
総合評価
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powered by ブクログ料理をテーマにした7人の作家さんによるアンソロジーです。 こちらのお目当ては柚木麻子さんと伊吹有喜さん。あと未読の井上荒野さんが気になってました。装丁のデザインとタイトルがなかなか洒落てますよね。 『エルゴと不倫鮨』柚木麻子 最初は不倫の話かぁ…ちょっと嫌だな、と思いきや、さすがの柚木さん。吹き出しそうになるくらい痛快でおもしろかったです。 『夏も近づく』伊吹有喜 自然の中で食べるちゃんと手をかけた料理が本当においしそうでした。 『好好軒の犬』井上荒野 初めましての井上荒野さん。最初から最後まで独特で不穏な雰囲気のあるお話でしたね。 『色にいでにけり』坂井希久子 こちらも初めましての坂井希久子さん。時代物で和菓子が本当においしそうでした。食がテーマというよりも、色がテーマなのかな?なかなかおもしろい着眼点で続きがありそう…と思っていたら、シリーズで文庫本が4冊も出てるんですね。そちらも読んでみたいです。 『味のわからない男』中村航 グルメレポーターが地方ロケに行くお話で、う〜ん、実際にもこんなことあるんだろうな、と思わせるお話でした。 『福神漬』深緑野分 苦学生の食のお話かと思いきや、不思議な展開に…。 『どっしりふわふわ』柴田よしき 初めましての柴田よしきさんはパンのお話。どっしりもふわふわもどちらも大好きです。ちょっとだけ最後やられたーとなりました。『高原カフェ日誌』というシリーズのスピンオフらしいので、そちらも気になります。
2投稿日: 2025.10.28
powered by ブクログ作家さんや作風との相性の良し悪しを確認できたり、隙間時間でちょこちょこ読めたり、と私にとってのメリットが多いアンソロジーが好きでよく読む。 さて、「注文の多い料理小説集」。 柚木麻子さんの「エルゴと不倫寿司」はバカ男とダメ女の話か!?通って読み始めたら、想定外にスカッとさせてくれた。 伊吹有喜さんの「夏も近づく」に描かれる繊細さ、柴田よしきさんの「どっしりふわふわ」のそうきたか!と思わされたラスト、ともに心に残った。 坂井希久子さんの「色にいでにけり」も鮮やかな色彩を感じられる作品で良かったなぁ… なかなか読み応えのあるアンソロジーだった。
1投稿日: 2025.10.06
powered by ブクログ料理にまつわるアンソロジー。 柚木麻子さん、伊吹有喜さん目当てだったけど、柚木さんは既読だった。 好きだったのは伊吹さんの「夏も近づく」。 お料理小説の中でも、こういう温かい感じがする家庭料理のものが好みみたい。 葉月のその後を描いた物語も読んでみたいと思った。
41投稿日: 2025.07.27
powered by ブクログ料理と絡んだ7つの話。 最後のパンの話がジンときた。 そして最後の最後、これは本でしか味わえない。 気に入ったのは水出しのお茶、ぜひ真似してみたい。
0投稿日: 2025.06.05
powered by ブクログエルゴと不倫鮨がよかった。元気になれる作品だった。そして思いがけず井上荒野の作品と出会えて嬉しい。どこか不気味な感じが良い。深緑野分の福神漬も心に残った。他の作品も読んでみたい。色んな作家さんとの出会いがあるから短編集はいいなぁ。
0投稿日: 2025.05.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
料理をテーマにしたアンソロジー。 柚木麻子さん『エルゴと不倫鮨』…安定した著者の「反権力(=男性)」「女たちの結束」鉄板ネタ。安定した漫才を見ているよう。 伊吹有喜さん『夏も近づく』…一番飯が美味そうだった。柚木さんの後に「義姉から性的虐待を受ける少年」が登場するので、並びとして良い。 井上荒野さん『好好軒の犬』…文学的。悪い犬じゃないんだよ、かわいそうな犬なんだよ が無意識的な嫌味、斜めな見方。おもしろかった。 坂井希久子さん『色にいでにけり』…金平糖の着色や和菓子の着色。江戸時代の話。粋。 中村航さん『味のわからない男』…こういう芸能人、いそう。リアル。 深緑野分さん『福神漬』…表現がうまい。そして後の作品『どっしりふわふわ』にもなんとなくつながっていくのだが、主人公の「私」が男なのか女なのか判然としないまま終わる。それもうまいな、と。 柴田よしきさん『どっしりふわふわ』…前半部分、悩める50手前の女主人公に、感情移入。パンの描写もうまい。だがオチはいまいち、だと思う。同性愛者である必然性が、まったく無い。単純に同性愛者を「オチのネタ」として使うのは、驚きを起こすには技術としてアリ、だが、テクニカルすぎて興ざめ。 ☆気になった表現 私が小説なんて書くようになったら、妻である部分は少なからず損なわれるはずだ。 時に飢えるほどの貧乏暮らしだったという少年時代を持つ光一郎は、今は自分が稼いだお金でたべたいものを食べられる、という現実と時々うまく折り合えなくなる。 『好好軒の犬』井上荒野 見事だった本棚はがらんどうとなり、お腹を空かせて恨めしそうに私を見た。 『福神漬』深緑野分
2投稿日: 2025.04.18
powered by ブクログ料理にまつわるアンソロジー どのお話もひとくせ、ふたくせあって 興味深いおはなし 中でも、伊吹有喜さんの 「夏も近づく」がおいしそうでたまらなかった 塩おにぎりや、水出しかぶせ茶、ブロッコリーのオリーブオイル漬け、春キャベツのピクルス、たけのこご飯、手作りベーコン どれも自家製で少し地味かもしれないけど 間違いなく美味しいってわかる 食をきちんと考えられる人に悪い人はいないですね この頃はどんなに単純な料理でもいいから 自分で家で作って食べたいと思うようになった なんでだろうな けして美味しいものを作れるわけでもないのに この本を読んでさらに思う 食に対して考え直すいいキッカケになりそう
76投稿日: 2025.04.07
powered by ブクログ話題の作家さんたちによる短編小説集。 テーマが食べ物であるが、時代は江戸や現代など様々。 あーそんな風に思えるのか…というものや、このシチュエーションでそれきたら〜となるものまで、食べるという事を含めてちょっと考えさせられました。 短編小説ではあるがなかなか濃い一冊です。
20投稿日: 2025.03.16
powered by ブクログ料理にまつわる短編のアンソロジー。 小洒落た創作寿司屋、土鍋ご飯、金平糖、蕗の薹(ふきのとう)、パン…。 どれも美味しそうで、お腹がすいてくる本だ ★5が2本 ★4が2本 ★3が3本 やはり大好き作家さんのは面白かった! 男たちの下心が渦巻く隠れ家的な高級寿司屋。 男たちが落としたい女性にお寿司のウンチクをスマートに披露している場面に、唐突にのしのしと現れたのは…。 乳児を抱っこ紐で抱え、母乳で汚れたカットソーにスウェットを履いた体格良い中年女性。 ドスンとマザーズバッグを置き、ツウなお料理を野太い声で次々と注文し始める。 お母ちゃんに支配されていく店内の様子が痛快! このストーリーは柚木麻子さんの。 伊吹有喜さんのは唐突に始まった中年男性と中二男子の同居生活を軸にした素朴でほっとするストーリー。 井上荒野さんの小説家の妻の話はジワジワくる。日常にかすかにサスペンス要素が見え隠れするような…。 時代小説も挟み込まれて、それぞれの作家さんの個性ある短編集で飽きずに楽しめる。 ちょっとした時間つぶしにも適した1冊。 装丁もすき。
32投稿日: 2025.03.01
powered by ブクログアンソロジーは初めてかも。柚木さんの『エルゴと不倫鮨』が最高に面白かった。柚木作品に限らず、今まで読んできた短編の中でも1、2を争うほど好き。おしゃれな創作寿司の店で完全に自分のペースに持っていくママがカッコ良すぎる。次点は『色にいでにけり』と『夏も近づく』。なぜかお彩は北川景子で脳内再生された。料理がテーマなので、ほっこりと終わる話が多い。よだれが出そうなほど美味しそうな料理の描写は柚木さんがダントツだった。
2投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログなんかすっごく満ち足りた。 “夏も近づく“清涼炭酸水的に澄んでる。 “どっしりふわふわ“パン食べたいなぁ〜って読み進めてたら「え?!」「んえぇぇ?!」ってフランスパンで殴られたぐらいの衝撃やった!
