Reader Store
学校図書館の役割と使命 学校経営・学習指導にどう関わるか
学校図書館の役割と使命 学校経営・学習指導にどう関わるか
西巻 悦子/近代科学社Digital
作品詳細ページへ戻る

総合評価

1件)
5.0
1
0
0
0
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    1833 西巻悦子 1974年から2010年まで東京都立高等学校国語科教諭2003年 東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了 教育学修士2003年から司書教諭、2008年から主幹教諭を兼任2016年 筑波大学大学院図書館情報メディア研究科後期博士課程単位取得満期退学現 在 昭和女子大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師、秋草学園短期大学非常勤講師日本図書館情報学会日本学校図書館学会International Association of School Librarianship特定非営利活動法人 大学図書館支援機構『学校図書館の役割と使命』(近代科学社Digital,2021) 今や、長い時間をいかに生きるかということを、学校とは別の枠組みで学び続ける必要性が生じています。  しかし、学びの基礎が学校教育にあることは自明のことです。児童期や青年期に培った判断力や批判力は、長い生涯を自律的に生ききる力となります。 学校教育における読書は、生涯学習者育成の基礎となるものです。人類の知恵の集積である書物に親しむ態度を育成するには、それぞれの発達段階でその時期に適した指導を行い、学習者を訓練する必要があります。 2004年のInternational Standards(国際標準)では、情報リテラシーが備わっている人の要素として、次の6点を挙げています。 ①情報に対するニーズを認識し、必要とする情報の性質と範囲を決定できる。 ②効果的に、そして、能率的に必要な情報を見つけられる。 ③情報や情報探索過程を批判的に評価できる。 ④収集した情報や、自らの研究などから生み出された情報を管理できる。 ⑤より重要で新しい情報を適用して、新しい概念や新しい理解を生み出せる。 ⑥理解しながら情報を用い、情報を用いるということの周囲にある文化的・倫理的・経済的・社会的な問題を認識できる。 とあるように、学校長のリーダーシップのもと、司書教諭は教科横断的な学習が可能になるような方策を考えなければなりません。 子どもが生涯にわたって読書に親しみ、読書を楽しむ習慣を形成するために、学校においては、読書に親しむ機会の充実や子どもの発達段階に応じた本の紹介、子ども同士のブックトークやビブリオバトル(書評合戦)のような読書経験を共有する取り組みの導入等により、さまざまな本に触れる機会を提供することが必要です。 学童期は、生涯にわたる読書習慣を身に付けていくために、幅広く読書を楽しみながら、内容や要旨を捉えるといった基本的な「読む能力」を身に付けるとともに、読書を通して考えを広げたり深めたりしようとする態度を身に付けていくことが望まれます。そのためには、学校や家庭を中心として、「本を読んで面白かった」、「本が役に立った」という経験ができるように、子どもが本と出会い、本に親しみ、読む力を付けるような図書資料の選択と蔵書構築、それをもとに本を紹介し読書を勧めていく取り組みが必要です。 読書には、楽しむための読書だけではなく、必要な情報を読み取るための読書、さらには読み取った情報をもとに自分の考えを明確にしていくための読書など、さまざまな目的のものがあります。読書活動は本来読み手の個人的な活動であり、自主性や自発性を尊重することが重要です。しかし中学生期においては、子どもの興味や関心に応じた計画的・継続的な指導により、義務教育の最終段階として、日常生活における読書活動を、目的に応じて本や文章などを読み、知識を広げたり自分の考えを深めたりすることにつなげ、継続的な読書を促すようにすることが求められます。  必要な情報の集め方や、情報を読み取るための読み方、その情報の活用の仕方について理解させると同時に、読書の範囲を広げ、手に取る本や文章の質を向上させていくために、生徒の読書の目的や読書興味に応じた図書資料の選択と蔵書構築に取り組みましょう。また、司書教諭は学校図書館を活用した体系的な読書指導を行い、それをもとに読書活動推進キャンペーンやコンクールへの応募をサポートしましょう。 ・読書郵便  本を読んだ感想や印象をもとに、友達に宛ててその本を紹介するはがきを書き、交換する活動です。小学校や中学校で使われる場合が多い方法です。 ・ブックトーク  あるテーマに沿って、何冊かのさまざまなジャンルの本を順序だてて紹介し、その本が読みたいという気持ちを起こさせる、本の紹介活動です。小学校・中学校・高等学校で行われていますが、どちらかというと中学校・高等学校の生徒に向く活動です。 ・読書のアニマシオン  スペインのモンセラ・サルト(Montserrat Sarto)が編み出した、子どもが本好きになるための読書の指導法です[ 7]。例えば、同じ本を読んで作戦に従ってクイズに答えるなど、ゲーム感覚で楽しめるので、読むことから逃げている児童生徒を対象に行うとよいでしょう。 ・知的書評合戦ビブリオバトル  みんなで集まって、各自5分間で本を紹介し、読みたくなった人が一番多かった本(=チャンプ本)を投票して決定する書評会です。全国大学ビブリオバトル、全国高等学校ビブリオバトル等、近年盛んになっています。ある程度好みの本ができる年齢である多読期、読書成熟期の中学生や高校生に向いています。 発表者が心を込めて情熱を持って聞き手に語りかければ、聞き手は、きっと話に引き込まれるでしょう。そのためには、話す内容に自信を持つことです。独り善がりにならないように注意する必要がありますが、よくやってきたその結果を発表しているのだからと自分に酔うことも大切です。

    0
    投稿日: 2023.12.12