
総合評価
(278件)| 56 | ||
| 93 | ||
| 79 | ||
| 17 | ||
| 2 |
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
題名にもなってる3つのエンジェルは おばあちゃんと熱帯魚ともう1人は、、?わからなかった。 いろんな解釈ができる話なのかな。おばあちゃんの青春時代の記憶と、今の話が字体を変えて舞台が行ったり来たりするのが面白い。
0投稿日: 2025.10.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
軽いのに不思議とずしりと重みを感じるような作品 根源的で不気味なものに近づいたような、不思議な気持ちになった
0投稿日: 2025.09.14
powered by ブクログ『西の魔女が死んだ』を読む前に文章の雰囲気を知るために購入。最初から伏線が散りばめられていて最後にかけて拾っていく構成が良かったです
0投稿日: 2025.09.12
powered by ブクログおばあちゃんと娘の二つの話がスイッチする。おばあちゃんの時はやや文が読みづらいがそれもまた良し。熱帯魚を飼いたくなるような、躊躇うような。聴こえないのに水の音がしてくるそんな心地よい小説。
0投稿日: 2025.08.25
powered by ブクログ寝たきりになったばあちゃんの夜のトイレの付き添いをママの代わりに手伝うことになったコウコ。 最近のコウコの精神不安はカフェインの取り過ぎだという思いと、熱帯魚を飼うことで心の安らぎを取り戻そうとしていること。 その頃からばあちゃんと私は、さわちゃんとコウちゃんお呼び合い、ここにいないかのようなばあちゃんとの不思議な会話をするようになる。 キリスト系の女学校に通うさわこが好きな人たちは、ばばちゃま、女中のツネ、担任の翠川先生と仲良くなりたいと思っている山本孝子さんだった。 翠川先生と山本さんが親密な関係であることを知り、嫉妬のあまり山本さんにきつくあたり、彼女の不幸を願ったさわこは、その時から悪魔の側に行ってしまった自分を悔やんでいた。 熱帯魚のエンゼルフィッシュはネオンテトラを攻撃するようになり、その様子をどうすることもできないままでいた、ばあちゃんとコウコ。 人はどんな時にでも、誰だって良い人でありたいと思うと同時に心にいる悪魔を飼っているのかもしれないね。 それが悪意となって外に出てしまった後の後悔を、ばあちゃんはずっと抱えていたのだけど 孫のコウコを通じて気持ちの整理がついたとき、ばあちゃんは本当の天使になった。 純粋に、こんな時代を超えての人の人生を書けるって すごいなあって思う。 梨木さんの書く文は好きだなあ。
0投稿日: 2025.06.19
powered by ブクログとても短い本なのに、質がいいってこういう本のことなのかな。二つの物語のスイッチ、入れ替わる時の滑らかさが、とても素敵。若さゆえの傲慢さとか、やるせなさとか、切なさとか、後悔とか…
0投稿日: 2025.05.18
powered by ブクログp80「ずっと後になって、私は、本心、というものが、それを言った当初はそう思えなくても、実は段々にそれに近くづいていくこともあるのだと思った。 むしろ、その時にはわからなかった本心がひょこっとかおをだす、ということがあるのかもしれない」 自分はその場の雰囲気に馴染まないような意見が言えない。はじめに賛同してしまう。こうちゃんの気持ちに自分を重ねてしまった。 でもその時は本心じゃなかったって悩んでいたこともこれで正解かもって思えるような勇気をくれた言葉だなぁ。 陀羅尼助っていう馴染みの腹痛薬が出てきて嬉しい。奈良県民には良薬として親しまれているんだ。 p79「時間というものは不思議だと思う。 その時点ではわからずにいた言動が、あとになって全体を振り返ってみると、あらかじめ見事にコーディネートされた一つのテーマに統一されているように見える。」 今の自分は過去の自分の積み重ねだ。 その積み重ねが糧となって一歩ずつ前に進んでいる。時間は繋がっている。
1投稿日: 2025.04.28
powered by ブクログ過去と現在が 交差しながら進む物語 ひとつひとつの繋がりが 徐々に徐々に解けてゆく 押し付けがましくなく 程よく空想の余地を残して展開し 閉じていくのがよい
5投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログ祖母の世話を引き受けることで熱帯魚を飼い始めたコウコ。深夜の祖母は水槽のモーター音のためか少女時代のさわこに戻ってしまう。級友のように喋りながらそれぞれ天使に喩えられる二人は水槽の中に悪魔を見付ける。さわこがずっと欲しかった言葉をコウコは無自覚に代弁していたのだろう。それが周囲の期待に応えてしまう彼女の性格のためだったとしても優しいと思う。罪悪感に耐えられなくなった時に読み返したい。
1投稿日: 2025.03.09
powered by ブクログ梨木さんはあの世とこの世行き来するような作品が多いイメージがあるが、この作品もそんな感じ。 少ないページ数でも読んだ後の満足感が得られた。
0投稿日: 2025.02.28
powered by ブクログWikipediaに「単行本と文庫版では内容と結末が大きく異なる。」とあり、それは大変困ると思って、文庫版を購入して読んだ後、少し経って単行本を図書館で借りて読んでみると、もっと困ったことに私の記憶力が悪すぎて、大きな違いがわからなかった・・・情けない。ということで、バーッとつきあわせてみることに。大きな違いは二つだと思います(正しいか不安)。 このお話は、コウコの今と、おばあちゃん「さわちゃん」の昔の話が交互に描かれる構成になっています。おばあちゃんの昔の話のところで、単行本は普通に書かれていますが、文庫版では旧字体というのでしょうか、漢字も少し違い、かなも昔のような使われ方で書かれています。例えば、小さい「つ」を大きい「つ」で表記していたり、「思う」が「思ふ」であったり。この効果は、二つの話を行き来するという意味で、すごく効果的だと思いました。 コウコは、自分の中にある「いびつな精神」と表現されている、天使のような側面と残虐な側面を、熱帯魚の水槽の中に無意識に投影していて、その水槽のモーター音がおばあちゃんの昔の後悔を呼び起こすというように展開していく物語でした。 天使のようなおばあちゃんにも、幼かった昔に「悪魔に魂を引き渡した」というほど後悔することがあり、その思いがずっと消えなかったようです。介護が必要となり、ほとんどの時間をうとうとと過ごしているおばあちゃんですが、モーター音で覚醒してからは、時折、コウコにだけ、突然はっきりと話しだします。コウコがおばあちゃんが仲良くなりたかった「コウちゃん」と同じ呼び名であることに気づいたとき、おばあちゃんの後悔が少しずつわかってきます。 そのおばあちゃんの後悔は、誰しもが持っているであろうという程度の意地悪な心からくるものでした。それでもおばあちゃんはその意地悪をしてしまった相手である「コウちゃん」や、素直になれなかった相手のツネに対して、ずっとずっと後悔と謝罪の気持ちを持ち合わせていたのでしょう。コウコが水槽の中の悪魔と思われたエンジェルフィッシュをかわいそうだと思い、許そうという気持ちになった時に、おばあちゃんは泣きながら謝り、数日後に息を引き取ります。おばあちゃんの贖罪が終わり、心のつかえがとれたのでしょうか。 最後に「ねぇ、さわちゃん」とコウコがよびかける文章が文庫版からはごっそり削除されていました。それが単行本と文庫版の違いの二つ目だと思います。どんな意図があって変更されたのでしょうか。 誰もがもっているであろう残虐な一面に対する、その人自身の後悔の念だとか、贖罪の気持ちなどを、鋭くそして優しく表現した作品のように思いました。 確かにさわちゃんはコウちゃんに意地悪をした。でもそれをこんなにも・・・と思うと、さわちゃんのエンジェル様のような一面がよくわかるなぁ、と思いました。 ※単行本と文庫版の違いについて、「内容と結末が大きく異なる。」というほどのものではない気がするのですが、また何か私が重要なことに気づいていないだけなのでしょうか。詳しい方がいたら教えてほしいです。
44投稿日: 2025.02.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
梨木香歩さんの本を久しぶりに読んで、切なく、そして心が震えた。タイトルがすごくきいているのもいい。孫と祖母の話が交互に展開していく中、老いること、生きて死ぬこと、誰かにバトンを繋いでいくこと、そういった戦災な優しさの詰まった名作。 ツネがさわちゃんに託した天使が、コウコのところにやってきたこと、たとえ、本人に物が伝わらなくても、会えなくても、大切なものは時間をかけてやってくること、とても切ないけれどいいラストだった。
2投稿日: 2024.11.21
powered by ブクログ熱帯魚を飼う代わりにおばあちゃんの夜のトイレの介助をする事になってから起こる不思議な出来事 おばあちゃんが昔の事を思い出したり、エンゼルフィッシュが攻撃的になったり…… 以下、公式のあらすじ ------------------------ コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。夜、水槽のある部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話をするようになる。ある日、熱帯魚の水槽を見守る二人が目にしたものは――なぜ、こんなむごいことに。コウコの嘆きが、おばあちゃんの胸奥に眠る少女時代の切ない記憶を呼び起こす……。 ------------------------ おばあちゃんの回想が旧仮名遣いなので、ところどころ読みにくい でもまぁ、そんな仕掛けなので雰囲気はよく伝わってくる こうこ、さわちゃんという名前の呼び方の一致 過去と現代の重なる部分 そして、 エンゼルフィッシュがネオンテトラを殺す残酷さ 昔読んだときの事は殆ど覚えてないんだよね でも、何となく不思議な話だったのは覚えてた ラストの展開は結構あっさりしている ただ、単行本の方とはラストがちょっと違うらしい 文庫本の方が削除されている部分があるようで 普通は文庫化に際して加筆する事が多いんですけどね 単行本の方を読んでないので何とも言えないのだけれど 「語りすぎた」という事なのでしょうねぇ 読者に想像の余地を残したかったのかな?
