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私が語りはじめた彼は(新潮文庫)
私が語りはじめた彼は(新潮文庫)
三浦しをん/新潮社
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総合評価

261件)
3.5
36
84
92
23
4
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    このレビューはネタバレを含みます。

    予言。椿の言葉は予言のようだった。世界が滅ぶとか、みんな死ぬとか、そんな不吉なもんじゃない。雨が降る前には雨のにおいがするように、朝の光より早く鳥が囀るように、だれのことも脅かさない予言。 愛された日の記憶を、そっと呼び起こすための言葉。 でももちろん、俺たちは黙っていた。照れがあったし、心がつながりあったと感じられる瞬間は、流れ星よりも速くどこかへ去ってしまうものだから。 それにもかかわらず、山の木々は霧雨にけぶって、打ち寄せる夜の海みたいに美しいのだ。俺たちは小刻みに震えながら、助けが来るのを待っていた。 「あの、村川くん」 「なに」 「痛くて泣きそうなんだ。なにかしゃべってくれない」 「なにを」 「なんでもいいよ。なにか気が紛れること」 俺はしゃべった。猛然としゃべった。予言のこと。妻と子のこと──恥ずかしいから、名前は出さなかった──。幸せな生活。予言は必ず果たされること。滅亡する世界。必死に逃げる人々。 焼熱の一瞬に焼き尽くされるのと、長い冬が地表を覆うのと、どっちがいいか聞くと、椿は「冬」と答えた。 サイレンの音が響きわたるまで、俺はしゃべりつづけた。洞窟に逃げこんだ家族のこと。木ぎれを見つけて苦労して火を点けたこと。寄り添って寒さをしのぐ。雪はどんどん積もって、夜も交替で洞窟の入り口の雪かきをしなきゃならない。捕まえて食ってた鼠や犬も、とうとう見あたらなくなった。ある晩、もう雪かきをするのはやめようと家族で話しあう。体をくっつけあって横たわり、眠りながら死んでいく。雪は地球上を全部真っ平らにするまで降り続く。 田んぼの中で発見されて、椿と一緒に救急車に乗りこんでもまだ、俺はしゃべっていたかもしれない。俺を救ったのは救急車じゃない。椿だ。今夜の椿の言葉と行動のすべてが、俺をなにか真っ黒いものから救ってくれたのだ。永遠に。そう感じた。だから必死で言葉をつむいだ。 世界の終わりの情景を、椿は黙って聞いていた。 予言、あまりにも輝きすぎている。6篇の中で最も透き通っていて眩しすぎて、痛々しいくらい。 家族という一つの世界が壊されどうしようもない中で、思いもよらない相手、椿と出会い、その出会いがもたらすものによって最悪な日々は終焉を迎える。 呼人の、家族というものに囚われて身動きが取れない不自由さ、その純粋さが痛々しかった。高校生の頃は家族とか友達とか、自分を取り巻く環境、その狭い世界が自分にとって全てで、そこから逃げ出すことはできなくて、支配されていて身動きが取れないみたいな、そういうのに苦しむ呼人、そして椿の二人の友情をずっと見守っていたい、、という気持ちにさせた。 三浦しをんは綺麗なBLとか百合を書くのが上手すぎる、、ずっとこういう世界に浸っていたい。

    0
    投稿日: 2026.01.10
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    なんというか、心が冷たくなる感じ。でもそれが決して不快なわけではなく、ある意味落ち着くというかなんというか。不思議な感覚です。 連作短編形式で、村川融を軸としてつながりがありますが、その村川自身のイメージがふわふわとしています。どことなくミステリー仕立てですが、合理的な解釈を求める小説ではなさそうです。怪文書の謎は、読者に委ねられているんでしょうかね。リドルストーリー的な感じかな。嫌いじゃないです。

    0
    投稿日: 2026.01.06
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    アドレナリンジャンキー、口論好き、脳が活性化 物事を一歩引いて俯瞰的に見ること、馬鹿にしていると言われる、そこに皮肉が入っているなら確かにわざと馬鹿にしていると思う、そうでないなら感情的になっている自分の理屈が馬鹿だと気づいている人間の発言、あ、でもこれって馬鹿にしてるのか? 理屈型の人間が感情型の人間を馬鹿にする構図はどうしても起こるのでは。 だからこそ、馬鹿にされないためには常に冷静でいること。 "食卓を囲みながら、私は思った。図太くも地道なその行為が、だれかとともに生きるということなのだ。" 実は毎日は変化の繰り返し。人は、景色は、変わっていく。

    0
    投稿日: 2025.11.11
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    2025/10/17 多くの女を狂わせる男は、やはりわたしの心にも強い印象を残した。村川本人に関する記述はそれほど多くはないものの、それを取り巻く人物たちの、多様で複雑な考え/生き様をすこしずつ覗くことで村川の像がなんとなく見えてくるような、うつくしい物語だと思った。ひさしぶりにこんなに長く時間をかけて1冊の本を読み上げたが、1日で読んでしまうよりよかったかもしれないと思う。

    4
    投稿日: 2025.10.17
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    書ききらないことで余白を残す作品。 どの章も、解決しないこと、わからないことばかりが残る。だがそこが良い。 それが作品の余白、行間なのだと気づかせてくれた小説。

    0
    投稿日: 2025.10.01
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    とある大学教授の男性によって揺さぶられる部下、家族、不倫相手達が、各々の愛の空虚さに惑い、それでも何かを守ろうと争う連作集。 平たく言ってしまうと不倫ものであり、おまけに主人公達は基本「不貞によって傷付く側」なので、じわりじわりと辛い読書だった… ラストではほとんどの人々が自らの感情になんらかの折り合いをつけ、世間一般の『愛』とは違っても、せめて『繋がりあう』ことを望んでいく その答えになぜ辿り着けたのか、すぐに納得できた話もあれば、よく分からなかった話もあった この『よく分からない』というモヤモヤ感こそが、愛というものの複雑さそのもの…なのかもしれない 誰も彼もが、うっすらと不幸。そんな(...)

    0
    投稿日: 2025.09.12
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    評価が分かれる、そうだろうねえ。正直わたしもちょっとよくわからなかった。集中力不足だったかもしれないけど。でもしをんさんの文章がうまいので、なんとか最後まで。

    2
    投稿日: 2025.05.23
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    特に男前というわけでない大学教授、村川先生を取り巻く人々が語る村川先生とは。 なぜそんなに執着され、嫉妬の対象となり、欲しがられるのだろう? 先生目線の物語はなく、先生の人柄は謎のまま。

    1
    投稿日: 2025.05.18
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    登場人物の感情が生々しい物語でした。 物語は、複数の人間の視点から描かれています。 皆んな、何かを求めて、信じて、裏切られて、疑心暗鬼になって、それらが1人の大学教授によって翻弄されます。 スラスラ読めました。

    1
    投稿日: 2025.04.13
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    スラスラは読めたが割とずっと暗いし嫌な感じ。 語り手によって大きく印象が変わる系かと思いきや、そうでもなく。

    1
    投稿日: 2025.01.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    澄んだ人間を描くことが多い三浦しをんさんの著作の中では珍しく、男女の愛憎をはじめとした人間関係の軋轢、葛藤が数多く描かれた作品。 舟を編むや月魚などのような学術分野、職にフォーカスする作品ではなく、人の心の揺れを細かく描いている。

    0
    投稿日: 2024.11.30
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    愛情と情愛は違うなーと。 セックスは男と女のものではなく獣と獣の本能によるもの。 でも愛は違う、人が人に求め手に入らないともがくもの。 ある種の女にはたまらない魅力、味わってみたいと思う。甘美なのかそれとも苦渋なのか。村川という男には一種のカルト的な魅力があったのでは、それとも女ではなく雌を刺激するなにかがあったのだろうか。 出会ってみたい、村川のような男に。

    0
    投稿日: 2024.09.28
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    面白かった。村上自身は穏やかな?人物なのかもしれないけど、周りに村上みたいな人はいてほしくないなぁと思った。

    0
    投稿日: 2024.09.21
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    2年くらい前に古本市で出遭ってからずっと積読してた一冊。きみはポラリス、も読まないとだな。 彼女の作品をデビューから追っかけたくなる。まほろ駅前多田便利軒、読みたくなる。魅力的な作品だった。愛は美しいのか醜いのか、人を愛するとはどういうことか、私たちはどう生きていくべきなのか、それを追求する普遍的メッセージ性が感じられる。

