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みんなの民俗学
みんなの民俗学
島村恭則/平凡社
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総合評価

22件)
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    なんか、あるところでだけ通じる言葉とか あるところでだけ行われている風習とか そういうものも民俗学には大切な要素らしい。 最小例で言えば、家族だけに通じるやつとかね。 たまにあるよね…自分の家でしかやってないのか! って大人になってから気がつくやつ。 新しい靴をおろすときの儀式の話がおもしろい。 大学で学生たちから採取した 「私のパワースポット」の話題も興味深かったし 鉄子としては「鉄道民俗学」に 一章さかれているのも嬉しいかぎり。 特急「はと」と療養所の物語が 昭和55年の小学5年生の教科書に 『鉄路の友情』として掲載されたのだそうですが どこの出版社のだろう〜。 気になります。

    0
    投稿日: 2025.11.06
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    現代の民俗学における「ヴァナキュラー」を複数の具体例から眺めた本,内容量は多いものの全体的な構成がやや散漫に感じる。

    0
    投稿日: 2025.04.13
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    この本は民俗学では身近な事例を上げて民俗学とはどういうものかと教えてくれる。ちょっと興味を持ったから読んでみた程度の私にはぴったりの本だった。 〇〇学というのはもっと堅苦しく、難しいイメージがあった。 民俗学も深入りすればその他の学問同様に、それを学ぶ人以外には理解できない部分もあるのかもしれない。 でも今はこのくらいでちょうどいい。 まさか家でのおまじない的なことまで民俗学の対象になるとは思わなかった。その家独自のものだと思っていたおまじないが、他の多くの家でも少し形を変えて行われている。さらに元を辿れば何故それをするのか理由がある。 もっと学生たちの家での習慣の話なども聞いてみたかった。 紹介されていた事例以外にももっと共通のおまじないやルールが出てきそうである。

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    投稿日: 2024.10.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    民俗学、と聞くと難しいが要は、内輪のちょっとした伝統とか慣習。 例えば親の叱り方。 我が家では「怖い人」に、家まで来て言う事を聞かない子供を連れて行ってと電話することがあった。 勿論「怖い人」は架空の人物だ。 こういう、架空の人物を使った叱り方をする家庭は案外多いらしい。 筆者はこれも民俗学と言える、と書いていて面白かった。 他にも、消防士やトラックドライバーさんたちの慣習などいろんな視点から、様々なちょっとした伝統をとりあげて、民俗学について面白く書かれていた。 なるほど、身近なちょっとした内輪の伝統=民俗学か。 私の一族が集まったときも、輪になって歌うなど、決まってやる事があるがあれも民俗学に当てはまるなあ。

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    投稿日: 2024.07.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ヴァナキュラーといってる。色々と聞き書きが関西なのでおおそうだったのかがいろいろあって楽しい。阪和線の話は漸く腑に落ちましたことでありますよ。きっとほかにもこういうのが沢山あってそれをわかってないのが東えびすということなのだろう。

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    投稿日: 2024.06.04
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    民俗学とは何かをやさしく解説した本。古い習慣や伝説だけでなく、新しいものや都会的なものでも、色々な「俗=ヴァナキュラー」が研究対象になる。家庭や学校、職場での身近なヴァナキュラー、喫茶店のモーニングやB級グルメ、パワースポットまで、事例が豊富で分かりやすい。あと遠野物語の「願はくは之を語りて平地人を戦慄せしめよ」という冒頭が紹介されていて、読みたくなった。

    1
    投稿日: 2024.03.01
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    「ヴァナキュラー」をキーワードにして、民俗学の現在を紹介したたいへんにおもしろい本である。 わたしたちがふだん何気なくしているいかにも身近なところにも、ヴァナキュラーな事象は見出すことができるのである。

