
アジアのある場所
下川裕治/光文社
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総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
近頃はジャーナリストだとか新聞記者だとかで映画やドラマに取り上げられたりしているけれど、昭和の時代までは羽織ゴロとかブン屋とか呼び捨てられていたものだ。かっては新聞記者であったがタイに魅せられ長く滞在し、日本でタイ人のコミュニティに溶け込みなにかと頼りにされるまでになった作者は食い扶持を稼ぐためにスクープ・ネタを週刊誌やテレビ局に売り、結果的に権力の介入を招きリトルバンコクを潰すに至る。情報源になった数人を警察から匿うことで自らの良心を慰めたかのように臆面もなく語っているのは元ブン屋の居直りか「矜持」なのか……。ともあれ、アジアの国々の民主化運動の場に好んで身を置きながら作家が語る民族運動や政治家達についての講釈は日頃上っ面なニュースでしか知る術のない読者の見識を深めてくれる。日本の政治情勢についても一家言を持っている点は疑いようもないが、ここで言うことではないと心得てるあたりは今どきの浅薄なジャーナリストではないということだろうか。
0投稿日: 2022.02.22
