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帝国の亡霊、そして殺人
帝国の亡霊、そして殺人
ヴァシーム・カーン、田村義進/早川書房
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総合評価

6件)
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    舞台はイギリス領インド帝国のインドとパキスタンへの分離独立(1947年)後で共和国成立間近の1950年のインド。主人公はインド初の女性刑事、ペルシス・ワディア警部。警察学校をトップクラスで卒業しながら、女性を蔑視する署内でペルシスは出世から外された署員の吹き溜まりのような部署に配属される。1949年大晦日、彼女のもとに英国外交官ジェームス卿殺害の電話が入り、犯罪学者アーチー・ブラックフィンチと共に捜査に乗り出す。ジェームス卿を取り巻く利害関係者、遺恨を懐く者に接触し事件の真相の解明を追究する過程でジェームス卿の裏の顔が暴かれる。ミステリーの面白さとは別に、カーンプル包囲戦やアムリトサル虐殺などの植民地時代のインド史や、日本軍のビルマ侵攻、インパール攻略時のイギリス軍の拙策、ヒンドゥー教とイスラム教の対立が物語の背景に描かれ本筋よりも興味を惹かれる。現在のインドとパキスタンの紛争のニュースを見て、これも根源は1947年のイギリスの適当な分離独立策にあるのだなと思いながら読了。

    17
    投稿日: 2025.06.17
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    自分ではポケミスほとんど読まないけど、人に貸してもらって。 面白かった! ストーリーだけだと、まあまあ面白いミステリだったなぁと思うくらいかもしれないけど、インドの時代背景、イギリス人への感情や宗教対立など、絶妙に絡まって。 かなり早い段階で犯人が自白するので、真犯人は他にいるんだろうなぁという想像はすぐにできるものの、なぜやっていない罪を認めたのか?という謎を解くには、そのあたりの背景が不可欠。 なぜ学校で勉強しないといけないのか?→ミステリを楽しく読むためだ!と実感した一冊。

    0
    投稿日: 2023.11.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    独立後間もないインドが舞台。大英帝国の支配を解かれたばかりで、イデオロギーの揺らぎや宗教間の対立など当時の混乱が見て取れて興味深かったが、ミステリーとしては少し粗が目立つ。主人公の母の死の謎が、散々勿体ぶった割には小粒だったのには肩透かしを食った。あと、シンがわざわざ苦労してズボンを持ち帰る必要性は?罪を被るには、自分の持ち物でも置いてきた方が早いと思うけど。そしてブラックフィンチの魅力がわからない。 後味の悪い終わり方は、当時の混沌としたインドの情勢とマッチしていて悪くないとは思う。

    0
    投稿日: 2023.07.06
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    一気読み、、。事件は納得いかないふうに収束していきましたが、そこに至るプロセスには深みがありました。さまざまな宗教、民族が絡み合い、イギリスに統治される、当時のインドの複雑な状況が垣間見えました。聡明で正義感あふれるペルシス、キャリア積んでいてほしい、。また次の作品で会えますように。彼と共に。インドとイギリス、というワードだけで頭の中にR R Rが浮かんで仕方ない病との闘いに苦しみながら読み進めることに。

    1
    投稿日: 2023.04.11
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    1950年のボンベイ。大晦日のパーティの最中に殺された英国外交官、事件の真相を追うのはインド初の女性警部。男尊女卑の風潮が半端ない社会や警察組織の逆境の中にあっても真実を追求する姿勢を貫く主人公ペルシスがカッコいい。手掛かりを求めて東奔西走したりと地道に解決へ導くミステリー。英国からの独立やパキスタンとの分断など時代背景も面白かった。

    1
    投稿日: 2023.03.07
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    1950年のインドが共和国化される直前にイギリス外交官のヘリオット卿が殺害されるところから始まる。捜査するのはインド初の女性刑事ペルシス警部。女性が警察にいるということの不満が多くある時代。その中で時代の変わり目というものに直面し捜査も難しい。上からの圧力とインドとパキスタンの分離独立の争乱。謎解きの面白さとその歴史の重みが伝わってくる。ここ最近インドが舞台の作品が増えてきてるのは嬉しい。

    0
    投稿日: 2023.02.18