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私をくいとめて
私をくいとめて
綿矢りさ/朝日新聞出版
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総合評価

86件)
3.5
12
26
32
9
1
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    映画も良かったけど、主人公と「A」との会話は活字で読む方が面白い ​主人公の鋭すぎる洞察力は、見ていて小気味いい反面、生きにくさに繋がっているのが切ない 最後は自分自身と「きちんと折り合いがつきそう」な予感を感じさせて、スッキリする読後感でした ​考えすぎて空回りしちゃう人に刺さる一冊です

    1
    投稿日: 2026.01.04
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    「ストレスは目に見えない煙草の煙みたいだ。たくさんの言いたいことを毎日文句も言わず噛み潰してきたしかめ面を、灰色の煙が覆っている。」 「真夜中の沈黙に身を浸すのは危険です。漆黒が身体の芯に染み込んで、取れなくなります。夜にはっきり感じた孤独は忘れられません。孤独は、人生につきものです。誰かと居ても、癒されるものではありません。ふわふわと周りに漂っている時は、息をひそめて吸うのを避けるのです。」

    0
    投稿日: 2025.11.07
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    タイトルに惹かれて買った。もうひとりの自分、誰しも持つのか否かわからない。自分にもいるようで、結句、諦めてる、慰める、叱る、勇気づける、安心させる、安心する、そして決める。性別に差があるのか、今回は女性が主人公であることが作品となっている。私をくいとめて、くいとめられないのか自分なんたな

    0
    投稿日: 2025.10.29
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    主人公はいつも1人で飲食店に行くと他人の声が耳に入ってきてしまう。 焼肉屋での男性上司と男性部下の話が主人公の耳に入ると心の中で言う。 男性はいつも自分の話に切り替えてしまい、相手に寄り添わず、少し話がズレている。 一方女性が話す場合は相手に寄り添い、丁寧に耳を傾ける。 やっぱり女性同士は仲間を作るのがうまいんだろうか。 「勝手にふるえてろ」も「私をくいとめて」 も恋愛相談できる女上司や同僚がいる。 彼女達は恋愛下手な主人公達の話を笑ったりは決してせず、寄り添う。 そんな恋愛下手な主人公はホテルで男性と2人きりになり、気まずくなって逃げ出してしまう試練が降りかかる。 「ひとりになりたい!わたしをくいとめて!」 なんて現代的な心の叫びだろうか.. 他人と違う自我を持った私が、他人と寄り添おうとしたが、強烈な自我が暴れてしまう... 女性が会社に勤めて、1人で稼げるようになってしまった時代の副作用でもあるのか。 1人で生きていけるのに、他人といる意味とは... サルトルの戯曲「出口なし」は罪を犯した男女3人がアパートの一室に閉じ込められ罵り合い「地獄とは他人のことだ」と締め括られる。 ホテルに閉じこめられた「私をくいとめて」の2人も地獄だと思ったでしょう。 映画版「私をくいとめて」の主人公の上司は主人公に言います。 「生まれた時から人間みんな人間ひとり。他人といるのは努力が必要なの」

