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ロンドン謎解き結婚相談所
ロンドン謎解き結婚相談所
アリスン・モントクレア、山田久美子/東京創元社
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総合評価

47件)
4.0
10
24
6
1
0
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    戦後のロンドンを舞台に、戦時中にスパイ活動のスキルを得たアイリスと、人の内面を見抜く優れた目を持つ上流階級出身のグウェン。対照的な2人が営む結婚相談所で巻き起こる事件を解決していく爽快なミステリです。 ストーリーは割と淡々と進みますが、中盤からぐっと引き込まれます。 アイリスとグウェンはとてもチャーミングでありながらも、2人とも戦争で負った悲しみと苦しみを抱えており、自らの幸せを掴むために戦っている姿も良かったです。2人の軽快な会話はとても楽しいし、その他の登場人物も魅力的。少しずつ続編を楽しみたいと思います。

    16
    投稿日: 2025.02.18
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    読みながら面白さと退屈さが交互に来た。 戦後ロンドンの物不足とそれでも心は豊かな上流な人々、下町の荒っぽさや人情と、公的機関の上辺の忠誠や統率の取れた姿。光と影がたくさん散りばめられているので、焦点がどこなのか読んでてわからなくなる時があった。 ラストの真相に迫るあたりは、サリーがめっちゃイケメンに見えるしアイリスもかっこいい。 グウェンも人柄が好き。リトルロニーは可愛いし。 ロンドントラムの書き方や監獄の雰囲気など、すごく雰囲気が出ててよかった。

    21
    投稿日: 2025.01.08
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    表紙から、日常の謎を淑女二人が解いてく感じかな〜と想像して読み始めたけど実際は違った! 主人公二人の会話がテンポ良くて小気味良い。「化学の授業を始めます。」が好きな方はお好みかも。 ストーリーはどんでん返しあり、読後感も良し。エンタメ感強いから、映像化とかしないのかな?

    0
    投稿日: 2024.12.18
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    シリーズ第1弾。戦時下のロンドンで結婚相談所を開設したアイリスとグウェン。2人の対象的な環境と初めての紹介者の殺人事件の秘密を探偵していく展開。人物の名前がころころ変わり誰のことやら振り返りながらがちょっと面倒だったな。続きは少し開けようかな。

    9
    投稿日: 2024.09.23
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    『東京創元社70周年フェア 人気シリーズ第1作』〜読めばあなたもファンになる。〜 …っつうので読んでみました。 舞台は戦後ロンドン。スパイのスキルを持つアイリスと上流階級出身のグウェン。二人で営む結婚相談所。入会した女性が殺され、彼女に紹介した青年が容疑者で逮捕…って凄いトントン話は進みます。彼が犯人とは信じられない二人は、真犯人さがしに乗り出し……と言う感じなのですが。 結論から言うと、面白かったぁ♡♡♡ 中盤あたりまでは、そうでもなかったんだけど…。 読むのに時間がかかってしまうし… もう、辞めちゃおっかなぁ〜なんて。 ところがどっこい。。 急に面白くなっちゃって……びっくり。 主人公のふたりもいいの。 パートナーとしての距離感だったり、相手を尊重するところも素敵。お互い苦悩もちゃんと抱えてて、他人のためばかりじゃなく自分たちも闘っている姿もいいの。お互いだんだん心を開いて、本音をぶつけあって育んでいく友情もすっごくいい。 「犯人はー、おーまえだぁー!」的なのもあるし。 すっごい満足♡ シリーズ読んじゃおう! 図書館いっかなきゃあ!!

    22
    投稿日: 2024.09.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    先に第四弾から読んでしまったので、答え合わせ的に初めの話を読む。 予想に反して二人はすでに結婚相談所を始めていて、そのなれそめ(?)もざっと手短に書いていたので、経緯に謎はないのだなと了解。 アイリスの過去についてはやはり多くが「語ることはできない」でいるが、今の仕事にかかわりのある部分だけはグウェンに対して秘密はなしとすることになったので、今後、知るべきことは順次明らかになるだろうこともわかった。 ただし、信頼できる語り手であるかどうかは、その時のタイミングなのだと覚悟はしておく。 とか言って、この話の感想としては、実にフェアなミステリでした、ということ。 彼女たちの予想に基づく突飛で無茶な行動は、必ずしも成功するわけではないけれど、その道筋にきちんと手掛かりが明かされている。 これには好感を持ちました。 アイリスとマイクの破局の原因もわかったし、グウェンが義母に自分の気持ちをはっきり言えるようになった経緯もわかったし、話のテンポはいいし、結構ハラハラさせられるのも心地いいし、ってわけで、続きも読みます。

    0
    投稿日: 2024.09.13
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    2024年7月30日ミステリー・チャンネルのアンケート回答に対する謝礼贈呈本として当選して送られてきた。本当は黒猫グッズが欲しかったけど。 やっと読み終えた。 時間がかかった最大の理由は翻訳の日本語。現在の翻訳技術のレベルからするとかなり直訳調で、頭の中で洒落たイギリス・テイストに変換しながら読み進めるのが厄介だった。 第二次大戦直後のロンドンを舞台に、それなりに凝ったストーリーだっただけに残念。とは言っても、原文を取り寄せて読み直したいほどではない。

