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あなたの愛人の名前は
あなたの愛人の名前は
島本理生/集英社
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総合評価

81件)
4.0
25
35
16
3
1
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    フレーズが素敵だったり、女性と男性それぞれの視点から物語を見るとツキンと心に刺さる場面があったりして、私は好きでした。 同じような恋愛をしたいとは思わないけれど(恋愛ともちょっと違うのだろうけど)、静かな冬の朝に1人読みたくなる。切ない女性たちの物語でした。 一つ一つの物語が短いので、読みやすいです。 他の方の感想を読んでいて、「孤独」という言葉がしっくり来ました。そうか、何故こんなにも切ないのかと思ったら、体で温もりを得ていても、心は孤独を抱えて冷たいままのように感じたからか。

    1
    投稿日: 2026.01.07
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    どこか歪な恋愛小説たちでした。これ、専門学生のときに図書館で単行本を借りて読んだんですが、その時よりも面白く読めました。特に大きな出来事があるわけじゃないけど、繊細な心理描写を読んでいると、主人公と自分を重ねてしまいます。に

    7
    投稿日: 2026.01.04
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    静謐な空気を感じる短編集だった。 「あなたは知らない」という話が特に好き。主人公の瞳さんは唯一感情移入できた人物だった。 「それでも浅野さんと抱き合ったら重さを胸のうちにおぼえてしまった。情が生まれてしまうやつだ、ととっさに察した。そう思った時点ですでに生まれていたことには気付かぬふりをして。」という一節が印象深い。重さを感じてしまった時にはもう知らなかった頃には戻れない。初めからどん詰まり、いつか突然終わる日が来る相手。関係性としての名前は与えられない、一見して不安定なつながりにある彼は、自分の求めているものを感じる与えてくれる、安心できる存在。その背にもたれてはいけないけれど、寄りかかり寄り添いたくなる相手、自分をわかってくれる相手。過去と重ねていたいくらいに刺さった。

    0
    投稿日: 2025.12.02
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    島本さんの作品を読ませていただくのはかなり久しぶり。 恋愛のお話を読みたくて思いついたのが島本さんでした。 ちょっと心が苦しくなる男女のお話。 恋愛とか人を好きになるってすごくややこしいなぁって感じました。 人を好きになるのはどうしようもないし、同時に色々な人を好きになるけど、順番とかないし、好きな理由も違うし、恋愛もあれば、恋愛じゃないけど好きになることもある。 ひとつひとつの『好き』という気持ちには確かに違いがあるけど境界があるわけでもないし、濃淡もその時その時の気持ちによって変わってくる。 不倫や浮気はダメやと思うけど...。 そんな自分の気持ちを解説してくれてるようなお話が多かったです。 ありがとうございました。

    59
    投稿日: 2025.11.07
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    人ってどこかに傷や歪みがあるのは当たり前で、それがどう表出するか、その1つが男女関係かな?と思う。 もちろんほめられたことじゃない。 でも、そんなに綺麗にも上手にも生きられないよね。 作中に出てきた女性たちには幸せになってほしいと、ふんわりそう思わせる読了感だった。

    1
    投稿日: 2025.10.18
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    島本理生は男女のうだうだを書くのがとても上手い! 「あなたは知らない」「俺だけが知らない」がものすごく好き。 最初は庇護される存在だった瞳さんが自立するのがとてもいい。 決して交わらない気持ちっていうのがよかったー。 それ以外は読み終わって一ヶ月経つ今、ほぼ記憶に残っていない。

    2
    投稿日: 2025.09.18
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    短編と思っていたら、連作短編集でした 読む前と後ではタイトルの意味が全く違っていた。 この作家さんの本は時々無性に読みたくなる。 読んでよかった。

    1
    投稿日: 2025.08.18
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    2章ごとでセットになっている本作。とても読みやすかったと思いました! 中でも興味深かったのは、あらすじにもあった『あなたは知らない』『俺だけが知らない』でした。 社会的に見たら許されない関係であっても、瞳と浅野の互いが互いを思いやっている姿をみたら何でそんなにすれ違うのかなと切ない気持ちでいっぱいになりました。2人がそれぞれに幸せになってくれればと願うばかりな2章でした。でも次に続く章では主人公の黒田が結ばれて良かったなって思えました。

    2
    投稿日: 2025.08.13
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    久々の本を読んだ この作者の本は読んでみたかったけど、読みやすいし良かった 共感性高いとこもあったし、短編だったので長期間で読めた

    1
    投稿日: 2025.07.23
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    久しぶりの島本理生さん。 6編少しずつ繋がっていて とても読みやすい小説であったことはいつものこと、 2作目の『蛇猫奇譚』の 1行で大泣きしてしまった。 主人公の出産によって変化する気持ちと それにただ純粋に寄り添いたいチータの 気持ちの両方が、痛いほどわかって、 時に鬱陶しく思ってしまう自分に対して 真っ直ぐな目で見つめる我が子と重なり ただただ号泣でした。(笑) 表題作である、 『あなたの愛人の名前は』は 購入を決めた時に察した意味とは 全く違って、6作目の主人公藍の 過去の自分に問いかけるような一言 だったんだな、と納得。 どうして島本さんの小説は シンプルで真っ白なのに痛くもない傷を いつも心につけるんだろうと思っていた答えが 解説を読んで少し解決した。 いつも過去にフェーズを当て、 家族の因果関係や男女の関係によって 引き起こされる物語にひどく共感するから、だ。

    2
    投稿日: 2025.07.18
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    大人の少し歪んだ愛の話。僕にとってはまだもう少し先に納得できるようになるものかもしれない。特に、浅野(兄)が嫌いだった。 でも、どこか穴の空いた大人たちが満たされたくて、受け入れられたくて、愛されたくて、誰かに何かを求めていて、切なかった。忙しい日々の中で巡り合うものに自分の存在を委ねていたのかもしれない。 心が疲れていて、すり減っていて、その時にはその人じゃないと駄目だった。その行為をしなければ駄目だった。未来から見れば愚かなことでも、当時はその不純な恋が必要だったのだろう。 とはいえ、愛人というものが、これからも僕にとって縁のないものでありますように。笑

    1
    投稿日: 2025.07.11
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    短編集だけど繋がってる?あるある。 どうして題名が「あなたの愛人の名前は」なんだろう。 他の人の考察も見た後再読したい。

    0
    投稿日: 2025.06.22
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    不倫がテーマの短編集。 『あなたは知らない』と『俺だけが知らない』が特に面白かった。 不倫はだめだけど見事に気持ちがすれ違っていて、なんだか切なかった。 2025.5.24

