
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これを読んでいる中で、自分がスマホから離れる時に不安を感じていることに気付かされた。これも依存症であり、日常の小さな幸せに気づけなくなっているのならば治したい。 苦痛と快楽のシーソーのシステムでは、苦痛を受けることで快楽を得ることができるという話が印象的でだった。
0投稿日: 2025.10.27
powered by ブクログちょしはアメリカの精神科医、依存症医学の第一人者である。 豊富な事例を基に、なぜ依存症になるのか、そこからどう抜け出すのかが紹介されている。 だが、印象としてはあまりピンと来ないというか、イメージとは少し違った。結局、何か特効薬(実際の薬だけでなき)がある訳ではなく、周囲を含めて自分の意思で立ち直るしかないということだと理解した。
0投稿日: 2025.10.08
powered by ブクログドーパミンが人の脳にどんな影響を与え、行動に現れていくのかをさまざまな事例を通して解説した本。 最近スマホのショート動画にハマってしまって夜更かしで寝不足の日々が続いているので、きっかけが欲しくて読んだ。結果として、「スマホ脳」の方が私の悩みには適していたかも。 でも、「強制的に依存の対象物との距離を置く」「無駄になった時間を考える」「現実世界に没頭する」ということは今日から試してみたいと思う。
0投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人間の快楽とはなんなのか。そして資本主義が今後デフォルトだとしたら、身の回りの物とどう付き合っていくかみたいな本でした。 今後の人間社会が個人主義にどんどん寄っていくことを考えるととても万人に勧められる内容だと感じました。 でも読んでいて面白いという感覚は最初はしないかも。 この本に書いてあるDOPDMINは一人では無く精神科医とか、他の誰かが私に訊かないと難しいのではないかなぁ。というのが少し引っ掛かりのポイントです。
1投稿日: 2025.09.14
powered by ブクログ先月、スマホ(SNS)使用を減らす試みをした。結果、読書に耽るようになっただけだった。人は何かに依存せずには生きられないのだろうか。本書には、水風呂依存症ともいえるケースが出てくる。これって「サウナで整う」のサウナなしだ! 水風呂だけでハイになれるんだ。サウナは必要なかったんだ。私、サウナで整ってみたいと思っていたが(コカインレベルの快感と聞いたので)、水風呂が無理すぎてできなかった。でもやってみたい、水風呂でハイになってみたい。そんなことを感じた一冊。 最初の症例ジェイコブのエピソードはかなりえぐい(マスターベーション依存症)。 私には公にしていない依存症がある(違法なものではない)。これを正直に話す場があったり、打ち明ける相手がいたら私は救われるのだろうか? 何らかの依存症にならずに生きていくことは難しい。
2投稿日: 2025.09.12
powered by ブクログアメリカの事例だからちょっと馴染みないことも多いけど、色々な症例の人たちの過程を読んでいく中でドーパミン中毒になってしまった人の気持ちが少し分かったし、どう治していったかもその人の気持ちになって読めた気がする。 この本をディズニーシーで読んでいたから、 「絶叫系怖くて心臓バクバクするのに乗った後なんか快感になるのは、苦痛の後の快楽って感じ?」って思って敢えて絶叫系に乗った
0投稿日: 2025.09.06
powered by ブクログ文字通りドーパミン中毒について。 訳本なので当然ながら海外の事例だったものの、内容は理解できた。
0投稿日: 2025.08.30
powered by ブクログSNSを通じて他社と比較して「人生に遅れをとっている感覚」やFOMO(Fear of Missing Out)に陥りやすい現代社会。SNSもまさに現実からの逃避として利用するも、逆にそれが精神的に不安を生む「快楽」の一つである。そうした悪習、負の連鎖にいかにawareして、セルフ・バインディングなどを駆使して環境を整え、一歩一歩着実に日々を送る尊さを思い知らされる。 本書でドーパミン中毒と対義的に扱われていた「世界の中に没入する」という表現は、スピリチュアル文脈で言及される「今ここ」と通ずるところもあるのが面白いところ。マインドフルネス的生き方の重要性の科学的根拠も知れる良書。
0投稿日: 2025.08.29
powered by ブクログ現代はモノに溢れている。私はこれまで快楽を得るため、買い物、デジタルドラッグ(Twitter、YouTube、電子漫画)、本、FX、お菓子、食べ物、ファッション、メイク、サウナ、スーパー銭湯、ゲーム、音楽、水泳、恋愛、勉強などに頼ってきた。これらは、現実から逃避できる手段であり、自分自身から気を逸らすためにやっていたことに気が付いた。私は、要領が悪く、体力がないため、他の人のように時間を有効に使えないことにコンプレックスをもっている。そのため、常に音楽を聴いたり本を読んだりと何か生産的なことをしていないと落ち着かないことがある。その反面、1人のときは相変わらずスマホをだらだら見て無駄な時間を過ごすことも多い。ドーパミンが過剰に分泌されると、日々の些細なことに喜びを感じられなくなってしまうそうだ。習慣的にお菓子を食べていたときは、一つ食べるともっと欲しくなっちゃって満足感や満腹感を得ることがなく、底抜けの渇望を感じた。先日、仲間とフェローで食べたかき氷が美味しかった。以前かき氷を食べた時は、その後さらにお菓子が食べたくなったけど、今回はかき氷だけで満足した。足るを知るということができたのかなと嬉しく思った。 私は遅延報酬割引がとても大きいが、周囲の人が約束を守ってくれると、この世は秩序が保たれていて安全な場所だと思えて、遅延報酬割引が小さくなるそうだ。今はもう大人になった私にとっては世界との関わり方の問題だと思う。周りの人に慈悲の心をもつことができれば、自然と周りの人にも大切にされてこの世は安全な場所だと思えるようになるだろう。一方で、子どもたちに対する大人の責任は大きい。仕事でもプライベートでも、子どもたちと約束をしたら必ず責任をもつようにしたい。 正直さが人との親密な関係をつくり、それがドーパミンを放出させるそうだ。特に、自分の過ちを素直に認め、それが相手に受け入れられたとき、ドーパミンが大量に分泌される。これからは、いつも嘘偽りのない等身大の自分で人と関わり、多くの人と親密さを築いて生きていきたい。これから人と関わっていく中で、トライ&エラーで伝え方や断り方も学んでいきたい。これまで人に譲歩してもらう状況を避け、人と関わらないで生きてきた。だから、「疲れたから少し休みたい」とか「私は行きたくない」などと人に自分の意思を伝えることに慣れていない。相手を傷つけない配慮のある言い方を身につけていきたい。また、その時に最大限配慮のある言い方をすれば、あとは相手がどう受け取るかは相手の問題と割り切って手放せるようにしたい。
1投稿日: 2025.08.10
powered by ブクログこれも知人の紹介で読みました。前回は主にポルノ中毒の話でしたが、今回は、ポルノだけでなく、アルコール、覚醒剤依存などの話も出てきました。主人公のカウンセラーが、あらゆる問題を抱えている患者に対して、話を聞き、アドバイスをしていきます。依存症が改善されていく様子が事細かく書かれていて、読んでて飽きない内容でした。
0投稿日: 2025.07.28
powered by ブクログ「快感と不快感はシーソーのよう」という例えが腹落ちした。もっともっとと快を求めることで、いつのまにか中毒となり、逆に身体や精神を蝕んでいる。いくつもある、しかも長年にわたってどうしてもやめることができない自分の悪癖。やめたほうがよいのはわかっていても、いつも一時の快楽を優先してしまう。シーソーのバランスをとりながら自分をメタ認知しながら生活するのが良さそう。
0投稿日: 2025.07.23
powered by ブクログ実際の患者の事例を交えながらいかに依存症を予防するか、抜け出すかについて書かれている。読んでいると、フォーマットが一定していないというか、なんかバラバラな感じがするが、重要なことは一番最後にまとめられていたのでまあヨシ。 依存症治療法としてセルフバインディングや薬、苦痛側に力をかけるなど、わりとハウツー的なことを挙げながらも最終的に語られたものは徹底的な正直さと恥を受け入れる、また受け入れてもらうと言った精神論であり若干予想外であった。しかし、依存症が脳で起こっている以上、精神論に帰結するのは確かに妥当なのかも。 マシュマロの実験でマシュマロを撫で始める子どもは面白いと思った。マシュマロを欲しいものから大切なものへと認識を転換することで自分を縛るという、愛着という感情を利用して遅延報酬を得るなんとも賢い子どもである。もしかすると、人類が牧畜や農耕を成功させた背景にもこの認識の転換、愛着が絡んでいるのではと思った。
1投稿日: 2025.06.29
powered by ブクログ世界全体の死亡原因の7割は喫煙や運動不足、食事といった修正の利く危険因子で説明可能 ▷死亡リスクトップ 高血圧13% 喫煙9% 高血糖6% 運動不足6% 肥満5% 〇正直さと親密な人間関係 真実を語ることは人と人を、近づける。 自分の弱さを晒す意思がある時には特にである。 相手の不完全さの中に、人は自分の弱さや人間らしさを見る。自分が抱いている疑い、恐怖、弱さが自分だけのものではないことを知って安心する。
0投稿日: 2025.06.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
現代の社会はドーパミンを出すもので溢れているため、それをコントロールすることが大事という本。 最近タバコをやめようとしているので、ちょうど良いと思って買った。 快楽と苦痛はシーソーになっていて、ドーパミンによって快楽に押された時は反動で苦痛が伴う。 逆もしかりで、苦痛に押された時は反動で快楽も伴う。スカイダイビングとかサウナ水風呂の後のトリップとかがそう。 ・世界的な死亡リスクのトップは高血圧(13%)、喫煙(9%)、高血糖(6%)、運動不足(6%)、肥満(5%) └全部生活習慣病に紐づいている ・高ドーパミン物質を長期的に摂取すると、最終的に脳がドーパミン欠乏状態になる ・依存症によって引き起こされた脳の変化は取り戻せないものもあるが、新しい神経ネットワークを形成することによって、ダメージを迂回することができる。 ・暇な時間が依存を増やす ・依存は意思によってコントロールするのは難しいから、物理的に届かないところに置く ・断続的に苦痛に晒されることにより、わたしたちの快楽苦痛のシーソーが快楽の側に傾き、時間とともに苦痛を感じにくく、快楽を感じやすくさせる ・運動はどんな薬よりも気分、不安、認知、エネルギー、睡眠の状態を良くする 【シーソーの教訓】 1. 快楽の飽くなき追求(苦痛からの逃避)は苦痛に導く 2. 回復はそれを「断つ」ことから始まる 3. ドーパミン断ちは脳の報酬回路をリセットする。おかげで、シンプルなものごとに喜びを見出すことができるようになる 4. セルフバインディングで欲求と摂取の間に文字通り壁を作ることができる。メタ認知できる余地もできる。それがドーパミン過剰の現代には必要である。 5. 薬でホメオスタシスを回復させることはできるが、苦痛を薬で取り去ることで私達が失うものを覚えておくこと 6. 苦痛の側にシーソーを押すことは、シーソーを快楽の側へリセットする 7.苦痛の依存症にならないように気をつけること 8. 徹底的な正直さは自覚をもたらし、親密な関係を作り、「十分状態のマインドセット」を育む 9. 向社会的恥は私たちが人間という種族に属していることを思い出させる 10. 世界から逃げ出すのではなく、世界の中に没入することで本当の癒やしが見つかる
0投稿日: 2025.06.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
