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猫の街から世界を夢見る
猫の街から世界を夢見る
キジ・ジョンスン、三角和代/東京創元社
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総合評価

9件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ラブクラフトの長篇「未知なるカダスに夢を求めて」の舞台である架空世界ドリームランドを巡る冒険譚。本来なら「未知なる─」を読んでから読みたいところではあるが、時間が無いのでそこは断念。面白くないわけではないが物語が何となく坦々と進む印象で残念。最後、主人公がこちらの世界に来てからの方が新鮮で、このパートをもっと伸ばして盛り上げた方が良かったのではないかな? とは言っても中編で手頃なこともあり、クトゥルー神話勢は読んでおくべし。

    0
    投稿日: 2024.12.25
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    わたしには読み進めにくい本だった。 なんで猫なんだろう?猫の街ってなんだったんだろう? 主人公の感情があまりにも淡々としすぎていて、わかりにくい。 ただ、夢の世界でも女性は劣っているみたいだ。 男も女も人間であって、優劣はつけられない。男女という性別ではなく、個人において得意不得意があるにすぎないと思っている。たぶんこの本はそんなことを言ってるわけじゃないと思う。 劣勢であっても自分の道は自分の力で切り拓くことを言ってるようにも思えたけど、違うかな。

    0
    投稿日: 2022.09.01
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    私には読み進みにくかった。 主人公の冷静さが、物語を淡々とさせている。 かっこよさはあるが、心情に波がない。 不思議な世界観。ファンタジーではあるが…。

    4
    投稿日: 2022.07.23
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    ラヴクラフトの描いたドリームランドのダークファンタジーな世界観が好きだ。本作はそれと同一舞台ということで手に取った。 「未知なるカダスを夢に求めて」を先に読んでいるとあの場所だ! と思うシーンが多く出てくるため、それらの情景を老齢の女性主人公の視点で共に冒険してより一層楽しめる。 ただこの作品は、作者が謝辞で指摘する通りラヴクラフトが描かなかった女性の物語である。そのためにウルタールに科学系の学問を教える女子カレッジが存在していたり、電池式の懐中電灯が存在していたりと、時代を考えればラヴクラフトのそれよりはるかに先進的な印象だ。ラヴクラフトの描いた古風で不便だが科学や法則に囚われない夢の国を期待して読むと肩透かしかもしれない。幻想の世界での厳しい現実を突きつけられる。 個人的な解釈としては夢の中にリアリティを求めた結果生まれたのが「夢の国」というわけではないため、ここまで克明に描くとラヴクラフトの描いた世界と視点が違うというレベルではなく、別物だと感じてしまった。アウトラインが都合よく暈けているほうが夢らしいのではないだろうか。これが全く違う世界として描かれていたのであれば素直に飲み込めたのだろうと思う。 このように書きはしたが、作品から一貫して訴えたいテーマを感じられるので、そこは一読と考察の余地があると思う。 神々の存在による抑圧、女性を自身の物語の添え物とする男性、女性の社会的立場・展望。 良くも悪くも現代的な作品であり、ラヴクラフトの時代に生まれることはなかった作品だと思う。彼の作品へのアンチテーゼとして創作された部分には強いメッセージ性とそれを補足するストーリーが丁寧に盛り込まれている。

    0
    投稿日: 2022.06.27
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    クトゥルフ神話テイストの異世界旅行記か? と思いきや…… 現代にトリップしたりして、 タイトルの「猫の街から世界を夢見る」にぴったりな物語でした。 ポツンと出てきたロビンソン・クルーソーが意味ありげで、個人的にはとても気になりました。 ロビンソンは、最終的には元の世界に帰りました。 では、主人公はどうなるのか? と勝手に想像しながら読んでました。

    0
    投稿日: 2022.05.07
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    主人公の造形がとても良い。 経験豊かで知恵があり意志の力を持っていて、けれども決して強くも万能でもない、ちっぽけな一人の人間。社会的には弱者として扱われることも少なくはない、老いた女性。それでも彼女は決して無力な存在ではない。 これは誰でもない自分として世界を踏みしめるひとりと、そこに寄り添う何者かの物語。 夢見る人にも目覚める人にも、どうかその先の道が開かれんことを。 ひとりの教え子の出奔を機に、学園の存続のためという動機で始まった旅は、思わぬ理由で手段が変わり目的が変わり、壮大な冒険へと繋がっていく――という、子供の頃に読んだファンタジー小説のようなシナリオなのだけれど、主人公の属性の決定的な違いにより大人が読んで楽しめる内容になっている。 異なる世界のお話なのにこういうところは自分たちの生きる社会と変わらないんだなあ……とか、考えながら読んでしまう。もしこのお話を子供の頃に読んでいたら、全く異なる感想を抱いたのだろうな。 クトゥルフ神話、特にドリームランドや神話生物の知識があるとより理解が深まるお話のようだけど、そのあたりの知識がほぼなくても問題なく楽しめた。

    0
    投稿日: 2022.03.30
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    猫の街ウルタールの大学女子カレッジに、存亡に関わる一大危機がもちあがった。大学理事の娘で学生のクラリーが、“覚醒する世界”の男と駆け落ちしてしまったのだ。かつて“遠の旅人”であったカレッジの教授ヴェリットは、“覚醒する世界”に向かったクラリーを連れもどすため、“夢の国”をめぐる長い旅に出る。H・P・ラヴクラフトの作品に着想を得つつ自由に描く、世界幻想文学大賞受賞作。 設定がユニークなので期待したのだけれど、個人的には少し足りない気がした。冒険ファンタジーというより旅行記という感じ。 原題は『ThE DREAM-QUEST OF VELLITT BOE』。

    0
    投稿日: 2021.10.04
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    舞台になった夢の国。クトゥルー神話絡みでとにかく設定が幻想的。覚醒する世界に駆け落ちした女子学生を連れ戻すべく、旅に出たヴェリット・ボー老教授となぜか黒猫。この同行猫の存在感が猫好きにはたまらない。紀行文のように淡々とした描写で血生臭さは感じないが、場面を想像すると危険度高……。ボー教授(そして猫)の耐性力やら順応力やらに感服した。将来の可能性を仄めかせた終わり方で、その後の彼女らに期待が膨らむ。

    0
    投稿日: 2021.08.01
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    クトゥルフ神話は読もうとして断念した記憶があるのですが、このお話は好きだなぁ。主人公のやるべきことがしっかりしていて、感情的にぶれない感じが好き。猫も可愛いし。大事にしてくれる場所で落ち着くかと思えば、状況が変わった途端姿を現す感じもらしくて良いなぁ。 女性は夢を見ない世界ってのも面白いな。 そして世界を渡った後には、男よりも世界を取る辺りが非常に現実的。そこも流石女性って感じで良かったです。

    0
    投稿日: 2021.07.28