
総合評価
(67件)| 25 | ||
| 23 | ||
| 12 | ||
| 3 | ||
| 1 |
powered by ブクログ6つの短編からなる読みごたえのある短編集。 個人的に文章が難しく読みにくい作品や理解が追いつかない作品があった。しかし、それ以外の作品がとても面白く、感動するものだったため読後感はとても良く、しばらく作品の世界に浸ることができた。 「なめらかな世界と、その敵」、「美亜羽へ贈る拳銃」、「ひかりより速く、ゆるやかに」が心に残った作品。 特に「ひかりより速く、ゆるやかに」はストーリーや登場人物たちの感情、結末の全てがとても好きで、その後を想像するのもまた楽しい。 久しぶりのSF小説読了。満足度の高い1冊でした。
2投稿日: 2025.10.18
powered by ブクログSF短編集! 全6編の話から構成されていて、どの話も秀逸かつ練り込まれた設定が読んでいて、虜になる程面白かったです。 並行世界を生きる者たちによるSFドラマや、1600万分の1秒の速さで物語が動き出す話は、とても設定が凝っており、面白すぎてあっという間でした。 その他の話も面白かったが、自分がまだまだSF小説に慣れてない節もあってか、100%理解できていない物語もありました。 理解できない悔しい部分も残っているため、SF小説にもっと触れていった上で再読したいと思いました!
1投稿日: 2025.10.09
powered by ブクログSF小説は星新一くらいしか読んだことないSF初心者 1話目から、これがSFか!と必死に設定を理解しながら読んだ。でも苦はなくどんどん惹き込まれる。 特に印象に残ったのは、表題作の『なめらかな世界と、その敵』とラストの『ひかりより速く、ゆるやかに』の2つ。 1話目の『なめらかな世界と、その敵』は、冒頭から何が起こってるのかの理解に必死だったけど、すごく惹き込まれた。 どの話も元になったお話とかがあるのかもしれないけれど、まずこういう世界観を思いつくのがすごいし、そのうえでそこから弾き出された人間の心情を捉えすぎててすごい。 当たり前にみんなが出来ることを自分が出来なくなったことで、それまで見えなかったことが自分だけ見えるようになってしまった孤独。 話の展開もすごくよかったー!青春。 『ひかりより速く、ゆるやかに』は読み終えてからも、語られなかった部分とかその後のこととか妄想しちゃって余韻がすごい。 特に印象的だったのは、低速化が起こってからの世間の流れ。 中の人たちが消費されたりどこかで炎上が起こる様子、物流や人の流れの変化、時が経ち関心が薄れていく空気感、どれもとてもリアルだった。実際に起こったらこうなりそう。 こちらも、話の展開がすごく面白くて好きだったーー。 この本が読めてよかった。 斜線堂有紀さんの解説も、あとがきも、物語への理解や感情を深めてくれた。 そして解説で知ったけど、「日本SFの臨界点」シリーズって伴名練さんが編者だったんだ。次のSF小説はその中からチャレンジしなくては!
18投稿日: 2025.07.29
powered by ブクログ本当に収録作品全てが面白い。 保留せずにすぐに買ってでも、図書館で借りてでも読んで欲しい。伴名練がどうしてこれほど存在感があるのかがわかる。
0投稿日: 2025.05.03
powered by ブクログSFの短編集。難解なものもあって少し読みにくかったが、どれもSFの世界観がしっかりしていて読み応えがあった。「美亜羽へ送る拳銃」と「ひかりより速く、ゆるやかに」が面白かった。この2つは映像化しても面白いと思う。
12投稿日: 2025.03.21
powered by ブクログ今の日本においてSFファンを自認するなら必読でしょう、と人に勧めたくなる作品。歳に差はあっても、日本語環境でSF好きになった人生を歩んできているなら、作者があとがきで書いたSFや作品に少なからず触れてきてるだろうし、それらの経緯があって、日本SFとして見事に結実し表現されてると思える。 「ひかりより速く、ゆるやかに」が一番良かったかな。身近な人へのルサンチマンがキーになってるお話が好きなんだろうと思う。 2番目に好きなのは表題作「なめらかな世界と、その敵」。作品世界への引き込み方が秀逸だと思った。
0投稿日: 2025.03.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編集。 なめらかな世界と、その敵 ゼロ年代の臨界点 美亜羽へ贈る拳銃 ホーリーアイアンメイデン シンギュラリティ・ソヴィエト ひかりより速く、ゆるやかに SFど真ん中の作品を初めて読んだ気がする。やはりSF……あまり得意ではないなぁ。と、ミステリー畑の人間は思うのであるが、その私をして悩んだ挙句、評価が星4である。面白かったんかい、というツッコミを自分で自分にしてしまうよな。 というのも、短編集で読みやすいのと、SFを読み慣れていないが故にSF独特の世界設定を把握するのが容易でないため入りにくいものの、物語として綺麗にまとまり何かしらの印象を受けること、それらの総合点から「慣れぬし好みかと問われると首を傾げるが面白いと思う」との結論に至ったのである。 元々、ライトノベルだろうが一般文芸だろうがなんだろうが、現実世界の荒唐無稽な設定は違和感が先に立ち受け入れづらい性質なので。現実世界ではないと明らかに明示されていたら比較的理解はしやすい。その点、本書は、馴染んだ日本という国の、歴史やら現実やらが舞台なので、いやSFだから当然そうなのだが、「ええ現実にあり得る?」が先に立ってしまう。諸外国からもとから日常に身近でないのでそこまで違和感もないのだが。 そんなこんないいつつ、個人的なお気に入りは「ひかりより速く、ゆるやかに」である。 ヒーローになり損ねた男の話、とか思ったりもしたのだが、ひとかけらの幸福とは名誉とは無関係なところに生まれるものよな、などと思ったりもしつつ、結局は、抗い難い脅威に抗い難い幸福を掴むちいさな生きものたちの物語が好きなのだ。