    0
    投稿日: 2024.07.30
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    【2024年読了ー56冊目】 またまたお気に入りのシリーズが増えました! なんたって設定が1946年戦後のロンドン…当時のロンドンの様子、市民の生活がタイムスリップしたように楽しめる! もうニヤニヤが止まらない…(笑) 奇跡的に戦禍を免れたメイフェアにある建物の一室で結婚相談所を開設した二人の女性が物語の主人公… ダブルキャストやね… 戦時中、特殊作戦の訓練を受けて情報部の仕事をしていたアイリス 上流階級の夫を戦争で亡くし、義理の両親と6歳の息子と暮らすグウェン なんとこの二人のコンビが殺人事件を解決するのだ! どうして今までこの本に気がつかなかったのか… でも考えてみたら『ワシントン・ポー』シリーズみたいに次作を首を長くして待たなくていいわね! 今のところこのシリーズは4冊目が出ているみたいだから…安心、安心…(笑) さて、この二人 それぞれに悲しい過去があり苦悩を抱えている… でもどこか飄々としていて悲壮感がない… それどころか二人の会話がとにかく楽しい ギャングの本拠地に入って行ったり、ナイフを持つ相手ど対峙したり、なかなかの危険をおかしているんだけどね… とにかく謎解きもだけど、魅力的なのはこの二人 同じ女性として応援したくなる 次作の二人の活躍と成長が楽しみです

    1
    投稿日: 2024.07.12
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    主人公(アイリスとグウェン)の2人のコンビが素晴らしく良い!(登場人物がみな生き生きと描かれている。) 第二次世界大戦後のロンドンが舞台。結婚相談所を運営してる主人公たちに降りかかる、会員の殺人事件を追う話。 ウィットに富む軽妙洒脱な会話に溢れ、しかも推理小説として上等ときてる(まさかの犯人!)。 アイリスが男と刃物を突き合わせて対峙する危機一髪な場面で、居合わせたグウェンがその場を収めようとバッグからある物を出すのだが、 「勝ち誇ったように『ホイッスル』と発表した」と。 しみじみとした可笑しみがあって気に入った。(グウェンはナイフを『食器』とも言った!) 最後の方には、モーレツに感極まる場面もある(思い出す度泣ける)。 良書。またいつか再読したい。

    2
    投稿日: 2024.05.02
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    主人公2人のキャラクターが対照的ながらもどこか共通するものがあって、その様子が生き生きと描かれているところがこの物語の良さを引き出していると感じた。 終始軽快なリズムで話が進み、安心して楽しめる作品。続編があるなら読みたい。

    1
    投稿日: 2024.04.18
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    戦後すぐのロンドンが舞台。 戦時中は諜報活動をしていたアイリスと 夫が戦死したグウェンが 意気投合して自立のために始めた結婚相談所。 しかし、ある女性が 引き合わせた青年に殺されてしまう。 どうしても彼が犯人と思えない二人は 自分たちで真犯人を探すことにする。 うーん。 もっとコージー寄りかと思っていた。 わりあいハードボイルドです。 戦後の英国の生活が垣間見えるのは興味深かった。 戦勝国でも洋服とかを買うのに 配給キップが必要だったんですねぇ。

    1
    投稿日: 2024.02.23
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    「わたしたちのモットーを忘れないで。世界を人でいっぱいに!」 戦後すぐのロンドンで、ふつうの暮らしを取り戻したいと思う人々のために結婚相談所を始めた2人の女性。そんな舞台が本当にあり得たかどうか分からないけど、たしかに非日常から回復しようとするには家族の存在が大事だなーとなんか納得。 軽妙な語り口で話は進み、殺人事件を追っていたはずが違う事件に迷い込んでいくのが面白い。アイリスとグウェンは知り合って以来、自分の過去やそこから今に続く問題を、お互い触れないように――隠すようにしてきた。でも、日常とは違う様々な局面をコネや度胸で切り抜けていくうちに避けては通れなくなり、少しずつ解決しようと動いていく様子がいい。 「その船はとうの昔に港を出た――その飛行機は今朝飛び立った」 「あなたが気づかせてくれたの、わたしももっとマシなものが欲しいってことに」 ギャングとわたりあい、殺人犯と相対するほどのことをやっておきながら、すべて終わった後にグウェンがさっと冷静になるところが印象的。刺激を求めるアイリスを諫め、そのことで少し、二人の立場というか役割に変化があった気がする。一方的にどちらかだけが指示したり従ったりという関係でなくなっていくのがいいな。

    2
    投稿日: 2023.12.18
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    戦後すぐ、こんなに魅力的でウィットに富んでユーモア溢れた女性2人が、結婚相談所を経営しながら事件解決する…設定も面白いし、出てくるキャラクターがとても素敵! 最後の手紙もよかったな。 ライトで読みやすい書き方だけど、最後にもう一捻り二捻りあり、ストーリーもとても楽しく読めた。必ず次も読みます! 個人的には、アイリスとグウェン以外だと、サリーとデズが好き。次も出てくるかなぁ。

