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都市と都市
都市と都市
チャイナ・ミエヴィル、日暮雅通/早川書房
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総合評価

94件)
3.7
12
35
30
3
1
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    魅力的なあらすじ紹介。 オーソドックスなミステリの導入。 ほどよい期待感から読み始めるやいなや次々出てくる作品独自の用語、概念。 そして作中でその説明がほぼないまま2、300ページひたすら進んでいくものだから挫折しそうになった(というか1度挫折した)。 説明されない言葉も異なる文脈で何度も何度も登場するからそのうちなんとなく意味やイメージがわかってくる。 なんだか外国語の学習みたいだなぁ、と思って楽しみ始めたあたりから怒涛のごとくストーリーが終結に向けて突き進んでいく。 最後は正直尻切れトンボで、中盤まで高まっていった期待感に対しては物足りない印象があったものの、前述のような普段あまり本を読んでいて感じない感情というか楽しみ方を出来たことが新鮮な作品だった。

    0
    投稿日: 2025.10.16
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    再読。んなアホな。と思うような奇想を繰り広げているのにそれを大真面目にハードボイルドな刑事小説として書いている点が何より面白い。モザイク状に都市と都市が重なり、住人は相手側の町の人々を「見ない」ふりをしながら過ごす。犯罪事件の経過以上に、話が進むとわかってくる”都市の成り立ち”が魅力的で社会人類学のような趣きさえ感じることだろう。主人公の立ち位置が都市から都市へ、都市と都市の狭間へ、その先の未知なる都市へと変化していくことにより、立体的に社会の情勢が見えてくるあたりや、その仕組みに対してバカバカしいと喝破する部外者を登場させるあたりは、物語の枠組みを批評的に語っているようでもあって、そのような一筋縄ではいかないところも作品そのものへの興味を持続させる。大真面目に書きすぎて途中経過の盛り上がりに欠けているとは思うものの、2周目の読書ではそれも含めて楽しめた。こんな奇抜な設定なのにここまできちんと刑事小説書いてるってところが一番ツボ。あとスキンヘッドにピアスをじゃらじゃら付けたジェイソン・ステイサムそっくりの著者近影も好き。

    8
    投稿日: 2024.12.29
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    前半読みにくく挫折しそうになったが、後半は物語のテンポが良くて一気に読めた。 SFを期待して読んだが内容は大方ミステリーサスペンスといった類。 ベジェルとウル・コーマという2つの全く同じ形の都市がお互いを物理的に見ないようにして共生しているという、かなり面白いが同時にかなり突飛な世界観を見事に書き上げている。 クロスハッチやトータル、ブリーチといった独自のワードや世界観、どれも現実離れしてぶっ飛んでるのに不思議な説得力がある。 また凄くファンタジックな設定なのに同時に現実味もディストピア味もあってハードボイルドな雰囲気もあるので凄い筆致力だと感じた。 ベジェルとウル・コーマのそれぞれの都市の個性も有り、刑事バディ物の良さも有り、読み終えると奥深いなと感じられる作品だった。

    0
    投稿日: 2024.12.23
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    全体にハードボイルド警察モノだが、<見ない>のテーマはなんだか安部公房的でもあるように思う。大森さんの解説に都市自体が主人公というふうに書かれていてたしかにそうなんだけど、僕はそれよりも、先天的な能力とかではなく普通に訓練によって見てはいけないものを<見ない>でいることで、つまり住民の努力によって2つの都市が存在できているという、そのことがおもしろいと思う。我々はふだん、町でなにを<見ない>で暮らしているのか。 3部ともバディが代るというのも楽しい。

    0
    投稿日: 2024.08.19
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    二つの都市国家が同じ土地に混在する摩訶不思議な舞台で、主人公が二つの都市の成り立ちや歴史の秘密に迫る、SFというよりはサスペンス。千年近い暗黒時代があって誕生したのがこの都市と都市の不思議な成り立ちらしく、まことしやかに噂される都市伝説もあるが、その謎もきちんと解き明かされるのがなんだか電脳コイルっぽいと思った。解説の大森氏が述べるように、本当の主人公は都市で、不思議な世界を味わうことのできる一冊。 2017.2.4

    0
    投稿日: 2024.07.08
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    挫折しました 無理だ読めない しかし本がどうこうではなく私がSFに向いていない… 本の評価を下げるのも申し訳ないので☆3にしておきます

    1
    投稿日: 2023.09.27
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    序盤久しぶりに読むのが苦痛になってリタイアしかけたけど後半は一気読みでした笑 一つの場所に二つの都市が重なってる設定が逸脱。

    0
    投稿日: 2023.08.30
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    東南ヨーロッパにある、架空の地域が舞台になっている。この地域二つの都市が存在し、それぞれ違う民族の居住地があるのだが、一部については重なっている。そこでは、相手側の人々や建物などを見てはいけないし、もちろん干渉してはいけないというルールがある。これを破ることは「ブリーチ」と呼ばれる。またブリーチを取り締まり、裁く人たちもブリーチと呼ばれる。事件の発端は、遺棄された女性の遺体を見つけたこと。身元がわからない結果、もう一つの都市の住人らしいということがわかり、二つの都市をまたいでの捜索が行われる。二つの都市が重なっているという設定が面白いのだけれど、もしかすると、ここまで極端ではなくても似たような状況って、日本を含む世界のいたるところで起きているのかもしれないって、ちょっと怖くなった。

    0
    投稿日: 2021.11.22
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    2つの都市国家が同じ位置にありながら、互いに見えないものとして人々が暮らしている。生まれたときから見ないように訓練している。都市は完全にこちらに属する部分、重なる部分があり、重なる部分では見ないふりをしながらぶつからない様に避けねばならず、とややこしいファンタジー設定。 しかし、冒頭は殺人事件現場で始まり主人公は警部補という大筋ではミステリ小説である。 前半は都市の設定を飲み込みつつ読むのが難しかったが、主人公や脇キャラに馴染みだし、物語が展開するにつれ引き込まれて加速した。ハードボイルドの刑事もののような読み心地とSFらしい世界観の不思議さを感じて満足度の高い読書だった。ラストの切なさも良い。 2つの都市国家が同じ場所にということからイスラエルとパレスチナを示唆しているのかと思った。ハンガリーあたりとも考えたが、解説の大森望氏によるとバルカン半島の中程とのこと。アメリカ発のあるパレスチナ問題解決法がこれに似ているとも書いてあり、興味深い。この設定を架空の星でなく現代の欧州にした力技がすごい。

    0
    投稿日: 2021.08.02
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    ふたつの都市国家ペジェルとウル・コーマ。隣同士の国。ただややこしいのが、ふたつの都市国家が同じ場所に共存している点。一方の都市の住人は他方の都市の住人を見ることは禁じられており、触れることはもってのほかで、これらはブリーチと呼ばれる犯罪行為に当たる。ただ見ようと思えば見えてしまうのがややこしい。また正規のルートで出国・入国は問題ない。このようなややこしい都市で殺人事件が起こる。ペジェルの警察、ボルルは殺人事件を調査していくという流れ。SF小説かと思っていたら、警察小説。設定をきちんと理解できたか心配だが、わりと後半楽しく読めた。

    0
    投稿日: 2020.11.29
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    うーん、なんでしょうか。舞台装置とか設定とかそこそこ面白いのですが、訳のせいなのか読みにくい。二つの都市に住む住民の不条理や歴史修正主義の愚かさとか、色んなものを内包してるのかもしれないが読みにくく、エンタメとして楽しめない。 無駄に長い気もするし、犯罪の動機が全く弱く感じる。久しぶりのSFだったが、そろそろついてくのがきつい、