    0
    投稿日: 2024.02.08
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    2024年1月読了。 常々「初詣で寺社に行った際にお賽銭箱の前に行列を為して順番を待って参拝すること」に強烈な違和感を持っていたところ、的確なツッコミを民俗学の知見からご教示いただき大変興味深い1冊だった。 (お賽銭箱にお賽銭を投じる&参拝をするの一連の流れはできるだけ行列を作らずに左右に散ってスムーズにやればよいと思っている。) 16ページ 民俗学とは、人間(人びと=〈民〉)について、〈俗〉の観点から研究する学問である。ここで〈俗〉とは、①支配的権力になじまないもの、②啓蒙主義的な合理性では必ずしも割り切れないもの、③「普遍」「主流」「中心」とされる立場にはなじまないもの、④公式的な制度からは距離があるもの、のいずれか、もしくはその組み合わせのことをさす。本書のサブタイトルである「ヴァナキュラー(vernacular)」は、この〈俗〉を意味する英語である。 →「民俗学」というとなんとなく「フォークロア」を当てて理解していたので、ここでの「俗」の定義で「時代遅れの田舎の農民たちが伝えている、どこか奇妙で、でも懐かしいものごと」(35ページ)という「民俗」観を更新することができた。確かに民俗が古くて懐かしいものだけに対象を絞っていたら、現代的な現象や問題には民俗学が入り込むことができないということになるので、この「俗」の定義についての箇所だけでも非常に興味深い。 57ページ 著者は関学の先生なので、関学に伝わるヴァナキュラー(ここでは言い伝えくらいの意味)を紹介していて、その内に「時計台の下で告白したカップルは、絶対に別れる」というのが紹介されているが、この手の「大学あるある」は各学校にあるのだろう(おそらく学校組織だけではなく、各種の組織や団体に伝わる真実ともそうでないとも取られる「言い伝え」=ヴァナキュラー、ということなのだろうと理解した)。 112ページ 「ウチナータイム」についてのヴァナキュラーのコラム。 ウチナータイムはなにも遅れることだけを指すのではなく、前倒しもあるのだとか(例えば離島への船便が定刻より早く出港してしまうとか)。 118ページ以降 第4章は「喫茶店モーニング」について日本の各地の様子や海外の朝食を外=自分で作らずに店で金を払って摂る習慣についての考察で、個人的には本書でこの章が最も興味深い内容だった。 日本の喫茶店モーニングの習慣は都市部の中でも比較的に第二次産業、それも割合小体な組織(家内制工業を含む)の集積地等に多く見られ、反対に都心部に就労する人が多く住む郊外ではあまり見られない習慣であるとのこと。また、単に朝食を済ませることができれば良いというわけではなく、喫茶店内での人間関係を楽しみおしゃべりをしに行く空間として機能しているとのこと。 「ヴァナキュラーな公共圏」(163ページ)として機能する空間、ある意味で「サードプレイス」的に機能している空間として非常に興味深いことだと思った。 251ページ 「初詣で並ぶ必要はあるのか?」というコラムで、長年の疑問が少し氷解したような気分になった。著者に寄れば寺社で行列を作る現象は2000年代以降のスピリチュアルブームの中で、「正しい参拝」がネットやテレビ等の各種媒体で喧伝されるようになってからとのこと。言われてみれば2000年以前=だいたい大学に入る前くらいは、二礼二拍手一礼なんてやってなかったと思うし、鳥居の下をくぐる前に一礼するなんてことはしていなかったのではないか(自分の場合)。同じような理由で靖国神社に行ってお参りするなんていうのも、自分の場合は大学生になって一度実家を離れて、たまに帰省した際に半ば物見遊山的に行き始めたのであって、「生活の中に靖国神社が溶け込んでいた」なんてことは決してなかった(初詣でといえば柴又の帝釈天か、深川の富岡八幡宮だったし、それらの寺社はまさに生活の一部だった。なお、父方には軍人として戦死した者もいて、いつだったか靖国神社から何かを「下賜」されるとかで父親が靖国神社に出向いたところ、なんだか「景品」のようなものをもらっただけで、「戦死してこんなものをもらってもなあ…」とぶつくさ言っていたのを思い出した)。 なお、筆者はこういった「正しい参拝」に見られるような現象について柳田國男を引いてこのように言っている。「「当たり前だから」「そういうものだから」「決まっていることだから」「権威ある人が言ったから」といって、自分の頭で考えずに何かに従ってしまうことを「事大主義」(大勢順応主義)と呼んで批判した(事大とは「大きなものに事(つか)える」の意)。そして、民俗学的な世相観察や自己内省によって、「事大主義」から脱却できると述べた(原典略)。柳田だったら、「二列だけの長い行列」を見て、「特段の事情がないなら、それは不要である」と言ったに違いない。」是非こういったマインドを持って思考停止せずに自己内省的にいきたい。

