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この地獄の片隅に パワードスーツSF傑作選
この地獄の片隅に パワードスーツSF傑作選
J・J・アダムズ、中原尚哉/東京創元社
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総合評価

11件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

    兵士が最前線の星でまとうパワードアーマーに深海用の人型作業ポッド、蒸気機関で動く鎧、天才科学者が決して脱がないアーマー等、映像作品でも人気のガジェットを扱った全12編。 日本オリジナルのアンソロジーかと勝手に思っていたら原書は2013年に刊行されており、その22編から12編をセレクト、邦訳したのが本書とのこと。表題作も原題の"Hell's Half-Acre(地獄の半エーカー)"を、数年前に話題になった某アニメ映画をもじってうまく邦題にしたな、という感じ。 作品に登場するパワードスーツの殆んどはAIとセットになっているのも時代を感じる。その用途は行動や操作の支援に補助、緊急時の応急処置、あるいは戦場で兵士を厳格に管理するものなどなど。中にはAI=アーマーが自我や意思を持つ作品もあったりで、となるといわゆるバディものになるかと思いきや、むしろ人間が装着する―アーマーの中に入ること―即ち一心同体になることから、何か性愛的、恋愛的な意味合いをも帯びてもいくようで(K.ロワチー「ノマド」やS,ウィリアムズ「N体問題」など)。 そんな中、オーストラリア開拓時代に登場した蒸気機関の鎧(D.D.レヴァイン「ケリー盗賊団の最期」)と、スペイン内戦に現れた小型のガンタンクよろしき人型戦車(C.ヴォーン「ドン・キホーテ」)の2編が毛色がやや違ってて面白い。結末はいたって対照的だが。 加藤直之氏による扉絵イラストが各作品の(メカの)イメージを掴みやすくさせる効果もあってさらに愉しめた。 蛇足だが、パワードスーツ(−アーマー)という言葉から想起する形態や世界観を、かつて30年前に一度だけ読んだ漫画に刷り込まれていたのを読了後に思い出した。で検索→うすね正俊氏の『COMBAT DOLL うすね正俊 Extra Works』(ビームコミックス)を購入(紙の本が低定価では入手できなかったため電子版にて)。

    1
    投稿日: 2025.04.25
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    J・J・アダムズ編纂というのがそもそものウリの短編集シリーズであるのに、訳者だったり(本書)作者だけ(「スタートボタンを押してください」)がクレジットされるのは当ブログの大いなる欠陥であるが、日本の読書界においてアンソロジストなるものが認知されてないという文化の欠落を物語る。

    0
    投稿日: 2022.10.16
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    昔から大好きな加藤直之氏のイラストに誘われて購入。パワードスーツがテーマのアンソロジーだ。様々なお話が収録されているが、あまりバラバラな感じはしないで、どの話も楽しく読めた。 特に「アーマーの恋の物語」が良かった。 シリーズ第二弾も希望!

    2
    投稿日: 2022.06.16
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    J・J・アダムズが編纂したパワードスーツSF短編のアンソロジー。 全12編のパワードスーツが出てくる短編集で、表紙だけでなく全編の扉絵にあのSFイラストレーターの大御所である加藤直之氏がイラストを描いているという豪華な本である。 正直、加藤直之氏の様々なパワードスーツのイラストが目当てだったので、小説の内容はさほど期待していなかったが、全12編のうち面白いと思ったのが幾つかあった。 「アーマーの恋の物語」 天才科学者であり富豪である男性とその命を狙う暗殺者の女性が繰りひろげる異色のラブストーリー。 「天国と地獄の星」 異星の敵対的なジャングルで基地建設作業に従事するパワードスーツを着用した主人公たちの体験する想像を絶する事件。 終わり方が、映画アバターを思い出させる。 「N体問題」 ワープゲート網の行き止まりの星で繰り広げられる物語。 装甲服のヒロインが出てくるが、それはあまり話の筋には関係ない。 ただ話のアイディアと落ちが面白かった。 加藤直之氏のイラストが好きな人ならば買いの一冊である。