    1
    投稿日: 2024.08.24
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    何故かモテる大学教授を好きな女性たちの連作短編集 以下、公式のあらすじ ----------------------- 私は、彼の何を知っているというのか? 彼は私に何を求めていたのだろう? 大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘――それぞれに闇をかかえた「私」は、何かを強く求め続けていた。だが、それは愛というようなものだったのか……。「私」は、彼の中に何を見ていたのか。迷える男女の人恋しい孤独をみつめて、恋愛関係、家族関係の危うさをあぶりだす、著者会心の連作長編。 ----------------------- 収録は以下6編 結晶 残骸 予言 水葬 冷血 家路 古代王朝の研究をしている村川教授 彼は何故か女性にモテる そんな大学教授を好きな女を間に挟んだ男達視点の連作短編集 妻、浮気相手、義理の娘、娘 彼女らを介して見える不思議な村川像 読み終わってみても「よくわからない」という感想 どう読めばいいのかわからない 感情をどこに置けばいいのかわからない 村川という人物の輪郭が見えない 同一人物を表しているとは思えない描写がいくつかある 人によって、特に女性によっては彼の見え方が違うのだろうか? 何故村川は彼女らにとって魅力的に映るのだろうか? 再婚相手とその義理の娘 本当にそんな対立があったのだろうか? それに対して村川は何をし、どう思っていたのか そこは想像するしかないわけだけれども、何とも怪しいものを感じる モテる男が出てくる小説といえば、川上弘美「ニシノユキヒコの恋と冒険」を思い浮かべる でも、あっちはプレイボーイ然としたところがあるので納得感がある でも、村川の場合優男ではあるが、それがモテる理由かと聞かれるとそうでないようにも思える 今作をより不思議なものにしているのは、村川を好きな女性視点ではなく その女性に関わる男視点で描かれているところ うーん、やはりよくわからないなぁ

    2
    投稿日: 2024.05.13
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    不倫を繰り返す大学教授の周りに生きる人たちが主役の連作短編 そこに描かれるのはドロドロの熱情ではなく、虚ろな執着と少しだけ熱を残した諦念であるように自分は感じた 文章がとにかく良い

    2
    投稿日: 2024.04.06
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    とにかく村川という人物はなんだったのかと言うことにつきる。 村川に少しでも翻弄されたり関わった登場人物お疲れ様でした。 と言うしかない

    2
    投稿日: 2024.02.12
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    村川という教授?先生?に関わる人たちの短編集でした 全ての話に出てくる村川は同じ人物なのか時間軸が違うので少し分かりにくかったです 初めに感じたのは村川はなんて勝手で酷い男!色んな人を不幸にしてる! とも思いもしましたが、逆に色んな人に愛されもしてるんだと理不尽さも感じ、そういう生き方も良いのかもと思いました 水葬で綾子があっけなく海にのまれたのも驚きでしたが、一番好きなのは何となくしこりを感じる様な残骸でした 三浦しをん作品をもっと読みたいと感じる作品でした

    1
    投稿日: 2024.01.24
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    三浦しをんさん初読みだったかも。不倫を繰り返す大学教授とその不倫相手たちに振り回される人々を主人公に書かれています。不思議展開も多く、あまり好みではなかったです。息子さん視点の話が一番良かったかな。他の作品も読みたいとはあまりならなかった。

