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青少年のための小説入門
青少年のための小説入門
久保寺健彦/集英社
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総合評価

10件)
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    中学の入江一真は、不良の同級生に強制され、ヤクザのいる駄菓子屋で万引を命じられ、田口登に捕まる。やくざ者の田口は一真から事情を聞き、一真に命じたのは、本の朗読をすることだった。実は田口はディスレクシアで、文字の読み書きができない。しかし、幼少時から物語や小説が好きで、祖母から読み聞かせで一度聞くと、話を完全に覚えつぃ舞うほどだった。そして田口から一真へ提案される。「小説を書かないか?」 すごい。550ページで文字もさほど大きい文庫ではないが、一気に読んでしまった。導入から出会いまでの50ページは、言ってしまえばベタなんだが、そこだけで、この本は面白いぞという雰囲気を感じ、読みすすめるごとにそれは間違いないと思わせる作品だ。 『坊っちゃん』からスタートし、『バブリング創世記』で爆発する。田口の卓越したストーリー解釈能力で、古典からエンターテインメントまでを朗読し、分解して再構築して新しい話を作っていく。しかし、文字化する一真の能力が追いついていかないため、試行錯誤して、という、他の分野でもちょくちょく見た話ではある。 ただ、他作では、少し前に読んだ本なんかでは、無鉄砲な教師くらいだったが、本作はアウトローに完全に振り切っており、そこが良いところだろう。 また、視点が一真に統一されていて、小説を書き始めてみたら、どこまで書いてよいのか悩むとか、登場人物が独り歩きをはじめるなど、書いたことのある人には納得できるないようなのも良かった。 読んでいる本が、古典を除くと筒井康隆に偏っているところは若干気になったが、ワタクシも浪人時代に筒井康隆の刊行されている本の9割を集めたことがあるので、わからぬではなかった。ただ、小松左京や江戸川乱歩は出てこないのな。 また、表紙は、中身を読んだときに感じたビジュアルとぜんぜん違うな。そういう話もちゃんと出てきます。「登場人物の顔が想像できない」という話、よく感じるので。ワタシのレビューと同じところを突いてきます。 タイトルは確か内容を表していて、読み終わるとわかるのだが、最初に手に取りにくいかもな。でもこれは、良い本だ。おそらく2024年で個人ベスト。

    0
    投稿日: 2024.09.19
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    ☆4.5 ディスレクシアの不良青年と、受験失敗して余計に弱気になった少年の二人が、一緒に小説をつくりデビューを目指す青春小説。 青春のヴィヴィッドな瞬間と、青年が属する暴力的な世界がある。 こんなに熱と力のある作品はなかなか出会えない。 ただ口だけで作家になりたいと言っているだけではない二人。 はじめこそ強引さと戸惑いしかなかったはずだけど、すぐに同じ熱量を持つコンビになり、わかり合える相棒となった。 二人の研究の姿勢がとにかくすごい。 本当に作家になりたい人の小説家入門としても優秀だし、読みたい人のガイドブックとしても最高で、たくさん出てきた作品たちのことも読みたくなった。 二人が目指したデビューと作家としてのその先を、私も夢中になって追いかけた。