脳の仕組みに興味があるので読んでみました。 が、私の期待とは違って、頁の多くが実際の診察例がただただ羅列された内容でした。 ダラダラと経過が日記のように書かれており、しかも、著者自身がロマンスポルノ的な小説の中毒経験者だったからか、無駄な描写が多くてそれが更に読みにくさを助長させています。 こんなまとまりのない話、本にしていいの?と思うレベルで読み切るのが苦痛でした。 しかも中毒が、薬物中毒、アルコール中毒、セックス依存症等がメイン・・・せめてスマホ依存くらい身近な例にして欲しかった。 まあ、そんな中でもなんとか興味が持てるところを、と探しながら読んだら見つけました。 快楽と苦痛は脳の同じ場所で感じているというお話のところ。 その二つはシーソーのようにバランスを保っていて、どちらか片方にとどまり続けることはできないそうです。 だから薬物等で快楽ばかりをむさぼり続けていると必ず、苦痛側にシーソーが傾き、最終的には快楽を感じにくく、苦痛を感じやすい脳に自ら調整されてしまうんですって。 そのメカニズムは興味深かったです。コワイことだ。
1投稿日: 2025.04.16
powered by ブクログ非常に興味深い内容だった。私も最後の恥の部分、どれだけ正直になるかの部分が、自身の経験や感覚からもとても刺さった箇所だった。両手を挙げて賛同しかねる部分もあるけど、何度も読み返して心に留めたい。
0投稿日: 2025.04.14
powered by ブクログ外で読むにはちょっとはばかれる言葉も。。 ドラッグの危険など勉強になる。恥は内向的な性格を生むという記載に日本人の民族性をも垣間見た気がした。
0投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログ具体的な患者のケースを使い依存症の恐ろしさや薬物の怖さを知りました。他にもアルコールや性、食べ物など身近にある物ばかりなので気をつけないといけないなと感じました。
1投稿日: 2025.02.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった。色々なケースのストーリーが各章に分断されて記載されているので最初は戸惑ったが慣れると理解がしやすい構成になっている。 症例があまり私の身近にあるような依存症ではなかったものの、依存するモノが異なるだけで、スマホやネット中毒などとも共通したところが大いにあると思う。 おそらく違いは、他者、日常生活、健康への悪影響の大きさが、本書で紹介されているようなケースだと段違いに大きいという点だろう。 スマホやネット中毒だなと思う瞬間もあれど、まぁ大半の人は仕事や家庭に、あまりにも大きな障害が起こらないのではないかな。と、いうか、問題だと自己認識したり、周囲から「おかしい」と言われないため、自覚が薄かったりするのではないかな。 本書の作者は医者だから、彼女の元を訪れる人は皆、「病的なまでに」依存症になっている人たちだ。彼女は患者が来院するきっかけの部分には関わっていないから、私たち一般人にとってはそれほど身近に感じられない例が多く上がっているのかもしれない。 しかし、幸運なことに、「私はここまでではない」と思うのであれば、まだ依存症の程度は低いのだから、本書にあるDOPAMINEという手順を自分なりに使って、自身の「依存しすぎている」と思う行為を是正できるのではないか。 私は作者と似て、読書やネットサーフィン、仕事などで夜更かしして体調を崩すことも多く、それが仕事のストレスが増えた時にこそ生じるので、改めて自分を顧みるべきだと思った。 D→Data, データ。事実の収集。 O→Objective, 目的。それがどう自分の役に立つのか。 P→Problem, 問題。それによって、どのような悪いことが起こったか。 A→Abstinence, 何かを断つこと、節制。依存しているものを断つ。小さな報酬から喜びを得る能力が回復する。 M→Minefulness, マインドフルネス。ポジティブな感情、ネガティブな感情をそのまま観察する。判断をしない。 I→Insight, 洞察。自分の行動の原因が明らかになる。 N→Next steps, 次の段階。これから先、依存していたものとどう付き合うのか決める。 E→Experiment, 実験。どうしたら、その付き合い方を達成できるのか実験を繰り返す。
2投稿日: 2025.01.23
powered by ブクログ期待していたよりは解決策の記載が無かった。 アメリカの精神医学者が患者や自分のケースを元に、依存症から抜け出せない人の心理や行動を説明する内容。 やめようと思ってもまた始めてしまうことや、やめた方がいいのは内心分かっているのに「必要である」と強弁させてしまうことなど、依存症患者の解像度を高く知ることはできた。 だが、大麻や医療用麻薬のようなアメリカ特有の依存状況のケースが多いことや、アルコール依存症の解決策もAA(依存症患者の治療コミュニティ)の事例を推していたため直接的な参考にはならない内容も多かった。 自分の期待したような依存(スマホ、買い物)などやそれへの対処法(治療するほどでは無い軽度な依存への対処)などはあまり描かれていなかった。
0投稿日: 2025.01.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【学んだこと】 ⑴ドーパミンは「好き」よりも「欲しい」の方に関係している。 ⑵快楽と苦痛を司る脳部位は重複しており、相反過程の(シーソーのような)メカニズムで処理される。快楽でも苦痛でもない通常状態を0にした時、快楽を感じると、シーソーは1.2.3と傾く。その後、快楽の側に傾いた度合いだけ、苦痛の側にも1.2.3と傾く。この自己調整メカニズムは、生物に普遍的に共通するホメオスタシスの働きであり、思考や意思の介在しない反射のようなものである。例えば、人間では色覚においてホメオスタシスの働きを容易に体験できる。 同じ快楽を得続けると、次第に以前と同量の刺激では以前ほどの快楽を得られなくなる。"0"にあったはずの支点は、徐々に快楽の側へと移動していく。シーソーの支点が快楽の側へ移動すればするほど、シーソーを快楽の側へ傾けるために必要な刺激は増大する一方、快楽に対して苦痛の側に傾く度合いは大きくなる。すなわち、少しの快楽を得るには大きな刺激が必要となり、少しの刺激が大きな苦痛をもたらすようになる。シーソーの支点が快楽側にある中毒状態において、刺激がない「通常」の状態は「苦痛」と化し、刺激を欲する意図は、もはや「快楽の追求」ではなく「苦痛からの解放」へと変貌する。 【TO DO】 ⑴依存症の治療をする上で、患者に時間的展望を意識させることは時に重要である。
2投稿日: 2025.01.18
powered by ブクログドーパミンを含む脳内物質分泌による影響と付き合い方を説明した本 現代社会は、食べ物や様々なネットのサービスなど、ドーパミンを分泌させ、依存性を高めるために設計された商品で溢れている。程度の違いはあれど、何かに依存している人は本当に多いと実感する。自分もそんな中の一人なので、少しでも依存してるものから距離を取る一助になればと本書を読んだ。 答えとしては、簡単には依存している活動をできないように環境整備すべきという至極全うなことが書かれていた。それよりも、興味をひかれたのは、「快楽と苦痛のシーソー」という考え方だ。快楽を経験すると、その後に苦痛の揺り戻しが来る。また、苦痛を経験しても、その後に快楽が来る。このいずれかの感覚が優位になった後はもう一方が優位になることをシーソーに例えて説明していた。勿論、全ての苦痛と快楽にシーソーの関係が当てはまるわけではないと思うが、経験的に納得できる考え方だと思う。 重要な点は、シーソーの揺れをどの程度に収めるかという点だと思う。あまり詳しくないので、分からないが、仏教的な考えだと、シーソーが平行状態、つまり苦痛も快楽も感じない状態が良いとされるのではと考えたりした。個人的な考えでは、生活が破綻するようなレベルでなければ、個々人がそれぞれ最適だと思う範囲にシーソーの揺れを調整していくのが良いのだと思う。 生きていく上で一定のドーパミンは有用だと考えるので、敵視する気はさらさらないが、企業利益最大化のために過剰に提供されるドーパミンからは適切に距離をとっていきたい。
7投稿日: 2025.01.09
powered by ブクログ【感想】 今年、私には自傷癖ができてしまった。とにかく皮膚を掻いてしまうのだ。 何故掻いてしまうかというと、掻きながら快感が押し寄せてくるからだ。皮膚が傷ついて赤くなってしまうにも関わらず、指でゴシゴシしているときの感覚が気持ちいい。一度掻き始めると刺激をずっと味わいたくなるため、もっと掻いてしまう。皮膚科に行って痒み止めを処方してもらったが、そもそも痒くて掻いているわけではないので、治癒にはそこまで役立っていない。 現代では、私たちはずっと快楽を求め続けている。それは食事やセックスといった「不足の解消」だけではない。ギャンブルやSNS、買い物などによって、欠乏していない脳にも次々と快楽物質を注入する。それは「痒いから」ではなく、「気持ちいいから」だ。 同時に、世界は快楽を満たすための物がありすぎる場所へと変貌してしまった。薬物、食べ物、ニュース、ギャンブル、買い物、ゲーム、ポルノ、SNS、動画サイト……。私たちは強力な快楽を摂取できる環境が整った世の中で生きている。「ドラッグ」を休みなく打ち続けているのが、現代の私たちなのだ。 本書、『ドーパミン中毒』は、そうした脳内麻薬の過剰摂取に「ドーパミン経済」が関わっていることを述べ、中毒症状の一例とそれを絶つための方法を紹介する一冊となっている。 「中毒」というと薬物やアルコールを連想するが、実は世の中の全ての行動――特に快感を得られる行動は、全てが依存症となる危険がある。行動によって分泌されるドーパミンの量が違う(薬物は大量に分泌され、サウナは控えめに分泌される)だけで、そこで実行される脳のプロセスは同じだからだ。 単純に、たくさんのドーパミンが放出されれば、脳はその行動をますます繰り返したくなる。正確に言えばドーパミンそのものは、報酬が得られる快楽よりも、報酬を得ようとする「動機」に強く関係する。「手に入れられてうれしい!」という時よりも、「これが手に入るかもしれない!」と感じたときに強く分泌されるのだ。これが人間のモチベーションや意欲を刺激し、習慣化を促す。 だが、ドーパミンによって得られる快楽は苦痛と表裏一体である。快楽と苦痛を処理する脳部位は重複しており、相反過程のメカニズムで処理されるからだ。私たちの脳内にはシーソーがあり、快楽を感じると報酬回路にドーパミンが放出され、シーソーは快楽の側に傾く。しかし快楽の側へ傾くたびに、強力な自己調整メカニズムが働いて水平へと引き戻そうとし、一度水平になると快楽の時と同じ分だけ苦痛の側へ偏る。 快楽と苦痛のシーソーが作動していても、普通の生活をしていればそれが悪影響をもたらすことはない。問題は高ドーパミン物質を摂取し続けたときだ。報酬系により分泌されるドーパミンには中毒性がある。私たちは皆快楽を味わうと、刺激に耐性ができ、弱い快楽には反応できなくなる。それが高ドーパミン物質への依存を生み、そして事後反応としてより大きな苦痛を生み出してしまうのだ。 そうした快楽中毒への治療方法として、筆者は逆に「苦痛を浴びる」方法をオススメしている。 その代表例が運動だ。運動は、細胞にとって直接的には毒である。体温を上げ、有毒な酸化体を出し、酸素とグルコースを欠乏させる。だが、その有害物質を処理する過程で身体のレジリエンスが強靭化し、脳にとっての快楽物質も生まれる。 運動は、ドーパミンを始めとする気分をポジティブにする多くの神経伝達物質を分泌する。ここでのメリットは、高ドーパミン物質の摂取とは違い、身体が「自然に」反応する生理現象であることだ。つまり、(中毒になるほどの過負荷な運動でないかぎり)行き過ぎることが無い。これが脳内の調整機構を作動させ、快楽と苦痛のシーソーを安定状態に戻す手助けをし、快楽依存を和らげるきっかけとなるのだ。 現代の人々は、とにかく苦痛を避けようという思考になってしまった。痛みは肉体と、何より精神に悪影響を及ぼし、身体のどこかが病気をしているということに他ならず、ただちに治療しなければならない――と私たちは思い込んでいる。だが、苦痛を避けすぎて快楽を追求しすぎれば、いずれそれが依存を生み、脳が元に戻らなくなってしまうのだ。 ――問題は、なぜ物質的な資源が豊富にある豊かな国に暮らしている人の多くが、それにもかかわらず「欠乏状態のマインドセット」で生活しているのかということだ。これまで見てきたように、物質的に豊かでありすぎることは、少なすぎることと同じくらいよくないことなのだ。ドーパミンが過剰に分泌されると報酬を遅らせる能力が損なわれる。SNSの誇張や「ポスト真実」の政治(はっきり言おう、これは嘘をつくことだ)が、私たちの「何かが足りない」という感覚を増幅させる。その結果、物が豊富にある時でさえ私たちは貧しいと感じてしまうのである。 ―――――――――――――――――――――――― 【まとめ】 1 快楽と苦痛のシーソー 私たちは皆、自分自身や他者に設けた実現不可能な基準から解放されたいと望んでいる。自分自身の容赦なき反省会から一時的にでも解放されたいと思っている。なぜあんなことをしたのだろう?なぜこんなことができないのだろう?あの人たちがしてくれたことを見てよ、どうして私はあんなことができたんだろう? だから私たちは快楽を与えてくれるもの、今自分に利用できる逃避グッズのどれかに惹きつけられる。流行のカクテル、SNS上の価値観が同じ人たち、リアリティ番組の一気見、夜のネット・ポルノ、ポテトチップスとファストフード、ゲーム……。数え上げればきりがない。依存性のある薬物や嗜好品、行動は一時的な解放感を与えてくれるが、長期的には問題を増すばかりである。 科学者はある行動の依存性を測るのに、普遍的な通貨としてドーパミンを使う。単純に、たくさんのドーパミンが脳の報酬回路に放出されればその行動をもっと求めるようになるのだ。 このドーパミンに加えて、過去1世紀にもたらされた最も目覚ましい神経科学における発見の一つは、脳は快楽と苦痛を同じ場所で処理する、ということだ。さらに言うと、快楽と苦痛はシーソーの両極のように働く。誰でももう一つチョコレートが食べたい、おもしろい本や映画やゲームがこのままずっと続いて欲しい、と願う瞬間を経験したことがあるだろう。その「欲しい」と思った瞬間に、脳の中のシーソーは快楽から苦痛へと偏るのだ。 2 マスターベーションマシン 私たちは皆、ある意味で自分自身のマスターベーションマシンに夢中になっている。 「依存症」は広義には、ある物質や行動(ギャンブル、ゲーム、セックス)を自分自身や他者を害するのにもかかわらず、継続的かつ衝動的に摂取したり行ってしまうことと定義される。 たとえ人生を圧倒するような依存症を持つ人の生活体験に比べたらつまらないものであっても、衝動的な摂取というのは今日では誰でも、たとえ人生がうまくいっている時でも直面するものであり、ますます大きくなっている問題だ。 依存症になる一番の危険因子として、その「ドラッグ(ここでは依存症をもたらすもの全般を指すことにする)」へのアクセスのしやすさがある。そして今日では、オピオイド系鎮痛剤から始まりニコチン、砂糖、塩、脂肪、オンラインポルノ、オンラインゲームと、ドラッグの数は限りなく増え続けている。供給が需要を作り、衝動的にドラッグを過剰摂取してしまうのだ。 世界全体の死亡原因の70%は喫煙や運動不足、食事といった、修正が利く行動上の危険因子で説明できる。世界的な死亡リスクのトップは高血圧(13%)、喫煙(9%)、高血糖(6%)、運動不足(6%)、肥満(5%)である。2013年には、2億人もの成人が太り過ぎと概算されている。1980年には8億5700万人であったのに。サハラ砂漠以南のアフリカとアジアの一部を除き、世界中で痩せすぎの人よりも肥満の人が増えている。 依存症の割合も世界中で増加している。アルコールと違法薬物の依存症による疾病負荷は世界では1.5%、アメリカではおおよそ5%以上である。 3 苦痛からの逃走と快楽の追求 1900年代より前の医者は、ある程度の痛みは健康的だと信じていた。対照的に、現代の医者は「思いやりのあるヒーラー」の役割ではなく、全ての痛みを取り除く役割を期待されている。痛みは、どんなものであれ、とにかく危険であるとみなされる。ただ痛いというだけでなく、決して癒えることのない神経学的な傷を残し、後々まで痛みを受けるよう脳にスイッチを入れることになるから危険だというのである。 痛みをめぐるこのような思考のパラダイムシフトは、「気持ちがよくなる」薬の大規模処方につながっていった。今日、アメリカの成人は4人に1人以上――そしてアメリカの子どもは20人に1人以上――が日常的に精神科の処方薬を飲んでいる。 苦痛からの逃避は、見てきたような極端な例だけではない。私たちはほんのわずかな不快に耐える能力すら失いつつある。皆がいつも「今ここ」から自分の気持ちを逸らしてくれるもの、楽しませてくれるものを探し求めている。 ここで、苦痛と快楽とを支配するメカニズムを説明し、なぜ快楽を求めすぎると苦痛につながるのか、どのように快楽が苦痛に変わるのか、新しい理解が得られるようにしてみよう。 ●ドーパミン ドーパミンは報酬処理に関わる神経伝達物質の最も重要なものの一つだ。ドーパミンは報酬が得られたことの快楽と言うより、報酬を得ようとする「動機」に強く関係する。 ドーパミンの発見に加えて、神経科学者は快楽と苦痛を処理する脳部位が重複していることを確認した。苦痛と快楽は相反過程のメカニズムで処理される。私たちの脳内にはシーソーがあり、快楽を感じると報酬回路にドーパミンが放出され、シーソーは快楽の側に傾く。しかし快楽の側へ傾くたびに、強力な自己調整メカニズムが働いて水平へと引き戻そうとし、一度水平になると快楽の時と同じ分だけ苦痛の側へ偏る。 ●耐性(神経適応) 私たちは皆快楽を味わうと、刺激に耐性ができる。そして事後反応の苦痛の側への偏りは強くなってしまう。耐性は、依存症発症の重要な因子だ。 神経科学者のノーラ・ボルコウらは、高ドーパミン物質を大量に長期間摂取すると最終的に脳がドーパミン欠乏状態になることを示した。 ボルコウは薬物依存症のさまざまな人たちが、薬物使用をやめて2週間たった時の脳と、健康な人たちの脳とを比較してドーパミン伝達を調べた。結果は、依存症で実験の2週間前に使用をやめたという被験者の脳画像では、報酬や動機に関係する脳部位がほとんど赤くならなかった。つまり、ほとんどドーパミン伝達が起こっていなかったのである。快楽の過剰摂取が無快感症を生んだのだ。 全ての快楽には犠牲がつきものだ。快楽の後からやってくる苦痛は当の快楽よりも長続きし、強烈である。快楽を与える刺激に長時間、繰り返し晒されると、苦痛に耐える能力が下がり、逆に快楽を感じる閾値は上がる。瞬間的に、かつ永久的に記憶に刻んでしまうので、快楽と苦痛の教訓は忘れることができない。どんなに忘れたくてもだ。一生維持される脳の記憶中枢・海馬の刺青だ。 いま問題となっているのは、私たちは快楽を追求し苦痛を避けすぎるようになりすぎたということだ。私たちの脳は物があふれる豊かな世界で生きるようには進化していない。だが大量のドーパミンに曝露された結果、快楽を感じるのにより多くの報酬を必要とし、小さな傷でより多くの苦痛を感じるようになってしまったのだ。 4 セルフ・バインディング 意思には限界がある。一度使いたいという衝動を感じてしまうと、それに逆らうことはほとんど不可能になる。自分を縛る(セルフ・バインディング)というのは、衝動的な過剰摂取をあまりしないで済むように意図的に、自ら進んで、自分と自分がハマっているものとの間に壁を作る方法だ。 セルフ・バインディングの戦略は大きく3つに分けることができる。物理的戦略(空間)、時系列的戦略(時間)、ジャンル的戦略(意味)である。 ●物理的戦略 ハマっているものを捨てる、取り出せないように金庫の中に入れてカギを誰かに預けるなど、物理的にアクセス不可能にする戦略である。また、アルコール依存症患者であれば、薬によって細胞レベルで蓋をする、手術するという方法も考えられる。 ●時系列的戦略 時間制限とゴールを設ける。摂取するのを1日、1週間、1月、1年のうち、決まった時間だけに制限することで、摂取する時間の幅を狭め使用量を減らす。 どのぐらいの時間を自分が摂取行動に費やしているかを追跡すること、例えばスマートフォンの使用時間を測るのは私たちに自覚をもたらし、摂取を緩和する一つの方法である。 ただし、ドーパミン依存症の人々は、衝動を制御して報酬を遅らせる能力が弱くなることが分かっている。未来の報酬のために待てる時間がどんどん短くなるのだ。今日のドーパミン過多な社会の中では、私たちは皆すぐに満足が得られることに慣れてしまっている。何か買いたいと思ったら次の日には玄関に届いている。何か知りたいと思ったら次の瞬間に画面に答えが出ている。私たちは熟考してものを解き明かしたり、欲しいものが来るまで待ったりするための脳部位が萎縮しつつあるのかもしれない。 衝動的な過剰摂取をもたらすもう一つの因子は余暇の時間が増えていることだ。余暇の時間が増えて私たちは退屈を持て余している。 農業、製造業、家事その他の以前だったら時間と労力とを要した仕事が機械化され、人々が1日当たり仕事に費やす時間が減り、余暇の時間が増えることになった。現在、アメリカ人の余暇の時間は1965年から2003年の間で週に5.1時間増えた。年計算では270時間の増加である。2040年までには、アメリカで暮らす人の典型的な余暇の時間は1日7.2時間、働く時間は3.8時間だけになるのではないかと予想されている。他の高所得国も同様である。 経済学者マーク・アギアルらは「若年男性の余暇の贅沢と労働力の供給」というタイトルの論文でこう書いている。「21歳から30歳の男性はそれ以上の年齢の男女よりも過去15年間で労働時間が大きく減少している。2004年以降の1日のうちの時間の使い方についてのデータを見ると、若年男性は余暇をゲームやその他コンピュータ上の娯楽に使うようにはっきりとシフトしているのがわかる」 ●ジャンル的戦略 ジャンル的なセルフ・バインディング戦略というのは、ドーパミンを種類ごとに分けることによって摂取量を制限するものである。こういうタイプのものは使っていい、こういうタイプのものはダメ、というように区別するのである。(例えば、スポーツ賭博にハマってしまったなら、ギャンブルだけでなく新聞やインターネットのスポーツ記事を避け、ジャンル全体で自分を縛る) この方法なら、ハマっているものそのものを避けることができるだけでなく、そのものを欲しがるきっかけとなるものも避けることができるようになる。この戦略は私たちが完全には生活から排除できないようなもの、例えば食べ物、セックス、スマートフォンのような、健康的に摂取しようと思っているものに対しては特に有効である。 5 苦痛を受け入れる 薬物療法は命を救う道具であるが、人間の苦しみを薬で除去することには犠牲がつきものである。 では、薬を使う以外にもっと上手くいく方法はなにか。それは苦痛を受け入れる、という方法である。 例えば冷水浴について。冷水浴をしている間、ドーパミンは徐々にそして確実に上がっていき、出たあとも1時間ほど高い状態を保つ。人間と動物で冷水浴の脳に与える結果を調べた研究では、同じようにモノアミン神経伝達物質(ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン)が高まることを示している。これらはまさに快楽や動機、気分、食欲、睡眠、注意の状態を調整する神経伝達物質である。 快楽の側に力をかけるのとは違い、苦痛から得られるドーパミンは間接的で、より持続的である可能性が高い。 苦痛が快楽につながるのは体内のホメオスタシス調整機構を作動させるためだ。ここで感じる快楽は、苦痛に反射しての自分の体の「自然な」生理反応である。断続的に苦痛に晒されることによって、私たちの快楽と苦痛のシーソーが快楽の側に偏り、時間と共に苦痛を感じにくく、快楽を感じやすくさせるのである。 断続的な断食、サウナ、絶叫マシンと、苦痛を与える行動は多々あるが、その中で代表的かつ健康に多大なメリットをもたらすのは運動だ。 運動は、細胞にとって直接的には毒である。体温を上げ、有毒な酸化体を出し、酸素とグルコースを欠乏させる。しかしそれでも運動が健康を促進するのは議論の余地がないほど確かだ。 