
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『シンプルな情熱』 フランスの作家 アニー・エルノー の 自分自身の体験を語った問題作♡ 【早川書房創立80周年記念 ハヤカワ文庫の80冊】 今、ハヤカワ文庫の帯には 各界の著名人による 推薦コメントが書いてあるんですよね! この『シンプルな情熱』の帯は 金原ひとみさん 素敵でしょ(ღ*ˇ ˇ*)。o♡ なんて書いてあるかと言うと…… 「ここまでの超常的な 俯瞰視点の達成は、 事件と言えるだろう。」 ですって!!!!!! もう 嫌んなっちゃう♡ わかるなぁ 1993年1月に単行本として刊行 その時に 山田詠美さん や 小池真理子さんが 絶賛していて その時に読んだ記憶が あるのだけれど 覚えていないのぉ …で、今回改めて読んでみました♪♪ 「昨年の九月以降わたしは、ある男性を 待つこと───彼が電話をかけてくるのを、 そして家へ訪ねて来るのを待つこと以外 何ひとつしなくなった」 妻子ある若い外交官と不倫の関係になり、 自分を見失う程に彼を ただシンプルに情熱的に彼をおもう ある夜更け、ふと、エイズ検査を受けてみたいという気持ちが湧き起こった。 「せめてそれだけは、あの人が私に残していったということになるもの……」って 凄すぎるでしょ そんな感じで ずっと ずーっと 相手を思い続けるの その情熱は激しくって単純 これが自分自身の体験だったりするから… 時代を感じてしまう。 今はこんな不倫の体験なんて 語れないでしょう? 解説は 皮肉にも 斉藤由貴さん この小説が如何に好きかを 伝えているの 情熱的にね♡
57投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログ自身の恋を剥き出しで語るところは確かに賛否が分かれそうと思いました。個人的にはあまりピンと来ないところが多かったですが、他の作品も読んでみたいです。
0投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログ語られる出来事と語り口のギャップが大きく、 筆者の激情をより色濃く感じた。 こんな書き方あるんだなあ。 私はここまでのめり込んだことないので至極冷静に読了。 馴染みのない土地名、例えが多く、 のめり込んだか、と言われれば素直に頷けないが、 あとがきで補完、納得感が増した感じ。 評価の分かれ、とか作風の変遷とか含め あとがき、興味深かったです。
0投稿日: 2025.09.12
powered by ブクログ5年前に、セルゲイ・ポルーニン観たくて映画化したのを観た。 たしかに、「シンプルな情熱」に自分を捧げる期間は贅沢であるともいえる。 しんどい気持ちを紛らわすためにさらにしんどかったことを思い出そうとする、みたいなのはわかる〜!って思った
0投稿日: 2025.04.25
powered by ブクログ無駄なものを削ぎ落としたシンプルな情熱は、もはや芸術であり、それが爆発する過程を見ているようで、そこには極上の感動があった。 最高だ。完璧な余韻。耳鳴りとして残る余韻に浸り回想する。
0投稿日: 2025.01.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2022年のノーベル文学賞。 読後、ポッドキャストの「翻訳文学試食会」、「空飛び猫たち」、「世界文学放談胡椒とマルガリータ」を聞いたり、ネット上での感想を漁ったり、した。 読んでいる最中も賛否両論だろうなと予期していたし、実際そうだった。 個人的には、どうーでもいいー体験がどうーでもいいー水準で綴られる文章だなー、と思っていた。 というのも、作者自身を思わせる語り手が、エッセイとも当時の覚書とも区分けしづらい文章を綴る、その行為自体を描くタイプの文章だから。 下世話な覚書を小説に昇華させようとする苦肉の策、とも。 性質上、作家たるワタクシが、子供もいる中年なのに、子なし妻ありの若い男と期間限定数か月の性愛関係を持つことってどういう意味を持つんよ、と内省する記述の諸々を、数年前当時のメモをもとに再現したりしなかったり、みたいな、敢えて感情を移入しづらい書き方をしているので、読み込もうとする喉に小骨が刺さり続けているような気がして。 