2投稿日: 2024.10.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
おばあちゃんと孫の対話 入れ子になっている物語を読み進めていくと段々と全体が見えてくるミステリーのような不思議な話だった 曖昧に夢現を行き来するような、常世と彼の世が行き来するような…。 ずっと罪の意識があったり、切ない。 おばあちゃんは最後に救われたよね
0投稿日: 2024.09.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
現在とおばあちゃんが少女だった時の話が交互に展開されていく構成が良かった。 最初は誰の視点なのか分からず、もしかして、おばあちゃんが若い時の……?と想像を膨らませながら読むのも、なんだかミステリー小説みたいで新鮮だった。山本さんが“コウちゃん”だと分かった時はドキッとした。 おばあちゃんはずっと昔のことを抱えて、自分は悪魔なのだと思って今まで生きてきたのだろうか……。 机の細工が最後に紐解かれたのも良かった。ツネは机の細工のことを仔細におばあちゃんに伝えていなそうだったから、天使の像は気づいてほしくて入れたわけではないのかな……と想像したり。
0投稿日: 2024.08.21
powered by ブクログ実家で自分の部屋の奥底からこの本を見つけた時、何年も前に友人から借りていた本だということを急に思い出した。内容が記憶になかったが、読んでみると懐かしい気持ちになり、もしかしたら読んだのかもしれない。綺麗な小説によくあるようなほのぼのとしたライトな文体でありながら、絶妙な不穏さや奇妙さが感じられるところが好きだ。この本は今度友人に会った時に返そうと思う。そして自分はいつか買って手元に置いておこうと思う。
0投稿日: 2024.08.11
powered by ブクログ洋酒の効いたパウンドケーキ。 昔はよくわからなかったけれど、大人になるとその苦さも甘さも全部美味しくなってしまうような。 子供の時に読んで、大人になってまた読むべき本。 昔はふんふんと流して読んでいたフレーズが、「私が、悪かったねぇ」という彼女から溢れた何気無い言葉が、やっと救いの言葉に響いて、朝から涙ぐんでしまった。 ご馳走様でした。
0投稿日: 2024.07.20
powered by ブクログ主人公が2人おり交互に変わっていく構成に多少驚きました。さわさんの章を読む時はかなづかひが←こんな感じでだいぶ読みにくかったのですが段々慣れてきました。慣れてきた頃に神とか天使悪魔、キリストなど壮大なテーマになってきて難解な部分もありましたが〜汗 エンジェルフィッシュは、さわでもあり、さわの中の悪魔をぐっちゃぐちゃにすることで過去の過ちや後悔を消し去ったということ、なのでしょうか?? こうこのカフェイン中毒は母の欺瞞から?母のおばあちゃんは天使みたい、がよくわからなかったです。 正直私には色々と読み取れずわからないことがありましたが、後半は引き込まれる様に一気読みさせる不思議な魅力がありました。
0投稿日: 2023.12.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
子どもの頃に読んで、なんだかよくわからない難しい話という印象だけがありましたが、大人になってから読み返すと色々な感情が。 章ごとに時代が現代から過去、過去から現在へ移り変わり若かりしおばあちゃんとコウコ2人の目線で物語は進んでいきます。 章ごとでの主観人物の移り変わりやおばあちゃん視点の章の昔な文章の書き方、認知症?のおばあちゃんの介護や嫁の苦労など、なるほどこれは小学生の自分にはたしかに難しすぎたな、と納得でした。 当たり前だけどおばあちゃんにも若い娘さんの頃はあったんだよなぁ、と自分の祖母に思いを馳せ、コウコと覚醒したおばあちゃんとの解釈の違いに切なさを覚えつつ最期にあのような時間を過ごせたのは一生思い出に残るだろうな、と感じました。
1投稿日: 2023.11.18
powered by ブクログこの物語から何を受け取ったらいいだろうか? 読みながら、なにかしらの意味や意図を探していたのですが、途中からなんだか読むのが謎の心地良さがあって物語を漂っていたら終わってしまいました。 御伽噺のようで、ちょっと怖いような、でも根底にはあたたかいような…。そしてちょっと懐かしいやうな。あの世とこの世、とかスピリチュアルなことは思いませんでしたがふと自分の先祖の存在を考えました。
5投稿日: 2023.09.12
powered by ブクログ中学生くらいの時は全く意味がわからなかったけど、30過ぎて読んだら面白かった。いろんなところが呼応しててドラマの脚本みたい。
1投稿日: 2023.08.19
powered by ブクログおばあちゃんの深夜のトイレの手助けをすることを約束に、熱帯魚を飼うことを許されたコウコ。それ以来、夜中に覚醒するおばあちゃんと、水槽の中の悲劇。おばあちゃんの少女時代と聖書とコウコと熱帯魚の話。 「神様は悪魔のこと、かわいそうだなんて思ったのかな」 「創った私が悪かった、なんて呟いたんだろうか」 この2つの言葉に何となく癒された。 神様にも人格があるのだと考えると、世の中失敗してもまだ終わりじゃないって思えるような気がする。
3投稿日: 2023.08.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
古い言葉遣いとか古い漢字が使われている。そこが少し読みにくかった。少しだけ古文みたい。古文苦手だったから。だけど、上部3分の1ほど空白なので読みやすい。 エンゼルフィッシュとネオンテトラの熱帯魚を飼う。モーターの音に反応して?認知症の?おばあちゃんがよく話すようになり、トイレ係となった孫と会話をする。そして熱帯魚は皆いなくなる。 コーヒーでストレスを軽減している孫にとっては熱帯魚がそれの代わりとなっていた。その後は天使のようなコウモリのような木彫り(おばあちゃんの形見のようなもの)がその代わりとなった。 悪魔と天使。 聖書。 妬んで意地悪してしまうのはわかる。 自分以外の生命体と関わることでバランスを取っている、みたいな文章あって、何かをお世話する=自分の心のお世話になっているみたいなところ確かにあるよなって思った。 なにがどう、というのではないけれど、本の中に連れて行ってくれる癒しみたいなものはあった。 女性らしい文章。 あとさかなくんが言ってた、魚も、水槽のような狭いところにいれるといじめをするみたいなの、思い出した。 この世の創造主も案外、この孫みたいな感じかもね。 読書感想文に良さそう。
1投稿日: 2023.07.05
powered by ブクログ目を背けたい現実を突きつけられているようでもありながら、優しさに包まれているような感覚もある不思議な物語だった。 私の家でもエンゼルフィッシュを飼育しているため(今は何代目だろう…)、彼らの凶暴性や残虐性を初めて見たときの悲しさや怒りのようなものを思い出し懐かしく感じた。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。夜、水槽のある部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話をするようになる。ある日、熱帯魚の水槽を見守る二人が目にしたものは――なぜ、こんなむごいことに。コウコの嘆きが、おばあちゃんの胸奥に眠る少女時代の切ない記憶を呼び起こす……。
1投稿日: 2023.05.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
水槽の中にエンゼルフィッシュ二匹とネオンテトラ十匹を。エンゼルフィッシュがネオンテトラを攻撃し食べてしまう。エンゼルフィッシュだけになると、次は、強いエンゼルフィッシュが弱いエンゼルフィッシュを攻撃し殺してしまう。これらのことから、著者は何を言わんとされたのか・・・。私には難しすぎる小説でした。梨木香歩「エンジェルエンジェルエンジェル」、2004.3発行。
1投稿日: 2023.05.08
powered by ブクログ読みやすかった 寝たきりの天使みたいなおばあちゃんと孫のコウコと熱帯魚 深夜のトイレを手伝うときだけ覚醒しておばあちゃんが昔の頃のように話す おばあちゃんの少女時代のストーリーとおばあちゃんとコウコのストーリーが交互に進んでく
1投稿日: 2023.04.30
powered by ブクログ解説が精神医学者であることに驚いた、文庫本で読んだのでセピア色の表現に触れられなかった。 尊敬していた祖母が同い歳の友達のようになってしまうのは嬉しくもあり心苦しさもあると思う。 夢で、自分の顔をしたエンゼルフィッシュが攻撃する先はやはり自分だった、という箇所に自己肯定感の低さや自尊感情の少なさが見て取れた。 2025.8.25 二度目の読了。