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    投稿日: 2024.01.27
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    『エチュード春一番 第一曲子犬のプレリュード』(萩原規子)がキッカケで読む事になった『みんなの民俗学』(島村恭則)。 というのも、主人公が日本民俗学研究会に所属してる設定を読んで、 私も大学で学んでいたし、初心に戻ろうと思ったためです。 私は在学時、民俗学を「過去の口頭伝承を探る学問」として捉えていたけど… 本書を読んで〈俗〉の定義をまるでわかってなかった事を知りました。ハズカシ。 以下抜粋です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ❶民俗学は、18世紀のフランスを中心とする啓蒙主義や、19世紀初頭にヨーロッパ支配をめざしたナポレオンの覇権主義に対抗するかたちで、ドイツのヘルダー、グリム兄弟によって土台がつくられた。そしてその後、世界各地に拡散し、それぞれの地域において独自に発展した学問である。 ❷〈俗〉とは、 ①支配的権力になじまないもの ②啓蒙主義的な合理性では必ずしも割り切れないもの ③「普遍」「主流」「中心」とされる立場にはなじまないもの ④(支配的権力、啓蒙主義的合理性、普遍主義、主流・中心意識を成立基盤として構築される)公式的な制度からは距離があるもの のいずれか、もしくはその組み合わせのことである。 さて、この〈俗〉を、現代のアメリカ民俗学では、ヴァナキュラー(vernacular)と呼んでいる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 〈普通〉を押し付けてくる輩はどこでもいらっしゃいますが、 「私にはこれが〈普通〉なのだ」という事はいくらでもあるもの。 それを証明するための学問のように思えてきたな。  まぁ、そんなシビアな内容だけではなく、 「えっ、〇〇ってこう思ってたけど、こんな一面もあってこんなルーツなんだ」という事を知れる面を、 本書は興味深く知れるものでもあるので、 肩の力を抜いて読める一冊でありました。 それまでは「昔話の神秘的な感じを知れて面白い」っていう事ぐらいしか捉えてなかったなぁー。 面白かった。 今回はいろんな物事の過去から今に至るまでにどんな事があったのかを知るものだったので、 次は【今】そして【これから】に関する事を読もうかな。

    0
    投稿日: 2023.12.31
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    私も民俗学は民間伝承のイメージがあったけど、実はすごく身近なもの。 そういえば、うちの高校にもジンクスがあったな。