0投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログ「どっしりふわふわ/柴田よしき」 読んでいて一番展開が良かった。 ヒロがまさか女性だったとは… 何の違和感も無く私の頭では男性と変換して読んでいたので、女性と分かった衝撃というか、そうか今はそういう時代だと気付いたのでした。 人間の価値観や当たり前は早々変えられるものではないんだなと読んでいる自分に思ったのでした。
0投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログ読後感が良く楽しかった! もっと前後を読みたくなるようなお話もあり、おいしいとこどりできるアンソロジーの良さだなと思いました。柚木麻子さんが好きで手に取ったけれど、読んだことのない作家さんのお話も良かったです。
6投稿日: 2024.12.29
powered by ブクログアンソロジーは「名前も作品も初めて知った」作家のほうが断然面白く感じる。この本では坂井希久子『色にいでにけり』がそれで、普段読まない時代ものだがとても面白かった。主人公の境遇と芯に持つ矜持、江戸の色名と和菓子の描写が実に生き生き、しみじみと描かれていて、このシリーズが読みたくなった。 他は伊吹有喜『夏も近づく』、深緑野分『福神漬』も滋味があってよかった。井上荒野『好好軒の犬』はラストが上手い。柚木麻子『エルゴと不倫鮨』はトップバッターとして勢いがあり好印象。柴田よしき『どっしりふわふわ』はラストが安直な気がしたのと、中村航『味のわからない男』は好みが合わなかった。
7投稿日: 2024.08.20
powered by ブクログ巻頭の柚木麻子「エルゴと不倫鮨」の勢いがいい。エルゴは抱っこ紐。食に対するスタンスは生き方に通じるものがあると思う。だから伊吹有喜「夏も近づく」のように食べることを通じて繋がり合う2人の関係性が描かれた作品もすき。
5投稿日: 2024.07.31
powered by ブクログ2024.4.6 読了 7人の作家さんが料理をテーマに紡いだアンソロジー。 どの作品も美味しそうな料理がたくさん出てきてふくふくとした気持ちになると同時に登場人物たちの悲喜こもごももしっかり描かれているので最後まで面白く読みました。 アンソロジーでお気に入りの作家さんに出会えると嬉しくなりますね。 柚木麻子さん、伊吹有喜さんのお話がとても気に入ったので他の作品も読んでみようと思います。
2投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログ最初の柚木麻子氏の「エルゴと不倫鮨」 どこで読んだのだろうか? 読んだ記憶がある。 髪ボサボサのすっぴんの女性で、ワイン1本も空く位の人が、出産で脱アルコールを2年近くしてきた謎の人が、凄く記憶にある。 ワインの事も知識が豊富で、料理も組み合わせの話が、脳裏に! この人の話の続編は無いのだろうと思った次第である。 「夏も近づく」も、楽しい。 こんなに、文明の利器が無くても、美味しい物が、出来るのだと…… そして、複雑な人間関係の子供に、手を差し伸べてあげれる人が居るという結末もいい! 井上荒野氏の「好好軒の犬」もっと、犬が登場する話だと思っていた。 酒井希久子氏の時代小説 「色にいでにけり」毎度、色の深さと、組み合わせ方が、粋である。 黒襦子に路考結びなんか、なかなか、ふりがなが無ければ、読めないだろうし、どんなものかも、知らない人が多いと思う。 若い人には、読み辛いかも。 中村航氏の「味のわからない男」グルメレポーターも大変な仕事。 売れて、継続的に出演するには、…精神的部分も、含めて健康面も心配の所がある。小説なのに、…… 深緑野分氏の「福神漬」 こんな学生さんも、コロナで、増えたのでは、と…思いながら読んでいた。 初めて読む著者の本。 柴田よしき氏の「どっしりふわふわ」 大阪も東京も一時、酵母パンの高級食パンが流行した。 ちょっとの贅沢に……買って食したけど、日頃は、やはり、普通のパンに戻った。 この違いを書いているのと、20歳も違う2人が、生活を一緒にするのかと、読みながら期待した。 最後、一緒に仕事も生活も共にするのだけと…… 落ちが、考えても無かった!ふふふ! どれも、楽しく読んでしまったのだが、もう、今年も残す事、3日! する事一杯あるのに、本の魅力に、負けて仕舞っている今年の私が居る!!!
0投稿日: 2023.12.29
powered by ブクログ2018〜2019年オール読み物に掲載された短編から登場する料理が魅力的な小説で編んだ文春文庫オリジナル・アンソロジー。あんまり読んだことのない作家ばかりが収められており、読んだことがあるのは深緑野分くらいだった。冒頭3作がイマイチでどうなることかと思ったが、コミカルなネタをうまくまとめた「味のわからない男」(中村航)、叙述トリックが嫌味でない程度のいいアクセントになっている「どっしりふわふわ」(柴田よしき)、一瞬のタイムスリップを描いた「福神漬」(深緑野分)はこの順に良い。
2投稿日: 2023.09.07
powered by ブクログ2023/7/21 食事を摂る人々の短編集。 不倫やワンナイトを狙う男たちが若い女を連れてやってくるワインと寿司の店。 そこへ赤子を抱いた女が「卒乳祝い」にひとりやってくる。 柚木麻子「エルゴと不倫寿司」がインパクト強かった。
0投稿日: 2023.07.22
powered by ブクログ柚木麻子 完全な悪者の男共が出てきてうへぇとなったのは置いといて。出産祝いの使い方すごいいいなぁと思って憧れた。でもあんな味覚に自信も知識もないから実現させるのは難しそう笑 伊吹有喜 途中まですごい好きだったんだけどな。設定はよくあるけど、心の通わせ方がキャラと合ってて好きだったんだけどな。結末がな。えぇ…。本当にそれでいいのかな。 井上荒野 イラっとしてしまうので、あんまり好きじゃない。 坂井希久子 これが一番好きだったかも。和菓子ってすごいね、味と見た目の追求ずっと前からやってんの。 調べたらシリーズ化してた。借りて読んでみよ。未読の作者かと思ったら、居酒屋ぜんや、レトロ大食堂の人じゃん。既に好きな作家さんでした。 中村航 愚かな男だ…。物語的にもそんな好きじゃなかった。 深緑野分 唯一ご飯が不味く描かれてた。微妙。 柴田よしき やられたー!自分を名前で呼ぶの違和感も理解。なー!やられたー!笑 好きなお話だった。 アンソロは好みの作家を新しく探すために読んでる節があるので、タイトルじゃなくて作家名ごと。 柴田よしき今度借りてみよ。 (アンソロだと感想書くの最初の方の作品忘れちゃってて難しい)
0投稿日: 2023.02.26
powered by ブクログお正月休み最後の読了本かな…もっと本読みたかった!休み足りない!笑 面白かったー。初読の作家さんもようけいてはるけど、どれも面白かった。 家で読むならハードカバー(せめて単行本)にしなさいよって話やけど(笑)返却期限とか惹かれた関係でこちらを手にした。 文春文庫のアンソロめっちゃ好き。構成もすごいいいね。最初はわりとパンチの効いた話、真ん中はちょっと重い話、最後はすっきりした読了感。そもそも柴田よしき氏が最後に書きはるというところで(読了感に)期待しかなかったけど、めちゃくちゃよかったわあ…。 シリーズもののスピンオフ短編やったけど、それもまたよかった。読んでよかった、しかない。 小説アンソロって知らない作家さんに出会えるっていうところもめちゃくちゃいいよね。
0投稿日: 2023.02.05
powered by ブクログどれも面白かった。 井上荒野さんの作品は本人の短編集「小説家の一日」に入っているので既読でした。 柚木さんと伊吹さんは短編を読むのは初めてだったのだけれど、印象が違ってそれも面白かったです。
0投稿日: 2023.01.31
powered by ブクログ食がテーマの本を読むと幸せになる気がする。 自分の食事もとても大切に思えて、人生が豊かになる気がする。 なので、最近は食事の本をよく手に取ってしまう。 パン好きとしては、やはり「どっしりふわふわ」が好き。
0投稿日: 2023.01.31
powered by ブクログ料理系の小説に惹かれた。名作「注文の多い料理店」は苦手だけれども。 井上さんの物語を初めて読んだ。お兄さんの不貞はさておき、葉月の事情もなんとなくそうではないかと思った。独身気ままな拓実とウマが合ってよかった。 なんだか色恋というか、どろどろ系を強く感じた。 味覚障害は怖い。 柴田さんのお話で百合が原高原が出てきたのは嬉しかった。
3投稿日: 2023.01.23
powered by ブクログ料理にまつわる小説短編集。どれも美味しそうな描写があり食欲がそそられた。時代小説に分類されるのか『色にいでにけり』はなかなか読み進められず時間がかかってしまった。やはり時代小説は苦手なんだと再認識できた。
0投稿日: 2022.12.31
powered by ブクログ食が彩る短編小説集。 すべて日本が舞台の作品だけれど、坂井希久子さんの作品は江戸時代とかの物語で、深緑野分さんの作品は、昭和か明治とかにタイムスリップしてバラエティ豊か。 初めて読む作家さんもいて、読書の幅を広げるきっかけになりそう!