先回りして、攻撃的になりそうな自分に対して書いて置いておくならば、作者の倫理として、行動ではなく感情を書くと凡庸になる、という意識は保たれている。その上、暴走的暴走はしない、冷静な書き手なのだ。 解説文に斉藤由貴が寄せているが、彼女のように自己体験込みで書けるものがあれば、スッキリするものだろうけれども。 あるいはセックスに突き抜ければ、言い訳っぽい記述って不要になるんろうが、まあそんな小説ってないよね。小説と言い訳って不可分。 逆に冷静な語り手を、性に突き動かす何かを突き止めようとする、峻厳な記述があるかといえば、そこまででもないし。 このユルさ、志の低い映画になりそうだなーと思っていたが、実際映画化されているらしい。 おそらく水準は低かろうなーと、予告編しか見ていないが、原作であえてぼかされた男がバッチリキャスティングされている段階で、見る気にになれない……これは匿名性を打ち出した、原作の魔力か? いや、本作の中で、大島渚監督「愛のコリーダ」(阿部定事件)に言及されていたり、男をアラン・ドロン若き頃と描写していたりするので、映像化の欲望は盛り込まれているのだろうが。 その映画化に対して、林真理子がクッソテキトーなコメントを寄せていて、笑った。 に対して、小池真理子が原作に対して寄せた文章は、さすが。 個人的には、山崎ハコ「橋向こうの家」を思い出したり、した。 また、オートフィクションと、日本の私小説との違いを考えたりしたが、あまり益のない行為だと思った。 と、脈絡を欠いてしまったが、作品がそうだから感想もそうなってしまう。 回想したり、書き散らしたりする中で、書くこととは何かを意識していくって、この作品が行っていることだが、もしかしたらその後20年30年かけて、2ちゃんねるとか、私が知らないネットにて、文章だか動画だか知らぬうちに、同じ営為が行われているんじゃないか。 あえて言えば、数十年前の女性雑誌で書かれていた投稿コーナーとか、この十年数十年でインターネットに各人が(匿名性を維持しつつ)書いた文章の熱量と、等価なんじゃないかしらん。
7投稿日: 2024.10.15
powered by ブクログ先に読んだ『嫉妬/事件』と比べるとやや印象が薄い。しかし両作品に共通する、自身を客観視し対象として公平に見つめ直し明確で簡潔な文章に表現できる筆者の姿勢に非常に好感を持った。
0投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログ積読の本を「片付け」ようと思い手に取った。 ノーベル賞受賞アニー・エルノーの代表作。映画化されて大層話題にもなった。A役が有名なバレエダンサーで適役だということだったように思う。 さて、「シンプルな情熱」は、まさしく「シンプル」な「情熱」であった。(繰り返してる笑) 「シンプル」であることの剥き出しの「情熱」。(再び繰り返してるだけ笑) そう、私(たち)はこのシンプルさにこそ感動し共感する。 近代人はこのシンプルさを捨てて生きてきた。人生は複雑だ。複雑であることは人間にとって重要で、シンプルさを追い求めることは「人間性」の否定でもあり、近代人である我々は複雑さをそのまま受け止めてきた。それが知的な在り方であり、今もそうあり続けている。 (時代は逆行し、シンプルで反知性的な社会になりつつあるがそれはさておき) その中での出来事なのだ。 だからこの「シンプル」さは刹那的であり、だからこそ、振り切れなければならない。 この振り切れ方にこそ、この小説の魅力がある。 「沼にはまる」というが、「沼」にはまる自分をそのまま脚色なしに写しとってみせたのがこの小説だ。 諸男性作家が書く恋愛小説とは決定的に違う。 (快楽の仕組みと、権力構造が違うから?「沼」が性欲やフェチと切り離せないのが男性小説家の残念なところ?) 切実であり、客観性があり、ポルノ的な方向性とは真逆にあるものを描き出せたのは、エルノーが女性だったから、とも言えるだろう。 最後の斉藤由貴の解説が素晴らしく、そこにもまた感動。一つの場所にとどまらず、飛躍している女性は多い。(男性もいるとは思うが)
9投稿日: 2023.07.30