    6
    投稿日: 2023.08.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ネットで見かけて。 思っていたより、古い時代のお話だった。 第二次世界大戦直後のまだ戦争の爪痕が色濃く残るロンドン。 とある結婚式で出会い、結婚相談所を開くにいたった二人は、 上流階級育ちで息子のいる未亡人グウェンと 独身生活を謳歌している元スパイのアイリスと、 共通点が少なそうに見えて、 結婚相手の候補を選ぶ息はぴったり。 だが、結婚相手を紹介した女性がいきなり殺されてしまう。 しかも犯人は紹介した結婚相手? グウェンの人を見る目を信じて、仕事をそっちのけで真犯人を探し出す二人。 ほのぼのミステリーと見せかけて、 新聞沙汰になったり、容疑者も二転三転とあわただしい。 グウェンがとうとう義母に言い返したところや、 盗品があるとなぜ確信してたときかれ、 昨日のうちに忍び込んでみつけておいたとアイリスが答えるところ、 意外な、しかも連続殺人犯だったのも面白かった。 でも、屋根裏の秘密の場所で見つけた亡くなった夫からの手紙が、 なにより印象的だった。

    2
    投稿日: 2023.05.30
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    久しぶりの海外(イギリス)の本。時代や主人公2人の設定が良かったし、ミステリとしても犯人に迫るところは、面白かった!海外特有の言い回しもクスリと笑えた。日本ではあり得ない表現の仕方。 ただ、海外物はファーストネームやミドルネームが飛び交い、誰が誰だか確認しながら読み進めないといけないので苦労しました。

    3
    投稿日: 2023.04.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    楽しい推理小説が読みたいと思って買ったら予想よりずっと楽しくて嬉しかった。シリーズ三巻も出てて楽しみ。 …でも彼女には、わたしにはなくて、これからも決して手に入らないあるものが具わっている」 「それは?」 「善良さ」 ひとことで答えた。 「彼女はいい人なの。真の善人。わたしは善人とビジネスをやってるのよ。このわたしが。善人じゃないわたしが。いい人でもなければ、人間でいることが得意でもないのに。人を結婚させるビジネスにかかわるなんてお笑いぐさよね。...」 のところでもう気に入ってた。 もっと穏当な雰囲気かと思ったら主人公二人とも生活もメンタルも大変なことになってるし、心温まる感じかと思ったら勇気凛々かつわりと生き汚いかんじの雰囲気だったし(ぜんぜん上品だけど)、落ち着くというより元気になる読後感ですごくよかった。 アイリスもグウェンも、平気なふりと本当に平気なのとだんだん平気になっていくのがそれぞれあって、タチが悪いの込みの魅力が強くて好きになった。 レディ・カロラインも結構好きなので最後の方安心した。犯人の「猫」のくだりが好き。

    4
    投稿日: 2023.04.04
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    主人公二人のキャラクターが魅力的。 生まれ育ち、性格が真反対の二人が殺人事件の犯人を突き止めようと奔走する姿が格好いい。 続編もぜひ読みたい!

    3
    投稿日: 2023.03.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    評価が良かったので、図書館で借りて読みました。アイリスとグウェンの掛け合いがなかなか面白かったし、ミステリーとしてもちょっとどんでん返しがあったりで楽しめた。サリーが素敵。

    3
    投稿日: 2023.01.27
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    いやー、楽しい! 二人の掛け合いが最高だ。サリー(女かと思った)のキャラも良く(ブッパみたい)、軽快に物語が進んでいくのがいい。何より会話が楽しいじゃないか。皆んな気の利いた一言を宣う。思わずニヤけてしまったよ。アイリスの「それじゃ、ぶん殴るからね」で拍手喝采!

    1
    投稿日: 2023.01.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦後復興途中のロンドンで、奇跡的に戦禍を逃れた建物で、元スパイの特殊スキルを持つアイリスと、人を見る目を持つ専業主婦のグウェンのデコボココンビがタッグを組み、結婚相談所を運営するが、マッチングさせた女性ティリーが何者かに殺され、出会うはずだった会計士の男性トロワーが犯人として逮捕される。 トロワーの無実を信じる2人は、あの手この手で真実を手繰り寄せ、彼の名誉を回復しようとする。 個性的な2人の主人公は、魅力的だけれど、誰にも相談できない悩みを持っていたり、異なるタイプだからこそぶつかったり、協力しあって事件の真相に辿り着く。 続編が出ているので、完全に事件は解決せずに終わるのかと思いましたが、最後の方でスッキリ解決。 読んで良かったなと思いました。 2人には幸せになってほしい。 これを書いている時点で日本国内で3巻まで出ているので、続編も読みます。 年頃女性2人の読みやすくて軽快なトークや、緊張感いっぱいの本格推理が楽しめます。

    3
    投稿日: 2023.01.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アイリスとグウェンの結婚相談所シリーズ第一弾。 元スパイのアイリスと、人間嘘発見器のグウェン。この二人のキャラが立っており非常に楽しく読めた。 表紙はゆる〜い感じだが、思った以上にロジカルな推理が展開される。 犯人、結構意外というか、なるほど!サイコパス!という感じで。 今のところ第三弾まで翻訳されており、続いて欲しいシリーズ。

