
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あまり面白くなかった。甘酸っぱい青春を描いた単なるエンタメ小説。。老人の冒険譚、とても長い。飛ばし読みしてしまった。父親との偶然の出会いを盛り上げるためだけ?。あまりにも偶然が過ぎるので冷める。
0投稿日: 2026.01.10
powered by ブクログ題名が好きで読み始めた。 すごく惹き込まれるというより主人公の物語を聞き流している感じ。 ときどき刺さるフレーズが出てくる。
1投稿日: 2026.01.07
powered by ブクログ全ては偶然の連続だけれども人生はやり直しがきかないから必然なのだろう。 後になって考えるとその選択は間違いだったのではと思えるものでも、その選択の瞬間では正解でしかなかったということを強く意識しないと頭がおかしくなってしまいそうになる。 どうして人は罪の意識を抱き、罰を受けたくなるのかな。 疑いなく自分が正しいと思い込める方が生きやすそうなのに。 1つの小説というより登場人物が重なるいくつかの短編小説を読み終えた気分。 翻訳された小説はあまり読み慣れていないけれど、これはとても読みやすかった。
0投稿日: 2026.01.01
powered by ブクログ何とも言えない余韻を残してくれる青春小説。 人類が初めて月を歩いた夏。 父を知らず、母とも死別したマーコは、 唯一の血縁だった伯父のビクターを失う。 彼はマーコと世界を結ぶ絆だった。 マーコは絶望のあまり、人生を放棄し始める。 やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。 体力が回復すると、彼は奇妙な仕事を見つける。 車椅子で生活する盲目の老人、トマス・エフィングの世話である。 エフィングの依頼を遂行するうちに、 偶然にも彼は自らの家系の謎にたどり着く。 人生に偶然は付き物である。 だが大抵は結びつきの欠如と、タイミングの悪さと、 無知ゆえの盲動の結果に終わる。 そんな人生においての出会いを考えさられた。 一気読みするのはお薦めできない作品。 時間を掛けて、ゆっくりと味わわないと きっと理解できずに途中で投げ出してしまうだろう。 一応、退屈な描写が続き飽きが来ると次の展開が動きを見せてくれる。 その辺、計算してのことではないだろうが、 時間経過も今なのか過去なのか、行ったり来たりするので 集中して読んでいないと、すぐに混乱してしまう。 なかなかの強敵ではあるが、読み終えた後の余韻は保証できる。 こういった物語も、人生には必要なのだと強く思った。
0投稿日: 2025.12.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公が愛する伯父を失って泣き腫らし、泥酔・嘔吐し、行きずりの娼婦にホテルに連れ込まれた挙句、脚を開く彼女に子守唄を歌ってあげた一幕は感に堪えなかった 頁を急く衝動と、ずっと終わらなければいいのに、という一抹の寂しさを胸に同居させられた傑作
0投稿日: 2025.12.08
powered by ブクログジーンと心に染み入るような感動のある小説でした。 悲劇に振り回されながら生きる登場人物たちはとても人間味があり、僕はなぜか読んでいて救われる気持ちになりました。 登場する3人の男たちは、ある意味悲劇でつながっている深い関係だと思いました。 不思議と読後感がとてもよい小説でした。 また、このような小説を読みたいです
18投稿日: 2025.11.30
powered by ブクログ偶然の出会いと別れによる人生の激しい浮き沈みが描かれることで、ストーリーに惹きつけられ、読書中は現実の悩みを一時忘れさせてくれます。必ずしも時系列ではない語りがあり、匠の技を感じました。
8投稿日: 2025.11.09
powered by ブクログどこかでグッと掴まれるとか、起承転結がバッチリあるとか、あんまりそういう感じじゃないんだけど(ずっとちょっと変で悲しい話)、なーんか飽きずに楽しく読めて不思議。 MSフォッグ(と彼女のキティ)、フォッグとエフィング(目の見えない偏屈なじいさん)、エフィングの過去、フォッグとバーバー、バーバーの本の内容、みたいにそれぞれまあまあちゃんとした(どちらかというと重くて悲しい)話がたくさん出てきた。 でもなんからみんな好き。 特に最初のフォッグの、お金無いのにその中で謎にやりくりしようと頑張るところがなんか好き。叔父さんの残した本を読みまくって、売って、何もなくなったら公園で生きて…私も助けに行く親友とキティに加わりたかったな笑 人生の偶然性には本当にびっくりするよな!!
7投稿日: 2025.10.02
powered by ブクログ重い本だった。 ずっと波乱万丈な人生で、読むのが苦痛ではなかったけれど、逆にめちゃいいところもそんなに… ムーンパレス好きなやつに悪いやつはいないらしいけど、入れなかったかも。 キティいいやつすぎるほんと
0投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ一度落ちるところまで落ちた生活から老人と出会い真実かわからない昔話と繰り返される出会いと別れの中で運命の数奇さが散りばめられている。最後はなんだか唐突せ切なくてとても良かった。
1投稿日: 2025.09.21
powered by ブクログ不格好で、不器用にもがく滑稽な姿。 主人公の青年期が見事に描かれています。 「ムーン・パレス」 ポール・オースター著 若い頃、何冊も同じ著者の本を読んだのですが強く印象に残ったのはこちらの一冊でした。 今年に入ってニュースで著者の訃報を受けました。その夜から3日間でこの小説を再読しました。 物語の前半は、主人公がとにかく極限状態に落ちていく様子、 後半はそこから回復して、自分のルーツを探すという設定です。 後半からの話はちょっと奇想天外で、ここが面白い!という方々が多々ですね。 私は、主人公マーコがどんどん落ちて彷徨うところが、この作品の一番の魅力だと思っています。 この主人公の精神状態がそのまま、つたないのに心を打つ、青春時代に重なるように思えて。 前半の主人公は、とにかく不様に、貧困状態に落ちていきます。 ただただ流されて落ちていくマーコに 何をしてるの!とハラハラしながら突っ込みをいれるんですけど、けれどその心理描写が、著者の語り口があまりにも素晴らしくて、ああ、わかると共感さえしてしまうほど。 「青春」って、青い春って表記するんですね。 長い冬を終え、草木が芽生える希望に満ちた季節でありながら、夜は暗く、寒い。 若さの持つ、無茶ぶり、ひたむきさ、希望に幻想、混沌、いろんなことが胸を打ちます。 ニューヨークのどこか都会的な軽さと洒落た雰囲気の感じられる文体もよいですよ。
8投稿日: 2025.08.12
powered by ブクログ「それは人類がはじめて月を歩いた夏だった」という、名作と名高い作品に相応しい書き出しで始まります。主人公であるフォッグという青年が大切な人たちを無くし、自らも堕落していく様が描かれた前半はすごく引き込まれて、これからどういう展開になるのか期待値も右肩上がりでした。 そして中盤に入り、エフィングという老人のもとで働くことになりますが、、、そこから急激にトーンダウン。会話文が長いだけでとにかく面白くない。少しずつ斜め読みするようになり、引き込まれた前半とは打って変わって読むことが苦痛になり、とうとうフェードアウトしてしまいました。 読み進めればまた引き込まれたかもしれないですが私はダメでした。
5投稿日: 2025.07.25
powered by ブクログ書き出しの「人類がはじめて月を歩いた夏だった」はあまりにも名文だと思う。 愛や喪失をテーマに紡がれる物語で文章も相まってとても美しく儚い。 以下、好きな文章。 ・「彼女に恋をしないこと なんて不可能だった。ただ単に彼女がそこにいるという事実に酔い知れないこと なんて不可能だった」 ・「僕は崖から飛び降りた。そして、最後の最後の瞬間に、何かの手がすっと伸びて、僕を空中でつかまえてくれた。その何かを、僕はいま、愛と定義する」 人生のオールタイムベストに挙げる人が多いのも頷ける。
1投稿日: 2025.07.24
powered by ブクログ何かを失いながら何かを得る。 何かを得たら失う。 その繰り返しの物語でした。 人生は幸不幸ではなくその輪廻の中にあるだけなのかも?