    0
    投稿日: 2025.08.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ◾️record memo 一人で生き続けてゆくことになんの抵抗もない、と思っていた。一日の大半を過ごす勤め先にはたくさんの人間がいるし、否が応にも彼らとはコミュニケーションを取らなくてはいけないし、休日はときどきは一緒に遊ぶ友達もいるし、実家にもたまに帰る。また気に入ったスポットへ一人で出没するのが、私の趣味でもあり日課でもあるから、休日はいくらあっても足りないくらいだ。むしろ一人でいる時間を一日のうちでなかなか見つけられないので、帰宅後一人の時間が短くなるのがもったいなくて、ついつい夜ふかししてしまうほどだ。 男性も家庭も、もはや私には遠い存在になっている。女友達のなかには、二十代のうちに結婚しなければ生まれたときに妖精にかけてもらった魔法が解けて、カエルの姿に戻ってしまう、ぐらいに焦ってなんとか二十九歳で入籍して安堵のため息をもらした子もいる。結婚適齢期になれば実感も湧いてくるかなと思ったけど、しょせん他力本願で、身体の奥底から突きあがってくる欲望由来のエネルギーはいつまでたっても湧いてこなかった。 「夜にはっきり感じた孤独は忘れられません。孤独は、人生につきものです。誰かといても、癒やされるものではありません。はっきりと意識してはだめです。ふわふわと周りに漂っているときは、息をひそめて吸うのを避けるのです」 「自分が独りぼっちだって、気づいちゃいけないの?」 「気づくのはしょうがない、でもうまく逃げて。変に意識しない方がうまくやれます。普段意識せずにまとわりつかせるだけならいいですが、意識したとたん、どうやってこんな深い海で泳いでいたんだろうと息苦しくなって、なにもかも不自然な、ぎこちない動きになって溺れてしまいます」 「あなたのこと、信じてもいいの?」 「どうぞ、ご自由に。私は常に最善だと思う策をあなたに話しかけています。決してめんどくさがったり、なにかあなたをはめようとしたりして言葉を作ったりはしません。なぜなら私はあなた自身で、あなたが滅びれば私も無くなってしまうのですからね」 一方で、私の人生ぽくて、しっくりくるなぁとも思う。なじみのゆっくりしたペースで進む毎日のなか、長く引きのばした青春をいつまでもうっすら夢心地で楽しんでいたい。 片付いた自分の部屋でイライラせずに一日過ごせるってぜいたくだよなぁ、と気づいたのは国内の一人旅でホテルに泊まったときだ。一泊何千円や何万円の環境をお金を出して払うとき、家賃の存在も同時に思い出す。 「だからいままで独身なんでしょうな」 他人ごとのように答えながらも、私は結果をあまり悲観していなかった。 子どもかー、いたら楽しそうだけど別にいなくてもいいや。子どもがどうしても欲しい人には分かってもらえないが、意地でも誇張でもなく、等身大の正直な本音だ。そう言ってても後で欲しくなるんだって、と言われても、やっぱり実感がわかない。私にとって子どもは、"まだ欲しくない"ものではなく、"欲しいか欲しくないか聞かれれば、積極的に欲しいとは思わない"に分類されている。それが時間経過と共に変わるかは"いま生きていたいからって、いつか辛いことがあって死にたいと思うかもしれないじゃない"と言われているのと同じくらい、理屈は分かるが実感のわかないできごとだ。だんだん同類の女の人は見分けられるようになってきて、おそらくプッチは私の考えとわりかし似ているんだろう。 フンと鼻息を出すノゾミさんはたくましい。ノゾミさんはAがいなくても、正真正銘自分一人で、自分の世界を守ることができる人なんだろう。誰かをまるごと獲得しようともがくより、自分との接点だけを見つめて、大切にできる人なんだろう。 「じつはね、最近隠し撮りしてるの。ほらこれ、一人残業もせず、さっさと帰る瞬間のカーター。周りの非難の視線も気にせず、わきめもふらずに出口に向かう姿、かっこいいでしょ」 うれしそうにノゾミさんが見せてきた携帯の画面には、移動速度が速すぎたのか、残像の流線の姿でしか映ってないカーターが横切っていた。 入社したときこの会社は、わりと体育会系で、女性の先輩たちもビシバシ指導するぞという意気込みに満ちていた。彼女たちの指導は好みによって少し偏りがあり、ターゲットとして見定めた新人相手に、学生時代のいじめを思い出させる、すっぱい弾幕を張った。 彼女は私が入社した当時から私にはつめたく、私が彼女とその同僚のグループの前を通りかかると、「のんきを装ってる」と私に聞こえるぐらいの音量ではっきり言った。 たしかに私はのんきを装ってるけど、本当は自分でもあつかいに困るくらい、激しい人間なのだ。周囲の人たちが気づかずに見過ごしている状況に、感謝しなくてはならないほど、実はやっかいな性質である。 いじめの典型みたいに消しカス入りのお茶とか飲まされたけど、まあそれはそれ。これはこれ。 めざましい女性先輩たちは人生の展開が早くて、次々と辞めていき、残ったのはみそっかすの私やノゾミさんのような女の人たちだった。私たちは現場が発狂するくらい、同じミスを何回もくり返したり、辞表もののミスも一度や二度は披露してきたが、家に帰ってコンタクトレンズあるいは会社用の眼鏡を外して、泣いて寝たあとは、かならず翌朝出勤した。くり返してる間に、平気なことが増えてきて、ミスもなんとか寸前で避けられるようになり、ただ長く会社に居ただけながらも、後輩には新しい業務を教えるようになった。ミニお局はミニなりに、いばらないのが長所だ。数少ない後輩にも若干ばかにされてるくらいの、ちゃらんぽらんな湯温が、いまの私には心地よい。 辛い顔をしてないと頑張ってないと思われる日本社会は、息苦しい。 必要とされる喜びと利用される悲しみが混ざり合う「仕事」に、魂まで食われてしまいたくない。 ほんの一瞬の幸せじゃなく、小さくてもずっと感じていられる確かな幸せを探し求めてきたはずなのに、私はまだ見つけていない。心配ごとがいつかすべてなくなる日なんて来るのだろうか。どうして私は、いつでも不満なことがあるのだろう。課題がいつも視界を塞いでいる。ちょうど目の高さに掲げられた真正面のカードをにらみ続けている。 話しかけても、多田くんからはなんの反応もない。 恋人の小さな傷つきに敏感になるのも、なられるのも苦手だ。相手の不機嫌に気づけば、ひやっとして一分でも早く挽回したいのに、大体繕おうとすればするほど墓穴を掘り、逆に自分の気持ちの変化に敏感な相手に顔色をうかがわれると、当惑する。 男の人と付き合うのって、これだから嫌だ。さっきまで笑い合っていたのに。 無人の廊下を歩き製氷器コーナーにたどりついた。製氷器から落ちてくる氷でグラスを満たして、あとはもう帰るだけなのに足が動かなくなって、眩暈がしてきた。 「どうしたんですか」 遠くでAの声がする。 「部屋に帰りたくない。多田くんに会うのがこわい、また不穏な空気になったらどうしよう。一人で孤独に耐えている方がよっぽど楽だよ」 シャワールームでは出なかった涙が、いまさら溢れ出してくる。 「多田くんを愛しく思う気持ちはあるよ。でも距離の取り方が分からない」 さっきの小競り合いだけが原因ではなかった。いくら恋人同士とはいえ、私には予想外のお泊まりなどという、恋愛ドラマみたいな展開はきついのだ。ずっと静かな一人の部屋で眠ってきた私は、間違いなく今夜一睡もできない。それはいいとしても、ツインの空きの部屋が無かったからしょうがないけど、ダブルベッドで寝なければならない。多田くんはベッドで迫ろうかどうか今思いあぐねているだろうけれど、私はそれどころじゃない。身体がこわばって、きっと寝返り一つ打てそうにない。 独り言が異常に多いと気づいていても、とめどなく口からこぼれ落ちてゆくように、受け止め先もないまま"私"がこぼれ落ちてゆく。いままではなんとか形を保てていた"私"が、頭からチャックを開けられて、中身が外へ溢れ出てしまう。 だれでもいい、だれか私をくいとめて。応急措置の包帯でも、下手くそな漆喰の塗り固めでもいい、とにかく、早く、なんとかして。 「落ち込んでいた気分は良くなりましたか」 「うん、ずいぶん楽になった」 「一体なにがそんなにショックだったんですか。多田さんとの距離がぐっと縮まる良い機会じゃないですか。抱きついてきた彼に幻滅したんですか」 「ううん、多田くんは何も悪くなくて。自分が根本的に人を必要としていないことがショックだったの。人と一緒にいるのは楽しい。気の合う人だったり、好きな人ならなおさら。でも私にとっての自然体は、あくまで独りで行動しているときで、なのに孤独に心はゆっくり蝕まれていって。その矛盾が情けなくて」 A、もう聞いてないかもしれないけど、話すね。私から呼びかけるのは、これで最後にします。迷っているとき、いつも相談相手になってくれてありがとう。私は、私自身にさえすがりつかなければ困難を乗り越えられないほど弱い人間だけど、Aがいたおかげで何度も乗り越えられたよ。いつも励ましてくれて、つねに私の味方でいてくれてありがとう。いつも言ってほしい言葉をかけてくれてありがとう。これからは自分とは別の人間と、向き合って、体当たりで、ぶつかり合って生きていくよ。でももし頑張っても上手くいかなくて、また孤独でピンチに陥ったら、どうぞよろしく。頼りにしてるよ。 私はラッキーだって今気づいた、本物の孤独なんて私には永久に存在しないね、だって常にAがそばにいるから。Aは私なんだから。そう思うと、すごく強くなれるよ。返事は聞こえないが、頭の中でAが微笑んだような、脳のシワのうちの一本がゆるんだ感覚があった。