0投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログ#なめらかな世界とその敵 #読了 上質なSF 人と人の関係性にSFの加え方が完璧 話が喜劇的でも悲劇的でも同じくらい感動できる 最初の1行から世界観に捕らえられる。 #伴名練 #ハヤカワ文庫
0投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログやっぱ僕、SF好きだなあ。 「ひかりより速く、ゆるやかに」が1番好きでした。 謎の災害によって、クラスメイトたちが固まる(遅い時間)に留められる。 外の世界の人たちは無神経に彼らを消費する。 主人公も実は同じ。だが、行動をする。 「シンギュラリティソビエト」も好き。 こういう歴史改変ものもっと読みたい。 最後が、人智を超えたAIによるバースデーサプライズって…かっこよすぎだろ…
0投稿日: 2025.01.18
powered by ブクログ・全編良すぎる。何だこの作品は。5年前から読みたいと思っていたのだから、もっと早く読んでおけばよかった。 ・ナイフ投げ師読んだ時も思ったけど、こういう短編SF、どストライクなのかもしれないな。美亜羽に送る拳銃がダントツで好み、次点で「ひかりより速く、ゆるやかに。」ですかね。 ・印象に残ったセリフ 人間の心は新しい『私』という波に上書きされ続ける砂の城のように脆いものだから、絶対の『私』はいない。だから、同じように不連続な『あなた』との、『他者』との関係の中に、『私』の幻影を築くんじゃないでしょうか」 ・赤坂アカ先生!!?!?
0投稿日: 2025.01.13
powered by ブクログ新聞か何かの書評で気になって買っていたものを漸く読んだ。 普段SFは余り読まないので如何とも言い難いが、面白さを感じつつも、個人的には娯楽色や感情的な面がやや強過ぎるように思われた。 「ゼロ年代の臨界点」は、淡々と虚構の歴史を積み上げるところが気に入った。
0投稿日: 2024.11.22
powered by ブクログSF小説 世界観に引き込まれましたけど、難しかった。 読み慣れていないジャンルだからでしょうか。 他の作品にも触れてみたいと感じました。
2投稿日: 2024.11.20
powered by ブクログなんて凄いものを読んだんだという、途轍もない読書感。 現実世界に軸足を置きながら、異質な未知の世界を旅する感覚。未知な感情が奮い立つのは恐れか喜びか。ああこれがSF短編小説の魅力なのかと打ち震える。 SFアンソロジーに言及するあとがきも圧巻。
3投稿日: 2024.11.14
powered by ブクログSFに明るければもっと楽しめただろうなと思いながら、読みました。物語として楽しめたのは最後のひかりより速く。 ・並行世界を行き来する事が当たり前の世界で行き来できない病にかかる学生 ・3人の女性のSF史 ・好意を定着させる技術 ・シンギュラリティの訪れた世界 ・神童の姉に宛てた手紙 ・修学旅行の新幹線が低速化してしまい行けなかった学生の話
1投稿日: 2024.10.13
powered by ブクログSFタイムトラベル物好きです。伊藤計劃さんの作品は「ハーモニー」を読んだことがありますが、独特の世界観、設定に驚かされます。久しぶりに(いい意味で)込み入ったこちらの作品を読んだので頭がパンクしそうでしたが、短編集で読みやすかったです。最後の「ひかりより速く、ゆるやかに」がお気に入りでした。
0投稿日: 2024.10.12
powered by ブクログ最初の2本は、どうにも入り込めなかった。スラップスティック(というのか?)な発想と相性が悪いのが原因かと思われ。 他の人の感想を読んで、「ひかりより早く」を読んだらこれは面白かった。 というか、むしろあとがきの方が著者の読書遍歴がわかり、また懐かしい本とも再度出会うことができ面白かった。
0投稿日: 2024.10.05
powered by ブクログSF小説を始めて読みました 『ウ~ン?!』『どういう事( ・ั﹏・ั)』等、読み出しは、世界観が理解出来ず??がいっぱいでしたが、文章は読みやすくスラスラ読み進む事が出来ました。 結果……凄く良かったです✨始めて読んだSF小説がこの本で本当に良かった!タイトル作品の『ひかりより……』は、気がつけば涙流してました
0投稿日: 2024.08.23
powered by ブクログ面白かったけど、SFが初な自分には少し難解なところがあった。最初に謎が提示され、話が進むにつれて回収される形式
0投稿日: 2024.08.20
powered by ブクログSFの重要な側面である今の現実世界と、少し異なる世界との隔たりと繋がりを描くを体現した短編集。SFによるSFのためのSF小説。
0投稿日: 2024.08.12
