
総合評価
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powered by ブクログ頭が疲れた。 知識が足りず、と言うのではなく、前提が揃わないため。これが文字の面白さ。 何度も読み込めば、作者が思い描く世界に近づけるのか?
0投稿日: 2025.04.03
powered by ブクログ知っている言葉で知らない異世界を見せてくれる悦び。選び抜いたであろう言葉は過剰な装飾をせず、初めて体験した世界なのに知っていたのではないかと錯覚させるイメージ喚起力がある。危うさや無機質な硬さのある世界。 幻想小説は苦手なところがあり、その系統かと思っていたが、初めの数篇で心を掴まれた。Ⅰ、Ⅱに収められた作品に好みが多い。Ⅲ、Ⅳと進み少し好みから外れてきたかと感じたところで、Ⅴの2編「天屍節」「蟲科病院」。収録作の中では完成度の高いファンタジー短編。
0投稿日: 2025.03.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
目眩くというにふさわしい幻想的で蠱惑的な掌編たち。手を伸ばしたら消えてしまいそうな、芳しく、微かな不安の気配を漂わせた物語に溺れてしまいそう。そこには理不尽と断絶があって、それでも手折られることのないしなやかな強さがある。 『月面文字翻刻一例』 物語の始まりにふさわしい、全てを生み出してしまった男の話。月の美しい模様は全て職人によって掘り込まれた模様であり、それは全てを記した文字である。何者もその定められた文字に手を加えてはならない。禁忌を犯すことはどんなものよりも強く甘い誘惑だろう。それによって何が起ころうとも。 このお話に出てくる月の模様を思わせるような表紙の美しさ、手触りが愛おしく、これは現物を手元に置きたくなるなと思う。 『塔』 物語の囚われのお姫様が、必ず誰かの助けを待っているなんてどうして思うの?という強い憤りを感じる。勇者が倒したその竜が本当に姫を捕らえている悪者だったの?という疑念は、かつてどこかで感じたことがある不条理の香りに似ている。 『水宴』 死の描写が美し過ぎて震えてしまった。死の静けさ、何もなさがどれだけ救いになるのか。むせ返る香りに包まれて、その無について思う。 『天屍節』 定期的に空より降る天使と呼ばれる生き物の死体、腐り落ちて尚美しい異形の姿と、人間たちのただあるものに疑問を抱かず生きる醜悪さ。どのようなものでも死ねばただの物質となり、それが何か新しいものを生み出していくのは自然なことだと思うけれど、それが天使となると様相が様変わりする気がする。 天使の眼球、実物を見てみたい。
2投稿日: 2024.11.07
powered by ブクログ独特の世界観の中にフェミニズムや消費社会への批判、マイノリティへの抑圧への怒りを感じる作品たちだった…『黄金の鬣』『本盗人』『蟲科病院』が特に好き。
0投稿日: 2024.10.21
powered by ブクログ川野芽生さんが書く文章から見る世界は やはり好きだと改めて思う 幻想的な掌編小説を辿っていくと他作品にも繋がるイメージがあって その揺るぎない世界に安堵する 「遠き庭より」と「桜前線異常なし」の各章が特に印象的で何度も読み返しています
2投稿日: 2024.02.17
powered by ブクログ掌編サイズが川野芽生ワールドはちょうどいいのかもなあ。 ほの暗いけど、どこかにあるこの世界とは違う、どこかで起きている幻想奇譚。 個人的には「黄金の鬣」がかなしくて奇妙で、だけどいとおしくて好き。
1投稿日: 2024.01.28
powered by ブクログ五部構成の掌短編集。幻想性を帯びた作品群はどれもが夜の静寂に波打つ波紋のように美しい音と図像を描いており、互いに連関しているようであり、独立しているようでもあり、読者の考察を誘惑する。読書好きにとって、「夜の夢」を鮮やかに切り出してくれる作品は好もしく、他の作品も読みたくなる。
1投稿日: 2024.01.09
powered by ブクログ最初は読んでて???って感じだったけど、いつの間にか作品に取り込まれていた。 中学生高校生でこの感性は半端ないなーと思った。
0投稿日: 2024.01.01
powered by ブクログ全く図書館でかりた覚えがなかったのだが、貸出可能の連絡が来たので素直に受け取り、読んだ。中身見たら何でかりたか思い出すかなと思ったけど、全然思い出せず。そういう巡り合わせで来た本なのだと思う。読めて良かった。 主に寝る前に読んでたんだけど、お話の長さといい、幻想的な内容といい、冷たく澄んだ語り口といい、落ち着いた。わたしもたまに文章(と言っても日記)を書くけど、こういう表現と世界観は一生書けないだろうと思う。それくらい特別というか、全てが独特で美しく、時に冷たく恐ろしい。
