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金環日蝕
金環日蝕
阿部暁子/東京創元社
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総合評価

67件)
4.0
18
31
9
3
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    キャラが濃すぎてアニメチック。 登場人物がごちゃごちゃしてる。 というので、面白いかも〜!と、ちょっと私の好みでないかも、、の振り幅があり評価が難しい、、 ひったくり犯見つける、から詐欺?!にはワクワクしたけど、 お兄ちゃん大好きな男女の双子の中学生登場で、一気に現実味がなくなり。小学生ならわかるけども中学生って。お兄ちゃんの命令は絶対で、直立!と言われたらはい!となる双子とは。すごくアニメっぽい。 あとは加賀谷潤のふりをしたカガヤはかつて「良い子」と言われていた社員のはずなのに、 「謎めいた色男」というあだ名がつけられるという変貌ぶり。頭でうまく思い描けない。。 どんでん返しのためには色々ミスリードが必要なのは分かるけど、ちょっと無理やりすぎてついていけず。 種明かしより、途中までの こことここが繋がって〜これを追って〜 くらいの時が面白かった!

    1
    投稿日: 2025.11.21
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    立ち上がる 立ち上がる ページを繰る手が止まらない。どのキャラも描かれ方より少し良いヤツで、ヤンキー理論的な人物評(笑 ワクワク9 展開10 読後9 再読6 構成10 学び6 文表現9 人物9 深み8 余韻9 合計:85/100

    0
    投稿日: 2025.11.17
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    2025/11/15 オーディブル 後半からそっちかーとなった後にやっぱりこっち?え?あっちなの?と自分の予想と違って楽しかった。夕飯はすき焼きにしました。

    6
    投稿日: 2025.11.15
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    率直に言って面白かった。 オセロのように二転三転するストーリーに、個性的な登場人物たち。コメディのようなテンポの良い掛け合いがあるかと思ったら、暗く重く話が織り交ぜられ、感情が忙しい。 詐欺師たちも本当に根っから悪い人間ではなく、この境遇だったらそうなっても仕方ないと思わせる人物の背景が描かれており、各キャラクターに感情移入した。 唯一、双子の言動にちょっと違和感というか現実味が感じられず星ひとつマイナスにしたが、それは好みなだけな気もする。 著者の他の本も読んでみようと思うほど、面白かった。

    15
    投稿日: 2025.11.06
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    札幌を舞台に描かれた、阿部暁子さんの作品ということで気になり購入しました。 1章、2章と異なる人物の話で、彼らがこれからどう交わっていくんだろうと思っていたら、3章に思わぬ展開が待っていて、そこからはスピード感を持って読み進めていきました。 読む前はもう少しライトな作品かと思いきや、登場人物達が過去に辛い経験をしていたり、詐欺だったり、次々と事実が明らかになる度に苦しくなったりしましたが、奈緒が最後私の予想を良い方に裏切ってくれたのが救いでした。 また阿部さんは岩手県在住なのに、札幌の景色、秋から冬にかけての空気感もすごくリアルに描かれていて、ちょうど小説内の時期と同時期に読めて良かったです。

    1
    投稿日: 2025.11.02
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    2025年本屋大賞「カフネ」著者 阿部暁子氏の長編ミステリ。 カフネにはあまり関心がないままなのだけどこちらはミステリで興味津々。 ティーンエイジャーの心の機微の言語化が上手い。そんな感動を覚えた序盤から、加速し緊迫する中盤、正義感の強い主人公 春風・異彩を放つ高校生 錬・ヤングケアラー 理緒、三者三様の思惑で正体不明の詐欺師カガヤに迫る展開は読む手が止まらない。 不遇だからこそたとえ虚勢でも強く賢く、そうあるしかなかった彼らの満身創痍の生き様は読者の半生で感想が変わる作品。禍々しき過去を糧に幸福を手に入れてほしい。 またタイトルも良い。震える。

    1
    投稿日: 2025.10.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    女子大生と男子高校生がたまたま遭遇した引ったくり事件が予想もつかない一大詐欺事件へと変貌していく。正義感にまつわる探偵ごっこだったのが次第に手に負えない事件へと繋がっていく流れは見事でリーダビリティも高く、半分に差し掛かった時点で事件の概要や主人公との血縁関係もあらかた読めたと思いきや、主人公の隠してた嘘が明らかになるなどストーリーの方向性が急角度で変わったりと意外と読めない部分も多く、中弛みすることなく最後まで楽しく読み終えることができた。 途中に出てくるモブのキャラクターがややラノベチックではあるものの、キャラクターのバックボーンは犯罪加害者遺族に性犯罪被害者と青春ミステリにしては意外と重い。それらの悲痛な過去がしんしんと雪の降り積もる北海道のロケーションと噛み合っており、タイトルである金環日食という輝く闇にも符合しており雰囲気作りも秀逸であったと思う。 最後の幕の引き方は完全解決というわけではないものの、一介の女子大生と男子高校生が取れる行動の限界と落とし所を考えれば納得しかなく、むしろ解決しきったと言えないからこそ、真犯人の語る「あっち側」の世界への適性が嫌な余韻となって残る。それでも登場人物たちの「折り合い」をつける意味ではいい幕引きであると同時に、このビターな読後感こそまさに青春ミステリであると思う。