powered by ブクログ不慣れなSFで、はじめ設定を理解するまで難しく感じたが、「美亜羽に贈る拳銃」でしっかり世界観にハマり、キャラ立ちも良し、攻防入れ替わりのワクワクもあり、SFの面白さが少しわかった気がした。 「ホーリーアイアンメイデン」も良かった。妹からの手紙のみで進行する設定の中で、ここまで不穏でやな感じが描けるとは。 各短編同じ作者とは思えない、全く異なる語り口や手法でSFへの造詣の深さが伺える。
0投稿日: 2024.08.11
powered by ブクログSFって好きだったなあ。筒井康隆、星新一、小松左京、光瀬龍、眉村卓、平井和正、、、新井素子も、、。この作家さんのあとがきで触れられる膨大な情報に驚く。 6つの短編中編は、それぞれ違ったテーマの作品で、パラレルワールド、脳の改変、超能力、人工知能同士の戦い、時間の流れなど、隔たりと繋がりという解説は言い得て妙だ。中でも最後の「ひかりより速く、ゆるやかに」はなかなかエモーショナルだった。
9投稿日: 2024.07.30
powered by ブクログたまに題名を目にするので読みたかった。 なめらかな世界とその敵、並行世界もの。短編の中で複雑な設定を齟齬なく読者に簡単に理解させるのって難しいと思ったけどうまくいってる。 シンギュラリティソビエト、高度な人工知能。人の会話が人工知能同士の代理戦争になってる。 全体的に設定がユニークだけど話の膨らませかたがそうくるのかー(ちょっと物足りない)という感じ。あと後書きで膨大なSF小説が羅列してあってこの人はSF小説作家というよりSFオタクなんだなと思った。
0投稿日: 2024.07.30
powered by ブクログSF短編集。 そういえば私、SF苦手だったんだ。 なんでこの本買ったんだっけ。 内容が頭に入りづらくて読み進めるのが大変だった。 でも最後の「ひかりより速く、ゆるやかに」は面白かったな。 ロマンを感じた。
0投稿日: 2024.07.16
powered by ブクログむちゃくちゃ面白かった!並行世界、偽史、脳科学、書簡体、サイキック、歴史改変、AI、時間物…とさまざまなジャンルを使いこなした豪華なSF短編集なんですが、設定が全部絶妙で、その設定の面白さを活かしきる構成力が凄まじい。SFがこれからという人にオススメを聞かれたら『星を継ぐ者』か『夏への扉』を薦めることが多かったんだけど、翻訳物慣れてない方もいるし今後は本書を紹介することが増えそう。がっつりSFしてるけど、SF関係なく現代的な小説としてのエモさが爆発していて圧倒的に面白いので。ということでSF興味はあるけど…という方には激しくオススメ!
1投稿日: 2024.05.02
powered by ブクログとても素晴らしかったです。 精緻な設定があって、自分の世界とは一見遠い技術がそこにあるけれど、そのなかで生きてる人間の感情は紛れもなく僕たちのものでした。 遠くにある、自分たちの物語。 SFをあまり読んでこなかったけど、きっとこれが、SFの面白さで、多くの人がSFに魅せられ続ける理由なんじゃないかなと、思えました。 もっとSFを読んでいきたいと思います。 たぶんそれが、著者の願いでもある気がするので。
2投稿日: 2024.04.28
powered by ブクログずっと気になって伴名練さんのSF短編集をようやく読んだ。 一話一話がとても印象に残る作品集でした。 その話ごとにある”設定”が、ストーリーにおいて重要な要素となっていて、その設定があることで最大限の面白さを引き出しているなと思いました。 とにかく読んでいて引き込まれるし、中々濃密な世界観だったので読むのに時間はかかりましたがとても楽しめました。 どんどんSFを読もうと思います。
15投稿日: 2024.04.16
powered by ブクログ現代のSFをこれでもかと見せつけてくるのに、比較的読みやすいように思う。 「ちょっとSF読んでみたいんだけど」、と言われたときに勧めやすい一冊。 収録されている短編もハズレがない。 特に気に入った作品について感想を書いておく。 表題作の「なめらかな世界と、その敵」は曖昧でゆらいだ世界とその認識をしっかりと文章で描ききっていてすごい。 伊藤計劃オマージュが多分に含まれているらしい「美亜羽へ贈る拳銃」も面白かったのだけど、伊藤計劃作品を未読なのが悔やまれる。 「ひかりより速く、ゆるやかに」は本当に”今”っぽい作品だった。 作中で起きる出来事の現実への目配せを感じつつも、心理描写や展開など、映像化しても映えるだろうなあ。 著者渾身の1万字のあとがきもSFに向けるじっとりとした愛が垣間見えて、読み物として非常におもしろかった。(これはハヤカワのnoteでも読めるので気になる人は読んでみると良さそう)
1投稿日: 2024.03.07
powered by ブクログどの短編も楽しめたが、伊藤計劃トリビュートに収められた「美亜羽へ贈る拳銃」と、別々の人工知能によって支配されたロシアとアメリカの戦いを描いた「シンギュラリティ・ソヴィエト」はとても印象深かった。 特に後者は、人工知能に支配された世界では、国民は人工知能の指示に従わざるを得ないが、その指示の意図は人間の知識では分かりえないという、まさに盤上の駒に成り下がった未来の人間の姿がリアルで、シンギュラリティを推し進める現代人の愚かさが身に染みた。ちなみに、人工知能の指示に従わないと、その人の愛国心の評価が下がり、その国での生活がしにくくなるという設定。
13投稿日: 2024.02.05
powered by ブクログ面白かった〜!設定は本格SFの重厚さなのに、登場キャラクターがみんな親しみやすくて逆に話のリアルさをあげているように思います。何も聞かずに読んで欲しい!おすすめ!