    2
    投稿日: 2020.07.20
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    破綻なく映像化するのは難しいんじゃないかと思うレベルの現実離れした舞台設定を描き切ったのは、お見事としか言えません。 本著の舞台の肝となっているのは、例えば、電車の中でちょっと離れた距離の人の顔を理由なく見てしまっていて、それに気づいて慌てて顔をそらすような感覚と同じでしょうか。見ていても「見ていない振りをする気まずさ」が身近に転がりすぎているのがこの小説の舞台です。何よりこんな都市、住みたくない!(笑 冒頭はいたって普通のミステリー小説なのですが、ところどころに挟まれる名詞なんだか動詞なんだかわからない<>綴じのコトバに??となり、読み進めるにしたがってやっとこさ頭が馴染む(理解する訳ではないけど)ものの、今度は物語自体の謎が頭を混乱させる、なかなかの閉塞感が味わえます(笑 決して読みやすい読み口ではなく、読了まで結構時間がかかりました。第3章くらいまではかなり苦痛。終盤の舞台設定を活かした展開は多少テンションが上がったのですが、事件の謎が明かされたところでは、ちょっと大味な印象を受けました。個人的には、もっと知りたい謎が放置されているような。。 海外でメチャクチャたくさん賞を受けているのは、この舞台装置故なんでしょうか。それとも別に、原語じゃないとわからない何かがあるのか。凄い本ではあるものの、ミステリー好きにはおすすめですが、SF好きにも一般にもそこまではオススメしないかなぁ。

    0
    投稿日: 2020.02.09
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    ヒューゴー賞をはじめ、さまざまな文学賞を受賞というカバーに記された紹介文とアーサー・C・クラークの「都市と星」のような世界を期待して手に取りました。 なんて無理繰りなと呆れる設定が徐々に明かになり、無理を承知でストーリーを推し進めるのは圧巻。 ややこしいからなのか、読んで途中で寝落ちすることしきり。

    0
    投稿日: 2019.08.21
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    舞台設定は面白い。減点としては、ストーリー、主人公の掘り下げ、犯行動機の納得感、読みづらさ。ジャンルとしては現代を背景とした架空国家伝奇ものか。""

    0
    投稿日: 2019.01.19
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    帯でなく表紙へ大書されているように SF関係の賞だけでなく世界幻想文学大賞も受賞している本 中身は解説にもある通りハードボイルド調の警察もので この前読んだ「愛おしい骨」と同様に 翻訳を透してそれだけで文化の違い(というより日本が島ということか)を 感じる風な小説だが 舞台設定が奇抜でそこがSF側のこれがSFだと推挙するところである 「都市と星」というより「不確定世界の探偵物語」みたいな感じかと読んでいたが これを書いてしまうと未読のひとにいらぬ先入観を与えそうで嫌だが 書かずにいられないので書くと 「メンインブラック」にしか見えない 一度そう思うとコメディにしか見えない というわけで読んでいる途中はミステリ→SF?という感じだったが 読み終えた今は ミステリだろうがハードボイルドだろうがSFだろうがコメディだろうが なんでも内包する「幻想」「ファンタジー」の懐深さにひれ伏すのみである

    0
    投稿日: 2018.12.08
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    同じ場所に同時に存在する2つの都市の話。そんなことできるの?という感じで読み進めたが、なるほどと唸らされる。管理社会にも想いを馳せた。

    0
    投稿日: 2018.11.12
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    この小説をSFという範疇で語るのは非常にもったいない。SF的なミステリであり、小説である。(昔風に言えばslip stream、伴流文学である)。 二つの都市国家が同じ地域を占めているという状況でも十分に特殊ではある。加えて、その二つの国家は『壁』という物理的なもので仕切られているわけではなく、お互いに相手を見ない(見えない)物として扱う事で並立させているというのだ。 このシチュエーションだけで相当な物である。 加えて、相手の国を侵犯してしまった(特殊な状況下なので頻繁に起る)場合、『ブリーチ』(漂白とでもいえばいいのか)というどちらの国にも属さない公権力が存在するという。さらに複雑な状況である。 この「見ない・見えない」ことでそれぞれ異質なものが共生するというのは、実は我々が暮らす現代社会の中にもあるように感じている。ただ見てしまっても『ブリーチ』されないというだけで… いろいろな意味で背筋が寒くなった一冊。今年最後の最後で『今年の一冊』に決めました。

    0
    投稿日: 2018.10.14
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    読むのが疲れるが、味わい深いスルメのような作 表紙   7点岩郷 重力   日暮 雅通訳 展開   7点2009年著作 文章   7点 内容 815点 合計 836点

    1
    投稿日: 2018.04.17
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    数々の賞を受賞しカズオ・イシグロも絶賛したという小説。 十何年ぶりに再読した。 ベジェルとウルコーマという壁のない東西ベルリンみたいな話て2つの都市は異なる発展、言語で相互の国民が見ないことによって分断されていて、その境界を乱すものを監視するブリーチという超法規的謎の権力組織がその入り組んで隣接する境界を管理徹底している。 そこに一人の女性の遺体が発見され…… クロスハッチやブリーチなんていう特殊な言葉が普通に使われる。前後の文脈である程度わかるが、この世界の人達にとっては普通なので不都合についての感想は述べるけどその用語の説明はしない。 隣接都市を盲点に追いやり共存するというユニークな設定が事件にもその解決にも複雑に絡んできて面白い。 読み進むにつれてこの特殊な都市設定に慣れていくのも面白い。

    0
    投稿日: 2017.12.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    物語の舞台となるのは、ふたつの都市国家。両国の領土は隣り合っているというより、飛び地のように入り混じっている。区画ごとに国が入れ替わるような地域もあれば、公園の真ん中や木立の途中で国境が引かれた地域もある。網目状に入り乱れた国境線には壁はない。しかし両国の住人たちは幼い頃から訓練を受け、たとえそれが目の前にあっても、隣国の情景は意識から追い出すよう求められる。そしてその規則を破ったとき〈ブリーチ〉と呼ばれる組織がどこからともなくやってくる…。 奇抜な着想を、綿密なディテールによって読ませる、ハードボイルド・ミステリーでありSF小説。奇妙な都市と都市との間に、さらにもうひとつの都市が隠されているのでは、という謎が、さらに伝奇的なロマンも感じさせる。訓練された他国・他者への無関心というのは、現代的なテーマとも言えるのかもしれない。

    0
    投稿日: 2017.07.04
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    都市と都市という題名に象徴されるように,複雑な都市のあり方ががこの本の魅力となっている.だけど理論上は可能なのかもしれないが,実際ありえないような存在だ.そして,起こった殺人事件.この犯人探しが単純なハードボイルドになってもいいところが,複雑な都市構造のためにやたらと込み入って,非常にわかりずらかった.

    0
    投稿日: 2017.01.11
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    ヨーロッパあたりにある重なって存在する二つの都市国家.越境行為をすればブリーチという超法規的なパトロールがやってきて何処かへ連れ去られてしまう.そんな世界で起きた殺人事件.ボルル警部補は片方の都市では解決不能と見て他国に乗り込む.ディック風のハードボイルドSF.書評によれば訳がひどくてほぼ無茶苦茶らしい.ちゃんとした訳で読んで見たい.山形浩生あたりで.