powered by ブクログノーベル文学賞受賞作家による自伝的小説です。 これは小説なので、 虚構の部分もあるかと思われますが、 すべてが作り話でもありません。 そこにオートフィクションの魅力があるのでしょうね。 内容を簡単にいってしまえば 離婚歴のあるパリ在住の女性教師と、 ときおり彼女の家を訪ねてくる 東欧の外交官との肉体関係を綴ったお話です。 外交官には妻子があり、 家を訪ねてくるのも彼の都合しだい。 次いつ会えるのかもわからない。 家を訪ねてくるとき以外は連絡もない。 このような関係がいつ終わるのかもわからない。 女はただ男を待ち続けるだけ。 でも、会えばまた激しく求めあってしまう。 まったく救いのない関係。 短い期間であったにしても、 逢瀬を重ねるからには、 それなりの感情の起伏があったはずです。 でもこの小説では、 感情表現は最低限に抑えられていて、 過剰な描写が一切ありません。 むしろ語り口が平坦なようにも思えます。 しかし、それがかえって 主人公の感情の揺れを際立たせる効果を生み、 抑制された趣を醸し出しています。 ここに描かれているのは恋とも愛とも違う、 異質のもののような気がします。 もしかすると傷つけ、傷つくことを 互いに恐れていたから、 このような関係が築かれてしまったのかも。 シンプルな情熱という心の在りようは、 実際に作者が心の奥底で抱いていた感情とは、 真逆のものかもしれませんね。 他人の内面を理解するなんて、 土台無理なことです。 ましてや異性の感情なんて、 尚更わかるはずがありません。 そういう意味ではとても興味深いお話でした。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
0投稿日: 2023.06.28
powered by ブクログおフランスの恋とはこのように没入的なのね…だけど時間をおくと、恋情もセックスもこのように乾いてカチリと表現できるのね。で、これがベストセラーになるのね。深いな、フランス。
0投稿日: 2023.06.10
powered by ブクログやっと読んだ。何に引っかかったのか。不思議。 愛の情熱についてよりも、時々挿入される「書くこと」の意味についてがおもしろいと思った。
1投稿日: 2023.05.13
powered by ブクログ紹介文に「その情熱はロマンチシズムにはほど遠い、激しく単純で肉体的なものだった」とあって、さぞエロいんだろうと思ったが別にエロくなく──いや……!今「別にエロくなく」と書いた途端に「いやエロいな?」と思い直した。そしてこの感じ直したエロさというは何かというのを考えた時に、冒頭の紹介文への違和感が立ち上がる。筆致に即してべつだん過激な性描写があるわけではないこの小説に私が感じるエロさというのはおそらくロマンチシズムに由来しているからだ。そこでロマンチシズムとは何かということを考えてみるが、この「ロマンチシズムとは何か?」というのを考えることこそがおそらく私の「シンプルな情熱」という小説自体への感想文に代替すると予感する。 ロマンチシズムもしくはロマンティックとはいかなるものか。まず安直に浮かぶのはそれが目に見えないということで、しかしそれこそがおおよそ正解であるようにも思う。ここでいう目に見えないというのはたとえば客観を排してるとか物質的な質量をもたないとかに言い換えることが可能ということだが、しかし"存在しない"とか"肉体的でない"というのとは違う。 いかにとっぴな妄想であれ、夢想であれ、(この小説にある)回想であれ、それらが頭に浮かんでいる状態には肉体性が伴うと私は思う。だからたとえば性欲にかられた妄想によって自慰行為ひいては現象としてのオルガスムは起きるし、楽しい夢想で頬が緩み、悲しみの想起で落涙する。私が定義するロマンチシズムというのは直截な意味での"甘美"のムードを必要としない。どんな種類の妄想夢想回想であれ、その想像行為自体によって身体に引き起こされるのは陶酔であって、また陶酔はえてして甘美なるものだからだ。つまり想像とはそもそもが甘美なのだから、"妄想夢想回想のうち甘美なものをロマンティックとする"という前提を私は無意味に感じる。 「シンプルな情熱」が"激しく単純で肉体的である"というのはその通りだと思うが、しかしロマンティックでないというのには以上の点から懐疑的なのである。"