    3
    投稿日: 2025.05.24
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    目の前にいるのに心が見えない。不安で苦しい...だから惹かれてしまう。すれ違い続ける2人、誰にも打ち明けられない恋愛とは__ 女性視点の「あなたは知らない」と男性視点の「俺だけが知らない」がほろ苦さの中にある微かな幸福を味わうようで好きでした。

    7
    投稿日: 2025.04.22
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    「あなたは知らない」と「俺だけが知らない」だけで、長編小説を読んでいたかのような、読了感に覆われた。 許されない恋をしたことがある人なら誰しもが感じたことがあると思う。 「こんなに幸せなことがあっていいのか。」と。 婚約破棄を決意した瞳が その後、どんな人生を歩む決断をしたのか。思いを馳せてしまう。

    2
    投稿日: 2025.04.02
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    自分は大丈夫なんて、どうして言えるだろう。 真面目に生きていても、駄目だとわかっていても、どうしても惹かれる人は誰にだっているのに。

    26
    投稿日: 2025.02.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    少しづつ読んでいた。 実る事がない男女の愛、不器用な家族愛、愛せない愛…。 6編それぞれ、違う人物の視点で描いているが、どこかで繋がり合っている。 向き不向きは、あるけれど私は好きだなぁ。 島本理生は、不器用で刹那い恋愛を書くのが上手い。

    10
    投稿日: 2025.01.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大人な恋愛小説ではあるけど 意外とピュアなところも多くて 不倫のドロドロ感は薄かった。 自分に寄り添って理解してくれる人がいると そこが自分の帰るべき場所じゃなかったとしても 吸い寄せられるように 会いたくなってしまうもの。 でもそれは足跡みたいなきっかけ一つで ぷつんと切れてしまうような脆い繋がりで… シチュエーションは違うけど 心の移り変わりにはものすごく共感。 .

    2
    投稿日: 2024.12.18
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    大人の恋愛を切り取り、繊細な心理描写とともに描いた短編集。 素敵だった、、。まっさらな純愛が語られているわけじゃないのに、純粋に素敵だなぁと思えてしまうのは、作者の品性が情景の切り取り方や言葉選びに表れているからだと思う。 好きだから付き合おうよ、とはストレートにいかない複雑な感情の揺れ動きがいろんな登場人物の視点から見れてよかった。島本さんの他の本も読んでみたい!

    1
    投稿日: 2024.11.03
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    「あなたは知らない」が好き。 島本理生さんは長編ばかり読んでいたけど短編集も余韻があって大変良い。元々読後感がじんわり沁みて来るタイプの作品を書かれる方なので、短編だと余白ゆえにそれが際立つなーと思った。 なんだろう、語りすぎないがゆえの雄弁さというか。とにかく好きだ。島本理生さん最高。

    6
    投稿日: 2024.09.08
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    大人ってなんなんだろう。恋も愛も、人を好きになって愛し合うことも、別れも、なんなんだろう。 どこか苦しく、切なく、やるせない。人の思考や感情は、その人にしか分からない面と、他の人にしか見えない面とがある。でもその他人視点の面は、果たして本物なのだろうか。 人はきっと、満たされたいのだ。でも満たされたらその次はどこへ向かうのだろう。 色々と考えさせられるお話だった。また歳を重ねたら読み返してみたい。 2024.9.6 読了

    4
    投稿日: 2024.09.06
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    うーん難しい… みんなそれぞれ抱えているものがあって、それは当たり前なんだけど、それゆえに他人とのすれ違いが起こる。 男女の性差やもやもやした心理状況をまざまざと見せられた作品です。

    1
    投稿日: 2024.07.25
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    別れを決意した心情は語られないが、自分の経験からなんとなく想像して胸が苦しくなったり自由に身を震わせたりした。蛇猫奇譚の「二つ同時には愛せないの」は真理。

    1
    投稿日: 2024.07.03
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    2024.4.15 大人たちの複雑な恋愛感情。 心理描写、言葉の紡ぎ方が上手すぎる。 猫目線の話や純粋な恋愛の話、対になる話もあって良かった。 登場人物が少しずつ繋がっていく短編集好き。

    1
    投稿日: 2024.04.16
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    結婚を控えた恋人と同棲している瞳 月に一、二回会う関係の女性がいる浅野さん 痛かった。 すべてを手に入れることなんてできなくて、 きっとたぶんいつまでも何かが足りないと思いながら生きる。 それは恋愛に限らず地位も名声もそうなのに どうして恋愛はこんなにままならないのだろうな 「浅野さんとセックスした罰は、誰にも寂しいと言えないことだと悟った。」p111 「友達を作ろう、なんでもいいから仕事も見つけよう、と思った。」p213

    3
    投稿日: 2024.04.07
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    思うまま、自分の意思だけを通して生きることは難しい。というか、ほとんどの人は不可能だと思う。 自分の選択が、誰かの人生にも影響を与えてしまうことも、多々あるから。 大人のままならない感情や恋愛を綴った6篇の短篇集。作品の登場人物が共通している連作めいた要素もあり。 「罪悪感」って時にとても便利でずるい感情で、それを持つことによって、自分がしていることが多少赦されるのではないかという思いが無意識の片隅にあったりする。 不倫しながら「パートナーには悪いと思ってるんだけど」などと言う。 知られないように配慮するのは、けして「罪悪感」が痛むから、ではない。自分にとって都合が悪いからだ。 愛情が伴わなければ不倫ではないのか、それともあくまで身体の関係だけでも不倫と言えるのか。 …と、それを論じるほどドロドロした内容ではなくて、不倫(のような関係)を描いていても、さらっとしている。 大人の感情のままならなさと哀しさ。 連作要素が強い「あなたは知らない」「俺だけが知らない」はとくに、そういうものを感じた。 本当に好きな人と一緒にいられて触れ合えるって、奇跡に近いのだと思う。大人になっても、老いても、それはおそらく変わらない。 猫目線の「蛇猫奇譚」、表向きはマッサージ屋である女性用風俗のお話「足跡」など、少し変わり種のお話もあり、幸福感が感じられる「氷の夜に」もとても良い。 すべてに通じて、人の孤独感だとか、近しいはずの人と解り合えない哀しさだとかがあって、不幸ではないし充分幸福だと思わなければいけないのだけど…という苦悩が滲む。 島本理生さんの小説を1冊読むと連続してもう1冊読みたくなる。一筋縄ではいかない、女性だからこそ解ってしまうような、業の深さも潜んでいる。

    3
    投稿日: 2024.04.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「氷の夜に」バーで働く友人が、いつもきてくれる常連の女性に似ていると思った場面があり、その後本人にあった時大して似てなかったことに気づき、この人を思い出す理由が欲しかっただけだったのだ。と思うシーンが好き。そういうのってありますよね。「あなたは知らない」「俺だけが知らない」の2人の話も好きでした。