3投稿日: 2022.11.30
powered by ブクログあなたは、『エンゼルフィッシュ』を飼ったことがあるでしょうか? 私たち人間は人と人との繋がりの中で毎日を生きています。意見のぶつかり合いの一方で、お互いがお互いを思いやる瞬間も見る時間の中に、コミュニケーションあってこその暮らしの楽しさを感じもします。その一方で、自分の時間の中に人間以外の他の生物との時間を過ごしたいという欲求を持たれる方もいらっしゃると思います。ペットフード協会が公表している”飼育頭数調査(2021年)”によると、その数は犬が710万6千頭、猫が894万6千頭にものぼるようです。犬の方が多いと思っていた私には少しビックリな数でもありますが、犬や猫との時間を求める方が数多くいらっしゃることが確かに分かります。 一方で、マンション世帯など犬や猫を飼いたいと思っても自由に飼うことのできない方も多いと思います。そんな方が行き着く先、その一つが『熱帯魚』です。鳴くこともなく、散歩に連れて行く必要もなく、そして、隣近所の方に知られることもなく飼育できる生きもの。水槽という囲われた世界の中で全てが完結できる生きもの。『熱帯魚』が人気になる理由がよく分かります。 さて、ここにそんな『熱帯魚』の飼育を始めた一人の高校生が主人公となる物語があります。『ああ、きれいだ』、『蛍光灯の光の下で、ゆうゆうと泳ぐ二匹のエンゼルフィッシュと、キラキラ光る十匹のネオンテトラは、完璧な組み合せのように思えた』と、目の前の光景を見て、幸せな時間に浸るその高校生。そんな高校生は、祖母の介護、毎日深夜の『ばあちゃんのトイレ』を担当する中に、祖母との『不思議』な時間を過ごします。 この作品は、そんな高校生の日常と、『ばあちゃん』の若き日の姿が並行して描かれる物語。主人公が、飼育する『エンゼルフィッシュ』を見つめ続ける中に何かを感じとる物語。そしてそれは、祖母と高校生の二人が『ばあちゃん、気づいているんだ』という『不思議』な時間を共有する中に、人の魂が救われることの意味を感じる物語です。 『ねえ、きちんと世話をするから』、『自分でも意外に思うくらいの熱心さ』でママに頼みこむのは主人公のコウコ。そんなコウコに『熱帯魚って大変なのよ。もう旅行にも出かけられなくなるわ』と母親に返され、『別に熱帯魚がいなくたってもうできそうもないよ』と『居間の続き間をちらっと見』ると、そこには、『介護用のベッド』に横たわる祖母の姿がありました。『一年ほど前から床についたままになっ』た祖母は、『田舎の家で伯父さんたち』と暮らしていましたが、『突然伯父さんたちの一家が仕事で揃ってアメリカへ行く』ことになり一緒に暮らすことになった今。しかし、『ばあちゃんは自分の息子を』、『自分の孫を忘れて』しまっていました。一方で、『ママのことだけはママと呼ぶ。世話をしてくれる人、という意識があるのだろうか』と思うコウコ。そんな祖母の寝顔を見て『おばあちゃんは天使みたいだ』と母親はつぶやきます。そんなコウコの家は『もともと、ばあちゃんが小さい頃から住んでいた戦前からの建物』であり、『ばあちゃんは結局生まれ育った自分の町の家に帰ってきた』ことになります。 場面は変わり、『今日は、ばばちやまが田舍から今年一番の新茶をもつていらつしやる日』という中、『準備で大わらは』のツネを見て『なんだか大晦日みたい』と思うのはさわこ(祖母の若き日)。『私は人をおもてなしするのが大好きだ。それが大好きなばばちゃまだつたらなほのこと』と思うコウコは、『七時半にいつも通るしじみ賣りの聲に、慌てて家をあとにし』ました。 場面は戻り、コーヒーを『日に三十杯はゆうに飲む』というコウコは、『カフェインに「やられている」』と自身のことを思います。そして、『やっぱり、熱帯魚だ。私には神経を落ち着かせる何かが必要だ』というコウコは、夜中に目覚め『まだ二時半だ』と思います。そんな中、『廊下の電燈がつ』き、『ばあちゃんとママ』が現れました。『これからトイレなの』と言う母親に『毎晩、今ごろ?大変だねえ、ママ』と返したコウコは『私、やってあげるよ。明日から。ママ』と母親の代わりに祖母のトイレの担当をすることを申し出ました。そんな申し出に黙ってしまった母親でしたが、しばらくして『ありがとう。コウコ。じゃあ、明日からお願いするわね』とトイレの方から声がするとともに『次の日、熱帯魚飼育の許可が降り』ました。そして『熱帯魚』の飼育を始めたコウコ。一方で若き日の祖母・さわこの姿が描かれる物語。この二つの時代の物語が並行して描かれていく中に、それらが絶妙に一つの世界観を織り成していく物語が始まりました。 “私、コウコと、ばあちゃん、さわちゃん。トイレへ行く他はほとんど寝たきりの少し呆けた祖母の心にあるものは…。現在と、祖母の若い日の物語が1章ごとに交代で同時進行する”と内容紹介に端的に説明される13の章からなるこの作品。『補修や宿題の多さで有名な進学校』に通う主人公のコウコの物語が奇数章に、『ミッション系の』『女學校』に通うもう一人の主人公のさわこ(祖母の若き日)の物語が偶数章に交互に描かれていきます。作品自体は文庫本156ページとあっという間に読み終える分量ですが、あっさり感はなく、短い中にとても深い物語が描かれていたという読後感が残るとても意味ありげな作品になっています。ただ、ページ数の少なさは下手なことを書くとすぐにネタバレに直結してしまうため、なかなかにレビューを書くのが難しい作品でもあります。では、まずは、この作品の特徴でもある二つの時代の表現を見てみたいと思います。 まず現代のコウコは、『壁に組み込まれた熱帯魚の水槽』を『インテリア雑誌で見た』ことがきっかけとなって『熱帯魚』の飼育を熱望しています。上記の通り、祖母の介護の手伝いをすることと引き換えに飼育を認められることになったコウコは『早速近所の熱帯魚の専門店』で、『水槽のセットと、底に敷く砂、水道水の中和剤などを買って』きます。『風呂場で丹念に砂を洗』い、一方で、『物置の隅に眠っていた』『かなりの年代もの』の『サイドテーブル』を取り出してきて居間にセットします。『サーモスタットとフィルターを通電させ』水の循環が始まった様を『生命の循環の始まりだ』と書く梨木さん。そして、いよいよ熱帯魚の登場、『エンゼルフィッシュ二匹と、ネオンテトラ十匹』を買ってきたコウコ。『最近、聖書に凝っている』というコウコは、『エンゼルフィッシュ』という名前に親しみも感じながら、出来上がった目の前の水槽の光景を『ああ、きれいだ』と思います。『ゆうゆうと泳ぐ二匹のエンゼルフィッシュと、キラキラ光る十匹のネオンテトラ』を、『完璧な組み合せ』だと満足感に包まれるコウコ。この展開は、『熱帯魚』を飼育したことのある方には飼育する側の心の動きがとてもよく分かると思います。極めて読みやすい文章の中に極めて前向きな主人公・コウコの気持ちが描かれていく奇数章の前半を読む限りは、これって梨木香歩さんの作品だよね…何を言いたいのかなあ、とシンプルな展開が故の不思議な感覚に包まれます。 一方で、過去の時代を描く さわこの物語は一癖二癖あります。何故なら、その文章は戦前の表記そのままにこんな風に表現されるからです。 『夏の陽射しの中で走り囘つて遊んだ後、喉が乾くと、土間に据ゑてある水瓶の水を柄杓ですくつて飮んだ』。 どこに違和感があるかお分かりになるでしょうか?一つには撥音が大文字で記されている点です。”すくって”ではなく『すくつて』。二つには漢字が旧字体で記されている点です。”走り回って”ではなく、『走り囘つて』。そして三つ目には、『土間に据ゑてある水瓶の水を柄杓ですくつて飮んだ』という今の世とは全く異なる昔の日本にあった光景の描写だということです。コウコが主人公となる奇数章は、いかにも今の時代、さわこが主人公となる偶数章には、説明の通り、これでもかと古き日本を印象付ける表記をもってこの両者の違いを際立たせながら物語は進んでいきます。そんな偶数章は、はっきり言って読みづらいです。しかし、『お勝手で際限なく增え續ける、あはびの殻で緣どつた、私の大事な花壇』、『はうじ茶でつくつた茶がゆは、鹽が效いてゐて、おいしかつた』、そして『町内を行く金魚賣りの聲が、氣だるげに響く』と描かれていく古き良き時代の日本の風景はとても味わい深さを感じさせてくれます。この表記あってこその味わいとも言える表現の数々。この作品、単行本と文庫では結末含め内容に差異があるようで、単行本ではさわこが主人公となる物語の表現もこのようになっておらず、印刷の色合いで違いを出させているようです。私は文庫本しか読んでいませんが、この味わいのある表現が登場しないとすると、単行本より文庫の方が良いのではないか?そんな風に感じました。 そんな今と過去の物語が並行して描かれていくこの作品。上記した通り、その関係性に踏み込んでいくとそのままネタバレになってしまうため、残念ながら踏み込むことはできませんが、ひとつだけポイントに触れておきたいと思います。