
総合評価
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powered by ブクログ傑作です。もう本当に一気に読んでしまった。 主人公が最後どんな運命を辿るんだろうと読み進めていき、最後に待っていたのは衝撃と絶望でした。 主人公以外の心理描写がひっとつも無くて、700ページ近く誰も信じられないハラハラが続きます。それがこういう詐欺という綱渡りのストーリーだからこそ輝くと思う。 欺す相手も富裕層だからそこだけは救い。 自分は肝っ玉が小さく成り上がる人間ではないなと痛感した。 月村了衛さんはすごい作家さんだと思いました。
17投稿日: 2025.11.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白い 詐欺の手口てこういう感じなのか~すごいなこれは騙されちゃうな 主人公の不安定な線引き、読んでてこっちもちょっと理屈通らんな~と思うほど ほんとに嫌々やってるのか?思う間に足を洗うことなどできなくなってゆく かっこいいぞ進め!て気持ちと見てられないようもう解放してくれよ~て気持ちが一緒にある ラストもこの感情のまま、ただ呆然(ほめてる)
0投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ冒頭の10ページで、マスコミが生中継した自宅マンションでの豊田商事会長が刺殺される生々しいテレビ画面が思い出された。あれからもう40年も経ったのかと感慨深い。アラコキの年齢になると、歴史が単なる歴史でなく残像が記憶に残っていて、ストーリーがより近しくなるのは嬉しいが反面耽溺する怖れがある。主人公の隠岐は、その豊田商事をモデルにした横田商事で営業をしていた。彼はかつての同僚の因幡に似たような〈詐欺ビジネス〉を再興しようと持ち掛けられる。隠岐は真っ当な営業務で家族を養っていたが、昔のように手腕をふるえず思うような営業成績を残せていなかった。因幡に半ば脅されたような形でしぶしぶ会社を起ち上げる。そのやり口は合法スレスレとはいえ詐欺まがいな手口で膨大な利益を生んでゆき、一定期間を過ぎるとばれないうちに会社を畳み次々と新会社を作っていく商法だった。表で当初はまともな会社を作っていた隠岐に、微妙な変化が見えて来る。タイトルにある「衆生」だろうか。命ある生きとし生けるもの、一切の生物、人類が逃れられない金への執着と騙す快感が隠岐をそそのかす。公共施設で働く職員をも巻き込んでやる悪どい手口や巧妙さにあきれ果て、胸糞が悪くなり、途中で何回か止めかけた。しかし月村さんの手中にまんまと嵌まってしまい最後まで読み終えた。隠岐の行く末を案じ最後を見届けたい気持ちが勝った。月村さんという小説家の優れた技量に乗せられてしまったのだ。ラストで隠岐は自分で手にかけたはずの因幡の名前を明瞭に思い出せない。記憶を消すことで、人として踏み外してしまった痛みから免れる方法だったのだろう。読了できた達成感は得られず、テレビでニュースなどを聞くと薄ら寒くなり人間不信に陥りかけた。 財界や公人を巻き込み、挙句の果てにはやくざの手に委ねて始末するなど、砂州のキャラは『虚の伽藍』で展開された既視感を拭えないのは惜しい。隠岐が早い段階で妻に本心を打ち明けていたら違う展開になったのではと悔やまれる。2人の娘も異なった人生を歩んだだろう。月村さんの著作は4冊しか読んでいないが、女性に手厳しいような気もする。ただ、隠岐が横田商事で餌食にした弱い立場の高齢者には決して手を出さないという強い信念は買った。 次はちゃきちゃきの陽気な本を選ぼう!
16投稿日: 2025.09.09
powered by ブクログ面白かった!生活のために詐欺をする主人公が気づいたら遠くへ来ていた話で、プロットも展開もわかりやすくて臨場感がある。 これ読むと自分の仕事がいかに適当か思い知らされますね。勉強になります。 最後の終わり方もさすが。2人の娘たちのその後が非常に気になります。
1投稿日: 2025.08.06
powered by ブクログ詐欺から足を洗いたいと願いながら、気がつけばかつて所属した詐欺集団と同じ末路に向かう主人公が滑稽で哀れ。しかも誰よりも詐欺の才能を開花させるのが皮肉である。 終盤の、ヤクザですら引くほどの風格をまとった主人公がかっこよくも恐ろしい。 しかしながら主人公の周りの人物がことごとく胡散臭く、かつ家族仲も悪いため、読者としては緊張が解けることなく、少々疲れる。
3投稿日: 2025.07.23
powered by ブクログスゴい本でした。720ページも一気に読まされました。放心に近い読後感です。地味に生きたい男がズルズルと悪の道に引きずり込まれながら、次々と現れる厄介な連中を闇に葬りながら、どんどん裏の道でのしあがって行く。昭和の事件史を辿りながら、詐欺師たちが金に躍る。そして、一時の成功と引き換えに皆んな狂っていきます。 その遺伝子が次女にしっかり受け継がれていたくだりも背筋が凍ります。 最後の終わり方も良かった。 詐欺の勉強にもなりました。^_^ 月村了衛さんの他の作品も読んでみようと思いました!!
