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荒涼館 四
荒涼館 四
ディケンズ、佐々木徹/岩波書店
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総合評価

5件)
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    村上春樹の短篇集『東京奇譚集』の中の『偶然の旅人』の中に、この作品が印象的に登場する。ディケンズは『二都物語』しか読んだことがなく、何となく心に引っ掛かっていたので手に取った。(第一巻感想冒頭再録) 文庫本分厚目で四冊。途中違う本も読んだので、2ヶ月掛けて読んだ。 いろんな人が出てきて、行動の真意が後で分かったりするので、評価も途中で変わったが、読み終わってからいいひと順に並べるとこんな感じか 男性: アラン・ウッドコート、ジョン・ジャーンダイス、ジョージ・ラウンスウェル、マシュー・バグネット、ロレンス・ボイソーン、プリンス・ダーヴィドロップ、コウヴィンシズ、だいぶ空いて タルキングホーン、ハロルド・スキンポール、スモールウィード、ウィリアム・ガッピー、リチャード・カーストン(どんなに男前でも、誰にも幸せを与えられない拗れたやつ) 女性: エスター・サマソン、チャーリー(コウヴィンシズの娘)、オノリア・デッドロック、エイダ・クレア、キャディー、ジェニー(煉瓦職人の妻)、ジェリビー夫人(アフリカ慈善家)、レイチェル夫人(チャドバンド夫人)、バーバリー、スナグズビー夫人、オルタンス 物語の最初から最後まで登場する「ジャーンダイス対ジャーンダイス訴訟」は、結局訴訟対象の資産全額が訴訟費用として食い潰されて、訴えの利益が消滅したが故に結審する。ゲームの設計が悪いと(弁護士以外)誰も得をしない、という意味で大変興味深かった。行動経済学の「20ドル札オークション実験」を思い出した。紛争解決手段としては、和解が一番高等だ、ということだろう。 ジョン・ジャーンダイスが最後にエスターとの婚約を破棄する場面での、「荒涼館の女主人になって欲しい」という自分のプロポーズの際の約束を守る形で、ウッドコートに花嫁と新居(第二の荒涼館)をプレゼントし自分は身を引く、という振る舞いはとてもスマートだった。

    36
    投稿日: 2025.10.25
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    登場人物1人づつのエピソードが濃厚で読み応えがあります。人物の数が多く話も複雑なので一気読みをお勧めします。

    6
    投稿日: 2025.03.07
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    エスターと長らく一緒にいたので、終わってしまうのがなんだかさみしい。荒涼館、時々戻ってきたい物語です。

    1
    投稿日: 2022.10.29
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    常に階級を意識させる物語 ストーリーは面白いし推理もある 人物は饒舌で回りくどい、が著者の皮肉も楽しめる 当時の寄る辺を失った子どもの過酷な境遇に慄然とする ヒロイン、エスターの出来すぎの人柄に戸惑う シャーロット ブロンテがエスターの語りが戯画的と評したのも頷ける。実際的な人物によって謎は解決され収まるところに収まる、100年以上前の小説。

    1
    投稿日: 2021.03.15
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    岩波文庫版の『荒涼館』全4巻が完結。 ちくま文庫版でも読んだので再読になるが、何となく岩波文庫版の方が読みやすかったような……? 波瀾万丈だが最後はハッピーエンドという王道のストーリーだが、矢張り当時の人気作家だけあって盛り上げ方が上手い。岩波文庫版には連載時の切れ目が『*』で知るされているのだが、良い感じのところで毎回『続く』になっている。この辺りは今も昔も変わらないのだなぁ……。

    1
    投稿日: 2017.12.23