1投稿日: 2023.12.31
powered by ブクログ書店にて赤坂アカ先生の描いた書影に惹かれて手に取ったところ、帯書きに『SFに苦手意識がある人にこそ読んでほしい』と記載が。 本格的なSFを読んだ経験がほとんどない私が、どこまで世界観に浸れるのか試したくなり購入を決意。 結論から書くと、衝撃を受けるレベルで良かった。 本作は6つの物語からなるSF短編集。 6つの短編すべてがそれひとつで長編が作れるであろうレベルの素晴らしい熱量で描かれており、濃密な設定に没入する気持ち良さを実感できた。 一番印象に残った作品はやはり『ひかりより速く、ゆるやかに』だろうか。 『低速化現象』によってその在り方を変えてしまった世界を描く同作は、壮大なミスリードをひっくり返してからの爽快な読了感を味わえ、まさに傑作と呼んでいい作品に仕上がっていた。 小難しい印象を持っていたSFというジャンルだが、実際難解・独特な設定も多く、SF慣れしていない私は普段読んでいるミステリなどと比べ、読破するまで約2倍近くの時間を要した。 しかし、読み終えたときの得も言えない読了感に魅了されたことはたしかで、すでに他のSF作品を読みたくなっている自分がいる。 始めにも書いたが、私はこれまでの人生で、意識してSFを読んだことがほとんどない。だがそんな私でも、この作者が尋常ならざる才能と溢れんばかりのSFへの愛を持つ人物であることは伝わってきた。 SFにハマるきっかけを作ってくれてありがとうと、伴名練氏に伝えたい。
13投稿日: 2023.11.13
powered by ブクログいやー、めちゃめちゃよかった!! 設定がとっつきにくいけど理解してしまえば「これを書きたいならそれしかない」という作り込み。表題作のSF×青春の爽快感は天晴れ。ホーリーアイアンメイデンも張られた伏線をしっかり回収する良作。大変よかった。
1投稿日: 2023.11.05
powered by ブクログ「美亜羽へ贈る拳銃」「ひかりより速く、ゆるやかに」の二篇には本当に心を打たれた。 これまでの読書生活で最高ランクの書でした。
2投稿日: 2023.09.21
powered by ブクログSFを私はあまり読まないので新鮮だった。 日常とは繋がっているけど違う世界なのでとても記憶に残るし、人間の核心に迫るところがあると思う。
1投稿日: 2023.07.25
powered by ブクログ2023/6/29 SF短編集。もともとSFが苦手なのであまりハマらない部分が多かったあけど、思考を撃ち込む拳銃や時空が歪んで現実よりはるかに遅く進む新幹線を救う話は面白かった。 SF苦手だけど挑戦してみたい人にはオススメ。
0投稿日: 2023.07.12
powered by ブクログSF短編集 どの作品もその設定や世界観に目を引くのはもちろんのこと、 その世界や起こった現象の外側にいる人を中心にした心理描写が素晴らしく 単なるSFとだけではなく、青春小説や恋愛小説、家族小説としても楽しめる篇も 特に好きなのは「美亜羽へ贈る拳銃」で、オチがとにかくニクい 「光よりも速くゆるやかに」も、現代に生きる我々に置き換えられるようなところもあり面白い
0投稿日: 2023.07.06
powered by ブクログとても面白かった。 「なめらかな世界と、その敵」と「ひかりより速く、ゆるやかに」がとくに好み。 両作品ともに、序盤中盤の緻密な展開から、ラストの世界や時間が目まぐるしく切り替わるシーンの爽快感がたまらない。 これらのラストは映像的な描写で、映画「メッセージ」のラストを思い出した。
1投稿日: 2023.06.30
powered by ブクログどの話もとっても面白かった。 特に、表題作「なめらかな世界と、その敵」、「シンギュラリティ・ソヴィエト」、「ひかりより速く、ゆるやかに」がお気に入り。 「美亜羽へ贈る拳銃」は未読。伊藤計劃にトリビュートを捧げているということだが、伊藤計劃を読んでいないので「虐殺器官」と「ハーモニー」を読んだら改めて読んでみようと思う。 あとがきの熱量もすさまじく、伴名練さんのSFへの愛が伝わってくる。伴名練さんの編んだアンソロジーも刊行されているので、そちらも読んでみたくなった。
2投稿日: 2023.06.26
powered by ブクログ色んな話が入ってて面白かった ちょっと解釈が難しいところがちょいちょいあったけど面白かった! 最後の「光より速くなめらかに」はSCPのようこそ未来へっぽくて、でも展開が異なっていたからどうなるのかワクワクしながら読めて楽しかった!