    0
    投稿日: 2024.07.02
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    ディスレクシアのヤンキーと中学受験に失敗した少年がコンビで小説家を目指すお話 公式のあらすじは以下の通り ----------------------- 「すげえの書いて、デビューしようぜ」 落ちこぼれヤンキーといじめられっ子中学生が、小説界に殴り込み! ? 小説家を目指すデコボココンビの奮闘を描く、渾身の青春長編小説。 小説家となった入江一真(かずま)のもとに、一枚の葉書が届く。とぎれとぎれの字で「インチキじゃなかったぜ」とだけ書かれたその手紙は、もう20年ほど会っていない「元相棒」から送られてきたものだった――。 1982年4月、中学2年だった一真は、万引きを強要された現場で、ヤンキーの登(のぼる)と出会う。 登は、いじめをやめさせる代わりに、「小説の朗読をして欲しい」と、一風変わった提案を一真に持ちかける。 実は登には「小説を書きたい」という野望があった。 ところが、登は幼いころから自由に読み書きができなかった。 しかし、登には一度聞いた物語は一言一句忘れない特技があり、頭の中に湧き出すストーリーを生かして作家になることを目指していた。そこで、一真に小説を朗読させてコンビで作家になることを目指そうとしたのだ。 はじめは嫌々だった一真だが、たくさんの小説をふたりで読むうちに、「面白い小説を創る」という想いが加速していく。しかし、次々に壁がふたりの前に立ちはだかり……。 熱い友情と挫折を描く、渾身の青春物語。書き下ろし。 ----------------------- ディスレクシア(識字障害)だけれども、物語の創作能力、特に換骨奪胎して新たな物語を作る事に長けた田口登 有名私立中学の受験に失敗し、公立の中学に通っているが不良にからまれいじめられている入江一真 駄菓子屋での万引きをきっかけに出会い、朗読、分析、そして共同での創作活動へ 表紙の絵が「バクマン。」作画の小畑健だけあって、この作品自体がバクマンの換骨奪胎なのでは?とも思える 近しい存在のヒロインも出てくるし でもそれだと元の作品がわかり易すぎるかな 冒頭のカセットテープの描写で、桜のマークから、登がどんな状態でそれを手にしたのかが推測できるようになっている 二度目のデビューをした一真とは連絡を取っていなかった事から、それが何時どんな形で訪れるかを考えながら読み進める事になる 登の名作に対する疑問や指摘、感想が独特だけど妙に的を射ていて面白い 田中康夫「なんとなく、クリスタル」は「クソつまんねえぞ、あんな本」 筒井康隆「バブリング創世記」は「いかれてんじゃねえか、康隆」 谷崎潤一郎の細雪に関しては、下痢エンドの筋金入りの変態 「なんとなく、クリスタル」は、新しいものに囲まれて自分も最先端の人間のように思っている若者の浅薄さを表現しているのだろうし 筒井康隆はイカれてるし 谷崎潤一郎は変態なのはその通りですよねー 二人がやった文章力向上のための「再現クイズ」 有名作品の一部の概要から、自分の言葉で綴って類似度を比較するというおの 何をどのように表現するのかや、文章のリズムなど、その作家性の理解にはものすごく良いと思う でも、もの凄くハードルが高いとも思う 二人による、つまらない小説の共通点 ・ストーリーが破綻している ・あざとい ・キャラクターに魅力がない ・新鮮味がない ある程度の同意はできるけど 名作と呼ばれる作品の中にもストーリーが破綻しているものも、後の定番となるようなオーソドックスなあざとさのある作品はあるけどね まぁ、この辺は二人の好みの問題なんでしょうねぇ そんな二人 倉田健人の周囲の人達 編集者として対象的な存在な久間と二宮 作品の内容には一切口出ししない久間 自らが編集まで踏み込んで売上を作る二宮 ま、現実でも編集から作家になった人もいるので、二宮タイプの人も実在するんですよね どっちが良いとか悪いとかではなく、作家との相性の問題なのではなかろうか? 編集者の積極的なアイデア出しとディレクションが必要な作家さんもいれば、全て自分の中からひねり出したい人もいればではなかろうか ただ、会社として新人作家にやり方を押し付けるのはどうかと思うよ ところどころで交差するかすみちゃん コバルト文庫派ですか 新井素子さんが好きというのも時代を感じるなぁ 一人称視点のポップでラフな文章というのは、当時としては新規性があったよねー 選考委員の筒井康隆と小松左京は難色を示し、星新一は評価したというエピソードも面白いんだけど、今作では言及されてないですね 二人の作品 「ふたりの季節」(「君といれば」原題「鼻くそ野郎」、「パパは透明人間」)」 「機械じかけのおれたち」 長編小説「神様がいた頃」は、連載の中断 どれも作中で概要しか説明されていないけど、実際にそんな小説があったら読みたいと思える内容ばかり 「神様がいた頃」が途中で迷走しだしたのは連載形式だったからだよあなー 最初から最後まで完成させてから分割するならともかく、連載の途中で初期のプロットから外れるのはリスキー でも、作家さんの登場人物が勝手に動くという感覚もわかるので、何とも言えないなぁ 連載でも大丈夫な作家さんと、書き下ろしが合っている作家さんっていると思う ラストは、冒頭のシーンに繋がるわけで これは倉田健人という共同覆面作家の始まりと終わりの物語であり、一真の作家としての始まりの物語でもあるのですね あと、ストーリーには関係ないけど、現代では違和感のある状況が多数 時代は「なんとなく、クリスタル」が発売された翌年から始まるので、80年代なので、その時代性を知らない人からしたら眉をひそめるかもしれない 未成年の飲酒や公共の場での喫煙など まぁ、その時代を描くというのも小説の醍醐味ですからねぇ