    0
    投稿日: 2017.01.10
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     都市と都市、ヨーロッパのはし、バルカン半島のあたりにあると思われる二つの都市国家、ベジェルとウル・コーマは「地理的にはほぼ同じ位置を占める」。ほぼ同じ場所を占めるという紹介文の記述がまずわからなかった。いったいどういうことか。  それは『アンランダン』の裏ロンドンのように同じ場所だが異次元、というようなSF的に現実離れした設定ではまったくなく、実現可能だが政治的に現実離れした設定なのである。二つの国の国境はいわば双方の国民の心の中に画定されている。ベジェルの側からみると、完全にベジェルの土地である〈コンプリート〉な場所、まったく異国、すなわちウル・コーマの領土である〈アルター〉な場所、両者が混在する〈クロスハッチ〉する場所がモザイク状に入り組んでいるのである。  ベジェルの住人は目の前にウル・コーマの街並みがあり、ウル・コーマ人が歩いていても〈見ない〉ようにする。ときどき目があってもすぐに目をそらすように習慣づけられている。それを犯すこと、すなわち〈ブリーチ〉は重大な違反行為なのである。  私の住む3丁目は日本だが、4丁目は北朝鮮になっていて、そこは〈見ない〉ように生活する、5丁目の交差点は〈クロスハッチ〉していて、北朝鮮の車も通るけど、それも〈見ない〉ようにしながら避けて通る。というような感じか。  馬鹿げている? そうかもしれないが、外国人にとっては極めて馬鹿げていても、現地人には非常に大事なことって実はたくさんあるではないか。ミエヴィルはこの奇妙な二つの都市を現代に配置して、実際にありそうに思わせていくのである。ベジェルとウル・コーマが分裂する前の遺跡の発掘現場、愛国主義者、統一主義者などの政治集団などの道具立てのほかに、インターネットもあるしiPodも出てくる。  しかし全体の体裁はミステリーというジャンルを遵守する。私、すなわちベジェル警察のティアドール・ポルル警部補が、若い女性の他殺現場に到着するところから話がはじまる。ところが、まず被害者を知る者が誰もいない。やがてわかってくるのは、彼女がかつてベジェルに滞在し、その後、ウル・コーマに移った外国人で、ベジェルとウル・コーマの間にあるという伝説の第三の都市オルツィニーについて調べていたということである。  すなわち、殺人犯は、被害者をウル・コーマで殺して、ベジェルに遺棄したという〈ブリーチ〉行為に関わっていた可能性があるのだ。ベジェルとウル・コーマの権力のほかに、この〈ブリーチ〉行為を取り締まる〈ブリーチ〉という名の秘密警察のようなものが別にあるらしく、本件を〈ブリーチ〉で扱うようポルル警部補は監視委員会に要請する。  ところが、とってつけたように、犯人が合法的に国境を越えたという証拠が出てきて、〈ブリーチ〉は発動されない。ポルルはウル・コーマ警察に協力して捜査を進めるため、ウル・コーマに入国するはめになる。  総体局所的(グロストピカリー)にはすぐ隣のブロックにある〈アルター〉な地区に直接歩いて入ったらそれは〈ブリーチ〉である。そこで旧市街のコビュラ・ホールに行って、正規の手続きをふんでウル・コーマに入国すれば、〈アルター〉な隣のブロックに行くことができるのだ。しかしその際には、もはやベジェルのほうを〈見ない〉ようにしなければならない。隣のブロックは総体局所的には、隣にあるのだが、遠い異国なのである。こうした造語ももっともらしい雰囲気を作り出す。ベジェルの××街の位相分身(トポルゲンガー)はウル・コーマでは○○街だ、とか。  背表紙の紹介文に「ディック−カフカ的異世界」などとあるが、それはまったくの誤読であろう。ディック−カフカ的世界には超自然的なものが介入するが、ミエヴィルの世界には「不思議なことなど、何もないのだよ」。  読者をこの2つの都市の住人にしてしまう綿密な描写のあと、事態は急を告げ(どうやらオルツィニーについて調べているものが命を狙われるらしい)、それまでまるで超自然的存在であるかのように畏れを持って描写されてきた〈ブリーチ〉が登場する。第3部は〈ブリーチ〉。ポルルは〈ブリーチ〉へと入るのだ。〈ブリーチ〉へ入るということがどういうことなのか、ここでは述べないが、相互に〈見ない〉ことで成り立つ都市と都市のありさまに馴染んだ読者には、認識論的飛躍のめまいを感じさせるだろう。  終盤、「都市と都市」の特性を利用した犯罪の謎を解くポルルの活躍は、何とも見事に盛り上げられていて、しかもミステリの快感がある。さらにこの認識論的飛躍が深い陰影を添えるのだ。tour de forceの作品である。

    0
    投稿日: 2016.02.04
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    我ながら500pよく読んだ。 この本は読む人の想像力が問われるかも知れない。同じ空間に2つの都市、がお互いに目を合わさない事で成立しているという設定は面白い。映像的でもある。自国でないものにはフォーカスが合わずに、ぼやっとブラーがかかるイメージ。 分かりづらいていう人もいるけど、常日頃見て見ぬふりってしてるし、今の時代隣人をあまり知らなかったりするし、割とリアリティーがあると感じた。 ストーリー自体は、もはや映画化考えてるんじゃないの?と思うほどシンプル。映画の時間にちょうど収まりそう。ラストはもっとどんでん返しがあっても良かったかも。

    0
    投稿日: 2015.07.13
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    円城塔先生の読書メーターで見かけたので手に取ってみましたが、聞きなれないドイツ名と理解し難い都市構造の二重苦に、我が脳内映像化セクションが仕事放棄して情景が出てこない。 二つの都市が境界線も朧に隣り合ってて、でも何故かお互いの国を認識しないように、文字通り隣に住んでる隣人をハッキリ見ないように、同じ場所にいてもそこには誰もいないように振る舞う。…えーぇぇぇ。 迷設定についていけなかった。

    0
    投稿日: 2015.06.13
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    なんとなくの印象ですが最近(2000年以降?)ヒューゴー賞/世界幻想文学大賞/ローカス賞... あたりを同時受賞してるsfで 「すっごくよかった」というのがないような。 この本も まあ すんごく面白かった 訳ではないですが 印象的な作品といえばいえるかもしれません。 それ以下でも以上でもないかな。

    0
    投稿日: 2014.12.12
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    独創的な世界観は面白い。 ストーリーとしては刑事モノ?動機も大したものではない。せっかくの世界観が活かし切れてないのが>_<

    0
    投稿日: 2014.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    第1部 ベジェル  バルドー・ナウスティン・・・部長刑事。力ずくで捜査する傾向。  ステベン・シュクマン・・・監察医。有能。  リズビット・コルヴィ・・・一級巡査。若い女性。優秀。巡回区域はレストフ。  シュシキ・・・パトロール巡査  ブリアミフ・・・・パトロール巡査  ティアドール・ボルル・・・過激犯罪課(ECS)警部補。語り手。  ヴィリェム・バリチ・・・死体発見者。少年。  セルゲフ・・・バリチの仲間。生意気。  ハムド・ハムズィニク・・・シュクマンの助手。エブルー。  フラナ・デタール・・・身元不明の女性死体のこと。  ラミラ・ヤスゼク・・・女性刑事。尋問技術に優れる。  バシャージン・・・警視。コルヴィの上司。  ケレヴァン・・・警視。  マルコベルク・・・警視。  ペトルス・・・記者。  ヴァルディル・モーリ・・・記者。  ラックハウス。記者。若い男。週刊誌レジャル。  スティエリム・・・スパナで殴られた老人。  アヴィド・アヴィド・・・人種差別主義者に殺された若い男。左翼。  ガドレム・・・警視。ボルルの上司。温和。不器用な印象。  サイラ・・・売春婦。  ミキャエル・フルシュ・・・死体を運んだヴァンの持ち主。  リュアラ・キツォフ・・・フルシュの秘書。  ローズィン・・・売春婦。  サリスカ・・・経済史学者。  ビザヤ・・・  タスキン・ツェルシュ・・・管理部門の女性。有能。 第1章  ベジェルの中心街から6キロほど離れた地区がレストフ、郊外と言っていい。その南にあたるヨヴィック橋を渡った、ブルキヤ・サウンドと河口の間、厳密には島だが打ち捨てられた地区コルドヴェナでほぼつながっている、ボーコスト・ヴィレッジという住宅団地で売春婦らしき女性の死体が発見される。