    0
    投稿日: 2025.10.29
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    ひったくり犯人を追うことで出会った 女子大生と高校生男子 ひょんな出会いの後ふたりが追う事件とは… 青春ミステリーもの? と思いきや… 思ったより闇は深い 本来守られるべき対象、老人、女性、子供、に 当たり前のように牙を剥く輩が存在する 狙われたら最後、どうすることもできないのか 嫌悪感、いや、憤りを感じると同時に 息苦しさや悪寒さえ感じてしまう 圧倒的な力を前にしたら? そして頼りにできる人間が周りにいなければ? 自分はどれだけ正しくいられるのか? ちょっと考えさせられた 一方でメインキャラたちのやり取りは軽妙で ワキキャラの双子たちも良いキャラ この点が1番良かった一方で 悪キャラは本当に嫌なヤツで(それが正しいのか…笑)イラっとさせられたのに、鉄槌は下せないのか…とモヤモヤしたし、 最後の伏線回収もダラ〜と長かったわりには スカッとせず、自分的には不完全燃焼

    15
    投稿日: 2025.10.28
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    良かった。 最後の答え合わせの納得感がやや弱いような気もしたけど そんなもんかも。 途中までの予想は大きく外れ、そんな点でも面白い作品。 悪い人、正しい人、卑劣な人、親切な人など 誰しも相手によって使い分けているよね。 正義とは何か、愛情とは何か いろいろ考えさせられる良い本。 ちなみに、中学校の学校図書館的には 卑劣な事件は起きるものの、描写は過激ではないので この程度なら「あり」ではないかと思う。 いろいろな生徒がいるので、全員に向くとはいえないけれど 3年生などの一部の「読める生徒」には良いと思う。 恋愛要素は薄いので「恋愛もの」とはいえない。

    0
    投稿日: 2025.10.27
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    ひったくり事件の現場に偶然居合わせてしまった大学生・春風。彼女が関わっていくのは、ただの事件ではなく、人間の“表と裏”が交差する、静かで深い謎だった。 驚くべきことに本作は、著者の初めてのミステリー作品だという。そうとは思えないほど構造が巧みで、人物の心情の描き方にも引き込まれた。会話のやり取りにはリアルな温度があり、物語の緊張をほどいてくれる“ほっとする”瞬間も心に残る。 大学で学ぶこと、未来に希望をつなぐこと、家族を思うこと。さまざまな登場人物たちの小さな願いや祈りが丁寧に織り込まれた一冊。光と影。昼と夜。そのあわいに浮かび上がる「金環日蝕」のような存在。見えなくても、確かにそこにいた誰かが、物語の奥行きをそっと照らす。

    0
    投稿日: 2025.10.26
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    女子大生と男子高校生がひったくり犯を追うところからはじまるこのお話。 ひったくり犯がわかってもまたそこからはじまる不穏な感じ。 特殊詐欺って案外近いところにあるんだなぁと怖くなる。騙されるだけでなく、騙しているほうだったり。 最初は軽めな感じのひったくり犯探しのミステリーかぁと読み始めたが、そんなことでは終わらない。もうなんか犯罪盛りだくさんでちょっとお腹いっぱい。みんないろいろ背負いすぎだし、時系列途中わかんなくなってきたり...読み終わり疲れたー。

    44
    投稿日: 2025.10.19
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    積ん読本。 Audibleで聴きながら散歩していたが、先が気になって。 積ん読から引きずり出す。 おかげで金曜日の午後休みが瞑れた(笑) 春風と練の話が続くのかと思いきゃ、思いっきり貧困、格差、 それに繋がる詐欺の話になり、闇深く。 とくに、理緒姉妹のお話は辛い。 でもまさか、練が。。 とか、春風の過去が。。 とか驚きの連続で。 練の母が「何があっても愛してる」と。最大の言葉をかける。 練とともに救われた このお話に出てくるみんな、いろんな事あるけど希望は持って歩んで欲しい。 側に居てくれる人を大切にして。 後書きに阿部さんは安易な綺麗事は書かないが、読者に絶望はさせないと書いてありましたがまさにそうだなと。

    23
    投稿日: 2025.10.18
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    カフネの人だーと思い初めましての阿部さん作品でした。とっても面白い内容のはずなのになぜか最後までハマれず… なんでなんやろう? そういえば主人公が学生さんの時って他の作品もハマれない事多かったようなと気付き。でも絶対面白い話なので悔しいからまた再読したいです。

    1
    投稿日: 2025.10.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトル買い。 何度も訪れた札幌の地名、北大などの名前が出てきてそれだけで身近に感じられて入り込めた。 春風サイドの探偵物語が進んでいくと思いきや、理緒サイドのダークな話が始まって意表を突かれた。 本作は両サイドの繋がりが明示されるのは後の方だけど、こういう一つの出来事を軸に違う視点の話が進んでいくスタイルは結構ワクワクする。 タイトルについて語られる場面は僅かだけど、作品の扱うテーマを暗喩しているようなタイトルも良い。

    0
    投稿日: 2025.10.15
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    audible 。「カフネ」の作家。特殊詐欺を扱ってもこんなすごい物語を創れるのだ。映画化のあれとは雲泥の差。読むべし。

    9
    投稿日: 2025.10.13
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    謎解きミステリー仕立てで展開が読めず最後まで飽きない。 前半と後半の雰囲気が変わるのも面白かった。 主人公二人のウィットに富んだ会話が面白い。 詐欺グループのやり方は興味深かった。

    8
    投稿日: 2025.10.11
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    図書館本。 ひったくり事件で出会った高校生れんと春風の謎解きミステリーかと思いきや。 詐欺、嘘が飛び交うストーリー。一気読み。