    2
    投稿日: 2022.05.02
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    久しぶりのSFアンソロジーはパワードスーツ傑作選! パワードスーツと聞くと、「宇宙の戦士」や「終わりなき戦い」で登場する戦闘用アーマーを思い浮かべますが、本書で紹介されるパワードスーツは戦闘用に限りません。海洋探査用であったり、戦車のようなもの、外傷ポッドに宇宙服…とにかく広義に捉えた作品群はさまざまな物語を提供してくれて、おもしろく読み進めることができました。 戦闘用アーマーを取り扱う表題作に心躍ります。他にも戦闘に関連した作品が多かったりするのですが、パワードスーツ側の視点で描く「所有権の移転」であったり、破損した宇宙ステーションに取り残された猫を救う「猫のパジャマ」とかがいいスパイスとなって印象に残っています。

    1
    投稿日: 2022.04.01
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    久し振りに読みやすく分かりやすい内容で、面白く読めた。満足、満足。 ストレスフリーで読める本は、楽しい。

    1
    投稿日: 2022.01.08
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    ちょっとわかりにくいのもあったけれど概ね楽しめた。 SF作家はジャーナリストや発明家の良心を信じている人々。

    1
    投稿日: 2021.06.15
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    「パワードスーツ」というテーマからして、かなりコアなファン向けと思ったが、読んでみるとどれも楽しめる内容だった。初っ端の表題作「この地獄の片隅に」が恐ろしさを感じつつも1番この本にふさわしく大変面白かった。恋愛ものの「アーマーの恋の物語」や猫の救出劇を描く「猫のパジャマ」、不気味さを感じさせる「天国と地獄の星」も面白かった。原書の23編から12編を厳選したものなので、この本に入りきれなかった短編がどんな内容なのかが気になる。

    2
    投稿日: 2021.05.22
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    『この地獄の片隅に パワードスーツSF傑作選』読了。 アメリカで2012年に出たアンソロジーから12編を厳選して邦訳した一冊。 パワードスーツというテーマから王道的なハードな戦争・探検モノやスーツ自体が主人公という話あたりまでは想定できても、よもやロマンスに宇宙空間での猫ちゃん救出劇まで出して来るとは… いずれもアベレージ高く、そこも含めてパワードスーツ恐るべし。 個人的なベストは事故から一命を取り留めた代わりにパワードスーツ化されて未開惑星開拓に強制従事させられる主人公と、そこでの未知との遭遇を描く「天国と地獄の星」。

    2
    投稿日: 2021.04.14
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    テーマからしてミリタリーSFがメインになるのは解っちゃいたが、実際に読んで見ると、その体育会的汗臭さは予想以上で、ちょっと辟易。パワードスーツSFと呼ぶのはかなり苦しい「N体問題」「猫のパジャマ」なんてあたりが面白かった。

    1
    投稿日: 2021.04.08
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     パワードスーツ、強化服といえば、真先にハインラインの「宇宙の戦士」が思い浮かぶ。#日本SF読者クラブ  そのパワードスーツが登場する作品を集めた短編集。表題作は「宇宙の戦士」の流れを汲むミリタリーSFだが、ミリタリー色の強い作品ばかりではない。設定も未来や異星に限らず、19世紀のアメリカやスペイン内戦が舞台となっているものもある。テクノロジー的にも装甲や兵装の有無、AI、ハイテクから、内燃機関といったローテクまで様々あり。  その中でも、巻末に収められた「猫のパジャマ」は良い。巻頭の表題作との対比で、ほんのり感がたまらない。それから表題作は直訳すると、「地獄の半エーカー」となるが、和訳は有名なアニメ・コミックから来ているのだろうか。

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    投稿日: 2021.03.27