    2
    投稿日: 2023.05.07
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    さて、突然ですが、あなたは次のような言葉を聞いて話題に上がっている一人の人物をイメージできるでしょうか? ・『村川はいい加減ですが不真面目ではない』by 妻 ・『父は決して偉ぶることがなかった』by 息子 ・『本ばかり読んで、夢見がちで自分勝手な男』by 義理の娘   ・『先生はさびしくて繊細』by 浮気相手  それぞれの関係性から見た同一人物を表したこれらの言葉は、一見同一人物を表しているようにもそうでないようにも感じられます。 私たち人間には、さまざまな顔があります。悪い意味での表と裏ということではなく、それぞれの関係性に合わせた顔という意味です。そこには、長く一緒にいればいるほどに見えてくるものもあるでしょう。付き合い始めたばかりの恋人、初めは良いところばかりが目に入って熱を上げたものの、次第にマイナス面が目立ってきて結局別れに至る、そんなことは決して珍しくありません。また、本人が意識して特定の人の前ではある理想の姿で振る舞っているという場合もあるでしょう。その場合には、正体がバレてビックリ!という未来が待ってもいるかもしれません。人というもの、その人の本来の姿というものを理解するのもなかなかに大変です。 さて、ここに、一人の大学教授が影の主人公となる物語があります。妻と息子、娘の四人家族だというその男性は、やがて浮気相手とその子どもの元へと去ってしまう…そんな前提の物語が描かれるこの作品。そんな男性とさまざまな繋がりにあるさまざまな人物が視点の主を務めていくこの作品。そしてそれは、そんな大学教授に一度も視点が移らない中に、そんな人物の存在が読者の頭の中に徐々に浮かび上がっていく物語です。  『奥さん、いかがです。思い当たることがあったら、どんなことでもおっしゃってください』と、『ついに焦れて』『言葉を発した』のは、この短編の主人公・三崎。『それでも口を開く気配は』ない彼女に『思い当たることは…』と再び言葉を発すると、『たくさんありもするし、なにもないとも言えます』とようやく彼女は言葉を発しました。『彼女に会うのは、数年』ぶり、『もう五十に手が届く年齢』という彼女は『村川はなんと言っています?』と『私の持参した紙を手にとって』続けます。それに、『先生は何もおっしゃいません』と三崎が言うと『三崎さんもご存じでしょう… 私が村川の数ある女の一人になっていることを』と返されます。『どう答えたものなのか』と三崎は逡巡しますが、『先生はいま、非常にまずい立場に追いこまれています。その手紙…怪文書のせいで』、『このままでは先生は、大学を去らねばなりません』と続けます。それに『三崎さんも大変ですね… 村川の私的な厄介事のために奔走して』と言う彼女は『村川が大学を追われたら、あなたの学界での出世にも響きますか』と三崎の立場を気にかけます。『先生がいなくなったら、いまの大学で僕が講師の職に就くことは難しくなるでしょう』と返す三崎。そして、三崎は『滲んだインクで綴られた』便箋を開きます。『大学関係者ナラビニますこみ各位。○○大学文学部歴史学科東洋史専修専任教授村川融ハ教育者トシテフサワシカラヌ人物デアルコトヲココニ告発スル…』と始まる便箋には『修士課程二年倉橋香織ト一年半ニワタリほてるデ兎ノゴトクマグワイ続ケタ…』と綴られていました。『数社の週刊誌にこの手紙のコピーが送られて』いることを告げる三崎は、この手紙を書いた主が誰であるかの心当たりを村川の妻に尋ねに訪れたのでした。そんな中で、彼女は『太田春美を知っていますか』と『意外な名前』を持ち出します。『太田さんは、結婚しています』と言う三崎に『私だって村川と結婚しています』と返す彼女は、『ほたるが盗み撮りした写真です』と、『昼下がりのホテルのロビー』を写した写真を取り出しました。さらに、彼女は『カセットテープを取りだ』し再生すると、そこからは、村川と女性の声が『衣擦れとベッドの軋み』とともに聞こえてきました。太田春美だと思われるその声。そして、彼女は『村川と私のあいだで離婚の話が進んでいることを知って、太田春美はこの時期に告発文を書いたのだと思う』と語ります。それによって『地位を失った先生を手に入れ』、『この町を去る覚悟なのだろう』という太田の考えを推測する三崎は、『あなたは悔しくはないですか』と彼女に問いかけますが、そこに『涙の影』はありませんでした。そして、『手紙は太田春美が書いたのだ。私は太田春美を訪ねるだろう』と思う三崎の姿が描かれる冒頭の短編〈結晶〉。各短編に名前のみ登場する村川融の妻が語る村川の人となりを朧げながらに知ることのできる好編でした。 “「私」は、彼の中に何を見ていたのか。迷える男女の人恋しい孤独をみつめて、恋愛関係、家族関係の危うさをあぶりだす、著者会心の連作長編”と、内容紹介にうたわれるこの作品。2004年5月に刊行された三浦しをんさんとしては最初期の作品の一つです。この時代の三浦さんは、主人公の翻訳家が訳す、はちゃめちゃな物語が”小説内小説”として登場する「ロマンス小説の七日間」や、”昔話”をコンセプトにしてそれを下地にした物語が創作されていく「むかしのはなし」、そしてBL世界を匂わす「月魚」など、実験的な作品が多々生まれています。そんな後、2006年には傑作「風が強く吹いている」が登場することを考えると、三浦さんの試行錯誤の時代だったのかなとも思います。そして、この作品にもそんな色彩が色濃く登場します。それが、物語の冒頭に唐突に記された『二千年以上前の話』です。 『寵姫が臣下と密通していることを知った若き皇帝は、まず彼女のまぶたを切り取った。これから自分がどんな目に遭うのかを、彼女がしっかりと瞳に映せるように』。 そんな風に始まる物語の内容は衝撃的です。『彼女の体中の穴という穴を、縒った最上級の絹糸で縫いあわせた』、『皇帝は、まぶたと舌を失い、穴を塞がれた女を、それまでどおり豪奢な部屋に置き、着飾らせておいた』と続く物語は、どんどんホラーな表現がキツくなっていきます。選書ミスをしたか?と冷や汗が出だす中に、いきなり『奥さん、いかがです。思い当たることがあったら、どんなことでもおっしゃってください』とこの短編の主人公・三崎の何のことはないセリフの登場によって現実に引き戻される読者。しかし、そんな強烈な印象は後を引きます。また、冒頭の物語が本編にどう関連するのか?その答えを読者は探しますが、明確な繋がりを見つけられない中に、物語は、謎の存在とも言える村川融という人物への関心に移っていきます。とは言えこの短編〈結晶〉には、冒頭の物語の世界観を引きずる文体が多々登場します。この短編で主人公を務める三崎が太田春美という存在の登場を妻に匂わされたことから戸惑う場面の描写を抜き出してみましょう。 『私の心は、何万年もかけて生成された氷柱に貫かれたかのように痺れた』と強烈に始まる一文は、『憎しみも恨みも凍結され、絶対零度で細胞を灼かれる痛みのみが、遠い宇宙から降り注ぐ電気信号のように私の神経にかそけく届く。私はもう泣くことも叫ぶこともできなかった』と、三崎の心情を劇画調の表現で描写していきます。『彼女にすがりつき、泣きながらこの絶望を訴えたい』と言う三崎は『私の四肢はむなしくソファに沈んだままだった』と自身の姿を俯瞰します。他にも『彼女は噴きあがる熱気にひるむことなく、かげろうのごとく摑みどころのない体と心で、業火の中にたたずむ』や『私は、蠍のように研ぎ澄ました毒の滴る針をもって、太田春美の言葉を殺す。そこに真実はないと断じるのみだ』といった、とにかく劇画調の表現の頻出は間違いなく、この作品を読み始めた読者を戸惑わせます。しかし、ご安心ください。この表現はこの短編〈結晶〉のみです。物語は、二編目以降別物に読みやすくなっていきますのでくれぐれもこの短編の途中で”挫折”されないようご注意ください(笑)。もちろん、こういった表現がお好きな方には逆にたまらない短編だと思います。 そんなこの作品は六つの短編が連作短編を構成しています。そして、そんな六つの短編全てに登場し、物語を一つに繋げていくのが大学教授、村川融(むらかわ とおる)の存在です。六つの短編はそれぞれに視点の主となる主人公が登場しますが、六つの短編全てに登場する村川融に視点が移ることはありません。そうです、この作品は影の主人公・村川融に何らかの関係を持つ人たちがそんな村川融の存在を匂わせながら、それぞれの人生を語っていく中に物語が展開していくという体をとっているのです。似たような体裁としては、川上弘美さん「ニシノユキヒコの恋と冒険」、柚木麻子さん「伊藤くんA to E」があります。これら二作品は書名に影の主人公の名前まで登場させるこだわりを見せます。一方で三浦さんの作品では『彼』と匂わすところにミステリー感が漂います。 では、六つの短編タイトルおよび視点の主と関係性、そしてそこに語られる村川融という存在、さらには印象的に登場するこだわりの存在をまとめてみましょう。 ・〈結晶〉: 三崎(大学の研究室の助手)、『村川の魅力は、ある種の女にはたまらないもの』、『村川の専門でもある、古代の朝廷』、『村川の誕生日は、二月四日』、『村川はいい加減ですが不真面目ではない』、『エゴイストですがロマンティスト』 ※こだわり: 二千年以上も前の話 ・〈残骸〉: 賢司(浮気相手の夫)、『先生はさびしくて繊細』、『村川は哀れで愚かな男』、『口当たりのよい夢の果実ばかりを求める』 ※こだわり: うさぎ ・〈予言〉: 村川呼人(息子)、『世の中のなんの役に立つわけでもないのに、古代の中国について調べ続ける父をすごいと思っていた』、『父は自分の脳みそと研究にかける情熱だけを頼りに、俺たちを食わせていた』、『父は決して偉ぶることがなかった』、『父はなんで俺たちを捨てたんだろう』 ※こだわり: バイク ・〈水葬〉: 渋谷俊介(義理の娘の隣人)、(義理の娘の)村川綾子は『週に一度は父親宛に手紙を書き、これまた週に一度、必ず父親から返信が届く』 ※こだわり: ぬか漬け ・〈冷血〉: 市川律(義理の娘の婚約者)、『本ばかり読んで、夢見がちで自分勝手な男』『あなたは冷たいところが父と似てる』 ※こだわり: 化学 ・〈家路〉: 三崎(大学の研究室の元助手)、『先生にかかわる女たちは、時を止める魔法を知っているのかもしれない』、『だれもが、先生に一番愛されたのは自分だと競いあった』、『先生は女たちに愛を求め、女たちは先生を愛した。だが、先生を理解したものはなく、先生に理解されたものもいない。だれ一人として』 ※こだわり: 徘徊老人のアナウンス 義理の娘の隣人という予想外な人物まで登場させて物語は予想外な内容に展開していきます。しかし、影の主人公・村川融に関する描写は当然に関係性が近い人物の登場回の方がより具体的です。上記で抜き出した表現だけ読んでもどことなく村川融という人物が思い浮かんでもきます。物語は、そんな村川融という存在によって人生が何らかの形で影響を受けていく様が描かれていきます。そして、それは短編の中でその展開が匂わされてもいくため、ある短編を読んだ読者は、前の短編の結果が、その短編に登場する主人公にこんな影響を及ぼしたんだということが朧げながらに伝わってきます。そして、最後の短編〈家路〉で全てが決着し、『彼』=村川融という存在の大きさを感じる中に物語は幕を下ろします。 “私は、彼の何を知っているというのか?彼は私に何を求めていたのだろう?” 人というものは、誰であれ、その存在によって他の人に影響を及ぼしていくものです。この作品では、村川融という存在が彼の人生に何らかの形で関わっていくそれぞれの主人公たちの人生に影響を及ぼしていく様が描かれていました。短編ごとに語られていく村川融の存在が短編を経るごとに大きくなっていくのを感じるこの作品。短編ごとに『バイク』や『ぬか漬け』、そして『うさぎ』などを短編世界に意味を持って登場させることで、物語に不思議と深みを与えていくのを感じるこの作品。 美しく綴られていく物語の中に、今の三浦しをんさんらしさに繋がるこだわりの感情を見た、そんな作品でした。

    75
    投稿日: 2023.01.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2005年(第2回)。9位。 かっこいいわけでもない大学の先生がモテる。女性がいっぱい寄ってきて、妻子を捨てて、子持ちの女性と新家庭を気づく。そして誰も幸せにならなかった。 を、先生に関わってしまった人々の視点から見る小説。捨てられた妻子も、新家庭の誰も幸せじゃない。唯一、先生の助手は、それではいけないと気づく。 結婚して二人でいると閉塞する。子供作って家族作らないと閉塞する。あーあーあーあーあー な感じで、物語を楽しむというより、作者の言葉(うんちく)に膝を打つ小説。そして助手は気づいてよかったと思う。

    1
    投稿日: 2022.11.24
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    ある一人の男性大学教授をめぐり、関係する人物のそれぞれの立場にて繰り広げられる物語が集まっている一冊。一話一話味わいつつ、各物語の登場人物は他の物語と関係があるので、全ての話のつながりを考える楽しみもある面白い構成でした。 まずは比喩や表現力が豊かな点に驚きます。少々凝り過ぎて話の本筋を見失いそうになりますが。。。ストレートな表現をしないところが、恋愛小説のようでミステリー小説ようなますます謎めいた様子を引き立てていました。 一人の男性から元妻、家族、その友人、研究者などなど、こんなにも人間関係は広がるものかと感心しました。

    1
    投稿日: 2022.08.31
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    人生、愛が全て、というわけではないんですが…。とりあえず彼の周りの人間の嫉妬心が凄すぎる。ここまでの男の人っていったいどういう人なんでしょうか?? 自分は渦中には絶対に入りたくない。でも、小説として読むのには、好きな感じ。

    2
    投稿日: 2022.08.28
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    NTRである。 だがちょっとまって欲しい。過去の古典作品にはNTR要素がよく出てくるのではなかろうか。しょっちゅう他の旦那の妻を奪ったり。 いやしかし本作では大学教授である。こいつが暇な主婦を捕まえるわけだけど、冴えないオッサンという設定がまたイカす。男性陣から見ればNTR要素としてというか、M要素である。 そんなどうしようもない男どもの様子を見ながら、ハラハラ・ドキドキするのが本作の楽しみ方であろう。 最後の三崎くんのナルシストっぷりも最高である。NTR要素抜群で、家に帰って高校生とやってるところに遭遇するのが吉であろう。