    3
    投稿日: 2022.12.17
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    第二次世界大戦後のロンドンが舞台の冒険ミステリ。 戦時中にスパイ活動をしていたアイリスと、上流階級の未亡人・グウェン。 二人が営む結婚相談所に入会したばかりの若い女性・ティリーが殺されてしまいます。 容疑者として逮捕されたのは二人が彼女とマッチングした青年・トロワ―。彼の無実を信じる二人は独自に真相解明に乗り出しますが・・。 タイプの異なる女性コンビの活躍が眩しい本書。会話のテンポも良く、時にはぶつかり合いながらも協力し合う二人のバディっぷりが良いですね。 真相を追っていくうちに、配給切符偽造のグループ犯罪も浮かび上がってきて、そちらも解決するのは良いのですが、誠実なトロワー青年の無実がなかなか晴れず、終盤でやっと真犯人が明らかになった時はホッとしました。 謎解き、冒険、そして勿論(?)ロマンスもあります。 主役二人も魅力的ですが、個人的にはアイリスの友人・サリーがええキャラだな、と思いました。 続編も出ているようなので、手を出してみようと目論んでおります~。

    8
    投稿日: 2022.11.19
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    元スパイのアイリスと貴婦人のグウェン、2人が経営する結婚相談所の会員の女性が殺され会うはずだった男性が逮捕される。彼を救うべく探偵家業に邁進する二人。二人の会話が面白く性格や彼女たちの過去を浮かび上がらせ、魅力的な二人に夢中になった。

    3
    投稿日: 2022.07.25
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    タイトルからちょっと敬遠してたけど、とっても面白かった。結構相談所を営む主人公の2人アイリスとグウェン、対照的な様で相性はバッチリ、二人のウィットに富んだ会話がとても楽しいし、1946年のロンドンという時代背景もとても良い。確かに人は殺されて犯人は分からないけれど、ミステリーと言うより個性的でチャーミングな二人の冒険と成長を楽しむストーリー。

    2
    投稿日: 2022.07.11
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    第二次世界大戦後のロンドンを舞台に、女性二人が自立のために開いた結婚相談所。 息の合ったコンビで、最高にチャーミング! まだ戦争の爪痕が残るロンドン。 アイリスは、戦時中は情報部にいて、小柄ながら格闘技も出来るし、警察に知り合いもいます。褐色の髪をしたきびきびした女性で、恋多き女でもある。 グウェンは、上流階級の戦争未亡人。 たいていの人より背が高く、金髪の美人で、おっとりした性格だが人を見る目はある。 対照的な性格で、違う世界に人脈を持つ二人が出会い、タッグを組むことになったのです。 アイリスはスキルを活かして新しい仕事をしようと思い立ち、グウェンも自分がしっかりしていることを示し、自立する必要がありました。 グウェンは貴族に嫁いだものの、夫が戦死した時に取り乱したため、姑に精神病院に送り込まれた挙句、幼い息子の親権を取り上げられてしまったという事情があったのです。 当時の精神病の治療のひどさを考えると、これはあまりな体験… 結婚相談所はまずまず快調な滑り出し。 ところが、会員の女性が殺され、二人が仲介した真面目な青年が逮捕されてしまいます。 女性の方に何か事情があるのでは?と怪しむ二人は、能力を生かして背景を調べ始めるのでした。 まだ配給もあり、瓦礫と化したビルもあるが、活気と希望がよみがえったロンドン。 読みやすいけれど、描写は詳しく、登場人物は皆生き生きしていて、薄い内容ではありません。 二人の会話や、信頼関係が築かれていく様子が楽しい。 世間知らずで苦境にあったグウェンが昔取った杵柄を発揮するところや、最大の問題が解決していくところ、幸せな気分になれました。 次作も読みましたが、それもとてもいいんです。 お気に入りのシリーズが出来て、嬉しい限り☆

    24
    投稿日: 2022.06.16
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    めちゃ面白かった。多分女性なら8割は膝を叩いて笑うのかな?主人公2人の軽妙な会話もさる事ながら人物の造詣にも深く、次が待ち遠しくてたまらない。 最後の数ページは絶対に電車等の人前で読まない様に、お気をつけ下さい。

    2
    投稿日: 2022.05.14
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    第二次大戦後のロンドンで結婚相談所を開業した女性2人が主人公。時代背景や2人のキャラクターの良さに加え、謎めいた過去のエピソードなども織り交ぜられており、そこそこ面白く読めました。シリーズ第2作出ていますが、まぁ時間があればという感じかな。

    1
    投稿日: 2022.05.01
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    1946年、戦後の傷跡残るロンドンで結婚相談所を開設した二人の女性が顧客が巻き込まれた殺人事件の謎解きをするミステリ。時代設定も雰囲気も軽い方の京極と言った感じ。軽いタッチであっという間に頁が進んだ。シリーズ化を見込んでの第1作という感じで、本作は謎解きよりも主人公の女性二人の過去に絡む話や登場人物の人となりの記述が多め。階級の話がそこかしこに出てきてクスリ・ニヤリ。戦後のロンドンの雰囲気がとても良く伝わってくる。犯人はさほど意外性もなく、周辺の出来事をごちゃごちゃ描き過ぎている感あり。この世界観に入ってシリーズを楽しむ作品だろう。邦題の付け方もそんな感じ。既に4冊(3冊?1作がシリーズと書かれていないけど登場人物はこの二人)出版されているらしい。是非続けて翻訳をお願いします、東京創元社さま。283ページ、「女王とふたりの王女たち」とあるが、これは現女王エリザベス2世とマーガレット王女とエリザベス皇太后のことだから女王のところは王妃の方がわかりやすいのでは。もちろん女王でも間違いではないけど。訳者が後書きで著者の顔写真もHPもブログもないと書いているが、顔写真付きプロフィールを載せたサイトもある。あの写真はフェイク?この頃のことを書かれた記述を読むといつも思うのだけど、ストッキングってそんなにしてまで手に入れたいほどのものなんだろうか。

    1
    投稿日: 2022.03.04
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    戦後ロンドンで結婚相談所を開業したアイリスとグウェンが活躍する謎解きミステリー。キャラの背景?が二転三転するのが面白い。私の一推しはサリー。大好き!!後半は一気読みでした!次も読むよー!