    17
    投稿日: 2025.10.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『カフカ』で本屋大賞をとった阿部暁子さんの推理小説。 ある日、春風は偶然ひったくり事件に遭遇し、仲居合わせた錬とともに犯人を追いますが、逃げられてしまいます。現場に落とされたストラップを手がかりに、春風と錬は調査を始めます。 二日間だけの“探偵コンビ”結成――春風と錬は「二日間だけ」協力して犯人捜しをすることに合意します。ふたりは大学内・周辺の購入者リストや当日の行動を洗い、ストラップ所有者の聞き取りを一軒ずつ進めていきます。聞き込みを通じて小さな糸口を拾って行きます。 やがて顕になるのは、単なる引ったくりという事件ではなく、大きな詐欺組織、そして社会事象でした。 春風、錬、理緒と言った愛らしい登場人物のそれぞれの過去や苦悩を通じて、犯罪と私たちを描いていきます。 物語の登場人物たちは皆、「闇の中」に生きています。彼らは皆、人生の「太陽」を闇(=罪や嘘、悲しみ)に覆い隠されています。 でも完全な“皆既日食”ではなく、どんなに闇が深くても、わずかに残る光=希望や人間らしさがある。この“消えない光の輪”が、「金環日食」というタイトルに込められている、そんな風に感じました。 ちょっと話は入り組んでいて、わかりづらかったかな。

    4
    投稿日: 2025.10.05
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    ひったくり現場に居合わせた二人が二日間だけのコンビを組み犯人を見つけるだけの話と、、、思っていたら、、、もっと深い闇が 前半は軽く読んでいたのが後半は重い物語に 人の見えない部分の闇、葛藤、嘘、罪、 誰かを騙して生きるその先とは、 単純な物語ではなかった あと、舞台は北海道の札幌で個人的には馴染み深い場所もあり、いろんな面で楽しめた

    0
    投稿日: 2025.10.03
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    気になっていた作家さんだったので読んでみた。題名もなんか思わせぶりでミステリーとは思わなかった。 詐欺が重くのしかかる。序盤は春風と錬の探偵風で明るく進んでいくが、理緒のパートに入ると一気に暗く重くなる。 が、カガヤの謎や2つの話が絡み始めると一気にのめり込んでしまった。 錬と春風の背景も深く、特に最後春風の足掻き振りは刺さる。 そんな簡単に人は変わらない。劇的な出来事があろうとも。ペンを持ち続ける春風に納得できる。それでも変わろうとする姿勢は共感できた。ゆっくりでいい。 最後まで謎だったカガヤもすごく魅力的だ。

    23
    投稿日: 2025.09.25
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    そうきたかー!!って感じ。 文章が読みやすくてサラサラ進むし、途中からは先が気になって気になって、積極的に時間を作って読んだ。 いろいろあるとそんな考え方になるのかなぁ。 どんでん返しもあって、おもしろかった〜

    0
    投稿日: 2025.09.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    たまたま引ったくりの現場に居合わせ、犯人を追うことになった春風と錬のパートと、家族を支えるために悪の道へと引き込まれる里緒のパートが交互に展開されていく。春風の方が軽妙な分、絶望感漂う里緒の方は胸が痛くなる。その対比が物語により深みを与えている。 二つのパートの温度差と、これがどのように繋がっていくのかが気になりどんどん引き込まれていく。錬の秘密を知るあたりからは特に一気読み。

    1
    投稿日: 2025.09.12
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    すごく面白かった! タイトルからすぐに内容が想像できる安易な話ではなかった まさかまさかと話がリンクしていく 時には予想をしなかった繋がりも出て来てすごい!と唸っちゃった 誰にでも人に言わない、見せてない一面があるだろうし  いい面も、悪い面もある どの視点からとらえるかでいろんなことが変わってくる 見えないところにも目をこらして、想像したいと思わせた本でした でも、、、詐欺はいけん!

    1
    投稿日: 2025.09.05
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    面白い作品見つけたー!!!! ばらばらに散らばっていたピースが 嵐のような激しさで繋がっていく… 白と信じていたものが 次々とひっくり返り 見る間に黒く染まっていく… じつは命や人生というものは 綱渡りのような偶然の上に成り立って いるのかもしれない… 人は孤独で そばに誰がいようと… 誰にも頼れないことはたくさんある むしろ…そんなことばかりだ! 自分の痛みと…誰かの痛みを 互いに分け合うことができないように… 人が欲望を捨てられない限り 誰かを信じようとする限り… 人が騙し騙されることは きっと永久になくなることは ないのかもしれない それでも… ___『 信じて… 』と 力強く訴えた主人公を通して 阿部暁子さんの思いが込められて いるように感じた!

    0
    投稿日: 2025.08.27
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    知人の老女がひったくりに遭う場面に遭遇。 大学生の春風は犯人を追うがもう一歩で逃してしまう。 わずかな手がかりから犯人を捜すが、 事件は全く違う貌を見せて……。 内容のわりには余韻が少なかった作品。 登場人物たちがそれぞれ「良面」「悪面」を 持っていて、それが伝聞でもなく実際の出来事として 作中にしっかり描かれている。 完全な善人も完全な悪人もいない、といった メッセージだろうとは思うのだけれど、 ちょっと克明に描かれ過ぎている。 サイコロの1の面と6の面だけを見せられている感覚。 個人的には作品内で描かれる「よくないこと」に対しては、 自分なりの立ち位置を考えながら読みたいのだけれど、 次から次に押し寄せてくる辛い状況に対して、 自身の立ち位置を明確に描けなかったことも 読後に浸れなかった要因だった気がする。