それがコウコの物語に登場する『エンゼルフィッシュ』と、『ミッション系の』『女學校』に通っていた さわこが見る『大天使ミカエルさまは、それは御位の高い天使さまなのよ』と描かれていく物語の対比です。 『私が、悪かったねえって。おまえたちを、こんなふうに創ってしまって』 祖母の さわこが語る意味ありげな言葉を聞いて『新しい風が体内に吹き込んだようだ』と感じるコウコ。二つの全く異なる時代の物語が、時空を超えて見事な繋がりを見せる瞬間。点と点の結びつきが一本の線になって二つの時代を結びつけていく、結びついた線の上に一つのドラマが出来上がっていく、そして、その先に梨木さんがこの作品で伝えようとされることがふっと浮かび上がってきます。そこには、『創造主』という言葉が意味する深淵な世界へと読者の感覚を誘う物語が描かれていました。 わずか156ページの物語の中に深い読み味を感じさせるこの作品。『さわちゃんは、私の心に住む人のようなしゃべりかたをする。私はなんだか違う時間に入り込んだような気がしていた』というコウコと祖母の さわこの心が交わっていく様が描かれるこの作品。二つの時代の物語を見事に編み上げていく、梨木さんの構成力に圧倒されるこの作品。 「エンジェル」を三つ重ねる書名の、どこか軽やかさを感じさせる物語の中に、人がこの世に生まれ、生きて、そして死んでいく、そのことの意味を想起させもする深い深い読み味の作品でした。
130投稿日: 2022.11.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
梨木さんは家守綺譚から2作目。 家守綺譚のレビューを載せてからフォローが急激に増えたので、感謝の意味を込めていつか別の作品も読もうと思ったけどこんなに遅くなった。 解説が精神科医の神田橋先生というのも興味があった。 上の3分の1が空白という不思議な構成。 孫のコウコと祖母のさわちゃんの心情がリレーでつながる。対等な友人の関係のようだけど世話をするものされるもの、庇護するものされるものという関係。 熱帯魚ではないが、魚を飼育しているので、水槽を準備するあのワクワク感は、砂を洗うわずらわしさも含めて、やはり楽しい。 さわちゃんが植えたというお茶の木、調べてみた。品のある白い花、素敵。 カスタード・クリイム、西洋餡入り揚げ菓子、本当に美味しそう。 私もカフェイン中毒なので少し控えなくちゃとも思った。 場面が交錯して、時々読み返さないと混乱するが、妙にかみ合わなさと共通項があってじわりと恐怖も感じる。 水槽の創造主、神様という言葉があとから、ああそういうことにもつながるのか。「おまえたちを、こんなふうに創ってしまって、悪かったね」
11投稿日: 2022.07.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今日の本は私、ネタバレさせずに書く自信が全くないです。 なので、バレバレで(笑) 『エンジェル エンジェル エンジェル』 梨木香歩 (新潮文庫) タイトルに何で“エンジェル”が三回も繰り返されているのか、読み終えた後にわかる。 ちょっと悲しいタイトルかもしれない。 梨木さんといえば、“おばあちゃんと孫娘”。 今回も、少しぼけているおばあちゃんと孫の「コウコ」の話である。 コウコは情緒不安定で、いつも自己嫌悪を感じて落ち込む、自称“コーヒー中毒”の女の子だ。 彼女は「やたらに悲観的になったり攻撃的になったり」し、その矛先が結局自分に向くことで、「自分で自分の傷を猟奇的に深くして覗き込んでいくような性癖」と、自己を分析している。 さて、夜中にトイレに連れて行かなければならないおばあちゃんの世話を、コウコが引き受けたところから、物語は不思議な世界へと舵を取り始める。 現代の章と、旧仮名遣いで書かれた昔の話の章が交互に語られるのだが、昔の章で出てくる「さわこ」という女の子が、どうやら今のコウコのおばあちゃんであるらしいと、読んでいるうちに分かってくる。 おばあちゃんは、昼間はほとんど眠っているが、コウコがいる夜に時々覚醒して、少女の「さわちゃん」に戻るのだ。 ある日、コウコが飼っている熱帯魚の水槽で、エンゼルフィッシュがネオンテトラを殺すという事件が起きる。 毎日少しずつ減っていくネオンテトラ。 水槽で行われる殺戮を中心として、コウコの心の闇とさわちゃんの過去の後悔が重なり合う。 ネオンテトラを皆殺しにしたエンゼルフィッシュの描写はグロテスクで、コウコとさわちゃんが胸に抱えている悪魔が、エンゼルフィッシュの姿を借りて象徴的に描かれているかのようだ。 死んだエンゼルフィッシュを二人で埋める場面はゾッとする。 さわちゃんは、自分の中の悪魔を殺そうとしたのだろうか……。 「「…私が、悪かったねえ」 ついぞ優しい言葉をかけてやらなかったエンゼルに、私はしみじみ謝った。 さわちゃんは、しばらく黙り込んだ後、低い声できいた。 「…コウちゃん、神様もそう呟くことがおありだろうか」 「え?」 「神様が、そう言ってくれたら、どんなにいいだろう」 「え?」 「私が、悪かったねえって。おまえたちをこんなふうに創ってしまってって」 それを聞くと、身体中の緊張がいっぺんに緩んだような気がした。新しい風が体内に吹き込んだようだった。 「ああ」 私は土をかける手を止めて、空を見上げた。」 いいシーンだなぁ。 そして、自分は悪魔に魂を売ったと思い込んで、ずっと苦しんできたさわちゃんが、コウコの言葉によって救われる。 「いいんだよ、さわちゃん、姉妹じゃないか」 この“姉妹”の意味は読まないと分からないですが、すごくいいんです。 よかったね、さわちゃん。 さわちゃんは、まるで大仕事を終えたかのように、それから数日後、眠るように亡くなった。 そして。 コウコを救ったのは、さわちゃんの遺した、サイドテーブルのひきだしの天使像だったんだね。 梨木さんの小説は、“破壊”や“死”の後に、必ず力強い“再生”がある。 頑張るとか立ち直るとか元気を出すとかではなくて、新芽が芽吹くような、地面の下から湧き上がってくるような、自然のエネルギーを感じる力強さ。 そういえば、(解説でちょっと触れられていたけれど)コウコという名前の説明って一切ないんですね。 「からくりからくさ」の“ヨキコトキク”みたい。 わざと不思議な部分をちょっぴり残しておくっていうのがうまいなぁ。 自分大好き人間な人には、この物語の味わいは分からないかもしれない。 反対に、ものすごく分かりすぎる人は、もうそろそろ自分をゆるしてあげてもいいんじゃないですか、と、そう言われているような気もします。 少し楽になりましょう。 静かな励ましに心を打たれる、そんな物語でした。
0投稿日: 2022.04.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
孫の「こうこ」に古き思い出の公子さんを投影していたのだろうか。「こうちゃん」と呼びたかったことや翆川先生と山本さんの姉妹の関係が羨ましたかったこと。エンゼルさま(エンゼルフィシュ)が少女時代の後悔を抱くさわこへ僅かな時間をくれたのだと思う。 止められない嫉妬心・攻撃的な態度で人を傷付けてしまった過去。そういう黒い気持ちってずっと忘れられないものだよね。 それを、どうにもできなかったエンゼルだってかわいそうだよと、他ならぬ「こうちゃん」に許された。 きっと安心して旅立だっていけたのだろうな
4投稿日: 2022.04.17
powered by ブクログ「さわちゃん、もし、このモーター音がうるさかったら、水槽、私の部屋にもっていくけれど……」 私は、ゆっくりと、言葉を切りながら言った。ばあちゃんはちらりと私を見遣ると、やはりゆっくりと、 「でも、そうしたら、私、コウちゃんとこうしてお話し出来なくなるかもしれない。私、消えてしまうかもしれない」 と、視線をそらしながら言った。 「……コウちゃん、神様もそう呟くことがおありだろうか」 「え?」 「神様が、そう言ってくれたら、どんなにいいだろう」 「え?」 「私が、悪かったねえって。おまえたちを、こんなふうに創ってしまってって」
0投稿日: 2022.04.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
西の魔女が死んだの作者の作品ってことで気になって図書館で借りた。タイトルからして可愛い話と思ってたら残酷でちょっと怖かった。カフェイン中毒の高校生(コウコ)の現在と要介護状態認知症初期のおばあちゃんの過去が交錯していく。最初話の構成が分からなくて2回読んだ。おばあちゃんが二人でいる時に急に覚醒して友達みたいに話し出すのも怖いしエンジェルフィッシュが肉の味を覚えて他の魚を食い散らかすのも怖いしその後死んだエンジェルフィッシュをおばあちゃんが原形をとどめていないぐらい石で叩き潰すのも怖い。全部がパンチ効いてて不気味なんだけど不思議と中毒性がある。最後のコウコの言葉でおばあちゃんは過去の自分が許された気持ちになったんだろうな。
1投稿日: 2022.03.05