激しく単純で肉体的でかつロマンティック"なのである。そしてその、直截的ではなくあくまで"現在そうではない肉体"が、恋情にまつわる回想を意識に巡らせているという、二重のレイヤーを一つの身体に宿らせている複雑な状態(a)は、単純な性描写(それは肉体と意識が同時性を持っている)が続くポルノ(b)よりもずっと、グッと匂い立ってエロい、と私は思う。なぜグッと匂い立ってエロいのかについての説明は野暮というか、(a)の方が(b)よりエロいことを語ることは遅かれ早かれ嗜好の問題になってしまうから割愛する。わかんなきゃわかんないしわかるならわかる。嗜好はいつも言葉を超越する。 そしてグッと嗅ぎつけエロがりつつ、「いまここに無い時間/いまここに在る時間」が重なることも交わることもなくしかしひとつの制限領域の中で同時に存在しているというのが、この小説に私が最も惹かれた点だった。 この小説には以下の四つの時間のレイヤーの存在を私たちに知らしめる。 ① 「私」がAと逢瀬を重ねた、"書いている「私」が回想する時間"。 ② "①を想起しこのテクストを書いている「私」の現在時間"。 ③ ②から数年後の、"②を読み返して①を想起している「私」の現在時間"。 そして、 ④ 小説の出版から時を経て今まさに「シンプルな情熱」を読みながら、"①〜③を追体験的に想像している読者の現在時間"。 ④というのはそもそもすべての文章を読む時に発生するのだが、この小説に於いては他の読書体験よりも強くこの④の時間が意識にのぼってくる。それは〈①←②←③〉というそれぞれの時間からの視線によってこの小説が構造されているからで、作品内でもうっすら言及されているが小説が読者によって初めて成立するものである以上、①〜③へ我々読者が矢印を向けるという自覚は必然の浮上である。 こうした逆流の視線構造はそもそも想起の構造であるのだが、アニー・エルノーが「シンプルな情熱」で描いているのは想起構造の具体例に終わらない。むしろ、かつてあった時間が失われないために書き留めた頁群を読み返すことが、皮肉にも現在という時間が経年によって過去と分断されてしまったという苦痛を実感させる要因になるところに本質がある。この苦痛は苦痛と言いながら痛みを伴わず、文字にすれば矛盾するようだが、だからこそ逆説的な苦痛になるのだ。露骨に提示された想起構造はこの苦痛によって反転し、結局時の流れというのは不可逆であって、あんなに痛んだ傷も知らず知らずのうちに回復するというような当たり前の時間構造こそがゆるぎなく出現する。撮影された傷の写真を見返すことは、瘡蓋のとれたつるつるの肌にもうその傷がないことだけを思い知らすのである。 こういった自罰叶わぬゆえに感傷的になり得ない苦しみが文体の簡潔さに表象されていると私は思うが、それを以って「ロマンチシズムにはほど遠い」とするのは、前述にさんざ書いた理由から、私は違うのではと思うのである。 私たちには明日を生きるために過去を思い出せなくなっていく機能が備わっている。しかしどれだけ思い出せることの解像度が低下しても、過去はなかったことにはならずまた忘れ尽くすこともできない。 「感傷的になり得ない」という感傷は存在する。 昔の恋とはその代表で、「シンプルな情熱」が昔の恋についての小説であるいじょう、ロマンティックでないわけがない。
0投稿日: 2023.05.12
powered by ブクログ映画化を観て、 これが小説だとどのように表現されるのかと、 楽しみにして読んだ。 醒めた視点は共通するが、 原作はなんという内的な情熱の物語か。 独白とも異なり、 このような出来事があったという事柄は少なく、 あくまでも自己批判的、内省的なパッションと、 書くことに関する言語化というか、 何が私の中に起こっていたのか、 がひたすらに書かれていた。
0投稿日: 2023.03.19
powered by ブクログ「嫉妬」に続いて予約していたアニーエルノー氏の著作。自身の不倫体験、相手に焦がれる情熱を訥々と綴られた物語。 やっぱり私は日本語が好きで、シンプルな翻訳本はなかなか刺さらないなぁ…