    0
    投稿日: 2025.08.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    闇バイト・詐欺事件が溢れる昨今で、そのリアルな世界を垣間見れる作品。 真面目な普通の人が、どんな動機でその世界に足を踏み入れ、そして抜け出せなくなっていくのか…。 これだけ詐欺事件の報道があっても騙される人が絶えない。これまでは、「楽して金が手に入るから」「騙される対象(金があって、認知機能が低下)の人が多いから」が主な理由だと漠然と思っていたが、この作品を読んで、『人を騙すのが楽しくて、面白くて、止められない人がいるから』という想いの方が強くなった。 阿部暁子さん、まだ書きたいことが多すぎて、若干空回りしているところも感じたが、洗練されてくると好きな作家さんになりそうで楽しみだ。

    1
    投稿日: 2025.08.24
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    最初はつまらないなーと思った。 特に会話が、私たちこんなウィットに富んだトークもできるのよ、と見せつけられてるような… アニメっぽい?ライトノベルっぽい?感じ。苦手。 理央の章に入ってから雰囲気ががらりと変わり、ミステリぽさが出てきてよかった! 闇バイト、性犯罪、特殊詐欺、誘拐、貧困世帯などの社会問題を絡めながら、前向きに綺麗にまとまっていた。

    1
    投稿日: 2025.08.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    リズムが良いので一気には読める。 奈緒が良い子。春風の母親の描写も上手い。毒親では無いけど…ていう塩梅が。 ただ、会話劇が苦手だった。どう?ユーモアあるでしょ!?という感じが厳しい。 名簿には実際電話かけていないのであれば、何故皆川にバレたのか? 私の読解力がないのかもだが、ミステリーとしては整合性とれていると言い難いように感じた。 テーマに沿って丸く収めるための物語という印象。 「北海道万歳」とは道民は特に思わない。海鮮の美味さは当たり前だから。 東方線沿いにある店にいくのであれば、大通集合にしない。態々乗り換えがだるいのでさっぽろ駅で待ち合わせると思う。 それと高校生と打ち上げ的な食事に寿司は選ばない、焼肉食べ放題の方が自然。 電話番号「011」に態々「北海道で使用されている電話番号」と説明入るのも冷める。 無理に北海道要素を詰め込んでいるのかな?ていう違和感があった。作者も北海道出身だったら申し訳ないけども。

    0
    投稿日: 2025.08.19
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    「くせのない髪、聡明そうな黒い瞳」なんて 描写される北原錬。 まるで、女子マンガのイケメン主人公のような 登場ぶりだが、読み進めるうち、そのカメレオン顔に、 引き付けられていく。 いくつもの表情を持ち、本当の彼はどれ?と、 揺さぶられる。 主人公で女子大生の森川春風は、お姉さん的立ち位置で、 巻き込まれながらも、結構、冷静に錬を見ている気がする。 ひったくり現場に遭遇した二人が、犯人を捜すうち、 特殊詐欺だの、性犯罪だの、貧困だのと、不穏な雰囲気が しのびより、登場人物が抱える闇が浮き彫りになる。 非日常な物語ではあるが、日常も非日常もどこかで つながっている気はする。 一歩間違えば、生まれる場所が違えば、ワタシは 彼女や彼になった可能性もある。 ただ一つ、どんな闇や傷を抱えていても、錬には 弟と妹が、春風にはお兄ちゃんが、そして理緒にも 姉を思う妹がいることが、本当に、救いだ。

    2
    投稿日: 2025.08.18
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    こういうミステリーが読みたかった。 事件が起き、その事件の先には大きな事件がありって展開。 心に傷を持った2人の若人。 その2人の心の闇も良い感じに影響していて。そして、我が故郷が舞台なのも嬉しい

    12
    投稿日: 2025.08.13
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    序盤はライトなバディもののミステリかなと思い、正直軽い気持ちで読み進めていたのだけど、第二章あたりから徐々に不穏な空気が漂い始め、中盤以降はあれよあれよという間にものすごい展開に。プロットは相当練られており、これがほぼ初めてのミステリ作品というのは驚きだ。 作中では現在社会問題化しているある犯罪を扱っており、その具体的な中身はここには書けないが、ニュースなどで目にする内容から一歩踏み込んだ描写もあって、よく調べられていると思う。 全体を通して文章はリズムがあって読みやすく、キャラクターの描き分けがちゃんとできているので登場人物それぞれに個性を感じられる点も素晴らしい。一方で、個性を生かそうとしすぎたせいか、主要登場人物である高校生と大学生の男女の会話が少し大人っぽすぎる気がして違和感を覚えたことと、物語の展開において作者の誘導が恣意的て不自然に感じられた箇所がいくつかあった点が気になった。 それでもマイナス部分を補ってあまりあるだけの魅力を備えた作品だと思う。何の文学賞にもノミネートされなかったのが不思議なくらい。

    1
    投稿日: 2025.08.12
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    ひったくり事件が違う事件と繋がるおもしろさと、何度も起きる反転に、何度も驚かされた。 特殊詐欺の本当の闇も、鳥肌が立つほど思い知った。

    28
    投稿日: 2025.08.09
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    「カフネ」で本屋大賞を受賞した作家の「カフネ」より以前の作品。しかもミステリである。 この作家は青春小説も人生に焦点を当てた作品も、そしてこのようなミステリも描ける多彩な作家と感じる。 大学生、高校生を主人公に「詐欺」という犯罪をテーマに人間の奥深い闇の部分を描いているが、重たくなりすぎず、未来に希望を感じさせる終わり方をしている。これがこの作家の特徴とも言える。 青春小説と思わせならが、ミステリへと引き込んでいく展開で、最後まで読者を飽きさせない。 ミステリに限らず、次の作品が待ち遠しい。

    0
    投稿日: 2025.07.28
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    力作。登場人物それぞれの過去が次々に明らかになっていって息をつかせない。暗さと希望が混じり合って独特の読後感に浸れた。カフネに劣らないと私は思う