    0
    投稿日: 2022.08.19
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    #読了 普段ラノベ系しか読んでない脳みそには少しきつかった…笑 という訳で読了。 男女のドロドロとした部分をドロドロとさせずに書かれてた気がする 途中から分からなくなってしまったけれど。 登場人物が多いのは相変わらず苦手。

    0
    投稿日: 2022.08.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この本を読んだときに唐突に思い出したのは、「桐島、部活やめるってよ」だった。物語の中心である桐島、(私が語りはじめた彼はの場合は村川融)について、周りの登場人物たちの描写からしかわからず、その主観は語られることなく、物語が終わっていく。 それと独特な表現。何かを表現するときの、〜のような〜といったような個性的な表現がとても気になった。三浦しをんさんは女性だそうで、男性視点からの物語だったが、男性の自惚れている様子や自尊心高めな様子、ああ、女性からみた男性はこういう風に考えられている、そしてそれは合っている、と思わざるを得なかった。

    0
    投稿日: 2022.05.27
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    重い。救いもない。 不倫からの家庭崩壊が子どもに落とす陰。 奪い取った妻の座。故に次は奪われるかもしれない立場になり、心からの幸せは得られなかった。

    0
    投稿日: 2022.05.07
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    違和感を抱えつつ読了。読後感は、違和感があった割に不思議とスッキリしてます。最後に村川融本人からみた話があるかと期待してましたが、全て本人に巻き込まれた人々によって語られているのが面白いところであり、この本の魅力だと感じました。

    0
    投稿日: 2022.03.03
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    人間のどろっとした感情が描き続けられ、飲み込まれるように読み終えた。うまいくて面白くて、なのに、その感情を凌駕する気持ち悪さをここまで緻密に美しく描ききれるのがすごい。

    0
    投稿日: 2021.11.23
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    一人の男性の不倫から生じた波紋を 彼に関わる人々をそれぞれ主人公とした六編のオムニバス。 主人公達は波紋に過剰に反応し踠き苦しむ。回避した者も呑み込まれた者もいる。恋人や家族の絆の儚さの冷淡な表現が巧み。 評価が分かれ気味の作品のようですが、各章とも独立した短編として完成していること。ラストの家路に含ませた儚い危うい希望が好みで高評価。

    14
    投稿日: 2021.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大学教授の周りにいる人間たちのそれぞれの生きてきた人生を妻や助手、息子、娘、再婚相手の妻や子などそれぞれのエピソードを重ねて短編の小説の連続となっている。 私には入り込みにくい違和感を覚える小説の連続だった。

    0
    投稿日: 2021.10.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いつ、「彼」が出てくるのかしら?と 私の中で「彼」がだんだん形成されつつあったのに、終いまでいってしまった。 「彼」自体は、語ることのないままで終えて、座りの悪さを感じた。まるで、御斎の食事のような。

    1
    投稿日: 2021.08.03
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    1人の男の不倫によって巻き込まれた人達が多い。 自分では気づいてないところで人に影響を与えてしまっている事を肝に銘じた作品だった

    0
    投稿日: 2021.03.24
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    私は、彼の何を知っているというのか?彼は私に何を求めていたのだろう?大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘―それぞれに闇をかかえた「私」は、何かを強く求め続けていた。だが、それは愛というようなものだったのか…。「私」は、彼の中に何を見ていたのか。迷える男女の人恋しい孤独をみつめて、恋愛関係、家族関係の危うさをあぶりだす、著者会心の連作長編。

    0
    投稿日: 2021.01.30
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    図書館で。 特に何か特別なことが起こるわけでもなく、ものすごい特徴のある人物が描かれるわけでもない…のだけれども、それが反対に面白いというか、気が付いたら世界に引き込まれていた感じで読みました。文章が上手なんだな、うん。 当事者ではなく、色々な人物がある特定の人を語っていくという手法は他でも見たことがあるのですが、なかなか面白い。センセイは一言でいうとかなりどうしようもない男なので、本人が登場しない方が色々イマジネーションが膨らんで面白いなぁ、と。それにしがみつく女性もある意味滑稽だし、離れた方もなんだか負け犬みたいで…難しい。 個人的には振り回された助手が、一応それでも何とかなったみたいで良かったね、という感じでした。そういう話ではないんだろうけど。

    1
    投稿日: 2020.10.01
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    「あなたの心に打ち込まれた杭は、いずれは溶けますよ。でもぽっかりと空いた穴はいつまでも残るでしょう。それは痛み続け、そこを通る風音があなたを眠らせぬ夜もあるかもしれない。だけど私は、この痛みをいつまでも味わい続けていたいと思うのです。それが、私が生きてきた、そしてこれからも生き続けていくための、証となるからです、私の痛みは私だけのもの。私の空虚は私だけのもの。だれにも冒されることのないものを、私はようやく、手に入れることができたのです。」

    2
    投稿日: 2020.09.20
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    使われている言葉がとても綺麗でとても難しかった。大学教授・村川融をめぐって周りの人が翻弄される物語。ただし本人が出てこないので、「桐島、部活やめるってよ」が思い出された。(3年前に書いた感想より)

    0
    投稿日: 2020.08.27
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    まず、結婚に対してまた疑念が増えた…果たしてどうしたら長く良好な関係を築けるのか、謎だ。 愛のあるときも、嫉妬に溺れるときも超えた先にしずかな美しいものが残る。人の気持ちは完全に手に入ることはないし、理解することもできない、自分だけの痛みと記憶だけが誰にも取られずにいられるってところが刺さったな。息子の心をほんわか包んであっためた椿くんがいいキャラだったな!教授の妻がだす空気感とか雰囲気、セリフがすごい好き。惚れちゃうと思う。三崎さんよく耐えたな。

    0
    投稿日: 2020.08.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    事実はひとつ、真実はひとつじゃない。一人一人の人生のドラマに目を向けたい。 1人の男性村川を取り巻く、周囲の人、妻、浮気相手の旦那、再婚相手、実息子、再婚後娘、等それぞれ目線の物語。取り巻く女性達は村川の不貞を知りながらも、それを理解した上でも愛してしまう。 村川のような男性は、常に自分が人生の主役。「女のために全てを投げ出す自分の役柄に夢中」と奥さんが彼をいうように。生涯自分が一番幸せな道を選び続けていくことは、どこか羨ましいと思いながらもやはりできないなと思った。だからこそ皆村川のような生き方を批判しながらも心のどこかで羨ましい思いがあり、引き込まれる女性、振り回される男性がいるのか。 しをんさんの作品はどれも文体、表現に引き込まれるものがある。単なる簡単な「辛い」「悲しい」の言葉では完成されない。しをんさんの文章だからこそ、重いけれども引き込まれてしまう作品ができるのだと思った。 ◼️印象深い文章、表現メモ いい加減ですが、不真面目ではないのです。 責任を負うことはしないけれど、義務は己に課します。エゴイストですがロマンチストでもあります。 無邪気に愛を集めて喜び、冷え冷えとした魂を腹に隠しながら何食わぬ顔顔をで生きる 私のうちにある汚いものひどいものを突きつけられる 屈辱を闘志にかえ、どんな手段を使っても女を排除する 愛の言葉を麻酔に捕食されることを是とする。女のために全てを捨てる役柄に夢中 事実はひとつ。真実は複数ある 夫をいつ撮られるのか、猜疑心の塊になって暮らす日々 理解がないところに愛は生まれない。 だが確かに愛があると思っていた場所に後から理解の及ばない空白が出陣したらどうしたらいい? 目には目を、歯に歯にをというのは、強者の理屈だ。 変わってしまうことではなく、変化に対応する意志を無くしてしまう日がくることが

    0
    投稿日: 2020.05.05
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    ひとりの男性の周りにいる人間が、彼に人生をどのように影響され、その果てにどのような結末を迎えたかを短編連作で綴っている。連作ではあるが、それぞれの短編として読んでも言葉の使い方、構成等、卓越した作品であると感じた。 核となる男性、大学教授はほとんどその実態を著していないが、家族、教え子、愛人等に「彼」を語らせている。ある意味、「彼」は存在しないと言ってもいい。 短編連作という形の小説は色々読んだが、この作品は異質である。実験的とも感じた。 今まで2〜3作品しか三浦しをんの作品は読んだことがなかったが、他の作品も読んでみようと思った。

    0
    投稿日: 2020.04.30
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    えっこれが三浦しをん? ととてもびっくりした。 まほろ駅前とか神去なぁなぁの印象が強かったので。 ああいうほのぼのした作品の裏にこんな一面があったなんて。 前なにかのインタビューで高校の時、お父さんとバスの運転手としか異性と話さなかったみたいなエピソードもあったので、あまり恋愛というか性愛の印象もなかったので。 この本の主人公、村川融のように、三浦しをんもまた色々な角度からみた物語があるのだろうと思った。 この作風から変わっていった経過が知りたいなと思った。 ひたひたと満潮になる静かな水みたいな小説でとても良かった。元々金原瑞人さんのエッセイで勧められていて読んだのだが、そして解説にある通りなのだが、一文一文が美しいと思う。