powered by ブクログ誰の心の中にもいる天使と悪魔、この世界を神様が作ったのなら、どうして悪魔が必要だったのだろう… 最期にサワちゃんはコウちゃんに「ごめんね…」と言えて救われたのだろうか…
0投稿日: 2022.02.06
powered by ブクログなんと言い表せばいいかわからないけど、不思議な本だった。カフェイン中毒の女子学生のコウコ、認知症が始まったコウコのおばあちゃんのさわちゃん、2人の目線のお話が交互に書かれている。 カフェイン中毒を治すために熱帯魚を飼い始めたコウコと、その熱帯魚を見ると饒舌になり活動的になるさわちゃん。熱帯魚がさわちゃんの何を動かしていたのか。 お母さんがいう、「おばあちゃんは天使みたいだ」は場面によって違う意味を持つのだと思った。
0投稿日: 2021.10.03
powered by ブクログ梨木香歩がこちらに少し分けて見せてくれる世界は、谷山浩子のいる世界と繋がっているような気がする。 表現の方向性は違うけど、草間彌生とも少し。 少女趣味で、メルヘンで、グロテスクで、甘く苦く、毒で薬で、ミステリアスというより不気味で、なのに美しくて優しくて、いつまでもここで道草食いたくなる。 どんな物語もこちらの核心を無遠慮にふんわりとこじ開けようとしてくる。 ファンタジックなくせに、汗ばんだ肌のようなリアルに生々しい質感と湿度を持っている。 暗闇を理解している人だけが表せる光があるのだと感じる。
1投稿日: 2021.08.12
powered by ブクログタイトルの3つのエンジェル。 コウコとおばあちゃんとエンゼルフィッシュのお話。 それぞれ、ちょっと残酷なところがあって…でも、それをまざまざと描き出されると目を背けたくなってしまう。短くてあっさり読めてしまうのに、読んでいる間ずっしりとした重みを感じる。
0投稿日: 2021.04.22
powered by ブクログコウコが熱帯魚を飼った現在と おばあちゃんが少女だったころの過去の記憶が 交互に描かれ、巧妙にリンクする 短いけど深く重い作品。 読み進めるたび強くなる不穏な香りに 導かれるように一気読み。 透明で上品で精巧で、ほの暗く切なく苦しい。 特に少女のさわちゃんが 自分は暗い世界に行ってしまったんだと、 もう明るい世界には戻れないんだと 絶望する描写は心を抉った。 天使が、熱帯魚が、神様が、カフェインが、お茶の木が、聖書が、シュークリームが、木彫りが…… 些細な描写が重要な意味を持って、 この作品の世界を形作っている。 細部まで意思がこもっていて、 一瞬たりとも気が抜けない。 (しかもこの事実は、その描写を通り過ぎて 読み進めないと気づかない!) 梨木先生さすがです、としか言いようがない。 “私が、悪かったねぇって。 おまえたちを、こんなふうに創ってしまってって” 自分の中に巣食う悪魔と、 それを自分が、他者がどう思うにせよ、 多分、結局は一緒に生きてかなきゃいけないんだ。 理性の及ばない、どうしようもない何かを抱えて、 存在を認めて、飼い慣らして。 ばばちやまみたいに上手に、 あるいはツネみたいになるたけ優しく 生きていきたいものだなぁ。 少なくとも悪魔の所業には さわちゃんみたいに、心を痛める自分でありたい。
2投稿日: 2021.04.10
powered by ブクログすぐに読み終わるけど、ページ数に不釣り合いな重さ。 梨木さんの書く話はいつもそう。 穏やかさの中に黒々とした不気味さがある。人間の嫌な部分に輪郭を持たせて、読者に訴えかける。 びっくりするような思いがけないグロ描写(私がグロだと思っているだけかもしれない)もあったりする。 だから無意識に、命にフォーカスした読み方をするようになる。 そして考える。梨木さんの作品はいつも、考えさせる。好きだ〜!!そんな梨木さんの作品が好きだ〜〜!!!
6投稿日: 2021.03.15
powered by ブクログこれも すごい梨木さんの世界。 あっちの世界とこっちの世界。 人の中も複雑。 天使と悪魔。 それは本当にそれほど違う?? なにもかも認めることができれば、それはすごいことだと思う。 梨木さんの本は やっぱり良いなぁと思います。 まだ買い置きしているものがあるので、順番に読んでいきたいと思います。
66投稿日: 2021.02.17
powered by ブクログ「えらく字数が少ないね」と、横から言われた。しかも160ページほどなので、すぐに終わってしまった。 にもかかわらず、内容は結構、重かった。人間の業がむき出しになったような感覚に陥る。 「コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。夜、水槽のある部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話をするようになる。ある日、熱帯魚の水槽を見守る二人が目にしたものは―なぜ、こんなむごいことに。 ... Google Booksより」 物語は、女子高生のコウコ(コウちゃん)の現代と、コウコの祖母であるさわちゃんの時代が交互に描写されている。 コウコは母親から天使と言われる。叔父一家がアメリカ転勤となり祖母の世話を母がすることになる。祖母の夜中にトイレに連れて行くことをかって出たコウコは母親から熱帯魚を飼う許可を得、エンゼルフィッシュとネオンテトラを飼う。 本作は、現代のコウコが感じた残虐さと過去の祖母さわこの残虐な行為が交差する。 現代ではエンゼルフィッシュがネオンテトラを攻撃し、殺してしまう残虐さと、最後に残ったエンジェルフィッシュが死んでしまったときの祖母の残虐な行動。 祖母の女学生時代では、祖母の級友に対する異常なほど攻撃的な醜い行動である。 「神様が『私がわるかったねぇって。おまえたちを、こんなふうに創ってしまって』そう言ってくれてらどんなにいいだろう」という。その言葉が、自分たちの罪深さ、しいては人間は罪深さを認めているように聞こえる。 また、物語のエンジェルフィッシュの描写で、あんな小さな生き物ですら、だんだんとエスカレートする残虐さに何故か、人間だけではなく、これが生き物の本来の姿であり、性のような気がした。 隠しておきたい本性を突きつけられたような気持ちになり、それを否定している自分を認める。そんな気持ちに陥いるストーリーであった。 タイトルのエンジェル、エンジェルという意味に被せたコウコと祖母そしてエンジェルフィッシュの醜さ、残虐さを歌っているのであろう。
40投稿日: 2021.01.31
powered by ブクログコウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。夜、水槽のある部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話をするようになる。ある日、熱帯魚の水槽を見守る二人が目にしたものは―なぜ、こんなむごいことに。コウコの嘆きが、おばあちゃんの胸奥に眠る少女時代の切ない記憶を呼び起こす…。
4投稿日: 2021.01.27
powered by ブクログ過去の後悔と現在の悩みが、熱帯魚を通じ、巧妙にミックスされて描かれている 「からくり小説」と表現されているが、現在と過去を行き来する章立てと、締めくくりで、なるほど納得 少ない文章量(ページの上1/3程度が空いていて、行間も広い)で、読者の想像を沸き立てる表現はお上手
6投稿日: 2020.12.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
再再読?ぐらいかな。2004年発行。 主人公コウコとその祖母の話。 現代(コウコ)と過去(祖母)が交互に描かれていまが、 メインは祖母。女学生時代の祖母の後悔が ずっと今も残っていますが、最後にコウコの言動に よって救われます。
3投稿日: 2020.10.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
3つの閉じられた世界(こうこ、熱帯魚の水槽、おばあちゃん)が関わり合って、中身が、だんだんあふれ出してくる様子にはらはらしながら読んだ。ヒトのむりを凝縮させたような水槽の描写には暗澹となったけれども、犠牲のうえに、犠牲にしたことを自覚しながら生きていく、青空を仰いだような感覚を覚える一幕もあった。ただ、かなしみをも一時のものとして、ひとは生きていくのだと思うと、希望と絶望のあいまざったあいだを超えた、なにか「ねがい」「祈り」のようなものを感じる。
7投稿日: 2020.01.25
powered by ブクログ「家守綺譚」の梨木氏。本作は宗教的気配が濃厚。文体の、書き言葉での距離感と話し言葉での接近という見立てで、祖母と娘の不思議な接点を味わった。道具立てとしての熱帯魚が哀しく美しい。善悪と対峙すること、救いと赦し、きわめて宗教的な体験と示唆をおもわせる。おおむね登場人物が没個性であるなかで、謎めいてみえたのが、母の姿。ほとんど間接的にしか描かれない存在のようで、いちばん危うさを感じさせた。