    2
    投稿日: 2024.04.01
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    浅野さんと瞳さんの話は読み入っちゃいましたね。 本気で思っている人ほどその人に本音が言えなかったり、上手くコミュニケーションが取れなかったりするよね、、その人のことについて色々知りたくても聞けなかったりね、、、 見事にお互いにすれ違ってましたね、、

    0
    投稿日: 2024.03.26
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    「間違ってはいないという誰かの多数決だけで日々を送り続ける。」 瞳と浅野さんの話が良すぎる 引き込まれた 人生はタイミング

    1
    投稿日: 2024.02.28
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    愛とは〇〇だと明確にわかればいいのにと思っていた頃があった。 今は不明確だからこそ自分で育てていかないといけない感情なんだと思ってる。 来年、5年後にはまた変わってるのかもしれないけど。 激情の関係にも、 静かな関係にも、 自分本位に伝えてしまった日も、 ぴたりと会う人に出会えたときも、 その時々で愛はあったけれど 誰とどんな自分を重ねてゴールを見つけたいのかを考えたら 平気でサヨナラできる関係もあった。 結婚(異性愛)が一番わかりやすい。 この人だと決めて選んだ最善の道だったのに、 うまくいかないことなんてよくあること。 どの物語にも共通してるのは、 結局は自分自身を育てるしかないってこと。 誰かを通して見える自分の弱さや柔らかさを大切にして 自分を大切にして、大切に大切に守ってきた自分の中から出せる その時の愛を伝えて受け取って貰えたらすごく幸せだな。

    1
    投稿日: 2024.02.24
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    どうしてこの瞬間に隕石衝突とか地球爆発が起きないのだろうと思った。こんなに好きな人とセックスなんてしたら、地球が真っ二つに割れるくらいじゃないと到底取れないじゃないか。採算とか、バランスとか、代償とか、そういうぜんぶが。 この言葉、作者が女性じゃなければ書けないのでは?とまでも思う。 そして身に覚えがありすぎるこの物語、瞳の気持ちが痛いほど分かってしまった。 罪悪感、論理感、この刹那的な幸せの代償。 自分を取り巻く環境やしがらみを全部捨てて、今この瞬間死んでも良い、そうしたら楽なのにと思う気持ち……。 そこまでの瞳の想いとは対照的に、浅野さんが 瞳への気持ちは恋でも愛でもない…と思っていること。 この気持ちは恋でも愛でもない、愛着はある、けどどうこうしようと思わない。確かにそう言う関係性もあるだろうけど、2人のギャップがしんどいなぁ。 瞳が最後に手紙に書いた 嫌い が本音なのかどうか。嫌いとまで書いて、お金を包んで手切金みたいに渡さないと切れないぐらい好きだったのか。瞳サイドの終わり方もしっかり見てみたかった。

    9
    投稿日: 2024.02.20
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    「あなたは知らない」と「俺だけが知らない」 が特にいい。好きになるはずじゃなかった相手を本当に好きになってしまった人とか、好きにならないようにと思いながらも好きになってしまった人にすごく刺さると思います。

    3
    投稿日: 2024.02.01
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    ちょっと重たい気分になった。婚約したから、申し分のないパートナーがいるから、愛情というものが満たされている訳では無いと感じさせられた。自分も本当は満たされていないのではないか?と胸に手を当てて考えてしまうような、けれどちゃんと充実していると実感できるような。人妻や婚約者がいると、倫理観的に絶対踏み出せない、踏み出してはいけないけれど、興味を持たずにはいられない一歩をこの本は踏み出してくれて、経験できない気持ちを経験させてくれる。ただ、約束されたパートナーがいることを、とても嬉しくて満たされたことなのに重たいことだと感じてしまう一冊でした。

    1
    投稿日: 2023.12.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とっても好きな一冊だった。短編だけど登場人物は重なっている。事実はひとつでも、それぞれの思いや受け取り方は違う。題名から想像するドロドロ系の不倫小説とはちがった。人って生きていく上でたくさんの他人と関わっていて、その出会いはぜんぶ運命で、その出会いや経験の全てがその人を作ってるんだなぁと。もっと大人になって読んだら感想が変わるような気がする。 猫目線の物語も入っていてほっこり。"氷の夜に"の大人なしっとりした恋愛もハッピーエンドでよかった。 「自分がなによりも欲しかったものはこの罪悪感だったのだとようやく気付いた。」ー足跡 「その昔あなたのことが大好きでそして今では嫌いになった」ー俺だけが知らない

    0
    投稿日: 2023.10.26
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    私は本当にこの人の文が現実の言葉での切り取り方が好きだなあと思わされた作品。 長編よりも短編の方が好きで、何より登場人物が繋がっていく描写が1番好き。 だって、それぞれの人にそれぞれの人生があるって気づかせてくれるから。 私の人生だけど、それには色んな沢山の人の人生が関わってきてるんだって思い知らせてくれる。 感情に素直に生きるって簡単そうですごく難しいことな気がする。 そうやって生きられたらどれだけ楽かもしれないけど この世界って色んな人の考えと色んな人の人生が絡み合ってるからそんなの無理な話なんだよね。 だから人間は必ず苦悩するし死ぬまでに何度も何度も悩んで落ち込んで壁にぶつかる。 でもそれを解消する方法って案外沢山あって。 不意に見た景色が綺麗だったり、どこかから聞こえてきた音が綺麗だったり、味見してみたものが美味しかったり。 そうやって人生って回っていって生きていくんだな。 感受性が豊かな人は悩んでも立ち直るのがきっと早い。 だから私は本を読む。

    0
    投稿日: 2023.10.22
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    失礼ながら不倫ものの作家さんと思って手に取っていなかったが、心情や感情の表現が絶妙で数ページで心を掴まれた。

    0
    投稿日: 2023.10.09
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    短編だけど繋がりがあったり双方の思いが読めたりで面白かった。暗さはありつつもそれぞれが前向きに物事を考えているようでもあった。あとがきにこの作品を書いた時の著者の背景がこの作品に影響していると書かれていて人間らしさと親近感を感じ、他の作品も読んでみたいと思った。

    0
    投稿日: 2023.09.27
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    愛してる人、惹かれる人。恋人、愛人。心が向かう場所はどうしていつも曖昧なのだろうか・・・と考えてしまう短編集だった。安定や信頼、胸の高鳴りや理性、どれもが混ざり合い葛藤していく主人公たちは、それぞれ最後に大事なものに気づいていく。そんな姿に、最後はほんのり前向きになれた。

    0
    投稿日: 2023.09.17
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    お互い想っていてもすれ違うばかり。 伝えた方が良いこと、伝えない方が良いこと。 何が正解か分からないことが多い。