    1
    投稿日: 2025.08.11
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    私をくいとめて/綿矢りさ著 #読了 現代のおひとり様的な社会テーマを軽やかに嫌味なく描いた作品。ちょっと不思議な設定としては「A」という主人公みつ子の頭の中の相談相手キャラいる点が独自性は在るけど違和感のないOLの日常に物語は存在している。イタリアに旧友に会いに行ったりといった冒険はあるのだけど、それは日常の中の他者の大切さを浮かび上がらせる調味料の様なイベントです。 兎に角日常では在りつつ、その物語の中での出来事の配置がいちいち上手く、優しいユーモアもあって、現代女性作家として先頭を走っている上手い作家の一人であることをまた思い知らされた作品です。

    0
    投稿日: 2025.06.29
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    「オレンジジュースを飲まないと死んでしまう人はいますか?」「では、オレンジジュースが好きな人はいますか?」「そうです。根本的に必要じゃなくても、生活にあるとうれしい存在はたくさんあるんです。」

    0
    投稿日: 2025.06.12
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    途中から、Aが実際に動いているような描き方になっていて「?」が浮かんでくる場面も多かった。 しかし、Aの存在は大きく、私にもいるかな?いたらいいな?と思いつつ、ある友だちにも猛烈に勧めたい一冊になりました

    0
    投稿日: 2025.03.18
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    うーん、なんか飛行機のパート、イタリアのパート長いなぁー 綿矢りさらしくないというか、結局なに?というか… 他の作品は大好きだから、たまたまこれが私にささらなかっただけかな?

    0
    投稿日: 2024.11.30
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    いつも自分自身と話しているのですごく同感した。もっと自分と話して自分を大切にしていこうと思った。友達におすすめしたい一冊。

    0
    投稿日: 2024.07.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    Aとの会話が良かった。 なんだかこっちまで落ち着けるから不思議だ。 ノゾミさんいいのか!?カーターで!!と思ったけどなんだかんだ上手くいったので一安心。 多田くんとミツコもうまく行く感じでよかったー。 久しぶりの綿矢さんの作品面白かった。

    6
    投稿日: 2024.07.02
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    金原ひとみさんのあとがきを頷きながら読んだ。 いまふうの人たちの話だった。 薄い嫌悪感はあるけど、そんなにいやなものじゃなくて、でもやっぱり自分とは違う種類の人を見ている感じ。 みつ子は割とぽやーっとした性格のように思えたけれど意外にも行動力があってよかった。