    0
    投稿日: 2014.10.26
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    SF賞総なめの作品ということ。また、初めて読む作家ということで楽しみにしていた作品。背景が大陸の情勢を反映、サスペンス仕立て、都市が見える見えないなどひとつのジャンルSFでないところは素晴らしいと思うが、もうひとつ盛り上がりがなかった、気持ち的に。違う作品を楽しみにしたい。

    0
    投稿日: 2014.09.20
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    よみはじめてから終わるまでに一年経ってしまった。読みにくい。設定は面白いけど、結末がかなり早い段階で予想できて、収束を見守る感じ。 SFともサスペンスともいえない不思議な感じに溺れるために読む本かなあ。はまり出すと雑然としているのに虚無感漂う雰囲気が楽しいかも。行政界気になったり、飛び地探しちゃう人にはいいかも。私か。 面白い設定とかいてはみたが、窓の外を見て、今向かいのマンションの扉が開いたらこういう態度をとるわな、と案外現実的な話かなと思い返した。

    1
    投稿日: 2014.09.03
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    何だこれはSFなのか? 物理的に重なり合った都市国家??でも異次元で重なり合うとか、パラレルワールドとかSF的な設定はありません。見えているのに見ないようにするぅ???もう想像力の限界です。 日常的には目には写ってはいるけれど見えていないものは多いもので、意識して視ることが重要なんてことは言われますが、意識して見えていないようにするのは、かなり難しいです(歩きながらやってみた)。しかも、国という境界を識別して。隣の建物を見ないとか、倒れている人を障害物として認識するとか・・・眩暈がしてしまいます。ミエヴィル恐るべし。 でも、何故そんな境界を引いているのか?と考えると、もちろん歴史的背景はあるのでしょうが、かえってややこしいのでは?などと、見えないことにまでしている「境界」というものを考えてしまいました。作者は寓話は嫌いだそうですが、読むほうとしてはなんか考えてしまいます。 なんだか今回は「?」が多い感想だったな。

    2
    投稿日: 2014.08.27
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    設定はおもしろかったんだけど、その世界観に慣れるのに時間がかかる。最初の2,30ページはなかなか飲み込めなくて、けっこう読むの大変だった。 また、和訳がちょっと微妙なのか、ちょいちょい会話とか意味がとりづらいとこがあるような気がする。。 でも、都市っていうものに焦点を当てるっていうとこが独特ですごくおもしろいとは思う。

    0
    投稿日: 2014.06.23
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    SFとしては物足りない。ミステリーもソコソコ。何がそんなに面白いのか? 単一民族、島国で差別に鈍感な日本人には実感としてわからないかも。 モザイク状に空間が重なりあった異民族・異文化の2つの都市。都市の境界線は超法規的な監視組織に常に見張られており、お互いに見て見ぬ振りを続け、衝突を避け均衡を保っている。 このSF設定は多民族国家、侵略された歴史を持つ国の現実をシュールに描写したもの。 混じり合っているのに、決して融和することがない人々の哀しみです。 寓意ではないそうですが、それでも滲みでてしまうものですね。

    0
    投稿日: 2014.05.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    翻訳の文体が好み。 街の描写が特に上手い。 そもそも国家などの成り立ちについて触れるのかと思いきや触れなかったので「そこ詳しく」とはなるもまぁそれはそれ本題ではなかったのだな、と流せる程度。

    0
    投稿日: 2014.04.24
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    Science Fiction ならぬ、Social FictionのSFか。世界観は引き込まれるが、成り立ちや結末にどんでん返しが欲しかった、かなり淡々と終わった印象。6.5

    0
    投稿日: 2014.04.18
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    二つの都市を舞台にした、刑事もの壮大ミステリーです。設定が非常に面白く、特に狙撃犯を追うシーンは手に汗を握りました。 設定だけに白熱ものですが、「都市」がメインであるために内容が私にとって難しいかったです。状況が掴めないこともしばしば…(笑)。 やはり翻訳が難しいのでしょうか、ストーリーが物足りなく感じてしまい、中編からあまり進みませんでした。 でも、楽しめたのは確かです!

    0
    投稿日: 2014.03.24
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    図書館で。少し前に賞を取ったと言うことで話題になった作品ですよね。 最初はなんともとっつきにくい話だなあと思いながら読み始めました。結局何でこの都市はそのような形になってしまったのかとかブリーチとは何者ぞ?というようなきちんとした説明は無いのですがいつの間にか作品世界に取り込まれてしまいました。 海外ミステリーを読むと日本の生活様式と違うのでこの国はこういう国なんだ、というミステリーとは違う部分でも楽しむことが出来るのですがこの作品もまさにそういう感じで楽しめました。それにしてもコルヴィさんは有能ですね。面白かったのですが、最初がどうにもとっつきにくかったので…

    0
    投稿日: 2013.10.15
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    ヨーロッパ、バルカン半島のどこかの都市の話。 「ふたつの都市国家“ベジェル”と“ウル・コーマ”は、欧州において地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組み合わさった特殊な領土を有している」という設定で、この二国間で起こった殺人事件の話。 街の通り隔てて別の国、建物隔てて別の国なのだが勝手に行き来すると捕まるらしい。 いろんな賞をとっていて、2012ベストSF第一位らしいが、すごく読みにくくておもしろくなかった。序盤は訳が分からずに読み、後半ようやく事情が理解できてきたころなんだかよくわからずに終わった。 理解する能力が足りなのかもしれないが、読了するのがつらかった。

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    投稿日: 2013.09.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    パラレルワールド的ハードSFで、推理小説。 「言語都市」もそうだが、読んだことのない話なのに それを有り得そうに思わせる力はすごい。 1つのエリアに2つの国があり、相互に干渉しない。 設定だけでも面白いが、ちゃんと小説として成立しています。

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    投稿日: 2013.07.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2013 7/17読了。ジュンク堂で購入。 面白いSFまとめなんかでだいたい名前が上がってくる上にタイトルが印象的なので気になっていた本。 ふと見かけた時に買っていて、放置していたのをやっと読んだ。 「同じ座標上をモザイク状に占める2つの都市国家」の話と聞いて、「なんだそれ別次元に2つ重なってるとかそういうこと?」とか勝手に思っていたのだが、読み始めてみれば言葉のとおり。 同じ場所に、入り組んだ形で重ねるように2つの都市が存在していて、お互いの住人はほとんど同じ土地で生活しているんだけどお互い鑑賞しないように、相手の国に属するものは見ないようにしている。 つい目に入ったりついつい相手の土地に入ってしまったりしてもなるべく意識に上げないように細心の注意を払う訓練を積んでいて、ほぼ同じ空間にいながらに別の都市で生活している。 そのルールを破る「ブリーチ」行為をしてしまうと、どちらの都市とも独立した取締者に連れて行かれてしまう・・・という、そんな都市と都市。 その一方に属する刑事が、殺人事件の操作をするうちに、被害者が実はもう一方の都市の住民ということがわかり・・・。 最初の頃はこの不可思議な都市と都市、その習慣になかなか馴染めないでいるんだけど、主人公のボルル刑事が自分の都市べジェルから一つの都市ウル・コーマへ、と捜査を進めていくうちにだんだんその習慣にも慣れていく。 そこからの第3部「ブリーチ」では両都市をまたぐ行為に(この土地でなければ当たり前のはずの行為に)「うぉぉ」と思うようにもなっていて、すっかり作者にのせられている感じを覚える。 少しずつ相棒を変えながら捜査を進めていく感覚も好きだし、事件の真相も「え、そうくるの?!」って感じで良かった。 結末の寂しいけど、ボルルが前向きにやっていく感もいい。 面白かった。他にもチャイナ・ミエヴィル読んでみようかな。

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    投稿日: 2013.07.17
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    難しい!まずこの複雑な設定の舞台を想像するのが難しいな!「裸の王様を国家レベルでやってのけるようなもの」と解説で大森望さんが言っていた、その通りだと感じました。よくこれだけの作品に仕立て上げたなあ、と感心、いや畏敬の念さえ覚えます。コルヴィと主人公の関係が大好きです、あとダットと徐々に仲が深まるところも。