1投稿日: 2025.07.18
powered by ブクログ初めての月村了衛さん。 700p超とは思えないほど、次の展開が気になって読み進めてしまう作品だった。
0投稿日: 2025.05.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
実際の話は知らずに読みました。 最後まで面白く読めた! 終わり方がどうせなんか失敗して殺されちゃうんじゃないの?と思ったら続いていくエンドで嬉しかった。 どんどん悪の道でのし上がっていってほしい!!
0投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログ1985年今から40年前に起きた豊田商事会長刺殺事件。何も加工されずに放映されたニュースは高校生だった私はあまりにもセンセーショナルで先物取引というものになぜ多くの人が溺れてしまったのかその時は分からなかった。この豊田商事事件をモチーフにしたストーリーは当時を学ぶとともに月村了衛の描くテンポと臨場感にあふれるストーリーにひき込まれました。
2投稿日: 2025.04.27
powered by ブクログ序盤からどんな悪意に晒されるんだろうという不安がワクワクを上回ることがなく読み切ることができなかった。 良作な気もします。
1投稿日: 2025.04.22
powered by ブクログ機龍警察の月村了衛さんが描く、詐欺師の世界。豊田商事事件を出発点に、現実世界で起こった事件を織り交ぜながら、虚構のストーリーが進む。詐欺師の天性(?)を発揮してのし上がっていく主人公であるが、内面は家族の幸せのみを願っている。パートナーの裏切りやヤクザの脅しにも屈せず、次々と直面する困難を、むしろ大きな相手と仕掛けを実行して乗り切っていく。相手を騙すのが詐欺師だが、その前に、自分を騙すことができなければいけない。最後のセリフには、完全にそのことが実行できていて恐ろしい。
1投稿日: 2025.03.09
powered by ブクログバカおもろかった。 読みやすいけどチープではないし、テンポがよくてダレないし。 自分に刺さる面白い本って最初っからおもろいんだよな。
2投稿日: 2025.02.15
powered by ブクログ欺し欺される緊張感、隠岐のビジネスマンとしての姿勢、裏社会の恐ろしさがリアルに感じられるおもしろい作品。 きっと自分の書いたシナリオ通りに商談が進み、大口案件が取れること、自分よりも経験もステータスもある人間を手中で転がすのって快感なんでしょうね、それでも地味〜に正しく生きていこう、今の自分の人生を肯定して生きていこうと思いました。
1投稿日: 2025.01.01
powered by ブクログはじめましての作家。700頁超えはどうかと思ったが一気に読了。次は直木賞候補作『虚の伽藍』を読ませていただきます。
0投稿日: 2024.12.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ひさしぶりに面白い話を読んだ。隠岐さんかわいそうになってきて、身を滅ぼすところまで見たくなかったからああいう終わりで良かった…。家族なんやねんまじ。誰の金でメシ食ってんねん。早くあんな家族捨ててくれって思った。 こういう話の中で893絡みの話になるの嫌いなんだけれど、その世界は少しだけ前より想像ついたりしてしまったり。 隠岐さんが再び詐欺をした瞬間の高揚感みたいなの、わからなくないな。わたしにとっては水商売がそうで。全く悪い仕事だとは思っていないけれど。嫌気がさして何度か足を洗ったのに気付けばまたあの世界にいる。今も辞めたのに心のどこかで未練があるのは認める。なんでなんだろう。
2投稿日: 2024.09.18
powered by ブクログ豊田商事をモチーフにした事件から始まり、その残党による壮大な詐欺物語が展開されてゆく。 主人公が詐欺師だけにやってることは全て悪なんだけど、当時の反省からお年寄りの虎の子の財産を騙し取ることだけはせず、手を変え品を変え欲に目が眩んだ金持ちや企業をターゲットにしているところが唯一の救いかな。 幾ら最初は慎重でも事が上手くいく度にどんどん感覚が麻痺してさいごは自滅するという教訓で救われるものの、どうせなら最も気味悪い聡美の始末を最後まで描いてくれても良かったのに。
1投稿日: 2024.09.15
