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イタリア紀行(下)
イタリア紀行(下)
ゲーテ、鈴木芳子/光文社
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総合評価

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     下巻では、1787年6月から1788年4月にかけての第二次ローマ滞在が報告される。  絵画修業に励むとともに、引き続き古代遺跡の探訪や美術鑑賞、植物観察を精力的に行うゲーテだった。  そしてまた、様々な見聞の経験からインスピレーションを得て、中断していた作品、『イフィゲーニエ』『エグモント』『タッソ―』といった作品を完成させることができたし、”美しいミラノ娘”と呼ばれる女性との純愛と言うべきロマンスが、彩りを添える。  また、かなりの分量を費やしローマのカーニバルの様子が詳細に描かれるのだが、臨場感ある描写で、あたかも自分も現場でその様子を見ているかのような感覚を抱かせるゲーテの筆は流石だ。  「ローマで私ははじめて私自身を発見し、はじめて私自身とひとつになって幸福かつ理性的になった」(384頁)とゲーテは言う。このイタリアへの旅がゲーテにとっていかに大きなものであったか、それを端的に示している言葉だ。  ゲーテの旅は今から200年以上も前のものだが、果たして彼のように若々しく瑞々しい旅をすることはできるだろうか。とても羨ましく思えた。

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    投稿日: 2024.07.25