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    投稿日: 2013.07.10
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    世界観は面白かった。 この作者は都市を描くのは流石だけど人物描写にこだわりはあまりないのかなあと思った。

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    投稿日: 2013.06.11
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    5月28日読了。 都市と都市。見ない、あるいは見ないふりをする。この事が可能にする世界観は面白かった。特にボルルがウル・コーマにいる時の説得力がすごい。

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    投稿日: 2013.05.28
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    読んでる最中はぴんとこなかったが、あとからじわじわおもしろさがわかってくるかんじ。物足りなさは、私がハードボイルドやミステリを読み慣れていないからかもしれない。例えばこの設定で恋愛ものとかやったら面白いかも。見てはいけないけど目で追っちゃう…みたいな。 「見てはいけない」から目撃証言が取れない、というのは犯罪小説の要素として面白い。それから、倫理観みたいなものだが、密輸よりも殺人よりも国境侵犯のほうが重罪という感覚が興味深い。そういう価値観が醸成された歴史とか原因には一切ふれられていないけど、どうしてもそこは考えちゃうでしょう。寓話としてでなく、リアリティを備えたストーリーとして書かれたならなおさら。

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    投稿日: 2013.05.03
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    これはすごい!ただのハードボイルドかと思い、設定を飲み込んでからはコメディかと思ったありえない「見えない都市」、しかも現代ヨーロッパ。その上、ミステリーで王道の「見えてるのに認識できない」トリックは最初に開示。それを一気に読ませる手腕にはただ脱帽。読み終わって初めて「あ、SFだった」と満足のため息をついた。バラードの歪んだ世界に少し似ている気がする。

    0
    投稿日: 2013.04.30
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    2つの都市が同じ場所に存在していて,それぞれの住民は互いを見ないようにして生活している,という設定.「なんやそら」感がする設定ではあるけど,非常に真面目に書いてあるので変にリアリティがある.SFのレーベルから出ているが,基本的には警察小説.でも,いわゆる「見えない人」的なのでミステリっぽい,とか色々思ったりするので,むしろSFだとか思わずに読んだ方が良いかもしれない.

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    投稿日: 2013.04.04
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    うーん。どうも最近のものは合わない。  冒険的な設定と言えなくもないが、叙述トリックの変形か。 国民全部が見て見ぬ振りをし続けられるって、ありえないだろう。何か脳に細工されているとか、コントロールがあるならまだわかるし、サイエンスの気配がある。 後半は何とか世界設定が生きてきてそこそこ楽しめたが、全体としてはつらかった。

    0
    投稿日: 2013.03.30
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    社会体制も言語も文化も生活水準も異なる二つの都市が一つの土地に同居している。このニ都市は互いの存在にピリピリし、お互いを「無かったもの」として振る舞う。 当然、それは市民にも強制される。 破れば、このニ都市の政府や官僚機構を超越した何者かである「ブリーチ」がすみやかに事態を回収し、違反者を連れ去り、二度と彼、彼女は帰ってはこない… 人々はブリーチに大層怯えている。 絶対に違反をしないように、複雑に入り組んだ国境と異国の特徴を見ずに見分け、視界から消し去る。 きっとだけど、あなたの住んでいる町には、あなたが「見なかったことにしてる」ものがいる。 無意識のうちに視界から排除し、無かったことにしている光景。 例えば、駅構内のホームレス。車に退かれた野良猫の死体。めんどうな政治的案件に対する署名を集めてる中年女性。 でも、確かに「いる。」 別にこの小説はそのことを糾弾しているわけではない。主人公は著者はそのことの是非を問わない。 この複雑な土地で起こった1人の異国人の殺害事件を追うだけ。 あと、重要ですが、訳がド下手。 作品の難解さにプラスして読みにくいド下手訳。

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    投稿日: 2013.03.10
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    べジェルとウル・コーマのあり方を楽しめないと読みにくい本だと思う。ブリーチの人たちが実際、不老不死なのかクローンなのか気になる。

    1
    投稿日: 2013.02.19
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    SF/ファンタジーの各賞を独占した話題作。 「このミステリーがすごい!2013年版」でも7位になっていたので、読みました。 二つの都市国家ベジェルとウル・コーマは欧州のほぼ同じ地域にある。 クロスハッチというモザイク状に交錯している部分もあり、かってのベルリンのように壁があるわけではない。 目の前で何が起きていても、国境の外は見ないことになっていて、境界侵犯は犯罪なのだ。 <ブリーチ>という行為とみなされると、どこからともなく<ブリーチ>が現れ、違反者を連れ去ってしまう。 ベジェルの空き地で、女性の死体が発見される。 ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間にまたがる不可解な事情に気づき始める。 最初は事件を<ブリーチ>に任せるしかないと考えるが、被害者マハリアがアメリカ人とわかり、両親もやってくる。 この二つの国に来る観光客もいるが、入国前には念入りな講義を受けさせられる。この国で生まれれば8歳になる頃には身についていることを覚えなければ、見物も出来ないのだ。 マハリアがウル・コーマの考古学発掘現場にいた学生とわかり、ボルルはウル・コーマに赴く。 許可を得て、コピュラ・ホールという巨大な建物にある公式のルートを通れば、境界侵犯にはならないのだ。 ウル・コーマの上級刑事ダットと捜査に当たることに。 マハリアは、二つの都市の間に第3の都市オルツィニーがあるという伝説を追っていたらしい。 警告の電話は誰から来たのか? 二国を統一しようという統一派(ユニフ)の暴動が起き‥?! 最初のほうは、ミステリにはよくある出だし。 最後のほうは、アクション物でぐいぐい進みます。 でも一番の読みどころは、入り組んだ国境を見ないふりをして過ごすという架空の設定を念入りに描いたユニークさと酩酊感。 歴史改変じゃなくて現実改変みたいな。 時は2010年頃で、ハリー・ポーターもあればヒップホップもある、ジャパニーズコミックもあるという。 キャラもそこそこ立っているんだけど、感情移入はしやすくないので、その辺が盛り上がるのだったら☆5つなんだけど。 ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞、ローカス賞、クラーク賞、英国SF協会賞を総なめ。 これまでの作品も評価が高く、ローカス賞とクラーク賞は3度目だそう。 著者は1972年生まれ。ケンブリッジで社会人類学の修士課程で学んだ後に国際関係論で博士号。 チャイナという不思議な名前は中欧系なのかと思ったら英国人で、坊主頭に片耳ピアスのパンク系ファッション。 作品中の統一派と同じようなタイプらしい。

