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ハーバード・ビジネス・レビュー ビジネスモデル論文ベスト11 ビジネスモデルの教科書
ハーバード・ビジネス・レビュー ビジネスモデル論文ベスト11 ビジネスモデルの教科書
ハーバード・ビジネス・レビュー編集部、DIAMONDハーバードビジネスレビュー編集部/ダイヤモンド社
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総合評価

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    基礎的な内容が多く、実業経験がある方には向いていないかも知れない。フレームワークが必ずしも当てはまりはしないからだ。ただ、私にとって最も有益だったのは、既存のビジネスモデルをアナロジーとして企業例を当て嵌めながら分類し、分析されている箇所。これは資料として有難い。 テクノロジーが発展し、ソフトウェアのように複製によって材料費をかけずに提供でき、生産キャパやスペースを気にしなくて良いコンテンツが主流になれば、世の中の収益モデルは急激に変化する。例えば音源はCDによる販売形態から、音楽配信のサブスクリプションが当たり前の世の中になった。生産能力に左右される製造業も、こうしたエッセンスをどう取り入れるべきか試行錯誤している。カーシェアリング、サービスの有料会員制など。誰しもがその業界のプラットフォーマーになる事を標榜している。しかし、このプラットフォームだが、究極はサイバー空間における独立経済コロニーのようなものであり、ネットの仮想無制限化に後押しされ、資本主義の自由競争原則を阻害していく危険性がある。今の所、業界別にそれが分離されているからリスクが低く見えるだけ。領域内でポイント制という独自通貨を擬製発行する事も可能だ。 現実社会では、国家がすなわちプラットフォームであるべきだろうが、新たなビジネスモデルと言いながら、その企業側のプラットフォーマー団体に組み込まれていく大衆をどう管理していくのだろうか。