    1
    投稿日: 2022.02.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上流貴族のお嬢様出身の未亡人と元スパイ所属の女性二人が、共通の友人の結婚式で出会い、戦後、空襲を免れたビルで結婚相談所を開く。 依頼人の女性Aが殺害され、その女性とマッチング予定の男性Bが疑われた。 ヒロイン二人は殺人容疑で収監された男性にかけられた疑惑をはらすために「探偵ごっこ」を始める。 依頼人女性はかわいらしい容姿だがもう一つの面として、闇市を仕切るボスの組織の一人だったりする。 そして、その闇市ボスの組織に潜入操作している官庁の人間Cがいる。ヒロイン二人は闇市ボスに接近する。 闇市ボスの組織は、偽札の原版を手に入れてそれを利用しようとしていた。それを知った組織内の裏切り者たちと潜入捜査していたCが、グルになって原盤を闇市ボスから横取りしようとする準備の最中。官庁の人間Cは金に目がくらんで闇に墜ち、原版横取り野郎になった。 女性Aもその原盤横取り作戦に関わっていた。そこで女性Aの殺害は、その関連での出来事かと思いきや違った。ヒロイン二人は原版横取りグループを警察に引き渡し後、殺人の犯人の元に。 犯人は、男性Bの部屋の大家。男性Bに勝手に愛情を抱いていて、女性Aに嫉妬したのだ。 この作品には子どもを抱える苦労、貴族だからこそ身動きできない事情。スパイとして生きてきたから「普通の暮らし」になにか物足りなさを感じてしまう不満、自分だけ生き残った苦悩。いろんなことに挟まれてそれでも生きる二人の女性がいる。

    1
    投稿日: 2022.01.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    全くタイプの違う2人の女性が世界大戦後のロンドンで結婚相談所を立ち上げる。それぞれに抱える問題があり時代背景に基づいた設定やストーリー良かった。現代が舞台の小説と違う楽しみがある。 主人公達や登場人物との会話がいちいちおしゃれというか、皮肉がうまいというか、それもなんだかイギリスぽい。 全然シリアスじゃないし重くないから、重い系のサスペンスとか読んだ後の気分転換にちょうど良かった。

    1
    投稿日: 2022.01.26
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    戦争の爪痕の残るロンドンで、結婚相談所を開業した元スパイのアイリスと上流階級出身のグヴェン。 ある時会員の女性が殺されて、仲介した男性が捕まってしまう。 二人は男性のため、相談所の名誉回復のために事件に挑む。 街並みと同様に彼女達にもそれぞれ傷を持ち、自分に向き合い乗り越えようと奮闘する。 いい女たち過ぎる…二人の会話が軽妙で心地よく、忙しい中少しずつ読んだのですが癒されました。 アイリスの友人、サリーが良かった。 (一途やなこの人) 既に続編も手元に置いてありますが…もう読みたい。

    29
    投稿日: 2021.12.21
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    戦後ロンドンが舞台。元スパイと上流階級出身の対照的な二人が営む結婚相談所を訪れた若い美女が殺害され、彼女に紹介した誠実な会計士の青年が逮捕されてしまう。無実を信じる二人が真犯人探しに乗り出す! 二人のコンビが良くて、海外文学は苦手(登場人物の名前を覚えるのが苦手)な私でも、夢中になって読みました!読み終わったそばから、二人の活躍がまた見たくて仕方ないです。

    5
    投稿日: 2021.11.27
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    最近、戦争前後の女性の活躍を題材にしたミステリが多いなと思う。これもその一作。結婚相談所という舞台がまずユニーク。相談所を立ち上げた女性2人(ちょっとイイ女すぎる)がそれぞれの過去を抱え、特技を生かし、顧客が巻き込まれた殺人事件の真相を暴いていく。スリルとアクション、機転と潜入、スピード感が心地良い。2人のプライベートと過去がちょうどいい具合に挟み込まれる。 2人の掛け合いがウィットに富みすぎで、それが頻繁なのはちょっと勘弁。 また、アイリスは自分の過去の仕事をひた隠しにし、それがパートナーとの緊張感を生む、という側面もあるが、カバーのあらすじで思い切り「スパイ」と言っちゃってるのはどうなの?と思った。

    2
    投稿日: 2021.11.22
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    戦後間もなくのロンドンで、結婚相談所を経営する対照的な性格でそれぞれ深く訳ありの女性ふたり。彼女らが相談所を守るために、依頼人がらみの殺人事件に立ち向かう…という物語がテンポよく、台詞回しもユーモアセンス抜群に展開して、ただ楽しく読みました。 この主人公二人がほんとうに対照的で、そして魅力的。クセのある性格と能力と、そして一筋縄ではいかない時代ならではの過去を持ってはいるのですが、事件をきっかけに一歩を踏み出していこうとします。そして、ビジネスパートナーだった彼女らが、しっかり絆を育んでいく過程も自然と描かれていて、素敵な関係だなあと温かく感じました。 ミステリとしての意外性も備えていて、時代ならではの要素も兼ね備えていて新鮮味もあり、読んでいてほんと退屈しない楽しさが散りばめられてて、好きだなあ、と純粋に思いました。 シリーズ化しているそうなので、次作以降もとても楽しみです!