1投稿日: 2019.05.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
周りから期待されているいい子の顔と、自分の本心とのギャップに追い詰められている親娘3世代のお話。 最期の最期にコウちゃんがさわちゃんを、記憶のコウちゃんに代わって許してあげれてよかった。 うん、だれも天使だけなんかになれない。 「バランスとって飛ぼうよねえ さわちゃん 力いるけど」でじんときた。
1投稿日: 2019.03.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ひさびさの日本の現代小説です。これはやっぱりパンダにひかれて買ったもの。 他に欲しい本があったら、買わなかったでしょうね。だってこの本、文章少ないんです。 内容はひとりの高校生くらいの少女コウコと、ねたきりになってしまったばあちゃんの話。コウコは優等生。エンジェルのようだけど、心はすごく疲れてる。ばあちゃんは心がエンジェルのように無垢。だけど周りにいるのが誰かもわからない。そんな二人の少女の精神…のようなものが交互にやってくる作品です。 そして、仲介役を引き受けるもうひとりのエンジェル、か。 「想い」というよりはやはり「精神」のほうが近いでしょうか。それが淡々と語られる物語です。 心が見えるたびに、少しどきっとして、少しきゅっとくるようでした。 梨木さんの話は、こういう人間関係ものが多い気がします。「りかさん」なんかが一番近いかな。なかなか独特です。 終わったあと、あぁ、やってしまった…と涙を流す、そんな作品。そして、短いながらも裏側の多い作品。とてもきゅんとします。
1投稿日: 2019.02.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
再読。孫娘と母(嫁)をはさんで祖母とのつながりは、フシギナ図形を描く。時には垂直、時には並列、時には円環、時には三角。そして祖母の認知により時空を超えて過去と現実が交錯する。互いに憎しみを露呈し、互いに許される。薄い本なのに複雑な構図でじっくりじっくり読みたい。エンジェルがひとつだけじゃなく、3つ重なっているタイトルが深い。
1投稿日: 2019.02.04
powered by ブクログ胸を衝かれた思いだった。この、変な関係を。祖母と孫でありながら、対等な友人同士でありながら、世話をするものされるもの、庇護するものされるもの、という変な関係。
1投稿日: 2018.10.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
祖母のサワちゃん孫のコウちゃん。ふたりの真夜中の交流。水槽の灯りに包まれて、柔らかな時間を過ごす2人はきっとその時間だけ、別の時代を生きた同じ年頃の女の子でした。 おばあちゃんの生きた時代。戦前の、生まれのいい女学生だったサワちゃんの暮らし。機械音のない家の中で、手仕事を重ねて日々を営む暮らし。初めて触れたはずのノスタルジー。日本家屋、木々の茂るお庭。その時代を彩るものどれもすてきでした。 その時代サワちゃんの心に残った傷は時を重ねても彼女の心に暗く影を落としていました。コウちゃんは交流を重ねるうちそれに気づかないままサワちゃんの心を癒します。 サワちゃんの思い出に深く刻まれた傷に触れていくのは、大変心が痛かった。 最後には優しい気持ちになりました。
1投稿日: 2018.07.11
powered by ブクログ2009年2月6日~6日。 とても重たい話。 女性だけに当てはまるとは思えない。 最初は面喰うかも知れないが、どんどんとその深く重たい世界に引きずり込まれていく。 いい話、ではない。 でも目を背けることも出来ない。 「神は悪魔をどういうふうに思っておられたのだろう」 恐ろしい本である。
2投稿日: 2018.01.06
powered by ブクログ重いテーマでけっこう恐ろしげな話なのだけど梨木さんの文章に引き込まれて、案外さらっと読み終わってしまいますが、読後、胸に何とも言えない重苦しさがのし掛かってくる作品だなと思います。 色々考えさせられる部分もあって、でも真面目に考えれば考えるほど苦しくて・・・という感じにも関わらず、ふっとした瞬間に読み返したくなる不思議な本。 買ってから何回も読み、今後も読み返すであろう一冊です。
2投稿日: 2017.07.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
文体から、いい子ちゃん小説かと思いきや、まったく逆ベクトルの凄まじい小説だった……! 悪意、暴力、女性性、旧約聖書の世界、罪と罰、罪悪感、の連鎖。 死体を石で幾度も打ち付ける場面には背筋が凍る思いをした。 願わくば最後に飛び出してきたエンジェルが、さわちゃんの心に届かんことを。
2投稿日: 2016.12.18
powered by ブクログ風神招き、和紙のはたきで障子の桟を掃除する音、ほうじ茶で作った茶粥。 記憶の奥底にはあるかもしれない、でも見たことはない、美しさが沁みてくるような一つ一つのこと。 高野文子の作品を思い出したのは、私だけでしょうか? ばばちゃまの少女時代、同性の先生と友達に対する思慕、それが裏切られたと知った時の悲しみ。 そして自分が望んだ通りの不幸が起こった時... そんな邪悪な存在である自分でも、神に赦されていると感じた時に得られる慰さめ。 エンジェルという名の繋がりの中で、ばばちゃまにもたらされる慰さめを描いている、奇跡のような作品。
2投稿日: 2016.11.12
powered by ブクログ美しくて、残酷で、切なくて、心に刺さる。 おばあちゃんの少女時代と孫娘コウコの今を行き来しながら、揺れ動く繊細な心をうつしだしていく。 もう少し大人になったらまた読み返してみたいな。
2投稿日: 2016.11.03
powered by ブクログ死を間近に控えた「ばあちゃん」と、孫娘のコウコ、そして彼女が飼い始めた熱帯魚をめぐる物語。 梨木作品には印象的な老女たちがいる。 「西の魔女が死んだ」「りかさん」のような、知恵の象徴のような人たち。 この物語でも、さわこの「おばばちゃま」はそんな感じ。 一方、ここでは、さわこが年老いて、認知症の症状も出、死を迎えようとする状態の老女として出てくる。 物語はさわこの少女時代と現在を往還しながら進んでいく。 さわこばあちゃんは、少女時代、心を悪魔に売り渡した、つらい経験を背負い、今もまだその痛みから恢復していないようだった。 物語の終盤、ツネの残した机の引き出しから手彫の天使が出てくる。 これがさわこばあちゃんの人の救いになっていてくれるといいのだけれど、ばあちゃん自身はそれを知っていたのだろうか。 安易にカタルシスを与えてくれないところが、梨木さんのいいところだと思う。
3投稿日: 2016.03.14
powered by ブクログ前にも一度読みましたが、やっぱりこの本が好きです。 残酷なことを、人間の醜いことを書いているのに、嫌悪を抱かせずむしろ悲しさや愛しさを感じます。 神様はどんなお気持ちで悪魔を見ていたのだろう。
2投稿日: 2016.02.12
powered by ブクログずいぶん前に読んで、ストーリーは忘れてしまったけど、静かで、なんだか少し怖い感じがしたのを覚えていた。最近、この本の1シーンの朗読を聴く機会があって、これがまたえらくドラマチックだったもので、あれ、そういう感じの話だったっけ?と気になり再読。 やっぱり静かで、少し怖いと感じたけど、まあ、人によって受け取り方は様々だってことでしょうな。
0投稿日: 2015.12.23
powered by ブクログhttp://kimikimi714.hatenablog.com/entry/2013/12/13/12%E6%97%A5%E7%9B%AE%3A_%E4%BB%8A%E5%B9%B4%E8%AA%AD%E3%82%93%E3%81%A0%E5%B0%8F%E8%AA%AC 書いた
0投稿日: 2015.09.27
powered by ブクログ梨木香歩の本は、いつも僕の心をときめかせる。 梨木さんの世界に、いつの間にか入っていて、ふと気づいたら、不思議な落ち着いた気持ちがそこにはある。 エンジェル エンジェル エンジェルは、哀しくて切なくて、でも素敵な物語。 一時間で読めるけど読み終えたあと一時間考えさせられた。 神様が、天使と悪魔を創った。 誰の中にも天使と悪魔がいるんだけど、さわちゃんのようにずーっと心のどこかで苦しんでいる人もいるけど、そういう人は最後は、天使が悪魔に勝って連れていってくれるのかな。 いい本でした。
1投稿日: 2015.08.29
powered by ブクログ少し怖かった、梨木香歩さんの言葉選びは本当に好き。今作もとても面白かった、少し難しいかなと思うところもあったけど一つ一つ理解しながら読むと凄く面白いと思う。
