残酷な宿命を背負ってでも健気に生き続ける主人公たちのハッピーエンドなラストは良かったけど、壮大な設定で始まるSF作品にありがちな、とにかく何らかの形で収束させなくてはいけない、みたいな作者のプレッシャーを感じさせるような展開だった。 １巻を読んだ時は「こんなすごい作品が！」とワクワクしたのに、読了する頃に胃もたれがしたのは主要キャラたちが「被害者・サバイバー（正しい側の人）」か「加害者・永遠に贖罪し続けなければならない者」という二項対立で最後まで描かれているように感じたからだろうか。

SF要素があるのにとてもリアルだった。 地獄の中でも彼女たちは連帯し、自分の人生を生きようともがいている。 女性差別、性加害、なかなか変わらない法制度… 私たちの怒りを肯定してくれる作品だ。

自分の生き方を選ぶことができ、誰もが権利を自分のものとして享受できる世の中であるべきで、逆に言えばどんな人であっても他人のそれを決して侵害してはならない。自分とは何か、ジェンダーとは何かを、先の読めない展開ともに描く良作だった。

面白かったので4巻で終わってしまったのが残念です。今とっても自由な世界で生きているんだということ、なんでもない日常をもっと楽しめるのでは？なんてこと思うことができました。