1投稿日: 2025.07.15
powered by ブクログありえない偶然が起こるが、それを必然と思わせるだけの魅力がこの本にはある。アメリカ小説特有の登場人物の多さはない。その分、キャラクターの心の動きに焦点を合わせることができ、青春ストーリーを楽しむめる。しかし、まだまだ私には、この話を深く理解する力はないようだ。
1投稿日: 2025.06.21
powered by ブクログ喪失から始まり喪失で終わった。人生は喪失の連続だ。同じ場所に留まり続けることはできないし、自分の意思とは関係なく街の風景は変わっていく。歳をとるにつれてどんどん話のできる人は死んでいく。このような喪失とどのように向き合って生きていけばいいのだろうか。自分だったらどうなってしまうのだろうと考えながら読んでいた。
1投稿日: 2025.06.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
それは人類がはじめて月を歩いた夏だった。という美しすぎる書き出しがいい。音楽的とも評される文章は比喩表現含めてとても綺麗かつ、自嘲と自虐の目立つ語り口ながらニューヨーカーらしい軽快さもあるアメリカ現代文学らしいオシャレさがあった。 内容としては自伝的な青春小説でありながら、これは家族小説でもある。特に第二部の余命いくばくもない富豪の老人と、第三部の息子がそれぞれ主人公の父であり祖父だったという「偶然」と、それが連なって物語となる「必然」は非常に面白く、いずれも互いが関係性を自覚して双方向になったのは束の間で、死による離別となるのはたまらなく切ない。結局ひとりぼっちとなるラストも含めてかなり薄暗い小説ではあるものの、主人公は間違いなく出会った人間のほぼ全員に愛されており、悲しい物語でありながらそこの部分で奇妙にバランスが取れているなと思った。
2投稿日: 2025.05.13
powered by ブクログとても読みやすく、理解しやすかったです。内容も、特別感動する部分は私にはなかったですが、どうなるか分からない展開で、不思議とリアリティも感じられて良かったです。
3投稿日: 2025.05.02
powered by ブクログ随分と滑稽で、幾分と自虐的な貧乏学生マーコの視点から描かれる随筆チックな青春小説。 どうしたらこんな比喩が思いつくのか?の連続。純文学にも似た美しい翻訳が、思春期ならではの独りよがりの悲壮感、世の中を穿つことでしか得られない優越感と上手く融和していた。 起承転結というよりは、主人公の回想の中で偶発する出来事の連続にゆらゆらと身を任せながら楽しむ物語。
4投稿日: 2025.04.20
powered by ブクログむちゃくちゃに読みやすい(面白い) 私も遺産もらってお金持ちになりたいし、段ボールなん箱分もの本を譲り受けたいなぁと思わされる話ですね。
1投稿日: 2025.04.09
powered by ブクログ翻訳小説とは思えない文章の良さ! 表現が全部良くて、刺さりまくって大変でした。 面白い比喩表現が多くて、言葉遣いがとっても好き。 著者も訳者もほんとに素晴らしいです。柴田元幸さん訳の本もっと読みたくなっちゃった。 内容は非常に壮大で先が読めなくて面白かった。 時系列がごっちゃになってて、頭の中の回想を追ってるような感覚。 楽しかったし、展開が全く予想つかなくて驚かされてばかりだった。 大変面白かったです!
14投稿日: 2025.04.07
powered by ブクログあまりにも良かった。久しぶりにこんなにも喪失にうちのめされている。 両親と祖父を失い、育ての親である叔父も最愛の恋人も失い、疲れ果てた体で辿り着いた海で「ここから僕の人生がはじまる」と思えるだろうか。 好むと好まざるとにかかわらず、世界は自分と関係なく回り続けること、それに身を任せ、偶然を祝福し、怒ったり泣いたり幸福を噛み締めたりして生きていくこと。 絶対的な孤独と、そこに実務的に立ち向かっていけない未熟さ、なのに歴史や文学への造詣は深くて込み入った会話ができるアンバランスさ。 キティさすがに都合がいい存在すぎるけど、明るくて聡明でカッコいいなあ
1投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログ狂った若者とイカれた老人とのキテレツな関係も、読み進めるうちに頼もしいコンビのように思えてくる。 主人公と関わる登場人物の多くは、割り切れない葛藤と独りよがりでもそれを打破する工夫や拘りが散りばめられている。狂っていてもイカれていても同じ人なんだと思えた。 タイトルにある「ムーン」という言葉が、全編に渡って多くの描写に使われているのも読み終えて納得。 これは読んで良かった。 自分の人生の終盤にもう一度読むといいかもしれない。
10投稿日: 2025.01.16
powered by ブクログ最後の1章が良かった。 最後の章の為に、それまでの複雑に絡み合ったストーリーを読んできた甲斐があったと思えた。 最初から最後まで主人公には共感できず、途中で語られる砂漠での物語は正直つまらなかったが、この小説を貫く哀しい諦観のような空気感は楽しめた。その哀しさを最も感じられたのが最後の章であり、最後、主人公が到達した浜辺で見上げた月は、この物語中に一貫して存在する哀しさの象徴に思えた。
1投稿日: 2025.01.14
powered by ブクログこれは良い本です。また、何年か後にじっくり一週間かけて読みたい本です。僕のオールタイムベストの中に入ってきます。
2投稿日: 2024.12.22
powered by ブクログ2024年12月16日、グラビティの読書の星で紹介してる人がいた。このポール・オースターという著者、人気があるみたい。
0投稿日: 2024.12.16
powered by ブクログ柴田元幸さんを知ってから ポール.オースターを知りました そしてやっとこの有名な作品を読むことができました なんともせつない青春小説 月が常にそばにいて 絶望と、偶然と、運命と、に振り回される 「太陽は過去であり、地球は現在であり、月は未来である」ムーンパレスで出会ったこの言葉が 自らの家系を知り、未来を暗示していく
50投稿日: 2024.12.07
powered by ブクログ10年ぶりくらいに再読。フォッグがユタ州の荒野をもっとずっと彷徨ってるイメージだったけど、実際には数ページだった。 世界との繋がりが完全に絶たれたと思っても、意外なところに繋がりは残っている。世界は偶然が支配している。終わったと思ったところから始まる。どんな絶望的な状況でも、世界は自分と関係なしに回り続ける。 「僕はただ歩きつづければよいのだ。歩きつづけることによって、僕自身をあとに残してきたことを知り、もはや自分がかつての自分でないことを知るのだ。」 キティが魅力的すぎる。
1投稿日: 2024.12.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最高。これがロマンチック。 ムーンパレスという名前のままに、何度も月に関するものが出てくる。叔父さんが「金がないからこれ以外送れないんだよ」と送ってくれた1000弱の本とそれを包むダンボールを家具にするという発想。叔父さんが亡くなりそのダンボールを本を読み売ることで悲しみと同時に消費し、叔父さんの本来の「役に立てる」を実行する。売る本もなくなってからは路上生活をするようになりその中でキティと出会い親友とキティに救われる。 次に盲目で車椅子に乗った気の狂った振りをする変わり者のおじいさんエフィングのところで働くことになる。エフィングが急に死を悟り、エフィングの隠された壮絶な物語が開けて行く。最後の目的に強盗を殺して奪い取った金を返すべく、エフィングがエフィングになってから唯一感動した「貧乏人に金をやる」という所業を成し遂げる。最終日、大雨が降り弱っているエフィングが外に出るのは危険だが、そんなことも顧みずエフィングは、昨日出会った晴れの日に壊れた傘を持ち雨が降っているように振る舞う謎の男から貰った傘を持って外に出る。そのうち大雨が降り主人公は雨宿りするようエフィングに言うが、エフィングはそれを無視してズタズタに破れた傘を持って「雨は降ってない」と言い切り壊れたように笑い続ける。最初は唖然としていた主人公も「本当だ、降ってない」とノリ、2人ともびしょ濡れになりながら金を配る。その後からエフィングは主人公を息子のように扱う。人生を肯定されたような気になったんだろうな。 結果、エフィングは肺炎になってしまい「12日」に死ぬという宣言は破られてしまうかと思ったが、エフィングの過去の機械的なまでに規則正しい生活が残っており、エフィングは主人公が気を使って嘘の日を教えたのにも関わらずきっかり12日に死亡した。 それに対する主人公の反応が大笑いなのは少し釈然としなかったけど、エフィングと大笑いしたことを考えれば不自然ではないと無理やり納得した。 次はエフィングの息子、巨漢の歴史学者バーバーと出会う、何度か出会う中ですごく好意的に接してくれる知識人だとしか思っていなかったが、キティが妊娠し中絶したことで別れた時に行先が無くなりバーバーの家にすませてもらうことになった。 なんやかんやあり、2人でエフィングのいう洞穴を探しに行くことにした。その道中母と叔父の墓へ行くと、バーバーが泣きながら母の名を呟き、父親だということがバレてしまう。主人公は感情の行き場がわからなくなったのか、今更でてきたことによる憎しみか、混乱か、激怒しバーバーを後ずさりさせることになった。そしてバーバーは墓穴へ落ちてしまい脊柱と頭蓋骨を割ることになってしまった。が、3ヶ月入院するも回復へ向かっていっていた。 そんな中主人公はまだバーバーが父親だという衝撃の事実を「母が他の男ともやってる可能性がある」という防壁を立てて受けいられれずにいる中、痩せていくバーバーに自分の顔との共通点を見つけてしまう。その直後元々あったバーバーの肥満による不健康が祟りバーバーはもって2週間となってしまった。主人公はバーバーの最期に母親の得意料理を食べさせてやろうと注文しようとしたが売り切れていた。その3日後にバーバーは死亡。 キティも数ヶ月放置してる間に寝盗られてた。 絶望した主人公は闇雲に車を走らせていく中エフィングの言う洞窟を探しに行くことにしたが、砂漠は湖になってしまったらしく見つからなかった。と、捜索している間に100万ドルを乗せた車が盗まれていた。主人公は絶望の末に「これは神による罰だ」と思い込むことにして、中国方面へとひたすら歩いていくことにした。何ヶ月もかけて海まで歩き、海に反射する月を眺めて話は終わる。 とにかくエフィング編が面白かった。純粋な意味での"面白い"変に混み入っていたり、奇を衒ってたり、社会風刺的な面白さではなく、ワクワクする本本来の楽しみを提供してもらった。 終わり方は釈然としなかったし何が伝えたいのかわからなかった。絶望ごっこはやめろ?人生は不条理だ?「何事も真に受けるな」? でも、エフィングが最高だったので、全てよし! ポール・オースター、またよもう!キティはよくわからない、いいや。
