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街とその不確かな壁(上)(新潮文庫)
街とその不確かな壁(上)(新潮文庫)
村上春樹/新潮社
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総合評価

54件)
4.0
16
18
13
0
1
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    村上春樹の作品は時々挟まってくる自然や風景の描写が本当に美しいと思います。この作品もその例に漏れず、雨の降る風景、雪の降る風景がありありと脳内にイメージされます。 物語は現実と空想?世界が交互に展開され、やがて現実と空想の狭間があいまいになっていく…村上春樹らしい不思議な世界です。 秋の夜長にオススメですょ。

    0
    投稿日: 2025.11.09
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    十年ぶりくらいの村上春樹。村上春樹らしい村上春樹。 最初は抵抗がある。村上春樹の小説はどれもそうだけど、「よくわからんどうでも良い童貞の妄想」を聞かされているような気分になる。それが不思議なことにある程度まで進むと、村上春樹ワールドに浸かって、村上春樹を読む時間が心地良くなる。 久々に村上春樹、良いなーと感じている。下巻にも期待。

    0
    投稿日: 2025.11.07
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    昔は好きだったけどな。エッセイはおもしろいけどな。 25年夏の文学界?ほ短編もおもしろかったけど。これは特に面白くなく、飛ばし飛ばし50ページほど読んで終了。 なぜだろう?謎めいた想像の世界観に共感するところや惹かれるものや得るものがないからかな。これは私のための話だ、とか、え?その世界なに?もっと知りたい!とは思わない。 現実の中にある謎を解き明かしたいのだと思う。自分の知らない、目の覚める様な真実を知りたいのだ。

    0
    投稿日: 2025.11.05
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     まずは上巻読了。 うーん、このあとどう、街や壁、影の謎に繋がっていくのか… 様々な設定について、やや伏線回収のために拵えられた感を感じてしまうのは、まだ上巻しか読んでいないからなのか。そうであって欲しい。 下巻に期待…! 世界の終りとハードボイルドとの比較で気になったこと ・門番ではなく、門衛という語彙に変わってる ・登場人物に固有名詞がついている(とはいえ主人公にはいまだ名前なし)

    7
    投稿日: 2025.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久しぶりの村上春樹。 前情報なしに読み始めたので、街の話が出てくるにつれ、「あれ、これってもしかして『世界の終わり』の世界観…?」と心臓がドキドキし始めた。『世界の終わり/ハードボイルドワンダーランド』は私の中での春樹作品の原点にして頂点なので。 そんな運命を感じる出だしにもかかわらず、何となくページが進まなかった前半部。 読みにくいということもないんだけど、やっぱりあまり大きな出来事がないからか、やや退屈さを感じてしまった。結果途中まで読んではちょっと日が経ってまた初めから読んで、を3度ほど繰り返し。4回目ぐらいでなぜか入り込んで一気に読みたい気持ちに。 やっぱり何か起こり始める気配の漂わせ方は惹き込まれるものがある。 まだまだ下巻を読まないとわからないなというところ。 村上春樹の小説の鍵概念はいつも深い愛。たった一つの愛が存在するという前提は相変わらずで、どんなにSFチックでもロマンスだと思う。

    0
    投稿日: 2025.11.01
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    若いときの物語と同じモチーフだけど、しっとりとやさしい雰囲気で、作者の落ち着きを感じる。 無意識の下に釣り糸を垂れる作業が小説を書くことだと対談などで話していたのがうなづけた。ただ、この作品では、個人の無意識下と周囲のそれがつながっていることを表している気がする。その壁が不確かなのではないか?

    9
    投稿日: 2025.10.30
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     単行本で読んでいましたが、オーディブルで聴けるようになったので聴きました。最初が少し入り辛く壁に囲まれた影のない世界というのが何だか馴染めませんでした。私が村上春樹さんの本でとても好きなのは、一人の女性にこだわるところなのですが、この本でもやはりそういう展開になります。最近の不思議ワールドの中でも不思議度が高いように感じました。下巻の登場はいつになるのだろう。

    70
    投稿日: 2025.10.28
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    久しぶりに村上春樹の長編読んだ。短編集も良かったけど、やっぱりわたしは長編が好き。 でも、どうして私は村上春樹の小節が好きなんだろう。好きを言語化全然できない。ここのシーンが良いってのも特にない。不思議な世界観にいつのまにか入り込んでしまって、ただただ続きが気になって読み進めてしまう感じ。最後まで読んでも、結局わからないことの方が多いんだけど。とりあえず魅了される。本当に不思議。