運動は気分をポジティブにする多くの神経伝達物質、すなわちドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリン、エピネフリン、エンドカンナビノイド、内因性のオピオイドペプチド(エンドルフィン)などを増加させる。運動は神経細胞と神経細胞を支えるグリア細胞を新生させる。また運動は、薬物を使用し依存する可能性を減らしさえする。 といっても、苦痛の摂取し過ぎもまた毒だ。快楽の刺激に繰り返し晒されることで耐性がつくように、苦痛を感じる刺激にも耐性がつき、あまりにも強い苦痛でハイになり続けると脳のシーソーが苦痛の側にリセットされる。 スカイダイバーと対照群(ボート選手)を比較した研究で、スカイダイビングを繰り返しやってきた人はその後の人生で無快感症、すなわち喜びの欠落を経験することが多くなることがわかっている。この研究者たちは、「スカイダイビングは依存症行動と類似しており、ナチュラルハイ、体験を頻繁にすることで無快感症になっている」と書いている。どんな行動も、量や持続期間が増えると依存症になる危険があるのだ。 6 正直であれ 依存症から回復した状態を長く保てている私の患者たちは皆、真実を語ることで精神と身体の健康を維持してきた。私もまた、徹底的に正直になることが衝動的な過剰摂取を抑えるのに役立つだけでなく、人生をよりよく生きるために役立つと確信するようになった。 まず、徹底的な正直さは自分の行為についての自覚を促す。第2に、親密な人間関係を育む。第3に、正直な自分の物語ができるので、今現在の自分にだけではなく、未来の自分にも説明責任が果たせるようになる。最後に、真実を語ることは伝染するため、将来の自分や別の誰かが依存症を発症するのを防ぐことにもなり得る。 ①自覚を促す 自分の経験を詳しく語ることで、経験の全容を理解できるようになる。自分の行動がはっきりと、場合によっては初めて見えるようになる。これは、意識の外側で自動的に行っているような行動――依存症では、白昼夢のように自分の行動について部分的にしか気づかない「否認」と呼ばれる行動がある――について特に当てはまる。 徹底的に正直でいようとすると、それが脳に関わる神経回路を強化することにつながり、快楽と苦痛のバランスや衝動的な過剰摂取を促す精神過程をより自分に意識させる。 ②親密な人間関係 自分の性格的欠点や罪について他人に語れば、人は距離を置くようになるだろうと考えるかもしれない。だが実際は逆で、相手の不完全さの中に、人は自分自身の弱さや人間らしさを見て安心する。 親密さはそれ自体がドーパミン源となる。恋に落ちることや母子の絆を作ること、性的なパートナーとの結びつきを生涯のものに変えることに関わる大事なホルモン「オキシトシン」は、脳の報酬回路のドーパミン神経細胞の受容体に結合する。報酬回路の活動を高めるのである。言い換えれば、オキシトシンは脳内にドーパミンを増やす。 一方で、高ドーパミン製品の衝動的な過剰摂取は、愛着とは正反対のものをもたらす。孤立や無関心に導くのだ。なぜなら、ドラッグが他者との関係性の中にいることで得られる報酬の代わりになってしまうからだ。 ③説明責任 自分の人生について語る時、物語は私たちの過去を教えるだけでなく、将来の行動を形作ることにもなる。 患者が自分を語る時に自分を被害者として語ることが多く、起こってしまった悪い結果に対してほとんど責任がないというような話し方をするならば、その人の健康状態はあまりよくないことが多く、その先もうまくいかないことが多い。彼らは人を責めるのに忙しく、自分を回復させることに本腰を入れて取り組むことができない。対照的に、自分の責任を明確にしながら物語を始める場合、症状がよくなっていくことが多い。 7 シーソーの教訓 シーソーのいいバランスを見つけ、維持することで得られる報酬は、すぐ得られるものではないし永続するものでもない。忍耐とメンテナンスが必要とされるのだ。何が先にあるかわからなくとも前へ進んでいく意志がなければならない。この瞬間には何の影響もないように見える今日の自分の行動が、実際にはいい方向へ向かって積み上がっており、それが未来のいつかわからない時に明らかになる――という信念を持てばいいのだ。本当は実践というのは毎日のものである。 ●シーソーの教訓 ①快楽のあくなき追求(そして苦痛からの逃避)は苦痛に導く ②回復はそれを「断つ」ことから始まる ③ドーパミン断ちは、脳の報酬回路をリセットする。おかげでシンプルなものごとに喜びを見出すことができるようになる ④セルフ・バインディングで欲求と摂取の間に文字通り壁を作ることができる。メ夕認知できる余地もできる。それがドーパミン過剰の現代には必要である ⑤薬でホメオスタシスを回復させることはできるが、苦痛を薬で取り去ることで私たちが失うものを覚えておくこと ⑥苦痛の側にシーソーを押すことは、シーソーを快楽の側へリセットする ⑦苦痛の依存症にならないよう気をつけること ⑧徹底的な正直さは自覚をもたらし、親密な関係性を作り、「充分状態のマインドセット」を育む ⑨向社会的恥は私たちが人間という種族に属していることを思い出させる ⑩世界から逃げ出すのではなく、世界の中に没入することで本当の癒しが見つかる
40投稿日: 2024.12.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
競輪記者でドーパミン中毒者を多数生み出してきたことを反省?してた友人から勧められて読んだ本。 まず感じたのは、依存しがちな行動の大半が自分の意思ではなく、脳の報酬系に大きく左右されてるなぁということだった。現実世界ではマズローの欲求階層が複雑に絡み合ってるため、単純に欲求を手放すのは難しい。ただ、比較的低次の欲求は認識できれば切り捨てられるなと思ったので、そのぶん不必要な遠回りをしなくて済むんじゃないかと気づきがあった。 けど自己実現欲求に振り切るのはやりすぎな気がしてて、やっぱり人とのつながりや共感をある程度必要としているのが人間だと思う。自己実現だけを追求しようとすると、周りからの刺激や承認といった要素を否定することになるから、結局寂しさを感じてしまう気がする。脳が求める報酬は人間関係や共感からも得られる部分が大きいから、そこを完全に排除するのは幸福ではないよなとも思った。自分の理想を追い求めながら、必要最低限のつながりもキープするバランスを考えたほうが、結果的には自分の満足度も高まる気がする。
3投稿日: 2024.12.21
powered by ブクログp. 119 ドーパミン断ちの最終的な目標は(快楽と苦痛の)シーソーのバランスを取り戻すことであり、(ホメオスタシスの回復)、さまざまな形の喜びを味わう能力を取り戻すことだ。
1投稿日: 2024.12.21
powered by ブクログドーパミンが欠損したマウスは数センチ先にあるエサも食べる気がおきず、死んでしまう。口の中に押し込まれたら食べる。 快楽の後には苦痛が訪れる。苦痛と快楽は相反過程のメカニズムで処理される。 シーソーはなるべく水平を保とうとする。長い間どちらか一方に傾いていることを望まない。快楽の側へ傾くために強力な自己調整メカニズムが働いて、快楽の時と同じ分だけ苦痛の側へ偏る。 ①快楽のあくなき追求は苦痛に導く ②回復はそれを断つことから始まる ③ドーパミン断ちは脳の報酬回路をリセットする。シンプルな物事に喜びを見出せるようになる。 ④セルフバインディングで欲求と摂取の間に壁を作る事ができる。メタ認知の余地ができる。 ⑤徹底的な正直さは自覚をもたらし、親密な関係性を作り「充分状態のマインドセット」を育む。 充分状態のマインドセットとは 周囲の人が約束を守ってくれる信頼できる人たちで、その人たちが真実を言ってくれるなら、私たちは世界とその中で暮らす未来について自信が持てる。世界も秩序があり、予測可能で安全な場所だと信頼できる。そう感じていると何かが不足していても、きっとそのうちうまくいくと信じることができる。 断続的に苦痛にさらされることによって、私たちの快楽と苦痛のシーソーが、快楽の側に偏り時間とともに苦痛を感じにくく、快楽を感じやすくさせる。 セルフバインディング(自分で自分を矯正する) 「変えたいと思っている振る舞いは何か」 「どうして変えたいのか」 「その行動を諦めたら何を諦めることになるのか」 「その行動を変えるために、まずどんなステップが取れるでしょう?」 自分のしていることを正直に話すことで依存している精神過程を自分に意識させることになり、行動を変えさせる強化に繋がる。前頭前野の働きが活発になる。 自分の物語をどう語るか? 被害者として悪い結果にほとんど責任がないという話し方→健康状態悪く、その後もうまくいかない事が多い。 自分の責任を明確にしながら物語を始める場合、状態が良くなっていくことが多い。自らの人生に対して真の洞察や理解を得る機会が与えられ、全体を見た上で選択する事ができるようになる。
0投稿日: 2024.12.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これ系の本によくある通り名前を挙げながら著者の患者たちのストーリーが多く語られる。著者自身も経験がある点は意外。 序盤、性的な依存に苦しむ男性患者のストーリーなどはやや露骨な表現もあり電車の中で読むのに少しためらった。 依存の先を経験した患者の惨状の具体例を知るという点のみならず、依存の脱却のステップ等もあり、(今現在何かにひどく依存しているわけではないが)参考になる。
0投稿日: 2024.11.23
powered by ブクログ依存について、臨床内容から学べる、初心者の自分でも理解できるくらいわかりやすかった また、最後の訳者の後書きが心にきてよかった
0投稿日: 2024.10.26
powered by ブクログアメリカの依存症医学の第一人者である筆者が、依存症のメカニズム、すなわち脳内物質のドーパミンが起こす快楽と苦痛の関係性を記した1冊。 特に快楽と苦痛を感じる脳内の部位は同じでありまさにシーソーの関係性である、という点は現代の容易に快楽にアクセス出来る環境では自戒の念を込めて常に意識しておくべきことだろう。 逆に苦痛をすべて取り除くことはせずにうまく苦痛を活用すること、正直に生きることの2点は大きな学びとなった。 本書では精神科医として臨床で出会った依存症患者が依存症に対する自責の念や前向きなマインドセット、治療法などがストーリーとして書いてあり、感情的に理解しやすい。 脳の仕組みを理解して、メタ的な視点を手に入れることでもう少し生きやすくなると思っているので、ぜひ多くの人に読んでほしいと感じた。
0投稿日: 2024.09.21
powered by ブクログ自分も寝る前や暇があれば携帯を見たりしてしまう。情報を制限して現実から目を背けず自分とも周りとも向き合っていきたい。
0投稿日: 2024.09.05
powered by ブクログ依存症からの脱出法ということで本書を手に取った。依存症はそれを断つことから始める。運動が効果的など、最終章の結論にまとめられている。依存症に関しては本書が初めてなので参考になった。
7投稿日: 2024.08.14
powered by ブクログYouTubeをスクロールして見続けてしまうのを止めたくて読んだ本。即物的にデジタルドラッグから離れる方法というよりは、もっと深い、自己を掘り下げ本質的な解決へ導いてくれる内容だった。 自分に正直であること。自分の何が問題なのか、正直に認めること。正直に打ち明けてくれた相手を、問題ごと肯定でき認め合うことができる関係は、どんなドラッグより強烈なホルモンを分泌し、多幸感が長く続く。
0投稿日: 2024.06.30
powered by ブクログ現代的なSNS中毒よりも、ドラッグとセックスの記述がメイン。読み物としては興味深いが実生活には役に立つ場面は少なそう。 勉強になったところ要約→快楽と苦痛はシーソーの関係。薬物などで快楽を得ると揺り返しの苦痛が訪れる。逆に仏教における苦行と法悦のように意図的に苦痛を得ることで揺り返しの快楽を求めることもできる。
3投稿日: 2024.06.11
powered by ブクログ快楽と苦痛は脳の同じ場所で処理されている。苦痛を和らげるために薬を使い快楽を求めても根本的な解決にはならない。根本的な解決のためにはそれをはっきりやめなければならない。また、正直になることも大切だ。