    0
    投稿日: 2024.02.21
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    『あなたは自分のこと』を『おひとりさま』って思ったことはありますか? 『おひとりさま』という言葉をいろんな場面で見かけるようになりました。人はどうしても他人の目を意識するものです。『ひとりカフェ』はカフェが待ち合わせの場所と考えると、ひとりで入るのになんの躊躇もないと思います。しかし、『ひとりファミリーレストラン』、ひとり焼き肉、そして『ひとりディズニー』となるとどんどんそのハードルが上がっていくようにも感じます。しかし、『おひとりさま』という『明らかな接待用語』がそんなハードルを下げてもくれます。  『女一人という、ともすればみすぼらしくなりがちな状況でも、”自分はおひとりさまだ”って自称すると、背すじが伸びるというか、堂々と品良くいられる気がする』 『一つの言葉だけで、自分を鼓舞できる』のであれば、今の世にあって『おひとりさま』という言葉はまさしく時代にあった言葉のようにも思います。 さてここに、『一人で生き続けてゆくことになんの抵抗もない』と語る三十三歳の女性が主人公となる物語があります。一方でその女性は『どう思う?多田くんの気持ち』、『私には分かりませんね。本人に訊いてみたらどうですか?』、『訊けるわけないじゃない』と一番身近な存在と日々会話を続けます。この作品は主人公がそんな身近な存在を常に意識する物語。そんな身近な存在にさまざまなことを相談する物語。そしてそれは、『おひとりさま』を満喫するその先に生きることの本当の意味を知る主人公の物語です。 『ハイ、できました。同じ要領で、シシトウとイモの天ぷらも作ってみましょう』と指示する講師の言葉に『ロウを高い位置から垂ら』すのは主人公の黒田みつ子。『時間は午後六時、多くの奥さんが本物の天ぷらを揚げているだろう時間帯に、私は一人で合羽橋まで来て、食品サンプル作りの一日体験講座に参加している』という みつ子が『食べ物の模造品に興味を持ち始めたのは、ごく小さい子どもの頃から』でした。『そして三十代になったいま、とうとう自分で作り始めている。末期だ。老人の頃にはどうなっているのだろう。間違えて食べてそうだ』と思う みつ子は、『食品サンプル製作体験講座』の『帰り道、地下鉄の入り口まで雨のなかを歩』きます。『晩ご飯は経由駅の百貨店の地下で、お惣菜を買っていこうか』、『ニセモノの天ぷらは合羽橋まで来て作るのに、自炊はゼロなんですね』、『ゼロじゃない、先週は厚揚げと豚肉の炊き合わせを作ったでしょ』というのは『会話だけど、声は出ていない。話し相手は私の頭の中に住んでいる』という 存在と会話する みつ子。『さっき天ぷらのサンプルをテレビの前に置こうなんて考えていらっしゃいましたが、やめておいた方がいいですよ』、『なんで?』、『五感は食欲を刺激するって言いますからね…なにか食べたくなります。太りますよ』、『じゃあどこに飾ればいい?』、『飾るのは止しましょうよ』と、頭の中で会話する みつ子。そんな みつ子は『私の趣味って暗すぎると思う?…正直に答えてよ、A』と訊くと、『良い時間の過ごし方だったと思いますよ。楽しんでいらしたし』と、『さりげなく気遣う口調になる』『A』。そんな『A』のことを『私の気持ちを察するのがうまい。当たり前だ。Aはもう一人の私なのだから』と みつ子は思います。そんな みつ子は、『一人で生き続けてゆくことになんの抵抗もない、と思ってい』ます。『勤め先にはたくさんの人間がいるし』、『一緒に遊ぶ友達もいるし、実家にもたまに帰る』と思う みつ子は、一方で『男性も家庭も、もはや私には遠い存在になっている』という今を思います。そして、『どこか理想と決定的に食い違っている気がするのはなぜだろう。私はこの場所を目指していままで働いてきたんだろうか』と思う みつ子は、『あなたのこと、信じてもいいの?』と『A』に話しかけると『どうぞ、ご自由に…私はあなた自身で、あなたが滅びれば私も無くなってしまうのですからね』と返されます。そんな『Aが出現してすぐの頃は、ちょっと精神の病を疑ったこともあったが、Aの声が本当は自分の声だとは分かっているし、多分大丈夫だろう』と今の みつ子は考えます。 場面は変わり、『うちには月一回ほどのペースで、托鉢の器を持った修行僧が現れる』と『マンションのドアを開ける』みつ子は、『こんにちは、いつもすみません』と玄関前に立つ『スポーツ刈りの多田くん』を迎えます。『実際はただ飯をもらいに来ただけの人』という多田に『うちで食べてく?』と声をかけるも『いや。それは。ご迷惑は、かけられないので。作ってもらえるだけで十分です、ありがとう』と返されます。『「うちで食べてく?」と訊きながら、ほんとに上がりこんできたらヤだなぁと思っている』みつ子の一方で、『”まさか今日も訊かれると思わなかった”という当惑したリアクションを律儀に返してくる』多田。『三十代同士なのに、中学生同士の会話と同じくらいぎこちない』と感じる みつ子は、『じゃ、よそってくるね。器貸して』と受け取り、大鍋に煮込んだ『肉じゃが』をよそうと『どうぞ、これ、おいしかったら、いいんだけど』と多田に返します。『私の頭の中に住んでいる』『A』と会話しつつ三十代の今を生きる みつ子の日常が描かれていきます。 “黒田みつ子、もうすぐ33歳。悩みは頭の中の分身が解決してくれるし、一人で生き続けてゆくことになんの抵抗もない、と思っていた。でも、私やっぱりあの人のことが好きなのかな?同世代の繊細な気持ちの揺らぎを、たしかな筆致で描いた著者の真骨頂”、と読み終えた上で改めて上手くまとめられている内容紹介に納得するこの作品。2020年12月に、のんさん、林遣都さん主演で映画化もされた綿矢りささんの人気作の一つです。現在の文庫本の表紙はそんな映画がモチーフとなっていますが、私としてはわたせせいぞうさんが描かれたなんとも味わいのあるゆる〜いイラストの方が好みです。 さて、そんなこの作品は、『私の頭の中に住んでいる』『A』という存在と会話する主人公・みつ子のある意味淡々とした日常が描写されていきます。そんな生活に『A』が果たしていく役割とは…ここがこの作品の一番の読みどころではあるのですが、そんな核心に行く前にまずは二つほどこの作品の読みどころをご紹介したいと思います。まず一つ目は、綿矢さんらしい比喩表現の数々です。芥川賞作家さんの作品には独特な比喩表現を用いられる方が多々いらっしゃいますが、綿矢さんも代表作「蹴りたい背中」の”さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締めつけるから…”と始まる素晴らしい表現など、作品の内容以前に読みたい!と思わせる表現の存在があります。そんなこの作品で面白いと思ったのは身体の一部を用いたこんな表現の数々です。  『口から吐き出される人、飲み込まれてゆく人。今日の地下鉄の喉は、雨の湿った匂いがする』。 地下鉄の出入り口を『口』に比喩する面白い表現です。次は、口に咥える煙草、その煙をこんな風に比喩します。  『ストレスは目に見えない煙草の煙みたいだ。たくさんの言いたいことを毎日文句も言わず嚙み潰してきたしかめ面を、灰色の煙が覆っている』。 これも面白い表現です。『ストレス』を『煙草の煙』に繋げるという感性も凄いと思います。次は、飛行機内で恐怖と戦う みつ子を描写した二つの表現です。  ・『飛行機が下降したのか、身体が一足遅れて座席に到着するような、ふわっとした嫌な浮遊感が主に臓物を襲った。一瞬の不快な無重力状態に、お腹の中の胃袋が不安そうに腸と囁きを交わす』。  ・『内臓がかっ飛び、身体に遅れて元の位置に着地する。胃は飛行機のアップダウンに合わせて、ハミングしてスキップしている』。 悪天候で飛行機が大揺れになる瞬間ほど怖いものはありません。それを綿矢さんは『臨死体験』と表現されるのですが、胃袋、腸という内臓をそんな恐怖の瞬間の表現に用いるのはとても興味深いです。確かに言葉に出せないほどの恐怖が故に自身の身体に神経が集中してしまう感覚というのはありますね。このリアルさはまさしく実体験から来たのかなあ、そんな風にも思いました。 そんなこの『臨死体験』の渡航先での みつ子が描かれていくシーンがご紹介したいもうひとつのものです。みつ子は大学時代の友人で、『結婚してイタリアのローマの家庭に嫁いだ』という皐月の誘いで年末年始を挟んで八泊十日のイタリア旅行へと旅立ちます。上記した『臨死体験』の飛行機の中のシーンはその往路ですが、その機中の描写、そして『ピアチェーレ、イオソーノ、みつ子、黒田』と大歓迎でスタートした『ローマの郊外』にある皐月の嫁ぎ先でのイタリア滞在の日々が描かれていくのは大きな読みどころです。こちらも想像などではなく実際に体験したからこそ描ける描写に満ち溢れています。  『何かの錠前の鍵かと思うくらい、非常に懐かしい簡素な形の鍵を取り出して、ドアの鍵穴にはめ込』み、『ガチャガチャと回すがなかなか開かず、ドアノブを持ち上げたり揺らしたりしている』という皐月の夫・マルコ。 『イタリアの鍵はどれも古くてドアごとに癖があるから、慣れないと開けられないのよ』というその背景が説明されますが、でも自分の家だよね、と当たり前の日常を描写する場面だからこそリアルさが余計に感じられます。そして歓待される晩御飯のシーンは海外あるあるです。  『海老のトマト煮込み』、『自家製のフォアグラのテリーヌ』と出される料理は美味しいものの『メインディッシュのステーキがでてきたとき、すでにお腹がいっぱいだった』という みつ子は『消化するほどの力量、いまないよ、と胃が力なく答える』のを感じます。再びの比喩表現ですが、『Aだけでなく、胃までしゃべり始めた。胃は無責任な臓器だ。ぐうぐう自己主張は激しいくせに、ここぞというときは無責任だ』。 そんな風に続いていく感覚は、歓待されている以上無理にでも食べる他ない、ある意味これ以上ない拷問の時間を上手く描写していると思います。そして、『翌日は、午後から地下鉄でローマへ向かった』という旅行記のような展開では、  『ローマの中心部のテルミニ駅は華やかな想像とは違い、治安が悪く、皐月から「リュックは前に抱えて」とアドバイスを受けて実行した』 イタリア旅行あるあるな治安の悪さとの戦いを垣間見せつつ、『トレビの泉、サン・ピエトロ広場…』と名所を観光していく みつ子の姿も描かれていきます。このイタリア旅行を描く一連の場面はそれなりの分量をもって描かれていきます。しかし、このシーンがそれだけ浮くということもなく、このシーンもあった上で後半へ物語が上手く落とし込まれていきます。この辺り、物語展開としてとても上手いです。また、映像化されるのに向いているとも思いました。 そんなこの作品は、『もうすぐ三十三です』という今を生きる主人公・黒田みつ子の日常を描いていきます。そんな みつ子は『自分はおひとりさまだ』と思う中に会社員としての日常を送っています。そんな みつ子には  『一人で生き続けてゆくことになんの抵抗もない』 という強い思いがあります。『勤め先にはたくさんの人間がいるし』、『一緒に遊ぶ友達もいるし、実家にもたまに帰る』と思う みつ子は、一方で『男性も家庭も、もはや私には遠い存在になっている』という日々を当たり前のものとして生きてはいますが、一方で『どこか理想と決定的に食い違っている気がするのはなぜだろう』という思いが湧き上がってもきます。そして、この物語で大きな存在感をもって登場する存在が語られます。では、そんな存在が登場するシーンを見てみましょう。  ?『あと一つ聞いてください。こっちの方が重要です』  みつ子『まだなにかあるの?』  ?『はい。あなたが語尾にハートマークをつけるようなしゃべり方をすればいいと、私は提案します』  みつ子『ハートマーク?』、『それっていったい、どんなしゃべり方よ』  ?『あなたは人と話すとき、そっけなさすぎるんです…手っ取り早く語尾にハートマークをつけて、少ない言葉にも温かみを持たせるのです』  みつ子『ぶりっこして、媚を売れってこと?やーだ』 さて、あなたは上記の会話がどんな場面で語られているかわかるでしょうか?主人公のみつ子のしゃべり方をアドバイスする男性、カウンセラーか何かしらの存在?との会話かなあ?とこの会話がなされるシーンがそれぞれに浮かぶと思います。しかし、あなたの想像は間違っています。実はこのシーン、『話し相手は私の頭の中に住んでいる』という みつ子の説明にある通り、『頭の中の自分自身』との会話がこのように描写されているのです。ひえーっ!という声が聞こえてきそうです。この作品のイメージを一気に別物に感じ出した方もいらっしゃるかもしれません。しかも、『頭の中の自分自身』と会話する みつ子のシーンはもう全編に渡って各所に登場します。しかし、この作品を読まれたことのない方が思われるような微妙な空気は一切纏いません。『頭の中の住人はどうも、世話焼きでプライドが高い』という声の主に、『日常生活でストレスを抱えたり、罪悪感にさいなまれて独白したくな』っていく みつ子は『あなたのこと、Aって呼んでもいい?』と身近な相談相手として捉えていきます。  『Aが出現してすぐの頃は、ちょっと精神の病を疑ったこともあったが、Aの声が本当は自分の声だとは分かっているし、多分大丈夫だろう』 そんな風に冷静に自身が置かれている状況を見てもいる みつ子の姿もあって読者は『A』と会話する みつ子の姿がどんどん自然に感じてくるから不思議です。一方で、みつ子はリアル世界において、『うちには月一回ほどのペースで、托鉢の器を持った修行僧が現れる』とこちらの方が余程不自然に描かれる多田という男性との関わりをもっていきます。『おひとりさま』であることを好み、器に料理を盛って渡してあげるも、決して一歩も自宅には入れる気のなかった多田との関係。物語は、そんな多田との関係を結果として後押ししてくれる会社の先輩・ノゾミに報告する みつ子の姿が描かれていきます。  『人と一緒にいるのは楽しい。気の合う人だったり、好きな人ならなおさら』という みつ子。 しかし、  『でも私にとっての自然体は、あくまで独りで行動しているときで、なのに孤独に心はゆっくり蝕まれていって。その矛盾が情けなくて』。 そんな風に自らの生き方に葛藤する みつ子は、『頭の中の自分自身』と会話する中に、そんな『言葉が素直にしみ込んでゆく』のを感じていきます。そして、みつ子がそこに見るもの、感じるもの。『前向きに頑張れる力』の芽生えを感じる みつ子の姿が鮮やかに描かれていく結末に、これ以上ない清々しい思いを感じながら本を置きました。  『一人で生き続けてゆくことになんの抵抗もない』 『一人でいる時間』を大切なものと考え、『おひとりさま』と呼ばれる時間を大切にしていた主人公の みつ子。この作品ではそんな みつ子が『頭の中の自分自身』と会話する中に人間が本当に必要とするものの存在に気づいていく物語が描かれていました。綿矢さんならではの比喩表現の魅力を堪能できるこの作品。リアルなイタリア旅情を楽しめもするこの作品。 主人公・みつ子と『頭の中の自分自身』である『A』との会話のリアルさの中に、グイグイ読ませる綿矢さんの筆力を改めて感じさせる素晴らしい作品でした。