    11
    投稿日: 2025.10.21
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    ハードボイルドワンダーランドを彷彿とさせる壁の内の世界。影のない世界。 山奥の小さな村。子易さん。 村上春樹の最新作は、彼の世界観がふんだんに詰め込まれていることだろう。 下巻が楽しみだ。

    0
    投稿日: 2025.10.19
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    村上春樹の小説だと、『ノルウェイ』とか『国境』とか、フィクション少なめの作品が好き。 一方で『まちふた』は、しょっぱから村上春樹ワールド80%くらい出してきていて、なかなか厳しい。

    1
    投稿日: 2025.09.19
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    なぜ村上春樹の小説に惹かれるのか、悶々としながら読み進めた。読後のえもいわれぬ感情は「ノルウェイの森」を読んだときほど覚えられない。下巻に期待したい。

    3
    投稿日: 2025.09.19
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    村上春樹さんの小説で最も好きな『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の壁に囲まれた街が出てくる物語。全体的に美しく、切なく、幻想的で、しんしんと雪の降り積もるような文章が染みます。 村上春樹さん独特の文体も控えめですが、その分、文章の可憐さが目立ちます。 下巻も楽しみな一冊。

    1
    投稿日: 2025.09.09
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    前半はファンタジーな感じで、よくわからないまま何とか読んだ。後半からストーリーが進んできて面白くなった。下巻でここまでのストーリーが回収されるのかな? 売る

    1
    投稿日: 2025.09.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

     とても抽象的かつ謎が多くの残った一方で、情景描写や登場人物の言葉から村上さんの書く世界の意味を探ることに楽しさを感じる作品でした。    時々感じるけど言葉にできないことを言葉で印象的に現せるのは尊敬しかありません。それを想像しながら読むのか心地よかった。  内容について、その場の主人公が求めたものこそが真実だからこそ、壁は不確かになるのでしょうか。

    0
    投稿日: 2025.09.06
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    ハードカバーでも読んだけど、文庫で再読。 さらっと読む飛ばすのはもったいない気がして、いち段落ごとゆっくり、丁寧に読み進めた。 なんとなくの舞台や設定はおぼろげに覚えているけど、幸い忘れっぽいので、ほぼ初めましての感覚で読めた。 壁の中や図書館など、舞台が何度か変わる。 そのたびに、何を失って、何を得ているのだろう。 影を失うとは、どういうことなのだろう。 読みながら疑問が湧くけど、答えがあるわけではない。 共感がわいたり、納得したり。 いろいろな言葉に、自分の感情がはまっていくのが心地よい。 ストーリーもだけど、その感覚が楽しくて読める。 そんな作品と作家がいて、よかったと思える。

    3
    投稿日: 2025.08.31
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    前半は良かったのですが、後半パートはあまりピンとこずでした。具体的に説明するのが難しいのですが。 昔の小説に比べたときの先が気になって読み進みたい感情が湧かない感じでした。 ただそれは自分が歳を重ねて感受性の感覚が昔と異なってしまったせいなのかもしれないのでこの機会にまた昔の作品を読んでみようかなと思いました。。

    2
    投稿日: 2025.08.23
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    街とその不確かな壁(上)』 "Tender is the Night"との繋がりを見出せそうだった。中年の男が女性との繋がり次第で生きる意味を見出したり、無気力になったりする。 下巻はどうなるかな。影と主人公の逃亡は楽しそうだった。

    1
    投稿日: 2025.08.22
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    最近、恒川光太郎氏の小説ばかり読んでいたので、この村上春樹氏の小説も幻想ファンタジーのような趣きで読み進めた。ツッコミどころはあるにしても村上春樹氏の独特な比喩表現は健在のようだ。ストーリーに関しては村上ファンでないと途中で読むのをやめる人も多いかもしれない。

    1
    投稿日: 2025.08.20
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    途中まで世界の終わりとハードボイルドワンダーランドの焼き直しなのかなと思いながら読んだけど、途中から枝分かれしてきたので、これからどうなるのかが楽しみ。