    0
    投稿日: 2025.07.23
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    面白い! 本屋大賞をとった「カフネ」を書いた作者さんだったので、期待値のハードルを上げて読み始めたけど、きっちり超えてきて、良かった。(まあ、個人的にはカフネの方が好き)。 読んでてとても楽しかったし、驚く展開に感動すら覚えた。登場人物たちが皆魅力的で、途中あまりに好きになれないなあと思ったキャラも最後はスッキリと受け入れることができた。 とっても人間的な魅力を描くことが上手い作家さんだな、と改めて思った。 物語は主人公の春風(はるか)が、近所のお婆さんがひったくりに会う場面に遭遇し、そばにいた高校生の北原錬(れん)と一緒に犯人を追いかけるところから始まる。残念ながら犯人は取り逃がしてまうのだけれど、犯人のポケットからこぼれ落ちたストラップ。それは、春風が通う大学の文化祭で写真部が手作りで作って販売した限定品だった。そこから、春風と錬の犯人探しの捜査が始まる。 といった導入部分。 最初の方は、大学内のいろんな部活の人間に聞き取りをして行って、犯人を導き出していくオーソドックスな学生探偵ものな展開だった。ちょっとライトノベル的な軽い感じだったので、「ん、ちょっと期待外れだったかな」と不安になる。 ここで場面は変わり、母子家庭で、母と妹と一緒に暮らし、貧しい家庭を支える理緒(りお)という大学生が主人公の章が始まる。居酒屋で一生懸命アルバイトしながら家計を支えていたけど、ある事件をきっかけに限界を感じてしまう。居酒屋にきていた怪しい常連客の男性に助けを求め、グレイな世界に踏み込んでしまう。というちょっとダークな展開。 読み進めると、この主人公同士の話が交錯していって、とても面白い展開となるんだけど、そこがとても面白い。登場人物の過去の出来事や因縁めいたものが明らかになってくる。それにつれて、一つの単純なひったくり事件と思っていたものが、全く違う側面を帯びてくる。それぞれの登場人物の意外なつながりが出てきて、展開の仕方がとても面白かった。章ごとに新事実が明らかになって、真相と思っていたことが、また違った事実になってきたり、と。多分こういう展開だろうなーと思っていたところを裏切ってくれる。とても心地良い読書体験だった。良書。 阿部暁子さん、恐るべし作家さんだ。他のも是非読んでみたい。 ちなみにこの本の舞台は北海道の札幌市になっているが、自分がちょうど北海道旅行の最中に飛行機の中で読み始めたので、とても内容がシンクロして良かった。 表紙の北海道大学のイチョウ並木も見れたし(夏なので緑だったけど)、出てきた地下鉄の駅にも行っし、がっかりポイントの学校内のクラーク像の前で写真も取れた。 このタイミングで読めたのは、唯一無二の読書体験だった。まるで登場人物がそばにいるような。 本の中の舞台と同じ場所を巡りながら読む、これは面白いな。

    10
    投稿日: 2025.07.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み進めるにつれて、どんどん引き込まれていく内容だった。特に春風にはとても心惹かれる。人には色々な顔があるし、どれだけ近しい人間にも知らない一面はある。置かれた環境によって大きく変わることもある。心に闇や傷を抱えない人も、正義しか持っていない人もきっといないだろう。人が持つ信念なんて弱いもので、すぐ壊れてしまう。それでも、自分自身が胸を張って、前を向いて歩いていけるような生き方をしたい。大切な人に顔向けできないような生き方はしたくない。 綺麗事だけ並べて生きていくことはできないし、人のことを信じることが幸せに繋がるとは全く思わない。でも、どんな環境でも、誰と出会っても、自分で自分を律する。そして、絶望の中にいたとしても、一度裏切られたとしても、人を信じたいという気持ちを決して忘れてはいけない。そして、誰を信じるか、間違えてはならないなと改めて感じさせられた。

    1
    投稿日: 2025.07.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1章から2章にかけてポップなミステリーから重々しい社会派小説の雰囲気にガラリと変わるので読む手が進む。 ただ事件そのものはミステリーとしての構成が弱く引き込まれなかった。 ミステリーで味わえる高揚感や緊張感も感じることが出来きず評価は低め。 カガヤは謎は多いが正体や目的は何となく見当がつくので真相が分かるにつれて肩透かしを食らった気分だった。 最後もたいしたどんでん返もなく、終止単調で少しガッカリした。

    1
    投稿日: 2025.07.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ミスリードを引き起こすように少し強引に設定されていた 春風にも誘拐され傷をつけられた過去がある 鐘下実 あまりにも凶暴になりすぎる かがや(=皆川怜なりすましていた 妹が病気で入院し亡くなっていた 理緒と同じ歳ぐらい) フジサキ=錬=かがやの息子 最後まで集中して読むことができた 過去に何があったかは関係ない。肝心なのは、これから何を為し、どんな自分になるかだ

    0
    投稿日: 2025.07.12
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    登場人物が、みな、個性的で、惹きつけられた 上辺だけの綺麗さだけじゃなく、ドロドロしたところも、人間らしさがあって、物語に入り込みやすかった 展開も、惹きつけられた クスッと笑えるところもあって、一気読みしました 嫌なことがあっても、受けとめ方で、生き方も変わる 真っ直ぐ受け止めるより、斜めから見た方が、生きやすいかな、と思う

    12
    投稿日: 2025.07.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    個人情報流出と、よくニュースで耳にするけど、安易に聞き流して過ごしている毎日。最近読んだ「正体」にも個人情報を利用した詐欺のお話があり、良い人を見極めるのが難しい、というか、良い人っているのだろうか?世の中恐ろしい事になってきているな... 鐘下くんは良い人だな^ ^。