0投稿日: 2022.09.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私は短編集が苦手だけれど、アンソロジーは好きだ。 作者が違うからだろうか。 これもすごく面白かった。 『注文の多い料理小説集』 柚木麻子、伊吹有喜、井上荒野、坂井希久子、中村航、深緑野分、柴田よしき (文春文庫) 一編一編全然違う雰囲気があって、作家さんの個性がびんびん伝わってくる。 料理小説集といえど、料理ありきというわけではないところもいい。 「エルゴと不倫鮨」 柚木麻子 エルゴと不倫と鮨を組み合わせるセンスがすごい。 柚木さんはステレオタイプでない女性を描くのがうまいな。 世の中いろんな人がいていいんだと思わせてくれる。 不倫カップル御用達のイタリアン創作鮨店に突然乱入してきた乳児連れの母親。 洒落た場所にそぐわないいでたち、立ち居振る舞いの彼女が、意外な食通ぶりを見せ、メニューにない鮨をがんがんリクエストする様がめちゃくちゃ気持ちいい。 彼女はよく食べよく飲み、不倫カップルの女性たちを味方につけ、男たちのスケベ心をこてんぱんにし、颯爽と去っていく。 スカッと胸のすく読後感! 出産祝いの御祝儀袋から代金を払うのも面白かった。 「夏も近づく」 伊吹有喜 自然豊かな地でひとりで暮らす拓実は、訳ありの甥っ子・葉月と暮らすことになる。 拓実の作る素朴な料理がとてもいい。 水出しの緑茶に塩むすび。沢の冷水でさらしたそうめんを手作りの竹の器で食べる。掘りたてのタケノコを焼く香ばしい匂い。土鍋で炊いたご飯や手作りベーコン。 慎ましいけれど豊潤な料理たちが、五月の爽やかな風と一緒に心にすーっと沁み入る。 食事を通して葉月が自分の居場所を見つけていく様子にじんとする。 拓実と葉月の距離感も素敵だ。 「好好軒の犬」 井上荒野 小説家の夫と、夫を愛しすぎている妻のいびつな関係が、読んでいてヒリヒリする。 もちろん料理は登場するが、蕗の薹の味噌汁や鮪の山かけ、鯨の尾の身、手作りの蕗味噌、のっぺい汁に菜の花のお浸し、と異常にきちんとした感じが不穏な空気に更なる不気味さを加えている。 何げない会話の奥にある目に見えないものがふわっと浮かび上がってきて震える。 「色にいでにけり」 坂井希久子 これは時代物だ。 摺師を父に持つお彩は、類まれなる色彩感覚を持っており、ひょんなことから選定会に出品する上菓子のアドバイスをすることになる。 登場する色の描写がとにかくすごい。 紅緋(べにひ)、黄檗(きはだ)、薄萌黄(うすもえぎ)。 御納戸色(おなんどいろ)、媚茶(こびちゃ)、錆浅黄(さびあさぎ)。 猩猩緋(しょうじょうひ)、梅鼠(うめねずみ)、撫子色(なでしこいろ)。 日本の伝統色の繊細さと色の名前の美しさに圧倒されつつ、一つ一つ調べてはワクワクと心躍らされてすごく楽しく読み終えた。 謎の男、右近も気になるなぁ。 「味のわからない男」 中村航 アイドル崩れのグルメリポーター・岩上の自業自得な顛末。 一点も同情の余地がないクズっぷりがいっそ気持ちいい。 味覚障害の中里くんが「ましなゴム」と言って唯一食べられるチキンカツが、実は本当の意味でごちそうと言えるのかもしれないなと思ったりした。 「福神漬」 深緑野分 両親が営む喫茶店がつぶれ、一転、貧乏生活を送る「私」。 皮がぶよぶよになった売れ残りのコンビニのあんまんや、福神漬だけ山盛りの水っぽいしゃばしゃばのカレーライスなど、まずそうなメニューが続々と登場するにもかかわらず、私はこの話、結構好きなのだ。 タイムスリップした大正時代の食堂で、質素なごはんをもりもりと掻き込む人々の姿に、食べることの大切さを見た気がして心が温まる。 貧乏くさいお話なのになぜか豊かな気持ちになる、不思議な一編だった。 「どっしりふわふわ」 柴田よしき 五十歳の朋子が、ニ十歳年下のパートナーと故郷でパン屋を開く話。 何と言っても最後に明かされるパートナーの正体にびっくり。 やられたー。 叙述トリックやん。(トリックじゃないけど) 和食をアレンジした具をカンパーニュで挟んだどっしり系のサンドイッチと、蜂蜜バターや栗の甘煮、生クリームで飾られたふわふわ系の優しいパン。 ハッピーな二人の未来に、美味しそうなパンの描写がぴったりとはまる。 焼いた牛肉と柴漬けを混ぜ込んだごはんをパンで挟んだやつなんて、どんなのか食べてみたいなぁ。 というわけでいろいろと楽しかった。 肩の力を抜いてさらっと読めて、読んでいると何だかお腹がすいてくる本なのでした。 表紙もいいぞ。
2投稿日: 2022.08.31
powered by ブクログ7人の作家が「料理」をテーマに描いた短編小説集です。今迄に他の作品を読んだことのある作家もいれば、この小説集が初めての作家もいます。読んでみたい作家の作品を、この様な作品集を読んでからと、思う人もいるかもしれません。この短編集では柚木麻子さんの「エルゴと不倫鮨」が最初に登場します。柚木麻子さんの作品は数冊読んでいましたが、この作品は今迄で一番笑った作品です。柚木麻子さん以降の作家の作品は、どのような物語なのか興味が出てきたので、どんどんと読み進んでいきました。
3投稿日: 2022.08.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人生を彩る料理に乾杯。 7つの個性的な短編が収められている。登場する料理も様々。お酒からお菓子、パン。時代も場所も様々だ。読み終わると美味しい料理を食べた後のように満足している。 柚木麻子「エルゴと不倫鮨」ある程度の年収の男と歳が離れた若い女性が集まる店。そこにやってきた招かれざる客は——。卒乳祝いの女性がパワフルでそこにいる人すべてが巻き込まれていく。世界をひっくり返すようなお客にコロリと順応するのはまた女性たち。疲れ果てた男性たちの顔が目に浮かぶ。 伊吹有喜「夏も近づく」三重県の自然の中に暮らす拓実のところに兄が訳ありの少年を連れてきた。美味しい水と自然の中で育ったものを食べるうちに2人は距離を縮めていく。気付いた葉月の回復が嬉しく、ラストの再会まで柔らかな光に包まれた作品。
0投稿日: 2022.07.18
powered by ブクログ美味しい料理が縁を結ぶ、7つの物語。 お腹がぐうぐう鳴るくらい美味しそうな料理が出てくる作品ばかりで、その中でも伊吹有喜さんの『夏も近づく』が好みだった。 温かい食卓を通して心の距離が近づく様子を丁寧に描いていたところが素晴らしかったのはもちろん、出てくる料理の美味しそうなこと! たけのこご飯、果肉ごろごろのバレニエ、青竹のコップで食べる素麺ーー。身体の隅々まで染み渡るような滋味あふれる料理が恋しくてたまらなくなる。 テレビやスマートフォンを眺めながらささっと食事を済ますのも悪くはないけれど、目の前の料理の香りと素材本来の味に、もっとじっくり向き合って食事をしようと姿勢を正した。 伊吹有喜さんの書く、料理がテーマの本をもっと読んでみたくなったので、『BAR追分』を手に取ってみようと思う。
1投稿日: 2022.07.18
powered by ブクログ美味しい食べ物が出てくる小説が大好きなので気になって読んでみました。 こういうアンソロジーは、今まで読んでこなかった新しい作家さんを開拓するきっかけにもなっていいですよね(^^) 7つのお話のうち、最初の2つ、柚木麻子さんの「エルゴと不倫鮨」と伊吹有喜さんの「夏も近づく」が自分的に特に好きでした。 「エルゴと不倫鮨」はおしゃれな高級寿司店が舞台で、自分では食べたことのないものややったことのない食べ合わせがたくさんでてきましたが、どれもめちゃくちゃ美味しそう♪ 気取った男たちを圧倒するグルメなお母さんのキャラクターが最高で、スカッとできるお話でした。 「夏も近づく」は、田舎の美味しいものが詰まったお話。 青竹を割って作ったコップにめんつゆを入れて、自然の中で食べる素麺、シイタケのバター醤油焼きとタケノコご飯の焼きおにぎりの夜食、カリカリに焼いた手作りベーコンなど、読んでいるとお腹が空いてきちゃうこと必至の飯テロ小説です笑 最初はぎこちなかった拓実と葉月くんの関係が、食べ物をきっかけにして少しずつ近づいていく感じもとても良かったです。 あと、最後の柴田よしきさんの「どっしりふわふわ」は、前から気になっていた『高原カフェ日誌』 シリーズの登場人物が出てきてるっぽかったので、そちらを先に読んでおけば良かったかな。 また近いうちに読んでみようと思います。 美味しいものがたくさん出てきて幸せな読書タイムを過ごせました。 ごちそうさまでした!