    0
    投稿日: 2020.04.12
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    人は、人と関わることで喜びも見出すが、怒りや憎しみや悲しみも、同じくらいの大きさで見つけてしまう生き物なのかなと感じる物語でした。連続短編なので繋がりがありながらも、各章で主人公が異なります。どの物語も、冷たい石を抱いて眠るような、冷え冷えとしたある種の心地良さも感じます。悲しみに焦点を当てている話が多いように思えたので、個人的好みという意味で星は3にしましたが、ハラハラする展開もあり、読後感にこれ!というものを求めていなければ、星の数は気にしないでください。

    0
    投稿日: 2020.02.16
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    三浦しおんということで、また購入。文体は相変わらず読みやすい。一気に完読した。まどろこしい言い回しなどしない自然な完成された書き方である。しかし多田便利店や舟を編むのようなユーモアあふれる軽快な作品とは程遠かったのはいささか期待はずれだった。オムニバス形式の短編集であったのも大きな違いか。だが一人一人の心情を細かくかつ曖昧に表現した話は、どこか現実感がある。一見それぞれの話は独立しているが一応時系列になっていて、登場人物も重複するので、あまり混乱することはない。登場人物の人物像や性格もいわくつきな過去話や会話の口調でよく表現されていて想像しやすい。どの人物もその後が気になる終わり方である。 結局先生自身については行動や台詞などあまり語らせず象徴的な登場に限られたため、主人公であるこのモテる研究者の具体像は掴めない。他の登場人物が先生の本意を一時あれこれと想像してみるが、これからの各々の人生の中の優先事項、幸福を追求する過程で、先生のことは重要視されなくなっていくだろうと予想できる。それこそ、それぞれが過去を受容し探していた何か、人生の価値に気がつくために先生は存在していて、気がついてしまった語り手たちにはもう先生という象徴が必要ないようである。

    0
    投稿日: 2019.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三浦しをんは「舟を編む」「風が強く吹いている」という作品が有名で、森絵都のようなさわやかな文章を書かれる方だというイメージがあったので、そのイメージが大きく覆った。 老いた大学教授、村川融を巡る、それぞれの独白からなる作品である。 しかし、独白によって構成されている多くの作品(※といっても湊かなえ著の作品以外出会ったことがないので、湊かなえ作品だと言い換えても問題ありません。)と違う点は、全く騒動の全貌が見えてこないことだ。 それもそのはず、各章で語り手となる人物は、中心となる大学教授とどこかで繋がりがあるということが共通しているだけで、繋がりの強さは家族から全くの赤の他人まで幅広い。そして語り手の語っている時代までもが幅広く設定されている。 したがって、先程『騒動を巡る作品』と記述したが、どちらかというと騒動の基となる大学教授のことをどのように見ていたか、そしてどのように感じていたか語り手の視点を通して知るという作品に近いのではないかと思う。 全編を通して、良い意味で全く何も分からなかった。 ただ、中心となる村川融がここまで人を魅了し振り回すことができるのがすごい。作中に何度か村川の魅力が語られるシーンが出てくるが、自分は全くその魅力が分からなかった。 一方で、確かにこういう人を好きになる人がいるのはわかる。趣も何もあった表現ではないが、村川は俗に言うだめんずなのだと思う。 このような人の魅力に振り回されるのも、人生のスパイスとしてある意味楽しいのかもしれない。 そしてこの作品の一番の魅力は、三浦しをんの描写力が光っていることだ。 ここまで人のもやもやとした形にならない心境を、感情を、温度を、空気を、描写できるだろうか。 語り手の視点を余すことなく伝えることができる描写力は、変態的で官能的であるとさえ感じた。 ある章でうさぎが登場するが、この物言わぬ無力なうさぎがとても可愛らしく、記憶の中のうさぎとは別の生き物なのではないかと思わせるほどに官能的だと感じさせられた。 彼女の他の作品は私の思っていたようなさわやかな作品が多いようなので、今度はその中で彼女の光る描写力を楽しみたいと思う。 しかし欲を言えば、彼女のうさぎを官能的と思えてくるような作品も再び読んでみたいという気持ちもある。

    1
    投稿日: 2019.03.03
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    最初はばらばらの短編小説集かなと思ったのだが、話が様々な視点で進んでいき、繋がっていく。繊細な心理描写とスピード感のあるストーリーが同居している。こういうジャンルの小説は 三浦しをん ならでは。

    0
    投稿日: 2019.02.17
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    学内のみならずカルチャーセンタなどで女性との関係が多い中国史専門の大学教授を取り巻く家族関係、新家族関係、師弟関係などが連作短編として構成。

    0
    投稿日: 2019.01.06
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    取り立ててどこが良いとも言えないような、妻子を持つ教授が複数の愛人から取り合いをされる。教授は主人公にならずに、あくまでその周りの話。 人のものを盗ると、つぎは盗られる恐怖におびえることになる。最後までモヤモヤした気持ちで終わった。

    0
    投稿日: 2018.12.03
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    ひとりの大学教授の浮気や再婚や死を巡り家族やその周囲が語る。受け取りが甘くて読み終えてもこういう話と説明し辛い。馥郁たるふくよかさみたいなものに満ちていて、薄暗い仄灯りのようで、気付けば引き込まれ作品世界の水にどっぷりと浸るみたい。詳らかにし切らない奥ゆかしさ。自殺に向かう義理の娘が特に印象深い。

    0
    投稿日: 2018.10.14
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    「彼」・古代中国を研究している大学教授村川融をめぐる男と女の物語は、連作短編という形をとりながら、全て読み終わったあとは20余年にわたる長編小説を読んだような充実感で満たされる絶妙の構成となっている。 そのうえ、一つ一つの短篇の完成度が恐ろしく高い。 どの話も静かに始まり、終盤に向けて大きなカタストロフィを迎え、収束する。そのエネルギーがすさまじくて、物語にぐいぐい引き込まれる。 「彼」の妻や息子、不倫相手、その娘など、関係者それぞれが抱えた闇に焦点をあてた個々の短篇では、恋愛、家族、友情といったあたりまえの人間関係のはかなさや、頼りなさが描かれている。 どのページを開いても、お気に入りのフレーズが見つかるほど言葉の魅力にもあふれた作品で、「予言」は特に優しくて、切ない最上の短編。 この作品、「風が強く吹いている」や「舟を編む」のような爽やかさとは対極にあるものの、こういうのをもっと書いて欲しいな~とつくづく思った。

    0
    投稿日: 2018.10.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あることがきっかけで人から紹介された本だ 真実は一つではない それは私自身、このまだまだ少ない人生経験からも実感しているところだ この話はある一人の男が中心になっているが、その人が直接物語に登場することはない その人が登場するのは誰か別の人が語っている「彼」であり、他の誰かから見た「彼」である 話が進むにつれてだんだんとぼんやり「彼」はかたち作られていくが、はっきりと形になることはない 最初は推理小説のような話なのかとも思ったけど、明確な答えは用意されていない あるのはただただ、いろいろな人が語る真実だ 男女のどろどろとした話なのに、客観的でどこか遠くからみているような物語の視点、それがとてもリアルで現実味を帯びているように思った 三浦さんの本を読んだのは初めてだったけど、人の感情の量り方がこわいほどに上手い方なんだなと感じた この本を手に取ることになったきっかけを思うとなんとも言えない気持ちになる 結局は人から見た事実が真実になる いろんな状況証拠を比べて合わせて、こうだったんだろうと溜飲を下げることしかできない

    0
    投稿日: 2018.08.08
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    彼、村川融についての短編集。 村川は歴史学の大学教授。何故だかモテるらしい。 彼についてかたられるのではなく 彼の周囲の女性にについて、ほかの男性が語る。 それによって村川という男の形を頭で想像してみる。 彼という人がどういう人なのかわかるようでわからない。 本当のところなんて、 本人以外にはわからないことなのかもしれない。 それよりも、村川の義理の娘の調査をしていた 渋谷くんと五反田くんに興味津々。 別の小説にできそうだ。

    0
    投稿日: 2018.04.03
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    何故か女性を惹きつける村川教授。彼をめぐる女性たちは彼の存在によって人生を狂わされた。そしてその女性たちとなんらかの形で関わる男性たち。全体を通して暗い小説なのですが、ページがどんどん進みました。