0投稿日: 2023.02.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2022年 ノーベル文学賞受賞者アニーエルノーの代表作といってもよい作品。自身の不倫の経験を冷徹に観察することによって成立した作品。不倫相手を待つ苦しみ、不倫相手の離別との苦しみが主に描かれる。そして、情事の絶頂も少し触れる。情事の最中の肉体的な快感や葛藤には触れない。不倫という関係で得られる感情の起伏に人間の心理の真理があるのではないかとエルノーは考えているようだ。これは「場所」や「ある女」で自身の両親の心理に迫った手法で、自身の心理に迫ることで、人間の本質を捨象しより高い位置で理解したいと考えているようである。 作品の前半、恋愛の苦しさにどうしようもなくなっている著者に日本なら和歌や短歌で思いを述べる方法があるのにと思って読んでいたが、読み進むとシャンソンに仮託する箇所がでてきて、やっぱりかと思った。
1投稿日: 2023.02.03
powered by ブクログフランスらしい愛と性の話。24時間が不倫相手の男のためだけに使われている。男はそうではないけど。発展することはもちろんなく、肉体だけで繋がっている、ただそれだけの話。小説自体があっという間に終わるので、あとがきの長さに驚きました。
0投稿日: 2023.01.28
powered by ブクログとても短い小説なのですぐに読める。 内容もただ「恋」の話だから難しくもない。 文章もシンプル。 . 原題は『Passion simple』 passionはもともと外部から被害を受けたときに生じる「苦しみ」「苦難」「苦悩」を意味する語であり、Passionとpを大文字で書くとイエス・キリストの「受難」の意味になるとあとがきで初めて知った。 この作品は正しくPassionで、その様が簡潔な文章で綴られている。 じっくり向かうとノーベル文学賞で、表面的に流すとただの不倫話。 本場フランスでは賛否両論だったらしいが、それもよく分かる。 否定的な批評は"平板な文体"と言い、支持派は"平板なのではなく簡潔""極限まで無駄を省いているのだ。剥き出しなのだ"と言う。 私も支持派の意見に同意する。無駄を省いた語りであるからこそ本質が分かりやすく顕になっていると思う。 女性読者が圧倒的に多いと思うが、エルノーの元に届いた手紙は"胸の内に秘めていた自分の体験に言葉を与えてくれたことに感謝する"という男性からのものが多かったらしい。 私も正にそうだった。 エルノーと全く同じで驚くほどだった。 同じ気持ち、同じ感覚。 だから共感しかなかった。
1投稿日: 2023.01.24
powered by ブクログ今の私には全く響かなかった。 誰かを狂おしいほど好きになったことはあるけど欲だけでこんなに狂おしくなったことない。
0投稿日: 2023.01.04
powered by ブクログ本作の著者アニーエルノーは2022年のノーベル文学賞を受賞された方だったので、本書を読んでみましたが、まさにタイトル通り「とても激しい、パッション!」を感じる本でした。 ストーレートで熱い熱を感じるような本で、火傷したような読後感になりました! 賛否両論ありそうな作品だと思いますが、私は、とても印象的で、人間の本質を刺激する本で、素晴らしい本だと思いました。 ぜひぜひ読んでみてください。
11投稿日: 2022.12.26
powered by ブクログ情熱、とだけ聞くと 何かほとばしるような、 熱くて燃えるような、 エネルギーに溢れる、 そんなことをまず連想するのは、 なんでだろう? 熱、という字が入ってるからかな? 一方で、熱いだけではない情熱というのも ある気がする。 一瞬湧き出た後にも残るエネルギー? まだまだ消えないよ、という感じか? 淡々と流れる時間の中に ポッと湧き出た情熱に対して、 渦中から少し時が経ってるからこその シンプルなのかな。 熱さと冷静さのちょうどよさ (けして、ぬるいわけではなく) を感じた。
1投稿日: 2022.12.23