    25
    投稿日: 2025.06.29
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    目にしたひったくり犯を追いかけたが取り逃がしてしまった、大学生の春風と高校生の錬。二人は犯人を捜すため行動を開始する。 犯人と思われる人物が列挙され、読者に推理させる本格ミステリーあるいは青春ミステリーかと思っていたら、途中から表面では見られない事実が次々と明らかにされ、全く異なったミステリーとなってしまった。 タイトルの「金環日蝕」が意味をなしてくる。 登場人物それぞれが、心の中に他者には見えない秘密や闇を抱えており、見えているのは輪郭だけ。 春風が語る。 「私は、私を含めて、人間がわからない。私を誘拐した犯人がいる一方で、私を助けてくれた人がいる。私も、とても優しい気持ちになれる時もあれば、殺したいほど誰かを憎む時もある。心って何なのか。どれが本当なのか、それを知りたくて心理学の勉強を始めた」 それはとりもなおさず、読者である我々にも当てはまると言うこと。

    14
    投稿日: 2025.06.28
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    最初はスローペースで読んでいたが、だんだん話に引き込まれて、一気に読んでしまった。 登場人物の心情が細かく描かれている。 辛い過去を背負っていたり、辛い現実に直面していたり、その中で闇から逃れられない者、闇から立ちあがろうとする者、闇にのまれていく者様々で、それでも自分を想ってくれる家族、友人によって先に光が見えてくるのは良かった。

    1
    投稿日: 2025.06.24
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    点と点が繋がりまくって、心が締め付けられる部分もあったけれど、サクサク読めました。 信じたいけど信じることができない、疑いたくないけど疑ってしまう、、、信じることも、疑うことも、どちらも苦しくて難しいなと思いました。 だけど、100%信じる、100%疑う、じゃなくて、少し信じてみたり、少し疑ってみたり、、そんな風に自分を、調整して生きていけばいいのかな〜と。 希望のある終わり方で良かった〜〜〜!

    1
    投稿日: 2025.06.22
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    紀伊國屋書店で沢山面陳してあって推してるんだと思い「カフネ」を読んだこともあって手に取った 無鉄砲女子大学生が犯罪追いかける話 序盤キラキラ大学生ライフみたいな掛け合い 読んでてしんどかった 選ぶ本間違えたかと 読むのやめようかと思った けど二章あたりから雰囲気が変わって読みやすくなってくる 展開も二転三転 語り手も変えて なんか大きな犯罪になってくる 飽きさせないくらい息つく隙もない感じ 緊迫感もあって一気読み だけど後半強引だなと感じる所もあり… 主人公の大学生が(20歳)自身の辛い過去に向き合い心理学を学び錬と接し、そして錬と一緒に犯罪に関わって人生経験して成長するのが清々しい 「私は弱い。私は囚われている。私はそれを認める。けれど弱く脆い人間が、その弱さと脆さによって、立ちあがることができると私は信じる。」 「私は学び、努力し、時にゆらぎ、それを克服しようとあがきながら、私が変われるということを証明する。証明すると決意する時、私の未来はどんな鎖からも自由になり、無限の可能性をもって広がる。」 けど20歳そこそこでここまで言えることに違和感はあるかな 達観した年齢を重ねた年上の人のセリフだよね でもまぁおもしろかったです

    29
    投稿日: 2025.06.20
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    久し振りの一気読み。 読みやすく春風と錬の繋がりに引っ張られながら、いろいろな人とのやり取りに魅了された。 「金環日食」位言えて妙。

    1
    投稿日: 2025.06.20
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    何もかもグレーのグラデーションで、何一つ簡単には進まない、それでも、たぶん信じるってすごく大事なんだろう

    0
    投稿日: 2025.06.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    偶然遭遇したひったくり現場。大学生の春風は錬という高校生と共同してひったくり犯の調査を始めたが、その背後には大きな闇があった。 詐欺という犯罪に対して、騙す人、騙される人、末端で動く人、協力する人、巻き込まれていく人それぞれの面からの物語が描かれている。春風、北原家、志水姉妹などメインで動く人物が魅力的で、真相に近づくにつれて闇の深さに気付いていく展開がおもしろくて引き込まれた。結局「カガヤ」と対峙して捕まえるとか、詐欺をやめさせるという展開にはならなかったけど、事件に巻きこれまた人たちが前を向いて歩き始められる最後になった。今回詐欺に巻き込まれた人たちは、誰かに愛されていたり誰かを愛していたりしていて、本当に血も涙もないという人間はいなかったと思う。そういう人たちの身のうちにある小さな闇が集まって大きな闇が形成されている。終章でも述べられていた「信じたり、自分を戒める人々の祈りが、なんとか今日も世界を成り立たせている」というのが沁みる。

