 「本」途中の文章は読み飛ばしたので、私はおもむろにダンスを踊り出す心配はなさそうです。読者を煙に巻く「結」も良かったですね。 話によって文体や雰囲気もがらりと異なる作者さんです、見事。

    0
    投稿日: 2024.06.12
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    これは面白かった! ブタの臓器を移植され続けてきた少女、吸血鬼を殺そうとする少年、本による狂気に巻き込まれた女性の3編を収録。 どことなくクトゥルフ神話を想起させるように感じた。 特に第3作『本』には「名状しがたきもの」という表現もあるし、クトゥルフ好きにはニヤリとさせられると思う。 邪悪で狂気に満ちた短編集だが、クトゥルフという狂気に染まっている自分としては、なかなか楽しませてくれるような小説だった。

    9
    投稿日: 2024.05.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世にも奇妙な物語に出てきそうな話だった。 人獣細工の、最終的に全身が豚だったとわかったときはゾッとした。 後味が悪い短編集。

    1
    投稿日: 2024.05.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    日常から少しずつおかしくなっていく様。 伊藤潤二好きなら、たまらない世界観。 舞台には常にどす黒い空気が漂っている。

    0
    投稿日: 2024.04.15
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    ヤバい超面白かった☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆最初は人間のために豚の臓器を移植してると思ったんだけど読み進めていくうちにこれ逆パタなのではと勘づいてしまい結果図星。小林先生の書くホラーというかサイコパスというかなんて言うか人間のリアルとっても好きなのでこれ超刺さった。最終章の本が1番ヤバいってあとがきに書かれてたけどリアルの世界がごちゃごちゃになってて奇妙で薄気味悪くて最高だったな この世界は本当に現実なのか われわれが現実と呼ぶものは一体なんなのか とても考えさせられました

    0
    投稿日: 2024.03.21
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    ホラー?なのか? 怖さよりも気持ち悪さみたいのが先立つ雰囲気 「人獣細工」も「本」も友達がすごく良いな 「吸血狩り」は解説と同じこと思ったけど、いやでも、色々怪しいことあったしな…いずれにしろ「吸血鬼」が悪いですね 「本」おもしろかった。安部公房の「人間そっくり」思い出しましたね。去年読んだからか

    0
    投稿日: 2024.02.23
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    3編の短編からなるホラー小説集です。 タイトルの人獣細工も含めて、全てが衝撃的なラストを与えてくれます。終盤に向かうまでの狂気に染まっていく描写にもつい夢中になり、読み進める手が止まりません。 短編なので読みやすいのも良かったです。 2作目「吸血狩り」は特に、少年の心情描写も見事でした。没入間に浸れます。

    0
    投稿日: 2024.02.13
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    「玩具修理屋」が許容できた人ならなんとか読み進められる作品だと思った。というのも作者さんの作品は小説を読みなれていない人に(特にホラー作=幽霊がでると思っている人)にはかなりキツイと思う。 かくいう自分もホラー通ぶっているけれど、まあまあ「つらいなあ」と思いながら読んだし、作者さんの意図はぜんぜん読み取りきれていない。なので慣れていない人は途中でリタイアしてしまうのでは。しかし、「それでもなんか読める。じわじわ面白い。また次の作品が読みたい!」と思わせてくれるのが作者さんのすごいところだと思う。 作品そのものの感想としては「本」という作品が面白かった。イメージとしては「リング」の呪いのビデオが本になったという感じ。しかし作者さんは呪いが伝播されていく恐怖をえがきたかったわけではないんだろうなと思う。まあ、なにがかきたかったのかはよく分からないけど。笑 というわけで自分なんかには扱いきれない作品のためとりあえず☆3つ