powered by ブクログノーベル文学賞をきっかけに図書館から借り出したアニー・エルノー2冊目。 実らない恋に心身ともにもっていかれた女性の日々の精神状態を、外側から冷徹な筆致で描いている。読み手にとっては「嫉妬」と似たような感情をたどる作品。 1冊目の時も思ったが、何語であれ、おそらく翻訳では伝わらない魅力があるのではないかと想像している。和訳自体はとても自然だし読みやすかったから、翻訳に問題があるというわけでは決してなく、元々の筆致がとても簡潔な文章だと思われ(それがこの著者の特徴だと書評にもあるので)、表現がある意味シンプル過ぎて、行間の魅力が伝わらないのかも、と考えている。扱う内容の好みも多少これありで、エルノーはこの2冊でとりあえずいいかな、と。
1投稿日: 2022.12.04
powered by ブクログノーベル賞を受賞したので読んでみた。 評価ご真っ二つに分かれるとあった。女性の性について素直に書くと言う事、その時期を書き綴った事、を作品として評価されたものであるようだ。 一読で私は何とも表現しがたかった。やはり外国の人は性の捉え方が日本と違うように感じる。 読んで悪い本ではないが、また読み進めたいと思うような本でもなかった。
1投稿日: 2022.11.24
powered by ブクログ〇〇してから何日たった、あと〇〇時間後には…など、時間を意識せざるを得ない苦しさを思い出すとともに、時間を細切れにせず漠然と過ごせている日々はある意味幸せだと思った。 著者の他の作品も読んでみたい。
3投稿日: 2022.11.23
powered by ブクログノーベル文学賞つながりで、川端康成を本屋で買ったついでに平積みされているのをなんとなく購入。 私生活を書く人だと言うことくらいしか知らずに読む。 率直な感想は「私にはもはや遠い思い出」という感じ。 誰かを熱烈に想ったり待ち侘びたりする季節は過ぎ去ってしまった。 描写は簡潔でそっけないほどだ。 自己と対話するような語り口が同じフランス人作家のマルグリッド=デュラスを思い起こさせるが、例えば「ラマン(愛人)」や「太平洋の防波堤」のようにフランス領インドシナを舞台にした異国情緒による風景の拡がりみたいなものは感じられない。アニー=エルノーの描く世界は閉じた狭い街と部屋の中という感じがする。 今回、川端康成とアニー=エルノーを続けて読んで、ノーベル文学賞とはなんぞや?と改めて思った。 普段気に入った作家の小説ばかり読みがちなので、世間的に認められている本もちゃんと読んでおかないとなぁ!と反省しました。
6投稿日: 2022.11.22
powered by ブクログ2022年ノーベル文学賞受賞作家。 スカスカの文庫で100頁ほど。(長々とした訳者解説で一冊の本に無理やりしている。) ただの恋愛小説にしか思えない。恋(passion)に生活、思考のすべてを支配された女性の話。 有名作家の「衝撃の告白」だからフランスでヒットしたという説が正しいのではと感じる。
1投稿日: 2022.11.17
powered by ブクログ"passion" 元々の"受難"という意味もあり、 恋、情熱に生きるということは 自分の魂を奪われて、 意志が強く見える一方で、ある意味 主体性をなくしてしまっていることなのかも、なんて。 欲することの限界を向かえたいような、 向かえたくないような。 終わりを意識しながら 美しき時を化粧しながら、 ただひたすら"待つ"。 もしかしたら、ギャンブルのように "待つ"ことのゲームを 楽しんでいるのかもしれない。 (Aが好き、というより、相手はAであることが相応しい、という感覚もある?) 恋、情熱について 哲学しているようでもあり、 情熱の温度が少しずつ 下がっていく様子さえ、 丁寧に描かれているのが良い。 Aがくるため、用意されていた ウイスキーの記述。 クラフトビールや、好きなアイスを 買っておいて、別離したあとに なんでこんなに買ってたんだっけって 思ったことあったな、なんて 回想したり。 愛人関係でなくとも、 過去の誰かとの逢瀬、情事に 思いを馳せる、そんな純文学。 山田詠美さんも薦めておられたのか、納得。 詠美さんも久々に浸りたくなった。
7投稿日: 2022.11.12
powered by ブクログノーベル文学賞受賞。 初めて読む、アニー・エルノー作品。 生のすべてを捧ぐような情愛。道ならぬ恋。 同時にそれをどこか客観視するような筆致。
2投稿日: 2022.11.06