0投稿日: 2024.11.23
powered by ブクログ「それは人類が初めて月を歩いた夏だった」 主人公マーゴの物語が始まる。 敬愛するビクター伯父さんを亡くしてから、隙間から見える「ムーン・パレス」のネオンサインを、ただ眺め、思い浮かべるだけの生活を彷徨う……やがて、友とキティという女性に助けられて、無為の果てから生還する。 そののちに出会ったエフィングという人物が、主人公に生き様を見せる。 「……どこでもない場所のど真ん中の、何もない荒野に、独りぼっちで何か月も……わしはどこへもいく必要なんかないんだ。ちょっとでも考えれば、とたんにもうそこに戻っているんだから。このごろじゃ一日の大半はそこにいるのさ……」 物語は次に主人公マーコとエフィングの息子との関わりへ続く……。 このあたりになるとマトリョシカのように話中話が入り込み、やや難解になるが、別に研究者じゃないのでわからないところは気にならなければすっ飛ばして読む(と、思ったけど意外と読める)。 そして、終盤……。 『太陽は過去であり、地球は現在であり、月は未来である』 オースターは孤独だ。
3投稿日: 2024.09.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2024/9/8読了 初P・オースター。書店で名前は見たことあるくらいの認識で、昔の人だとばかり思っていたが、今年4月に逝去されたばかりの歴とした“現代作家”だったことも今回初めて知った。 主人公のマーコは、物件探しで訪れたアパートの窓から、《ムーン・パレス》という中華料理店(尚、解説によると実在した店とのこと)の看板のネオンサインを見て、ここが住むべき部屋だと直感したが、僕もろくに内容を知らないまま、タイトルに惹かれて買ったようなもの。月の引力は凄まじい? 作者自身が「唯一のコメディ」といったという本作だが、喜劇かはともかく、作中でマーコが度々、大切なものを失い、時に貧窮してどん底状態になっても、そこにあまり悲劇的な印象は受けなかった。寧ろ、それを契機に自分は生まれ変われたんだ的なポジティブさすら感じられたが、“先達”たるエフィングもバーバーも、自身の人生と向き合い、未練やら後悔から解放されるのに死を要したことを思うと、この物語での“生まれ変わり”(≒生き直し)はかなりリスキーな段階を経なければならないようだ。それをマーコはやっちゃう。最後、すってんてん状態でネバダからカリフォルニアまで歩き通し、太平洋を見ながら、『僕の人生がはじまる』とか思えちゃう。これが若さ故ならば、愚かしくも、羨ましくも眩しくもあり、そう感じる自分が……歳食ったんだなぁと思ってしまうのであった。
3投稿日: 2024.09.08
powered by ブクログ『幽霊たち』とともに、まとめ買いして読んだ本。 個人的にはこちらの方が読みやすくて好きだった。ちょっと都合のいい偶然や、いかにも小説らしい壮大なプロットなどが臭いといえば臭いが、軽く読みたい気分の時には結構読める。 と言いつつ、ポッドキャスト番組『翻訳文学試食会』では、お二人ともポール・オースターをくさしてたなぁ。。
0投稿日: 2024.09.05
powered by ブクログ人生で何度も読みたくなる本。 高校生の頃、吉祥寺のヴィレッジバンガードで購入した。 ポップでお勧めされなければ手に取ることさえしなかっただろう。
0投稿日: 2024.08.01
powered by ブクログ主人公のフォッグはハードな人生を送っている。様々な人との出会いがあって成長と挫折を繰り返す彼の姿に勇気をもらえた。 とても魅力的な主人公だった。 そしてストーリーの緩急が素晴らしい。 作者の才能をひしひし感じながら読み進めることが出来て、とても良い読書時間だった。 最近読んだ小説の中でいちばんお気に入り!
0投稿日: 2024.07.07
powered by ブクログ"'人類がはじめて月を歩いた夏だった" 伊坂幸太郎の重力ピエロ、春が2階から落ちてきた。と並ぶくらいロマンチックな書き出しです。 大切なものを手に入れては失っていく主人公の苦しむ姿を美しく感じました。 欲しいものを手に入れるにはそれを欲しがってはいけないなんて、果てしなく青春だ....。羨ましい。 そして侘び寂び万歳。 ひとつひとつを見れば悲劇ですが、俯瞰で見ると喜劇です。 こんなチャップリンみたいな小説がつまらないわけがない。 雨を感じながら読むのにはぴったりの本でした。
3投稿日: 2024.06.30
powered by ブクログ初のオースターは大変素晴らしい時間になった。 とにかく物語の展開が凄まじく一気に読んだ。流浪の青春を描きながら家族の話に帰結する巧みさに加え、人間の悪よりも善に光を当てるスタンスが心地よい。
0投稿日: 2024.06.18
powered by ブクログ21歳初夏、今後の人生になにか影響するかと思い期待して買ってみたものの、長い割にあまり心に響かなかった!何故! エフィングとの生活のフェーズが1番おもしろかったし印象に残った。なかなかの変わり者の主人公マーコが何故キティと付き合えているのか分からなかった。この、変わり者の男がなんか美女にモテるっていう構図が村上春樹の感じと同じでちょっとうーん… このあっけなく終わってしまう感じ、みんな幸せにならない感じが良いんだろうか。この良さが分かるまで、もうちょっと寝かせておく。
0投稿日: 2024.06.10
powered by ブクログしかるべき時間に間違った場所にいて、然るべき場所に間違った時間にいる。 それぞれの人生とつながり。 引き込まれたあとは一気読みのすごい作品。
0投稿日: 2024.06.03
powered by ブクログ誰も自分を知らない場所に行きたい、と思う時があったりするけれど、自分を気にかけてくれる人が誰もいなくなる、という事に恐怖を感じた作品でした。 関係ない人もいるだろうけど、年齢を重ねれば重ねるほどその恐怖は重くのしかかる気がしました。 最後の主人公の気持ちはよくわからなかったけれど、 僕らは歩いていくしかないんだと思いました。
1投稿日: 2024.04.30
powered by ブクログ誰かのおすすめ本で紹介されていて 気になって購入後、積読したままにしてたら 何に惹かれて買ったか、どんな内容か さっぱり忘れてしまってた わたしの最近の傾向でSFだったかなーと 思いながら読み進めたが、物語である。 僕の視点で話はすすむ むむむ、最後まで読み切れるかなー と不安になりつつ、読み進める 50ページも過ぎた頃からか どんどん引き込まれていく 彼の中に。 小説って、また読もうと思うものはなかなかない 一回読んで、あーよかった、面白かったと でも、最後まで、ワクワクもするし 人生についてすごく考えさせられる アメリカ文学って、結構文化的なことを 知った上じゃないと楽しめないのが多くて 苦手だけど 知らなくても、訳も素晴らしいのだからだとおもうが すんなり溶け込める そして、人生の移り変わり、はかなさ 生きること、死ぬこと 偶然や必然や運命や いろいろ思うこと尽きない 初読みでは、全ては移り変わる 執着なんてしても無駄だなーと 今の自分をかえりみた 年齢を重ねて、再度読みたい もし、病気で死ぬ間際、病院に横になって 読むなら、どうしても読みたい そんな本です。 巡り会えてよかった!
12投稿日: 2024.04.08
powered by ブクログ君が手にするはずだった黄金について(小川哲)に、出ていた本で、かなり興味をそそられたので読んでみた。 結果、かなり時間をかけてやっとこさ読了(笑) 退屈になりそうになると、少し興味がわくシーンへと続く展開が数回ある。 のんびり旅の電車が好きな方は、車中で読むのにお勧めする。そして、時代背景を楽しみに、古典を紐解くのも悪くない。 更に「ミスター・ヴァーティゴ」も面白いと彼女(君が手に・・・に出てくる)が言っていたので、これもブックマークしてある。
9投稿日: 2024.03.28
powered by ブクログ何かに導かれるようにして出会ったこの作品は、私にとって今のところ唯一、心の底からおもしろいと感じた翻訳小説である。 個人的に古典的な翻訳小説で難しいのは、断片的には面白いのに特に章立てがないためストーリーの繋がりが理解できないところだったけれど、「ムーン・パレス」は、それにもかかわらず最初から最後まで夢中で駆け抜けた。まさに青春小説の傑作。本棚に大事にしまって、何年後かにまたそのページを開きたい。
0投稿日: 2024.02.11
powered by ブクログクリスマスが近い雪の降る夜にトムウェイツを聴きながら #読了 大切なものを失うことでしか生を感じられない青年の、奇妙な偶然に満ちた半生 青春とはこのようにして終わるのだな 素晴らしい小説だった
0投稿日: 2023.12.21
powered by ブクログ楽しい時も、そうでない時も、いつか終わる。巨人軍は永遠に不滅です、はあるが、ほとんどは滅ぶ、祇園精舎。 映画の「最強のふたり」を思い起こした。 長い旅路、ストーリー。p526巨編。 世の中、宇宙、ええ、だよね、狭い。ほんとに。 なんだかなあ、と思った。しみじみと。ああ。
0投稿日: 2023.12.03
powered by ブクログ村上春樹を彷彿とさせるような、 非常に読みやすい文体。 書き出しが本当に素晴らしい。 この書き出しに、ノスタルジーもワクワク感も凝縮されている。 再生と喪失を繰り返す人生 登場人物もみんなチャーミング 青春小説の傑作!