    0
    投稿日: 2023.09.04
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    激しく燃えるような直情的な恋ではなく、酸いも甘いも知った大人の恋がとても心地よかったと同時に、自分もそんな歳になったんだと実感。 短編が短編で終わらず、繋がっているところが個人的には好きな構成なので、そこも非常に楽しく読めました。

    1
    投稿日: 2023.08.28
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    なんか読み終わった後にスッキリする!って感じではないけど心がちょっと暖まる感じがした。人(人の恋心)ってそれぞれが繊細なんだなあってなんか思った。

    0
    投稿日: 2023.08.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いろんな形の恋?快楽?のオムニバス。 最初の真白さんの治療がどんなのか気になる。 島本さんお得意のギリギリありそうな男女の話。 あの婚約者は嫌だ。

    0
    投稿日: 2023.08.12
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    全体的に読みにくい 文章の構成が上手くない たまに心に響くフレーズがあるけど、物語からくる響きではなく、切り取ったその文字の並びだけ 男女で違う恋愛感、立場で異なる価値観に、どれだけ向き合って書いてあるのか期待をして読んだが、なんだか浅はかだった

    0
    投稿日: 2023.08.11
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    短編集。読んでいる最中、 あれ?いつもの優しい言葉選びが少ないな?と思っていて、全部読み終わり、島本理生先生のあとがきを読んで全てが納得でき、私が感じていた違和感が心地よい違和感となり昇華出来ました。 蛇猫奇譚が経験したことがあるから、読んでいて1番苦しかった。でも、そういう気持ちだった、という事をいつの間にか忘れてしまっていて、気づかせてもらえた、ありがとうございました。

    3
    投稿日: 2023.08.06
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    どんなに理不尽だろうと自分勝手だろうと、恋も愛もその瞬間は当事者にとっては成り立ってしまうものだし、それが結果的に人生のパーツとしてその後も存在してゆくのだということを思い知らされた。 理由のない好きに甘え切ってみたり、愛があるか分からずとも理屈があるものにしがみついたり、破綻した愛から見出した意味が別の人を救ったり。自分自身をどこか愛しきれない登場人物たちの無意識に救いを求める声無き声を、恋愛という形式で表現したとも言えるのかもしれないし、私たちは無意識のうちに自分の中の満たされない何かを補完するための手綱として恋愛を手繰り寄せているのかもしれない。だから、一瞬の幸せに溺れてしまうのだ。 登場人物たちが自己愛に満たされて、純粋な愛に出会えていたとしたら、どんな人と出会い、どんな結末を迎えたのだろう。 なお、短編と謳われながらも、人物が錯綜して成り立っているのが面白い。

    1
    投稿日: 2023.07.04
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    短編集と言いつつ、全部ではないものの少しずつ登場人物がリンクしているような構成で読みやすかった。最近の島本理生作品に出てくる女性は、男性に寄りかかっていて動けなくなっているような女性が多かったので好きになれなかったけれど、今回は久しぶりに女性としての強さや潔さを感じられて良かった。特に「あなたは知らない」「俺だけが知らない」が印象的で、男女それぞれの目線から描かれているが故に、こうして男女はすれ違っていくのだよな、と思った。

    2
    投稿日: 2023.03.27
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    学生には無い、大人の恋愛観を読みながら感じた。また、短編を通じ、女性と男性目線で話が進んでいくのも面白かった。異性で恋愛感は違うというが、こんなにも考え方が違うのか……と。女性特有の考え方。男性特有の考え方。ただ、言い方は悪いかもしれないが、共通して言えるのは、結局他人より自分が1番可愛いのだ。 他人の考えや気持ちを全て理解するなど到底出来ないのだからこそ、自分とは異なる部分を認める事ができるようになりたいと思う。

    1
    投稿日: 2023.03.08
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    恋愛って大人になればなるほど、制限が増えるものなのかな、、と作品を通して感じた。 大人な男性に見られたい、触れていいかわからない、結婚するという言葉に行動を制限されるなど、、、 「若気の至り」という言葉がある理由がこの本の内容という、、

    1
    投稿日: 2023.02.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    島本理生さんは、言い方が古いけれど女性特有の陰湿な部分を書くのが上手な作家さんだな〜と改めて感じた。 「あなたは知らない」で、婚約者が出張先で付き合いでキャバクラに行くことになるかもしれないと断りを入れて気遣うシーン、「たしかに心配はいらないだろう。この人はそういうものが好きじゃない自分に価値を置いているから。」と主人公が思うシーンでは卑屈だ〜!と謎に感動しました。

    0
    投稿日: 2023.01.29
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    島本理生さんの小説の女の人が想う男の人にいつも心がえぐられて、そして惹かれて苦しくなる。その人との出会いで普段の自分とは違うことをしてそして隠していた自分をみてしまう...自分の心の中にある傷のかさぶたを剥がされるような痛みを感じる。

    0
    投稿日: 2023.01.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんか文章ひとつひとつが、妖艶でエロい けど、下品なエロさじゃない 丁寧で繊細で、それでいて芯がある すごい好きな文章の描き方をされていた。 その章ごとに分かれているけど登場人物が繋がっていく感じもすごく好きでよかった。 一個一個全部長編で読みたくなる良さがある。 藍のお兄さんからは女の人の気配がした あの子は昔から妙に女っぽい のところがすごくいい意味で引っかかってゾクっとした。 今年個人的に注目したい作家さんに出会えました

    0
    投稿日: 2023.01.02
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    あらすじにも『すれ違う』と書いてあるし、著者本人も『苦しそうな話』と言い切っている通り、どれを読んでも、どこかで必ず息苦しい気持ちになってしまう一冊だった。どうして島本理生は、誰にも共感されないけれど自分の中には巣食ってしまう不安や、上手く言葉にならない傷なんかを形作るのがこんなに上手いんだろう…。いや浮気じゃん!と言ってしまえばそうなんだけど、『あなたは知らない』のラスト、『浅野さんとセックスした罰は、誰にも寂しいと言えないことだと悟った』という表現が詩的でずるくて、唸ってしまった。

    0
    投稿日: 2022.11.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    不倫をテーマに描かれた6篇。サレタガワの男たちの何が悪いんだろう?と思ってしまったのは、自分が女心を理解できないから? とてもエロティックな作品もあって、これを原作にロマンポルノを撮ってくれないかな〜と思いながら読んでた。 こういう部分的にリンクした短編どうしが並ぶ作品は結構好きで、前を振り返りながら読みました。

    0
    投稿日: 2022.09.07
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    短編小説だが、「氷の夜に」と「あなたの愛人の名前は」がないようがリンクしている。特に「氷の夜に」が良かったです。