    1
    投稿日: 2018.03.31
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    人間の孤独を救うのは、愛する事よりも理解される事の方が真実なのかもしれないと感じてしまった。様々な立場の孤独や喪失感。通り越して救われる者もあれば、取り憑かれたままの者もいる。 この人の小説は、言葉選びがとても綺麗だ。好きな小説だった。

    0
    投稿日: 2017.10.16
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    『秘密の花園』読了後に、矢も盾もたまらず本書を読む。大学教授の妻と、その教授の弟子との、濃くも非日常な会話から始まる各編は、どうしようもなく堕落しながら物語と時を紡いでいく。最後に教授が骨となっても、彼らが生きる世界には暗澹たる時間が過ぎていくようだ。『秘密の花園』と比べると、本書は、著者は「男なのでは疑惑」を想起させるような文体だった。

    0
    投稿日: 2017.09.06
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    好きな作家さんなのでそこそこ読んでいるつもりでしたが、初期の作品である本作は未読でした。読んでびっくり、著者のこんなに暗い作品は初めて。私にとっては「若干乾いた桜木紫乃」といったイメージです。 お世辞にも色男とはいえない、見た目はまるで肝臓を悪くした狸なのに、なぜか女を惹きつける力が半端ではないらしい大学教授・村川透。彼を告発する手紙が大学とマスコミに送りつけられたことで、人生が一転した人々を主人公にした連作。連作というのは巷にもあふれていて珍しくはありませんが、主人公の選び方が面白い。6編の最初の語り手は村川の助手で、村川が辞職に追い込まれれば自分の将来にも暗雲がもたらされると危惧しています。そんな彼が告発状の主を突き止めようと、村川の妻を訪ねるところから本作はスタート。2編以降の語り手は、自分の妻が村川と不倫関係にあると知ってしまった男、村川に捨てられた本妻の息子、村川の再婚相手の娘の動向を調査することになった若者、村川の実の娘の婚約者、そして最後にもう一度、最初の助手が語り手となります。光が感じられる話は少なく、こんな三浦しをんもいるんだと新鮮でした。 村川のよさについては理解できないのが残念。彼には信じられない数の女がいて、そのうち再婚相手に選ぶのは「こんな女性にならばトチ狂っても仕方ない」と思えるような相手ではありません。ただただ情念に駆られた女性で怖いだけ。いろいろと理解できないことだらけなのが余計にありそうだからより重く心に刺さります。この三浦しをんも好みです。

    0
    投稿日: 2017.04.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『舟を編む』が面白かったので、三浦しをんさんの本をもっと読んでみたくなり。 んーーー期待したような胸キュン本ではなかったので残念でしたが(内容はよく調べてから本を買わないとだな…)、 随所に散りばめられている、即妙で美しい表現はさすがでした。 以下、印象的だったところ。 ・「妻の不貞を責めるとき、その刃はすべて私自身に返るだろう。」(p.81) ・「私はベッドに座って、手の爪を切っていた。あぐらをかいた足元にティッシュペーパーを広げ、パチンパチンと乾いた三日月を作りだす。」(p.102) ・「椿の言葉は予言のようだった。世界が滅ぶとか、みんな死ぬとか、そんな不吉なもんじゃない。雨が降る前には雨のにおいがするように、朝の光より早く鳥が囀るように、だれのことも脅かさない予言。」(p.145) ・「私は結婚してみてようやく実感した。世の夫婦の多くが、どうして子どもを作り、家を手に入れたがるのかを。」(p.245) 途中サスペンスのようで、自分が普段あまりサスペンスやミステリーを読まないので、背筋が薄ら寒くなり、気味が悪くなったところもありましたが、 終盤は、荒れ模様の暗い不吉な海に、朝が来て徐々に波が凪いで行くような静かな収束で、良かったです。

    0
    投稿日: 2017.04.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    再読。好きかと問われると即答するのがためらわれるが、すごいかと問われるとすごいと即答できる。「彼」をめぐる人々の設定や描写や抱える闇が多種多様で重なりあうところがないのに、「彼」を中心につながっていてバラバラではない。救いのない話のようでいて、不思議と読後感が悪くない。一口では語れない複雑な物語。

    0
    投稿日: 2017.01.24
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    学者としては一流だけれども、男・特に夫としては最低の部類に属する「村川融」について、彼を取り巻く「彼女」たちや村川の身近な人々が語っていくという連作短編集。 連作短編というわりには、それぞれの繋がりが薄い。核心的な部分にも触れられることなく進み、そして終わる。ただ言葉のチョイスは絶妙で、表現として美しいなと思うものやハッとさせられる一文は多い。 ストーリー構成としては、ただ「この人から見た村川とは、こういう人物なのか」とぼんやり思いながら読み進めるだけ。特に感じ入る話があるわけではなかったのが残念。私がちょっと、「連作」というあたりに期待を重く置きすぎたのかもしれない。淡々と、いろんな登場人物がそれぞれの目から見た「彼(村川)」についての話を聞くだけの本、と思って読めば、まだよかったかも。

    0
    投稿日: 2016.12.31
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    とても魅力的な連作。 ちょっと驚くほどの完成度。 適度な影と愛情が居心地良く、ついつい長居したくなる物語でした。

    0
    投稿日: 2016.09.07
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    3 大学教授の村川融をめぐる家族、不倫先の家族、研究室の助手などの話。いろんな人から見た彼を描きつつ、人間関係の難しさが見えてくる。村川先生の視点がないのが若干分かりづらい。ここまでの影響力があって変わった人はなかなかいなそう。

    0
    投稿日: 2016.08.28
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    ゴメンなさい三浦しをんさん、いままでに読んだすべての作品は?大好きでしたが、このお話は全然解りませんでした。もう何がなんだかちんぷんかんぷんで、一つひとつの単元は理解できますがワタシの中でぜんぜん繋がらず、なんだか繋がりのある単元たちなのだと気付いたのはようやく最後の単元を読んでいるときです。記憶力と言おうか理解力と言おうかそういうものが少しずつ失われているような気がします。 「風が吹いている」は、作品も映画もだ~い好きです。

    0
    投稿日: 2016.05.29
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    愛を信じられない/疑い続けてしまう人たちばかりが出てくる話。息苦しくて、重苦しくて、でもぐいぐいと読んでしまった。 でも、愛を信じるって物凄く愚直なことなのかもしれない。ロマンチックで、夢見がちで。それか、ただの思考停止?疑い続けて、じりじりと生きているほうが人間らしいのかも。 そして、人間なんて結局そこにある事象に過ぎないんだな、見ている人によってその人は変わるから、結局そこに本当のその人はいない。逆に、その人と関わる人数分、その人はいる。面白い。 面白いけど、好きな人のことは理解したいとおもってしまうから、さみしい。 三浦しをんさんの作品を読んだのは初めてだったけれど、シャープで魅力的な文章を書く人だなとおもった。他の作品も読んでみたい。

    0
    投稿日: 2016.05.08
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    読んでびっくり、全然面白くなかった。面白さが分からなかったと言うべきか。「彼」について、立場の違う複数の人間が深く語っていく内容かと思っていたが、たいした事件もなく淡々と語られていくだけ。最後まで「彼」という人間の魅力も何も分からないままで終わった。それで、何が言いたい?というのが率直な感想。ただ、この文体は今まで読んだしをん作品と趣が変わっていて良かったと思う。

    0
    投稿日: 2016.03.22
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    思い悩む生き物だということかな いつだって、まわりからみたのじゃ、なにもわからないのに すこしずつからまって、こじれるのかな

    0
    投稿日: 2015.12.31
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    大学教授・村川融について、妻、娘、息子、弟子etcがそれぞれ語る連作。 興味深いのは、何人もの人が語る村川融という人間の人物像が、最後まで読んでもぼんやりとしていてよく分からないということ。 大学教授で、けして容姿端麗ではないけれどなぜか妙に女にもてて、研究熱心で、薄情なところがある男。という特徴は浮かび上がってくるものの、本人はほぼ登場しないから、実のところどんな人なのか分からない。 ただ、登場人物全員がそれぞれの形で村川融に翻弄され、それぞれの形で強く惹かれていたということだけは分かった。 読んでいて、実際の人間というのもそういうものなのかもしれない、と思ったりした。 一人の人間について、Aから見たら優しくて善い人でも、Bから見ると冷酷な人物に映る可能性があって、そこに実体なんていうものは存在しないのかもしれない。 それぞれの主観を通した評価が、一人の人間の人物像を浮かび上がらせていく。だけどそれは明確な答えではないから、どこかぼんやりとしている。 最も印象的だったのは、村川融の息子の中学時代からその後について描かれた「予言」でした。 胸が苦しくなり、先が気になってどんどん読み進め、胸が熱くなり、そして温かいところに着地する。 すっきり爽やかとは言えない後味の短編が続く中、唯一笑顔になれるような。 でも後味が悪いお話も変な余韻があってそれはそれで良かった。 人間の内面にある打算とか醜さが、何かのきっかけで露呈する瞬間。そして一波過ぎた後、かき乱されたそこは一体どうなるのか。 逃げる人、修復しようと努力する人、見て見ぬふりをする人、そもそも気づかない人、きっと様々だ。 こんなに恐ろしくてある意味壮絶な小説を20代の時に書いていたなんて、一体どんな人生を歩んできたらそうなれるのだろう、としばし考えてしまうような小説でした。