    0
    投稿日: 2023.09.18
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    序章の概説でしっかり眺め渡した上で、第1部以降、知識を現代にアップデートしていく。 確かに「俗」=ヴァナキュラーと置き換えて理解することで、ぐっと裾野が広がる。 田舎の昔話だけが対象ではなくなるのだ。 西日本の事例が多いのも嬉しい。 岸政彦・編「東京の生活史」も隣接しているのではないか。 @ 《目次》 序章 ヴァナキュラーとは〈俗〉である 1 私と民俗学 お祈り癖/ごみ収集車の調査/死が怖い/民俗学と出会う/沖縄に行く/韓国で暮らす/日本での研究 2 民俗学とはどのような学問か? 民俗学はドイツで生まれた/対覇権主義の学問/日本の民俗学 3 ヴァナキュラー ヴァナキュラーとは?/フォークロアからヴァナキュラーへ/民俗学は現代学 第1部 身近なヴァナキュラー 第1章 知られざる「家庭の中のヴァナキュラー」 お母さんが創り出した化け物/気仙沼の海神様/わが家だけのルール 靴のおまじない 第2章 キャンパスのヴァナキュラー 関学七不思議/キャンパス用語/運動部の曲がり角の挨拶 「こんにちはです」/目覚ましは「ごみの歌」 第3章 働く人たちのヴァナキュラー 1 消防士のヴァナキュラー アメリカの消防署/消防うどん/消防めし 2 トラックドライバーのヴァナキュラー トラックドライバーの挨拶/CB無線での会話 3 鉄道民俗学 駅の池庭/段四郎大明神/特急「はと」と青葉荘/切符売りおばさん 4 水道マンのヴァナキュラー 5 裁判官にもあるヴァナキュラー 裁判官の口頭伝承/「伝承」と民俗学 6 OLの抵抗行為 【コラム①】ヴァナキュラーな時間 第2部 ローカルとグローバル 第4章 喫茶店モーニング習慣の謎 1 日本各地のモーニング 愛知県豊橋市/名古屋市/愛知県一宮市/大阪府東大阪市/大阪市生野区 大阪市西区/兵庫県尼崎市/神戸市長田区/広島市中区/愛媛県松山市 2 アジアの「モーニング」 香港は飲茶/ベトナムはフォーやソイ/プノンペンはかゆ バンコクはいつも外食/シンガポールのセルフカフェ 3 モーニングをめぐる考察 なぜ行われるのか?/日本での分布/モーニングの歴史 アジアの中のモーニング/「ヴァナキュラーな公共圏」 としてのモーニング 第5章 B級グルメはどこから来たか? 引揚者の円盤餃子/じゃじゃ麵/別府冷麵/遠野のジンギスカン 芦別のガタタン/室蘭のやきとり/みそ焼きうどん/モーレツ紅茶 【コラム②】なぜ大晦日の夜に「おせち料理」を食べるのか? 第6章 水の上で暮らす人びと 香港の水上レストラン/家船の暮らし/行商船と運搬船/家船の陸上がり 艀乗りからバスの運転手へ/かき船/かき船の陸上がり/ロンドンの運河と水上生活者 第7章 宗教的ヴァナキュラー 1 パワーストーンとパワースポット パワーストーンを信じるか?/個人的パワースポット 2 フォークロレスクとオステンション ぼんぼり祭り/肘神様/アマビエ・ブーム 3 グローバル・ヴァナキュラーとしてのイナリ信仰 【コラム③】現代の「座敷わらし」 【コラム④】初詣で並ぶ必要はあるのか? おわりに 次に何を読んだらよいか/民俗学を大学・大学院で学ぶには/地域で民俗学を学びたい場合 注

    9
    投稿日: 2023.08.02
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    民俗学の俗に焦点を当て、ヴァナキュラーという。とても分かりやすい入門書。 関学キャンパスやモーニング、B級グルメなどあらゆるところにヴァナキュラーがある。身近な例で興味深く面白かった。 支配権力になじまないもの、啓蒙主義的な合理性でないもの、普遍主流でないもの、公式的な制度から距離があるもの、そういったものの研究は楽しそうだ。

    1
    投稿日: 2022.01.27
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    民俗の定義のところ、面白く読ませていただきました。 民俗とは何か、民俗学が何を明らかにしようとする研究領域なのか、民俗学に関する書籍を読めば読むほどつかみどころがなくなる、という感じは読後もやはり払拭できませんでしたが。

