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石川啄木(新潮文庫)
石川啄木(新潮文庫)
ドナルド・キーン、角地幸男/新潮社
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総合評価

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    文学と恋愛に心を奪われて中学を中退、のちに北海道を彷徨う漂泊の日々、転職につぐ転職。 友から借銭して妻を苦しめ、放蕩の限りを尽くした。 しかし貧しさに喘ぎながら、その烈しい精神を歌と日記に刻み続けた激動の生涯。 膨大な資料をもとに、夭折詩人のイメージを描き出します。 多くの日本人は、今や啄木でさえ読まなくなっています。 啄木の絶大な人気が復活する機会があるとしたら、それは人間が変化を求める時であると著者は言います。 本書がその最良の導き手となることは間違いないでしょう。 札幌には外国の都市のように広く真っ直ぐな通りと、異国情緒あるアカシアやポプラの並木があったが、同時にそこには田舎の静寂があった。「札幌は詩人の住むべき地なり」と啄木は書いている。残念なことに、その後の日記には札幌を礼賛する文章がほとんど出て来ない。毎日のように雨が降り続き、札幌での仕事は期待はずれでおもしろくなかった。 ー 142ページ

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    投稿日: 2025.10.21
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    ドナルド・キーン氏による石川啄木の評伝。 日記や手紙などに書かれたものから啄木の心理に寄り添い、書かれていない空白は、パズルのピースを埋めるように膨大な資料を紐解いている。 呼吸をするように短歌を作るから、散逸して残っていないものも多いらしい。もったいない。 教科書でしか知らなかった石川啄木。朴訥とした夭折の天才歌人の印象が一変。血の通った啄木を知ることができた。

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    投稿日: 2023.09.03
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    24才で老父母、きょうだい、妻、子どもを扶養するのが当時の長男。「ジェンダーギャップ指数」というと、女性が権利を主張している話題、と取られがちだが、彼の人生からは、家制度が男性を縛ってきたものにも気づく。 女性問題、借金etc.情状酌量の余地はないとはいえ、100年以上早く、個であろうとして苦しみ、成し遂げたことの価値を知らぬまま26才で生涯を終えたことに、現代を生きる一人の母親として悲しさだけを感じる。 その葛藤の中で詠んだ歌に、今、どれだけ多くの人たちが救いを感じていることか。 膨大な資料に当たったドナルド・キーンさんと角地さんの名訳のおかげで、そんな思いに至りました。

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    投稿日: 2023.07.30