0投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログ快楽は苦痛とのシーソーのような関係である。 快楽を求めている行動も実は苦痛から逃げるために繰り返してる行動かもしれない。
10投稿日: 2024.06.08
powered by ブクログ自分を不完全な人間であることをみとめて正直に嘘をつかずにいること 自分の人生や世界から逃げずにちゃんと正面から向き合うこと そうすれば人生は生きやすくなる
0投稿日: 2024.04.30
powered by ブクログアンナ・レンブケという精神科医の方が書かれた、依存症の新書です 彼女が診察した患者のエピソードを交えて、依存症について解説していきます 本書では、著者自身が三流ポルノノベル中毒を抱えていたため、患者と近い高さにある目線で語られているのが特徴です 男性のマスターベーション中毒に失笑してしまう不謹慎な態度も見受けられますが、その著者も人を笑えないだろうとツッコミを入れれる構図となっています 診察されている患者を見下せるような立ち場ではないため、鼻につくところなく読み進められます SSの性差ですが、体育的な性依存にハマる男性に対して、女性はポルノノベルや掲示板などの体験談といったテキストに耽る傾向があるなと感じました 変ゼミでネタにされていたように、肉感的な映像媒体に走る男性と、テキストから妄想を膨らませる女性といった性差は、大陸でも見られていて興味深かったです 依存から脱するにはコミュニティが有効とされていますが、鍵は「嘘をつかずにいられること」だそうです たとえば自身が「嘘をついた」と正直に償えれる関係性があれば、サードプレイスを用意せずとも家族や職場で足りるようです 自信の欠点ですら正直に見つめることが、回復のステップの1つで、大切なことだそうです それらの症例のエピソードに添えられていた注ように、社会的立場によっては正直にいることはリスクでもあり、実現の難しい理想論のような響きました 依存症の快楽と苦痛はホメオスタシスで、シーソーに例えられていて分かりやすかったです 快楽のあとに残る残像のような渇望は、中毒に導きます しかし脳は快楽に耐性をつけてしまい、何度繰り返しても破瓜の快感は得られません 苦痛も同じくです 思い返せば身に覚えのあるロジックで、納得させられました 最新であろう依存症メカニズムを、診察例を交えて飽きさせず読ませようとする工夫が見られ、最後まで読めました
3投稿日: 2024.04.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
トリガーとなる環境や物を一切断つことが、依存症の治療に有効であることは知っていたけれど、嘘をつかず正直に生きることも効果的であることは知らなかったので勉強になった。 携帯依存症治らないかな〜と思って軽い気持ちで読み始めた本だったけど、幸せな人生をおくるために必要な考え方や振る舞い方まで学べる良書でした。
2投稿日: 2024.04.11
powered by ブクログ小さな嘘をつかない。誠実に生きることの積み重ねが健全な前頭葉を鍛え育てると捉えた。 冷水に浸かる、のところでは、 サウナの後の水風呂の爽快さを思い出し、あの事だと頷けた。新鮮な空気が鼻腔を通し肺に染み渡るとき脳も目が覚めたようにクリアになる。その事から 苦痛と癒やし この話が一番良かった。 薬物依存症の人はこの治療法はかなり有効なのではないだろうか。又歩くことや運動は自然に報酬のドーパミンを増やす一番手っ取り早い方法だろう。 つまり新鮮な酸素を取り込むことが一番の報酬だろう。 何かの依存症にならないように自分に引っかかる気になる時には立ち止まってその原因を振り返って見よう。自分に正直になること。 オッペンハイマー上を読みながらこの本に移行。 本を読むことに丁度かなりの苦痛を感じていたので、苦痛と快楽は同じサイクルであることから実験したくなった。苦痛の原因は何か? それを探り出し心の中にある塊を観てみよう。快楽になるためには、我慢して読んでみた。結果。5~6時間を置くことでやっぱり下を読んでみたくなった。今日図書館に返しに行ったの下巻を借りてこなかった。 苦痛は報酬を求めるは本当のようだ。これも本依存症か。(笑)明後日、図書館に借りに行こう。 この本、良かったよ。 でも未だ読みが浅い。もう一度再読の必要を感じる。
1投稿日: 2024.04.10
powered by ブクログ脳はドーパミンの快楽に引きずられる、という趣旨の本。スマホ脳などにも関連する内容。 ドーパミンの快楽を求め、脳は同じ行動を繰り返すようになるが、耐性がつくため更に強い刺激を求めるようになる。「依存症」だ。。 「依存症のある物質が引き起こす禁断症状として、不安、過敏症、不眠症、身体的違和感がある。 恐ろしい。。 <アンダーライン> ★★★★★ ドーパミンは報酬が得られたことの快楽というより、報酬を得ようとする動機の方に重要な役割がある。「好き」というより「欲しい」に関係している ★★★★★ 快楽と苦痛は脳の部位が重複している。 「快楽」にはコストがかかる。その反応とは正反対の「事後反応」が起こる。
0投稿日: 2024.03.13
powered by ブクログありふれたアルコール依存傾向のある人間として、参考になった。 最後にまとめてある「シーソーの法則」は自分の生活がふらつき始めたときにまた読んでみたいと思う。 特に「快感の飽くなき追求は苦痛に導く」は飲みすぎ予防のためにも覚えておきたい。
1投稿日: 2024.03.08
powered by ブクログ医師としての経験に基づき、臨床現場の実際が感じられた。 最近では日本でも若者の薬物乱用問題が表面化し、メディアでも取り上げられている。このような現場を間接的に理解するうえで非常に優れた一冊であると感じた。 本文後半にて触れられている恥の概念にもあるように、社会的に疎外感を感じるかどうかというのが非常に重要だと思う。 自身の傷を受け入れるためには、外に向かって吐き出し、吐き出された側がしっかり受け止める。そのような過程を経ることでやっと自身の傷を受け入れられるのかなと。 今後の私生活の中で、他者からの相談を受けるとき、自身の内面を吐き出すとき、両方において真摯に向き合っていこうと再確認できた。
0投稿日: 2024.02.25
powered by ブクログい本を仕事終わりに読み続け、気がついたら寝る時間。 仕事中も本の続きが気になっている。 休憩時間はチラ見…しちゃってる。 …??
2投稿日: 2023.12.21
powered by ブクログ世界から逃避して忘却を求める代わりに、世界に目を向けて没入していくことで、本当の癒しが見つかるという言葉に感銘を受けた。短期的な欲望やドーパミンに惹きつけられることが多い中で、徹底的な正直さは自覚をもたらし、親密な関係性を作り「充分状態のマインドセット」を作ることができるライフハックである。日々の生活の中で自分を誤魔化すのではなく、嘘をつかないことを改めて意識し始めることで、自分の内面に深く降りていく体験ができる、と著者は語る。
0投稿日: 2023.12.03
powered by ブクログ薬物に限らず依存症の事例とメカニズムを把握できる。いい方が悪いが世の中にはありとあらゆるものに対する依存症があるって事もわかり少ししやがひろがるかも。 現代は快感に非常に簡単にアクセスできる。ドラッグはもちろん、糖質やアルコール、SNSによる誹謗中傷。過剰な快感摂取は反発で大きな苦痛を導く。 回復は快感を断つこと。そして苦痛も受け入れること。ただし苦痛も過剰摂取すると依存になる。 要は何事もほどほどにと言うことだ。
0投稿日: 2023.10.31
powered by ブクログ「もうちょっとアカデミックな本かと思ってたらなんか具体的な患者の話が1章マスターベーション中毒、2章苦痛逃避中毒と続いてこりゃ失敗したかな」と思ってたら3章「快楽と苦痛のシーソー」からおもろい。 「好きより欲しいが重要」 「脳のドーパミン放出量はSEXを100とするとニコチン150、コカイン225、覚醒剤1000」 「快楽と苦痛の脳処理部位は重複。だからシーソーみたいなもん、一回快楽知ると残像で渇望を感じる」 この章の最後ではドーパミンに溺れた現代人を「熱帯雨林のサボテン」と例えている。ほんとそうね。 シーソーは単純すぎる例えだとしても快楽と苦痛の関係をなんとなくイメージするのに役立つ。4章以降の「快楽求めすぎたらすんごい苦痛来るで!」「苦痛を求めて快楽期待するようになんで!」「てかそもそもゼロ地点ズレるで!」 6章の中で投薬による「治療」で得られたベターな性格って果たして「自分」なんだろかねという問い。7章では「小さな苦痛が大きな苦痛を抑えることができるかもね」8章では正直であることの多大なメリットを、9章は恥について。 最後にシーソーの教訓として10列挙。 雑にまとめると「快楽追求は苦痛からの逃避やから苦痛に辿り着くしかないで。自分を律してやめたらささいなことにも楽しめるし薬でなんとか出来てもなんか支払うことになんで。苦痛中毒にならん程度にやってたら快楽得られるかも。正直に人間社会に参加してくんやで!」みたいな? 賢くて運が良ければそうだなぁ。でも熱帯雨林のに居ながら栄養過多で腐らずに生き残るサボテンはごく一部なのでは。 作者のロマンス小説中毒のところは「おやまぁ」と読み飛ばせても、母親との関係が自身の極度な「心配性で怖がり」から生じているとの自白は読んでいてウッとなる人が多いのでは?特にたーくさん存在する本の中からこういう本を手に取る人は完璧を目指してやり過ぎる(果実も多いだろうけど)ことで人間関係がギクシャクする、相手への期待値が高すぎてイライラする人が多そう。勝手なイメージ。 作者がこの本を書いた理由は9-10章のためなのかもだけど私は3-7章あたりが1番面白かった。 正直でいること。人との繋がり。社会参加。まぁそうでしょう。生まれつき健康で賢くて裕福で周囲の環境に恵まれていればね。自分を赦し他人を赦し「だってみんな不完全だし。Let’s be honest!」なんて叫ぶにはまず傲慢という足場が必要な気が。
4投稿日: 2023.10.30
powered by ブクログ人類はドーパミンを放出させるために様々な物質の利用や行為を過剰摂取し、全体として地球の限界に近づくと共に、個体としても渇望によって結局は苦しむ結果となっている。 人は誰でも高ドーパミンの物質や行為への依存症に陥る可能性があることを自覚するべきである。快楽と苦痛はシーソーの両側にのっていて、快楽側に傾けると反動で苦痛に傾く。また快楽刺激は続けると耐性が生じてドーパミンが不足する事態に陥る。 依存症から逃れるためには、状況を把握し、節制し、節制中に自分の起こることを冷静に観察し、回復途上にあることを十分に理解したうえで効果的な回避策を継続することが必要である。徹底的に正直になることと、恥の経験を開けっ広げに打ち明けて受け入れてもらえる集団を持つことが有効である。
0投稿日: 2023.08.19