powered by ブクログ月村了衛さん「欺す衆生」 第10回山田風太郎賞受賞作品。 前回読んだ「半暮刻」が自分にはいまいちだったのでこちらの作品も読んでみる事に。 物語は被害総額2000億円以上とも言われる悪徳企業「豊田商事」が仕掛けた巨額詐欺事件をベースとしたフィクション小説。この作品内では「横田商事」とされている。 実際に事件のあった1985年の会長の刺殺事件から物語はスタートする。そこから主人公隠岐をはじめ横田の残党が徐々に集結し実際の時事や事件などの時系列と平行しながら物語は進む。 元横田商事社員として世間の荒波の渦中にいた隠岐は同じく元横田の因幡に脅されるように一緒に悪事に手を染めていく。かつての横田で学んだ手口を使いながら、しかし見境はしっかりつけターゲットはあくまでも富裕層や成功者であり法に違反しないグレーゾーンではたらく詐欺に徹する。 原野商法、和牛商法、株式交換、投資ファンドと順を追ってビジネスを成功させては引き際でしっかりと身を引き、主人公の高い経営戦略とリスク回避が読み取れ面白かった。関わってくるヤクザ、政治家等の絡みもみなが個性的で最高だった。物語から伝わってくる緊張感が素晴らしく、スピード感もあり700頁越えの大作だったが分量が気にならない作品だった。 この作品の凄いと感じるのが家族の成長譚も絡んでいる所。主人公隠岐は家族の為にと横田に入り職を失い、そして家族のためにと詐欺に手を染め、仲間に裏切られ殺人にも関与しながら金銭面で家族の暮らしを充実させていく。しかし充実していけばいくほど本人の望む家庭愛は得られず逆に荒んでいってしまう。 こういうお金や仕事っていうものは家族のバランスと密接に関係しているものなのかもしれないなと感じながら読んでいた。 終盤その家族が結婚詐欺に巻き込まれ、平行して別々に進んでいたビジネスと家族の話が遂に道を重ねてしまう。構成と展開が最高すぎる。 最後も秀逸で裏切り見切り殺人にも手を染めながらも自分で自分を欺し続けてきた隠岐はかつての因幡がそうだったかのような台詞を吐く。限界を超えてしまったのであろう、彼の最期は書かれてはいないが予想がついてしまう。そこまで描かないのも作者の力量かと思わされた。
84投稿日: 2024.08.07
powered by ブクログ当時、最大の被害総額と言われた豊田商事事件をモチーフにした人を欺くことから逃れられない男達の物語。 様々な困難のたびに覚醒していく主人公のギリギリのところでの駆け引きが面白い。 読んでいて色々思い出す過去の詐欺事件なども上手く盛り込まれスリル満点の一冊です
15投稿日: 2023.12.25
powered by ブクログこの人の文章も物語の展開、ペース、何もかも自分にフィットしてとても楽しく読めた。昭和最大の詐欺事件を基に、うだつの上がらない平社員隠岐が原野、和牛、証券など色んな詐欺に手を染め、闇社会を生き抜いて稀代の詐欺師になる話。規模が大きくなってとてもおもしろかった。
4投稿日: 2023.11.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ビジネスのアイデアは因幡ばかりが考えてるし、 かといって一線をこえてはいけないという綺麗事をいうし、 主人公の隠岐があまり好きになれなかった。 そんな関係なら離婚したら?というほど妻子に疎まれているのがリアル‥。家族のために頑張るシーンが多々あったが、こんなに嫌われてたら弱みにはならないのでは…。 最後解説のところで、 横田商事事件が実際にあった話というのがいちばんゾクッとした。
1投稿日: 2023.10.30
powered by ブクログ過去、実際にあった豊田商事をもとにして 描かれたストーリー。 バブル崩壊後 人々の心に漬け込み 和牛、不動産、などなど 次々と詐欺を行う主人公に 次々と襲いかかる難題 あっという間に引き込まれて 読み終わってしまう一冊。 久しぶりにここまで引き込まれた
1投稿日: 2023.10.09
powered by ブクログ素直に話が面白かった。テンポ良く話がどんどん展開していき、そのスピード感と膨らみ自体が、主人公の生き方や内面を投影している感があり、引き込まれる。
1投稿日: 2023.08.12
powered by ブクログ詐欺商法で一世を風靡した横田商事の残党 隠岐隆が因幡充と原野商法で暴利をむさぼる前編では、詐欺の手口の解説のような部分が多く、楽しめた.難しい問題の処理に暴力団が絡んできて、隠岐の本領が発揮されるが、仕事以外に家族間の問題も発生し、隠岐が苦労する.ダミー会社を次々と作って金をうまく隠す手法には感心するが、最期は人との関係を如何にコントロールするかが、ビジネスの肝だと感じた.政治家の力を借りたり、広域暴力団を手玉に取ったり、隠岐の活躍が面白かった.リベリアまで手を伸ばす才覚は侮れないものだと感じた. 騙される人がいることは認識していたが、騙す側も苦労している実態が見えて楽しめた.