    3
    投稿日: 2021.10.06
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    CL 2021.8.29-2021.9.2 戦後のロンドンが舞台。 主人公の二人がとことん対照的でお互い補完しあっていて、とてもいい味出してる。 強面サリーがいいね。 シリーズものということ。次作も楽しみ。

    1
    投稿日: 2021.08.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦後にロンドンで結婚相談所を立ち上げた、元女性スパイと上流階級の未亡人が、殺人容疑をかけられた会員の無実を証明するために、奮闘する話。それぞれの過去や事情を交えて、真相究明に邁進する。 ミステリというよりは活劇系か。潜入捜査的なものは苦手なので心臓に悪い…というほど危機的な状況に陥るわけではないが。二人をサポートしてくれる強面のサリーがいい男だ。

    3
    投稿日: 2021.08.25
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    謎解きではなく探偵のような気がするが、 軽妙だけど中身の濃い作品でおもしろかった! 戦後ロンドンの様子を描きながらも、 明るく常に前向きなアイリスとグウェンのコンビ。 ぐいぐい引き込まれてしまった。 続編も早く読みたい

    1
    投稿日: 2021.08.23
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    舞台は戦後ロンドン。戦時中にスパイ活動のスキルを得たアイリスと、人の内面を見抜く優れた目を持つ上流階級出身のグウェン。対照的な二人が営む結婚相談所に、若い美女が入会する。奥手だが誠実な会計士を紹介したところ、女性が殺され、会計士の青年が逮捕されてしまう。彼が犯人と思えない二人は、能力や人脈を駆使して真犯人捜しに乗りだすが・・・。女性コンビの謎解きと、人生を切り拓こうとする勇姿を描く爽快なミステリ! 初めてのシリーズ(というか作者のデビュー作であり、翻訳者後書きを見る限り作者自身のことも謎に包まれている)ですが当たりだった!今まで探偵ものといったらポアロやホームズなどおじさんが主流だったけれど、これからは女性も主役ですよね。全然タイプも生まれ育ちも異なるアイリスとグウェンがいいコンビで立ち向かっていくのがいい。読むとすかっとします。ナイフ出すアイリスかっこよすぎか。二人とも悲しい過去があるけれど、そこから立ち上がっていく強さを感じるのも戦後イギリスという舞台に合っていて、最後までどんでん返しが続くストーリー自体も面白かった。結婚というワードがタイトルで恋愛面が強調されるかと思いきやそこまで甘くなく、でも人生の中の大事な一部として描かれる匙加減も良かったです。シリーズ化するようなので次も読みたい。

    2
    投稿日: 2021.08.01
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    粋な会話とふたりの関係性が読んでいて楽しい 終わり方も好きだった 続編がこんなに楽しみなシリーズはひさしぶり

    3
    投稿日: 2021.07.29
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    戦後ロンドンで結婚相談所を開いたアイリスとグウェンが自社の命運をかけた謎解きに挑む。 女性バディ!凸凹だけど、二人のスキルバランスが絶妙。軽妙なやり取りも楽しい。グウェンの切り返しパターンが好き。 互いを尊重する友情の育まれ方がよかった。 ちょっぴりのアクションも爽快。 ロマンスについては今後どうなるのか読めないような、ベタなパターンでもいいような。

    1
    投稿日: 2021.07.03
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    アイリスとグウェン、戦後間もないロンドンで女性ふたり自立して生きていこうと開いた結婚相談所 会員の殺人容疑を晴らすため謎解きに繰り出す! 戦争で傷付き現在でもその事に悩まされてはいるけれど、お互いに影響しあいながら前向きに進んでいる姿が格好いい この人はいい人?違うの?と考えながら読むのが楽しかった 海外小説なのでジョークを交えたトーク、馴染みなくて少々戸惑い…でも続編たのしみ

    1
    投稿日: 2021.05.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かった。 女性ふたりのコンビのうち1人が元情報部というのが好みで。 次作が、エリザベス女王の恋のお相手フィリップ王子の身辺調査をすることに…というのがタイムリーすぎて。 早く読みたい。