    5
    投稿日: 2013.02.12
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    ふたつの都市国家ベジェルとウル・コーマは、物理的に一部の領土を共有しつつ、別の国家として存在している。地理的には二国の一部は重複していて、実際には両国の人々が入り混じって生活をしている。一方で、人々が国境を侵すことは許されない。つまり、そこでは「国境」が心理的に運用されているのだ。 ベジェルにいる人間は、たとえそこがウル・コーマの一部でもある“クロスハッチ”された地区であったとしても、ウル・コーマ側に存在するものを見てはいけない、触れてはいけない。ベジェルにいるのであれば、ウル・コーマ側で起こる出来事は見えないし、音も聞こえない。もちろん、すべてを見ないことは不可能だ。しかし、見ていないようふるまうことを、都市と都市に暮らす人々は訓練されている。ウル・コーマ側に存在すると判断した物事が迫ってきた場合、人々はそれを“見ずに”自然と避ける。 国境を侵すことは<ブリーチ>行為として、<ブリーチ>なる謎めいた組織により取り締まられる。<ブリーチ>がだれなのか、普段はどこにいるのか、<ブリーチ>につかまった人々がどうなるのか、これらは謎に包まれている。 主人公のボルルは、ベジェル警察過激犯罪課の刑事。ベジェルで発見された女性の死体を巡る事件を捜査している。ボルルは捜査の過程でこれがふたつの都市の国境をまたいだ事件であることに行き当たる。ボルルは、これは<ブリーチ>が扱うべき案件であると主張し、いったんは手を引こうとするが、結局は自身が深く関与していくこととなる。 話は刑事もののミステリーであり、刑事ものとしては、ボルルのキャラクターがそれほど立っているわけでもなく、普通な印象。しかし、ふたつの都市の込み入った関係や、その間で暗躍する<ブリーチ>という謎めいた組織というSF的な道具が登場することにより、全体のミステリー感やサスペンス感がアップしている。非常に効果的だ。 クロスハッチ、ブリーチ、という用語が最初から読者を突き放した感じで使われるため、何を言わんとしているのかが分かるまで、我慢して読み進める必要がある。読み進めるに従って、世界観が徐々に理解できてくることにも喜びがあるため、序盤で投げ捨てるのは少しもったいない。その点ではSF慣れしてるほうが良いだろう。わからなくても、とにかく我慢して読み続けることさえできる人にはお勧めできる。

    1
    投稿日: 2013.02.10
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    欧州に存在する(ことになっている)ベジェルとウル・コーマという国を舞台にした、SF警察小説。ブリーチとは何なのか。オルツィニーは存在するのか。その2つの謎を軸に謎が謎を呼ぶ。普段SFを読まない、たとえばミステリー好きなどにもオススメな作品。

    0
    投稿日: 2013.01.26
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    設定がとっても面白い!でも、なんだか文章がすごく読みにくくて……とくに最初の方がなかなか進まなかった。翻訳に慣れてないから? 再読するまで評価は保留。

    0
    投稿日: 2013.01.17
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    第1章がまるまる読みにくくて、設定のせいなのか訳のせいなのか話のせいなのかわからないけど、ぜんぜん進まなかった… 後半は、謎解きも深まりつつも人間関係が絞れてきてだいぶ世界にもなれたし面白く読めました。「都市を書く作家」かあー。切ない終わりながらもボルルの新しい立ち位置が彼にふさわしいものになることを期待するエンディングでした。

    0
    投稿日: 2013.01.16
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    複雑に接する2国間で起こる殺人事件。2国間の成り立ち、ルールなどの説明がないのでそのあたりが特に最初は理解しにくい。ミステリーとしては今一つ。

    0
    投稿日: 2013.01.11
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    ミステリとして読んでもSFとして読んでも面白いと思うけど、私は文章を読んでその「場所の構造」を頭に思い浮かべるのがとても苦手なので、この小説の本当の面白さは理解できていないんだろうな、と思う。誰か映像化して下さい。

    0
    投稿日: 2013.01.10
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    【印象】 双方の国民はもう一方の国民・建物・車両その他を"認識"、"干渉"してはならない。 そんな特異なルールのある、複雑な領土問題を持つ2つの都市国家にて。 警部補は不可解な死体の事件を追ううちに、両国間の問題の深みへ入っていく。 【類別】 小説。 SFです。ほんの少しだけミステリの要素も。 【書き表し方】 翻訳の問題かもしれませんが、読み進め辛く感じました。 文章自体は比較的平易です。

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    投稿日: 2012.12.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    話は王道のハードボイルド警察小説、しかし主人公の活躍する都市の 設定はSFという不釣り合いなイメージの二つのジャンルが混ざった不思議なのにリアルなお話でした。 最初の方は造語が多くついて行くのがやっとでしたが読んでるうちに慣れてきました。 見えているものが見えないように生活するというのはかなりストレスたまりそうだなと思います。私は絶対無理です。 途中話がなかなか進まず退屈なところもあり、ミステリー的な面白さもあまり感じられませんでしたが最後まで王道警察を貫いていたところが面白かったです。 主人公のティアドール・ボルルのキャラクターもシリアスな中にコミカルな部分もあり好感が持てました。

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    投稿日: 2012.12.12
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    リアルに徹した目で突っ込みどころを探せばいっぱいあることは間違いないんだが、なるほどハリウッドムーヴィー化に適していそうな世界設定は面白い。 が、翻訳ものにはつきもののリスクだが、惜しむらくは和訳文の拙さよ。 推敲もへったくれもない、やっつけ、という印象が強い。 そのせいもおそらく強くあったのだろう、特に前半は読み進めるのが義務に近くなった。 中盤以降、いかにもアメリカンエンターテインメント然とした高速展開は一気に惹きつけるが、物語のまとめに入ったあたりでまた日本語が怪しくなって、同じぐらい急速に冷めてしまった。

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    投稿日: 2012.10.16
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     「ペルディード・ストリート・ステーション」の作者ということで期待して読んでいったが、最初は「がまんがまん」であった。どこがSF?という感じで、いつまで行ってもボルル警部補の捜査ミステリーであった。  舞台が「ブリーチ」に移った残り20%くらいから、ちょっとそれらしくなって来たが、期待外れであった。同じ頃発刊したパオロ・バチガルビの「ねじまき少女」の方がずっとおもしろかった。  しかしこの作家が紡ぎ出す世界は、ペルディード・ストリート・ステーションもそうだが、緻密でこの点はすごい。ミステリーと思って読めば面白かったかもしれない。

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    投稿日: 2012.10.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    舞台は地理的にモザイク状に組み合わさった領土を持つ架空の二つの都市国家、警部補が身元不明の刺殺事件を追ううちに封印された二国家の謎に迫っていくミステリSFです。ありえない設定をありかなと思わせる、リアル感たっぷりの細かい描写が秀逸でした。

    0
    投稿日: 2012.09.02
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    ありえない設定を読ませる作者の文章力に圧倒される。 作者はなんら意図してないというが、考えさせられる小説。

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    投稿日: 2012.08.13
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    同じ場所に2つの対立する都市が存在する、という設定のSFミステリ、ということでしたが、割と、そのままというか、ちゃんとしたSFミステリでした。その分、ちょっと破天荒さに欠ける感じ。ただ、2つの都市を「見ないようにする」部分の描写が面白い。特に、2つの都市を「越境」したあとの、悪夢的な描写に酔いました。

    0
    投稿日: 2012.08.09
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    内容自体は良く練られてて、二つの全く相容れない都市国家同士の模様についても、読み進めるうちに細かいところまで見えてくる感じ。もはや自分の問題だけど、やっぱりどーしても横文字の名前が覚えにくくて、特に本作には登場人物紹介が付いてなかったこともあり、その点で読むのが結構しんどかった。

    0
    投稿日: 2012.07.22
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    地理的に同じ場所に存在する2つの国の物語。中世のファンタジーなら成立できそうなのをあえて現代社会を舞台にしたのが斬新。なので2国の国家の仕組みや、そこでの人々の処し方など、本作の舞台に信憑性を持たせるため、さまざまな設定にかけた作者の情熱には並々ならぬものを感じる。物語はこの都市の仕組みがゆえに起こる事件を追ってはいくが、この都市で生きている人間の心にだからこそ生まれる心情(ドラマ)といったものはあまり描けていない気がする。となればアイデア一発勝負の短編のほうが良かったのではないかと思う。

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    投稿日: 2012.07.10
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    カート・ウ゛ォネガット・ジュニアと椎名誠が好きならはまる作家と思う。その二人と映画MIBを足して割ったような作品。

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    投稿日: 2012.06.12
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    「べジェル」と「ウル・コーマ」という、地理的には複雑に絡み合っているものの双方の国のものを<見ない>ようにすることで社会的に隔てられた2つの都市に関する物語。SFだと思って読み始めたがSF色は少なく、むしろ世界観のしっかりしたミステリ小説と言っていい。独特の世界観なので最初は戸惑うが、少し理解してくる頃に徐々に面白くなってくる。ストーリー自体は地味で派手さはないが、読み応えのある一冊。