1投稿日: 2015.06.30
powered by ブクログ私には難しかった 熱帯魚の展開とさわちゃんの言動が狂気じみてて怖すぎた 多分作者は私が全く考えたこともないことを考えてるのだろう こういう難しいことも考えたこともないし精神が不安定になったこともないから共感できず、、、
0投稿日: 2015.04.11
powered by ブクログ介護が必要になったお祖母ちゃんと孫の会話、そしてお祖母ちゃんの過去。交代で登場する章はいずれも美しい日本語でさすが梨木さんだな、と思わされました。小さな水槽の中に作った世界は美しいようで、とても残酷。創造主ね、と微笑まれたものの、それは弱肉強食の結晶のような小さな世界で・・・。痴呆のお祖母ちゃんが水槽の中の世界を見ながら時折覚醒する様子は少し怖かったです。分かったようでいて、分からないような、不思議な一冊でした。
0投稿日: 2015.02.23
powered by ブクログ原生林とは聞いたことのない出版社(ここでは新潮社版しかなかった)~コウコは学校まで距離があって帰宅するとすぐに寝てしまい,起きるのは3時。アメリカに行った伯父さん一家から引き継いだばあちゃんの夜中のトイレ同行を買って出た。引き替えに,熱帯魚を飼うことが許可され,ばあちゃんが寝ている隣の今でエンジェルフィッシュとネオンテトラを飼い始めたら,意識がはっきりしたばあちゃんは,私のことをコウちゃんと呼ぶので,私もさわちゃんと呼ぶように変えた。熱帯魚を飼い始めて私のカフェイン依存症は改善されたが,エンジェルフィッシュはネオンテトラを攻撃し始め,さわちゃんはそれを見ていても止めることができない。やがて,エンジェル2匹になったところで,同胞を攻撃し始める~意識朦朧としているばあちゃんが水槽に付けられたポンプの音で,大司教に山本さんがお茶を提供する聖堂内の天井から吊された扇風機のブーンという音を思い出す。音が消えると・・・おお成る程ね
0投稿日: 2014.11.20
powered by ブクログおばあちゃんがサタンであるエンゼルの死骸を執拗に叩き潰すのが、怨念なのか印象的であった。おばあちゃんの学生時代の話はなかなか書けないと思える。うまい。
0投稿日: 2014.11.12
powered by ブクログ子供向けみたいですがお子さんにはちょっと 難しい気もします。 おばあちゃんと、コウちゃんの語りが交互に 入ってきます。おばあちゃんの語りが時代反映の為 旧カナなので少し読みにくかった>< 綺麗な気持ちだけでなく悪い気持ちも必要。 悪い存在も必要な時があると、短いお話ですが 書かれているコトはとても考えさせれることでした。
0投稿日: 2014.11.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【西の魔女が死んだ】の人です 以前、西の魔女が死んだを読んで良かったので違う本もと思い読んでみました 薄い本なんだけど、結構重い話だったな・・・・本のタイトルから癒される話だと思って手に取ったんだけど苦笑 孫の現在とおばあちゃんの昔の話が交互に進んでいき最後に繋がるって感じです おばあちゃんの辛い過去がどんどん分かってくるんだけどそれと熱帯魚の関係がリンクしてたりして・・・・ 暗い話なんだけど、ちょっと切ない終わり方だった 深い・・・・
0投稿日: 2014.10.12
powered by ブクログ再読: 【再読メモ】(140621 11:09) 梨木香歩『エンジェル エンジェル エンジェル』/新潮文庫/2004 Mar 1st
0投稿日: 2014.10.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
おばあちゃん子の自分には響く。 肉体的に自分と同じくらいに若返ったおばあちゃんと遊べたら。きっと楽しいだろうとずっと思っていた。 その時代の開きはまるで異文化交流のようかもしれない。びっくりしあって、きっと楽しいに違いない。
0投稿日: 2014.09.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ユウコとおばあちゃん(さわちゃん)の、深夜の秘め事?に、読んでいてどきどきさせられた。回想の部分は切なく、ラストに向かい徐々に伏線回収となり、清々しい。 タイトルの「エンジェル」は、熱帯魚の「エンジェル」木彫り人形の「エンジェル」、そしておばぁちゃんが「エンジェル」なのかな?
0投稿日: 2014.08.02
powered by ブクログ何とも不思議なオバァチャンと孫の関係 なんとも不思議やけど懐かしい気持ちになる関係 思わず色々と思い出してしまって苦い気持ちになったり甘い気持ちになったり 心が忙しい(*´Д`) でも、決して嫌じゃなかったり
0投稿日: 2014.07.26
powered by ブクログ後半からどんどん引き込まれて本当に圧巻だった…そんなに長いはなしでもないけど今と昔と聖書の世界と水槽の中と全部が絡み合ってすごいとしか言えない…!旧字体がすきなのでとっても楽しかった!
1投稿日: 2014.06.15
powered by ブクログ子供時代の心のわだかまりって消えたようでいて、実は残っているのかもしれないなぁ。ばあちゃんの子供時代の話、旧かな遣い風な文章は味があってよかった。おばさんとしては聖書を美化するような内容が気にかかった。結局ばあちゃんのこころのわだかまりだって、その教えが発端なのに。
0投稿日: 2014.06.08
powered by ブクログ旧漢字や古い言い回しを使うことで 単行本版よりも場面転換も入りやすく、 昔の景色がより濃く広がる文庫版。 古い時代のお茶摘みの楽しさ、 川で冷やされたお茶の景色、 塀に沿って咲いたフランス菊、 明るい陽射しと土間の危ういコントラスト。 誰しの心にもある特別ではない「悪」が 目に見えない振り子のように次第に 大きな振動を伴って不穏な影のように圧迫する。 どこにも逃げられない閉塞感に迫られ、 やがてくる破壊の後のどこまでも広く 心も体も空と溶け合うかのように 昇華される開放感は圧倒的。 水槽の濾過装置のように時を越えて 同じ闇にもがくもう1つの心を 自分が悪を引き受けることで救い、 その姿に過去の自分を重ね、 自らも清らかに救われ罪が緩む。 時空を超えて得た2人の姉妹と木彫りの天使。 さわちゃんの翼はきっと力強く美しい。
9投稿日: 2014.06.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
コウコと寝たきりのおばあちゃんとの夜の秘密の交流。 現在とおばあちゃん、さわちゃんの過去とが聖書と熱帯魚、古びたテーブルを介して混ざりあう…。 最後、コウコの何気ない言葉により何十年ごしの後悔からおばあちゃんは救われます。 ツネが彫った天使様がテーブルから出てきたとき、ツネの優しさにホロリとさせられました。そしてその木彫りの天使が体現している、天使のような心を持ち続ける難しさですよね… 神様が悪魔をどう思っていたか、自分のなかの醜い部分がこのお話を読んで少し救われたように思います… 読みやすいのにすごく深い、というか重いという印象のお話です。
6投稿日: 2014.03.15
powered by ブクログ現代と昔が交互に描かれていく物語 ひとは誰にもいえない秘密を持って生きて そしてお空に召されるのだろうなぁ 3つのエンジェルの意味 なるほどなーー もうしばらくしてから、また読んでみたい。
1投稿日: 2014.03.14
powered by ブクログおばあちゃん、熱帯魚、シュークリーム、聖書、女学校 聖書のところが私には難しかった。 さわこがツネにわがままを言って困らせたことを反省する場面が好き。
0投稿日: 2014.03.07
powered by ブクログエンゼル、天使。天使にも愛憎があり、悪魔との境が分からなくなる。山本さんは公子。孫娘は考子。ともにコウコ。おばあちゃんはコウちゃんと親しい友達になるという念願を果たし、再び天使と悪魔、愛情と憎悪の境に身を置く。
1投稿日: 2014.03.06
powered by ブクログ大絶賛!もう読んでくれとしか言えない!! 私とおばあちゃん、二人の語り手が交互に出てくるという構成。 おばあちゃんの所は旧仮名遣い表記。 私の方はリアリスティックで、 おばあちゃんの過去の話はどこか夢語りのよう。 作者特有の、美しい文章と、構成、そして涼やかなオチ。 何故タイトルが「エンジェル」を三つ重ねたものなのか。 その意味も読み終えれば分かるだろう。 ページ上部にたっぷりと空白をもうけた、素敵な本作り。(単行本はもっと凝っていたという) 胸に迫る感動をここには書ききれないのがもどかしい。 小説を愛するすべての人に読んでほしい。 他の作品「西の魔女が死んだ」も素晴らしかったので、 ぜひ。 梨木さん、最高!