1投稿日: 2023.06.20
powered by ブクログ表題作だけ読みました。伊藤計劃のオマージュ?をされているとのことだったので期待しましたが、あんまり伊藤計劃を彷彿とさせる所はないです。オタク男子が考えた最強のイケてるJKという感じの、男言葉を使う主人公がちょっと苦手でした。
2投稿日: 2023.05.15
powered by ブクログSFはその世界観や独特な設定を自分なりに理解するまで時間がかかるので苦手でした。でもそんな費やす時間も含めて楽しんでこそのSFなのかなって思える一冊でした。 そして伴名練さんは天才だと思います。
1投稿日: 2023.04.02
powered by ブクログSF物は久しぶりに読みました。 読む時間がなかなか取れず、戻って読み、戻って読みを繰り返していたのでかなり読み終えるのに時間が掛かってしまいました。 SF物は大昔に読んだ星新一以来かも知れません。 構成、発想が非常に面白く、緻密に書かれており面白かったです。 後書きにも書かれているが、著者はSFが非常に好きなんだと分かる。 表舞台にSFは、なかなか出てこないが、新しいSF界を築き盛り上げて行ってもらいたいですね。
17投稿日: 2023.03.26
powered by ブクログ最近のSFとか特に追ってないので詳しくはないけど、この短編集はすべての作品が凄く感動した。伴名練は天才だわ。発想はぶっ飛んでるし、ストーリーは秀逸だし、切なさがあるし。
0投稿日: 2023.03.05
powered by ブクログあまり読んでこなかったSFが好きになりそう。 話題の短編集。 物語の世界観に入り込めるかが肝。 最後の新幹線の話、とても好き。
1投稿日: 2023.02.27
powered by ブクログ6編からなる中編SF集。どれも面白い。 パラレルワールドを行き来することが出来る乗覚を皆が持っている世界、3人の女性SF作家をSF史として語る世界、ナノマシンに寄り脳を改造できる世界、抱き締めるだけで悪意を失わせる事が出来る少女がいる世界、AIが発達したアメリカとソヴィエトが争う世界、新幹線が乗客ごと低速化し閉じ込められる世界。 最後の低速化の物語が日常の中に突然出現するSFという感じで面白かった。修学旅行へ行ったクラスメイトが低速化に巻き込まれてしまった主人公の捻くれた心情がリアルで良い。
0投稿日: 2023.02.15
powered by ブクログ読みやすいですよ。ちゃんと面白いし。 ハード系のSFってどこか取っ付きにくさがあって、分からない・分かりにくいの一言で投げ出してしまいがちですけど、これはちゃんと読んでいけば分かるように書いてあります。最初の数頁こそ面喰らいますが。
0投稿日: 2023.02.12
powered by ブクログ時間軸を行き来する平行世界と青春モノSF。 一話目でこの本はそういう設定かと理解して始まり、面白かったのは最終話の「ひかりより速く、ゆるやかに」。確かに速くてゆっくりで、こういう設定もあるのかと思った。
0投稿日: 2023.01.22
powered by ブクログSFあんま詳しくない状態で読み始めたけど超おもしろかった……SF詳しくないとは言いつつ伊藤計劃はちらほら読んでたのでミァハ……!てアツなって、ハーモニー読み直すか……になった どの話も設定結構えげついのに根っこに優しさがあって、あんま安易にこの語を選ぶと安っぽくなるだろうから使うべきじゃないだろうけど、「萌え」でした……
0投稿日: 2023.01.04
powered by ブクログむちゃんこ面白かった…今まで日本のSFおすすめを検索するたびに目にしていた本作でしたが、なかなか手にする機会がなかったのが、本当に悔やまれるというか、このあと『少女禁区』やその他アンソロジーに収録されている作品、そして伴名練が編んだアンソロジー、めちゃくちゃ読みたくなりました。今年は伴名練を追いかけて生きていく気がします笑昨日の『know』が残念だったので、救われました(?) 収録作品はどれも面白かったけれど、「ホーリーアイアンメイデン」と「ひかりより速く、ゆるやかに」が特に好きだったな。 「なめらかな世界と、その敵」 「ゼロ年代の臨界点」 「美亜羽へ贈る拳銃」 「ホーリーアイアンメイデン」 「シンギュラリティ・ソヴィエト」 「ひかりより速く、ゆるやかに」
0投稿日: 2023.01.02
powered by ブクログインパクトのある表紙が目を引くが、中身もなかなかのもので、どの作品もアイディアがあって面白く読めた。 現代、明治後期、冷戦の真っただ中、そして近未来を舞台にしているが、同じ作者が書いたとは思えないほど多彩な筆致を使い分けているのは特筆すべき点だと思う。 そのなかでも一等賞を選ぶとすれば表題作かな。並行世界を自由に行き来できることが「普通」となった世界で、事故によってその能力を失った「普通じゃない」少女をめぐって、逆説的に「自由」の意味を考えさせてくれる佳作だと思う。 「美亜羽へ贈る拳銃」もスリリングで面白い。SFとしてはありそうな設定ではあるけど、ここまで「愛」を前面に出したものは無かったんじゃないかな。 「ひかりより速く、ゆるやかに」もかなり評価は高いようで、確かにSFのあの設定とラストに至る展開は結構新鮮だったけど、SF以外の部分、例えば残された同級生たちの行動や、超常現象に対する社会の向き合い方なんかについては色々と無理がある感じがしたので、個人的評価はそこまで高くない。SFってこういうものだ、と言われれば返す言葉はないのだけど。
0投稿日: 2022.12.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
傑作集ということで評価は6作品の平均値で算出。 ・なめらかな世界と、その敵⏩4 →読んだことないタイプだったので新鮮だった。 ・ゼロ年代の臨界点⏩3 →高校の現代文の問題に出てきそう。 ・美亜羽へ送る拳銃⏩5 →めちゃくちゃ良かった。この本で最も良かった。 ・ホーリーアイアンメイデン⏩4 →割りかし重め。 ・シンギュラリティ・ソヴィエト⏩3 →あんまり頭に入ってこなかった。 ・ひかりより速く、ゆるやかに⏩4 →速希の書いた小説部分が全然面白くなかった。その部分が省略されていたり、もっと短めだったら評価は5。
0投稿日: 2022.12.15
powered by ブクログとにかくエモい伴名練。どの物語もハードな設定ながら、人間(感情面)も濃厚に描かれているのがいい。特に表題作と、最後の「ひかりより速く、ゆるやかに」。想像を掻き立てるパラレルワールドや時間がテーマのSFに、青春ミステリー的要素が加わって読み応えは十分。心揺さぶられた。
8投稿日: 2022.11.28
powered by ブクログ新たなSF史を創出し続ける.作者としての意図的な悪意を読者に提示している分だけ,フィクションとして読み進められるが,しかし,数十年後,フィクションとしか感じられなかったのに,と思わせる現実味も伴う.心の琴線にも触れる温度のある筆致で物語としても読め,確かにある種の臨界的SF作品群.