powered by ブクログ快楽と苦痛は同じシーソーの両端であり、どちらかに傾けばホメオスタシスの働きによりバランスを取るべく脳内のドーパミンレベルが反対側に寄せられる。すなわち快楽が強くて長いほど、その後の苦痛も強くて長くなる。だからその苦痛を取り除くためにまた強い快楽を欲する。これが中毒の仕組み。これほど的確かつ簡潔でイメージしやすい例えもない。 昨今、医療用大麻の合法化についての議論が活発だが、本書にはそんな合法大麻や合法医療薬でジャンキーになってしまったアメリカ人が複数出てくる。 「大麻には使用耐性がないのでタバコよりも安全」という医療用大麻推進派の主張が詭弁でしかないのが本書を読むとよく分かる。 ドーパミン中毒になるのに耐性は関係ない。問題なのは快楽の度合いなのだ。だから食べ物、SNS、アルコール、ギャンブル、基本的に快楽が強い物は全部、快楽と苦痛のシーソーを動かすので危ないのだと著者は言う。完全同意でしかない。 昔海外旅行中、とある人物と話す機会があった。自称大麻を日常的に使用している日本人男性。いかにも自慢げなので好奇心にまかせて質問してみたら、イライラ顔で言い訳を繰り返されて面食らってしまった。罪悪感や羞恥心が強いようだった。依存症患者そのものだ。やはり大麻は危ないんだなと思った。 医療用大麻を使ったアメリカの料理番組などを見ても、「たまに嗜んでいる人たち」のつどいとはとても思えなかった。なので、常々安全性を疑っていたのもあり、本書を読んでますます、なにが“医療用”だよと思った。医療用大麻を使う自由。ここでもやはり得をするのは商売人だけといういつもの新自由主義のパターンだ。 各種薬物のドーパミンレベルを記した箇所は怖かった。例えば覚醒剤。なんと1000%だそうだ。性行為の10倍。そりゃ一度でも使用したら「一生」忘れられないだろう。これは入り口の経験としては快楽でも、脳みそに生涯残る致命的な傷をつけるようなものではないか。一度でも使用したらダメな理由もこの数字だけで分かる。 ホメオスタシスがもたらす苦痛を和らげるためにまた狂ったレベルの劇薬をやるしかなくなる。おかげで他の楽しみには不感症となり、人間関係も壊れ、そのままなし崩し的に人生が崩壊する。どう考えても遅効性の毒薬でしかない。自ら毒薬を飲んで障害を抱えに行くようなものだ。 「薬、ダメ絶対!」みたいなボンヤリしたポスターを若者に見せるより、そういう薬は脳に生涯残る傷をつける毒薬だと明言しつつこの新書を読んでもらって科学的知識を学んでもらった方がよほど警告になるだろう。 もちろん、こうした極端なケースを除けば、適度な快楽と上手く付き合う人が大半であって、全員が依存症になるわけじゃない。遺伝的な要素もあるらしい。血縁者になんらかの依存症を患っている人物がいたら要注意だそう。 一般的にはスマホやゲーム、ポルノ、アルコール、はたまたジョギングや推し活依存などの方が身近なドーパミン中毒で、その辺りに覚えがある人にも有益な情報が多いし、動物の依存症や、人間の快楽探求の多様性なども垣間見れて面白かった。快楽も苦行も煩悩であり苦の種になるので中道を生きましょうと説いたブッダにも脳科学的根拠があったんだなと感心したりもする内容だった。
2投稿日: 2023.08.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
非常に面白かった。 実は私もこの著作の中の例としてあげられている依存的行為にふけっている(薬物や犯罪行為ではない)。自分としては依存症とまではいかないだろう、だって、日常生活に支障は出てないし、と思っていた。しかしこの本を読むと、待て、私も依存症に該当するのでは?と思ってしまう。 苦痛と快楽はシーソーの関係、と筆者は著作で述べている。同意である。一定の苦痛が快楽に変わる、という話もあった。マゾヒズムはそれが原因か? 依存症が恐ろしいもの、という感覚があったのだが、この著作を読んだ後では、回復に必要なのは何か、というのが分かるので、そこまで怖いものとは思わない。もちろんドラッグとアルコールは脳の構造を恒久的に変えてしまうことがある、と書かれていたので、それは怖いが。回復の過程が詳細に書かれているのが非常によかった。再読したい。
2投稿日: 2023.08.07
powered by ブクログタイトルはセンセーショナルだけど、蓋をあけるとケーススタディとそれを通じた抽象化、何をするべきかが丁寧に書かれた良本だった。
0投稿日: 2023.08.05
powered by ブクログもっと日常的な快楽のコントロールの話かと思って読み始めましたが、ドラッグなどの依存症についての専門的な話題がほとんどでした。とは言え本書で紹介されている依存症の対策を、コンテンツや食べものなどの日常的なものとの付き合い方にも生かせそうです。精神科に通うほどの依存症の人の事例がたくさん紹介されているわけですが、意外とアメリカは、そういった症状があたりまえに存在する社会なのかもしれないな、と想像すると恐ろしいです。 シーソーの例えで、快楽に傾いた脳はいずれ反動で苦痛を感じやすく、快楽を感じにくくなるというのはかなり重要なことなのではないかと思いました。人は幸せを追求するものですが、長期的に安定した幸福を得るためには、もしかしたらある一定の苦痛を自分に与えることは必須なのかもしれません。とは言っても、苦痛の反動の快楽を追い求めすぎると、苦痛に対する依存症になるというのだから、人間の脳は一筋縄ではいかないです。 しかし、冒頭の自慰行為の依存症のジェイコブの話のインパクトが強すぎました。不謹慎極ですが、正直言って面白かったです。そのせいかその後の話題が地味に思えてしまったほどです。
0投稿日: 2023.08.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
現代人はみんなどこかで『ドーパミン中毒』になりかけている人がほどんどだと思う。 それだけ情報やら刺激やらが蔓延していて、アクセスはスマホを使えば指一本でできる。 自分でも、スマホをタップする指が止まらなくて、むしろやめることに意識を集中しなくてはいけないことが多々あり、後で後悔と自責の念にかられることになる。 より多くの人が、ドーパミンのもたらす恩恵と、ある面での恐ろしさについて知るところになるといいと思う。 しかし、他にも書かれてる方がいましたが、なんとも読みにくい…。 訳書だからというのを加味しても、表現が回りくどいからかなんなのかしっくりこない(T-T)
1投稿日: 2023.07.08
powered by ブクログ現代において何でも手に入るのに幸せを感じられない、満たされない。食べても食べても満たされない。エンタメを観ても観ても満たされない。それはドーパミン過多な社会のせいかもしれない。 脳内物質がどれだけ私たちの人生を左右しているか、それを異常分泌させるような社会の風潮やさまざまな依存物質の存在を知った。 ドーパミンと上手く付き合うセルフコンパッションなどの対処法についても言及されている。
0投稿日: 2023.07.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
内容は割りとシンプルだが少し読みづらい。具体的な患者の物語、研究結果、それらから得られた知見が絡み合って話が行ったり来たりする。あと妙に描写が小説ぽかったりする。とはいえ興味深い題材で示唆に富んでいる。 薬物、アルコール、SNS、ポルノと、現代はドーパミンを過剰分泌させるものに溢れている。多くの人が何かしらに依存して苦しんでいる。そのメカニズムを説明し、どう克服するかを提案している。 結局は依存対象を断つことが大切であり、そのために物理的な障壁を設けた方が良さそう。また、正直になること、恥を恐れずオープンにすることがより良い人間関係を育むことにつながる。
0投稿日: 2023.06.29
powered by ブクログ依存症の怖さ 当事者の自覚のなさ 自分にも周りにも自然にウソをつく それらを克服して、成りたい自分になるための本だと思いました。
0投稿日: 2023.06.28
powered by ブクログ快楽を与えてくれるもの(ドーパミン)に満ち溢れた現代社会。欲しいと思った時には苦痛になるのが依存症でドーパミン中毒ってことか。 まずはドーパミン断ち。いわゆる苦行とか、依存症の人が集まるグループ活動とかも紹介されていたが、依存症であるという自覚があって、なんとかしたいと思っている人にはそういう道なんだろうな。 普通、特に子ども向けには、依存症という自覚なしに、諸々の不調となる場合がほとんどなので、日頃からドーパミン断ちを心がけましょうってことかな。
3投稿日: 2023.05.23
powered by ブクログ個人的な問題から目を逸らすための過剰な快楽で溢れた現代で、快楽に溺れすぎないための対処法を依存症患者たちから見出そうとしている本でした。今何かに没頭しすぎて現実の問題に向き合えていないなと感じてる人にはオススメだと思います。
1投稿日: 2023.05.22
powered by ブクログまとめ 快楽と苦痛のシーソーの仕組み 苦痛からの逃避→苦痛の悪化 危険因子=ドラッグへのアクセスのしやすさ セルフ・バインディング、ドーパミン断ち、関連物も断つ 断続的に少量苦痛側に力をかける。苦しい方を選択する。 曝露療法→ドラッグ(=逃げたいと思わせる物事)に少しずつ晒し、量を増やして、耐性をつける。 苦痛の大きさで数値化する。やる前とやっている最中とやった後。 適度であれ。快楽側であれ苦痛側であれ強力又は長時間にシーソーが偏らないように。 自責 自分の欠点の告白 徹底的な正直さ。遅れた報酬に耐えれる。 向社会的恥 過剰摂取→恥→正直さ→周りの人の受容→自分に居場所がある→摂取減少 のサイクル どれも苦痛を伴う。ドーパミン断ちも自責思考も恥を受け入れて正直になることも。 第1部 快楽の追求 1 皆のマスターベーションマシーン ○快楽と苦痛は同じ場所で処理、シーソーの両極のように働く ○何時間もマスターベーション、セックス依存症、マスターベーションの機械を壊してもまたゴミ箱から拾ってしまう→その気持ち分かる ○依存症=ある物質や行動(ギャンブル、ゲーム、セックス)を自分自身や他者を害するのにも関わらず継続的かつ衝動的に摂取したり行ってしまうこと ○依存症になる一番の危険因子=ドラッグへのアクセスのしやすさ。アルコール禁酒法の例。 ○その他、遺伝、精神疾患、トラウマ、貧困 ○ドーパミン経済、よりアクセスしやすくより強力になり多剤併用 ○インターネットによる衝動的過剰摂取の促進。手に入りやすさ。決して思いつきもしない行動を促す。(ポルノ、殺人) 2 苦痛からの逃避 ○自己の幸福追求主義 快楽主義のニューエイジ、傷つけられないように育てられてきた温室育ちの子どもたち→自分自身もそうなんじゃないか苦痛耐性がない。 ★浮かんでくるままに自分の思考を流すウォーキングの時間をつくる→自分自信に慣れるために。デバイスを使って気を紛らわし自分自身を避けるのは疲れる。自分自身や他者や世界とのつながりを感じられる。「退屈」でもある。 ★苦痛からの逃避→苦痛の悪化になるだけ 3 快楽と苦痛のシーソー ○ニューロン、シナプス、電気信号、神経伝達物質 ○神経伝達物質の一つ=ドーパミン ★ドーパミン=報酬が得られたことの快楽というより、報酬を得ようとする動機の方に重要な役割がある。「好き」より「欲しい」って感じ。 ○快楽と苦痛のシーソー。シーソーはなるべく水平を保とうとするように動く。 ○中立性から長い間、または繰り返し逸脱することはコスト(=その刺激の価値とは正反対の「事後反応」)がかかる ○快楽のあと「渇望」を感じる→解決としてやり続ける、食べ続ける、見続けること しかし、似たような快楽刺激に繰り返し晒されるとシーソーの快楽側への傾きが弱くなり、事後反応の苦痛側への傾きは強く長くなる。★シーソーの支点が快楽側に寄ってしまうイメージ ○耐性=2回目以降効きが悪くてより多くのドラッグが必要になること ○高ドーパミン物質を大量に長期間接種するとドーパミンが欠乏状態になる。ドーパミンの選手たちはボールとグローブをって家に帰ってしまう→無快感症 ○不快感による再発。辞めたあとシーソーが苦痛の側に傾いていて、ただ水平状態に戻したいだけ。 ○充分に長く待てばシーソーが水平に戻る ○ドラッグ使用を連想させる刺激(条件刺激)にさらされるだけでシーソーが傾いてしまう。ワンちゃんの餌を上げる前にブザー鳴らすだけでよだれ。 ○ギャンブル依存症より、報酬の予期によるドーパミン放出と報酬の反応によるドーパミン放出は別物 ○SNS ○経験依存的可塑性=ドーパミンを作り出すニューロンの大きさや形が変わって、条件刺激を長期記憶 第2部セルフ・バインディング 4ドーパミン断ち ○DOPAMINE D→データ、何を、どれくらいの量、回数 O→目的 P→問題 A→何かを断つこと・節制abstinence→小さな報酬から喜びを得る能力やドラッグ使用と感じ方の間の因果関係を見る能力が回復→ではやめる期間は?→4週間 代替可能か?→いや強い依存に打ち勝てる時点でそのものもドラッグ性が強く、別の依存症になるだけ。 M→マインドフルネス、自分の脳がやっていることの観察 辛い思考感情が雪崩のように押し寄せる。自分だけのものというより、多くの人が味わってきた苦悩という広大な風景と一体化したものに見えてくる。 I→洞察Insight N→次の段階、そのまま断つのか、共存(節制)か E→実験 節制して共存するという目標は逆効果となる可能性がある→使用再開で禁断破断効果の可能性 間然にはやめることができないものに依存している場合は?