    0
    投稿日: 2022.08.25
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    ままならない大人たちの誰かを求める苦しい気持ちが 詰まった作品。 あなたは知らない、俺だけが知らないというそれぞれの目線で描かれていた2つのお話が特に心に残りました。 普段のしがらみの中から、救い出してくれる未来のない関係。一緒にいるとどうしようもなく心を救われてしまう描写が甘くて、切なくて…心が苦しくなりました。 大人の恋はままならないからこそ、こんなにも美しく 燃え上がってしまうのでしょうか。 好きな人とただ純粋に何のしがらみもなく幸せになるということが、こんなにも難しく思える年齢になってきたなと感じました。

    0
    投稿日: 2022.07.18
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    6つの短編でありながら、それぞれ重なり合い、遠いところだったり、裏返しだったり構成が面白い。きれいで繊細な言葉で紡がれている1冊。 生活に不満があるわけではないけど、どこか満たされない空虚感や寂しさを抱えている。どうしようもなく深い繋がりを欲する瞬間。2つの気持ちが併存する日常。そこから逃れる非日常。1+1が2にならない。心の隙間を埋められるのは確固たる存在ではなく、言葉では表せないものという点に苦しさや胸が締め付けられるような思いがした。でも、それぞれの主人公に前向きな決意や希望が待っていて読後感が心地よかった。