0投稿日: 2022.11.15
powered by ブクログ・・・うーん、なんと言ったらいいんでしょう。 SFとしての完成度がとても高く、間違いなく面白いのですが、「閉じている」。そんな印象です。 並行世界を駆け抜ける少女たちの青春。改変歴史における日本SF第一”女流”世代の生き様。伊藤計劃へのオマージュを込めた精神改造恋物語。特殊能力を持つ姉と平凡な妹の相克。AIが幻視する人智を超えたソヴィエト連邦。超低速現象に見舞われた新幹線の乗客を救うべく奔走する者の悔恨。 今風に言うと、「エモい」です。求めても得られないモノを、得られないと分かっていても手を伸ばさずにいられない心の痛みを、熱量の高い筆運びでドラマティックに描き出します。熱量が高い、と言っても、日本SF第一世代のような暑苦しいまでの熱気ではなく、スマートな語り口の行間から熱量を感じさせるところが、これまた今風、ではあります。 が、鴨の率直な感想を述べさせていただきますと・・・ SF好きで、SFの歴史やファンダムやマーケット等もよくわかっている人が、同じSF好きに向かって「みんな、こういうSF読みたいんでしょ?ほーらほらほら」とアテ書きで書いた作品、という印象が強烈過ぎて、それを拭えないのです。 とても地頭の良い人なのだと思います。あとがきを読むと、SFへの果てしない愛情と該博な知識を強く見せつけられます。そんな「SF大好きでSFをわかっている人」が書いたSFを「そうそう、こんなSFが読みたかったんだよ!!」と熱狂的に受け入れる読者層も、間違いなく相当います。 ただ、その読者層は、かなり、かーなーりー、狭い。一SF者としての、鴨の率直な感想です。 これからSFを読んでみようと思っている人には、オススメしやすいと思います。エモさをトリガーにして、作品世界に没入することができます。 ただ、このエモさにあざとさを感じずに読み進められるのは、20代止まりかなぁ・・・とも思います。 SFとしての完成度の高さは間違いありませんので、これからも読みたい作家さんではあります。なお、鴨的には、女性キャラのリアリティの無さがとても印象的で(SFとして欠点ではありません、念のため)、女性SF者の感想をぜひうかがってみたいです。
3投稿日: 2022.09.04
powered by ブクログ読了後に、本書単行本紙版印税が、放火事件に遭った京都アニメーションに全額寄付されること。また、本文庫本紙版の本年5.31まで発行の印税全額が、ウクライナ人道危機救援金として寄付されることを知りました。 著者にとって、京アニ作品は青春の一部で、恩返しがしたいとのこと、さらに著者は、一刻も早くロシアが撤退して戦争が終結すること、傷ついた人々が救われること、世界各地の紛争に関心が寄せられることを願っているとのことで、痛く感動しました。 さて、本書はSFの短・中編6編が収められた作品集です。個人的には、SFにクールなイメージを勝手にもち、なかなか関心を持てていないのが実情です。 本書の6作品からは、私個人がもつSFイメージから(良い意味で)若干外れる部分も垣間見た気がします。創造・空想を超越した高次元な世界、洗練された表現や驚きの設定・構成があるんだなと感じました。 ただ私の頭に柔軟性が足りず、理解が遅くて後から納得することも多々ありました。それでも、「ゼロ年代の臨界点」から著者のSF愛が感じられ、日本のSFの創成期・第一世代について記され、興味をもちました。
21投稿日: 2022.08.20
powered by ブクログおっさんには、この表紙の本を図書館で借りるのはそこそこ勇気の要ることなのであった。 文庫になったが、書店で購入するのは更に…
2投稿日: 2022.07.30
powered by ブクログSFアイディアが面白く、特に映像的に魅せる文章で書かれてる。表題作は特に顕著でSF好きでない人でも楽しく読めると思う。 ストーリーも二転三転するので飽きずに読める。 ただ、逆に言うと読み終わった後で思い出して、とても良かったと心に残るような作品は一つもなかった。 とにかくエンタメとして面白く、作者の引き出しも多いので一読の価値があると思う。
0投稿日: 2022.07.20
powered by ブクログ「なめらかな世界と、その敵」 夏なのに大雪。 転校してきた幼馴染の厳島マコト。 乗覚障害とは、並行世界を行き来できるのが通常で、薬によって、それができなくなるという障害。 架橋葉月は陸上部。 片足を雪の世界で走るってどんな? 不思議な話。 「ゼロ年代の臨界点」 明治時代が舞台の話。 その他、 長編で読みたい! 面白そうな要素ばかりでかっこいい。 すごい。 「ひかりより速く、ゆるやかに」 卒業生2人。 その他の150人は、生きているが事故によって救出できない状態。 新幹線のぞみ号、1秒300日の速度って? すごすぎて想像しにくい。 しかし面白い! 新幹線の謎の減速。 2700年以上が過ぎて名古屋駅に到着する予定の乗客に向けて、文字が書かれている石碑を残す家族。 低速化、タイムマシン。 2700年の予定を10年に縮める。 どれも面白かった。
2投稿日: 2022.07.18