    0
    投稿日: 2024.01.22
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    3つの短編が収録されています。グロテスクな表現はありますが、それよりも読んだ後の後味の悪さを感じました。 最初の人獣細工は、臓器移植といった現実にある事が含まれていますが…。主人公の私はいったい何者なのか?という哲学的な考えの揺らぎを感じました。あとは主人公の父親の倫理観を疑ってしまいます。 2つ目の吸血狩りは、いとこのお姉さんを吸血鬼から救おうとする少年の話です。が、少年が倒したのは本当に吸血鬼なのでしょうか?結末はどちらでも捉えられます。吸血鬼ではなかった場合だと少年はこの後さらに何人か倒していることが冒頭で示唆されていますので… 後味が悪いです。 3つ目の本については、同級生から送られてきた本がきっかけで展開されていく物語です。読んだものを支配し奇怪な行動に走らせるのは、クトゥルフ要素を感じられます。果たしてこの同級生は実際に存在するのでしょうか?

    7
    投稿日: 2024.01.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    怖いというより、不安になるお話ばかりでした。 何をもって人間か彘か判断するのか、途中哲学みたいに感じました。 今後主人公はどう生きていくんでしょうか…。 それにしても継ぎ接ぎだらけにしては、表紙の女の子美人すぎやしませんか。 吸血鬼狩りは…多分人間ですかね? 一方の視点のみでは、真実は語れないと思います。 本は…洗脳や思い込みの怖さでしょうか。 芸術センスなど皆無なので、自分は絶対に洗脳される側でしょうね。 本当にお手本の様に(笑) 「現実」という言葉は汎用なのに、何故か良い意味を持たないですね。

    0
    投稿日: 2023.12.02
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    狂っている。最高に狂っている。二話目の吸血狩りも一般的に読んだら陰鬱な読後感が襲ってくる一遍だと思うんだけど、それすらも箸休め要員。シュールで最早ホラーコメディの様な気もしてしまうのにしっかり気色の悪い「本」が、この中では一番好きでした。グロいのに爆笑してしまう。 呂太后が威夫人を人豚にするというあの話を背景に置いた表題にもなっている「人獣細工」は、外見に拘る思春期女子の心を見事なまでに握り潰す、自分大好きパパの暴走が身勝手且つ痛々しい。 二話目「吸血狩り」の、結末はご想像にお任せします…な終わり方が、個人的にツボ過ぎてどうしようもなかった。

    1
    投稿日: 2023.11.28
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    実際に今の現代において豚の心臓を人間に移植しているので、人獣細工はホラー小説じゃなくなるかもしれないなと思った。全身に豚の臓器になったらそれは自分なのか豚なのか考えたこともなかったので主人公の葛藤が面白かった。 3話の中で『本』が一番好みでした。不気味でした。表現がグロいのもあるが、人の狂い具合がなんとも言えない。個人的には1話目の人獣細工より3話目の本の方がホラー小説って感じがしました。

    0
    投稿日: 2023.11.26
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    あらすじを見て興味を持ちました。 面白かった、が。グロい描写やなんとも言えない読後感……他者にお薦めはできないかな、と思いますね。 表題の人獣細工は、近い将来本当にありそうな設定で……。「自分」とは何か。何を以って、何処からどこまでが「私」であるのか。 思わず一緒に考えてしまう作品でした。 個人的には「本」も興味深い内容でした。 いつか、『相応しき者』は現れるのでしょうか。

    0
    投稿日: 2023.10.23
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    先天性の病気が理由で、生後まもなくからブタの臓器を全身に移植され続けてきた少女・夕霞。読む者を恐怖の底へ突き落とす、『玩具修理者』に続く第2作品集。