    1
    投稿日: 2021.04.12
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    無名の作家の、第一作?  ちょっとリスキーだなあと、ためらっていたあなたへ。 心配も、用心も無用。 面白い、こなれている、小気味良い、魅力的、まるでその場にいるかのよう、素晴しい読後感、先が楽しみ、男女ともにおすすめ、etc.etc.etc... 誉める言葉の尽きない、脅威の"デビュー作"である。 1946年6月のロンドン、大空襲の残骸と化した街並の中、奇跡のように残った建物にそれはある。 〈ライト・ソート結婚相談所〉 5階まで階段をのぼるのは大変だが、脚の引き締まる効果はあるらしい。 「開業してから8ポンドも痩せた」と語るのは、アイリス・スパークス、褐色の髪の小柄な女性だ。  明るく、元気よく、機転のきく、いくぶんはすっぱな――しかし、実はケンブリッジで教育を受けた才媛である。 対して、グウェンドリン・ベインブリッジは、たいていの人よりも背が高い。 金髪で、おっとりとしてエレガント、上等の服の似合う、そして美しい数々の衣装を持つ、上流階級の婦人だ。 グウェンは人を見抜くのがうまく、その人にぴったりくる相手を見出すことに長けている。 アイリスは人の背景を探るのが得意だ。使えるコネとツテをいくつももっている。 グウェンとアイリス、この素晴らしいパートナーシップで、事業開設以来3ヶ月、二人はこの結婚相談所をうまく経営してきた。 戦争で傷つき、減ってしまった人と人を出会わせて、よい結果へと導くために。 そうしてロンドンを、世界を人でいっぱいにするために、この事業をしている。 ところが、あるお客さまが、殺されてしまった。 さらに、あろうことか、ひとりのお客さまが容疑者として捕まってしまう。 その無実を信じる二人はお客さまのために、二人の大切な事業のために、真犯人を捜し出すことを決意する。 タイトルといい、表紙といい、主人公が二人の女性であることといい、女性向けのコージーミステリーという印象をうけるかもしれない。 けれども、これがなかなかちがうのだ。 描かれているのは、1946年のロンドン、そしてそこに生きる人々である。 アイリスと、グウェンが、どうして出会い、なぜ結婚相談所を開こうとしたのか、出会うまでの二人は、どんな生き方暮らしかたをしていたのか。 相談所を訪れた人々は、どんないきさつで、そこに行こうと決めたのか。 アイリスとグウェンを助ける人々、親しくなる人、敵となる人、よくわからない人、そうした人々の生きるロンドンが、目に浮かぶように――いや、ロンドンに降り立って、ぐるりと見回せるほどにありありと描かれている。 たとえば、グウェンが初めてトラムに乗る場面である。 他の交通手段と比較して、トラムを選ぶところから一騒ぎあったのだが――言われたとおり、グウェンはヴィクトリア駅の反対側、停留所20番で居並ぶ人々とともにトラムを待っている。 『目に鮮やかな紅白二色の、両サイドに〈サクサ〉の食卓塩の広告がプリントされた二階建てのトラムが近づいてきた。ドアが開いて乗客が流れだし、せかせかと早朝の街へ散っていった。』(105頁) 2階の席についたグウェンは、初めての体験に、たちまち気持ちを浮き立たせて景色に夢中になる。 チェルシー美術学校、テート美術館、楽しい思い出のある場所を見つめ、橋を渡ってテムズ川の南岸に向かう。 無事に残った建物、焼け落ちた店舗、廃屋を眺め、トラムのカンカン鳴るベルを聞く。 崩れかけの壁には、数々の広告がかかる。 ビスト、粉末グレイビー、そして、ウイスキー! かつてはそれを使い楽しんだ、今やいつか手に入れられるだろう品々だ。 どんな時の、どんな街なのか、グウェンのとなりで、読者も窓に鼻を押しつけて見渡すのだ。 描かれる街並みにも人々にも、戦争の痕を見ることはある。 けれども、けして暗くはない。 むしろ、明るく前向きだ。 なにせその事業は〈結婚相談所〉――人と人とが出会い、結婚をして、未来を築くためのものなのだ。 アイリスやグウェンとともに、笑ったり、怒ったり、落ち込んだり、時にイライラしたりもして、あちこち歩いて、人と話し、頭を絞って推理をし、1946年のロンドンを私たちもまた冒険するのである。 著者アリスン・モントクレアはこれが初めての発表作ながら、実は、別名義で歴史ミステリー、ファンタジー、SF、ホラー、脚本などを手がけていたらしい。 まったくの新人ではないのだ。どおりで、話の作り方がこなれている。 しかし、他の情報については、一切が不明なのだ。 アメリカ人か、イギリス人か、はたまた他の英語圏の人なのか、それもわからない。 わかっているのは、このシリーズが英米圏で大人気で、2021年6月には3巻目が出るということ、日本でも、ありがたいことに、2巻目が秋に予定されているということだ。 今は女王であるところの、エリザベス王女の恋愛がそのテーマとなるという。 そういえば、グウェンの見ている雑誌の表紙はエリザベス王女の写真だった。(282頁) 2巻に向けた、さりげない予告だったのかもしれない。 原題を「A Royal Affair 」という。 今から読む時が待ちきれない。 さて、私はここから無粋なことを書く。 『まあ、本人が伏せているのですから、あまり詮索するのも野暮でしょうか。』と、役者あとがきには書かれている。 たしかにそうだ、それが粋というものだと私も強く頷くのだが、しかし、私はそれについて考えたい! そして語りたいのだ! そんな野暮な無様な真似はしたくない、目にしたくもないという方は、ここでページを閉じていただきたい。 また別の本でお目にかかりましょう。 さて、 この本の著者アリスン・モントクレアとは、何者だろうか? アリスンは女性名だが、しかし、彼女は女性だろうか? 私は疑わしく思っている。 なぜなら、バス、トラム、地下鉄などに、やたら詳しいからだ。 それを今現在利用しているならばともかく、交通機関にそこまで目を向け、そこまで述べられる女性はいるだろうか? 世界を探せばゼロではないだろうが、私はきわめて稀だと思う。 舞台当時のバス、トラム、地下鉄などについて調べることを厭わず、過不足なくそれを説明することができ、ささやかでもとにかく記さずにはおれないとは、いったいどんな人物だろう? 『バスでウェストミンスターへ行き、橋の手前で下車した。』(226頁) 『アイリスはウォッピング駅で地下鉄を降りて、ウォッピング・ハイ・ストリートに出た。』(293頁) 『「どうしてシャドウェルには駅がないの?」 「以前はあったのよ」 「いつなくなったの?」 「一九四一年に。・・・・・・」』(165頁) なんと、路線どころか、駅の盛衰にまで詳しい。詳しすぎる。 『両岸でクレーンが空に突き刺さったまま休止している。爆撃で焼け落ちた埠頭の残骸が、溺れる人々の手のように水面から突きだしている。ホームドックへ帰るタグボートが数隻、ぽっぽっと音をたてながら通過した。』(224頁) さらにこれだ。川の風景に目をやり、なにかを述べる女性は多い。 けれども、クレーン、ホームドック、タグボートにまでそれが及ぶ女性はいるだろうか? ついそれを語ってしまう女性が? 交通機関、建設機械などの大型金属加工物に関心をもち、なにか述べたい人物は――男性だ。 しかし、それにしては、女性的でもある。 主人公ふたりの会話はとてもテンポよく、ぎこちなさなどまったくない。 まあ、これは、脚本家時代に鍛えたものであるとは言えよう。 『「ストッキング」  「シームがまっすぐでなかったとか?」』(27頁)(※1) 『「それにあのスカート・・・・・・あんなにプリーツが多いのはだれも持ってない。」』(28頁)(※2) しかし、ここまで、女性の衣類について気のつく男性はいるだろうか? ストッキングのシームがまっすぐかどうかが、いかに重要か知っている男性が? 大型金属物にも、女性のこまやかなファッションにも、同等に関心のある人物が? 私は、この作者は、男女のペアではないかと推測する。 そうすると、著者あとがきの一文に納得がいくのだ。 『誤りがあればすべて著者の責任です。実際そのような落ち度を突きつけられれば、彼女はたちまちみっともなく泣きじゃくることでしょう。ですからどうぞお手柔らかに。』 著者"アリスン・モントクレア"について、著者自身が「彼女は」などと第三者的な書き方をするのは、そういう理由だからではないか。 いずれ、アリスン・モントクレアという作家について、明かされることはあると思う。 明日かもしれない、50年後かもしれない、それがいつかはわからない。 その時、私が当たった! と声を上げるのか、大はずれだ! と笑うのかは知らない。 それを楽しみにしているのか、ずっと楽しみのままにしていたいのか、私自身にもわからない。 けれども、多くの読者が納得のいく人物(達)であることは、間違いないだろう。

