
総合評価
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powered by ブクログこれまでのあさひは職人の真似事をしているようなものだった。だとしたら、展示会の片隅であっても作品を人目に晒すならば、それは職人として歩みだすようなもの そうなれば客に商品として見られるだけでなく、同業者との力量比べも発生すると 雄介と展示が並べられた事は彼女にとって自分の作品は他者と比べてどのように受け止められるのか、という点を強く意識させるものとなったね。そのように捉えると、45話であさひの父がかつては鎚起銅器職人を志していたが挫折したというのも己の父と比べて心折れてしまったとも考えられるのか ならば、自分より間違いなくて実力が上の雄介と作品比べをする事はあさひにとって職人を辞めるかもしれない一つの分水嶺として存在していたわけだ けれど、あさひは負けなかったね。実力が自分より上だろうが、自分よりも熱意無く銅を打つ雄介に負けなど許せない。自分の優秀さを示す為ではなく、勝つ為に息を荒くする彼女の姿には凛々しさがあったよ けれど、展示会である以上はそのような方針で銅器を打つのは宜しく無いわけで 修が学んだばかりのプロダクト思想を織り交ぜてあさひに指導する場面は良かったな。あさひに足りないものを教える場面と成りつつ、修の成長も見られる場面だった そうしてあさひが作り上げた作品は意表を突くものだったね…!実力を示す為でも雄介に勝つ為でもなく。自分はどのような職人に成りたいかを思うが儘に示し上げた作品は彼女という人間をこれでもかという程に表現していたよ そりゃ高畠のお爺さんだって「…良い銅器だ」って褒めるよ!また、これに伴って雄介に熱の欠片を与える物となっているもの良かったな そうして一つの分水嶺を越えられたあさひと雄介はライバルとなっていくかと思いきや… オチてる…!雄介の野郎、あさひにオチてる……! あそこまで冷淡というか熱のない対応をしていた雄介がこうもあっという間にあさひに惚れてしまうとは思わなんだ。どうやらあさひから受け取った熱は職人としてのものだけではなかったようで 2人での買い物をデートと認識し、その上であさひに似合う花を選ぶなんて相当本気だよ!ただ、あさひからはそういった視線を一切向けられてなさそうな点は今後どうなるのかねぇ… 本作は修としいなが主役だから、その2人を主体として描いてきた。それだけに修の祖父・総一郎の若かりし頃を描いた48話は異色でありつつ、職人とは何かを示すものとなっていたね 弟子入りしても雑用ばかりで面白さを見いだせない日々。なのに、すぐ近くにいる兄弟子・四条は花形の仕事をさせて貰っているし、成形を任されても四条の下働きかのよう 人が腐るのは当たり前とすら思える環境。総一郎が“気の抜けた銅器”を作ってしまったのも仕方ないかもしれない。でも、それは仕事を任せてくれた人を裏切る行為かもしれず あのお父っつぁまの言葉はキツいなぁ……。勿論、直接に何の言葉も無い事もキツい。けど、お父っつぁまとて、言葉もなくコツコツやる総一郎の姿を見て評価してくれていたわけで。なら、総一郎がどん底のようなそこから返せるものはやはり言葉も無い行動に拠ってのみといえるのかも それからの総一郎はまさしく継続の日々だろうね 以前は詰まらないと感じていた毎日をより真剣に繰り返し、雪と出会った事で始まった新たな日々を繰り返し、職人として独立してからの日々を繰り返し そんな彼がかつては手直しできなかった口惜しい作を継続の先にあった職人としての生活の中で修理する様にはそれこそ言葉に表せない感動が詰まっているように感じられたよ 修はゆりとのコラボを通してプロダクトを学んだ。隣に居るしいなはプロダクトを自然と理解していると思っていたのだけど、ここに来て彼女にもより広い形でのプロダクトを学ぶ機会が訪れたね しいな考案の「猫のブローチ」に大型注文、それはしいなとしてどうしても力の入ってしまう企画。そこで既に出来上がっている製品の形にパッケージを付けるというのは思い入れの強さを感じさせる だからハコ屋へ商談を持ち込んだ際の彼女は大きく夢を描いていたわけで。迎えるパッカポッカは大型発注という前提で話を聞く事に成るわけで 商談の場面での擦れ違いは怒涛の勢いで生じていたね。そもそも両者において“大型”の定義が全く異なるし“かわいい”に何を求めているかも違った。しいなとしては全く知らぬ業種の常識を前に太刀打ちできない状態。流されてしまいそうに成るその一瞬に修が助け舟を出す展開は良かったな 修とて認識が通じていないのは判るが、それをどう伝えれば良いかまでは判らない。それでもしいなが困っているのは判る。だから企画を通すよりも、まずは彼女を助ける事を優先したわけだ その優先順位の問題は修だけが持つものではないね。パッカポッカだって持っているし、富川堂だって持っている。つまり商談では優先順位の摺合せこそ行うべきだった パッカポッカが作るハコにもプロダクトが有る。そして富川堂が作るブローチにもプロダクトが有る。正解を知っていて教えなかった美登は少し意地悪だけど、こうした感覚はそれこそ間違いからしか学べないものだろうね そうして形となったハコはとてもブローチの良さを伝えるものと感じられるし、またこの経験を通してしいなは番頭として貴重な経験が出来たとも感じられたよ ただ、しいな的には金沢と仲良くなれた事も結構な成果になっているような…(笑) 20歳の誕生日を迎えた後、花に包まれながらキスされたしいなが可愛すぎて悶絶してしまったよ……
0投稿日: 2025.08.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
個人的に職人さんが好きなので、とても好きな作品。 若い人が伝統を継承していくって難しくなっているというけど、この作品に出てくる若い職人さんや見習いさん達はとても熱くてカッコいい! ライバルがいてこそ気づく自分の気持ちってあるよね。 そういう相手が見つかることも幸せ。
0投稿日: 2025.08.18