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    投稿日: 2022.06.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    以下メモ ビジネスモデルの教科書   「ビジネスモデルについて知っておくべき最低限のこと」として厳選した11本の論文を集めたものが本書。   ■言葉の定義をはっきりさせる ・優れたビジネスモデルは、ピーター・ドラッカーの古くて新しい質問である「顧客は誰で、顧客価値は何か」という質問に答えるものだ。 ・新しいビジネスモデルをつくり上げることは、新しい物語をかき上げるようなものだ。   ■ビジネスモデルはシミュレーションできる ・失敗するビジネスモデルは「ストーリーテスト(話の筋道が通っているか)」か、「ナンバーテスト(収支が合っているか)」のどちらかに合格しない。 ・ビジネスモデルがプランニングツールとして優れているのは「すべての構成要素が、全体としてどのように機能するか」に注意を集中させるからだ。 ・物事は人の心を掴みやすく、また心に残りやすい。それゆえ社員たちは、会社が紡ぎ出す壮大な物語の中に自らの仕事を見出し、自らの行動をそれに適応させることができる。このようにうまく作用すれば、優れたビジネスモデルは強力な業務改善ツールにもなり得るのだ。   ■ビジネスモデルを定義する ・ビジネスモデルとは、互いに関連し合う4つの要素から成り立っており、これらによって価値が創造され、提供される。 ●①顧客価値の提供(CVP) ・成功を収めている企業は、顧客価値を創造する方法を発見した企業、つまり顧客が重要なジョブを処理する一助となる方法を見つけた企業である。 ・顧客が抱えているジョブが決定的なものであればあるほど、現状の選択肢に対する顧客満足度は低くなりやすく、また提案した解決策が現状のものより優れていればいるほど、「顧客価値の提供(CVP:Customer Value Proposition)」は高い。 ●②利益方程式 ・利益方程式とは、どのように価値を創造するのかと同時に、どのようにその価値を顧客に提供するのかを定義する、いわば青写真である。 利益方程式は、以下のもので構成されている。 ・収益モデル:価格×売上数 ・コスト構造:直接費と間接費、規模の経済。コスト構造は、そのビジネスモデルに必要とされるカギとなる経営資源のコストによって、ほぼ決まるといって良い。 ・利益率モデル:予想売上数とコスト構造を所与のものとした場合、期待利益を実現するために必要な1取引あたりの貢献度。 ・資源回転率:期待売上数と期待利益を達成するには、在庫、固定資産、その他資産を、どれくらいのスピードで回転させる必要があるのか、またこれらの資源をどのように活用する必要があるのか。 ●③カギとなる経営資源 ・カギとなる経営資源は、ターゲット顧客へのCVPに必要な人材、技術、製品、設備や機器、流通チャネル、そしてブランドなどの資産である。ここで注目すべきは、顧客と自社に価値をもたらす「カギとなる要素」であり、またこれらをどのように結び付けるかである。なお、どんな企業にも、競合他社との差別化を生み出さない、ありふれた経営資源がある。 ●④カギとなるプロセス ・成功を収めている企業には、何度も再現し、かつ規模を拡大する方法によって、CVPを提供できる業務プロセスと経営プロセスが整っているものだ。カギとなるプロセスには、研修、開発、製造、予算編成、企画、営業、サービスなどがある。また、社内のルール、評価基準、最低基準なども含まれる。   ■新しいビジネスモデルが必要とされる時 ・次の質問は、ビジネスモデル・イノベーションへの挑戦が好結果をもたらすかどうかを評価する一助となろう。以下の4つの全てに、Yesと答えられれば、成功確率はぐんと高まる。 ・1.焦点が絞られ、説得力のあるCVPによってジョブを解決できるか。 ・2.できる限り効率的な方法でジョブが処理できるように、すべての要素、すなわちCVP、利益方程式、利益方程式、カギとなる経営資源とプロセスがうまく結びついたビジネスモデルを構築できるか。 ・3.自社のコア事業からの悪影響を被ることなく、新規事業立ち上げのプロセスを作り上げられるか。 ・4.競合他社にとって、その新しいビジネスモデルは破壊的なものか。   ■重要な意思決定をいつ下すべきかの3つの戦略 ●①意思決定を先延ばしにする。 ●②意思決定の順番を変える。 ・事業のスケジュールは変えようにも変えられない。そんな企業も意思決定の順序を変えれば、関連情報がわかるまで投資の確定を遅らせることができる。 ●③重要な意思決定を分割する。 ・リーン・スタートアップの手法では、重要な意思決定を分割する。まずは、どこに機会がありそうかという仮説を、かなり大まかに、限られた範囲でよいから立てる。その後、情報収集や「方向転換(ピボット)」の段階を重ねながらビジネスモデルを修正し、最終的に有効なモデルへと到達する。創業者は概して、事業が進行するにつれて仮説を大胆に変えるのだ。   ■アマゾンの歩み 【1996年】 ●意思決定のリスクを最適任者に負わせる ・資金繰りが苦しかったアマゾンは、自社で本の在庫を抱えずに、出版社や流通業者に滞留在庫を持たせた。   【1997年】 ●インセンティブを統合する ・パートナー企業がアマゾンの成長ペースや迅速な配送体制に追いつけないため、同社は方針を転換。自前の倉庫を建設した。   【1998年】 ●製品の共通性を探す ・書籍での成功は、音楽、ビデオ、ゲームへの事業拡大に繋がった。いずれもアマゾンの物流能力が活きる分野である。   【2001年】 ●意思決定のリスクを最適任者に負わせる ・アマゾンはトイザらス、ボーダーズ、ターゲットのウェブサイトを運営し、サイト開発、受注処理、顧客サービスの大半を担った。   【2005年】 ●収益源を変更する ・配送料が一品ごとにかかると多くの顧客が買い控えするので、「プライム」サービスを開始。顧客は個々の配送料を支払うのではなく、配送料が無料になる会員の権利を購入する。これによって、購入意欲も刺激された。   ●意思決定を先延ばしにする ・ブックサージ(オンデマンド出版)、クリエイトスペース(書籍、CD、DVD、ビデオの自主制作)の買収により、顧客の嗜好がわかるまで刊行の決定を先延ばしできるようになった。   【2005年】 ●事情に通じた意思決定を任命する ・さまざまな小売業者のフルフィルメント機能全般を引き継いだ。同社の第三者サービスの論理的延長といえる。   ●リスクヘッジしたポートフォリオを築く ・ストレージ、シンプル・キュー・サービス(SQS)、クラウドコンピューティング、電子データシステムなどのコンピューティングサービスに進出。   【2008〜2010年】 ●範囲を絞る ・ダイパーズ・ドットコム(乳幼児向け消費財)、ザッポス(靴)という専業小売業者の買収により、効率化を実現。買収された企業は自らの効率を維持すべく、独立採算で運営される。

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    投稿日: 2021.06.23
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    好きな章から読めるところが良く、各章とも非常に面白い。ビジネスモデルの否定から始まり、リーンスタートアップ、フリーモデルなど現在のビジネスのエッセンスが詰まっています。

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    投稿日: 2021.01.26