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    投稿日: 2012.06.10
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    ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞、ローカス賞、アーサー・C・クラーク賞、英国SF協会賞長篇部門など多くの賞を受賞したらしい。同一の地理的空間を二つの国が共有しそれぞれの国の人がお互いに相手の国や人を見ないで生活するという状況で発生する殺人事件の謎を解く刑事。設定が突飛で読むのに多少苦労した。

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    投稿日: 2012.06.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

     登場人物は大真面目なんですが、バカSF…なんじゃないかと思います(プリーストの『逆転世界』がそうだというのと同じ意味で)。「ベジェル」と「ウル・コーマ」という2つの都市国家が物語の舞台。この2都市がまったく同じ場所にあるというのが話のミソです。  同じ場所にあるわけですから、道ではそれぞれの国民がすれちがったりしますし、位置的には隣にある家が異なる国のものだったりします。それをベジェル人はベジェルのものだけ、ウル・コーマ人はウル・コーマのものだけを見て、もう一方は徹底的に見えないフリをして生活しているという、なんとも奇妙な制度/習慣が描かれています。もしベジェル人がすぐ隣にあるウル・コーマ領の家を訪れる必要が生じたときには、入出国を管理している施設を訪れて所定の手続きをとり、改めてウル・コーマのものだけを見て(見えているはずの自分の家は見えないことにして)隣家を訪ねるという、外国人から見たらバカバカしいにもほどがある手順を踏まないとなりません。もしそういった手順を破る行為――<ブリーチ>と呼ばれる――があったときは、これも「ブリーチ」という名の謎の組織が現れて、破った人が外国人なら問答無用で国外退去、二国人なら…消されてしまうわけです。  そんなトンデモ都市で殺人事件が発生。被害者は外国人の女性研究者で、ウル・コーマで殺されベジェルに死体を遺棄されたらしい。捜査にあたったベジェル人のボルル警部補は、被害者がかつて研究していた都市伝説「オルツェニー」が事件のカギを握っていることを知らされる。オルツェニーはベジェルとウル・コーマの間に隠れているとされる「見えない」都市のこと。カルト的な支持者はいるものの一般にはトンデモ説と扱われているのだが…。早々に<ブリーチ>事案として手放してしまうつもりだったボルルは不本意ながらも事件を追うことになる。  形としてはミステリなんですが、殺人事件の謎自体よりベジェルとウル・コーマが互いを「見ない」ための数々の習慣やそうしてきた歴史の描写が読みどころです。いちいち細かく見ていけばツッコミどころはいくらでもありそうなんですが、発想と描写の力には脱帽。

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    投稿日: 2012.06.02
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    独立した2つの国家が混ざり合った都市、という設定が独創的で引きこまれたが、ミステリの部分がいまいち魅力に欠けた。

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    投稿日: 2012.05.15
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    冷戦時代のベルリンのように、2つに分断された都市。 それぞれの都市は互いに複雑に入り組んでいるのだけど、境界を示す明確な壁はない。その代わりに、それぞれの住民は、相手側の都市とその住民を「見ない」ように訓練されているため、すぐとなりにある建物やすぐそばを通る車ですら視界から消す事に慣れてしまっている。そんな世界。 そこで二国間で起こった殺人事件をめぐるミステリとして物語が展開する。 ミステリとしても面白いし、幻想的な着想を裏付ける2つの都市国家の歴史についての想像も丁寧にされていてファンタジーとしても面白い。 主人公の事件を探る警部は都市を行き来するので、場所によって組む(というか組まされる)相棒がころころ変わるのだけど、なぜかみんな結果的にいいやつ。

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    投稿日: 2012.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界幻想文学大賞、ヒューゴー賞など5冠(!)獲得の作品。受賞した賞からも想像できるように、なかなか不思議な世界観だ。 独特な緊張関係にある二つの都市の間で、殺人事件が起こる。ボルル警部補は事件の捜査で<ベジェル>からもう一つの都市<ウル・コーマ>へ。このあたりから、がぜん面白くなる。 <ブリーチ>(謎の組織)とのからみで「おれは刑事だ」とボルルが言うシーンでは「えー!ボルルってばこんなにカッコよかったっけ!?」と、テンション上がった♪ SF(ファンタジー?)的設定でありながら、殺人事件の謎解きもきちんとされており、ミステリ小説として読んでも十分楽しめる。

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    投稿日: 2012.04.12
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    チャイナ・ミエヴィル「都市と都市」、変な作品だなぁ。好みのタイプの作品。まだ前半までしか読んでいないけれど。続きを読むのが楽しみ。 第三部に入り、ついに話が終盤に。この頭のおかしい世界観が凄く楽しいし、その裏にある都市の「謎」も気になってグイグイ読まされてしまう。面白いわー。 読了。一人称の語りで警官が事件を捜査するミステリ作品。が、このメインとなるはずの捜査が、「ベジェル」と「ウル・コーマ」という二つの都市の珍妙な設定を際だたせるための手段にもなっている。 そしてこの二つの都市の設定の面白さと、その奥に潜む謎を追っていく展開に引き込まれて、ページを繰る手が止まらないのだ。ミステリ的などんでん返しは都市設定の謎についてのどんでん返しにもなっていて、いろんな面でうまいなぁと。 珍妙な二つの都市の設定が、妙にリアルに思えてきて、それが読んでいて楽しいのよね。いい意味で「変」な小説で、個人的には大好物でした。…短編集の「ジェイクをさがして」も買ってきちゃったw

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    投稿日: 2012.04.04
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    同じ場所に、二つの国が重なり合った不思議な都市と都市の話。 設定をまず掴むのが難しい。 でも、面白い!! この特異な二つの国を利用した犯罪を追う刑事が主人公。 なかなかのハードボイルド。 結末は微妙。

    0
    投稿日: 2012.03.31
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    重なり合った二つの都市ベジェルとウル・コーマで、全く接触せずに暮らす両国の人々。接触は<ブリーチ>行為と見なされ違反すれば恐ろしいことになる…そんな場所で国を越えた殺人事件が起こる。とても魅力的な設定なのでもっと細部まで詳しく書いて欲しかった。人物の描写、<ブリーチ>とは?先駆時代とは?もっと知りたい事がたくさんあったのに解らず終いで少し消化不良気味。面白かったが故の不満ですが。

    0
    投稿日: 2012.03.30
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    設定がオチ。バカ。SFというよりファンタジー/ミステリ。等々褒め言葉だか何だかわからない言葉がたくさん浮かぶ問題作。でも、読み進めるうちに複雑怪奇な設定の外郭が掴めてくるとともに「理解」は遠のいていく感覚、これは数々の名作SFで感じてきたモノと共通する部分かなって思う。つまり好きです。よくもまあこんな設定で次々ネタが出てくると感心しつつ。発想は新しいけど手法とかストーリーの流れ自体は古典的と言ってもいい感じで、そこがまた良かった。

    0
    投稿日: 2012.03.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ふたつの都市国家の領土がモザイク状に混在していて、相手国の人や建物は視界に入っても見ていない、すぐ近くでも自国の領土でなかったら自由に行き来できない、という設定がとにかくすごい、おもしろい。不法に境界線を越えた時にだけ現れる謎の権力「ブリーチ」、どちらの国の人間も相手国の領土だと思っているから誰も存在を認識していない場所「オルツィニー」など、この世界観ならではの概念もとてもおもしろい。 ただ…正直世界設定だけでおなかいっぱいというか、ストーリー自体にはそこまで惹かれなかったかも…面白くないわけではないんだけども、うーーん。

    0
    投稿日: 2012.03.13
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    夏目漱石の「二個の者がsame spaceヲoccupyスル訳には行かぬ甲が乙を追ひ払ふか、乙が甲をはき除けるか二法あるのみぢや」という断片を思い起こした。