    1
    投稿日: 2025.08.18
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    不思議な世界観。 君は影なのか、何処に行ってしまったのか、壁に囲まれた世界とは何を意味しているのか、なぜ影と切り離されなければならないのか、私と君は再開できるのか、世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドとどのような繋がりがあるのか、子易さんは現実と壁に囲まれた世界とを繋いでいる人なのか、ねじまき鳥以来の村上春樹作品を読んでいる。村上春樹は何を伝えたいのか、自分なりの考えを持ちたいと思う。

    9
    投稿日: 2025.08.11
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    村上春樹先生の世界観がこの本には詰まってます。幻想的ですが描写が細かく仮想世界と現実の境目が無い世界。現実逃避してしまいます。

    11
    投稿日: 2025.08.05
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    村上春樹さんの小説はここ10年くらい『多崎つくると彼の巡礼の年』『騎士団長殺し』『神の子どもたちはみな踊る』『一人称単数』という流れで読んできたが、少なくとも上巻を読み終わった現時点において、この小説は必要以上に難解でなく、そのぶん普遍的に愛される内容になっているのではないかと感じた(それが村上春樹さんの熱心なファンの方の目線からすればよいのかはさておき)。 前提として人生における喪失と深い傷について描かれているのは他作品と同じだが、今作では特に記憶と時間が鍵になっていると思われ、多くの人が自らの痛みの記憶を思い起こしながら読むのではないだろうか。 自分の心の中にも、針のない時計台があるのかもしれない…そんな気持ちになったのでした。 街や夢といったメタファー?が下巻でどう意味づけられていくのか非常に楽しみ。

    1
    投稿日: 2025.08.04
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    ずっと夢をみてるような感覚で読んだ。 うたた寝でみる夢みたいな、現実なのか夢なのか境界が曖昧な気持ち良い心地で読める作品。 あるいは気持ち悪さとも紙一重なのかも。 現実に戻ってしまうと醒めてしまうので、どっぷりハマって一気読みをオススメしたい。 下巻も楽しみ。 母が読みたがってるので貸す予定。

    1
    投稿日: 2025.07.23
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    文庫本を購入しました。 上の前半と後半とではまるで色が違って感じられました。 前半は淡く色味のないモノトーンのような世界観。 冷たく感じられる部分が多い印象でした。 後半は色味と呼吸を感じられるような世界観。 前半とは異なり生きている人間を感じました。 どちらの世界観もとても好きなのですが、後半に入っていく部分から展開のテンポが早まったように感じられてより引き込まれます。早く下巻を読みたいです。

    19
    投稿日: 2025.07.17
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    村上春樹の初読。 きみに心を焼かれた、焼き切れたぼくのように、読み進めた。とても魅力的なキャラクター。 物語の最後には、ぼくときみが再開すればよいと願っているが、願っている時点で心のどこかで、薄々わかっているのかもしれない。

    0
    投稿日: 2025.07.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    十七歳と十六歳の夏の夕暮れ、きみは川べりに腰を下ろし、〝街〟 について語り出す――それが物語の始まりだった。高い壁と望楼に囲まれた遥か遠くの謎めいた街。そこに“本当のきみ”がいるという。<古い夢>が並ぶ図書館、石造りの三つの橋、針のない時計台、金雀児(えにしだ)の葉、角笛と金色の獣たち。だが、その街では人々は影を持たない。 本当の自分とは何か、を問いかけてきている作品だと思う。そして、影とは何かを問いかけている。 人に映る自分と心で思っている自分の対比であったかな?と思う。自分の中に入り込みすぎると影の世界に行ってしまい、他の人とのコミュニケーションが取れなくなっていく。ただ、ひとつのきっかけがあるとその世界から抜け出ることができるということではないか。今回の主人公にとって少年が実はそうであったように。 ごく一般の人はそのような経過を経ることがないからこの物語が奇妙に思えるのかもしれないし、奇妙に思えないのは、登場人物みたいに一種の自分の世界に籠ったことのある人なのかもしれない。

    5
    投稿日: 2025.07.10
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    十七歳のぼくと十六歳のきみ。二人は惹かれあっている。きみは、高い壁に囲まれた街について語り出す。その街には本当の自分が住んでいるという。手紙のみのやり取りが途絶え、連絡手段を失い、大人になってもきみを忘れられないぼくは、気づくと街の門のところにいた…。影をはがされるという経験をしながら、街から帰ってきたぼくは、今勤める会社をやめて、地方の山の中の図書館の館長として勤めることになる。ちょっと不思議な前館長に仕事の引継ぎを受けながら…下巻へ。