1投稿日: 2023.09.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アメリカ文学の人気作家、ポール・オースターの青春小説。 物語序盤では、主人公は大学で勉学に励む最中、唯一の家族を失い、失望のあまり死を待つようにホームレス生活に身を投じることとなる。 その後の主人公の転落から再生を描く中には、諦念からの自己認識、そして無我の境地という、どこか仏教的な思考の経過を辿る場面がある。 所々にインディアンと現代アメリカ人の対比なども散りばめられていて、主人公が生きた時代(第2次大戦後からベトナム戦争真っ只中)、その当時のアメリカの価値観から逸脱した生き方や哲学が強く現れていると見てとれた。 作中前半、『欲しいものを手に入れるには、それを欲しがってはならない』と主人公が語るシーンがあるが、物語の流れ自体まさにそのように進んでいく点に、作者の繊細な筆致を見ることができる。 物語の中盤から後半に至っては、主人公がことごとく大事なものを失っていく様が描かれていて、少し見ていて辛くなるが、青年期だからこその心の痛みや気持ちの整理を上手く付けられない不器用さなどが端的に表されていて、美しさを感じた。 さらに自身の家系の謎が解けていく過程や、最愛の恋人との関係性の変遷・物語の全体的な哀愁・また主人公を取り巻く周囲の人たちとの出会いと別れ、あらゆる所に「月」を連想させる事象が散りばめられていて、非常に美しい作品だった。
0投稿日: 2023.08.21
powered by ブクログ実存とアイデンティティーを巡る旅が、 こんなふうに結びつき、 答えに行き着くとは。 3人の男性(いや、おじさんも含めて4人か)が己を見出し解き放たれるために、 それぞれがすべてを得て、 すべてを失う必要があったわけだが、 みなそこに一筋の希望が生まれている。 ポール・オースターが、 自作のうち唯一のコメディだと語っているらしく、 それはわかる気がする。 すれっすれの切実な破滅が中心にあるからこそ、 各々の悲劇性が抜群の喜劇になって昇華されている。
0投稿日: 2023.07.29
powered by ブクログ良い本だ。 M.S.フォッグの生き方に対しては、自分もそうなってしまうのではないかという不安と、羨ましさの感情が混ざる。
1投稿日: 2023.07.18
powered by ブクログ柴田元幸という翻訳者を知った小説。それ以来、オースターの新作を積読する日々。村上春樹っぽい今作を超えるものは個人的にはない。柴田元幸は翻訳はもちろん、エッセイが面白い。東大でのお仕事はどうなっているのでしょうか。
2投稿日: 2023.04.07
powered by ブクログ主人公マーコ・フォッグが盲目の老人トマス・エフィングの見回りの世話をするバイトをするところを読んで、これは映画『セント・オブ・ウーマン』ではないかと思いました。アル・パチーノがアカデミー主演男優賞を取った映画、面白かった。1回目見た時はタンゴを踊るシーンしか覚えてないのですが、何十年後かに見た時はアル・パチーノの演説シーンの迫力に驚いたものです。こちらの2人は言葉と食べ方が汚い老人と青年が口論するような関係で、そもそも見た感じがだいぶ違います。ですが、青年が成長して老人が少し考えが変わっていくところは一緒です。 途中からマーコ・フォッグとトマス・エフィングの本当の関係が判明していく過程がこの小説のひとつの面白さです。ポール・オースターはNY三部作でも推理小説の要素をちらつかせて読ませてきましたが今作でも同じです。 マーコ・フォッグにとって月とは社会情勢にも人間関係にも影響されない場所という意味があると思います。それでマーコが月に行くための決断がすべて間違っています、ビクター伯父さんにもらった本を売る、お金がないのでセントラルパークで生活をする、トマス・エフィングのところでバイトを始める、妊娠したキティ・ウーと分かれる、ソロモン・バーバーを穴に突き落とす等々。彼のずれた言動、突発的な行動力、飛躍した思考が楽しいのです。
2投稿日: 2023.02.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
抗いようのない絡み合う運命って感じがした 本当にできすぎた話なんだけど、引き込まれる 終わったあとの何もない感じがある意味さっぱりしてていいのかも ブレイクロックの『月光』と最後の月の描写が好き
0投稿日: 2022.08.25
powered by ブクログかなり長い小説だったが、飽きずに読めたので面白かった。 主人公や周辺の人物と関わる青春小説で、最後の閉め方が素敵だった。
1投稿日: 2022.02.21
powered by ブクログ文学ラジオ空飛び猫たち第59回紹介本。 人類が初めて月を歩いた夏から始まる、一人の青年の成長を描いた青春物語。 夢想家のビクター叔父さんとの思い出、ブルックリン美術館のブレイクロックの月光の絵、「太陽は過去であり、地球は現在であり、月は未来である」という言葉。印象的な描写が数々あって、青春時代に読んでいたらきっと大きく影響を受けていたと思いました。柴田元幸さんの訳も素晴らしかったです。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/59-e197mts
1投稿日: 2021.12.31
powered by ブクログ冒頭の珠玉の一文から一転、誇大妄想癖の鬱屈した青年の青春物語が始まる。冗長な独白や蛇足のようなエピソードなど読み進め難くなる部分もあるが、機智に富んだユーモアのセンスや、感傷的かつ暗喩的な表現の美しさに魅かれた。 度重なる偶然とともに物語は進展し、終幕に向かって奇妙で散らかった個人的な物語は収斂していき、主人公は普遍的とも言える出来事により喪失を迎える。評価が別れそうだが、ある種のあっけなさが私は好みだった。 もしも多感な10代の頃に読んでいたら、どう感じただろう、読んでみたかったなと思う。読んだ後に反芻したくなる作品。
4投稿日: 2021.10.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
天涯孤独で、伯父が遺してくれた本を売りながら極貧生活を続ける冒頭や、偏屈なエフィングの話し相手をしながら彼の死ぬまで介護をする中盤、最良の友にして実は父親であったバーバーと出会い、彼を失う後半、どれも状況として過酷ではあるけれど、どこでもユーモアを忘れず静かに前を向く主人公の僕に明るい気持ちにさせられる。嫌なやつに思えたエフィングが50ドルを人々に配って歩くあたりや、実はフォッグをかわいがっているあたり、あるいはフォッグが複雑な生い立ちを持つエフィングやバーバーの話を聞いてあげているあたりはとても優しい物語だった。バーバーが黒人女性に家を遺そうとしたり、原爆や水爆に反対したり、人種差別や戦争についてもさりげなく柔らかく触れていて、全体としてやはり優しい物語、という印象。
0投稿日: 2021.08.22
powered by ブクログうぅむ、独白が延々と続くスタイル。村上春樹などで馴染みのある形式だけれど、まず長い。前半はそれで少し読みためらう。 それでも、主人公の目を通した世界は、妙な既視感があり、すんなりとこちらに入ってくる。わくわくするものでないが、語り上手なのは間違いない。 中盤以降、その展開はこちらの予想を遥かに上回るもので、鮮やかであるとともに、大人に向かっての彷徨を見事に語り尽くす傑作。
0投稿日: 2021.08.06
powered by ブクログ人生を放棄しかけたところで奇妙なアルバイトを始めたマーコ。雇い主の老人の依頼を遂行するうちに彼は生きる実感を取り戻し、更に自分の出生の秘密にたどり着く。喪失から始まりへ。そこに愛のようなもので一気通貫させてるような気にもさせるが、そこはどうでもいい部分だ。人生には色々な側面があって、そこには色々な自分がいる。人生はそういうものであり、それをそのまま受け入れるしかないのだ。
0投稿日: 2021.06.24
powered by ブクログ15年ぶりに読み返した。 失い続けることによってしか「生」を実感できずに生きてゆく主人公が、ようやくリアルな生命感に至るまでの旅路。 自分も旅をしたかのような読後感を得た。
2投稿日: 2021.04.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