    3
    投稿日: 2015.12.19
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    私は好きな雰囲気の話だったけど、読み始めてすぐ、え、誰の本だった?って思うくらい三浦さんぽくない感じでびっくり。濃厚だった。

    0
    投稿日: 2015.09.21
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    三浦しをん氏の作品は、「神去なあなあ日常」「舟を編む」「木暮荘物語」位しか、読んでいなかったので、こうゆう作品描かれるのだと、思った。 篠田節子氏風の三角関係の憎悪だけでなく、内に秘めた嫉妬が、描かれているようにも感じられた。 最初の寵姫の密通の仕置きに、おどろおどろしい物を感じながら、読み進んだ。 しかし、内容としては、大学教授の村川融をめぐる不倫での、周りの家族が、振り回される短編連作小説であった。 複数の女性と不倫を犯した、村川融は、この小説の中では、余り、感情の流れが、出てこない。 周りの者たち、教え子、妻、再婚相手、娘、息子と、、、、が、抱く問題を心理的に追い込んでみて、各自が、解決していくなり、解決しないまま妥協してみたり、解決したと受け止めながら、進んで行く。 ただの不倫関係、離婚関係、家族関係だけでなく、「風に乗った途端に花びらは重さを忘れ、痙攣にも似た震える奇跡を描きながら地面を目指す」、、、等の描写の仕方には、素晴らしさを感じる。 人間関係もそんな感じで、剥離されるのだろう。 著者会心の作と、書かれてあったが、もう少し、連作として、読みやすい方が、良いように思える。

    0
    投稿日: 2015.08.21
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    読み終わった後にどっと疲れを感じそうなじっとりとした内容だけど、言葉遣いが巧みで文章自体は軽やかだからそうはならなかった。面白かった。

    1
    投稿日: 2015.08.14
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    しかし凄いな三浦さん。 好きか嫌いかと聞かれれば、私の嫌いなタイプの作品です。 男女の愛を中心にしたドロドロとした物語。 それでも最後まできっちり読ませてくれる。 この物語はどこか不思議な、ちょっと薄暗く、粘度の高さを感じさせる独自の世界。そうした世界をきっちり生み出す力には感心させられます。 軽いものから、こういう本格的なものまで、いろいろ書ける上手い作家さんだと思います。

    0
    投稿日: 2015.07.02
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    2005年本屋大賞9位 大学教授・村川融を助手、妻、息子、娘、浮気相手側のストーリーから表現されるお話。 人の「負」の感情(「愛」という名の「独占欲」かな?)の陰鬱な話だが、表現がとても豊かなのでサラッとした感じで読みやすくなっている。 が、 登場人物は皆陰湿タイプw 若い人から中年を見たときの偏見が前面に出ている感じがして中年の何たるかをちっともわかってない気がするなぁ(それが狙いかも知れんが)。 なので、若い人には受けが良いと思うけど…う~ん。

    0
    投稿日: 2015.04.29
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    ここで常に語られる男、村川融、嫌な奴だ…好きじゃないわ…あと話がなんとなくシリアス寄りなのでいまいち好きではなかった。三浦しをんほある程度ギャグテイストがある方が好き。

    0
    投稿日: 2015.03.20
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    物凄く大きなエネルギーを感じた。間違いなく面白い、のだけど…今の自分には一度読んだだけでは受け止められない。二度三度繰り返し読んで、あと5、6年くらいしたら背伸びせずこの作品と向き合えるのかもしれない。

    0
    投稿日: 2015.02.25
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    脳裏に焼きつく、強烈なストーリーと描写でした。 どろどろしたストーリーですが、だからこそ、読み終わったときに、大切なひとをもっと大切にしたくなりました。

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    投稿日: 2015.02.12
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    本屋大賞、2005年度9位。連作短編集っぽいつくり。最初の2編ぐらいはとても良かった。文章はうまく雰囲気があるし、それなりに完結してるし。途中からはなんか怖くてどきどきするだけで結末が良くわからん話がつづく。このタイプのやつあんまり好きじゃないので残念。

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    投稿日: 2015.02.07
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    私は、彼の何を知っているというのか?彼は私に何を求めていたのだろう?大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘 そろぞれに闇を抱えた「私」は、何かを強く求めて続けていた。だが、それは愛というようなものだったのか・・・・。「私」は、彼の中に何を見ていたのか。迷える男女の人恋しい孤独をみつめて、恋愛関係、家族関係の危うさをあぶりだす。

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    投稿日: 2015.01.24
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    14/12/07 初、三浦しをん。文章が知的ですねー、浮気されたくないなーと思いました。 ・彼女はそう言って、指先でつまんだ手紙をひらひらと振った。振るたびに、真っ白い紙に染みこんだインクが黒い鱗粉になり、あたりに散っていくような気がした。(P35 結晶) ・でももちろん、俺たちは黙っていた。照れがあったし、心がつながりあったと感じられる瞬間は、流れ星よりも速くどこかへ去ってしまうものだから。(P146)

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    投稿日: 2014.12.08
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    もう少し分かりやすい物語をお願いします~私は,彼の何を知っているというのか? 彼は私に何を求めているのだろう? 大学教授・村川融をめぐる,女,男,妻,息子,娘---それぞれに闇をかかえた「私」は,何かを強く求め続けていた。だが,それは愛というものだったのか---。「私」は,彼の中に何を見ていたのか。迷える男女の人恋しい孤独をみつめて,恋愛関係,家族関係の危うさをあぶり出す,著者会心の連作長編。~ 三浦さんのような夏目漱石的三角関係モノって好きな人がいるんだなぁ

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    投稿日: 2014.10.26
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    不思議な話だった。 本当にこの冴えない男性になんで寄ってくるのかわからない。 でも、最後から2番目のページに答えがある。 このおじさんを理解した人も、理解された人もいなかった。 これはあくまで私の勝手な答えだ。 きっと本当の愛を与え、受けることが分からなかった人なのだろう。

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    投稿日: 2014.10.21
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    【本の内容】 私は、彼の何を知っているというのか? 彼は私に何を求めていたのだろう? 大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘―それぞれに闇をかかえた「私」は、何かを強く求め続けていた。 だが、それは愛というようなものだったのか…。 「私」は、彼の中に何を見ていたのか。 迷える男女の人恋しい孤独をみつめて、恋愛関係、家族関係の危うさをあぶりだす、著者会心の連作長編。 [ 目次 ] [ POP ] ある大学教授をとりまく男女の愛憎を静かな筆致で描いた作品。 語りが冷静であるからこそ、その向こうに透けて見える熱くどろどろとした思いが際立ち、この温度差がとても魅力的だ。 この本が教えてくれるのは、人を愛しそして愛されたいという思いは貪欲だということ。 まるでそれが海水であるかのように、飲んでも飲んでも満たされないばかりか、どんどん渇きは増す。 そしてみんな孤独だということ。 三浦しをん、渾身の一作。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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    投稿日: 2014.08.23
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    2007/11/12 まだ終わらせたくないと願うかぎり、私たちは散った花びらを集め続けなければならない。集めて、どんな花の一部だったのかを想像する。 食卓を囲みながら、私は思った。図太くも地道なその行為が、だれかとともに生きるということなのだ。 (「残骸」より抜粋) 5人の男女の視点から語られる、「ある男」。 助手、妻、娘、息子…あらゆる視点からだんだん浮き彫りにされていった「ある男」の輪郭は、最後に再び霧散してしまった。 男は何を求めていたのか。女たちは男に何を見たのか。息子は、娘は。 あー…おもしろかった。 三浦しをんの中では雰囲気重めで、でもやっぱり三浦しをんだった。 三浦しをんの小説は、とても完結している。小説それ自体が完璧に美しい形で完成している感じがする。 輪郭がくっきりしていて、中には新しい世界がある。 そして、読んでると何ページかずつに必ずドキッとする1文がある。 おかげで本、端おれたページばっかりや。 予言、と、水葬が好き。水葬がすきだな。 うん。ハマった。

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    投稿日: 2014.07.21
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    大学教授・村川融を巡る連作短編集。 短編だけど村川融を巡る話なので、それぞれの登場人物がどういう関係なのかとか時系列に並べるのがわかって来てどんどん目が離せなくなっていきました。 ただ、それぞれの話に謎が残ったままなのでちょっと消化不良感が・・・