    0
    投稿日: 2025.06.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    同じ著者の「カフネ」が本屋大賞とのことだが、創元推理文庫マニアなのでこちらの新刊を購入 阿部暁子さん、初読み 開幕から妙に引っかかる比喩表現の多さと、会話の洒脱さがとても鼻につく ・不時着した宇宙船のような札幌ドーム ・食べ物をかすめ取った猫みたいな敏捷さ ・狩り場に放たれた黒い猟犬(みたいに加速する男) ・五線譜に並んだ音符の連なりみたいな小鳥たち ・髪が雄ライオン状態 以上6ページを読んで抜粋 会話のやり取りも、悪い意味で洒脱であり現実味がない 近年の創元推理文庫は全て買い揃えているはずだが、知らん間にレーベルの方向性と裾野の広さが変わった? とはいえ、これが探偵パートの「陽」であり、犯罪者パートの「陰」との対比効果を狙った賑やかしであることは読み進めれば明白なのだが、序盤だけ別人が書いたかのような出来 一方、家庭環境で金銭的に困窮した姉(妹)が闇バイトに手を出してしまう過程、そのシステムを構築する犯罪者や詐欺行為の詳細を描いた陰パートは読み入ってしまう 再びライトノ否、探偵パートに双子の妹弟が登場 もはや笑わせに来ている造形のキャラクター そんな感じで陰陽が並行して読了 ミステリーの要素を評価すれば、アリ 陰陽での一人二役は早々にバラす作者の意図を感じたのでさておき、黒幕の正体、父親を登場させない結末の2点が良かった >海外作家の書く面白い掛け合いに影響され、社会派小説でも明るさが保たれている。安易な綺麗事は書かない、読者に絶望はさせない タイトルと同じ様にあまりピンと来ない解説 正直何ヶ所かで笑ったけど海外作品というより(自重べ)で味わった記憶のある面白さ 明るさが保たれているのではなく陰陽のギャップが薄まっていた様に思えた この本の途中で絶望する読者はスーパーレアだと思うが、そうなるような読書体験は非常に貴重なので次作に期待 前情報が無かったため、高評価をつけた「トリカゴ」に続けての社会派ミステリということもあり激辛評価になったが許してください必ず次作買いますから創元推理文庫で出たらですけど

    0
    投稿日: 2025.06.03
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    ちょっと長く感じるところはあったけど、それだけ何度もえ!こっち!?あ!そっち!?と読みながらあっちこっちに予想を裏切られつつ…読んでいてなんだかこれこそ詐欺と言うか、騙されて騙されて、、 面白かったです!

    9
    投稿日: 2025.05.13
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    ちあきなおみの“喝采”が好きだ 全てにおいては、日本のいや、世界の誇る歌姫 美空ひばりには及ばないが、この一曲となると、 ちあきなおみのそれだ 僅か4分弱の曲だが、あたかも2時間半の映画を観たような、はたまた1冊の小説を読んだような錯覚に陥いる それぐらい濃密だ イントロからもう泣ける、歌詞と楽曲で号泣必至である “喝采”という歌は、二面性を持っている 聴衆からの喝采と犠牲にしたものへの後悔と 必ず光の裏には影が存在する 光と影、陰と陽、表と裏などの表現方法は、枚挙に暇がないが、世の中とはそういうものである 本書 『金環日蝕』★鬼5 も、人の二面性というものにスポットを当てた極上のミステリーである 表の顔しか見えない、若しくは見ようとしない、見る事が出来ない読者は、まんまと術中に嵌っていく 相変わらず、作中の会話のテンポも最高だ! 阿部さんという方は、素晴らしい作家だと改めて思い知らされた 凄い作品に出逢ってしまった 心の底から賛辞を贈るとともに 最大級の“喝采”を浴びせたい 今日も、街角のどこかで聴こえてくる 彼女の歌が耳朶を打つ 昨日も 今日も そしてこれからも‥

    63
    投稿日: 2025.05.11
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    なんというか、ジュブナイル小説のような読み心地 子供向けと馬鹿にしているわけではないです 読み終えてとても面白かったのですが、10代のころに読んでいたらもっともっと好きになっていただろうなと思える作品でした 解説の最後の一文に書かれた『安易な綺麗事は書かないけれど、読者に絶望はさせない』という表現が秀逸 まさにそんな作品 優しさにあふれた作品で、登場人物を思う時についつい慈愛の目で見てしまいます 例えばそれは、作中では描写されるシーンが少なかった理緒の母親のようなキャラクターにまで及びます その少ない描写以上の(そしてその描写の裏の事情を勝手に想像してしまえるほどの勝手な妄想力を以って)娘への愛情の存在を確信できるような、あらゆる人物が本当は心の底に持っている「他者を思う気持ち」というものを信じさせてくれるような、そんな作品でした

    8
    投稿日: 2025.05.06
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    解説が瀧井朝世さんで、著者の執筆の歴史を詳しくたくさん書いていてとても興味深い。 そもそもの始まりは中学時代の歴史参考書からで、 高一の時に頼朝と義経が登場する短編小説で、全国高等学校文芸コンクールで入選。 現在に至るまで書き続けている。 そして幼い頃から、大変な人見知りな性格という。 デビュー以来ずっと講談社で書いていた頃、ミステリーの老舗、東京創元社から初依頼があり、「折角だからミステリーを描こう」.と思い題材は「詐欺」ということでの「金環日食」。 物語の始まりはひったくりを目撃した女子大学生と、男子高校生が犯人を追うところから始まるが、だんだん「詐欺」と関係してゆく。 464ページある小説だけど、テンポよく色々なことが起こり、あっという間に読めてしまった。 すごく面白かった。

    27
    投稿日: 2025.05.05
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    素晴らしい1冊でした!分量あるのに読みやすく2日くらいで一気読み。はじめて阿部さんの作品を読みました。春風と錬のバディもので、二人とその周りのキャラクターもいいなぁと楽しく読み進めていたら、もっとその先に複雑に絡み合うドラマがあって、最後まで飽きることなく惹きこまれました。おすすめ。

    1
    投稿日: 2025.05.03
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    2025本屋大賞受賞阿部暁子さん初ミステリー。札幌ドーム近く住宅街で近隣老女へのひったくり事件に遭遇し犯人を追う地元女子大生春風と男子高校生錬。現場に残されたパトローネ手掛かりに北海道大学らしき大学サークルで聞き込みに、振り込め詐欺との関連を突き止める。ライトな会話と後半怒涛の展開に一気読み。 