食べ物やスマホ。 5 3つの方法、空間、時間、意味 ★セルフ・バインディング ○物理的セルフバインディング ○時系列的なセルフバインディング 遅延報酬割引→時間割引率的な 時間的視野が狭くなる ○今日のドーパミン過多社会→前頭前野が萎縮しつつある。 即時報酬→感情と報酬処理に関わる脳の部位 遅延報酬→前頭前野=計画を立てたり抽象的な思考に関わる脳部位 ○暇な時間が依存を増やす ○ジャンル的なセルフバインディング ドーパミンを種類ごとに分けることによって摂取量を制限すること。 ★自分がハマっているものだけでなく、関連するもの欲しがるきっかけとなるものも断つ 6 壊れてしまったシーソー? ○苦痛以外に向精神薬が取り除くもの 苦痛な感情から一時的に逃れられるが、自分の感情の幅が狭くなるかも、深い嘆き、畏怖の念、強力な感情の。 ○向精神薬と貧困に相関関係 ○向精神薬によってドーパミン欠損、目の前にある餌も取りに行く気力がなくなる。 第3部 7 苦痛の側に力をかける ○冷水浴→人類は歴史上長い間、冷水浴してきた。冷水浴でドーパミン量アップ。 ○シーソーの苦痛の側に力をかけることでその反対=快楽の側に行くこと→快楽の側に力をかけるのとは違い、苦痛から得られるドーパミンは間接的で、より持続的である可能性がある。 ★断続的に苦痛にさらされることによって、快楽と苦痛のシーソーが快楽の側に偏り、時間とともに苦痛を感じにくく、快楽を感じやすくなる。 ○快楽の代償→苦痛 苦痛に対する報酬→快楽 ○環境が厳しいときにそれを和らげるために存在する生物学的システムの適応的な反応。それで身体のシステムはより過酷な条件への耐性をつける。 ○苦痛の多すぎは逆効果。適度な苦痛を。例 原爆の被爆者 ○断続的な断食 ○運動 ○依存症の原因→ドラッグが人間にまだ身体があることを思い出させるから!? ゲーム→キャラクターが派手に身体を動かす スマホ→スクロールやタップ。小麦を挽く、ベリーを摘む、行為。 セックス→現代まで残っている身体活動レベル ○★曝露療法→逃げたいと思う不快な感情を引き起こす物事に、少しずつ晒し、量を増やして、耐える能力をつける ★苦痛の大きさで数値化する。やる前とやっている最中とやった後 ○マウスの車輪走行依存症の話、運動も依存症になりうる。 ○エクストリーム・スポーツ(スカイダイビングやバンジージャンプ)も仕事も依存症になりうる。無快感症になる可能性ある。 ○どんな物質、行動でも依存症になるリスクがある。そのリスクは得られる効果が強ければ強いほど、量や持続時間が増えれば増えるほど上がる。 ○たくさん強力な苦痛を味わうと、衝動的で破壊的な過剰摂取に陥る。→★適量であれば、「小さな痛みをもって大きな傷みを抑える」ことができる。 8 徹底的な正直さ ○人間の言語の発達により、嘘をつく能力も発達。協力のための言語→人を欺くために嘘をつく。 少ない資源の時代→嘘は有利 過剰に資源がある世界→孤立、渇望状態、病的過剰摂取 ○真実を語ることが人間同士の愛着を作る。 高ドーパミン製品は孤立や無関心を導く。 ○「語り方」でその人の精神の健康状態が分かる 他責、被害者意識→精神の健康状態悪い、人を攻めるのに忙しくて、自分の回復に本腰を入れて取り組めない。 ★自責→精神の健康状態良い ★自分の欠点・悪いところを告白 ○「偽りの自己」 SNSと現実の乖離 現実の経験が理想からかけ離れていると自分に距離を感じて現実を理現実のように感じる。 ○偽りの自己に対する解毒剤→確かな自己 そのための手段=★徹底的な正直さ ○充分状態のマインドセット→真実の世界で世界も秩序があり予測可能で安全な場所と認識 欠乏状態のマインドセット→嘘の世界で世界を当てにできなくなり生存競争モードに入り、短期的利益を求む ○嘘は近道になる。より短期的な報酬を好みやすくなる。 ★正直であることで遅れた報酬に耐えれる能力がつく。 9 「恥」が人とのつながりを生む ○破壊的恥(他人に拒否される→嘘をつく) 過剰摂取による恥の意識→グループ・他人に拒否され避けられる→嘘をつく→孤立を招く→さらなる過剰摂取 のサイクル ○向社会的恥(他人がそのことを受け入れてくれる環境→正直になる→明確な指針を与えてくれる) 過剰摂取による恥の意識→徹底的な正直さを求められる→受容と共感→償うために必要な行動リスト→自分に居場所がある→摂取減少 のサイクル ○依存症は恥ずべきことではないという環境→グループに対して正直であること→「予期的な恥」が再発防止となる ○向社会的恥と子育て 徹底的な正直さ。いい自分だけを見せると子供は完璧でなければと感じてしまう。 例 子供のおやつを食べて食べてないと嘘をついたが謝ったシーン 結論 シーソーの教訓 ○この瞬間にはなんの影響もないように見える今日の自分の自分の行動が実際にはいい方向へ向かって積み上がっており、それが未来のいつか分からない時に明るみになる、という信念を持て 1 快楽のあくなき追求(そして苦痛からの逃避)は苦痛に導く 2 回復はそれを「断つ」ことから始まる 3 ドーパミン断ちは、脳の報酬回路をリセットする。おかげでシンプルなものごとに喜びを見出すことができるようになる 4 セルフ・バインディングで欲求と摂取の間に文字通り壁を作ることができる。メタ認知できる余地もできる。それがドーパミン過剰の現代には必要である 5 薬でホメオスタシスを回復させることはできるが、苦痛を薬で取り去ることで私たちが失うものを覚えておくこと 6 苦痛の側にシーソーを押すことは、シーソーを快楽の側へリセットする 7 苦痛の依存症にならないよう気をつけること 8 徹底的な正直さは自覚をもたらし、親密な関係性を作り、「充分状態のマインドセット」を育む 9 向社会的恥は私たちが人間という種族に属していることを思い出させる 10 世界から逃げ出すのではなく、世界の中に没入することで本当の癒しが見つかる
1投稿日: 2023.05.21
powered by ブクログ完全を不完全と認めること、日々の生活の小さなことで嘘をつかないように心がけ、自分を人生の責任者とすること。そうして、自分の居場所を作っていくこと。あらゆる依存症への対策に共通することである。
1投稿日: 2023.05.07
powered by ブクログ犯罪もせず、大声も出さず、暴言も吐かず、人前で恥ずかしい行為もしない、日常を逸脱せずに生きている事がギリギリに見える。本著に紹介される人の話ではない、道を行き交い、電車に同乗する多くの人に対してだ。ストレスや不安の外圧は多いが、一方で、直ぐに求める事の可能な報酬もある。こうした環境で心がバランス感覚を失いそうだが、よく誰しもマトモに生きてるなと思う。 道を外れる前に、即席の報酬に手を出そう。 即席の報酬とは、薬やアルコール、デジタルエンタメコンテンツやポルノやスナック菓子などなど。世の中には、素晴らしい癒しが満ちている。しかし、後々これに悩まされる。本著は、そんな人達の話だ。報酬が過激な行動を一時的に抑えても依存を齎し、結局、人生を自らリセットするまで堕落する。 どこにいっても逃げ場はない。答えは、報酬を設定し直す事。あるいは、逆にコントロールし難く得難い報酬を目指す事。本著にはマスターベーションの自動機械を自作してオンラインで満たされる男性が登場するが、そうではない。リアルな異性には依存し難く、獲得プロセスも難しい。その過程で努力して何かを向上させるような報酬系を目標として設定し直す。不確実性を求めよ。 しかし、簡単ではない。 箱に入れられたラットの場合、チョコレートがドーパミンを55%増加させ、セックスはドーパミンの基礎放出量を100%、ニコチンは150%、コカインは225%増加させたらしい。本著で紹介されたこの実験データが衝撃的で、本著の主張を凝縮している。雑魚キャラのチョコレートにすら勝てるようなコンテンツは中々、見つからない。
7投稿日: 2023.04.29
powered by ブクログツイッターで、パンダ画像にひたすらいいね押して回ったり、大河や呪術廻戦の感想を読み続けたりしてるのも依存症かなあ、と。 やめ、られる気はしないので、せめてルールを設定してみるところから始めたいと思います。それを守れなかったら、依存症ということで全禁止…
1投稿日: 2023.04.26
powered by ブクログこのところろ、低い打率の読書が続いて、クリーンヒットを打ちたいわけでないのにチョイスしたこれがどうしてなかなかのヒットエンドラン。良かった。 一気読みをやめ、腰を据えた文字追いをしなきゃともっていた矢先だし。 読書とか耽読とか、一見賢げな表現は卒業。 文字を食むことによって、おのれの脳を開放し、がちがちにこびり付く垢を拭い落とすことにいいスタートを切れた。 依存症医学の第一人者である彼女、脂が乗り切った世代かと感じる。がちがちの医学用語があるわけでなし、統計オタクでもない、おのれの肩書をひけらかすことは微塵のなくさらりと論が進む。センテンスの具合が丁度いいので短時間でも頭にスーッっと入る。 自己免疫疾患がないのにグルテンフリー食がもてはやされ、増え続けている今日への批判もチラリ。 向精神薬の功罪の解説は腑に落ちた~人間の苦しみを除去するには「あえて苦痛を受け入れるという手段」とか。。。 人間は古代、冷水浴が主流、自宅に温泉を引ける金持ち以外は・・など面白く頷く。 動物研究において~極端な寒さがある種の神経の成長を促す作用をもたらす。。とか 読み物としても十分に楽しめた。 総体を概括すると「シーソーの教訓」は素晴らしい。 自分自身の開放を望むのは誰にでもある自然の摂理。。逃避グッズは長期的に見れば問題をはらむ。 ドーパミン立ちは脳の報酬回路をリセットし、セルフバインディングは欲求と接種の間に壁を作る。世界から逃げ出すのではなく、世界の中に没入すること→立ち止まり、方向を変えて、直視する!! いい文字を食せた✨
1投稿日: 2023.04.25
powered by ブクログスマホの依存の快楽は苦痛を導くことを感じていたため、本の内容がしっくりきた。 実際に快楽と苦痛の関係を知り、日常で意識するようになったら前よりはましになった気がする。 しかし、ちょっとこの本は読みにくいところがある気がする。和訳なのでたまにしっくりこないときもあった。
1投稿日: 2023.04.18
powered by ブクログ徹底的な正直さというのは、 ・自分の行為に対する自覚を促す。 ・親密な人間関係を育む。 ・今の自分のみならず、将来の自分に対して説明責任が果たせる。 というところが、印象に残りました
3投稿日: 2023.03.07
powered by ブクログアンデシュ・ハンセンの各種脳本よりも、こちらの方が様々な依存症の人のケースが書かれているので、より共感できて興味深い。
0投稿日: 2023.03.05
powered by ブクログ苦痛と快楽は相反過程のメカニズムで処理され、快楽と苦痛はシーソーのように働くという最新の脳科学研究に基づく内容。ただし、ドーパミンにも種類があって、人間関係の親密さによるものと安っぽい快楽によるものとでは異なるようである。 依存にも良し悪しがあって、日常生活が崩壊しない程度の依存は特に問題はないように思えるが、仕事や家庭・家族だからといって過度に依存するのもそれはそれで問題となる部分もあるだろう。 全体的には外人作家のせいか、新書のワリにはやや冗長で読みにくいのが難点。
2投稿日: 2023.01.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
以前の医者は、ある程度の痛みは健康的で治りを早くすると信じていた。全身麻酔をしまければ痛みが免疫系や循環器系の働きを高めるという理由。 シーソーはホメオスタシス。快楽のシーソーは、やめると反対側に行き過ぎる。 一定量の摂取では快楽が少なくなる=耐性。 快楽主義=快楽のために快楽を追及すると無快感症になって快楽を感じられなくなる。 薬物は、脳を恒久的に変える。アルコール、オピオイド、大麻など。長く辞めていても一度発火すると元に戻る。 2週間くらいで我慢の耐性ができる。 ジスルフィラム=アルコール依存症の治療薬=セルフバインディングの薬。 マシュマロを見ないようにすることで食べたい気持ちを抑える=セルフバインディングの一種。アルコールを手元に置かない。 辛いことも依存症になる。氷水に入ること、など。 断続的な断食で健康になる。一昔前なら摂食障害と呼ばれた。 シーソーの教訓 快楽の追及は苦痛になる。 回復はそれ自体を断つことから始まる=ドーパミン断ちでシンプルな報酬回路をリセットする。 セルフバインディングで壁を作る。 苦痛の依存症にならないよう注意する。