    6
    投稿日: 2022.06.23
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    『旦那さん以外に抱かれたいと思ったことはないの?』 さて、唐突にあまりにアブナイ質問を投げかけてしまって申し訳ありません。そんなこといきなり言われても困りますよね。でも、その一方でこの問いかけに対する”はい”、”いいえ”を心の中で即答する自分がいた、そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか? 人の心の中は決して覗き見できないものです。憲法第19条によってその権利は保障されてもいます。しかし一方で民法第732条で重婚は禁止されています。夫がいるのに他の男性と婚姻することはもちろんできません。二人を同時に好きになることは認められていても、それを表立って形にすることは認められていない、当たり前といえば当たり前ですが、逆に言えばそこに不倫という恋愛形態が存在することになってしまいます。 しかし、そんな内心の自由のままに進んだあなたはそこに何を見るのでしょうか?形にすることの許されない愛は決着することがありません。 『もしかしたら、なにも知らないからこそ、覗いてみたくなったのかもしれないです。私の知らない私を』。 人の複雑な感情はなかなかに整理することなどできません。こんな風に『私の知らない私』というものが自分の中に存在する、その存在に光を当ててみたい、そんな欲求の先に進むことはある意味新鮮であり、ときめきを感じる瞬間なのかもしれません。ただ、形にすることの許されない愛は、どこかで、その決着をつけなければいけない時間が訪れます。 ここに”二人を同時に愛する”という感情に光を当てた作品があります。『初めて彼に出会った晩から、私は私じゃなくなった』と自分の心の奥底に眠っていた感情のままに突き進む女性たちが登場するこの作品。そんな女性たちが”二人を同時に愛する”のを見るこの作品。そしてそれは、そんな感情のその先に”二人を同時に愛する”ということの意味を読者に問いかける物語です。  『旦那さん以外に抱かれたいと思ったことはないの?と訊かれ』て、『ない』と答えたのは主人公の石田千尋。そんな千尋に質問主の『女子大のときからの友人』である澤井は『となり町の坂の上にある治療院なんだ』と語り出します。『紹介制だから、もし興味があればと思ったんだけど』、『最後までするわけじゃないっていうしね』と続ける澤井は『これ、そこの治療院の連絡先と紹介状』と手帳から取り出した紙を千尋に渡しました。『結婚してるのが条件だから』自分は行くことができないと補足する澤井。場面は変わり、『旺盛な食欲で』夕食のカレーを食べる夫は『澤井さんは元気だった?』と千尋に問いかけます。思わず手を止め『あいかわらずだった』と答える千尋に『なにかあったの?』と訊く夫は『君が、あいかわらずって言うときは…』と気にする様子に、慌てて話題を変えその場を乗り切った千尋。そんな千尋は夫との出会いを思い出します。『同じ団地のおとなり同士だった』という二人。『三歳年上の夫』を『素敵なお兄さん』と想い、やがて付き合い出して結婚、そして三年が経ち『気の合う親友』だという二人の今の関係。そんな千尋は一方で澤井の話を思い出します。再び場面は変わり、となりの駅で降り、『意を決して、石段を上が』る千尋。そんな千尋の目に『真白治療院、という看板』が見え、『ふるえる指でインターホンを押』すと、『二、三秒の間があってから、どうぞ、という返事があ』りました。『ゴッホの「夜のカフェテラス」のレプリカ』が飾られているのを見て『清潔感のある無個性なインテリアにちょっとほっと』する千尋。そんな時『ご予約いただいた、石田千尋さんですね。真白健二といいます』と『奥から男の人が出てき』ました。紹介状を渡すと『澤井さんからのご紹介ですね』と穏やかな笑みを浮かべながら話す男は『行為の最中に、不快を感じたり、少しでも嫌なことがあれば、おっしゃってくださいね』と説明をします。『行為、という言葉に思わず心音が跳ねあがった』という千尋は『私、夫以外の男性に触れた経験もほとんど』と言うと『分かりました』とだけ男は答えました。そして、問診票を記入した千尋は『言われるままに、廊下の奥の白いドアへと向か』います。『緊張しながら、シャツのボタンを外した。黒いスカートが足元に滑り落ちた』という後、ガウンを羽織る千尋の前に現れた男は『白い診察服姿のままそっと』隣に腰掛けます。『私の手の上に、彼の右手がそっと重なる』、『薄い唇が、私の火照った頰にふっと触れ…』、『体を強張らせたまま、されるがままになって目を閉じた』千尋。そして、『シャワーを浴びて、化粧を直し終え』た千尋に紅茶を勧める男は『良かったら、お話ししましょうか』と『真白治療院』のことを話し始めました。そして、院を後にして一ヵ月が経った千尋は『二度目は言い訳できない』と思いつつも『覗いてみたくなったのかもしれないです。私の知らない私を』た再び治療院へと赴きます。『私はまたここに来てしまうのだろうか』と思う千尋。そんな千尋が『自分がなによりも欲しかったもの』に気づく物語が始まりました…という最初の短編〈足跡〉。短編の短い尺の中で主人公・千尋の感情の起承転結を絶妙にまとめた好編でした。 2017年4月から2018年8月まで、「小説すばる」に連載された六つの短編から構成されたこの作品。登場人物が絶妙に繋がりあい緩やかな連作短編を構成しています。それは、一編目に二編目の主人公が登場していたり、三編目に登場する人物が一編目で重要な役どころを果たした人物だったりという感じで繋がるものがまず一つ。一方で三編目と四編目は鮮やかな視点の切り替えによる対の作品として存在。そして、五編目と六編目は登場人物が絶妙に味わい深く繋がるようになっていたりとなかなかに読者を飽きさせない上手い作りになっています。一般的な連作短編とは違うものの、独立した短編集でもないという、なんとも絶妙なまとまりを見せる六つの短編。まずは、そんなそれぞれの短編をご紹介しましょう。 ・〈足跡〉: 友人の澤井から『旦那さん以外に抱かれたいと思ったことはないの?』と訊かれた主人公の千尋は紹介状を受け取り、夫には黙って『真白治療院』という『行為』を施してくれる場所へと通います。一方で『今の私には、夫の肌や体つきを思い出せない』という千尋はあることに気づくことになります。 ・〈蛇猫奇譚〉: 『結婚してからも、ハルちゃんはボクを一番に可愛がってくれる』という猫のチータ視点の物語。具合が悪いハルを病院に連れて行った旦那さんは『チータ。今年の夏にはうちに赤ちゃんが来るぞ』と告げます。そして誕生した赤ちゃん。一方で『最近チータに冷たい気がするよ?』とハルのチータへの態度に変化が…。 ・〈あなたは知らない〉: 来年には『結婚してるんだから、独身のうちに』遊んだら、と言われ友人の江梨子とバーに行った主人公の瞳は浅野に声をかけられ関係が始まります。『同棲している恋人同士』の耕史との結婚のことを考え込む瞳。そんな瞳は浅野とのことを『初めて彼に出会った晩から、私は私じゃなくなった』と思います。 ・〈俺だけが知らない〉: 『警戒されないように二人組に声をかけ』た結果、『奥手そうに見えた』女性を誘い二回目でホテルへと誘ったのは瞳の方だったというのは主人公の浅野。そんな浅野は一方で両親が離婚した時、父親についていくと言ったものの『父の愛人がそれを拒否し』て母親とも関係の悪くなった妹・藍のことを気にかけます。 ・〈氷の夜に〉: 『一年ほど前から、月に一、二回』、『一人でこの店にやって来』る『名も知らぬ彼女』と会話する主人公の黒田は『彼女が来るのを楽しみにしていないわけではないけれど、そこになんの期待もない』と感じています。そんな黒田はある日『カウンターで眠り込んでしまった彼女に』呼びかける夢を見ます。 ・〈あなたの愛人の名前は〉: 『おふくろが突っ返してきた十万円。藍にやるよ』と兄に言われた主人公の藍。困惑する中、『好きなところでも行ってこい』と言われた藍は『マカオ』と口にします。そして、二泊三日でマカオへと旅に出た藍は、離婚する半年前に両親だけがマカオへと旅行し、しばらく後『付き合っている女性がいる』と父親が言い出した時のことを振り返ります。 上記した通りそれぞれの短編では短編を超えて同じ人物が登場し前編では視点の主が気にする存在だった相手なのに、今度は視点の主となって前編の視点の主を見やる相手として登場するといった面白い感覚を体験しながら読み進めることができます。中でも短編タイトルで対になっていることがわかる〈あなたは知らない〉と〈俺だけが知らない〉の読み味は絶妙です。注目して読みたいのは瞳と夫・耕史、そして浮気相手の浅野の三人のそれぞれを見る感情の違いです。『生まれて初めてただひたすらに目の前の男を欲しいと思った』と始まり、『初めて彼に出会った晩から、私は私じゃなくなった』と感情を突き動かされ浅野との愛に溺れていく瞳。一方で『暇つぶし』だと思って声をかけた浅野は『瞳さんとは、恋でもなければ愛でもない』と不思議な感情の中にあり『これ以上なにかを動かしたり変えたりする意思は』ないというように極めて対象的です。そんな中途半端な浅野の思いは『浅野さんといるの楽しいです』と素直にその感情を曝け出し、自分に優しく、自分を傷つけないように接してくる瞳のことを『相手の男から大事なものを借りている気分にさえなった』とまで感じています。不倫を扱った作品は山のように存在しますが、このように視点の切り替えで見事にそれぞれの相手に対する思いの違いを描いていく作品はなんとも興味深いものを感じさせます。そして、この作品では両短編を通じて視点が移動することのないもう一人の重要人物の存在があります。それが、瞳の夫・耕史です。そんな耕史を『かっこいいし素敵な人だな』と好きになった瞳視点で描かれていく〈あなたは知らない〉は、その短編のタイトル通り〈あなたは知らない〉という冷めた視点で耕史を見る瞳の姿が描かれます。その一方で『どうして浅野さんにだけ私が私でなくなってしまうのか』とその特別な感情に溺れる瞳。一方で〈俺だけが知らない〉では、〈あなたは知らない〉とは全く異なるまさかの耕史の姿と、その先に続く物語が展開していきます。そして、一対の物語として読むべきこの二つの短編には、さらに次の〈氷の夜に〉、〈あなたの愛人の名前は〉への布石となるように浅野の妹・藍の存在が描かれてもいます。そして、そこには妹・藍視点から見える兄・浅野のまた違った素顔を見ることもできます。それぞれの人生の経験が、その先の行動を作っていく、そんなことも感じさせる見事な”四部作”になっていると思いました。 そんなこの作品は”二者の選択”を共通のテーマとしています。〈足跡〉では『結婚してるのが条件』という治療院の真白院長と夫という二人の男性に対峙する千尋の姿が、〈蛇猫奇譚〉では猫のチータと出産したばかりの子供に対峙する母親・ハルの姿が、そして対になる〈あなたは知らない〉〈俺だけが知らない〉では、夫・耕史と浮気相手の浅野に対峙する瞳の姿が描かれていました。『ほとんどの女性は、二人の男のところへは帰れない』、『二つ同時には愛せない』というように”二人を同時に愛する”気持ちは永続せず、二つのうちの一つに定めて安定した状態を得る、この作品では主人公の女性たちのそんな姿が描かれていました。 “どうしてこんなにも誰もがどこか苦しそうな話ばかり書いたのだろう、と本作を読み返して、不思議な気持ちになりました”と語る島本理生さん。そんな島本さんは”読んだ方の中に、なにかしら引っかかって残るものがあれば幸いです”と続けられます。実はこの作品、レビューを書いている途中で、私にとって二度目の読書だったことに気付きました。一昨年八月に単行本(既に売却済)で読んでいたことを知った私の衝撃。どこかデジャブな印象を持ちつつも、500冊以上の小説ばかり読んできた身にはそれもよくあることと最後まで気づけませんでした。そして、単行本のレビューを読んで、書き上がったばかりのこの文庫本のレビューとの差異に自身かなり驚いています。この二年弱の読書経験の違いなのか、単行本のレビューとはかなり違った視点からのレビューになりました。そして、この文庫本での読書では島本さんのおっしゃる”なにかしら引っかかって残るもの”があったと感じています。それは、人が人を見る中ではそれまでの経験が何かしら影響を与えるのだということであり、相手の言葉や表情だけでは相手の心は全く読めないということであり、そして、”二人を同時に愛する”ということはどういうことなのかという心のありようでした。 図らずも単行本と文庫本で二度読むことになったこの作品。『恋でもなければ愛でもない』、『愛してないけど愛されたい』、そして『もしかしたら、なにも知らないからこそ、覗いてみたくなったのかもしれないです。私の知らない私を』と、人はさまざまな思いをその時々に抱きながら生きています。そんな人の想いを構成の巧みさによって鮮やかに浮き彫りにしたこの作品。結果的に文庫本で再読したからこそ見えてきた、この作品に込められた島本さんの思いにとても魅了された傑作だと思いました。