1投稿日: 2023.07.01
powered by ブクログ面白かった! 裏社会との関係が濃くなればなるほど、主人公が覚醒されてスケールが大きくなっていく。 続きが気になって結構分厚いけどスルスルと読めました。 最後の一文にぞくっとした。
1投稿日: 2023.05.28
powered by ブクログ最後までハラハラしどおしで、読んでて止まらなくなった。展開に無理があるなと思う箇所も沢山あるが、娯楽作品として面白い。
1投稿日: 2023.04.14
powered by ブクログ詐欺師の話。痛快な詐欺師の話とは違う。 追い詰められて陥る感じともちょっと違う。 詐欺を生活の一部として生きる人の話。
1投稿日: 2023.02.14
powered by ブクログ詐欺。 「詐」・・・つくりごとをいう。うそを言ってだます。 「欺」・・・うそをついて人を迷わす。 タイトルの通り、本作は「詐欺」がテーマの犯罪小説です。 私は堅気の仕事なので、新たな世界の物語。非常に興味深いです。 あらすじは以下の通り。ネタバレは含みません。 ----- 主人公の隠岐は、日本を騒がせた戦後最大の詐欺集団・横田商事に勤め、そしてその崩壊を目の当たりにしました。 もう今後は詐欺なんかしない、そう決意した隠岐は文具メーカーのしがないサラリーマンをしていました。 営業成績はイマイチで邪魔者扱い。 そんなときに声をかけてきたのが、元横田商事の因幡でした。 そう、再び詐欺の世界に誘い込まれたのでした。 最初に始めたのが原野商法。役所をも巻き込み、存在しない都市改革プロジェクトをネタに僻地を高く売りるのです。 詐欺のために大事なのは、人の背後にある企業ブランドや権威。 そして顧客への真摯な対応。 いい顔をしながら、徹底的に信じ込ませるのが常道のようです。 次第に儲かり始める2人。 その噂を聞きつけて入社したのが、元横田商事の面々であった…。 人を欺すためには、自分を騙す。 今を生きるためには手段を選ばない。 ヤクザやマフィアも絡み合う中、危険人物や危機的な状況をなんとか乗り切る隠岐。 果たして最後に欺されているのは…。
1投稿日: 2023.01.21
powered by ブクログ2022.12.03読了。 2022年、104冊目。 初めて読む作家さん。 1985年の豊田商事事件をモデルにした作品。 生き残るために他人を騙す人々。 最近、父がパソコン詐欺に遭ったこともあり「騙す」行為が身近に感じるようになった昨今です。 単行本で500ページ以上あるボリュームですが、すんなり読めました。 満足度4.5/5。
1投稿日: 2022.12.11
powered by ブクログ偏差値の低い私立高だった為か誰も居ない図書館に入り浸る日々を送っていた私に、司書さんが時間があるならこちらを読みなさいとお薦めした本がこの欺す衆生だった。 授業中の空いた時間にコツコツと読み進めていくが、話が後半にいくにつれて徐々に重くなっている為後半は家に持ち帰り一気に読み進めていくことにした。 隠岐の心境の変化、周りの人間の変化、そして隠岐の居る場所の変化。そこ迄に到達する迄に手に汗握る感覚がずっと存在する。そして一番凄いと思ったのが最後でスッキリ終われた事だ。多分個人差があると思うが私はスッキリ爽快に終わる事ができた。 作品を読み終わり、凄い作品を読んだぞと満足感のあるまま母に小説の説明をした所実際に似たような事件があった事が発覚し、満足感が一気に恐怖感に変わったのを覚えている。 似た事件が現実に起きている事を踏まえて読み返したくなり、司書さんに延長を駆け込み頼むと司書さんも実在の事件を知っていて気付いてくれて良かったと言ってくれたが私の心境はその様なものではなく恐怖に駆られている状態である。 此処で事件の名前を言っていいのかわからない為言わないが1985年の事件である事は私の為に残しておくが駄目だったら消させて欲しい。 最後に、小説というフィクション前提のものだと思っていたものがノンフィクションに擦り変わる恐怖をこれから読む人にも抱いて欲しい。無論この文を読んだ人が居たらこの恐怖は抱けない気もするがそれは良しとしよう。そして、この恐ろしい小説を笑顔で勧めてきた司書さんに私は絶大なる恐怖を抱く事だろう。