    2
    投稿日: 2021.04.07
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    面白かったです。大戦後の雰囲気も感じられ、当時の街や生活の様子も感じ取れました。普段読んでる痛いようなミステリと比べるとのどかなくらい。でも、設定がとにかくワクワクします。アイリスが昔とった杵柄披露するところなんか、胸がすきますね。展開もなるほどね、と思わされました。アイリスとグウェンの会話が軽妙で、バックグラウンドは大きく異なるのに知性的な二人がお互いを思い合っているところが伝わってきて胸が熱くなります。主人公が女性二人、というのも実に新鮮でのめりこめました。アイリスを取り巻く人々も魅力的。二人のその後を思わずにはいられません。なんと、次作がこの秋に読めるとのこと!楽しみです!アイリスがスカーレットヨハンソン、グウェンがエマストーンあたりで映画化してくれないかな。

    8
    投稿日: 2021.03.12
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    これは中々面白かった! 世界大戦が終わった後のロンドンが舞台で、男に頼らず事業を始めようとするのも面白いし、実際にモデルが居るのも面白いなぁ。それが結婚相談所ってのも。なるほど、戦争でそれまでの横のつながりとかが切れた後、人と人の出会いをどうするかというのは切実だったのかなぁ。昔は日本にも仲人を商売にしているような遣りてのオバサンが居たというけど。(仲人も話がまとまると謝礼が出るから実際、商売といっても嘘では無かったのかもだけど) という訳で性格も生い立ちもまるで違う二人が、それぞれ少しづつ探りを入れていくのがらしいし、二人が互いをサポートしながら問題解決につなげていくのも面白かった。旦那さんの手紙辺りはちょっと泣かされますよ。 シリーズ物になるなら次も楽しみだな~

    2
    投稿日: 2021.03.05
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    戦後ロンドンで対象的な二人が結婚相談所を開くという設定に興味を惹かれて買ったけど良かった。会話がとにかく軽快であっという間に読めた。 あの人やあの人はまだ出るのか。恋愛面もどうなるのか。2巻も今年中に出るようなのでとにかく楽しみ。

    6
    投稿日: 2021.02.23