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    投稿日: 2022.01.13
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    民俗学を古くさいイメージから解き放つ、という著者の試みは成功しているだろうと思う。ただその試みに終始した感は否めない。 構成としても、民俗学を取り巻く現状を述べた序章を除く1〜7章すべてが身の回りの民俗学的事例(=「ヴァナキュラー」)のエピソード的紹介に割かれ、そこから導かれる考察や分析は簡潔なものにとどまる。 一つ一つの事例が興味深くはあるため読み進める苦労は少ないが、読み終えたところで雑学がいくつか増えたかな、と思えるだけというのが正直な感想である。 と、読み進める間はここまで述べたような批判的な見方をしていたが、「おわりに」の著者の記述にハッとさせられた。曰く、民俗学は『在野の学問』であり、学会員の多くが非研究者である、誰でも参加可能な学問である、と。 だとすれば一見冗長に思えた無名の人々の記述(B級グルメ発祥の店の創業秘話、消防士やトラック運転手の仲間内での「あるある」など)は、そこから何か遠大な理論を見つけ出して学術的な議論を深めるための素材というよりは、たまたま民俗学により保存された物語であり、それ自体が鑑賞すべき成果であることにも納得がいく。 また本書自体も、学問知識の伝達というより、社会のあらゆる人に民俗学の門戸を開く、というただそれだけのメッセージを一貫して発信している本と捉えるのがよいのだろう。 以上のようなことを思うに、私のように「民俗学的思考」といったいわゆるディシプリンを求めて本書を手に取ると、学ぶべきところの少ない本だったと落胆するかもしれない。ただそれでも、とことん「在野」を突き詰めるという民俗学の気迫を感じさせる、意義ある本だと思う。

    2
    投稿日: 2021.12.22
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    民俗学と聞くと、たいていは柳田國男氏に 代表される農村漁村に古くから伝わる民間 伝承(妖怪、昔話、伝説、祭り、など)を 思い浮かべる人が多いと思います。 この本では最初に民俗学を定義しています。 それは「俗」というものの定義でもありま す。 ①支配的権力になじまないもの ②啓蒙主義的な合理性では必ずしも割り切 れないもの ③「普遍」「主流」「中心」とされる立場 にはなじまないもの ④公式的な制度から距離があるもの そうしますと多くの物事が民俗学に当ては まります。 例えば「学校の七不思議」です。 どの学校にも口伝で続くオカルト的な話が あると思います。誰もいない深夜の教室か らピアノの音が聞こえる、とかですね。 あれも民俗学の一種と言えるのです。 他にも部活などで行われているよくわかな い伝統やしきたりもそうです。 そう思うと民俗学とは我々の生活に根ざし た学問と言えます。だからこそ「みんなの 民俗学」なのです。 またひとつ世界観が広がる一冊です。

    3
    投稿日: 2021.11.29
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    NHKラジオ深夜便 「あなたの身近な民俗学」 民俗学って「田舎に古くから伝えられている」感じだけど 座敷わらしみたいな でも現代の身近な風習を探ることも民俗学らしい この研究室すごそう笑 学生たちのレポートが面白い 根気強い調査が必要だろうけど 「家庭の中のヴァナキュラー」 お母さんが創り出した化け物/気仙沼の海神様/わが家だけのルール/靴のおまじない 最近生み出されたようなものでも定着していく事がある 気仙沼や金沢の例 現在あるお祭りも始まりはこんな風だったのかも 中央と反するもの 地方の懐かしいものではない 宗教的な 過去にある伝承を組み合わせて新しいヴァナキュラーが作られる 不自然さはない 消しゴムハンコのアマビエ 瓦版はまじない的 金儲けを狙った パワーストーン 商業的な