1投稿日: 2022.10.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
派手な描写は無いの息詰まる展開ややり取りが多く、思い切り惹き込まれた。読み終えて思わず大きく息を吐き出すくらいに構えて入り込んでいた。 80年代に実際に起きた詐欺事件がベースになっており、史実を踏まえながら物語が進んでいく。高給に釣られ詐欺企業と知りつつ横田商事に入社した隠岐が一度は正業に就きつつも、元横田の因幡に勧誘されまた詐欺の道を進んでいく。しかし、隠岐は詐欺の享楽や非人道的な考えはあまり無く、因幡は湧き上がる発想と詐欺行為に心酔していく。共にどちらも非常に人間臭く感じるため、だからこそビジネスが進むほどに不安定になる感情がリアリティを伴う。自身を過信して自我崩壊のようになる因幡、目的を誤らず分をわきまえ冷酷になっていく隠岐。日本のヤクザやチャイニーズ・マフィアなども絡んできて恐いことが沢山起こるが、成り上がっていく隠岐が恐ろしすぎる。
3投稿日: 2022.08.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
前半部分が圧倒的に重い。 まっとうに生きようとするが、最低限の生活ですら徐々に手詰まっていく救いのない展開に読む手が進まない。 先が思いやられたが、中盤からはスリリングなコンゲームがテンポ良く進んでいく。 因幡、隠岐、蒲生の三者が手を組みながら、詐欺という舞台の上で、お互いを蹴落とす隙を狙っている。 主人公の隠岐は常に脱落候補筆頭なのにも関わらず、中盤から終盤にかけて覚醒していく。 騙し騙されのコンゲームの先に待っている未来なんて碌なものじゃないだろうと思わせられたが、結末は意外な形でここでも作者に躱わされた気がした。 気になった点: 主人公の隠岐、詐欺に手を染めるまではうだつが上がらない底辺サラリーマン。得意不得意があるにしても、詐欺のビジネスで覚醒する様を見ると、その片鱗くらいは前半に見えても良かったのでは。 そして全く家族から相手にされずATMとしか見なされていないにも関わらず、家族を脅しの材料に使われると簡単に屈してしまう点も、説得力にかける気がした。現実はそんなものかもしれないが、ひとつくらい、家族との絆を捨てきれないでいるエピソードがあると読み手としても没入感が増したのではないかと感じた。
1投稿日: 2022.07.13
powered by ブクログ豊田商事事件に始まり、東芝の米国ウエスチングハウス買収による巨額損失まで、昭和から平成の詐欺事件をモチーフにした犯罪巨編。ピカレスク・ロマンと呼ぶにはあまりに地味な作風ではあるけれど、作品から放たれる緊迫感にグングン惹き込まれて、本編725頁をほぼ一気読み。所謂ご都合主義的な展開もあれど、慎重派な隠岐が裏社会を紙一重のところでサヴァイヴしていく様子は過去作の「東京輪舞」と異なり、爽快感すら覚える。然しながら、家族の為という大義名分が形骸化する皮肉なラストシーンにはその欠片も残らない。毒を食らわば皿まで―。
1投稿日: 2022.06.13
powered by ブクログ詐欺に引っかかる描写に引き込まれた 反社との繋がりにずるずるとハマって いく様や、隠岐の吊り橋を渡るような 生き様にすっかりハマってしまった。
0投稿日: 2022.06.11
powered by ブクログ700ページを超えるが一気読みできる。 主人公は詐欺師でクズだが、読み進めるうちに感情移入していく。
2投稿日: 2022.05.14