1投稿日: 2023.11.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ひんやりとした夜のような、どこかから冷徹な眼で俯瞰しているような文体が、とても好き。 とくに好きなのは表題作と「月の鱗粉」「遠き庭より」「夏より夏」「夏の雨降る」 「蟲科病院」は長編で読みたいなあ。
0投稿日: 2023.08.16
powered by ブクログ「月の面に文様を彫る仕事をしている」 この一行でまず引き込まれる。美しく儚い幻想短編集です。月面をイメージした装丁も秀逸。本棚に置きたくなるデザインです。
2投稿日: 2023.03.27
powered by ブクログ天使や薔薇、月や蟲をモチーフに人と人ならざるものたちの世界を描いた掌篇集。 正直、山尾悠子の影響をモロに感じてちょっと面映ゆい。山尾さんよりはストレートに耽美的なモチーフを扱っているけど、文体の選択から幻想と現実の侵食関係などがそっくり。月の描写はカルヴィーノのオマージュだろうし、ダンセイニやボルヘス、ガルシア=マルケスも好きそう。 幻獣としての火の描写がかわいい「不寝番」と、サイレント映画のような「人形遣い」が好きだった。完成度の点では最後に置かれた「天屍節」「蟲科病院」の連作が頭ひとつ抜けている。蟲と竜と天使とが、人の身体を媒介にして流転する世界。誰かに都合のいい”無害”になるべく蟲を取り入れた人間はやがて竜となり、天使のように堕ちていく。今はまだ自分のものにするまでこなされきってない感じだけど、耽美的なファンタジーにはっきりとフェミニズム的なメッセージを打ちだすのが、この人の核になっていくのかもしれない。
3投稿日: 2023.03.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
書店で見かけたときに装丁の美しさに惹かれ、しかし当時はハードカバー本を買うことはしていなかったので後ろ髪を引かれつつ去り、その後Twitterでおすすめされて遂に購入。初めての幻想小説で読めるか不安だったけど、情景はかなり頭に思い浮かべやすい。文全体が長い詩のようで、難解な言葉が続くけど小難しくない、きれいな文体。ずっと不思議。全部きれいで好きなんだけど、とりわけお気に入りは「塔」「水宴」「柘榴石の夜に」「さよなら鳥たち」「天屍節」「蟲科病院」。静かに光るものを書くのがうまいなあ……。あとページの使い方も!
0投稿日: 2023.01.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全51篇。 正直すべての掌編が素晴らしいのだが、それでも自分の好みに★をつけてみた。 キメになるフレーズとはいえないかもしれない「上陸」の二文が、なぜか気になって、というかこの一篇がなぜかしらひどく琴線に触れて、ちょっと鼻の奥がツンとするくらい。 それこそ押井守「天使のたまご」の天野喜孝の絵で思い描かれる。 この少女は確かに少年期の自分の中にいたし、中年となった今も隠れている気がする。 ◇Ⅰ 月面文字翻刻一例 月面文字翻刻一例 月の鱗粉 水死 月の夜に ★《信じてください。狩られて殺されるのはわたしのほう。萎れた花綵のように捨てられるのはわたしのほうです》 闇の夜に ★《角からとれた薬を飲んだ娘たちはいつか角の生えた少女を産む》 廃世 月よりもやすらかに 闇の夜に貴方は やわらかい兄 遠き庭より ◇Ⅱ 眠られぬ夜と昼のための物語 不寝番 みどりの狼 陽宮 シメール、帰還兵 上陸 ★《このようにして少女は水から一人の透き通った友人を作り出したが、形を持ったのは一本の腕だけであって、陸へ上がった体の大部分は不定形のままであった。崩れやすいその手を少女はそれから二度と離すことがなかった》 鳥と男と 棲まうもの 塔 ★《こんなお話があるわ。龍退治の勇者のお話。とっても短いんだけど》 黄金の鬣 火とカサンドラ ◇Ⅲ 本盗人 本盗人 ★《本の中でこの本と混ざりあいたいんだ》 花兵 水墓 多情 砂の両手 ものがたりたちの森 女の子たちは工場を出て 薔薇の治世とその再来 いつかゆく水辺へ 星々の沈黙 やまなみ ★《長い長い昼がそれでもようやく傾いていき、西の空の底には、死んでいく昼の、乾いた血の色が映っていた。ゆっくりと、もの憂げに、なぶり殺されていくような昼の終わりだった》 雑草のように 楽園より 人形遣い 水宴 ◇Ⅳ 桜前線異常なし ごっこ遊び ★《「この子たちに帰る家はないの」》 雑踏の中で 抽斗 砂味 雨の降る場所 柘榴石の夜に 夢のなかで 夏より夏 夏の雨降る ★《自分以外の何物にもなれないのだと、私は初めて悟ったような気がする。それはなんだか死に近いような感覚だった》 昼の交錯 眠りの地上階 逃亡 さよなら鳥たち 桜前線異状なし ◇Ⅴ 蟲科病院 天屍節 蟲科病院 ◇おぼえがき
5投稿日: 2022.12.05
powered by ブクログ月の表面に文字を彫る。月は1か月に一個使うから膨大な数の月を、膨大な時間をかけて作らなければいけない。その発想に打ちのめされた。 歌集も読んでみたい。
0投稿日: 2022.11.27