    106
    投稿日: 2022.06.20
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    名前のない関係性。 その儚さ すれ違いつつも、進み続ける。 愛とは恋とは、言葉にするよりも噛み締めることで味わう。

    1
    投稿日: 2022.06.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    300ページもないのに、とても内容が濃かったです。 触ったら壊れてしまいそうな繊細さがある、大人の恋愛の短編集です。読後の余韻がすごい。 読んでいて少し、息苦しくて痛みを感じるようなお話がつまってました。だからといって救いが無いわけでもなく、これからが楽しみになりました。 身近な人間のちょっとした発言とかに傷ついて、でも何も無い振りをして。島本さんのお話は本当に女性の心境が綺麗に表現されていて、とても大好きです。 すれ違っていく様子がとても心に刺さりました。 『あなたは知らない』と『俺だけが知らない』のふたつが好きです。

    2
    投稿日: 2022.05.13
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    自分を受容してくれる存在を求めてしまう。帯の「今、この瞬間に深く、深く、理解されていればいい。たとえ恋じゃなくても。」に納得の評。短編でも繋がりがあり、登場人物の日常と非日常のコントラストが世界観を広げていると思った。

    8
    投稿日: 2022.05.04
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    いつか、ふと手に取り直してそっと読み返すだろう物語。 キッチンの戸棚に潜ませた洋菓子を摘むように、ふと忘れて、ふと思い出す物語。 あなたの愛人の名前は。

    1
    投稿日: 2022.04.17
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    さわやかではない恋愛ものを期待して読んだ。ちょっと私の期待値よりはどす黒さや狂気が薄かったため☆2つに。 どれも恋でも愛でもない、 名もなき関係を綴った本だなと思った。 そういう関係はきちんとはじまりはしないくせに、 きちんと終わりはくるのだな、と思った。 ラストは少し希望が持てる終わり方だけど、 それもどうなるかわからないな、という気がしてしまう、そんな本だった。 何歳で読むかで印象が変わりそうだ。 だから読書は面白い。

    0
    投稿日: 2022.04.04
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    ナラタージュの作者であることは知っていて、だけど映画で見たナラタージュがあまり好きではなかったから勝手に作者も敬遠してしまっていた。家の積読がなくなり、ふらっと入った本屋で帯を見て、この本を読むことを決めた。読んでみると、今まで敬遠してきたことをものすごく後悔した。丁寧で、繊細な言葉たちがつまった切なくて、だけどほんのりあたたかい小説だった。人を好きになることには抗えない、たとえそれが正しくなかったとしても。汚くて、でも綺麗で。恋することの難しさと儚さを改めて知った。

    2
    投稿日: 2022.04.02
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    完全に表紙が気に入って買いました。 島本理生さんが書く文章ってとてもセンスを感じるというか、確信をついてるというか、、、 とっても好き。 短編集だけど少しずつ繋がりもあって、、、 みんなどこがで苦しんでいる。 それぞれの話の中でもちゃんと心に残るものがある。 素敵な作品をありがとうございました。

    0
    投稿日: 2022.03.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    対になっている「あなたは知らない」と「俺だけが知らない」がとても良かった。 名状し難い関係は、繋ぎとめようと固執しても、面倒を避けて距離を置きすぎても途切れてしまう。 微妙な探り合いがリアルで心に刺さった。

    2
    投稿日: 2022.03.13
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    恋愛の機微を書かせたら、島本理生の右に出る者はきっといない。 男にしか分からない、もしくは女にしか分からない感情が絡み合う中、それでも紡いでいく言葉や関係性が、恋を忘れられないものにしていくんだと思いました。

    0
    投稿日: 2022.03.10
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    短編集だけど、それでもひとつひとつのお話が何か心に残してくれる一冊。 どの登場人物にもいいところと悪いところがあるんだなあ。それが人間らしくてとてもよかった。

    0
    投稿日: 2022.03.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトルのとおり、不倫がテーマの短編集。 語り手の視点が変わり 交錯する気持ちが立体になる。 テーマがテーマなだけに少し切ない。 表題作、あなたの愛人の名前はにあった一文 --- それでも父は最後まで愛人の名前を口にはしなかった。 その具体性がなによりも私たちを決定的に傷つけることを、父は分かっていたのかもしれない。 --- これはすごく刺さった。 芸能人でもそうだけど具体性を帯びた時に ガツンとくることがあるもの。 私自身が結婚に敏感な年齢に差し掛かっているけれど伝え方、伝わり方考える一文だった。

    0
    投稿日: 2022.02.22
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    島本理生さんの文章って読み終わった後に 『センス〜〜』ってなるんだよなぁ… 確かに名前を言われたら現実なんだって そう思ってしまうことはあるよね 登場人物が上手い具合につながって みんなそれぞれ背景があって 抱えてるものがそれぞれ違うのがとてもリアル。 あられもない祈りもよかったけど これもとてもよかった。 そして島本理生さんの本のあとがきだったり 解説がまた良い。とても良い。

    0
    投稿日: 2022.02.08
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    好きだとか、恋だとか愛だとかは、言葉になるとなんだか薄っぺらく感じることもあるのだけれど、この本は心の奥のジクジクしたものとか、ぱっと浮かんですぐ消してしまうような微かな気持ちとか、そういうものが取り込まれていた。島本理生さんの心理描写、好きです。 6篇からなる小説で、ずれた時間軸でお話が繋がっていく。わたしの好きなパターン。一つのお話は終わったけれど、この人はこうして未来を生きている、そんなふうに思える。 チータ、愛おしい。

    1
    投稿日: 2022.02.06
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    短編集の中でも好きな感じの内容だったなー 島本理生の本に出てくる人物の発する言葉はどれも言い回しが綺麗でしなやか

    2
    投稿日: 2022.01.26
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    読みやすい一冊。 6つの短編で構成されており、それぞれの登場人物が繋がっていている。「あーあのことか!」となる楽しみがある、私の好きなタイプの短編集でした。 過去から立ち上がる主人公たちが、とても逞しく見えて、一見どろどろした内容かと思いきやすっきりした気持ちで読了。