    0
    投稿日: 2023.09.25
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    『玩具修理者』が非常に良かったので、続いて新装版が刊行された本書も手に取ってみた。表題作の『人獣細工』と、『吸血狩り』、『本』の3編が収録されている。 『人獣細工』 先天性の病気でほとんどの臓器に欠陥があったことにより、医師である父親によって、遺伝子操作されたブタの臓器を身体の隅々まで移植された一人の少女。亡くなった父親が遺した"記録"に記されていたおぞましい真相とは―――。 真相自体は容易に予想出来るもので意外性はなかったが、テキストから滲み出てくるエグさは流石の・・・と言いたいところだが、こちらもぼちぼち。物語の完成度としては綺麗にまとまっていて良いが、衝撃度はイマイチだったか。 『吸血狩り』 毎年、夏休みの間、田舎の祖父母の家で過ごしていた"僕"。8歳の夏休み、今年も祖父母の住む田舎で過ごしていた"僕"は、従姉と従弟の3人で毎日野山を駆けて遊んでいた。しかし、ある日を境に、従姉の優ちゃんが2人とは別行動を取るようになる。その陰には、全身真っ黒は服を着込んだ、身長が2m近くもある"男"の存在があった―――。 個人的に、収録3編の中でNo.1。ラストの展開が全く予想出来ず、気になって気になって一気に読み進めてしまった。そして辿り着く、おぞましき驚愕の真相。心地の良い「ぞくり」、頂きました。なかなかに秀逸なホラー・ミステリー。 『本』 小学校の元同級生から突然届いた、奇妙奇天烈な内容が書かれた汚れ古びた一冊の本。小学校からの友人である未香に連絡すると、彼女の元にも同じ本が届いていた。他の元同級生にも届いているか確認するため、もう一人の友人で、未香の恋人の妹である密見子を訪ねるが―――。 コズミックホラーを彷彿とさせる不可思議な物語。この作品については、<人差し指があった部分にコンパスぶっ刺し→「指やー!今日から、これがわたしの指やー!」→血塗れピアノ演奏→紙面を埋め尽くす意味不明な文字の羅列>、これが鮮烈過ぎて、他が全部霞んでしまった感。ありがとう、密見子! さすがに『玩具修理者』(と、『酔歩する男』)には及ばなかったが、それぞれに異なった"おぞましさ"を孕んだ良い中短篇集だった。角川ホラー文庫から引き続き著者の作品の新装版が出るようなので、当たっていきたいところ。次は『AΩ 超空想科学怪奇譚』かな。

    0
    投稿日: 2023.08.26
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    短編小説が3話入っている 人獣細工しか読んでないけど 今の技術だと実際に有り得ない話でも無い所が 妙に現実味があって ゾクッとした。 豚の身体で人間の脳なら 人間の身体で豚の脳なら その物体は豚なのか人間なのか答えは様々別れそう 少し言葉が難しくて調べながらだったけど 新しい言葉を覚えられて良かった

    1
    投稿日: 2023.07.29
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    大丈夫かな、この作者の頭の中…と思わせるところが好き。 タイトルになっている作品は、残酷だよね。下手なグロ系よりも残酷。

    0
    投稿日: 2023.07.28
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    ・気味が悪くゾッとする雰囲気だが、ただ読者を怖がらせるのではなく、どこか"教訓"めいたものを訴えるような内容だった。 ・どの話も分かりやすい結末はなく、匂わせて終わるところが、読者の想像力を掻き立てる。 ・「吸血狩り」が個人的に一番のお気に入りだった。 ・最後の解説も含めて良い本だったと思う。

    0
    投稿日: 2023.06.08
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    3話収録の短編集。どれも面白かったが、グロい、エグいと聞いて覚悟しすぎていたのか、どれも思っていたほどのグロさではなかった。 話としては「本」が面白かった。

    1
    投稿日: 2023.05.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編が3作品収録されている。 表題の人獣細工が一番好みだった。 史記の人彘(ひとぶた)とは違う人彘。 しかし、人の手によって細工されて歪な存在にされてしまった事は同じ。つくり手はそれに愉しみを感じていた事も。 この冒涜的で気味の悪い雰囲気が、ゾクッとして良い。 自分の愉しみの為に、他人の尊厳を踏み潰す事を厭わない、否むしろそれさえも歓びなのかもしれない。 汚いもの、悪いもの、残酷なものに何故か惹かれる人は読んでみるのも良いかもしれない。

    4
    投稿日: 2023.05.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どの作品も凄いなぁ! 個人的には吸血狩りが好きですね。あえて答えを出していないところが素敵♪ 本もすごいし、どうして、こうした作家がどうして早逝されてしまうんだろうなぁ。

    20
    投稿日: 2023.04.27