1投稿日: 2023.01.26
powered by ブクログ人は不安から逃れるために、苦痛と快感のシーソーを揺らし、ドーパミンを排出させることから逃れられなくなる。 それはあらゆるもの(アルコール、ドラッグ、性行為、運動)がある。そこを避けるためには、人と繋がり、心から安心できる場所に身を置くことである。 ただ、事例が多すぎて、結論までが長いので眠くなる。
1投稿日: 2023.01.21
powered by ブクログ精神科医の著者がカウンセリングで接してきた患者の話が中心に語られます。 実体験なので、すんなりと信用し受け入れやすい話でした。 (患者の話を本にするにあたってのお断りは巻末にきちんとありました) 薬物依存、セックス依存など自分に関係ない話と思っていましたが、人々が依存症になるプロセスと依存症から脱しようと頑張るプロセスを読むと、依存症というのは誰しもが陥ってしまう可能性があることだと思え、読む価値がありました。 マインドフルネスなど自分の心に向き合うことは世の中で推奨されていますが、ヨガとかそういう分野にしてしまうのが勿体ないなと思えてきました。 自分の心の声をフラットにまず耳を傾けて聞くことは、生きていく上で誰しもが行えるごく当たり前のことであるべきと思います。 周りの人、親はじめ家族、友人、学校、職場の人たち、さらには世間の人たち。 社会という人の集まりで暮らす以上、協調性を持って接していくことは大事ですが、軸を失って、倒れてしまう個人が後を絶たなくなっては不健全です。 向精神薬の依存も興味深い話でした。 改善しようと思う症状があって前向きに服用し始めたとしても、それが手放せなくなって依存したら本末転倒ですね。 フェンタニルという薬が、カナダかアメリカで若者の間で流通し被害があるというのを見かけていたので、本の中で出てきてタイムリーさを感じました。 クスリ、怖いなあ。 急速なデジタル化社会の変化を見てきた世代で、以前を知っているからこそ今の異常さも気付くことができますが、Z世代など、デジタルにさらされるのが当たり前で育って生活している世代は苦しさもありながらそれが日常だと思うから脱するのが難しいのではと考えてしまいます。 うまく適応して進化する能力者みたいな優れた人もいるかもしれないですが、常に上位の人と自分を比べ続けコンプレックスに苦しむ若者が多くいそう、病むのも無理はない、、依存症までいかなくても、自分のことを蔑ろにしているんじゃないかとTikTokを見ていて思う時がある。自分より上の世代に責任転嫁をしていても変わらないので、こういう良書を読んで自覚し、自発的に行動し、社会の歯車から抜け出してほしいと個人的には思う。 生きる楽しみはいいけれど行き過ぎた消費するだけの推し文化とか、ルッキズムに侵された気軽な整形とかは、淘汰されていってほしい。
1投稿日: 2022.12.30
powered by ブクログメリークリスマス! 現在、naonaonao16gは資格試験のお勉強のため、読書はおやすみ中。 この作品を最後におやすみに入ったのですが、レビューをあげるにもなかなか時間がとれずにいました。 師走。 最近はメンタルの調子も芳しくなく、お勉強にも身が入らない日々。 だけど、それでもわたしは生きています。 この、生きづらい世界の片隅で。 生きづらさによって依存症になっているとして、その治療が、「生きやすくすること」だとしたら。 生きづらさは現実の不都合・不条理からなっていて、その不都合・不都合の中で必死で生きていくために調整しようとして依存症になる。 それなら、変に調整しようとせず、かっこつけずに素直になることが、依存症の治療、寛解だという。 でも待って。 わたしは人によく素直だと言われるけれど、それたぶん素直に見えるように振舞ってるだけなのかも、とか思い始めてしまって負のループ。 ブクログで出してることはかなり素直な根っこの感情だけれど、かっこつけて書いてるだけにやはりそこには現実とのズレが生じている、気がする。 この歪みをどうにかしない限り、わたしは孤独で居続けるのだろうか。 本当にお酒が好きなんだろうか、お酒を飲んでストレスを発散しているフリをしているだけではないのか。 かっこいい人になりたいと思って福祉の仕事をやってみたものの、実はしんどくて。 何をやっても負のループにつかまるネガティブなわたしは、どうしたら生きやすくなるのだろう。 このまま、ドラッグには手を出さないまでも、お酒と、男と、セックスに溺れて死ぬんだろうか。 人は言う、「いつまでそんなことやってんの?」 わたしだって自分でそう思う。 こんな風になる予定じゃなかった。 どこか、憧れる何かに頼るように生きていたら、寄るべがなくなって、自分だけの軸と力だけでは生きてゆけなくなってしまったのだ。 でも現実問題として、今は一人で生きていかないといけないのだ。 そのためには、強さが必要で、弱さを隠して生きていくしかなかったんだ。 だから、その弱い部分をこねくり回していたら、とっくに自分が根っこで考えていることなんて分からなくなってしまったんだ。 わたしが本当に思っていること、心から思っていることってなんなんだ。 わたしはどうやって生きていきたいんだ。 答えはもう自分の中で、出てる。 でも、その答えに向き合うのはこわくて、これまで取り繕ってきた代償として、いろんなものを失う気がする。 とにかく怖いのだ。変化と喪失が。新しい、何かが。 それなのに、刺激を求めて奔走し、傷ついている。それをずっと繰り返してる。 この依存症のような、自傷行為のようなものの正体こそ『ドーパミン中毒』だ。 メンタルの不調に苛まれたわたしは、先日久々にカウンセリングルームの扉をたたいた。 「自分の軸がはっきりしてなくて、他人に振り回されていて苦しい」と話したら、カウンセラーは言った。 「あなたは他人の気持ちに振り回されていると言うけれど、自分の気持ちに振り回されているように見える」 図星だった。 自分の中で、出てる答えに向き合ってない。怖くて向き合う勇気がない。 だけど、それをしないと次のステップにいけないことも確かなこと。 もうすぐ2022年が終わる。それと同時に、後厄も終わる。 これを機に、これまで向き合えなかった、放置してきたものに、少しずつ向き合って、自分のメンタルを苛んでいるものを、断捨離することにしたんだ。 この作品では、依存症と徹底的に戦う複数の主人公の、その回復に至るまでのストーリーが描かれている。そこにあるのは、どんな依存症だろうと、「ダメ、絶対」という揺るぎない価値観だ。 一方で、最近海外を中心に出現している考え方として、「ハームリダクション」がある。以前読んだ『叱る依存が止まらない』という作品にも出てきていた。”ハームリダクションとは、「その使用を中止することが不可能・不本意である薬物使用のダメージを減らすことを目的とし、合法・違法にかかわらず精神作用性物質について、必ずしもその使用量が減少または中止することがなくとも、その使用により生じる健康・社会・経済上の悪影響を減少させることを主たる目的とする政策」“のことを言う。 (http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse2934.pdf) つまり、“リスクのある行動を全面的にやめることなく、有害な影響を軽減すること”を言う。 (https://www.ewel.co.jp/category/column-health/p15685/) 少しばかり抽象的だけれど、これは”赦し”の考え方で、例えばこれは、苦しい人が小説に救いを求めて、今抱えている苦しみと共存して生きていこうとするような、そんなもののように感じている。それってつまり、わたしがこれまで音楽や映画や小説から救われたのと同じで、でも現実ではなかなかうまくいかなくて、その狭間で苦しんでいたのだ。ハームリダクションは、薬物などにはまる人を責めるのではなく、その人が置かれた環境に着目しているのだろう。日本やアジア諸国はもちろん、ハームリダクションには批判的で、これからもしばらくは「ダメ、絶対」と言い続けるのだろう。 わたしが今まさにやっている断捨離(ちなみに人間関係の断捨離です)は、「ダメ、絶対」寄りの価値観でもってすすめてる。 じゃないと到底切れないからだ。 だけど、自分の気持ちに嘘をついたり、自分のタイミングじゃない時にやると、絶対にうまくいかないと思う。自分が「不要だ」と思ったら不要なんだけど、そこに至るまでにいろんな気持ち(やっぱり切りたくないな~、とかね)がある。その気持ちは大切にしたいと思うんだよね。だから、その気持ちがあるうちは、ハームリダクション寄りの価値観でいたいんだ。 この作品、ごりごりの脳科学系のジャンルだと思って読み始めたら、意図せずめちゃくちゃ自分と向き合う系の作品になったので、結構焦りました。 またしてもわたし自身「産む産まない問題」をつきつけられたような、そんな感じ。 でも、依存症に縁がない人には、シンプルな脳科学系の作品となるんだろうな。 2022年最後のレビュー。 久々ということもあって、長くなってしまいました。 近々、「BOOK OF THE YEAR2022」をアップする予定なので、またそこでお会いしましょう! 2022年、本当にお世話になりました!! みなさんが、素敵なクリスマスを過ごせていますように。 とても寒い冬を、健康に乗り越えられますように。 心より、お祈りしています。 またnanaonao16gがレビューをあげる2月まで、みなさん、どうかお元気で。 よいお年をお迎えください!
65投稿日: 2022.12.24
powered by ブクログ我々の日常に溢れかえっている様々な快楽のもと。 依存症治療の第一人者である著者が膨大なケースを元にドーパミン中毒への対処方法について一石を投じる。 特にシーソーの原理という考え方は新しい視点だった。
1投稿日: 2022.11.28
powered by ブクログ★退屈は、ただつまらないだけじゃないですよね。すごく怖いことでもあるかもしれない。だけど退屈は、新しい考えに必要なスペースを与えてくれるんです。★ 『快楽と苦痛のシーソー』というのが、この本の中枢であり、とても印象深かった。 快楽や苦痛は一時的に感じるものであって、それを過剰感知してしまうと、逆方向にシーソーが傾いたままになってしまう。 これは哲学用語で“ヤマアラシのジレンマ”、方程式では“(-)✖️(-)
3投稿日: 2022.11.16
powered by ブクログ依存症というと、なんだかたいそうな病気のように聞こえるが、我々の生活のすぐそばにあるもの。しかも厄介なのはそれがときに、法律に違反しない限りは破天荒な勲章みたいに(特に日本では?)評価されうることだと思う。大酒豪、性欲旺盛、大食い、仕事中毒はともかくドラマや映画、読書をひたすら楽しむことはどちらかというとよく受け止められているし。理性をなくすくらい一生懸命なことと依存は本当に背中合わせなんだなぁと感じた。アメリカみたいにこういったセラピーや依存者の会があまり一般でない日本では見えないけど依存している人はたくさんいるんだろう。 個人的にはサウナも絶叫アトラクションも、激辛料理も苦手なのだが、これだけ人気があるのはやはりドーパミンなのかなと。
3投稿日: 2022.11.13
powered by ブクログ依存とは何かをドーパミンによる報酬系を解説することで説明してくれる。特にシーソーの例えはわかりやすく、良い事があれば悪いことが相応に起こるという漠然とした格言を報酬系を用いて具体的に説明している。 個人的には後半の苦痛の追及が目から鱗で、サウナの整うもこの一つなのかなと思った。4.0
1投稿日: 2022.10.28
powered by ブクログ感想 スマホ依存に代表される現代の依存症。個人の責任だけでなく、社会の責任でもある。自分を守るためには人間に備わっている防衛機構を利用する。
2投稿日: 2022.10.18