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    投稿日: 2012.03.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    モザイク状に入り組んだ二つの都市で発生した 不可解な殺人事件を捜査する刑事は―― ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞、ローカス賞、クラーク賞、英国SF協会賞― 序盤から、所謂「姑獲鳥の夏」のトリックが2つの都市を覆っているという奇妙な設定であることが明かされ、 そこで起きる殺人事件をある刑事が追っていくというものですが、 自分の読解力・想像力が足りず、終始楽しむことができませんでした。 「またいつか」という心境です。

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    投稿日: 2012.03.04
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    二つの国が同じ土地にあり他国のことは 一旦視野に入れても見なかったことにするなどと 現実には無くても、できなくも無い設定での話。 殺人事件の謎を追いながら、第3の都市の謎に迫っていくと みせつつ明らかになるのは!?意外と大きな盛り上がりや 印象深い登場人物もない印象。

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    投稿日: 2012.02.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    警察ミステリー部分はあまり好みではないけど、それを差し引いてもすごい小説だと思う。この終わり方、なんかメン・イン・ブラックに似てるような…(笑)

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    投稿日: 2012.02.23
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    残念ながら自分には合いませんでした。SF的な仕掛けは凄いと思ったのですが、大部分を占める捜査部分が面白くなかったです。

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    投稿日: 2012.02.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    通りはおろか,その住宅団地の大部分が,私の目には入らなかった.(冒頭の一文) 2つの都市が入り組んだ都市の殺人事件を解決しようとする刑事物語だが,自分もその場にいて,複雑怪奇な状況を楽しめる.序盤の100ページぐらいは,人名,地名,用語に戸惑って読みにくかったが,理解できるようになると,のめり込むように読めた.

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    投稿日: 2012.02.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    住人がお互いを意識上から見ないようにしている都市のお話。 日本人なら安倍晴明や「詠み人知らず」を想起するだろう。 日本の王朝時代なら特に珍しい現象ではないが、イギリスの作家が書いたということは、欧米にも似たようなことが過去にあったのか?

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    投稿日: 2012.02.19
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    一つの街を二つの都市が共有している・・・ファンタジーなミステリー。これはいったい何を比喩しているのだろうか。 うん、「アンランダン」の作者だもの。著者は映画が好きなのかな? 「エンバシータウン」も新☆ハヤカワ・SF・シリーズに登場するらしい。

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    投稿日: 2012.02.17
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    ヒューゴー賞/世界幻想文学大賞…などなど、受賞しまくってる本作。 それも納得の奇抜な設定。 しかし、その設定は十分に時代性を帯びており、独特な世界観を 見事に作り上げている。 見えているのに、見てはいけない、見えていない事にしなくては いけないというルールの中に生きている人々。 その中で起きた殺人事件から、都市の秘密が明らかに…という話。 読み応え十分。面白い。

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    投稿日: 2012.02.13
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    非認識を認識しなければならない 2 つの都市国家が舞台。 しかも警察ミステリ。 アレゴリーやメタファーを求めようとしたが、 どうやらそうではないらしい。 第 3 の視点に真理が見えそうなのだが、 捕えきれない。 提示された異世界、モザイクの迷宮に陶酔しゾワゾワする。 2009 年 英国SF協会賞長編部門受賞作品。 2010 年 ヒューゴー賞長編小説部門受賞作品。 2010 年 ローカス賞ファンタジイ長篇部門受賞作品。 2010 年 世界幻想文学大賞長編部門受賞作品。 2010 年 アーサー・C・クラーク賞受賞作品。

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    投稿日: 2012.02.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いやぁ、うめえ。 固有名詞・設定大洪水の幕開けからの、 ダイ・ハード3を彷彿とさせるバディ・ムービー的展開を経由して この作品にしかできないクライマックスへ到り、 MIBで締め。 「一つの場所に存在する二つの都市」という、 唯一無二のギミックがこれ単体でウルトラCであり、 ストーリーのキモであり、舞台設定のキモでもあり。。。 設定が無茶な割にエンタメものとして王道に一本筋が通っており、 しかしてクライマックスにおけるケレン味がギミック無しに成立しない。 どうよ、この二律背反を無視しました的完成度。 これはSF? ファンタジー? はたまた刑事もの? ペルディード・ストリート・ステーションも読まねばなるまい。

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    投稿日: 2012.01.30
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    この設定には脱帽。あり得ない二重都市のこの存在感は面白い。 ミステリとしてもよくできていて、ラストは予定調和だけど切なく胸に残る。 SFのオールタイムベストになっていくと思う傑作。

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    投稿日: 2012.01.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「街」をテーマにしたSFを書く作家、ミエヴィルの新刊。2012年の一冊目。幻想とハードボイルドは相性がいい。トンデモな設定をトンデモに感じさせない背景の書き込み、リアリティ。お互いに「見えない(ように振る舞う)街」という設定を一歩進めて、その間に両方の街から見えない第三の街を設定するところが素晴らしい。

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    投稿日: 2012.01.24
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    モザイク状に組み合わさった領土を持つ、二つの都市国家間で起こった殺人事件を捜査する刑事の姿を描いた小説。 読んでみると純粋なSFやファンタジーという感じではなく、都市の様子なんかはけっこう現代的な印象。 しかし設定は綿密に作りこまれていると感じます。ファンタジーやSF要素のあるミステリはたまにトリックを成立させようとするあまり、世界観やルールが作りこまれすぎていて不自然な印象を受ける時があるのですが、この小説は二つの国家間でのルールを自然に生かした、世界観ありきの小説で都市と都市の魅力を引き出すために殺人事件を使っているんだな、と感じました。 少し切ないラストもいい印象で、架空世界を舞台としたミステリーとしても面白かったですが、出来ればこの二つの国家の成り立ちまで深く掘り下げてみてほしかったです。 ヒューゴー賞 世界幻想文学大賞 ローカス賞 クラーク賞 英国SF協会賞 2013年版このミステリーがすごい!海外部門7位

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    投稿日: 2012.01.15
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    同じ空間に重なりあって存在する二つの都市という設定がなにより魅力的。その風変わりな設定を詳細に書きこむことにより、リアルなものに感じさせる筆力には脱帽させられる。全編に漂う重厚な緊迫感、閉塞感もたまらない。 捜査パートもしっかりとしていて、異世界ミステリ、警察小説としても見事。

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    投稿日: 2012.01.06
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    チャイナ・ミエヴィルという作家は初めて読んだ。 『ベジェル』と『ウル・コーマ』という二つの都市(東欧にあるらしい)を舞台にした一種の警察小説。 しかし、特殊なのは、この二つの都市は、同じ場所に存在しているという点。そして、異なる言語、異なる政府、異なる警察を有している。にも関わらず、それぞれの住民はお互いを認識することが無い。そして、この二つの都市の間にさらに三つ目の都市が存在するという噂があった… 凄く面白い発想。純粋なSFとは言いがたいかもしれないけれど、SFや幻想文学系の賞を5つも受賞しているのは納得。お勧め!!

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    投稿日: 2011.12.30
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    本日、話題の「都市と都市」を購入。これから読みます(笑)。 以下、早川さんのWebから。 ------------------------------------------------------------- ヒューゴー賞/世界幻想文学大賞/ローカス賞/クラーク賞/英国SF協会賞受賞! カズオ・イシグロ氏が絶賛する話題作。 ふたつの都市国家〈ベジェル〉と〈ウル・コーマ〉は、欧州において地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組み合わさった特殊な領土を有していた。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間で起こった不可解な殺人事件を追ううちに、封印された歴史に足を踏み入れていく……。ディック-カフカ的異世界を構築し、SF/ファンタジイ主要各賞を独占した驚愕の小説 ------------------------------------------------------------- http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/11835.html 

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    投稿日: 2011.12.26