    213
    投稿日: 2024.01.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    黒田みつ子 脳内のAと会話する。 多田くん 取引先の営業マン。 ノゾミさん 会社の先輩。 カーター 片桐直貴。誰が見ても真性のイケメン。 中畑遼 スマイル歯科の院長。 皐月 大学時代の友達。ローマに住んでいる。

    0
    投稿日: 2023.11.02
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    映画を見た当時にいたく感動し、購入したものの読んでおらず、先日『勝手にふるえてろ』を配信で視聴し、これもまたいたく感動し、この本の存在を思い出して読む。 映像のイメージ通り、といっても当たり前だが、映画館で見た雰囲気、高揚感、細やかな描写が薄れず記してあり、思い返し、味わいつつ読了。 唯一Aは序盤では性別さえ不詳であるのだが、映画ではバリバリ男性であるゆえ、はじめに小説の方を読んでいたら感じ方も変わっただろうと悔やまれた。 この一冊で綿谷氏の確かな技術に信頼し、他の著作も読んでみたくなった。 感動でいえば文句なし星五つだが、そこから大九氏の演出力を考慮してマイナス一つ。

    2
    投稿日: 2023.10.22
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    独身女子の日常。独身なら独身を思いっきり謳歌してほしいところだけど、なんか独身女子の生きづらさばかりで辛くなって…飛ばし読みで最後まで読んだ。

    0
    投稿日: 2023.08.09
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    今までの綿谷作品とは一味違うように感じた本作。相変わらず自分の世界に閉じこもり気味な主人公ではあるものの、お一人様を満喫しながら、周りのみんながなんだか憎めず、毎週楽しみにしている30分ドラマを観ている感覚に陥った。 2020年の作品だし、何か心境の変化でもあったのかな。表紙センスは相変わらず素敵

    2
    投稿日: 2023.07.02
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    さらっと読めて気分がスカッとする恋物語。主人公の頭の中のもう1人の存在が、個人的には現実離れし過ぎてて、比較的現実的なストーリーとマッチしなかった。

    1
    投稿日: 2023.06.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    頭の中に存在する「A」を心の支えとする30代OLみつ子の日常を描いた物語。みつ子の頭の中にしか存在しないはずのAとの生き生きとしたやり取りや、同僚のノゾミさんとの恋愛トーク、穏やかな多田君との関係性などの、描かれている事柄に妙にリアリティを感じます。物語自体はさらーっとしたみつ子の日常で決して派手ではないはずなのに、何故か彼女の過ごす日々が気になってしまいます。等身大の女性としてのみつ子の姿に自分を重ね合わせて共感するからこそ、引き込まれてしまうのかなと思いました。

    0
    投稿日: 2023.05.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かった。 綿矢先生の作品は「勝手にふるえてろ」くらいしか読んだことがなく、しかもそれも数年前に読んだものだから綿矢先生がどんな文章を書くのかわからなかった。 主人公の特殊能力が周りにバレて精神病扱いされるのかなと思ったけど、全く違った。とても暖かい話だった。 ノゾミさんがすごく好きになった。自分が面食いなことを一切隠さず、カーターに尽くすところ。それにまんざらでもないカーター。この2人の関係が1番面白かった。このまま2人は結婚しそうだなと思った。私もノゾミさんみたいにポジティブに生きたい。 Aが最終的に消えることは予想通りだった。でも主人公が本当に困っている時は出てきてくれる。なんて都合のいい特殊能力なんだ。 あまり気にすることじゃないのかもしれないが、Aの構造がすごく気になる。主人公はAは自分だと知っているが、本当にそうなのか?だけど、自分じゃないと辻褄が合わないところもある。

    2
    投稿日: 2023.03.08
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    どこにでも居そうな 「おひとり様」を満喫している 30代のOLのみつ子は 心の中のもうひとつの声 (冷静に物事を考えたり、時には 大胆になったり、悩んだ時は答えをくれたり) に「A」という名前を付けている。 (性別は男性) そんな心の声とのやりとりを中心に 久しぶりの恋心に戸惑ったり 苦手なものと向き合ったりしながら 自分の世界を広げて成長していく、 というお話…。 映画化もされていて、 主人公のみつ子は「のん」さんが、 心の声、「A」を中村倫也さんが 演じています。 私は、みつ子が慕う会社の先輩、 ノゾミさんの恋がユニークで新鮮でした。 ノゾミさんらしさ、貫いて欲しいです。

    1
    投稿日: 2023.02.19
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    P.230 根本的に必要じゃなくても、生活にあるとうれしい存在はたくさんあるんです。というか、私たちはそういうものばかりに取り囲まれて生きていますよ。根本的に、なんて思いつめなくて良い。 恋人にすべてを求めすぎてしまうわたしは、この言葉を大切にした方がいいんだろうなと思った。

    1
    投稿日: 2023.01.15
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    主観の客観性 Aのような存在がいたら、私ももっとマシな人間だったろうか わからないけど、Aの母体は結局自分だった。だから信じられるのは、自分なのだろう最後には。 自在に操れるのなら、頭の中に平安貴族とゴリオネエがいてほしい

    0
    投稿日: 2022.12.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    わたしも山羊の匂いがするんだろうな。するわあ〜と思われながらでいいから凄腕マッサージは受けたい。あと飛行機乗りたくなった。いや苦手なんだけど本当に。 ほんの一瞬の幸せじゃなく、小さくてもずっと感じていられる確かな幸せを探し求めてきたはずなのに、私はまだ見つけていない。心配ごとがいつかすべてなくなる日なんて来るのだろうか。どうして私は、いつでも不満なことがあるのだろう。 「多田くんと付き合ったら、私の生活のなにが変わるんだろう」 「なにも変わらないよ。おれが隣にいるだけ」