0投稿日: 2022.06.11
powered by ブクログ料理がでてくるアンソロジー。人気作家ばかりだけあってどれも良かった!坂井さんは初めましての方でしたが、主人公の続きが気になって読み終わってすぐAmazon検索してしまった(色にいでにけり、シリーズになってて嬉しい)。柴田よしきはミステリーも書いてること思い出させてくれたラストだった。
5投稿日: 2022.05.03
powered by ブクログいろいろな作家さんの、しかも私の大好きな料理をテーマにした作品が、一冊で読めるのが嬉しい。 お話として好きだったのは、夏も近づく。ほんもののご飯、って感じ。 あと、どっしりふわふわも良かった。ラストにはびっくり。 エルゴと不倫鮨は、お料理がとにかく美味しそうだった。豪華すぎて想像できないのも多かったけど、雰囲気は堪能できた。ラストも好き。 色にいでにけりは、分からない色名がたくさん出てきたりして若干読みづらかったけど、昔の人たちの強さとか粋とか感じられて、良かったです。
0投稿日: 2022.05.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
美味しいものや料理が好きなのでよかった。 和洋折衷、スイーツも登場するが、自分が1番心惹かれたのは和食! 心を込めた美味しい料理が作りたくなる♪ 「夏も近づく」と「どっしりふわふわ」がすごーく良かった! ・エルゴと不倫鮨 ★★★★ なんか、爽快! 子連れのボロボロのお母さんが登場した時には、なんか嫌な感じやなーと思ったけど、食に対する知識が豊富でだんだん魅力的に!! 女性客たちが、仲良くなって不倫相手を放って歩いて帰る所が良き!! ついこの間、高いお鮨屋さん行ったばっかやし、美味しいもん食べるのいーよなーって思いながら読んでた。 ・夏も近づく ★★★★★ むっちゃ良かった〜〜〜 夜に呼んでたんやけど、塩おむすびと水出しのお茶がすごーく食べて飲みたくなった! 田舎暮らしの素晴らしさを感じさせられる。 特に食べ物と料理! やっぱりきちんとした生活をするのは素晴らしいな〜と思うし素材を生かした料理がしたくなった。 最後もハッピーエンドで良かった!!! ・好好軒の犬 ★★★ 春の食べ物ですごく美味しそうなのに反して、不穏な空気がずーと流れてて面白かった! ・色にいでにけり ★★★ 江戸っ子の話。 時代モノの話って、物語の中に入り込むまで少し時間がかかる〜 今はカラフルなお菓子は普通だし、むしろ着色料すごそーとしか思わない。 そこまで和菓子に魅せられなかったが、色に対する日本語の表現がたくさんあるのが面白いなーと思った! ・味のわからない男 ★★★ 富山に行って地のものを食べたくなった。 岩上さん、せっかく頑張ってたのに可哀想〜と思う自分は貞操観念バグってるかもー ・福神漬 ★★★ 福神漬は添加物を感じるから別に好きじゃないけど、山盛りのご飯にお味噌、漬物が食べたくなった。 一瞬のタイムリープ?楽しそう。 もう大人なのに、こーゆーのワクワクする! ・どっしりふわふわ ★★★★★ 良かったー!ハッピーエンドでさらに良かったー! ヒロが女の人ってのは驚きだったけど、ラストのカフェのオーナー視点が良かった。 朋子とは理由は全然違うが私も来月から地元に帰るし、出来るだけ家族で晩御飯だけは食べようと思った。 朋子のお母さんが作る美味しそうな和食とパンが対照的やけど、美味しそう!という共通点。 やっぱり美味しい食べ物とか料理っていいな〜
0投稿日: 2022.04.10
powered by ブクログひとまず 「エルゴと不倫鮨」 を読んだ 緊張感がジワジワ高まる様子と裏腹に堰を切ったように同意する女たちが爽快で柚木麻子さんあなたって本当にサイコーです
0投稿日: 2022.04.08
powered by ブクログ短編で読みやすい。 一話一話、質が良いなと感じた。 一話目がお気に入り。豪快に、美味しいものを楽しむこと、こころ強くあること。
0投稿日: 2022.04.03
powered by ブクログ伊吹有喜「夏も近づく」と柴田よしき「どっしりふわふわ」が特にお気に入り。 先日読んだ「坂本司リクエスト!和菓子のアンソロジー」にも柴田さんの作品が載っていてたまたま続けて読んだらシリーズものでビックリした。 個人的には「和菓子のアンソロジー」に載っていた作品よりもこちらで読んだものの方が好きでした。
1投稿日: 2022.02.16
powered by ブクログ表紙がとても好みだったので手にとった本。「料理」がテーマの小説アンソロジー。料理の描写がおいしそうでお腹がすく。「エルゴと不倫鮨」が特におもしろかった。百合が原高原シリーズの番外編読めたのもよかった。
0投稿日: 2022.02.11
powered by ブクログ異国の料理が主題の「チーズと塩と豆」が素晴らしくて、ほかにも料理を題材としたアンソロジーが読みたいなと思っていたらこちらを発見。「エルゴと不倫鮨」「夏も近づく」「色にいでにけり」「どっしりふわふわ」がとってもよかった。 「エルゴと不倫鮨」 最初は「ええ、うっぜぇ能書き垂れる不倫おっさんの話ぃ…?」ってページを捲る手が一瞬重くなったんだけど、柚木さんだし…そんなことないだろうって考え直して読み進めたらよかった…やっぱりそんなことなかったし、目が覚めていく女たちがすごくよかった。それに出てくるワインにお鮨が真似して食べてみたくなるくらいおいしそう。 「夏も近づく」 初っ端の水出しのお茶と塩むすびがおいしそうですぐ心掴まれた。訳アリ甥っ子と主人公が食と自然を通して家族になっていく様がとにかく良い。割った竹で沢から水を汲んで飲む、土鍋でつくったご飯、うなぎ、たけのこ、しいたけ、燻製のベーコン。このふたりがおいしそうに食べ続けてくれればいい。 「色にいでにけり」 時代小説。毛色がかわってちょっと驚いたんだけれど、これ続きとかないの!?キャラが良い、話が良いのでシリーズものとしてすごく読みたくなりました。少女マンガ好きの心くすぐるような話だった。主人公…いまの時代ならパーソナルカラー診断士として有名になっていそう。 「どっしりふわふわ」 年を重ねて恋にも仕事にも臆病になっていた主人公の話。これ、もう、ほんとによかった…なけなしの語彙ではこれしか言えない。 「好好軒の犬」や「福神漬」は日常を切り取ったような話で劇的な起伏があるようなものでも明るい気持ちになるような話でもないんだけれど、これも魅力のあるお話でよかったです。はぁ〜おもしろかった!
0投稿日: 2022.01.24
powered by ブクログ読んだことがない作家さんに出会えるのもアンソロジーの良いところだけど、やっぱり好みじゃない作品も入ってるので大切な一冊ということにはならないなぁ。好好軒の海里ちゃんはあちらにいる鬼の海里ちゃんなの?
1投稿日: 2022.01.12
powered by ブクログ7人の作家による料理をテーマにしたアンソロジー。 表紙もタイトルも宮沢賢治をにオマージュしているが、中身は全く違うコース。 お気に入りは「エルゴと不倫寿司」。 育児中なら一度は聞いたことがあるはずのエルゴ。 知らない方のために簡単に説明すると、抱っこ紐のメーカー(ブランド)だ。 アメリカ発祥なので、小柄な日本人にはやや大きいようなつくりだが、流行った(私も使っていた)。 さて、そんなエルゴの抱っこ紐と、不倫。 どんな話か気になるじゃないか! 会員制イタリアン寿司に、いい歳こいたおっさんが、26歳の部下を誘う。 このおっさん、悪いやつで、ここを使っては何度もお持ち帰りをしている。 「寿司とワインのマリアージュという自由な発想がビジネスにも応用できる」って何言ってんだ。意味わかんねーよ。 そこへ登場した、スウェットとに母乳の染み付き、若くもなく、見た目もよれよれな母親と思しき女性。 おっさんたちをよそに、むしゃむしゃ食べ始めるがやたらワインに詳しい。 しかも食通なのか、次から次へと繰り出す知識。 しかし、使う食材は、お茶漬け、とか、きゅうり、とか、庶民の食べ物だ。 そのパワフル母さんをみているうちに先にいた女性たちは、隣の男を魔法の解けた目で見る。 「ここは大人の社交場ではなく、男のための社交場でしょ」という嫌味や「誰かに育児や家事を任せられる人だけが楽しむなんて」と軽蔑したように諭す。 ワインボトルを1時間で一本開けた母親は、食べたいものを食べただけだ。 しかし、その逞しさをみて、男たちは自分が守ってきたものを犯されまいと必死で母親を落とし、女性たちは母親に潔さを見、自分たちの強さも取り戻す。 この対比が面白い。 その他、「色にいでにけり」は、時代小説。版画と和菓子の物語。 「どっしりふわふわ」はパン職人と、調理学校の先生の物語。 どちらも素敵な話だ。
5投稿日: 2022.01.10
powered by ブクログ7編の小説それぞれが、コース料理のように全て違うテイストで、食べ飽きない一冊。 痛快だったり、爽やかで愛しかったり、ゾッとしたり、応援したくなったり、背筋が凍ったり、夢現の心地だったり、未来を展望したり。 どのお話も、その後が気になるところ。 個人的に1番賢治イズムを感じたのは「福神漬」かな。お気に入りは「夏も近づく」。タイトルからしてちょっと好き。
1投稿日: 2021.12.23
powered by ブクログ『もの食う話』(文藝春秋編)、『忘れない味』(平松洋子編、講談社)も良かったけど、このアンソロジーもたまらんなぁ。 『注文の多い料理小説集』文春文庫 新作『らんたん』が気になっている柚木麻子の『エルゴと不倫鮨』は意識高い系創作鮨屋で繰り広げられる蘊蓄会話劇に真の酒呑みの子連れママの堂にいった痛飲活劇のライブ感と、客で来ている女性達の連帯が爽快すぎて通勤電車でボロ泣き。いや、決して悲しい話やないんですけど。『ランチのアッコちゃん』でも感じたけども、この作家は空間x時間の使い方がとんでもなく上手い。このトリビュートで巻頭を飾るだけあって僕のナンバー1でした。 折目正しく田舎で暮らして料理することの格好良さや、瑞々しい多幸感が胸に迫ってくる伊吹有嬉『夏も近づく』はラストでキュンキュンになってこちらも泣けた!「ここではない何処か症候群」に罹っていた青年期にカッコいいおじさんを目指して、とうにその年齢設定は超えてしまった自分だけど、もう一度こういう「優しいハードボイルド」を志してもいいかもしれない。 坂井希久子『色にいでにけり』は出色の出来栄えだと思います。江戸時代、錦絵の摺師の娘がその優れた色彩感覚からトラブルを引き起こしたり、名門の菓子屋のコンサルタントで活躍したりの時代小説エンタメ。キーマンの京都人がその風体や話し方で怪しさ満載に印象付けられているのがどんどん好感度が上がって憎いあんちくしょうに描き変えられていく筆致が絶妙。本紫、江戸紫の染料の価値や階級的表象の説明なんかがさらりと織り込まれていてとても勉強になります。 深緑野分『福神漬』。経済的な事情で大学を休学してアルバイトに励む女性が節約しつつ体力を維持するために決して美味しいとは言えない食べ物を口にした後に「 これはカロリーだ。体を動かすエネルギーになるもの。ガソリンを注入される車と一緒。栄養源。」と独りごちる様子は映画『ファイトクラブ』で不眠症にラリりながらコピー機のそばで消費社会を風刺し批判するエドワード・ノートンを彷彿させます。過労のせいで、清掃員として働いている病院の食堂での食事中に、明治時代の大衆食堂に意識がトリップして「決して上品ではない、味も良くない食事をわしわしとかき込む大衆」に触れて、エネルギーを感じ、現実世界での食事に少し居住まいを正す。彼女がよく描く「保護下にあったか弱い女性がサバイブする逞しさを否応なしに身に付けていく」過程がショートストーリの中で読書、労働、食事を中心に鮮やかに描かれたじんわり滋養強壮される銘品です。 最後の一編は柴田よしき『どっしりふわふわ』。パンの焼き上がりとイーストの使い分けの描写にとても関心を引かれました。だけどそんなことよりこのテイストの話にそんなミステリプロット盛り込んでくる!?なんとも爽やかな驚きと感動で本を閉じられます。素敵・・・ 面白かった!ご馳走様でした!!