    0
    投稿日: 2025.07.06
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    壁に囲まれたその街に入るには、影を置いていかなければならず、出るには影が必要となる不思議な街。主人公が付き合っていた「きみ」が語る街から、主人公が作り上げた街。そこへ入り、出てきた「私」は、その後の無味乾燥な日々を送っていました。街での日々を振り返り、街での職場であった図書館の仕事に戻るべきだと、現実世界でも図書館の仕事を探します。そして始まった新しい生活が、新しい歯車を動かす。独特の始動が感じられます。著者による他の著作の世界の、他の物語ともいえると思いますが、そのように言い切れないデジャブ感もあり、過去作と本作の物語の底に流れる繋がりが、どのような意味をもってくるのか期待感が高まります。本作にもさりげに井戸が出現するのですが、こちらとあちらの世界を現す井戸を含むメッセージ。街に入って戻ったことで、主人公は何かが変わっているはずで、それは何なのか。想像がつきませんが、後半で明かされるものに期待です。

    0
    投稿日: 2025.07.05
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    1Q84から長らく離脱していたけど、 図書館というキーワードに惹かれて購入。 一気に読んだ。 村上春樹はいつも抱き合えない不安定な女の子を喪失し取り戻しに井戸の底や壁をすり抜けてる やっぱりいつも同じ 同じだけどどうしても引き込まれてしまう。

    1
    投稿日: 2025.06.30
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    【2025年70冊目】 高校生の僕には一つ年下の彼女がいた。たくさんのことを話し、手紙のやり取りを重ね、デートをしてキスをする。けれど大好きだった彼女はある日突然姿を消してしまう。彼女のいなくなった世界で僕は年を取り、ある日、穴に落ちてしまう。目が覚めるとぼくは、彼女が話していた高い壁のある不確かな街にいた。 久々の村上春樹さん!最初は現代と街の話が交互に展開されていきますが、どっちも、どこかゆったりのんびりと時間が流れているような文体で、私も流れるように物語の中に入っていくことができました。 彼女が消えてしまった世界で、どこか違和感を感じながらも生きるぼく。彼女はどこに行ってしまったのか、生活を替えたぼくが移り住んだ福島の街は、ぼくに何を示唆してくれようとしているのか。 これこれこれが村上春樹!って感じの話でもあり、珍しく展開がゆったりだなと思ったりもしつつ、とっぷりと沈むように物語に入っていけるリズムや雰囲気はさすがだなと言ったところ。 上巻と同じボリュームで下巻も続きますが、どうなるのか全く予想できないところも魅力の一つと言えそうです。引き続き楽しんでいきます。

    1
    投稿日: 2025.06.30
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    どうして「街とその不確かな壁」なのだろう。「壁」は「そこにずっしりと存在している」イメージがあるので、「不確かな」に合わない。「壁」は「ゆらゆらと揺れ動いてぼんやりとして定まらない」存在として書かれている印象。「境目」や「国境」のような「目で見ることのできない」表現の方が良かったのではないかと思いながら読み進めた。物語をつくる上で、「壁」の方がやりやすいのはあるだろうけども。

    0
    投稿日: 2025.06.23
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    古き良き村上春樹だ、と言うレビューを見て久しぶりに古本ではなく本屋さんで購入。この時代やむなしだがまず驚いたのは文庫本の値上がり。 他の作家を読んでいて村上春樹を読み始めるとラジオのチューニングを合わせるように周波数を変えないとなかなか入ってこない。これが読み始めてもなかなかピタッとこないので少しスタートに時間がかかる。 いずれにしても良い意味で「文学」。 文章の最後に頻発する「〜のように。」の春樹文体には若干飽きてくるけど。。。

    0
    投稿日: 2025.06.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    村上春樹の最新長篇。本作はかつて雑誌に発表後、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の原型となった短篇「街と、その不確かな壁」をべつの形で書き改めたものとして知られている。読んでみてたしかに随所に『世界の~』のエッセンスを感じることができたが、個人的にはむしろおなじく重要な登場人物として図書館司書が出てくる『海辺のカフカ』を想起した。いずれにせよ、村上春樹らしさが存分に詰まった作品であるといえるであろう。本作でもっとも印象に残った人物は子易辰也であるが、まさか登場した時点ですでにこの世からいなくなっているとは思わなかった。主人公たちもまた子易さんが築いた「『壁』に囲まれた『街』」の住人であるといえるかもしれない。あるいは、「イエロー・サブマリンの少年」がその「街」を築いたのかもしれない。本作に登場する「『壁』に囲まれた『街』」はすなおに解釈すれば1箇所だけであるが、それぞれの登場人物がそれぞれの/互いの「『壁』に囲まれた『街』」の住民とみなすこともできるのではないであろうか。