    0
    投稿日: 2022.11.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    p120 山羊のにおい p230 根本的に必要じゃなくても、生活にあるとうれしい存在はたくさんあるんです。というか、私たちはそういうものばかりに取り囲まれて生きていますよ。根本的に、なんて思いつめなくていい。 勝手に揺れてろ、

    1
    投稿日: 2022.11.19
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    私はこの小説で面白いと思ったことは自分の中に存在していたAが最後に消えてしまったことです。最後まで主人公の中にいていつものように支えています。という終わり方だと思っていたので想像の逆をいって面白かったです。このラストで主人公がAがいなくても生活できるとAが判断したからだと気づくことが出来ました。aとの掛け合いも面白かったです。

    1
    投稿日: 2022.08.04
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    映画での、のんさんの迫真の演技に原作も読みたくなり購入。 独特の表現につまずきがちになりながら読みました。映画を観てなかったら、理解出来ないところが多かったかもしれません。 映画の方がクォーターライフクライシスに悩む主人公の葛藤が上手く表現されてたような。。

    0
    投稿日: 2022.05.05
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    映画が大好きだったので読みました。 綿矢りささんの表現する人間が好きとは言い切れない、でも他人と思えない、つまり好きなんだと思いました。

    0
    投稿日: 2022.04.25
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    以前に読んだもので、詳しく覚えていないけれど、なにはともあれ整体?に行くシーンが細かく描写されてて、気に入ってそこだけ何度も読んだ覚えがある。

    0
    投稿日: 2022.02.03
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    たまたまブックカフェにあったので読んでみた。 私には理解しがたい内面との自分との会話、メンタルヘルスのためにすっごいアリ!って思った笑

    0
    投稿日: 2022.01.27
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    友達でいることに居心地がよく、それ以上発展させようとしない主人公みつ子。周りから見ればどう考えても好きに思えるのに、本人からしたらそこまで好きではないと思い込んで、さらに踏み込もうとしない恋愛。 じれったく思いながらも、みつこの気持ちについつい感情移入してしまう自分もいた。 傷つくのが怖くて本音が言えない最近の人たちを描いているようだと解説を読んで理解できた。

    1
    投稿日: 2021.12.23
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    映画の予告を見て気になったので文庫を手に取りました。 1人行動が好きなのでみつ子に共感。会社の同僚も個性的で面白かった。 綿矢りささんの小説は久しぶりに読んだ。解説が金原ひとみさんで嬉しかった!

    0
    投稿日: 2021.11.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    脳内会話をしてしまう。わかる。 でも、ここまで自分と切り分けた人物としての会話はないかな。 共感できる部分もあるけれど、私とは違うなと思う。 みつ子のこと、嫌いではないけれど特に好きにもなれない。 Aとの別れは良かったのか? まぁ、自然な流れでそうなるよね、としか。 心に響くわけでも、魅力的なキャラクターがいるわけでもないけど、惹かれる。やっぱり綿矢りさ好きだな、と思う。

    0
    投稿日: 2021.11.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    めちゃくちゃ好き〜自尊心×自意識過剰×孤独→生み出されたAという存在。この人自尊心が損なわれる恐れがある行動は別人格でしかできないのよね。自分が起こした行動や思考なのに、「Aはすごいね、わたしにはできない」みたいなこと言ってるの不気味でしかないけど、彼女はそうしないと自分を保っていられないんだ。。恥ずかしい行動もちゃんと傷つくことも全てAに任せて、自分は高みの見物してるつもりになっているのがこわ面白かった。でもAも自分とちゃんと自認している上でのことなので、それもなんだか可愛い。 歯医者とどうにかなれるかも、と考えるところとか、短いスカートでアピールする痛い女を描くところが綿谷さん意地悪ですき。 ラストの海のシーンがとても印象深かった。他者と深く関わるのはおひとり様でいるよりことよりよっぽど怖かっただろうな。みんな心に自分の世界があって、一人の時間が長いほどそこにいる時間が長いんだよね。彼氏ができて、自分と対話するだけの世界から泳いでいくっていう可能性と恐ろしさを併せ持った海なんだろうなー。 映画も観たけど、原作へのリスペクトを感じつつ、皐月とみつこさんの関係性が深掘りされてて良かった。

    2
    投稿日: 2021.10.26
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    久々に本を読んだ・・・ 本当に、最近全然本を読んでいなかったので、感性がおかしくなっていたかもしれないけどそれでも 「いい本だったな」 と思えた。 少し前だったら、みつ子のこともノゾミさんのことも理解できなかったかもしれないけど、今の私にはものすごく理解できたし共感できた。 私もカーターみたいな人が好きかもなぁ。 やはり私は、綿矢りさと人生を歩みたい。 映画を先に観ていたので、情景がちゃんと映像で脳内再生できたのも良かった。

    1
    投稿日: 2021.10.14
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    こじらせ女子は、外と内をはっきり線引きしてるところがあるから、どうしても人に介入される状況を拒んでしまう。そんな人間の繊細な心理を描いた作品だと思った。現状のままでいていいはずがないことはわかってるんだけど、なかなか人間は変われない。何がきっかけで自分を出せるようになるのか人それぞれだなぁと感じた。

    1
    投稿日: 2021.09.20
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    「人と一緒にいるのは楽しい。でも私にとっての自然体は、あくまで独りで行動している時で、なのに孤独に心はゆっくり蝕まれていって、その矛盾がなさけなくて、」 リアル。今の時代、みつ子力の高い人は、きっと溢れてる。登場人物全員が実在しているかのように感じた。 後味が良い。読了後、前向きな気持ちになれた。映画も気になる。

    1
    投稿日: 2021.07.31
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    単行本の登録がなかったので文庫版で。 みつ子にきょうかんするところは多々あれど 自分が根本的に人を必要としていないことを ショックに思えないあたりに私の敗因があると分析。 映画は番宣くらいしかみなかったけどキャスト 多田君もA(声の出演だけだった?)も良すぎない?