まず最初の一文、「それは人類がはじめて月を歩いた夏だった」に惹かれ、この文章を自分の手中に収めたいと思い購入した。 しかし読んでみたら綺麗なものばかりではなく、むしろ人間の汚れた部分のほうが多かった。 読んでいくにつれて、不思議な読み心地だと感じた。異なる人生が語られているけれどどうしても流れが感覚として似ている、という点が不思議だと思わせたのだと思う。 ソロモン・バーバーが父親であるとわかった時のあまりの歪さに、今までずっと読んできたものがこうして繋がってしまうのかと、それに気付いたその瞬間がたまらなかった。一人一人の人生について詳細に語られるため、一つ一つの人生に浸かっている間に、時系列の整理や人物の整理がしっかりと追いつかずにいた。しかし、それが私にとっては良い方向に作用したのではないかと思っている。自分の中でこことここに繋がりがあるのではないかと考えて予測することを半ば諦めていたために、全てが繋がった瞬間、語られてきた人生たちがよりスッと自分の中に入り込み、驚き、興奮した。また、そのすこし後に、主人公がバーバーは自分の父親だと理解してしまった時のあの勢いも忘れられない。 考えてみると主人公は自分の身内の死を短期間で何度も経験させられ、それに加えて救いの女神さえも失い、そんな酷な試練があるかとも思ったが、物を滅茶苦茶に壊す、壊れてしまった彼を最後に見られたことでなんだかこちらの気持ちも少し晴れた。
0投稿日: 2021.04.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
さいこう 妄想癖のある青年がいくつかの人と出会い別れることで、愛、出自、喪失を識る物語。 出来事の中に因果律を感じるというスピリチュアルな体験を印象的に感じた。フォーチュンクッキーとか壊れた傘とかチキンポットパイとか。テスラの目に見透かされて芸術を目指すという話が好き。 衝撃的な事実も客観的に描かれていたり、ずっと創作話を聞かされてるような愉快さをかんじ読み続けてしまった
1投稿日: 2021.03.08
powered by ブクログ「人類がはじめて月を歩いた夏だった。」 書き出しのこの一文で、私はこの小説を絶対に好きになる、とすぐわかった。信じがたいしめったに出会えるものではないのだけれど、そういう小説ってちゃんと存在している。 主人公のマーコ・フォッグは11歳の時に母親を交通事故で亡くしてから、唯一の血縁であるクラリネット奏者のビクター伯父さんと共に、土地を移り住みながら生きてきた。父親の顔は知らない。 成長しコロンビア大学に進学したのを機に一人暮らしを始めるが、そのうちに伯父さんも突然亡くなってしまう。 マーコはあまりの絶望に我を失い路頭をさまよって破滅の一歩手前まで追い詰められるが、そこを旧友のジンマーとキティ・ウーに救われることとなる。 二人に支えられながら少しずつ回復してくると、マーコが社会復帰のためとみつけてきたのは、とある屋敷に住む全盲かつ両足不全の老人の話し相手になる、という奇妙な仕事だった。 マーコめがけてやってくる不可思議な偶然と、その偶然が次から次に解き明かしていく運命の連鎖のようなものに、ただただ目を見開きながら読んだ。ここでは偶然は奇跡であり、奇跡はまた偶然だった。マーコの人生はいったいどうなってしまうのか、行き着く先はどこなのか、終盤にすすんでも展開はまったく予測できなくて、魅力的な登場人物とリーダブルな文章に手をひっぱられ夢中でページをめくり続けることしかできなかった。 ビクター伯父さん、キティ、エフィング、ソロモン・バーバー。たくさんの出会いがあって、別れがあって、でも失うことでまた新しく知って、ユタからカリフォルニアまでの砂漠をひたすら歩いて、ようやく人生というものが始まる。マーコの人生はそうして今も続いている。 読後には切なさと苦しさが喉元までせりあがってきて、私は、と思わずにいられなかった。私は、私の人生は、もう始まっている?あるいはまだ始まっていない、あるいはちょうど焼け石のように丸く黄色い満月の下の砂漠を歩いている? 月が随所にモチーフとして出てくるところも好き。 コロンビア大学すぐそばの中華料理店「ムーン・パレス」は、きっと優しい光でマーコを明るく照らしてくれる月みたいな場所なのかもしれない。原点のような。いつも静かに変わらずそこにある。 中でも個人的にものすごく心に刺さったのは、老い先短いエフィングがマーコの将来を心配して今後の計画について訪ねるシーン。「君は夢想家だからな」「君の心は月に行ってしまっておる。たぶんこれからもずっとそうだろう」 マーコは実際何も考えていなかったが、コロンビア大学の図書館学科に願書を出して司書になるつもりです、と嘘を並べて答える。「考えてみれば、図書館というのは現実世界の一部じゃありませんからね。浮世離れした、純粋思考の聖域です。あそこなら僕も一生、月にいるまま生きていけますよ」 この会話を読んで、ぶわっっっと全身に新鮮な酸素のようなものが行き渡るのを感じた。 私も図書館でずっと働いてて、誰かになぜ図書館なの?と問われてもただ好きだから、としか返せなかったのだけれど、そういうことだったんだって答えを手に入れたかのような気持ちになった。 私の心もとっくに月に行っていて、そして私は月にいるまま生きていたかったんだって気づいた。そうか、図書館って、そういうことだったんだ。 序盤にしか登場しないビクター伯父さんもすごく素敵な愛すべき人物なので言及しておきたい。 マーコ・スタンリー・フォッグという本名をからかわれ続けてきたマーコが15歳の時にM.S.Foggと短く名乗るようになった一件について、それがmanuscript(原稿)の略称でもあることから、ビクター伯父さんは「人はみな人生の作者だからね」と言って喜んでくれる。「お前が書いている書物はまだでき上がっていない。ゆえに、それは原稿である。だとすりゃこれ以上ぴったりの名があるかね?」 伯父さんはいつだって、あらゆる物事から隠された真理を読み取ることが得意なのだ。 マーコがその後の人生でたくさん散らばっている偶然や予兆を見逃さないで、見失わないで自ずからつかまえてこられたのは、きっとこうした伯父さんの姿にずっと学んできたからなんだろう。 ポール・オースターという作家の小説を初めて読んだけれど、とにかくとても良かった。 それこそ偶然がつれてくる先の遠く向こうにある何かへの予兆を信じてしまいそうになるほど。 柴田元幸さんの訳文も素晴らしいですね。読者が登場人物たちを、ストーリーを、小説そのものを愛さざるを得なくさせる魔法がかかっているみたい。
18投稿日: 2021.03.06
powered by ブクログ老人と過ごした日々を綴った部分が心に深く深く刺さって響く。大切なことを教えて貰った気になった。大切にして生きていきたい価値観があった。 始終寂寥感に包まれているが、読み終えた後の微量な清々しさは心地よい余韻だった。
1投稿日: 2021.02.28
powered by ブクログ自分の存在とは?父というその重要なパズルピースを巡る男たちの物語として読んだ。柴田元幸さんが翻訳を手掛けている作品らしくオースターのこの作品は村上春樹作品にも通じる幻想性と抽象性(暗喩的)を多分に含む。不思議に連なっていく男たちの縁がパズルを完成させたとき、彼等は神にどう裁かれるのか?生きることの美しさと哀しさ、残酷さが詰め込まれた作品だった。
0投稿日: 2021.01.05
powered by ブクログポール・オースターといえば、いわゆるポストモダン系の独特の世界観を、美しい文章(音楽的ともいうそうだ)で描く、というようなざっくりした印象を持っていたが、本作はそういった曖昧な感想を全て吹き飛ばすほどのインパクトをもっている。過去の作品では、ストーリーが進行しても何も起こらない(だけど面白い)という作風が一つの持ち味だったが、本作ではいろんなことが起こり、ストーリーもアクロバティックな展開をする。そして当然であるが、その方が小説は面白い。 分類としては青春小説と言えるだろう。著者自身が在籍していたコロンビア大学を舞台に物語は始まり、書き出しから独特の切実さが感じられる。60年代の物語でもあり、親子間のつながりの物語でもあり、生と死をめぐる物語でもある。やっと手に入れたものが、脆くも失われていく。それらに共通する一つのシンボルとして語られる、タイトルにもなっている月が、非常に効果的に幻想的なイメージを喚起させる。 著者自身は本作を「これまで書いた唯一のコメディ」だと語っている。ストーリーは全く思いもよらぬ方向に進んでいくが、読んでいて違和感は覚えない。「コメディは、いつ陰惨な悲劇に転じても不思議はないことが見えるとき、正当なる切実さを獲得する」これは訳者である柴田元幸の言葉。 今年読んだ中のベストです。
0投稿日: 2021.01.03
powered by ブクログ章をまたいで続くものは殆どなく、人間関係も場所も変わってゆくんだけど、月だけは形を変えながらもどの章にも現れる。 チキンホットパイのくだり、わかるような気がするなあ。
0投稿日: 2020.12.31
powered by ブクログ『幽霊たち』が好きだったので読んでみた。 頭のイカれた男の大学生時代の鬱陶しい独白が100ページくらい続いて参った。 全体と通して老人の気持ち悪い食事のシーンや肥満男の不快な描写など気分とことん害してくれる。 金があるから豊かなんだという80年代的な美学に貫かれており、そこにも寒々しいものを感じた。
0投稿日: 2020.12.27
powered by ブクログ少年が淡い光を頼りに月夜を彷徨している印象だ...叔父との貧しい思い出。老人の回想録。歴史学者との旅路。何か繋がりがあるのか...そこが物語の核心だ。面倒なアメリカ文学特有の比喩的表現は寧ろ心地良く、軽妙な話術も作者の力量を存分に楽しめた。