powered by ブクログほにゃらら賞って、つまり世の中をばっきりと複数にわけるような賛否両論を生んでしまう作品がとるんかな。 私はめーちゃ好きだな。他の本も読みたい。 早川書房はすごい……
1投稿日: 2022.11.03
powered by ブクログこんなに恋に溺れて、こんなに冷静に記述できるのか。 この恋は性的な行為を行うだけで、素敵な会話やデートやイベントなどは全くない。だけど恋する著者の頭は彼のことでいっぱいで、何をしていても彼のことばかり考えてしまう。 恋、恋情、激しい恋、情熱。様々な色のパッションが描かれる。 言葉が美しく飾らず荒々しくて直接的だったのが、新鮮に感じた。 特に91年2月の再会からラストの文章までは素晴らしく、恋の移り変わりは全くもってシンプルではなくそして美しいということがよく現れている。 著者の恋の感じ方記述の仕方に惚れ惚れとした作品 (そのため映画を観る意欲なし)
4投稿日: 2022.11.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
シンプルな情熱 著者:アニー・エルノー 訳者:堀茂樹 発行:2002年7月31日 ハヤカワepi文庫 単行本は1993年1月発行 今年、ノーベル文学賞を受賞したフランスの作家、アニー・エルノー。もちろん、読んだことなかった。ブックオフで主だった本にネット上でチェックしておいて、最初に入荷した古本がこれ。今日、店舗まで取りに行って読んだ。本文がP7~110、訳者あとがきがP111~159、斉藤由貴による解説がP160~166(これだけは文字が細かい)。無理矢理一冊にしている感じ。映画化されたようで、表紙カバーが2重になっているパターン。 パリ郊外に住む中年女性。子供も大きく学校に出ていて、一人暮らし。高校教師であり作家。10歳年下の東欧の国の外交関係の仕事をしている妻帯者の男と付き合っている。彼は現在はパリに赴任中。実は、アニー・エルノー自身の性愛を綴った話だとのこと。訳者あとがきによると、1988~1989年ごろの1年間つきあったらしい。ロマンスではなく情熱(パッション)の話だとしている。しかし、読んでいると恋愛、ロマンスのように思える。性的快感が中心だとしたら、性描写がなさすぎる。しかし、それも訳者あとがきを読むと理解できる。 彼女は、すべて受け身だった。彼からの連絡を待ち、彼が訪れることだけを待った。人に見られるようなところには出かけず、自分からは電話、手紙、訪問を一切しない。彼が帰る時に手紙を渡すだけ。彼は読んで帰りの車の中から破り捨てて高速道路にまき散らしているだろう、と思いつつ。彼の妻に自分の気配が感じられないように、細心の注意を払う。 彼から連絡が来なくなる。やがて、彼は別の国へ。別れが訪れた。その前に、自分からもう会わないようにと決意をしていた。それなのに、なにをしても、どこへ行っても、彼とともにしたことと結びつけて考えてしまう。そのあたりの「これでもか」という書きぶりが、読んでいて段々と共鳴に変わってくる。異性に対する思いとは、愛か性かどちらに重きがあろうとも、そういう面があるものだ、と思えてくる。誰にも言わない、自分の心の中だけで感じ、思い描き、叫ぶ、さまざまなこと。 別れた後のことが日付入りで書かれる。1991年2月。湾岸戦争の描写が入る。戦争勃発後の最初の日曜日、夜、別れて以後、初めて彼から電話が入る。パリに来ているとのこと。彼は彼女の家にやってきて、2人はセックスをする。そして、ホテルへと戻っていく。 こうした自分の性愛を描くことで、なにが言いたかったのか、それは簡単には分からないが、最後に書かれていることは明確にイメージできた。 「彼がいてくれたからこそ、私は、自己を他者から分離している境界に接近し、時折その境界を越えるようなイメージさえ抱くことができたのだ」「彼は、彼自身の知らぬ間に、私を以前より深く世界に結びつけてくれた」 ところで、訳者あとがきで理解できた「情熱」の意味だが、これにはおどろいた。 情熱(=パッション)は、語源に遡ると、受け身の状態であり、苦しみであるという。自己の内側から自発的に湧いてくる力ではなく、外から取り憑いて、自分を虜にする力だと理解した方がいい、とのことだ。「恋(パッション)に燃える」は、解放された状態ではなく、囚われの状態に入ることなのだそうだ。これですとんと落ちた。