0投稿日: 2021.12.02
powered by ブクログ食べること、生きるために必須の行為でありながら、(広い意味で)交際の舞台となり、その人の人となり、暮らし方、生き方を映し出すもの。 一作目を読みすかっとし、二作目を読みじんわりして、最初から最後まで、味わい深く、その味わいが作品ごとにころころ変わっていくのも興味深く、アンソロジーの醍醐味を楽しみました。
0投稿日: 2021.11.21
powered by ブクログ好きな話ばかりだった 料理の描写がどのお話も目の前にあるかのよう 地元と思わせるような話もあって楽しめた
0投稿日: 2021.10.04
powered by ブクログ柴田よしきさんの篇が印象に残った。 初めで読んだ柚木麻子さん、坂井希久子さんの篇も好みだったので他の物語も読んでみたい。 料理が出てくる短篇集、美味しく読めるかは結末にも左右される気がする。嫌な終わり方だとモヤモヤして食欲がなくなるからだろうか…
8投稿日: 2021.09.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
個人的に凄く良かったのが、 「エルゴと不倫寿司」柚木麻子 「夏も近づく」伊吹有喜 「どっしりふわふわ」柴田よしき エルゴ〜は、純粋に出てくる料理が美味しそう。最初は、場違いすぎる〜と店に現れた母親にちょっとだけ不快感があったのだけど、あっという間になくなる不思議。この母親、あの店のなかにいたどのクソ男(暴言失礼)よりも食に関する知識もあるし、本当に美味しく食べていて気持ちがいい。ラストも、女性三人で男を置いて買えるのもとてもすっきり。 夏も近づく、は自然に囲まれた田舎の家でほぼ初対面な甥である中2の葉月と暮らすことになった叔父拓実の話。預けられた経緯も深堀して、その後の話もつけてまるまる一冊読みたいぐらいとても良かった。自分できないので、丁寧な暮らしぶりが好きだということもある。この話も出てくる、何でもない料理がとても美味しそう。 どっしり〜、は優しい恋愛小説だった。二人で開いたパン屋さんがずっと続けばいいし、二人の中も最後まで続いてほしい。パンがどれも食べてみたくて、作中の台詞「カロリーのことは忘れるしかない、って感じ。全部食べたい」に、わかる〜と。通いたい。
0投稿日: 2021.09.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
料理にまつわるお話のアンソロジー。 個人的には 伊吹さんの『夏も近づく』 坂井さんの『色にいでにけり』 柴田さんの『どっしりふわふわ』がおもしろかった♪ 坂井さんのはシリーズ化して欲しいなぁって調べたらなんとシリーズものとして出たばかりっぽい?! 早速図書館にて予約しました^^ 楽しみ♪ 柴田さんはまさかのベーコンサンドのスピンオフ~♪ 料理の描写はさすが! パンが欲しいーー!^^
0投稿日: 2021.08.27
powered by ブクログ料理がテーマのアンソロジー。 美味しいだけじゃない料理に纏わる数々、どれもそう来るかぁといったところ。 坂井希久子さん、初読み。 時代小説で色の話で、料理はどこに?と思っていたら、見事に目と味覚を鮮やかに刺激されました。 「居酒屋ぜんや」ってシリーズ物のようで、探して読んでみます。 アンソロジーはこんな出会いがあるから外せないですね。
3投稿日: 2021.08.24
powered by ブクログラストのどっしりふわふわが、 意外性もあって、面白かった。 すごーく純度の高い恋愛小説。 あとは、まあまあ。
0投稿日: 2021.08.21
powered by ブクログおいしいごはんが出てくる話は面白いという法則を見つけたので、 ぴったりのアンソロジーじゃないか!と思い手に取った。 私の説は立証されたな、と確信を持った。 読んでいるととにかくお腹がすく。 前菜からデザートまで楽しめる話ばかり。 初めて知った作者さんもいて素敵な出会いのきっかけにもなった。 電子書籍で登録していたので、登録しなおし。(2021.8.13)
2投稿日: 2021.08.13
powered by ブクログ料理をテーマにしたアンソロジー。 女性作家ばっかりかなと思ったけど、中村航さんは男性かな?色んなテイストの作品が詰まっていて、美味しくて嬉しいアンソロジーでした。 以下お気に入り作品。 柚木麻子「エルゴと不倫鮨」 不倫を嗜む男たちの隠れ家的鮨屋に、明らかに場違いなくたびれたおばさんが襲来する。そのおばさんはなぜかとても料理に詳しく、次々と美味しそうなオリジナル創作鮨をオーダーしはじめ…まさにタイトル通り注文の多い料理小説。ラストのオチも痛快でよい。 伊吹有喜「夏も近づく」 悠々自適な田舎暮らしをしている主人公が、兄から半ば押し付けられる形で甥っ子を預かることに。田舎の豊かな自然と触れ合うことにより2人が打ち解けていく様子が微笑ましい。伊吹有喜さんらしい、爽やかで優しいお話。 坂井希久子「色にいでにけり」 はじめましての作家さん。時代物で、美しい色彩と和菓子の融合。短編なのにキャラが立ってて、シリーズもので読みたいと思った。 中村航「味のわからない男」 岩上が脳内で原田○二に変換されて笑った。
5投稿日: 2021.07.22
powered by ブクログ最後の柴田よしきさんのお話には、やられました。「料理」をテーマにした七人の作家のアンソロジー。柚木麻子さん以外初めて読む作家さんばかり。どの短編も味わいが違ってて面白い。 柴田さん、柚木さんは勿論、伊吹有喜さんの「夏も近づく」が好き。複雑な家庭環境にある中学生の葉月と田舎暮らしの彼の叔父、拓実のお話。土鍋で炊いたご飯が食べたくなる。青竹を切ってコップにして飲む沢の水も美味しそう。
22投稿日: 2021.07.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2021/7/14 最初と最後がめっちゃよかった。 1話目読んだ後の余韻をすぐに消すのがもったいなくてしばらく置いたもの。 柚木麻子と柴田よしき。 柴田よしきはノーマークやったわ。当たりが悪くて最近読んでなかったなぁ。また読んでみようかな。 お目当ての伊吹有喜は間違いない。 後は坂井希久子さんとやら、読んでみよう。 やっぱり中村航は私は違うみたいね。
2投稿日: 2021.07.14
powered by ブクログ料理をテーマにしたアンソロジー。 柚木さんのお寿司屋さんの話は、赤ちゃんを抱えるお母さんのガッツリ感が良かった。 伊吹有喜さんの自然と生きる食の取り方も良かった。 美味しさの表現の競い合い(?)が中々面白かったね。
0投稿日: 2021.06.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
好きなアンソロジーは3つ。 坂井希久子「色にいでにけり」 性格不器用な主人公の女の子が豊かな想像力と天性の色彩感覚で新作和菓子の意匠を行う。 お彩が考える和菓子をどんな彩り美しいのお菓子なんだろうとワクワクしながら読んだ。 "色にいでにけり"は、"人に知られないように内に秘めていた恋心が、表れてしまっていた"という意味なので、右京との恋も暗示しているのかなと思った。 伊吹有喜「夏も近づく」 自分の居場所がない口下手な叔父の拓実と甥っ子の葉月が、自然の中でのいただく素朴な味わいの食を通じて、不器用ながらも徐々に近づいていく様子が微笑ましかった。 水出しのお茶が一段とおいしそうだった。「夏も近づく」は夏も近づく八十八夜〜♪の茶摘みの歌からきているのかなと思った。 柴田よしき「どっしりふわふわ」 噛めば噛むほど味わいが出るどっしりとしたハードパン。口に入れた瞬間溶けてしまうほどの甘いソフトパン。どっちもあるから良いのである。朋子とヒロの人生を表している全く違う2つのパンを、互いに大切にしていきたいと思い合えて良かったと思った。 人生は思ってるほど長いが、あっという間に目の前を通り過ぎていく。歳を積み重ねると、仕事や恋においても周りの目が付き纏い、悩みが複雑化する。だけど、自分の心に素直になって「好き」の気持ちを大事にしたいと思えた。 登場人物の機微が食とともにある良い本だなと思った。食の大切さと食べることの素敵さを実感した一冊。気に入った作家さんの別作品も読んでみたい。
0投稿日: 2021.05.23