0投稿日: 2020.11.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一人の若き青年の物語。思いもよらぬ偶然の出来事が次々と起こり、物語が複雑に展開してゆく。 登場人物の男逹の物語は、主人公の肉親の物語でもあったのです。 この物語には「月」が一つの象徴となっています。それは、主人公の人生の幸運であったのかもしれません。 そして主人公が本当の意味での人生の新たな幕開けを得たことに、深い安堵を感じました。若き青年の人生はこれからはじまるのです。 愛と別れの、青春の感動の一冊。
31投稿日: 2020.10.30
powered by ブクログマーコ、フォッグなどいろいろ呼び名がある「僕」が主人公。「僕」の父は不明で、母は早くに亡くし、唯一の家族だった伯父も「僕」が大学生のときに亡くなってしまう。「僕」は人生を放棄し、公園で浮浪者の生活を送るようになってしまうが、限界のところで、友人のジンマーと中国生まれの美人、キティ・ウーに助けられる。そこから画家や歴史研究者の出会いを通して、自分の人生の過去、現在、未来を見つめていく物語。500ページほどあるが、すんなりと退屈せず読めた。すべてを失ってから、また新たに人生を始めていこうとする流れが好きかなぁ…
0投稿日: 2020.08.14
powered by ブクログ序盤、中盤、終盤と全く違う男のストーリーが展開し、偶然がつなぐ...などと陳腐な言葉を使うと物語の根本を全く説明できていないんだけど(読めばわかるんだけど)、とにかくその偶然が感動的に物語を突き動かす力にはなっておらず、むしろ主人公の取り留めのない夢想癖に加担する形になるため、「偶然」という事象に対して読んでいる間ぼやぼやと考えることになる。(この現象は「偶然」にだけでない) 映画や、よくある娯楽小説のように激しく物語がにわかに展開していくなどのわくわく感はないけど(作者の作風からして)常に頭を使い続ける感じの読み方はができるので面白いと感じる。
0投稿日: 2020.08.09
powered by ブクログ著者の作品は三冊目。毎作品根幹にある【喪失と再生】は著者の普遍的テーマなのだろうか。今作はロードムービーテイストの親子三代に渡る大河的なストーリー。彼らの悲劇的かつ喜劇的な人生を『著者唯一のコメディ』と評されると確かに合点がいく。興奮と退屈が交互に訪れる起伏の激しい展開だが、この掴み所のない冗長さが終盤戦への前フリとは思わなんだ。しかし、今作の作中掌編のディテールには流石に閉口する。私は作中の『人は絶望によって解放される』という台詞がとても印象的。余談だが、チャンドラーの影響を既読作品中最も色濃く感じた。
0投稿日: 2020.07.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
特別な一冊になればと思って購入したが、今の自分にとってはあまり響かなかった。 時折見せるユーモラスな表現や、物語の山場には何かを期待せずにはいられなかったが、内容の割に文字が多めで話のテンポが遅く感じ、途中読み疲れてしまった。 初めは、両親がいない主人公マーコ・スタンリー・フォッグが、育ての親であるビクター伯父さんを亡くしたことで人生に絶望し生活が悪化、敢えて何もせずに貧しい生活を送り命の危機にさらされる。 そこでルームメイトのデイビット・ジンマーと、以前1度だけ面識がある中国人女性キティ・ウーに救われ、その後ジンマーの部屋に居候し、衰弱した肉体を回復、そしてキティと関係を持つ。 ここまでは、不器用な若者が己の過ちに気付き再生するまでの物語、そして青春の幕開けという感じだったが、マーコが人生をやり直すためトマス・エフィングという老人の介護のアルバイトを始めたことで次のフェーズに突入する。 その老人は掴み所が無く、ある日は呪詛と罵倒が飛び、またある日には深い共感のこもった温かい言葉が出てくる。本心なのか全てが演技なのか…エフィングの屋敷に住み込み、看護師兼家政婦のリタ・ヒュームと生活を共にしていく中で、マーコはこの精神的鍛錬の日々に適応していく。そんな中、エフィングは自分の先が短いことを悟り、今まで秘密にしてきた過去をマーコに打ち明ける。 この老人が語った壮絶な過去によって、トマス・エフィングの存在感はより大きなものとなり、まるで別の物語を読んでいる様な印象を受けた。 死が迫っている老人の行動は無意味に感じるが、もし自分が年老いてその時期が来た時に、エフィングの様に選択する気力を保てるのか、意味が無くても行動を起こす原動力は何なのか考えさせられた。 彼の死後、マーコはエフィングの息子だと明らかになったソロモン・バーバーという男へ手紙を送るが返事は無く、キティと共に新しい生活を始める。エフィングが亡くなってから4ヶ月ほど経ってから、バーバーから返事が届き、ようやく会うことに。 バーバーは相当な巨漢でハゲているが、ウィットにあふれる魅力的な人物だった。お互いの情報を交換し、意外な真実が明らかになる。エフィングの息子であるバーバーは、当時教え子だったマーコの母エミリー・フォッグと関係を持ち、2人は別れる。その後、マーコが産まれる。つまりバーバーは実の父親であり、介護していたエフィングは祖父だった。 意図せず父親との再会。だが、キティが妊娠したことで、出産に対する意見の違いからマーコとキティは別れることになる。落ち込むマーコを元気付けようと旅に誘ったバーバーだったが、旅の途中、2人でエミリーの墓参りに寄った際に墓穴に落ちてしまい、しばらくして亡くなる。 孤独の身となったマーコは、1人エフィングが語っていた洞穴を探し続けたが見つからず、ついには陸の果ての浜辺までたどり着き、夜空の闇に浮かぶ月を見つめる。悲しみの果てに彼は何を思うのか… 全て読み終えて、この作品は何が伝えたいのか自分には分からなかった。また不幸な登場人物が多いが、なんとなく強引にバッドエンドにしているように感じた。主人公の孤独を演出にするために、最愛の恋人とは別れ、父親が穴から落ちたことが原因で亡くなるという間抜けな最後。感情移入もあまり出来なかったし、心も動かされなかった。 もしかしたら、この感想は読み手の自分に原因があって、条件さえ整えば今回理解できなかったこの作品の魅力に気付けるかもしれないため、またいつか読み直したいと思う。
3投稿日: 2020.07.05
powered by ブクログサバイバルな展開って王道におもしろい。お金がないときの生活の苦しさはちょっとお金に困ったことのある人なら共感できると思う。ポールオースターの小説は変な人ばっかり出てくる。普通にいたら距離を取られちゃうようなアウトサイダーな人たち。車椅子の気性の激しいおじいさんとか、めちゃくちゃ太ったおじさんとか。キャラが濃すぎて、大袈裟で嘘っぽい。死に方も浮世離れしてて、ザ・現代アメリカ文学っぽい。たくさんの別離が描かれてて、なかなか切ない。チキンホットパイが品切れで気持ちが切れちゃうとこがよかった。あと前半の、最後の卵が割れちゃって絶望するところ。ギリギリで生きてる場合、そういう小さいことでプツンと切れちゃうんだろうなと。でも後から振り返った形式で、今の主人公は再出発した位置から書いてるから、爽やか。けど当時はすごくヒリヒリした感情的な気持ちだったこともわかって、まさに青春小説って感じ。人生のある嵐のような時期を思い出して書いている。内省的。年代とか実在の野球選手とか地名とかはっきり出てくるのに物語は浮世離れしてる浮遊感が魅力。 以下引用 訳者の柴田元幸氏は"偶然による愉快な展開のすぐ横に混沌の暗い深淵がぽっかりと口を開けてる古典的なイギリス小説を思わせる"と、この作品の立ち位置を捉えてる。 また、"コメディーは、いつ陰惨な悲劇に転じても、不思議ではない事が見える時、正当な切実さを獲得する"と見事に解説し、オースター自身唯一のコメディー作品となるこの一冊を"物語の欲望を目一杯満たしてくれる"と、手放しで評価する。
0投稿日: 2020.05.04
powered by ブクログ通読はおそらく3回目。アンニュイな読後感がある。でも読み返してみると結構救いようのない話だな…。物語の中核となるエフィングとの関係はセントオブウーマンを彷彿とさせる。ポールオースターの作品で最も好きなうちの一つ。
0投稿日: 2020.02.09
powered by ブクロググイグイ引き込まれる文体。メインとなるマーコ、トマス、ソロモンの3人の男を筆頭に、登場人物の描き方がとてもよかった。古き良きアメリカへの郷愁が強く感じられ、アメリカ史上のターニングポイントも抑えてくるので、自伝的な要素が強く感じられる。 人生は必然性によって決められるのか、それとも偶発的な要素によって決められるのか。自分の人生を振り返る際にとても役に立つ本だと感じた。人生の中での大きなイベントの度に読み返したい。かなりストライクだった。
1投稿日: 2020.02.05