    0
    投稿日: 2025.06.21
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    壁に囲まれた街モチーフ、どうしてこうもどきどきしてしまうんでしょうね。正直言ってもうひとつよくわかりませんが、じぶんの影について今度少し考えてみます。何が正当で公正なのかを。

    1
    投稿日: 2025.06.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    村上作品はそこそこ読んできたが、その中でトップクラスに好きな作品になりそう。 影のある世界と影のない世界の境界線がどんどん交わって薄れていくところが凪いだ海を見ているようでとても好き。 子易さんの背景に驚きつつ、下巻で伏線をどうやって回収していくか気になる。

    0
    投稿日: 2025.06.19
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    かなり久しぶりの村上春樹。 まだ上巻のみの読了。 読み始めはなかなか入り込めず手こずったけど、読み進むにつれて惹き込まれた。 とても不思議な話。 本当はどっち?

    0
    投稿日: 2025.06.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今まで私の中で村上春樹は「好きではないが、なぜか読み続けている作家」だったのだが、この作品は好きな本だと強く断言できる小説だった。これまで個人的に苦手としてきた独特な比喩、アレゴリーによる難解さと性的描写がこの作品では殆ど感じられなかった。確かにいくつかの「不確かな」辻褄やアレゴリー(それも楽しみの一つではある)は存在するものの最後には全て納得がいった。全ての意味を完全に理解した訳ではないが、自然に納得がいったのである。一度ほどけた靴紐がまた結ばれるように。あとがきをみると、第1部で終わった可能性もあったらしい。確かに第1部だけを切り取っても物語としてはありだなとは思った。しかし第2部と第3部を経ることで霧がかかっていたモヤモヤとした物語が鮮明な太陽の光の中で完結したという印象を受けた。性的合体による何らかの到達、ある種の「希望の可能性」はこれまでの村上春樹の描写に多く見られたがこの作品では直接的な描写はなく、読者の創造にあくまでも委ねられている。村上春樹のセックス描写があまり好きではないので個人的にはありがたかった。この作品で描かれているのは喪失とそこからの復活を遂げるための自分自身の中での自分との対話の話だと思う。心の中に残った傷跡、記憶、それを乗り越えるのはそうした過去を忘れることではなく、過去にとらわれずに向き合うことではないだろうか。重要な登場人物である子易さんもその問題に勇敢に向き合った一人だ。本来の自分ともう一つの「影」の自分はどちらも結局自分自身である。この不確かな壁は誰の心にも存在し得るし、存在しているはずだ。久しぶりに読み終えて、とてもいい気持ちになった本だ。

    5
    投稿日: 2025.06.17
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    まだ上巻のみですが、村上ワールド炸裂って感じの世界観に引き込まれます。 どっぷり浸かれる並行世界。 描写表現や展開など時間がたっぷりある時にお勧めです。 間を埋めるような部分が後から重要な交差点になっている等、ぜひ紙で読むべき一冊です。

    14
    投稿日: 2025.06.14
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    もうすっかり村上春樹にフォーリンラブしてしまった。癖になる意識と無意識の間を彷徨う感じ。相変わらず言葉が美しい。

    1
    投稿日: 2025.06.14
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    壁の中の世界の規律性で独特の雰囲気が生まれている。何が起きているのかわからないなりにでも続きが気になって止まない。

    5
    投稿日: 2025.05.30
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    初めはなんとなく文章表現が気持ち悪く感じてページが進まなかったけれど、中盤から急に薄気味悪い何かか進行している予感がして、どんどん前へ進みたくなった。

    0
    投稿日: 2025.05.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界の終わりとハードボイルドワンダーランドの世界の終わりの世界と同じ世界観が前半のかなりの部分を占めていて、このままこのペースでこの展開が続くのはキツイな、と思いながら読んでました。半分くらいから話が動き始めて安心しました。 ここから話がどう進んでいくのか楽しみです