powered by ブクログ好: 柚木麻子「エルゴと不倫鮨」/ 坂井希久子「色にいでにけり」/ 柴田よしき「どっしりふわふわ」
0投稿日: 2021.03.23
powered by ブクログ鮨、家庭料理、和菓子、料理レポーター、福神漬け、パンなどを取り上げた7編の料理小説集。玉石混交というところかな。独身の伯父と中学生の甥の交流を描いた伊吹有喜の作や、健気な江戸娘が和菓子のアイデアを思いつく坂井希久子の作、最後にあっと驚かされるパン職人の柴田よしきの作が好きだ。ほっこりしているのが好みかな。不倫を描いたものは男の身勝手さが感じられて好きじゃない。伊吹有喜のものなど続きが読みたいぐらい。
40投稿日: 2021.03.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読む順番も関係しているかもしれないが、特に印象に残ったのは「どっしりふわふわ」。いつの間にかヒロを男性だと思い込んでいたが作者の叙述トリックにまんまとハマっていたことに気付かされた。興奮した際にヒロが自身を「ヒロ」と呼ぶ点等に多少ギミックがあったのだとも読後に気付いた。「料理小説集」とのこともあり、作品に登場する料理はどれも細やかに表現されていて食べてみたくなった。 2021.01.10
2投稿日: 2021.03.19
powered by ブクログ「エルゴと不倫鮨」柚木麻子 「夏も近づく」伊吹有喜 初読の作家さん傷ついた気持ちが少しづつ癒されていく過程がこちらまで優しい気もちにさせられた。 「どっしりふわふわ」柴田よしき 百合が原高原?あれ?ってやっぱり。美味しいパンが食べたくなる。すごくいいお話だった。
1投稿日: 2021.03.16
powered by ブクログどの話も面白かった。私的に1番好きなのは、最後の どっしりとふわふわ です。 自分の思考の固さを恨んだ。
4投稿日: 2021.02.13
powered by ブクログ1番最初の「エルゴと不倫鮨」が最高に面白かった。 これぞ短編! という話の展開の面白さ。 抱っこ紐のエルゴと、不倫と、お鮨のお話なんです。 嘘だと思って読んで見てほしい。 女性ならすっとするかも。 柚木麻子さん、初読でした。 ほかにも読んでみます。 2話目の「夏も近づく」伊吹さんもよかった。 こちらも初読でした。 食の好みがいっしょなら、なんとかなるよ。 最初の2話が好みでした。 「料理」をテーマにした短編集。 タイトルと装丁が素敵です。 料理をおいしそうに描ける作家さんは、うまいよね。 ごちそうさまでした。
6投稿日: 2021.02.12
powered by ブクログどれも料理を丁寧に描き、同じくらい物語を丁寧に描いてあり、とても面白かった。 丁寧に料理と向き合う人は、物事にも丁寧に向き合うことができる人なんだなぁと改めて思った。
4投稿日: 2021.01.31
powered by ブクログ味覚と食欲に訴える料理描写を読みたかったのだが食べ物・料理にまつわる人間模様のアンソロジーで食欲を刺激されるという作品はまずなかった
0投稿日: 2021.01.26
powered by ブクログ食べ物をテーマにしたオムニバスが好き、と再確認した。文字によって表される食べ物は描写をたっぷりと想像力働かせながら読むと、現実の食べ物そのもの以上に魅了されるから。 特にパンやお菓子のしあわせなかおりとか、作り物じゃない素朴なごはんの不揃いな感じとか、人の手間を連想させるものがとても好きなので、「夏も近づく」「どっしりふわふわ」がお気に入り。内容的にも。 ただ正直、ラストの「どっしりふわふわ」の結末で仰天してレビューを読むまで他の本のこと思い出せなかった。それくらい全部もってかれた。笑 「エルゴと不倫鮨」は読みながら、もちろん店員さんが嫌な顔するのとかはなんだかムカつくしどっしりと構えてたっぷりと鮨とワインを楽しんだ産婦さんかっこいい!と思ったけれど、実際に自分があんな店に行って赤ちゃん連れの恰幅のいい産婦さんに居合わせたらちょっと居心地悪そうだな、、と感じてしまった!高級なお店ってごはんだけじゃなくて経験を買う場所でもあるもんなあ。でも食べたいものを食べる産婦さんはとてもかっこよかったので、私が店員さんだったらそんな人を無下にはしたくないな、とも思う。いずれにせよ不快感を露にするおじさんのようにはなりたくない!
1投稿日: 2021.01.23
powered by ブクログ7人の作家による、料理にまつわる話を集めたアンソロジー。 長編小説は集中して一気に読みたいので、滅多に外には持ち歩かないのだが、小分けにして読めるアンソロジーは、外出先で読むのにうってつけ。 しかも、新たな作家を発掘できるだけでなく、1話ごとにまったく異なる毛色の作品が読めるところが楽しい。今回は、思った以上に粒ぞろいで楽しめた。 柚木麻子のスカッと小気味良い1話目、電車の中読んでいたのだが、おもしろくて危うく乗り過ごすところだった。ワインは好きなので、こんなふうにお寿司と一緒に味わってみたいな。 井上荒野は、いかにもというドロリとした味わいで、深緑野分は先日読んだ『この本を盗むものは』と重なった。柴田よしき、そんな落ちを付けましたか。
0投稿日: 2021.01.11
powered by ブクログ◆柚木麻子「エルゴと不倫鮨」 ★★★☆☆痛快。あとお酒好きなら料理屋の楽しみ方も倍になるんだろうなとつくづく思った。 ◆伊吹有喜「夏も近づく」 ★★★☆☆好き。他の作品も読んでみたい。 ◆坂井希久子「色にいでにけり」 ★★★☆☆面白かった。色が拡がった。和菓子屋さんに行きたくなった。
1投稿日: 2020.12.18
powered by ブクログ『夏も近づく』伊吹有喜さん サワ、竹林、タケノコ堀、青竹のコップ 読んでいてこちらにまで匂いがするような感覚になって心地よかった。 『色にいでにけり』坂井希久子さん はじめは読みにくかった、自分の知識が乏しくて。 市松模様に銀杏柄、調べてみて場面が映像としてみえてくる。 萩色、乙女椿、撫子色、うんうん可愛い。 菊重という和菓子、美しい。 夫と和菓子作り体験をしたいな。 『どっしりふわふわ』柴田よしきさん 最後にびっくりさせられた。 なるほどね、田舎で噂になったらって考えるのがわかった。 相手を想うからこそ。
2投稿日: 2020.11.12
powered by ブクログどれも料理が上手く使われていて、とても楽しく読めた。 最初の話がとても面白く、これが一番かなと思ったら以降も良い話ばかりで大満足。
0投稿日: 2020.10.06
powered by ブクログ7人の作家さんによる「料理」に関するアンソロジー。 坂井希久子さんは初めての作家さんですが、「色にいでにけり」は良かったな。時代小説ですが、日頃忘れている色を思い出させてくれます。 柴田さんの「どっしりふわふわ」はジワっとくる話の最後が良かった。二度美味しい話です。
12投稿日: 2020.10.05
powered by ブクログ柚木麻子さんと柴田よしきさんは安定に読みやすいしおもしろい。柴田よしきさんのは高原カフェのお話がでてきて嬉しかったし、まさかの展開で驚き!伊吹有喜さん初めて読んだけどめっちゃよかった、、、すごいほっこりした、、、。柚木麻子さんは読み終わりスッキリ。坂井希久子さんの上生菓子の話もすき。
5投稿日: 2020.09.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
図書館で借りたもの。 小説の名手たちが「料理」をテーマに紡いだ短編小説7篇を収録。 エルゴと不倫鮨/柚木麻子 出産祝いの御祝儀で寿司とワインの代金を払う母!かっこいいなぁ。ラストは「スカッとジャパン」みたいでよかった! 夏も近づく/伊吹有喜 沢で食べるそうめん、採れたての若竹 この設定、長編でも読みたかった…! 好好軒の犬/井上荒野 時代設定は昭和? うわー!って感じ。いい、うわー!(語彙力) 色にいでにけり/坂井希久子 上生菓子って綺麗だよねぇ。涼しくなってきたし、久しぶりに食べたくなってきた。 味のわからない男/中村航 うーん。 福神漬/深緑野分 白昼夢で見た、大正時代の一食15錢の公衆食堂。この辺りの文化、興味あるなぁ。 どっしりふわふわ/柴田よしき 「高原カフェ日誌」のスピンオフ的な。ふわふわパンもどっしりパンも両方好き!