powered by ブクログ上質なSF短編小説 時間と空間を超えた王道SFでありながらも、次の展開が想像よりも斜め上にいくように書かれている点素晴らしい 読んでいくごとに、もっと読みたくなるスピード感と余韻が美しい。 ひかりよりも速く、ゆるやかに。に関しては主人公の孤独と青春が詰め込まれていて、一番印象に残った。
0投稿日: 2022.07.17
powered by ブクログまた凄いSF作家が出てきた…。 最後の短編「ひかりより速く、ゆるやかに」を読了した衝撃を残しながら、「あとがきにかえて」では著者のSFに対する溢れる愛と熱量を浴び、「文庫版によせて」では本年4月にこの文庫版を送り出すにあたって著者が最善の努力をされた旨が伝わってくる。 面白いだけでなく、プロとしての矜持があり、日本SF全体を想っている。これは生半可なことじゃないと思いました。 6編の短編の並べ方も、コース料理のよう。最初の「なめらかな世界と、その敵」の冒頭の書き出しは読み手に「あぁ、これは頭切り替えないとな」と思わせて伴名ワールドに誘い、緩急のついた短編の並びの中で最後の「ひかりより速く、ゆるやかに」で最高潮の感動を得られるという妙。 『低速化』によって変わってしまった世の中を描いた同作、2つの場面を交互に見せながら、どうしても読んでいて絶望的な結末を想起してしまうのですが、こう来たか!という心地良い驚きと感動がありました。 『低速化』というテーマは、個人的には『三体』の暗黒森林理論を連想しましたが(あんまり書くとネタバレになりそう…)、「あとがきにかえて」では梶尾真治氏の短編の影響を受けている旨の記載があって著者の圧倒的な物量を感じました。 (どーでも良い話ですが、鉄道マニア的には新幹線の両数と最高速度が現実とビミョーに違うのが、敢えてやってる?と気になりました(笑) たまにはSFでも、と思ったら今は本著がイチオシです。 今後も、著者の創った/編んだ作品に、もっと触れていきたいと思った次第です。
7投稿日: 2022.07.16
powered by ブクログうわっ。噂どおり天才だった。 これまで読まなくてごめんなさい。 美少女、ガジェット、キラキラネーム、ゲーム、仮想現実…日本のアニメや漫画が育ててきたものの上に成り立っており、そのうえで古典的というかユニバーサルなテーマを展開させている。そしてとても心に痛い。
0投稿日: 2022.07.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ようやく読み終わった。どの短編も面白かったが、やはり前評判が良すぎると期待値が上がりすぎて良くない。 個人的に特によかったのは「美亜羽へ贈る拳銃」と「ひかりより速く、ゆるやかに」。 「美亜羽に贈る拳銃」はハーモニー、伊藤計劃トリビュートから。恋愛インプラントWK(ウェディングナイフ)。人の意識を変え、その人を愛するように脳を切り替える銃と愛の話。 「ひかりより速く、ゆるやかに」は日本SFの臨界点でも読んだ「暴走バス」と状況は似ている低速化もの。中の人たちと残された人たちの話。低速化を救う方法も面白かった。
0投稿日: 2022.07.02
powered by ブクログ夏に読むのにふさわしい良質で読みやすいSFでした。全話面白い。個人的に好きなのは「美亜羽へ贈る拳銃」だった。互いの感情がエモすぎる。読めてよかった?
0投稿日: 2022.06.26
powered by ブクログ読みたかったので文庫でようやく読了 どの話も楽しめて大満足。 一話目の表題作から強く引き込まれ 毎話読み終えてからすぐ次に進めない余韻があった。 書き下ろし作品 新幹線が超常現象災害に巻き込まれる話で この話自体を楽しむことが作中で「災害をネタに騒ぐ人々」と重なるようで構えてしまったが、暗い結末になるのではとソワソワしつつ読むも登場する男女の掛け合いに"昔のボーイミーツガールSF"感を感じ、終わり方がとても良かった。 (私自身、そんなにSFを読んでる方では無いので錯覚なのだろうけど) この話を遅延する電車の中で読むことになったのはなんかの因果… 著者のあとがきにて 幼少期から触れていたSFへの愛と埋もれてしまう物語たちへの想いについて語り、企画して発掘していくことの重要性を説いていた。 その成果としてSF作家の作品集やアンソロジーを出しているようなので、そちらも読んでみたい。
33投稿日: 2022.06.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編集だけど、どの話もすごく良い。中でも表題作と最後の作品がすごく好み。どれも読後の満足感がすごい。最後の作品は特になんかもうよかったねえよかったねえって言ってあげたくなる。
0投稿日: 2022.05.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
SF短編集。 「なめらかな世界と、その敵」「ゼロ年代の臨界点」「美亜羽に贈る拳銃」「ホーリーアイアンメイデン」「シンギュラリティ・ソビエト」「ひかりより速く、ゆるやかに」 どの話も好きだけど、伊藤計劃の「ハーモニー」が好きなわたしは「美亜羽に贈る拳銃」がぶっちぎり。 最後の2行で『すきぃぃぃぃぃぃ!!!!』ってなった。 「ひかりより速く、ゆるやかに」は普通に泣いた。 泣かない理由がないよね?って感じ。 最初から最後まで飽きずに読める短編。それが6編。 作者は天才か?って思った。