    0
    投稿日: 2021.09.24
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    民俗学というと、農山漁村に古くから伝わる民間伝承や口頭伝承を研究する学問だと思われていることが多い。 だが、本書では、現在の民俗学はそのようなものでなく、もっと広くて現実的な世界があると論じる。 著者によると民俗学の概念は①支配権力になじまない②啓蒙主義的な合理性では割りきれない③「普遍」、「主流」、「中心」とされる立場にはなじまない等の要素を持つ。 柳田國男の「遠野物語」の冒頭に「願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ」という言葉が出てくる。著者は、この言葉で「普遍」、「覇権」、「主流」といった立場から啓蒙主義的に「非合理的なもの」として切り捨てられる世界(遠野地方)の存在を「平地人(啓蒙主義的思考のもとで近代化に邁進する都市住民)」に突きつけたと解釈する。 また、「歴史学が人類の主要な道筋を辿る学問であるのに対して、民俗学は枝道や毛細管のように張りめぐらされた小路を知る学問」という学者の見解も示している。 序章に示されているこのような概念的な話は、一般人がにわかに理解することは難しい。また、民俗学のキーワードが「フォークロア」(人々の知識)からヴァナキュラー(俗)に交代しつつあることから、本書の中では、その表現が多く使われるが、これももう一つピンとこない。 著者は、これらについて、読者にできるだけ実感させるよう、第1章以降、現在における事例をたっぷり盛り込んでいる。主なものを書き出すと以下の通り。 ・現在の家庭にも「新しい靴を昼以降におろすときのおまじない」(午後の野辺送りを忌み嫌うなごり)が残っている ・著者の職場である関学大には学生にしか通じない七不思議(キャンパスヴァナキュラー)がある ・JR東海道線高槻駅と山崎駅の間にある結核療養所の患者や職員が手を振る行為に食堂車会計課係が手を振って応えた行動が繰り返され拡大した ・独自の技を持ったプロの職人集団としての水道マンの暮らしの中から替え歌「水道数え唄」が生まれた これら以外にも「喫茶店モーニング」、「B級グルメ」、水上生活者など時代や地域、社会生活の現実の中から生まれたヴァナキュラーがこれでもかと紹介される。 それらは確かに啓蒙主義的合理性で割りきれない、また、理性的・論理的であることは求められないものばかりである。 ただ、常人には、興味深い話であるものの、単に文化・風習・生活習慣を面白く紹介している本であるとしか感じられない気もした。関学大の著者が受け持つゼミのフィールドワークは面白そうで一員となり参加したいとも思ったが。

    2
    投稿日: 2021.08.25
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    <民俗学> 民族学の入門書は、地方の伝統をカタログ的に並べた本が多い印象がある。「で、民俗学って何なの?」というモヤモヤが解消されないままだったが、おぼろげながら本書の説明で輪郭を掴めたような気がする。 啓蒙主義に対するカウンターであり、合理性に対する非合理的な営みとして民間に伝承された伝統を再評価する試みのようだ。たしかに合理性だけの社会は味気ないと思う。 一方で、自分が苦しめられてきた「地域の暗黙の了解」を解明するヒントとして有益な一冊であった。空気を読めない人間にとって、非合理的なものは気づきづらい。 また、ヴァナキュラーって何なの?という疑問もあったが、従来のフォークロアという言葉が誤解を招くふしもあったということで、刷りこまれたイメージを払拭することが目的ということも分かった。 現代の民俗学は民間伝承の研究だけではないのだ。 <アンダーライン> ★★★民俗学とは、人間(民)について、<俗>の観点から研究する学問である。ここで<俗>とは、①支配的権力になじまないもの、②啓蒙主義的な合理性では必ずしも割り切れないもの、③「普遍」「主流」「中心」とされる立場にはなじまないもの、④公式的な制度からは距離があるもの、のいずれか、もしくはその組み合わせのことを指す。 ★啓蒙主義とは、非合理的なものを排除する思想のことである。 ★民俗学は、覇権主義を相対化、批判する姿勢を強く持った学問である。 ★★★★★少なくとも一つの共通の要素を共有しているならば、どのような集団であろうと、その集団はフォーク(Folk)である。集団の結合要素は何であろうとかまわない。共通の職業でもあってもよいし、言語または宗教でもよい。そしてこの集団が所有する知識がフォークロアである。 ★民俗学では、伝統的にこうした「口頭伝承」「民間伝承」を重視してきたが、それは、民俗学が追及しようとする覇権主義的、対啓蒙主義的、対普遍主義的、対主流的、対中心的、対公式的な特性を、そこに多く見い出せると考えたからである。 ★B級グルメ以前のローカル食は、ヴァナキュラーな性格を持った食である。つまり、①支配的権力になじまない、②啓蒙主義的な合理性では必ずしも割り切れない、③「普遍」「主流」「中心」とされる立場にはなじまない、④公式的な制度からは距離がある、というヴァナキュラーな特性を持った食である。 ・フォークロレスクとオステンション ★(アマビエ)まさか自分の作った消しゴムハンコが信仰の対象となるとは夢にも思わなかった。