    3
    投稿日: 2023.10.18
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    面白かった。 一気読みできる作品だと思います。 ただ、私は一気読みするのが勿体なくてそうしなかったけど。

    0
    投稿日: 2023.06.10
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    面白い! 久しぶりの一気読みだった。2人の主人公の掛け合い、小説のお話しなど、ふんふんそうだなあーって思ったり。 本好きの人におすすめします♪

    0
    投稿日: 2023.04.26
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    良作でした。 また素敵な本に出会ってしまった。 ディスレクシア(学習障害の1つ)の不良・登といじめにあってる中学生・一真が出会い小説家を目指す物語。 発端は登が店番をする駄菓子屋「たぐち」で一真がいじめで万引きをさせられたこと。妙な縁で始まった2人の関係が、ともに小説を創りあげる過程で変化し友情が育まれてゆく。 2人が小説を書くための研究の様子はなかなか興味深い。 小説を生みだすために注ぐ熱量、友情、家族、恋、ままならない現実。すべてに心を動かされ夢中で読みました。 全編を通しておばあちゃんの登への深い愛情をひしひしと感じる。 エピローグを読んでしんみり…。 展開も人と人との関わりも、登場人物も味わい深かった。そして、素敵な作品を読み終えたあとの余韻が心地いい。 パッと見表紙は若者向けな印象ですが、内容はしっかりしていて大人の私も楽しめました。 あまり見かけない作品だけど、これは学校図書に入れて学生に読んでもらいたいなと思いました。

    4
    投稿日: 2023.02.13
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     ディスレクシアを主とした発達障害を持つ登をキーパーソンにして、内気で覇気の足りない秀才・一真に作家としての素養を(結果的に)養わせるという設定は斬新でおもしろい。  さらに「朗読」をうまく使ったのも気に入りました。結末もよかった。  しかし惜しむらくは、ストーリーを支える要素に無理筋と思えるものがいくつかあったことでした。  ファンタジーとして書かれているわけではないので、ある程度のリアリティは保って欲しかったと思います。   そこがどうにも気になったので☆を1つ減らしましたが、以後の作品にも十分期待をしています。

    0
    投稿日: 2021.12.02
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    面白かったけど期待し過ぎたのかな。 設定が極端だよね。 それを面白いと思うと面白いんだと思う。 自分には少し無理ですね。

    4
    投稿日: 2021.11.19
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    コレすごく面白いから、もっと多くの方に読まれてほしい本! 読み書きが不自由なディスレクシアのヤンキーと、いじめられっ子中学生がタッグを組み小説家を目指すストーリー。このちぐはぐ感がすごく良い。 作品の読みやすさ、ストーリーの面白さに引き込まれ、普段読書習慣のない方にも、読書の楽しさ、本の面白さを存分に味わってもらえる作品です。 次は作中に登場する、あの本やこの本も読んでみたいな、と次々本の扉が開くような、小説の面白さが存分に描かれた素敵な本! ほんと本っていいよね〜⸜❤︎ᵕ̈*⸝‍

    9
    投稿日: 2021.10.18
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    中学生の一真は強制された万引きを見つかりそこで登と出会う。ディスレクシア(読み書きが難しい)という障害をもつ登と小説を書き始めた一真。ここからは一気読みの面白さ。アイデア、展開、文章と小説が出来上がっていく過程にワクワクする。実際にある小説の引用がたくさんあり、その考察やそこから二人で膨らましていく作業など興味深いものがたくさん。小説の持ってる可能性とか現実とか色んな角度から読めて面白かった。

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    投稿日: 2021.09.09