3投稿日: 2020.09.15
powered by ブクログ女を口説くのに最適なレストランの闖入者―エルゴと不倫寿司 兄貴が先妻との子を預けてきたー夏も近づく きまぐれな小説家の夫との生活ー好好軒の犬 摺師を父に持つ娘お彩と変な上方男ー色にいでにけり アイドルくずれのグルメレポーターの話ー味のわからない男 貧しい娘が見たのは夢か現かー福神漬 パン職人を志した女が50を過ぎてどう生きる?-どっしりふわふわ 食べ物を中心にした7本の物語。 わー、全部面白かった! 1本目の「エルゴと不倫寿司」でドカンとやられました。女の敵は男と思ってるわけではないんですが、女の味方は女であってほしい。 2本目の「夏も近づく」も田舎ならではの贅沢な食生活がよだれ出る!さらにお話が小川のせせらぎのような透明感。 4本目の「色にいでにけり」は時代小説。 7本目の「どっしりふわふわ」はパンのことなんですけど、ミステリーでもないのに「あっ」と言わされました。 以上4本がお気に入りです。 ついついミステリーばかり選んで読んでしまうので、とっても新鮮かつ楽しめました。 短編で読みやすいですし、通勤時間が楽しくすごせますよ。オススメです!
3投稿日: 2020.09.10
powered by ブクログ身なりに構わず空気も読まずに周囲を圧倒させる女性を書くのが上手い柚木さん。調理法の指示や蘊蓄が、読者が美味しさを想像するテンポを上回るスピードでポンポン出てくるのが凄い。 坂井さんは色の名称の圧が強すぎて負けそうだったが、和菓子の表現や江戸と京の違いが面白くてもっと読みたくなった。 伊吹さんも良い話だった。会話はなくても通じてる感じが好き。
2投稿日: 2020.08.24
powered by ブクログ料理にまつわるアンソロジー7篇 面白かった 伊吹さんの『夏も近づく』がすごく好き 土鍋で炊いたご飯やとりたてのタケノコ どれも素朴で でもとっても贅沢で羨ましい 柚木さんの『エルゴと不倫鮨』も面白い 鼻の下を伸ばす不倫男どもを袖にし 連れ立って歩く女たちがなんとも爽快でした 初見でしたが坂井さんの『色にいでにけり』も好き 続編などがあったら読みたいな 続編といえば柴田さんの『どっしりふわふわ』もなんだか懐かしくてよかった
2投稿日: 2020.08.11
powered by ブクログ図書館で借りるのに好きな作家がたくさん。柚木麻子は子ども産んだせいか、子連れ母さんの描写が超リアル。思わず共感!あと柴田よしきは分かる人には分かる(ある意味)続編だったのでニヤリ。
2投稿日: 2020.08.07
powered by ブクログ料理にまつわるアンソロジー7編。 表紙を見て、「注文の多い料理店」の表紙だか挿絵だかがそっくりだったと思い出し、絶対読みたい!と思って予約。しかし、件の表紙はネットで検索しても出てこない…ハテいつの記憶なのやら…。 お馴染みの作家さんもはじめましての作家さんも収録されていたが、それぞれの味を堪能させて頂いた。 ここのところ、ちょっと心に重い本が続いていたので、小気味良く爽快な話が多く、心が軽くなった。 初めて読んだ坂井希久子さんの時代小説は、是非シリーズが単行本化したら読みたい。 どなたかも書いていたが、私もやはり伊吹有喜さんの短編が一番好きかも。ストーリーも食べ物描写も本当にいい!2020.8.6
28投稿日: 2020.08.06
powered by ブクログ表紙がおしゃれ。紙もふだんの文春のつるっとしたのとは違い、少しざらっとして単行本の表紙みたい。 7編どれも楽しく読めてよかった。ふだんあまり食事の描写に入り込んで読めない(具体的に思い描こうとしない)ので、物語の一要素としてするっと読み流してしまうんだけど、最初から「料理がキモの話ですよ」となるとさすがに身構えて読む。ミモレットの鮨、沢の水と素麺と掘りたてのタケノコ、噛むほど美味さが広がる個性的なパン――いろいろな食べ物を楽しんだ。 『夏も近づく』(伊吹有喜)がとても好きな雰囲気。寡黙な二人、でも自然は雄弁でそれが人の背中を押す。
7投稿日: 2020.07.26
powered by ブクログどれも面白く、素敵なお話でしたが 夏も近づく 色にいでにけり どっしりふわふわ の三作品が特に好きでした。
2投稿日: 2020.07.23
powered by ブクログ最高級の鮨&ワイン、鮪の山かけと蕗の薹の 味噌汁、カリッカリに焼いたベーコンに ロシア風ピクルス。おやつに金平糖はいかが? 小説の名手たちが「料理」をテーマに紡いだ 短編小説7篇を収録。
2投稿日: 2020.07.14
powered by ブクログ柚木麻子、伊吹有喜、井上荒野、坂井希久子、中村航、深緑野分、柴田よしき『注文の多い料理小説集』文春文庫。 少し前に読んだ、徳間文庫の日本文藝家協会・編『短篇ベストコレクション 現代の小説2020』に収録されていた柚木麻子の『エルゴと不倫鮨』が非常に面白かったので親本である本作も読んでみようと思った。『注文の多い料理小説集』というタイトル通り、小説家たちによる料理をテーマにした短編小説の競作集である。いずれも甲乙付けがたい秀逸な短編が並ぶ。 柚木麻子『エルゴと不倫鮨』。見事なまでに起承転結がはっきりしていて非常に面白い。下衆不倫でお馴染みのアンジャッシュの渡部あたりが好みそうな会員制イタリアン創作鮨店というおバカな店に集う訳ありカップルたちというのが、さもありなんという感じで笑えてしまう。そういう店には絶対に似つかわしくない乳児をエルゴ紐でくくりつけた体格の良い中年女性が突然入って来るというシチュエーションも面白い。さらに、意外にもその中年女性がかなりの食通・ワイン通で店のコースなど無視してメニューに無い鮨を調理方法を指定して赤ワインのボトルと共に次々と平らげていくという意表を突く展開がストーリーを盛り上げる。そして、中年女性が男どもの下心を見事なまでに粉々に打ち砕くという結末の爽快感。 伊吹有喜『夏を近づく』。心洗われる素晴らしい作品。田舎の実家で独り慎ましく暮らす弟の沢井拓実は、ある日突然、実の兄から前妻との間に出来た中二になる息子の五月を預けられる。前妻の息子ということで義母や義姉妹からも疎まれ、家では居所を失い、固く心を閉ざしていた五月だったが、拓実との田舎暮らしながら自然の恵みを楽しみながら次第に心を開いていく。少しずつ五月が生き生きとした少年に成長していく描写が見事。夏は田舎に限るよ! 井上荒野『好好軒の犬』。描かれる料理は魅力的なのだが、様々な意味で重苦しく嫌な空気を感じる作品。火事で焼けてしまった近所のラーメン屋、好好軒。小説家の妻である私は好好軒の犬にまつわる子供たちの噂をヒントに小説を書いてみる……過去に何度も女で失敗し、今も新たな女の影がちらつく小説家の光一郎に季節の物や手塩をかけた料理を振る舞う私…… 坂井希久子『色にいでにけり』。初読みの作家。収録作品の中で唯一の時代小説。職場の火事で失明した元摺師の父親と長屋で慎ましく暮らすお彩は類い稀なる優れた色彩感覚を持っていた。ある時、上菓子屋が新たに作る上納菓子の色について相談されたお彩は……目に浮かぶような上品な色の和菓子。 中村航『味のわからない男』。元アイドルで売れない芸能人の岩上は恋人の伝で辛うじて食レポの仕事を得ていた。ある時、食レポ8本撮りの仕事で富山に出向いた岩上は下心を出したばかりに…… 深緑野分『福神漬』。苦しい日常の暮らしの中で、食だけが唯一の楽しみというのが良く解る。主人公にはどうか幸せになってもらいたい。両親が経営する喫茶店が借金が膨らみ立ち行かなくなり、店も家も売り払い、大学を休学し、掛け持ちのアルバイトに勤しむ私。ある日、清掃のアルバイト先の病院の食堂で僅かばかりの贅沢に福神漬が山盛りのカレーライスを食べていると、夢かうつつか解らぬ状況に陥る…… 柴田よしき『どっしりふわふわ』。50歳を過ぎて東京から故郷の村に戻って来た主人公の朋子。東京ではパン屋を共同経営していたが、人間関係の縺れで立ち行かなくなった。紆余曲折。最後の短編なのに、どうにもしっくり来ない。 本体は650円 ★★★★★
21投稿日: 2020.06.26
