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総合評価

6件)
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    横溝唯一の家族小説。横溝らしい読者を飽きさせない話の運びでかなりのボリュームだが一気に読んでしまった。 とにかく有為子の周りの善良な人たちが気持ちの良い性格をしていて読んでいてストレスなく好ましい。過酷な運命に翻弄され周りの助けを貰うばかりの彼女が最期辛酸を舐めさせられた観月堂に金の用意をすると言った場面は彼女の成長が垣間見える良いシーン。(それも結局は自分の力ではどうにもできなかったが) 実行力と気持ちがまだまだ駆け離れた状態での終わりではあったが今後彼女は更に逞しく時代を駆け抜けていくのだろうという希望に満ちた終わりだった。

    0
    投稿日: 2025.11.03
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    嫁ぐ日の直前に、自らの出生の秘密が明らかになり、破談になった有爲子。 育ての親を失った彼女は、本当の父を探すため、長野県諏訪から単身上京します。 波乱の生涯の始まりです。 探偵小説を書くことを禁じられた戦時下に、横溝正史が新聞連載を続けた作品です。 その存在は知られていましたが、長い間発見されなかった本作が、80年を経てよみがえりました。 著者唯一の大河家族小説です。 横溝正史の作品はほとんど読んでいますが、この作品は知りませんでした。 推理小説とは違った味わいがあり、楽しめました。

    0
    投稿日: 2024.05.30
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     ビブリアで知って気になっていた本書。推理小説ではないが、先が気になって一気に読めた。序盤から婚約破棄された有為子の波瀾万丈の物語。次から次へと苦難の連続で有為子が不憫になるが、最後は気持ち良い大団円で終わってホッとする。戦時中に新聞連載されていたらしく、世相等を反映して展開を変更されているのに違和感もなく、さすがプロと唸らせられる。梨江夫人の変貌ぶりが物凄く、本当に同一人物かと疑うほど。  横溝正史ストップしていたが、やはり面白いので金田一や由利麟太郎シリーズ追いかけねば。

    1
    投稿日: 2023.01.10
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    『ビブリア古書堂』に登場して、興味を持って読んだ一冊。 横溝正史の幻の作品。金田一は、出てこない。タイトルの通り、長い苦悩の冬を越え、雪を割って幸せが出てくる話。

    1
    投稿日: 2021.11.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    こうなったらいいな、もしかしてこの2人は、と、読みながら沸き起こる疑問が、見事に予想通りの展開になるから、読んでいてストレスが少なかったです。もちろん、やきもきするような仕掛けもたくさんあって、久しぶりに読書の醍醐味を感じました。 登場人物みんなが魅力的。特に仁吾さんの描写はまるで金田一さんそのものなのに、全く違う人物で思わずニヤニヤしてしまった。 木の実さんと山崎先生の仲がどうなるかも楽しみ。 楓香先生の秘密はきっと…… 仁吾の魅力が途中で少し霞んだように感じるのは、思い入れ過剰だったかな?ういこちゃんに感情移入しすぎてしまったかも。 横溝先生の鬼気迫る、書くことへのエネルギーたるや。そして苦悩の大きさはこれ程までに人の輝きを曇らせるのだと気づき切なくなる。 りえこ夫人がどうなるか気掛かりでしたが、読み進むにつれ、人は成長し変化すると言う、作者の温かな眼差しを感じました。 読後、希望と言う芽吹きが感じられて、清々しい気持ちになれました。読んで良かったです

    1
    投稿日: 2021.10.11
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    先の大戦中に書かれ新潟の新聞に掲載された以外、書籍化されずに2006年に原稿が発見された。金田一耕助以前の作品らしく、探偵も出てこない女性を主人公にした通俗小説とされる。舞台は上諏訪、主人公の緒方有爲子と後に結婚する日本画家の賀川仁吾の波乱万丈の話。芯が通っているようでか弱さが見える有爲子、ちょっと弱気で優柔不断に感じる仁吾。仁吾の師匠の五味楓香夫妻やその娘の美奈子との壊れそうになる人間関係の中、最後には大団円の結末。楓香が謝罪に来た仁吾に諭す台詞(P372)に楓香の悔しい思いに涙出そうだった。

    2
    投稿日: 2021.08.23