0投稿日: 2022.05.28
powered by ブクログ「人の心の隔たりと繋がりをめぐる奇跡の傑作集」という売り文句は伊達じゃない。この本の最終話に収録されている「ひかりより速く、ゆるやかに」を読み終えたとき、その奇跡のような美しい結末に心が熱くなりました。 あとがきからも伝わってくる著者の伴名練さんのSF愛。その思いが結実したのがこの一冊なのだと思います。 収録作品は6編。いずれも密度の濃い作品が並びます。密度が濃すぎてすぐにはついていけない作品もあったけど、それでも作品の熱というものは伝わってくる。 表題作の「なめらかな世界と、その敵」は複数の並行世界を自由に行き来する少女たちの友情を描いた一編。書き出しこそは世界が飛び飛びになっていて、読んでいるこちら側もおおいに混乱しました。 こんな設定で物語が成立するのかとも思ったけど、この世界観だからこそ描かれる世界の危機と圧倒的なまでの孤独や疎外感に震え、それを一息で吹き飛ばす主人公の決断と、たった一つの世界の美しさに胸がすく思いになりました。 「美亜羽へ贈る拳銃」もまさしく人の心の隔たりと繋がりをめぐる作品。脳科学をテーマとしています。 科学で性格を変えられて生まれた人格は認められるのか。その人格から生まれた愛は本物なのか。 自己とは、愛とは、心とは。 SFで何度も描かれたテーマだけど、この作品もその問いを物語を通して、登場人物たちの葛藤を通して問いかけてきます。終盤の目まぐるしく変わる展開は「技術が進んだ世界でも人を愛する心の矛盾は変わらない」。そういったことを表すようで切なくもどこか美しい余韻を感じました。 「ひかりより速く、ゆるやかに」多くの乗客を乗せたまま時間が止まってしまった新幹線。本来なら修学旅行のためにその新幹線に乗るはずだった二人の生徒が、物語の中心となります。 新幹線の中と外でまったく違う時間が流れていく。そんな突飛な設定ながら事件に対する世間の反応を詳細に描くことで、話の強度は増していきます。コロナやSNSなど現代を象徴する話題を取り込みつつ、物語は徐々に核心に迫っていく。新幹線が止まった原因は? そして主人公が目を背けたかった真実とは? 卑しい真実の向こう側に待っているのは、奇跡の光にあふれたエンディングでした。 人の心の隔たり。それは圧倒的な時間の壁として、そして妬みや嫉みといった人間の持つ卑しい感情として現れるけど、それをすべて乗り越えて、人をこの世界へとつなぎとめるのは「人の心の繋がり」なのです。 突飛な設定をここまで温かい人の繋がりの物語に昇華した伴名練さんに、ただただ脱帽してしまいます。 収録されている作品はどれも設定としては一筋縄ではいかないというか、今まで自分が読んだSFをすこしひねったようなものを多く感じました。そういう点でも様々なSFを咀嚼してきた伴名さんの嗜好やこだわりが見えてくる気がします。 でも一方で、描かれるものの普遍性というものは変わらない気もします。SFというジャンルのこれまでをこれからにつなげていく。そんな作品のようにも感じました。
1投稿日: 2022.05.19
powered by ブクログ―― 単行本で読んどきゃよかった。 瞬間最大風速的な、と表現されているけれど、「いま、ここ」のちからに支えられた作品というのは確かに、ある。 勿論文庫化したいま手に取って、その魅力が損なわれてるということではまるでないのだけれど、それでもこの1冊を読んだ自分と読んでいない自分の間に大きな差があるなと思うと、約2年文庫になるのを待ってしまったのを、凄く取り返しの付かないことのように感じてしまう。 その間いろいろ溜め込んできたものがあるからこれほど揺さぶられる、というのも、あるんだろうけど。 +αで云うと、その2年間の情勢変化でこの作品に加えられた変化修正を、いまから後追いでしか体験できないというのもなんだかくやしいなぁ。 それほどまでに、なんと云うか当事者でありたいなと思う名作たちでした。 全篇を通じてあるのは、断絶や隔絶、相互不理解に対するもどかしさ。面白いのはそれらが、いかにもSF的に、技術的に担保された不理解であるというところ。そのあたりを進歩した技術の功罪であるとか人類の自己責任だとか、それに対して愛はすべての障害を越えるとか、まぁそれはそれ、それならそれで良いのだけれど、そんなふうにフィクションとして切り離して楽しめない冷ややかさもある。 きっとこうなる、確かにこうなるかもしれない、と云う仮想に対して、それに取り残された側の姿を、まだ取り残されている側に居る自分たちはどう読むべきか。あまつさえその、自分たちの普通が一種の障害とまで表現された場合はどうか。 手を繋ごう、ひとつになろう、って、ほんとうにそうなったことを想像できているのか。そうならないことを想像している者は、その環の中でどうなるのか。 不確かな叡智の中で、自分たちの「確からしさ」を担保してくれるのは何なのか。 と、あらゆるSF的テーマと四つに組みながら、それでも突き抜けたエンタメ性を忘れないのが何よりたまらない。 最近☆5多いのは豊作の季節なんだということにして。狙って読んでるんだからいいよねー☆4.7
1投稿日: 2022.04.24