powered by ブクログ7人の作家によるおいしい小説アンソロジー。 いや、これはお買い得。豪華なメンバの短編がまとめて読めるんだからね。しかもおいしい。 料理小説ってのは読んでる途中、中に出てきた料理をどれだけおいしそうに感じるか、読み終わった後、どれだけ食べたいと思うかってのがキモだと思うんだけど、どれもこれもそそられまくり、お腹、空きまくり。 7人の作家、それぞれにそれぞれらしい味付けで楽しめる。順番もいいね。柚木さんでつかまり、柴田さんで最後ひっくり返る。さすがだ、うまいね(料理だけに 【再読2022年10月13日】 寝る前に一章ずつ読んでいたのだけど、困ったことに眠くなる前にお腹が空いてくるというね。 いやしかし改めて、これは贅沢な一冊だ。好きな作家さんたちの料理小説がみっちり詰まっているのだから。 柚木さんでニヤリとしたり、伊吹さんでほろりとしたり。どれもこれも滋味深くしかも読み心地がそれぞれ異なるというね。気持ちよく読み続けてきて、さぁ、ラストだと読み始めた柴田さんで、うへーっとやられる。二回目だけど、そうだったのか、うへー。
6投稿日: 2020.06.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
タイトルの通り「注文の多い小説集」でした。全体的にほろ苦い話が多いかな?柴田さんの「どっしりふわふわ」は、途中までヒロが男性だと思ってましたが、女性だったとは!でも幸せそうで何よりです。柚木さんの「エルゴと不倫鮨」は、ラスト目が覚めた仁科が不倫しなくて良かった。伊吹さんの「夏も近づく」は、最低な父親から離れ、叔父と暮らした方が幸せなのかもしれないですね。
3投稿日: 2020.06.10
powered by ブクログ7人の作家によるアンソロジー。 読み味が爽快なものから苦味、無味、うま味まで、想像しながら喉が鳴り舌なめずり。 「色にいでにけり」が好き。
2投稿日: 2020.06.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
表紙が素晴らしい! 言わずとしれた宮沢賢治の注文の多い料理店、をイメージさせるイラスト。 ひと目ぼれにより即買い。 連休中にのんびり読もうと思っていたら、時間があることをいいことに韓ドラ一気観にはまって、結局読み終わるのにひと月かかったという…。 いろんな作家さんの作品が読める、まさに美味しい一冊でした! 一作目の柚木さんのは思わぬ展開に、そうくるかあっと。 場に合わない女性が入ってきた時には、なんだこの人、いるよなー店のルール無視する自分勝手な客!っとか思っていたのに、なぜかどんどんこの女性の力強さに惹かれていって、 男どもの下心が粉砕されていく様がおかしくて、読後感がめっちゃ清々しい。よい意味でやられたーっと。 柚木さん作品よくみるけどまだ読んだことないかも、今度読みたい。 食は生きる力というけれど、そういう意味で生きる力を取り戻す話が伊吹さんのかなあ。 井上さんのは不穏で、おおって感じ。 坂井さんのはなにかのシリーズの前フリ的なお話なのかな? 本シリーズあるなら読みたい。 ラストの柴田さんのもやられた感あり。 最近人気の年下彼氏の話と思いきや、女性だったとは。 でも結局人を好きになるってことに違いはないんかなー。 結局夢も愛もゲットでしあわせじゃん! いやあ、いろんな世界を楽しめてアンソロジーはやっぱ楽しい!
6投稿日: 2020.05.31
powered by ブクログ2020年21作品目。 「エルゴと不倫鮨」柚木麻子 「夏も近づく」伊吹有喜 「好好軒の犬」井上荒野 「色にいでにけり」坂井希久子 「味のわからない男」中村航 「福神漬」深緑野分 「どっしりふわふわ」柴田よしき 収載の料理がテーマのアンソロジー。 創作鮨とワイン 冷たい緑茶と塩むすび 蕗の薹の味噌汁 きんとんと柿をかたどった求肥 ゲンゲ汁 カレーライス サンドイッチと白いパン が登場。 どれもおいしそうで食べてみたい。 「夏も近づく」の拓実、理想だ…… 土鍋で炊いたつやつやのごはん、想像しただけで、もう。 三重県が、静岡、鹿児島に次いで3番目の茶所とは知りませんでした。 前夜にアイス緑茶を仕込む。 甘い緑茶ができ上がるのかしら。 つくってみよう(^^)
2投稿日: 2020.05.29
powered by ブクログ料理にまつわる短編集。どの話も楽しかったんだけど、「夏も近づく」「どっしりふわふわ」が面白かった。 いろんな作家さんを知れてよかった。そして、お腹がすいたー。
2投稿日: 2020.05.23
powered by ブクログ高級鮨に炊きたてご飯、上菓子、おうちごはん等々、内容も辛いものから じっくり噛みしめたくなる味まで様々で、もう少しおかわりが欲しくなる充実ぶり。装丁も(フォントも?)洒落ていて好印象。 『夏も近づく』『色にいでにけり』『どっしりふわふわ』がお気に入り。
2投稿日: 2020.05.12
powered by ブクログ私は昔から食が細く、料理もあまり得意ではありません。でも食べ物が出てくる話が大好きなので、わくわくしながらページをめくりました。 特に「夏も近づく」は何度も読みました。高級食材や珍しい調味料なんか使わなくても、経験と少しの手間で身近な食材を美味しくいただく術を知ってる拓実はすごく生命力の強い人だと思う。そんな拓実と暮らす葉月がどう成長していくのか楽しみで、読むと爽やかな気持ちになりました。
3投稿日: 2020.05.10
powered by ブクログ意外に料理が印象に残らないものが多かったけど、アンソロジーはやっぱりお得感あります。 料理も印象に残って、小説もよかったなというのは、伊吹さん。
3投稿日: 2020.05.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
料理をめぐる7つの短編集。とにかくどの物語も出てくる料理が美味しそうで食べたくなる!料理をきっかけに主人公たちの物語が分岐するのが面白くて、どれも続きを読みたくなってしまう。伊吹有喜さんの「夏も近づく」・坂井希久子さんの「色にいでにけり」が特にお気に入り(^_^)
2投稿日: 2020.05.08
powered by ブクログ本の質感やデザインが良くて、店頭で一目惚れして購入した。文庫本なのにザラザラした感じが良い。 良かったのは柚木麻子の「エルゴと不倫鮨」。赤ちゃん連れで来た母親の態度が、はじめは不快だったのに、読んでいく内にその言動が痛快になっていた。他の女性客たちと同じ様に。美味しいものを美味しく頂く。それが一番なんだと改めて気付かされた。 伊吹有喜の「夏も近づく」も良かった。静かな田舎で生活する事になった、中学生とその叔父さん。その2人のちゃんと生活している感じが良かった。ハッピーエンドなのもいい。 後の作品は私は好みではなかった。
3投稿日: 2020.04.24
powered by ブクログ●エルゴと不倫鮨/柚木麻子 ●夏も近づく/伊吹有喜 ●好好軒の犬/井上荒野 ●色にいでにけり/坂井希久子 ●味のわからない男/中村 航 ●福神漬/深緑野分 ●どっしりふわふわ/柴田よしき 初端、柚木さんの話が痛快だった。 おもしろかったのは、坂井さんと柴田さんかな。
2投稿日: 2020.04.23
powered by ブクログカテゴライズするなら、食べ物小説なんだろうけど、アンソロジー短編集ということもあって、料理の描写が少ない気がする。 「エルゴと不倫鮨」柚木麻子 「味のわからない男」中村航 はともに、食事ってのはファッションじゃねぇんだよ、食べるという行為自体が生きるための本能的なアレなんだよ! みたいなテーマを感じるけど、女性作家と男性作家でこうも読後感違うのかと思えて面白い。もちろん性別だけでなく作家のパーソナリティによるものだから、女性性、男性性と言ったほうがいいのかもだけど。 「どっしりふわふわ」柴田よしき は『風のベーコンサンド』の続編なのか。シリーズ化されてるからなんだろうけど、ラストの一行になんだかイラッとする。 表紙に猫がいます。
3投稿日: 2020.04.12
powered by ブクログいつ届くかいつ届くかと楽しみにしていたので、 届いたその日に読み始めて あっという間に読み終わってしまいました。 柚木麻子さん、深緑野分さん、柴田よしきさんと、 好きな作家さんがたくさんいて、 なによりおいしそうな本!と期待大でした ごはんがメインだったり、 ほかの要素が濃くてごはんは印象に残らなかったり、 作家さんによって特色はありますが全部面白かったです お目当てだった3人はもちろんですが、 特にお気に入りなのは伊吹有喜さんの短編でした。 知らなかった作家さんとの出会いがアンソロジーのいいところ。 伊吹有喜さんの作品、たくさん読んでみようと思います!
5投稿日: 2020.04.08
powered by ブクログ【七つの絶品料理を、召しあがれ】塩むすびに緑茶、鮨にワイン……あなたはどんな味が好きですか? 「料理」をテーマに物語の名手たちが紡いだ極上の短編小説七篇。
3投稿日: 2020.03.11