    7
    投稿日: 2025.05.23
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    とんでもない技巧のうまさ  あらためて説明するまでもないが、これは文學界に中篇として提出され、そのままお蔵入りになった題材。そして『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の題材。  冒頭の文章をためしに持ってきてみよう。 《濡れたふくらはぎに濡れた草の葉が張り付き、緑色の素敵な句読点となっていた。》  とても真似できない文章だ。この調子で青春小説はつづくのである。  さて、横道誠『村上春樹研究』には興味深い仮説が書かれてゐる。  それは、文學界の中篇は大江健三郎の「死者の奢り」などのイメージをそのまま引きずってゐる。といふものだ。  村上春樹はいまや自分の文体を獲得した。だからこそ語りなほし、むしろ、やりなほしに近いものだらう。

    0
    投稿日: 2025.05.22
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    (まずどれくらいムラカミ作品を読んできたか書いときます。短編集は二冊ほど。長編は全部読んでます。) 最初読んでて「これ、本当にあの"ムラカミ・ハルキ"が書いたのか?」と思った。(村上主義者の方如何ですか?) 普通の(?)青春小説やんけ!と。笑 でも途中からはいつもの(?)ムラカミ・ハルキで安心しました。笑 下巻に続く。

    4
    投稿日: 2025.05.19
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    『世界の終り』の世界観がかなり好きなので、すごく楽しめた。物語の展開も早めで退屈が少ない。 村上春樹作品の中でかなり上位の面白さかもしれない。 下巻を読むのが楽しみ。

    1
    投稿日: 2025.05.18
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    読んだ本 街とその不確かな壁 上 村上春樹 20250513  村上春樹は「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」的なお話と「ノルウェイの森」的なお話を、交互に何度も繰り返して描きなおしているとおもってるんですが。  この本を読み始めた時、え、どっちの世界観を描いてるんだろうって戸惑いました。少しすると前者の描き直しだなって読み進めていくと、今度は「世界の~」の世界があまりにも早く進行していくんでまた戸惑って。ちょっとあまりにも世界観が踏襲され過ぎていてなんかマンネリ感もあったりなんかして。  なんだけど、第一部が終わると、やっぱり違うストーリーが用意されていて。  これはなんだろう。「世界の~」の描き直しなのか続編なのかマニアの人にご意見聞きたいものです。  とりあえずマンネリ感は払拭されて下巻に突入。

    1
    投稿日: 2025.05.17
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    村上さんの新作。夢と影、時間軸的が組み合わさる。世界観は他の作品とも共通するので村上作品が好きな私は楽しめた。多分まだ書き足らないのではと思う終わり方だった。

    4
    投稿日: 2025.05.17
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    久しぶりに村上春樹作品読みました。 この間、北海道帰省の際、機内で読むために羽田空港内で購入しました。 今回の帰省の思い出と重なり (色々あったので) 特別な本になりそうです。

    0
    投稿日: 2025.05.14
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    読み始めてすぐ既視感があって、chatgptで過去の作品との関連を検索した。 「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」

    0
    投稿日: 2025.05.10
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    やはり村上春樹の文章の最大の魅力のひとつは、圧倒的な才能が迸る比喩の巧みさなんじゃないかと思う。それが今までの作品に比べると、少しずつ失われてきている気がちょっとする。それでもなんとかやりくりして物語を作っているような、そんな印象を受けた。下巻でこの印象がどう変わっていくか、ちょっと不安でありながら楽しみでもある。

    1
    投稿日: 2025.05.09
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    村上春樹は若い頃めちゃ読んだのですが、大人になると 「ぼく」よ、もっとしっかりせんかんかい! という気持ちになるので離れてました。1Q84あたりで止まってる私。 久々読むと僕に対して優しくなれるかも。 世界の終わりとハードボイルドワンダーランド何度も読んだ口としては世界観似てて好きな感じ。