powered by ブクログマーコは18歳でニューヨークに出てきた。母は11歳の時、雪の日にトラックに轢かれて亡くなっていた。コ ロンビア大学の一年生の時に、寮からアパートに引っ越し、シカゴの伯父が千冊以上もある本を餞別にくれた。父は最初から居なかった。 伯父と住むようになったが、この伯父はクラリネット吹きだった、気持ちのお落ち着かない人で、何か始めると次々に頭に夢想、幻想が現れ、それに導かれて纏まらない暮らしをしていた。 トラック会社の補償金と伯父の援助で暮らせたが、伯父が旅先で亡くなり、本は伯父の気分やを写して脈絡もなく読んだ順に部屋に残った。生活は逼迫してきた。ひとつの箱を開けては、読んだ分から売りに行った。大学は伯父の願いだったのでやっと卒業する。 ---伯父さんの過去に足を踏み入れるたびに、現実社会において物質的な変化がもたらされた。それらの変化の具体的な具体的な結果はいつも僕も目前にあった。逃れるすべはなかった。残存する箱の数と、消滅した箱の数の和は、つねに一定なのだ。部屋の中を見回すだけで、事態は否応なしに目に入ってきた。部屋は僕が置かれた状況を測定する機器のようなものだった。僕というものがどれだけ残っていて、どれだけなくなってしまったか。。ぼくはそうした変容の犯人にして目撃者であり、たった一人の劇場における観客だった。自分の四肢が切断されるのを、僕はつぶさに見届けることができた。自分自身が消えて行く過程に、逐一立ち会うことが出来た--- こうしてアパートも出て公園をさまよい、風邪で死の幻が見えてきたとき、友人のジンマーと中国人キティーに助けられる。 動けるようになってジンマーがくれた「パンセ」のペーパーバックだけを持って老人の付き添いになる。 ここからこの物語は実に奇妙な展開になる。下肢の動かない90も過ぎた枯れたような老人は、家政婦に言わせれば「あの脳みその中はいつも何かぐつぐつ煮えていて確かにちょっとおかしいひと」だそうだ。 変り種の導師としての、エフィング。世界の神秘へと招きいれようとするエフィング、エキセントリックな先達、身勝手と傲慢、意地悪爺さん、燃え尽きた瘋癲男、すさまじい罵倒の言葉。そんな老人に半ば惹かれ、自分をおさえながらこの仕事を最後までやりぬいた。告別用の参考だというので老人の一代記を聞く。彼の話はまるで「ほら吹き男爵の冒険」かと思えるほど、虚実の曖昧な波乱万丈の物語だった。盗人の上前をはねた莫大な資金を資金にして今も暮らしている。だが、どこかにいる息子を探したいと人並みの感情がわいていた。 探し当てた息子は、小さな大学で教える教授だったが、彼と親しくなった。 物語を書いていると言う。そして「ケプラーの血」という題名の原稿を送ってきた。居なくなった父から始まる不思議なSFで自伝の様なものだった。 彼と親しくなった経緯とその後は、まるで偶然が運命のように襲いかかる、怒涛のストーリーといえるかもしれない。 人の繋がりが全編を通して暗く哀しく、オースターの作品を読んでいて、この入れ子のように構築された物語が、ウソと現実が、曖昧な現実を越えると、そこに深い、単に生きていることの不思議だけが残る。 ジンマーがいう。 「君は夢想家だからなぁ」と彼は言った。「君の心は月にいってしまっておる。たぶんこれからもずっとそうだろう。きみには野心と言うものがないし、金にもまるで興味がない。芸術に入れ込むには哲学的過ぎるどうしたものかなぁ」 しかし彼は不思議な偶然は神秘的かもしれないが、何らかの必然が働くこともあると知ってしまった。 ユタから徒歩の旅に出て行く。 次第に不思議な世界に連れ去られるようで、一気に読んだが興味深く面白かった。
0投稿日: 2020.01.05
powered by ブクログ内容は少々盛り上がりに欠けていて、最初から最後まで淡々と物語が進んでいくが、なぜか不思議と夢中になって一気に読んでしまった。交錯する運命、人々の繋がり、偶然が呼び起こす奇跡。人生に秘められた答えの一つがここにあるのか。ムーン・パレスという表題がとても美しい。
0投稿日: 2019.10.06
powered by ブクログ2019.6.15 ダラダラと文字が多過ぎた。 熱とか感情が分かりづらくて、主人公の事が全然好きになれなかった。
0投稿日: 2019.06.15
powered by ブクログ久しぶりに読み返すと実に律儀な小説であることに気づかされる。病的なほどに痩せ細るフォッグと太り続けるバーバーの好対照。偶然に頼ったストーリー展開。そしてファザコンの人間関係の図式……ストーリーテリングの巧さは流石で、貧乏暮らしの生々しさもこちらがたじろいでしまうほどの迫力を備えている。自伝的な小説と読むことは早計なのだろうが、ここまで丁寧に青春を描かれるとポール・オースターの若き日の苦闘を読み取りたくさせられるのも無理がないことではないだろうか。二十数年ぶりの読書なのだが、幾分感動は薄れていたにせよ読めた
0投稿日: 2019.01.23
powered by ブクログ植物がグイグイ水を吸うみたいに、 私の中にどんどん沁みてくる物語だった。 ほかのどんな時でもない、 今読めて本当によかった。 物語が持ってる ワクワクさせてくれる力、 それが人生のほんとうかもしれないと感じさせてくれる力、 私にとってはそういうものがたくさん詰まった物語だった。 愛おしいって言葉が1番しっくりくるな。 私はこれを会社の行き帰りの満員電車の中で読み継いだけれど、 読んでいる間、 私はニューヨークのセントラルパークにいて、 ユタの洞窟を探し、 真夏の暑いさなかに汗をダラダラかきながらビールを飲む気持ちになった。 本当にそこへ連れて行ってくれる物語だった。 物語の楽しさを存分に楽しめる物語だった。 解説にあったように、彼の人生はここから始まるのかもしれない。 でも紛れもなくそこまでのあれもこれも、 彼の人生の断片で なければここまで決してたどり着けなかったのだ。 私はそれが奇跡で愛おしくて、 ほかの誰とも違う彼、すなわち私がいることだと思う。 何もかもなくしたい衝動というのを、 人は持ってるのかもしれないと思った。 もう一度、新しく生きるために。
2投稿日: 2019.01.10
powered by ブクログマイブーム中の柴田元幸訳ポール・オースターは今回が五冊目。文庫本520ページと、これまでのオースター作品の中ではいちばんの長編で、かつ、いちばん小説らしい小説だ。 何かが起きそうで起きないという展開が多かったこれまでの作品と比べると、本作では実にいろいろなことが起きる。ここが最大の相違点。しかしながら、自分にベクトルを向ける内省的なところは相変わらず、いや、それどころか輪をかけている。 主人公マーコは、父の存在を知らずに育ち、母を事故で失い、世話になった伯父を失った時点で一旦は人生を捨てる。まるで孤独な人生は自分のせいであるかのように、自らに刃の切っ先を向ける。そこへ登場する彼より一世代上、二世代上の二人の男は、いずれも人生を放棄した過去を持つ。そして、内省的で自虐的な男が三人揃うに至って物語は大きくうねりを見せる。 惹句は「青春小説」となっているが、(ネタばれにならない程度で表現すれば)「父子小説」とも言える極上の一冊だ。 ところで、ワタシがポール・オースターにこれほどハマっている理由に今回気づいてしまった。彼の作品の主人公たちは内省的で自虐的、そして自分を傷めつける…M。あまり考えたくないが、もしかしたらワタシはここに共感を覚えているのかもしれない。
0投稿日: 2018.11.18
powered by ブクログ前半の貧乏学生青春記の辺りはそれほどでもなかったが、エフィング老人のところから俄然勢いがついてきた。エフィングの喋り方がところどころ泉谷オヤジみたい。ユタの砂漠でのエピソードも引き込まれた。このあたりの「物語内物語」の雰囲気が村上春樹を連想させた。 エフィングの死を知ったフォッグが自分の笑い声に気がつくところが印象的。 キティとのエピソードは出会い、その聡明な美しさ、妊娠による別れ、バーバーの死のあとの電話での決別とどれをとっても非常に印象的で良い。幸せの途中で別れを予感させるところがあったが、最後の電話でもしかするともう一度…と思ったのだが。 幸せだった日々を取り戻すことが完全にできなくなった喪失の悲しみが胸に沁みた。 訳者のあとがきにもあるが、物語性が強く出た作品。「鍵のかかった部屋」とは大違い(作者曰く「唯一のコメディ作品」ということだが)。エフィング−バーバー−フォッグの関係も冷静に考えるまでもなく「そんな偶然あるわけないだろ」となるのだが、なんとなくスムーズに読まされてしまった。 なぜバーバーの母親は彼を産むのをあれほど拒絶したのだろう? すべてを失ったフォッグが砂漠に旅立ったとき、洞穴が見つかってそこにたたずむラストシーンを予想したのだが違った。 文庫裏の紹介文にあった「アポロが月に…」というところに惹かれたのだが、あまり関係なかったな(笑)。 あまり深く考え込まずにスラスラと物語自体を楽しむことができた。
0投稿日: 2018.10.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
序盤は正直退屈を感じてしまったけど、主人公フォッグとエフィング、バーバー親子三代の人生に類似点が見つかる度引き込まれ、バーバーがニューヨークにやって来たところからは一気に読んでしまった。 とにかく物語の密度が濃い、文庫本としてページ数も多いのだけれどページ数以上にたくさんのエピソードが詰まっている。親子三代それぞれの激動の人生が詰まっている。違った時代に生きていた3人の人生に類似点がいくつも見つかる。それが見つかる度に、とても気持ちよくはっと驚かされた。