2投稿日: 2014.02.14
powered by ブクログ私が読んだ梨木さんの作品で一番好きなのは「家守忌憚」シリーズなのですが、最も突き刺さったのはこの本。
0投稿日: 2014.02.08
powered by ブクログ読書好きの職場の上司から貸していただいた本。 梨木先生の作品は「西の魔女」以降2作品目。 なんとも不思議な話。 梨木先生の文章は読みやすく、物語自体も短いものだったので1日で読み終わりました。 中学生か高校生であろう女の子が、1日に30杯もコーヒーを飲むものなのかなと、そこから「えっ?」となりました。(笑) お婆ちゃんの過去にまつわる話。 ずっと自分の過ちに苛まれながら生きてきたのが、最後の最後に、仮初であっても救われる。そんな感じでしょうか。 最初にツネのテーブルの中の人形を見つけていれば、早くに救われていたのかもしれません。 短い物語ながらも、不思議な余韻が残る、そんな作品でした。
2投稿日: 2014.02.05
powered by ブクログ読書好きの職場の上司から貸していただいた本。 梨木先生の作品は「西の魔女」以降2作品目。 なんとも不思議な話。 梨木先生の文章は読みやすく、物語自体も短いものだったので1日で読み終わりました。 中学生か高校生であろう女の子が、1日に30杯もコーヒーを飲むものなのかなと、そこから「えっ?」となりました。(笑) お婆ちゃんの過去にまつわる話。 ずっと自分の過ちに苛まれながら生きてきたのが、最後の最後に、仮初であっても救われる。そんな感じでしょうか。 最初にツネのテーブルの中の人形を見つけていれば、早くに救われていたのかもしれません。 短い物語ながらも、不思議な余韻が残る、そんな砂浜でした。
0投稿日: 2014.02.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一番印象に残っているのは油で揚げたシュークリーム シューのなかにエンジェル達の想いが夢が詰まっている感じがする
0投稿日: 2014.02.02
powered by ブクログ一時間で読み終わるけど、一生の読後感!というPOPに惹かれて購入。 まあそこまでにはならなかったけど、昔と今を交差する書き方がおもしろかった。 少ない文章で、それを表現しているのは見事。
0投稿日: 2014.01.11
powered by ブクログ江國さんの小説にも、熱帯魚をモチーフにしたものがあったことを思い出した。 テーマの高尚さはいつものとおりだけれど、いろんな仕掛けがしてあって、それが面白い。コウちゃんが諳んじた聖書の恐ろしい引用部分の意味があまりわからなかった。物語を楽しむためにも、新旧合わせて聖書は読んでおきたいなぁ
0投稿日: 2013.12.27
powered by ブクログ「神様もそう呟くことがおありだろうか」 「私が、悪かったねえって。おまえたちをこんなふう創ってしまって……と」 ちょっとでも、そう言ってもらえたら。 きっと――。 インテリア雑誌で見た、壁に組み込まれた熱帯魚の水槽にいつになく惹かれたコウコ。 ほぼ寝たきりのおばあちゃんの、深夜のトイレの介助を引き受けることで熱帯魚を飼う許可を得た彼女は早速水槽を用意するが、その夜からおばあちゃんが不思議な反応を見せ始める。 若い女の子のような明瞭な口ぶり。いたずらっぽい、力のある目。 全てを無機的に浮かび上がらせる蛍光灯の明かり、かすかに唸るモーター音が眠り姫となりつつあったおばあちゃんを目覚めさせ、そして水槽の中の魚たちの無残な振る舞いが、胸の奥に眠る少女時代の小さな罪と後悔の記憶を呼び起こす……。 そんなつもりじゃなかったのに大切な人を傷つけ、謝罪をする機会もなく、いたずらに時は流れ、少女は老いる。 意識の微睡と覚醒のはざまに、鮮やかによみがえる過去の切ない記憶。 済まなかったと言ってもらえること、ごめんねと伝えられることの喜び。 コウコと祖母のひそやかで不思議な深夜の交流のなかに淡々と描かれる、深い陰影のような、ごく普通の人間が持つ善性と悪意。 短く淡泊だけと、胸に深く突き刺さるやさしい物語。
1投稿日: 2013.12.12
powered by ブクログ最後怒濤のカタルシス。みんなきっと、何かに許されたいんだね。 誰でも生きてて「はぁ、自分ってなんて性格悪いんだ」と思っちゃう瞬間があって、自己嫌悪過ぎて、過去を思い出しては「わ〜!」って言いながらのたうち回る事が有ると思うんだけど、そんな夜にはそっとベッドの中でこの本を読もう。
0投稿日: 2013.10.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
表題がなんで「エンジェル」×3なのか 読んでみて分かり、なるほど上手いなぁと感心してしまった。 女性だったら、主人公2人の気持ちもよく分かるだろうし、もっと物語に入れ込めたんだろうけど、男の俺には「上手いな」と「丁寧ですっきりした文章だな」あたりが精いっぱい。 でも、やっぱ梨木さんは小説巧者だわ。小説というか詩というか…、短い文章での詠みあげるのが上手いなぁ
0投稿日: 2013.10.19
powered by ブクログ梨木作品は『西の魔女が死んだ』に続き2作目。おばあちゃんと孫の少女の交流を書くのがうまいなと思った。エンゼルフィッシュの件は残酷だけど、この小説に於いて重要な役目を果たしていると思う。ただ何だか宗教色の濃さがちょっと…。梨木さんクリスチャンなのかしら…。2011/391
0投稿日: 2013.10.07
powered by ブクログ悪魔のようなエンゼルフィッシュと、コウコとさわちゃんと。 魂の、救済をされたさわちゃんが、旅立つまでの、ほんの一瞬の幻覚のような物語。
0投稿日: 2013.10.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この人の作品を読むと、これこそが最高傑作ではないか、と思ってしまう。ほんとうにいつも。それくらい読後の感動が大きいのだ。この物語では、古き良き時代のカトリック系の女学校と、そこに通う「さわちゃん」をはじめとした女生徒達の感じが実にノスタルジックに描かれる(ちょっと太宰の『女生徒』を思わせる)。「悪魔に魂を売った」さわちゃんの、そして「私」(コウちゃん)との時間軸の交錯が実に見事だ。熱帯魚水槽のアイディアも秀逸。ほんとうにいい小説と過ごせた時間だった。
0投稿日: 2013.09.23
powered by ブクログ祖母の話の時の旧仮名遣いに戸惑った。正直、聖書の朗読とか古い漢字を飛ばして雰囲気で読んだ場所があるので細かい場所まで読めてません。短い作品なので2度3度と読む方が良いと思う。
0投稿日: 2013.09.04
powered by ブクログ寝たきりのおばあちゃんと暮らすことになったコウコ。熱帯魚水槽のモーター音に惹かれるように、少女時代を蘇らせたおばあちゃんとのひとときの不思議な交流。
0投稿日: 2013.08.06
powered by ブクログ神をも揺さぶる宗教書である。世代を往復するなかで、苛つきと憎しみを描ききり、さいごに昇華させた。見事だ。
1投稿日: 2013.07.01
powered by ブクログ認知症の祖母と少女のお話。 熱帯魚同士の殺戮がおぞましかった… これを読んでいると、祖母に会いたくなりました。
0投稿日: 2013.05.31
powered by ブクログ認知症のおばあちゃんとストレスをかかえる孫との交流の話。 孫の話とおばあちゃんが子ども時代の話が交互で読みやすい。 特におばあちゃんが子ども時代の話は感情が細かく表現されていて移入しやすかった。
0投稿日: 2013.05.27
powered by ブクログ寓話、かな?淡々としてるがしっとり優しく切ない小話。やんわり仄か。しかし甘さやぬるさも無い。怖くも悲壮感もおぞましさも無い。のが良い。
1投稿日: 2013.05.18
powered by ブクログ昔読んだけれど久々に読み直したくなって購入。話の構成がすごくよくて、二人のお話の見えない関係性が次第に分かっていく感じがとても面白いです。さわちゃんとこうこの心を考えるととても深くてじんとくる。あと、老人介護のしんどさを考えるとママが泣いたシーンで私も泣いてしまう(笑)
0投稿日: 2013.04.05
powered by ブクログ神様も「私が、悪かったねえ。おまえたちを、こんなふうに創ってしまって」って呟くことがあるのだろうか…
1投稿日: 2013.03.19