    19
    投稿日: 2025.05.09
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    んぐー、手をつけたけれど「世界の終わりと〜」と同じシーンか?みたいな既視感がある。20年以上前に読んだきりで朧げだけど…やっぱり先に一度再読すべきだったかなぁ… 上巻読み終わった。 今までと同じように、独身の彼は失意の底にいながらもきちんと部屋の掃除をし、洗濯をし、買い物に行って野菜を買ってご飯を作って食べる。ジムに行く。公園を散歩する。ただ淡々と。 「毎日をやり過ごして」いるだけ、と主人公はいうけど、それはリアルでは世の中の主婦(私のことだ)がなかなかできない「ていねいな暮らし」なんだよなぁ笑 逆かな、やり過ごしてるだけだから、そういう暮らしが続けられるのか…? なんだか、主人公の個人的な気持ちが前より近い目線で描かれてる、気がする。単に私の目線の違いなのかな…人間臭くなったように思う。大きなうねりに、同じようにただ流されていくしかないんだけど、今までみたいな「…やれやれ」っていう余裕が、今回はあんまりなさそうな感じ。 あの街の中で暮らすこと。必要なものしか、余分なものが一切ない街で… 物質的なこともそうだけど、心の中にも「余分なもの」はない。「楽しい」ことはないけど、でも「辛い」こともない。毎日があるだけ。 影がなくなる(…のか影だけが残っているのかはこの巻ではまだわからない)。自分の醜い部分は見なくて済む。欲望がないから辛いこともなさそう。何も感じない、不満も不便もない…ない、かもしれないけど…そういう自分でただ毎日過ぎていくので本当にいいの? 最初、現実と現実でないものがはっきりと区別されていた。はずなのに、現実でないことが現実に「現れはじめる」。アフターダークだっけな?「それはそのうち現実となって外へ出てくるかもしれない」みたいな曖昧な書き方してた記憶があるんだけども、今回はこれ↓ "時空が微に歪んでいくねじれの感覚があった。何かと何かが入り混じっている、私はそう感じた。境界の一部が崩れ、あるいは曖昧になり、現実があちこちで混合し始めている" 図書館やスカートにベレー帽のおじいさん、不思議な図書館を思い浮かべる(こわい)。子易さんはいい人だったけどね。

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    投稿日: 2025.05.08
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    なんだか、カズオイシグロ的静謐な雰囲気が漂う世界観でなかなかいいぞ。 主人公の周りの人が失踪したり壁抜け(村上春樹にしては描写があっさりしている)したりここではない別の世界に行ったり、春樹くんワールドは健在。 ただ、ちょうどこの前に『ねじまき鳥クロニクル』の100分で名著を読んだところで、村上春樹作品の「構造」というものの見取り図を得ていたから、そういういつも通りの仕掛けや型にも「またかよ」と思うことなく存在意義を理解しながら読み進められたのはとてもよかった。 ひとつ思うのは、人はろくに相手のことを理解もしていない17歳の頃の恋に焦がれて一生を生き続けることができるのだろうか? あまりに現実感がないような気がしてしまうが、私がしらないだけでそういう人もいるものなのだろうか。

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    投稿日: 2025.05.05
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    上巻読了。 村上春樹さんの新作長編がついに文庫化されたぜ! ・・と、いう事で早速書店にてGET&ホクホクしながら読み始めた次第です♪ うん、これこれ! なんだろう・・この身体に染み込んでくるような文体と、世界観に浸っている時の心地よいまどろみのような感覚・・これぞ村上ワールドでございますよ~。 本書(上巻)は第一部と第二部の途中までが収録されているのですが、第一部は現実の「ぼく」(&メンヘラ気味な「きみ」)パートと、幻想の〈壁に囲まれた街〉にいる「私」パートが並行して展開されていきます。 ん?“壁に囲まれた街”? えっと…『進○の巨人』ではないですよ~(;´∀`) 壁、図書館、金色の獣、〈夢読み〉、そして引き離された影…。 そう、ここはあの『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「世界の終わり」パートの舞台だった"街"ですよね。 "古い夢"が入っているのが頭骨ではなく卵だったり、一角獣→単角獣、門番→門衛等々…と若干の"調整"はあるものの、“あの街”が再び舞台に・・ということで、家の本箱から再読し過ぎてボロボロになった『世界の・・』の上巻を取り出してきて、巻頭の地図を眺めながら読ませて頂きました。 第二部は、中年になった「私」が館長として働くことになった、とある田舎にある小さな図書館が舞台となります。 読んでいてちょっと思ったのですが、このチャプターは何となくイメージ的に『海辺のカフカ』の要素も入っているのかな・・という感じがしました(あくまで私見です)。 ここで登場する、子易さんも「パラレルワールドのナカタさん(『海辺のカフカ』の登場人物の、ピュアで不思議なおじいさん)」って感じですし(私見です!私見ですってば!)。 そんな訳で、まだ上巻を読んだまでの段階ですが、村上ワールドの色んな要素が散りばめられている物語だな・・という印象です。 この後、どんなストーリーが展開されるのか・・このまま下巻に進みたいと思います~。

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    投稿日: 2025.04.27