0投稿日: 2018.08.26
powered by ブクログ私が生涯で一番何度も再読した作品です。青年期の根拠の無い自信と挫折、再生と出発の物語。年をとるごとに読み方にも変化が出てきます。出来れば学生時代に読んでおきたかった作品ですが、いつ読んでも遅くはありません。 「それは人類がはじめて月を歩いた夏だった。」で始まる書き出しの1ページにこの作品の醍醐味が凝縮されています。未読の方、どうか一度手に取ってみてください。私はこの作品をみなさんで語り合うことがささやかな夢です。私の言葉では語りつくすことのできない名作です。
0投稿日: 2018.07.31
powered by ブクログ初ポール・オースター 人生の不思議ななり行き、運命の交錯、そして終わり方。 一つ一つがユニークで、そしてあたたかい。
0投稿日: 2018.04.01
powered by ブクログポールオースターの作品は初めてでしたが、面白かったです。 あまりに都合が良すぎる展開は一種のコメディでしたが、主人公と周囲の人物の関わりからは哲学的な何かを感じさせられました。 主人公が色んな人と出会い、人と繋がる喜び、大切なものを失う悲しみを知り、そして学生時代、自分の殻に閉じこもり、誰も受け入れなかった彼が、人を赦し受け入れていくことを学んでいく。400ページ程の本ですが、人生で人が成長していくために必要な経験が沢山書かれていると思います。 少し回りくどい構成ですが、読み終わってみると、この構成でよかったとさえ思わせてしまうくらい、大人になるために必要なことが書かれていました。 青春小説として素晴らしい本でした。
1投稿日: 2018.02.10
powered by ブクログ親子三代そろって安定というものに縁のない人生。 上手くいきかけては失う。 人生は落ちてからが本番かもしれない。 文章は軽快で読みやすかった。
0投稿日: 2018.02.03
powered by ブクログラストシーンで海の彼方に浮かぶ月を見つめる主人公の姿がいつまでも心に残る。 つまりは名作ということだろう。 偶然の出来事がいくつも重なるが、これはいつものオースター節。 この小説を若い頃に読めたのは、幸せだったと今ながら思う。
0投稿日: 2018.01.23
powered by ブクログ波乱万丈の三代にわたる青春物語。ユーモアあふれる文体が読みやすく、一気に読んだ。コメディタッチではあるけれど、本質的には孤独を感じさせる、悲しみに満ちた物語でもあると思う。
1投稿日: 2017.07.14
powered by ブクログ自墜落な青春時代から始まり リスタートして生き始めたら、 偶然父と祖父の存在に辿り着く エフィングという老人が死に行くまでの数日間のくだりが好きだった。傘のところとか。
0投稿日: 2017.05.04
powered by ブクログ変にプライドが高く、屁理屈が多く、超然とした態度を装いながらそれでいて自暴自棄的な、一言でいうと友達にはなりたくないタイプの主人公に必要以上な嫌悪感を抱くのが、昔のイヤな野郎である自分を見せつけられている気がしてならないことに気がついた。 あくまで御伽噺的要素が強く、ストーリー展開として面白くはあるのだが、精神的に未熟な青年がさまざまな経験を繰り返しながら大人に成長していく過程を描くこの手の青春小説(「ライ麦畑」とか)は、実はそれ程好きではない。読んでいるとイライラし「お前、もっとちゃんとせーや!」と説教のひとつもしたくなるのだが、それ以上に、そう思う自分自身が若い時分に嫌悪していた「説教オヤジ」になりつつあることを思い知らされるからかもしれない(笑)。
0投稿日: 2017.05.03
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0投稿日: 2017.04.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「え、偶然なん?ほんまに? えー・・・そんなんいらんわー」っていうのが読み終わったときの感想で。 個人的には、エフィングとマーコは(ソルとマーコも)、赤の他人のままの方が良かったなぁと思う。なんとなく。
0投稿日: 2017.03.22
powered by ブクログとにかく、文章が綺麗な作品。 それによって、 主人公の目の前にあるものや起こることをありありと体験し、 自分で自分を追い詰めていく時の感覚を体感し、 エフィングの声を実際に聞き、 キティが目前で舞う。 そんな作品だった。 みなさん書かれているが、書き出しは少し退屈にも感じる。 でも、読み進めていくと、ページをめくる手が止まらなくなった。 読み始めたら、ぜひキティが出てくる頃までは読んでいただきたい。
0投稿日: 2017.03.16
powered by ブクログ同じ状況に陥ったら同じように思い、感じるんじゃないだろうか。 精神的に混乱しているときを含め、主人公の心の動きは自分にとって妙にリアルで、近さを感じた。 そんな現実感で読んでいたところへ、エフィングの登場である。 ひと癖もふた癖もある謎の老人。 どこまで何が本当なのか。 「このあたりもうちょっとはしょってもいいんじゃないか」と思い始めると、そこでググッと話が展開し引き込まれること2度3度。糸がつながってゆく。 哀しくてあたたかい。 すべてわかった今、少し時をおいたらもう一度読み直したいという気になっている。
1投稿日: 2017.01.21
powered by ブクログそれは人類がはじめて月を歩いた夏だった。 この書き出しから始まる青春小説。今思えば、書き出しも美しい。新しい本ではなく古き良き名作を読んでみようと選んだ一冊だったが、読み終わった後は好きな本が新しく一冊増えていた。 最初は読み慣れないからか、退屈にすら思えたのだが、読み進めるとテンポ良く進んでいく表現に、自分とは違う破滅的な生き方をする男に、すっかり惹きこまれていた。
0投稿日: 2016.11.23
powered by ブクログ木村陽平の紹介。 気持ちのリラックスする本 ストーリーも緩急あり、ユーモアあり、面白い。再度読むとすれば登場人物の感情により思いを馳せて読むだろう。
0投稿日: 2016.07.10
powered by ブクログ「それは人類がはじめて月を歩いた夏だった。その頃僕はまだひどく若かったが、未来というものが自分にあるとは思えなかった。」
0投稿日: 2016.06.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ポール・オースターの代表作ともいうべき名作を今更読んでみた。 規模とか登場人物の考え方とか文化とかが、なんとも、アメリカ的な小説だなぁと、まずはそれが一番の感想。 何かにつまづいて転がるように転落したヤツが、これではイカンと一念発起して生活を整え直して復活していく系の「再生」小説は、俺は好きである。 例えば、ロバート・B・パーカーの「愛と名誉のために」とか。 この本も前半読んで「あ、これ好きな類や」と思いグイグイ読み進めたのだけど、ちょっとこれはちゃうなぁ。 (以下ネタバレあり) 小説にするなら人生の起伏は1回でエエねん。グンと沈むけど、じわじわと回復していくちょっと偏過重の「V」字みたいな感じで丁度良いのに、この小説は浮き沈みが多いねんなぁ。 Wに\がもう1回あるぐらいの感じ、リアルライフならそういうのもありだけど、文庫本400Pほどのスペースでやられると、せわしなくて落ち着かない。「よーし俺も頑張るか」って単純に思えない「再生」小説、ちょっと残念である。
0投稿日: 2016.03.29
powered by ブクログオースターの作品のなかでもとりわけ人気が高いと言われる小説。 端的に言うと自分探しのための生き方を一時期した青年の物語。 それでいて最後まで読むと三世代の男たちの物語であることも分かる。 大学生のフォッグが、唯一の肉親であるビクター伯父さんを亡くすことから始まる第一部が私は一番好きだった。 大好きで拠り所としていた人を失い、悲しみのあまり自分の持っているものを全て失うように仕向け、そして全て手離して堕ちたところから再生が始まる。 全て失ったように見えて、失っていないものの存在に気づく瞬間の温かさ。そしてまた再生していく、人間の力強さ。 青春小説でありつつ謎解きのような要素も孕んでいるからあらすじは書けないけれど、第二部第三部と読み進んで少しずつ謎に気づいていくつくり。勘の良い人ならわりと早い段階で気づくのかも知れない。 予定調和というか、あまりにも出来すぎた流れだと思うところもあるけれど、フォッグが大人になるためには必要な流れだったのだろうと思う。タイミングの妙みたいなもの。 失う痛み、気づき、そして人を赦すこと。ひとつずつを経験して、人は自分を知っていく。 ちょっと長くて正直読み進まなくなった場面もあるから、個人的にはもう少し物語が圧縮されてた方がより好ましい。 しかしながら青春小説としては必読とも言える作品。圧巻。
1投稿日: 2016.02.04