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    投稿日: 2014.07.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    また田村隆一! (これは作品を読んでの感想ですが、作品について書いたものではありません。多分。) トイレに置いて毎日読んでいた石田衣良さんのエッセイ、「目覚めよと彼の呼ぶ声がする」に書かれていて、記憶に刻みこまれていた名前。 タイトルの「私が語り始めた彼は」は、その田村隆一の詩の言葉からとられているようだ。 衣良さんが引用されていた詩を読んで、エッジのきいた、とはこういうことか、と思いつつ、詩集を読もうとは思っていなかったが、これは読むときが来たということか。 愛って黒いね。

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    投稿日: 2014.07.05
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    大変面白かった。interestingの意味でもamusingの意味でも。関係者の視点で次々と語られていく連作形式の小説はよくあるが、こういう展開になるとは予想だにしなかった。私のような一読者が言うのもおこがましいが、実に上手い作家さんだと思う。『舟を編む』でもそう感じたけど、これを書いた時点で既にベテランの貫禄だったとは。個人的に『まほろ駅前…』より人間の闇に焦点を当てたこちらが好みなので、この小説で直木賞を取って欲しかった。 p42  そんな私の惑乱を感じ取ったかのように、彼女は、 「村上はいい加減ですが不真面目ではないのです」  とつぶやいた。「責任を負うことはしないけれど、義務は己れに課します。エゴイストですがロマンティストでもあります」  それは先生を評すると同時に、おぞましい愛の本質について語った言葉に思えた。

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    投稿日: 2014.05.28
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    一人の無責任な行動に振り回される人々をまとめた短編集。 まるで、憎悪をテーマに短篇化したようで読み進めるのが苦痛な作品。 万人には進められない。

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    投稿日: 2014.05.27
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    三浦しをんさんは本当に色んな雰囲気のお話を書けるのだなぁと思いました。 この物語で語られる「彼」とは、大学教授である村川融。村川融の妻・不倫相手・娘などの女性と関わりのある男性達が語り手となる、ひねりのある構造です。 物語として、結局最後まで読んでも結論めいたものは描かれていないのですが、それこそが人生なんだ。この人たちはこれからももやもやしながら生きて行くんだなぁと感じられて、そこがとても良かったです。

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    投稿日: 2014.04.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三浦しをんの印象が変わった。 これまで彼女の軽いタッチのものしかよんでいないせいかもしれないけど。 ものすごく面白かった。 最期まで村上先生は実際には登場しない。しないが、先生の像は浮かび上がる。この小説を読む知らないはずの先生の魅力に惹き付けられる。先生を愛した女性のこともわかる気がする。女はこういう男に弱いのだ。 それから、この小説が男目線で語られていることも面白い。 正直、三浦しをんが想像以上にすごい小説家だと思わざるを得ない。道理でエッセイが面白いわけだ。 それにしても、太田春美の愛憎のすごさ。それはそれで幸せなことなんかじゃないかと思う。あのくらい、愛せるのであれば、それはそれで先生は幸せだったのではないかと思ってしまう。

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    投稿日: 2014.04.19
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    出だしは吐きそうになったけど、後は良かった。すごく良かった。文章も美しい。台風の目は登場せずに終わる。 風が強く吹いている、から読むようになったので、こういう作風は意外だったけど、こういうのも好き。

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    投稿日: 2014.04.01
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    友人の出産祝いパーティーに参加する行きの電車の中で読む。電車を乗り替え、少ししてから友人にあげるはずだったプレゼントは消え、この本しか持っていないことに気付く。 前の電車に置き忘れた。 忘れ物相談口に電話し探してもらうが、折り返しの電話がかかってくるまで、本の内容が全然頭に入ってこ無い。 不倫、浮気、この著者でもこのようなドロドロしたのを書くのだと戸惑う。大学の教授が前妻と分かれ再婚。彼の周辺の人物を視点を変えて書いた物語。不倫とは周りの色々な人をこんなにも不幸にするのだなあと思う。 文中の「たった二人で、支えあったりけなしあったりして結婚していくのは、難しい。子供の教育、家のローン。緩衝材や刺激物を混入させることで、夫婦は夫婦として機能しやすくなるのだ。一対一の人間関係は厳しい。緊張に疲れはてるか、惰性に流されるか、たいていはどちらかに行き着いてしまう。」という一文に考えさせられてしまう。 私は独りが好きで、子供が嫌いだと思っていたので、そんな風に考えたことが無かったが、自分に子供が居なかったらを仮定してみた。二人の時はよくケンカしたし、子供がいなかったら駄目になっていたのでは? 或いは、子供を作るという選択肢を早々と決め、授かった事で、自分達自信の事をもっと考え、やるべきことがあるのに、育児を理由に考えるのを放棄しているのでは?と。 「冷血」の章は文を読んでいて、空虚な風景を見ているようで、好きだなと思った。本著者の本は好きだが、こんな風に好きになったことはなく、面白さ再認識。また、後で再読しても面白いと思えた(前半頭に入ってこなかったのもあるかな。。。)

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    投稿日: 2014.02.01
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    三浦しをんの私が語りはじめた彼はを読みました。 古代史を専門とする大学教授村川融は妻の他に愛人を持ち、その後妻と離婚して愛人と生活していきます。 彼に関わる人物たちの視点から物語が語られます。 それぞれの人物たちが心の中に暗い情念を抱えて生きていく様子が描かれていきます。 三浦しをんの著作は若者が主人公の青春の物語と腐女子の明るいエッセイしか読んだことがなかったので、こんな物語も書く人なんだなあと再認識したのでした。

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    投稿日: 2013.12.14
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    大学教授 村川をめぐる男女を描く6編。 ストーリーに登場するそれぞれの『私』が抱える男女.家族関係の秘めるおもい。 三浦しをんを期待すると美しくない。 人の心の闇や孤独、深い深い暗い部分。

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    投稿日: 2013.11.13
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    かなり前の著書のようですが機会があり手にとりました。 一人の奔放な男に纏るストーリーで冒頭あたりでは退屈するかなっと思ったのですが、中程で太宰的になりサスペンス的になりイッキ読みになっていました。 けっこうイケル作品でした。

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    投稿日: 2013.10.26
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    一人の男性を中心に・・・ってありがちなパターンだったけど とても面白かった。他の作品とはまた違っていて。こんな小説も書かれるんですね~。

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    投稿日: 2013.10.14
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    まほろ駅前以来。あっちはもっときれいな世界だったから、ものすごくえぐられてしまってびっくりした。ちょっと飢えが癒されたような気はする。うっとりしてしまった。もはやグロテスク。だいすき。

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    投稿日: 2013.09.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    図書館で借りてきた。これの前に読んだ三浦しをんが『風が強く吹いている』だったのであまりの作風の違いに入り込めなかった。こういうのちょっと苦手だぁ。2011/078

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    投稿日: 2013.09.13
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    三浦しをんを批判してたサイトに、これが一番の傑作と、あったので読んでみた。ある家族の物語を立場を変えていくつかの視点から見た物語。簡単に言えば、残念。この書き方をしてみたかっただけ?と。 引き込まれるような文章ではなかった。

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    投稿日: 2013.08.28
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    今まで読んだ、三浦しをんさんの作品(神去なあなあ~、まほろ~、など)とは、あまりに違うのでビックリ。 もっと面白おかしい感じを想像していた・・・。 ちょっと私には合わなかった。

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    投稿日: 2013.08.11
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     大学教授の村川に関わりがある人々が描かれている短編集。  この村川という人物の生き方に共感できない私には、彼らの恋愛観が理解できなかった。   唯一、村川の離婚した方の奥さん側の息子の話だけ心が動いた。自分勝手に生きた親に振り回された高校生時代だったけど、バイクと通じてよい友が出来たのが、彼の救いだったのだろうと思った。

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    投稿日: 2013.07.25
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    私のように、三浦しをんといったら「多田便利軒」と「格闘する者に○」とエッセイしか読んでいない人だったら、びっくりするのではないのでしょうか。 しをんさん、こんな作品も書けるんだねぇ…。 きっとこんな私はまだ、しをんさんの真骨頂を目にしてないのでしょう。 だって、漫画と男の胸毛を今宵無く愛するしをんさんしか知らないもの…。(笑) 「彼」張本人の視点の話がなかったのが、またいい。

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    投稿日: 2013.07.24
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    浮気性な大学教授村川 を取り囲む人々の話。連作短編集。 どれも、どろっとしてる部分はあるけど、そこまで嫌な感じもない。 愛ってなんだろーなー

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    投稿日: 2013.07.14
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    文章の表現とかは結構好きだったけど、いまいち話に入れず。。。 読み終えてもなんだかモヤモヤ。 嫉妬の渦巻くこういう世界の話は結構好きな方なんだけどなぁ。

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    投稿日: 2013.07.06