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    投稿日: 2021.05.24
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    民俗学って聞くと、「古い伝統の残ってる地域に行って、その地に伝わっている伝承とか儀式とかお祭りとかを聞き取る」っていうイメージがあったんだけど、現代の都市とかネット社会で起きていることも調査の対象となるんだと知った。 現代の民俗学が扱う対象は「ヴァナキュラー」と呼ばれていて、これは①支配的権力になじまないもの、②啓蒙主義的な合理性では必ずしも割り切れないもの、③「普遍」「主流」「中心」とされる立場にはなじまないもの、④公式的な制度からは距離があるもの、のいずれか、もしくは其の組み合わせのことを指す、とのこと。 特定の学校内だけで使われるキャンパス用語や独特の挨拶、業界内だけの風習、アニメの聖地で新たに生まれたお祭り、ご当地グルメの生まれた経緯、アマビエブームなど、身近な話題がたくさん取り上げられていて面白かった。 私がいる医療業界…ことに精神科病院なんかも、その気になって調べてみたらヴァナキュラーの宝庫なんだろうなぁ。

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    投稿日: 2021.05.12
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    わかりやすい表現で書かれており、民俗学に興味はあるけれど基礎がない人や専門書に抵抗のある人にも読みやすい。 以前日本民俗学の課題を読んだ時、本の内容そのものは面白く読めたが、同時に基礎的な知識をある程度持ってないと充分にその内容を吸収できないと感じた。 本書はそんな自分に丁度良い、取っ掛かりとなる本だった。最後の方に次に読むべき本や、柳田國男はじめ民俗学の大家ー沢山あってどの本から手をつければ良いかわからなくなるーの最初に取る本を選ぶのをたすけてくれる。 さらに前に読んだ宮本常一がその大家に数えられてて、わからないながらも良い本を選んで良かったと思った。

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    投稿日: 2021.02.15
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    インパク知 1・1 かかった時間30分(流し読み) タイトルに惹かれて買って、序章?がものすごくおもしろかったので期待値が爆上がりしたものの、尻すぼみだった。 中身がわりと「身近なケースの列挙」だったので、さらさら読めたが深くない。また、それぞれのケースの考察?も、シロウトが想像できる範囲にとどまっていて、新たな発見がない。 またこれは本の内容に直接は関係していないが、わりと今は「ヴァナキュラー」のほうが強くて、そのせいでいろいろなオフィシャルにやりたいものごとが進まなかったり、その「ヴァナキュラー」に適応できずに弾かれたりしている人もそこそこ多いのでは?という感じがした。「周辺であること」を盾に取った逆差別、的な。 補足。個人的にはこの本は評価☆ひとつだけど、好きな人は好きだと思う。

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    投稿日: 2020.11.29
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    民俗学にめちゃくちゃ興味出てきました。実話怪談とフォークロア、ネットロアに興味があるんですが、フォークロアが今はヴァナキュラーという名前になっているのもなるほどでした。自分の家やまわり近所とかだけにあるヴァナキュラー探すのも楽しそうです。うちは危険を先に越えていくというので出掛けるときに包丁を玄関扉に立てかけて跨ぎます。これもヴァナキュラーでしょう。霊柩車が通るときに親指を隠すとかもですよね。そう考えたら色々ありそうで、この本を入り口にしてもっと知りたいと思いました。あとがきに書かれていた本を読んでみたいと思います。ありがとうございました。

    5
    投稿日: 2020.11.22