    0
    投稿日: 2022.01.24
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    「足跡」親友のような夫との日常が刺激のないものに感じてしまったのかな。人は常に刺激を求めその刺激によって変わらない日常の大切さに気づく。悪いことをしていても一番大切なものに気づくとしたら単に悪いという言葉だけでは成り立たないのかなぁ。2022.1.21

    1
    投稿日: 2022.01.21
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    20220114 それぞれの短編小説の時間軸が少しずつ異なることや、それぞれの登場人物がほかの短編小説に登場することにより、短編小説のその先の展開がチラッと垣間見ることができ面白かった。

    0
    投稿日: 2022.01.14
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    不倫がテーマの恋愛連作小説。 生々しい感情がなく、割合登場人物がみんな淡々としてるので、「不倫」がテーマだけど重くなく読める。次は誰が主役なんだろうと思いながら、読める連作短編は心躍る。 「あなたは知らない」「俺だけが知らない」が良かった。浅野さんなんかいいなー。

    1
    投稿日: 2022.01.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本屋さんでなんとなく目に留まって購入。島本さんの作品を初めて読みましたが、短編の登場人物がだんだんと繋がっていくのが心地よかったです。もっと他の作品も読んでみたいと思いました。

    0
    投稿日: 2022.01.04
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    知人に勧められて読んだ作品。 自分では絶対買わないテーマだけど、面白かった。 不倫は良くないことで道理に反することだけど、ここに出てくる人物の【気持ち】には共感出来るものがあった。 なんだか切ない気持ちが残る作品。

    15
    投稿日: 2022.01.02
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    はじめて島本理生さんの小説を読みました。 心理描写が大好きでファンになりました! 年明けたら島本さんの作品をはしごしたいですね。 「不倫」の事実ではなく、そこに至った〝過程〟と〝心理〟に興味がある。 その「背徳感」や「罪悪感」は興奮するんだろうね。 「殺人」や「浮気や不倫」も 〝なぜ、自分はしなかったのだろう〟と考える方が自然なのかもしれない。 世間体や家族など、多種多様なストッパーがかかっているから〝実行していない〟だけなのかな。って。

    3
    投稿日: 2021.12.29
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    わかることと、愛することはちがう。 恋でも愛でもないからこそ、 助けられたり、バランスをとれたりする。 理解してほしいと、理解したいは、似ていない。 旅行、行きたいな。

    4
    投稿日: 2021.12.29
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    それなりに年齢を重ねると、10代や20代の頃のように、ただ好きというだけでは踏み込めない恋愛があったり、これまでの人生で経験してきたことが足を引っ張ったりすることがたくさんある。 それが自分自身の時もあれば相手の時もあるし、 時にはパートナーがいる相手に強く惹かれしまうことだってある。 頭ではダメだと分かっていても、日常に満たされない感情を感じていたり、周りが見えなくなるほど頭がいっぱいになってしまったりして、今あるものを全て捨てででも飛び込んでしまいたくなる相手を見つけてしまったりすることが誰でも一度くらいはあるはず。 時間が経つと何故あの時あんなに相手のことで頭がいっぱいだったのか不思議に思うけど、いくつになっても、それが恋愛なんだろうな。

    1
    投稿日: 2021.12.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    帯は、 ------------------------- 今、この瞬間に 深く、深く、理解されていればいい。 たとえ恋じゃなくても。 繊細な筆致で紡がれる6編。恋愛短編集。 ------------------------- 普段だったら、読むのをためらったし、 読まなかったかもしれない一冊です。 私が人に言えない恋をしたり、 そんなものに執着したり、 自分を変えたくて環境を変えたのに、 転職先でも七転八倒していたり、 資格の勉強がはかどらなかったり、 生活に余裕がなかったり、 クリスマスにひとりぼっちだったり、 年齢を重ねていくことに不安を覚えたり。 そーゆーのが重なって手にとった一冊です。 ■足跡 大学時代の友人に紹介された治療院。 人妻の千尋は、大学時代の友人澤井に紹介され、 その治療院を訪れる。 最後まではしないが、行為をする場所で… ■蛇猫奇譚 猫のチータは感じていた。 子どもを授かった夫婦の変化に。 ハルの変化に。 ■あなたは知らない 結婚を控えている彼と同棲中の瞳。 彼女は、バーで偶然出会った浅野さんと体の関係を持つ。 遊びでもない、割り切れない、核心に触れられない。 ■僕だけが知らない たまたまバーで声をかけて関係が始まった瞳さん。 いつも夕食を食べて、それからホテルへ向かう。 彼女はいつも朝になる前に帰っていく。 たぶん男がいる。 だけど、お互い詮索もしない、踏み込まない。 この関係が居心地よかった。 そんな彼女が今日は朝まで一緒にいる、という。 ■氷の夜に 黒田が経営するバーに来るお客さん。 いつも雨の日に、バスが混むから時間をずらして帰るという理由で来店するお客さん。 彼女を知りたい、と思い近づこうとするが… ■あなたの愛人の名前は 父親が愛人を作って出ていった。 母親は感情の起伏が激しい女性だった。 兄は優しい。私は、家から離れたかったのに、 結局離れられずバイトを辞めての繰り返し。 そんな私に兄がお金をくれた。 私はマカオに行くことにした。 そこは両親が最後に夫婦で旅行した場所だった。 日常生活のなかのゆがみ、渇望感。 満たされてるように見えて、 圧倒的な距離や違和感に囲まれていることがある。 あとがきにもありますが、 幼少期の体験や親子関係って、 のちの自分に大きな影響を与えるんだな、って。 私は瞳ほどしっかりもしていないし、 ぐっと堪えたり、 引いたりすることはできないんですが、 何とも言えない満たされない感じがとてもわかる。 人に執着するのも怖い。 みんな何かに縛られて苦しんで、もがいている。 何が幸せなんだろう。 浅野も瞳も、ずるくて弱くて都合が良いけど、 感情が入ると危うくなるから近づかない、 たぶん20位前半の私だったら、 はあ?!怒とかなってそうです。苦笑 それが今では、 そーゆーときもあるよなあ、と思ってしまいます。苦笑 寄る辺ないさみしさとか。 分かり合えない絶望感とか。 自己嫌悪とか。 だけど、本作はそこから何かをつかもうとしたり、 もがいている人たちが出てくるから良い。 読み終わった後に見る、 表紙の何とも言えない空の色がとても良い。 次に瞳や千尋、藍に出会うときは、私自身も一歩でも先を進んでいたい。 ひとりぼっちのクリスマスに読めて良かった一冊です。

    7
    投稿日: 2021.12.26