powered by ブクログ豊田商事事件のモチーフに端を発しての、組織的詐欺事業に手を染める一人の男の物語。人の欲望の醜さを暴くものかと思いきや。 なんていうか、とにかく自己本位で優柔不断な主人公の隠岐がどうしても好きになれず、にも関わらず周囲から一目置かれているような状況が腑に落ちず、読んでる間中まったく興味が持てずに感情移入もできずにずっとつまらなかった。詐欺の顛末もヤクザとの駆け引きも陳腐だった。 因幡のキャラは面白かったけれど使い捨てでがっかり。ヤクザの蒲生もまったく魅力がなく、聡美にいたってはあまりに漫画チックでドロンジョ様かと思っちゃった。 唯一共感できたのは、家庭内での父親の無力さだけだったな。
2投稿日: 2022.05.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
山風賞受賞作品ってことで。機龍警察シリーズの信頼感もあったし。で、本作。テンポよく読まされる展開は相変わらずで、安心して読み進められる。でも前半、何だか登場人物のいちいちが空虚に思えて仕方なく、面白くて頁を繰る手は止まらないんだけど、いまひとつ乗り切れなくて…みたいな、もどかしい感じが続く。でも折り返しあたりで、視点人物が相棒を殺ってから以降、人物像の薄さはだいぶ気にならなくなる。よかった、よかった…と思いきや、終盤になってまた、悪女が再登場し、それと共に像の薄さも復活。これ、この女の描写が浅いのが一番の問題だな、とどのつまりが。なぜこんな風になったのか、どうやって過去の悪事を成し遂げたのか、相当のワルたちを相手にどう立ち回ったのか、どれひとつ全然見えてこん。畢竟、なぜここまでバケモノじみた凄まじさを発揮出来るのか、まるで理解できん。この人がいなければ、もしくはもっと有効に描かれていれば、ただ面白い!と思える作品だったのに。
0投稿日: 2022.04.22
powered by ブクログ天才詐欺師の物語。ギリギリに生きていながら、死なない。生き残る。原野商法に始まって、和牛商法、海外ファンド、最後は東芝の原発企業の買収。世の中の読み方が素晴らしくキレている。 面白い。
3投稿日: 2022.03.21
powered by ブクログ月村了衛『欺す衆生』新潮文庫。 1980年代に起きた豊田商事事件をベースに描かれる山田風太郎賞受賞の詐欺犯罪小説。 原野商法、和牛商法、株式投資詐欺、海外ファンド詐欺とあの手この手で人を騙し、大切な資産を奪おうとする奴ら。黒い金が集まる所に砂糖に群がる蟻の如く引き寄せられて来る悪い奴ら。裏切りと企み、成功と失敗。詐欺という犯罪を非常にスリリングに描いており、面白い。特に終盤の展開は読み応えがある。 金のためなら仲間の命までも差し出すヤクザよりも怖い、血も涙も無い生まれついての詐欺師たち。 タイトルの『欺す衆生』とは聞き慣れない言葉だ。調べてみたら『欺す』は「あざむく。真実でないことを嘘をついて真実だと思わせる。」ことで、『衆生』とは「一切の生きとし生けるもののこと。基本的には迷いの世界にある生類を指す……」とある。つまりタイトルの意味は「人に嘘をついて欺き、人を騙す奴ら」ということか。 戦後最大の詐欺事件を起こした横田商事で営業を担当していた入社5ヶ月の隠岐隆は会長が目の前で刺殺される瞬間を目撃する。それを切っ掛けに破綻した横田商事。隠岐は横田商事の元社員であることを隠し、何とか文具会社の営業社員となる。 妻の親族に騙されて作った借金もあり、妻と2人の娘との苦しい生活が続く隠岐に横田商事の元社員の因幡充が近付き、自ら立ち上げた詐欺会社に勧誘する。当初は詐欺という犯罪行為に抵抗を感じていた隠岐だったが、次第にその才能を開花させていく。 原野商法が一段落し、次の詐欺に手を染めようとする因幡は横田商事の元幹部の肥崎、鎌井を仲間に引き込む。さらには2人の成功を嗅ぎつけ、経済ヤクザの蒲生までもが近付いて来る。 豊田商事の会長刺殺事件の瞬間はテレビでも映像が流れ、写真週刊誌にも画像か掲載されるなど当時は衝撃的な事件だった。実体経済とはかけ離れたバブルに浮かれ、投資ブームに便乗した詐欺犯罪は時代と共に変化していくが、結局のところ被害者となるのはある程度の蓄えがある普通の高齢者が多いようだ。 本体価格1,050円 ★★★★★
16投稿日: 2022.03.02