2投稿日: 2022.10.31
powered by ブクログ最後の終わり方が素晴らしかった。恋することにも、いろいろなランクがあるのだと知る。パッション、情熱、受難。フランスの大人の女。憧れるけど、全てがマネすらできない、今の私。
1投稿日: 2022.10.30
powered by ブクログ登場する著作・作家 グロースマン 生と運命 マーガレット・ミッチェル 風と共に去りぬ ラシーヌ フェードル トルストイ アンナ・カレーニナ マルグリット・デュラス 愛人 フローベール
1投稿日: 2022.10.24
powered by ブクログ今年のノーベル文学賞受賞したアニー・エルノーの文庫本が平積みされていたので衝動買いしました。 妻子ある外国人男性との不倫体験を回想し、まるで独り言のような脳内妄想をそのまま書き起こしたような印象。 この体験記が人の目に晒されることにも自覚的で、 恋に翻弄される女心を赤裸々に包み隠さず描写している。 しかしそこにはまるで艶かしさは感じられない。 なぜならそれは過ぎ去ったことで、今の自分は空虚だからと言わんばかりだ。 しかし、ノーベル文学賞とのつながりは今ひとつ分からなかった。 映画化もされているそうだけど、 なんとなくエリック・ロメールの映画のイメージに近い気がした。
6投稿日: 2022.10.22
powered by ブクログ原典、Passion Simple 邦題、シンプルな情熱 今の私には、贅沢とは、ひとりの男、またはひとりの女への"激しい恋”(=パッション)を生きることができる、ということでもあるように思えるように。
1投稿日: 2022.08.14
powered by ブクログ文学ラジオ空飛び猫たち第56回紹介本。 本書は作家自身の体験に基づいた年下男性との不倫の話ですが、単なる恋愛小説ではなく、恋のパッションに燃えた一人の女性の記録であり、省察です。人生におけるパッションとは? 深く考えさせられる一冊でした。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/56-e17pnur
5投稿日: 2021.12.31
powered by ブクログとても感動的な本。外部からの「苦痛」であるパッションを、それに捕らわれながらもなお明晰さを失わず、自立を保っている。そんな彼女の文体は、彼女のパッションに限りなく近い。書くことと愛することが同義であるように。シンプルな情熱、それはとても純粋で、冷たい透き通った水のよう。直截的な表現で少しも自分を誤魔化さず、真摯に自分と向き合うことは、ひどく恐ろしいことだ。一歩間違ってしまえば、狂人になりかねない。それでも彼女は真正面から自分を受け止める。甘いことも、苦いことも、激しいことも、捌け口のない欲望も、かっこ悪くみじめな自分も、しっかりとした目で見据え続ける。そこに留まり、パッションを受け続けた者だけがたどりつくことのできる境地を、ついに見出すことができるまで。すべてを奪われて恍惚と立ち尽くす自分の姿さえ、彼女の眼は冷静に見つめる。
3投稿日: 2010.12.19
powered by ブクログどなたか知識人の女性がテレビでお勧めしていた1冊。 『ストレートに女の性を描いて話題騒然の書』と帯に書いてありますが性でびっくりしたのはプロローグだけ。 読み進むうちに片思いの切なさ、待つこと以外何もしたくない時間、恋の終わりの予感の妄想や苦しみ、など本気で人を好きになったら勝手に訪れてしまう感情たちがありありと甦って来ました。あの時のあの感情を冷静に文章にしようとしたら、この本が一字一句違わない表現してくれているはず。 自分ではどうにもできない苦しくて時間。アニー・エルノーは今の私位の年齢でこんな経験をしたんだなぁと思うとさっさと経験しておいて良かったかなと。今なら耐えられないよ、きっと私(笑)
4投稿日: 2010.07.25
powered by ブクログ山田詠美と江國香織の対談で出てきて勧められていた恋愛小説。恋をしていてもたってもいられないもどかしさと愚かさと愛しさに打ちのめされた時に読むのにお勧め。
2投稿日: 2010.03.22