    2
    投稿日: 2025.04.30
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    本を選んでいる時に稀にある大当たりと言う感じだ。 初めて読む作家だった。何で手に取ったかは、きっと書店側が目立つ所に陳列してあったからだと思う。 「ここですべて終わるはずだったが、、」それが次々と物語が展開していく。予想を裏切られる面白さがあった。

    8
    投稿日: 2025.04.28
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    今話題の『カフネ』の阿部暁子さんのミステリーです。コンパクトな期間に起きた事が書かれていてすっきりしています。主人公が大学生、登場人物も基本若い人です。しかし内容は幼くなくて主人公には私は好感が持てました。しかしこの人は良い人、この人は悪い人みたいな単純な描かれ方でないところが魅力だと思う。

    18
    投稿日: 2025.04.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    登場人物はみな何かを抱えていて、 けどそれがないように振る舞う。 何事もないように隠し続ける。 でも実際はものすごく傷ついていて、 それでもなお誰かを守るために必死でいる。 これはあくまで物語だけれど、 いま闇バイトとされるものに手をつけてしまう人の中には、彼らと同じように悪いことだと分かっていてもせざるを得ない人もいるのかと考えさせられました。 そして最後まで読んでから表紙の写真をみて、 どうしてこの表紙になったのか、分かった気がします。 最初は若い男女がメインっぽいのに、綺麗だけど渋めな表紙だな〜と思いました。けれど読み終えてからまた見るとハッと考えさせられる思いです。 春風たちと同じ年代の人はもちろん、 学生を守れる立場にいる人に読んで欲しい作品だなと思いました。

    1
    投稿日: 2025.04.24
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    カフネ本屋大賞受賞記念、著書過去最高傑作の「金環日蝕」を読んで見た。本格ミステリー、サスペンスなどでもないように思いました。ひったくり犯を偶然追っかけることになった大学生と高校生が紆余曲折あり探偵まがいの犯人探しがハラハラドキドキでした。あなたも読んで金環日食の深い意味を感じて下さい。

    16
    投稿日: 2025.04.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ミステリー、犯罪小説、人間ドラマ…どれにも当てはまりそうでそんな枠には囚われていない。いろんなことが転換して繋がって、それが鮮やかで、面白い小説だった。

    1
    投稿日: 2025.04.15
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    ひったくりの現場に居合わせたことからはじまる社会派ミステリ。 「カフネ」を思わせる軽快な会話を楽しんでいたと思ったら、特殊詐欺など次第に重い展開へ。理緒のパートなど読んでいてしんどくなる部分もありましたが、希望を見出だせる所がよかった。

    14
    投稿日: 2025.04.12
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    詐欺を題材にした作品。 詐欺に関わってしまうかの境界線は曖昧。 人は見えない辛さ悲しみを抱えてる。それでも、人を騙すことはしてはいけないよという内容。 第一章はワクワクしたけど、第二章以降は重ため。

    0
    投稿日: 2025.04.06
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    健康的な女子大生と賢そうな男子高校生による「日常の謎」に挑む系のミステリーかと思ったら 相当に重厚なストーリー。 色々考えさせられる。

    0
    投稿日: 2025.04.06
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    最初から読みやすく引き込まれたが、後半は伏線など更に引き込まれた。 最初は単なるミステリと思いきや、貧困や差別、犯罪に巻き込まれた人の苦しみなど、深いドラマ要素も満載で、面白かった。

    0
    投稿日: 2025.04.05
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    舞台は札幌 北大に通う女子大生がひったくりを目撃、犯人を追うと高校生が助太刀に現れる。落ちていたキーホルダーを手掛かりに犯人探しが始まる。 犯人は北大生だと分かるが、そこから特殊詐欺、高校生の父親、これが天才的な詐欺師の姿、が見え隠れして、二人はすったもんだの末、真犯人に辿り着く。 意外な展開の連続、面白い

    0
    投稿日: 2025.04.02
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     すごかった。序盤は軽いタッチのミステリ物になるのかなと思いながら読み進めていたならば。引き込まれた。心が苦しくなるほどの絶望に打ちのめされ、悪に手を染めてしまう境遇に心を痛めた。勧善懲悪なんて綺麗事。それでも信じたい気持ちを持つことの覚悟。読み終わって深いため息が漏れた。

    2
    投稿日: 2025.03.26
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    この本のジャンルが分からないのですが、それでも面白いし話の内容が自然と入ってきて話に集中ができる素晴らしい作品でした。 様々な言動が全て後の伏線として繋がってるところとかも細かいところまで配慮が行き届いていて、一回も疑問に思いながら読み進めるということがなくあっという間に読み終わりました。 今後もこういう作品を期待したいです。

    2
    投稿日: 2025.03.24
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    カフネ、カラフルと読んできて毎回楽しましてもらっている阿部暁子さん。読みたかった本作も文庫化ということで早速購入。 今回のジャンルはミステリでまた毛色が違いますが、筆者の特徴でもある軽快な会話の掛け合いは健在でした。ただ、それもあってか前半はミステリとしては軽すぎるかも、という印象。中盤以降登場人物が増えるに従って緊迫感は出てきますが、ミステリ要素はそこまで強く無いと思います。 それよりもタイトルで表現されている、人の内面性がこの小説の主題なのでしょう。登場人物の表、裏をかなり意図的に描いていたし、物語の核にもなっていました。 物語通しての評価は少しスッキリしない感じ。今まで読んだ2作から、スパっとした結果がでるのを無意識に期待してしまっていたのかもしれません。

    33
    投稿日: 2025.03.20