    0
    投稿日: 2021.06.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久々の綿矢りさ!!おもしろかった~~~!!!一気読みしてしまった。 みつ子ちゃん、33歳、独身。自分に近い部分が多かったので読んでいてすごく楽しかった。でも私に近いのはオタクっぽくてイケメンに甘いノゾミさんかな。相手の顔が好きであれば多少のこと(カーターはだいぶめんどくさいが)には目を瞑れるというか、相手のナルシズムに付き合うのが大好きな感じ、分かる。楽しいよね。 でも多田くんみたいに害の無い人と付き合って、女性として見てもらって、その代わり軽く拒否っただけで拗ねられてめんどくさい、みたいなのが一番リアルよな~~~。みんなすごいなぁと思うよ。私ほんとしんどいんだそういうの。婚活して、何回かデートして告白されて、断る理由もないしいい人だと思ったから好きではないけどとりあえず付き合うじゃん。でも結局あれしんどくならない?みんなしんどくないの?自分で「付き合う」って決断したはずなのに、どうして好きになっていかなきゃならないんだろうって落ち込むことになるんだよね。そんな努力するくらいなら一人でいるよって思っちゃうの。 でもこの小説の中でAがさ 「根本的に必要じゃなくても、生活にあるとうれしい存在はたくさんあるんです。というか、私たちはそういうものばかりに取り囲まれて生きていますよ。根本的に、なんて思いつめなくていい」 「相手の心に自分の居場所を作るのは楽しいですよ」 って言ってたじゃん。 それはすごく心に響いた。そうかもしれないなって思った。 でもまあ私はノゾミさんのような人生を望む…。やっぱり好きでもない人には優しくできないよ。というか、付き合った途端、あるいは好きになろうと努力して相手に優しくした途端、「手に入った」と勘違いして調子に乗ってくる人たちが本当に苦手だよ。 そしたらカーターみたいに最初から調子に乗ってる方がいい。そしたら落差にイラつかないし。顔も好みだし。 そんな風に色々考えたけど、とにかくとてもおもしろい小説だった!綿矢りさの文章大好き。 映画も好評みたいだから観てみたいな。

    1
    投稿日: 2021.06.14
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    自分の周りにいそうでいない人たちの話であり、自分に起こりそうで起こらない話。そして綿矢りさが30代女性を主人公にしていることに時の流れを感じた…

    0
    投稿日: 2021.06.03
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    私も長い間「おひとりさま」を過ごしてきたので、主人公の気持ちにとても共感できるところがあった。 他人と関わりたいと思いながらも、いざそうなると踏みとどまってしまう気持ちは私にもあるのでよくわかる。 でも勇気を出すのも自分、踏み止まるのも自分なんだよね。 主人公が整体してもらうところ、特に足裏マッサージの描写が、私自身先月実際に足裏マッサージしてもらった時の感覚が蘇り、また行きたくなった

    2
    投稿日: 2021.05.24
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    映画を先に観たときに、さいっこうに良くて2日連続で観た、そして、満を持して小説を開いた。 とっっても面白かった!!! 映画と合わせて3倍くらい楽しめた。 物語の登場人物も全員良くて面白いうえに、主人公の脳内の繊細な気持ちが随所に溢れてて、素敵に言語化してくれてありがとうという気持ちになった

    1
    投稿日: 2021.05.17
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    「おひとりさま」を楽しみながらも、やっぱり他者との接点も持ちたい!そんなアラサー女子の気持ちが繊細に描かれている。 同世代の方はもちろん、それ以外の方にも共感出来る「あるある」が随所に感じられた。 多田くんを始め、他の登場人物達も、身近にいそうな人ばかり。 等身大の姿で描かれていて、平凡な内容の中にリアルがたくさんありとても楽しめた。 軽やかに読めて読後感の良い作品。

    1
    投稿日: 2021.05.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    刺さる年齢になってしまった~~!!!!と震えながら読んだ。大学生の時より断然主人公にシンパシーが湧いてしまう。Aの人格はとても好き。映画は林遣都がAなのかと思ってたら違うみたい。そしてオチは決別エンドなんだ。多田くんとめっちゃテンポよくうまくいくな。燃え上がる恋愛ではなくお互いを居心地よくさせようという過ごし方がすごく羨ましい。 イタリアに行くくだりは正直いるのか…?と思ってしまった。ディズニーランドはそんなにトントン拍子に行くんかい、とも。

    0
    投稿日: 2021.05.11
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    映画が面白かったので、映画館帰りに購入したものの、読了までには寄り道してしまい、時間がかかってしまった。 映画以上にさらっとした印象で、Aというもう一人の自分からの卒業を描いているが、テイストは非常にポップである。楽しく気軽に読める。 金原ひとみさんの解説もまた良い。綿谷りささんの小説にしては毒がなく、登場人物が現代においてはリアルというご指摘はもっともである。

    2
    投稿日: 2021.05.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人間が必要とするのは、いつも自分以外の人間ですよ。他人との距離は一万光年より遠くても、求めるのは他者の存在なんです 何を考えているか分からない相手だからこそ、伝えられる言葉があるんです。

    1
    投稿日: 2021.05.06
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    とてもモヤモヤする話だった。主人公になかなか共感できなかったからかなぁ。でもこういうなかなか踏み出さない人多いよなと思う。現状が最高な訳ではないけれど、最高にするか最低になるかに賭けるくらいなら現状維持する、みたいな。 やたらと飛行機が怖い描写が細かいなぁと思ったら、解説見る限り作者が飛行機怖い方のようでした笑。

    0
    投稿日: 2021.05.03
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    映画の予告編に釣られてドラマチックな展開を期待したが、割と平々凡々、淡々と物語は進んでいく。 みつ子の脳内のAの存在はファンタジックだが。 お一人様アラサー女子の生態ってこんな感じなのかな? アラフィフオヤジにはよく分からない世界。 終盤は良い展開だった。

    0
    投稿日: 2021.05.02
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    自分の心に住むAという別人格との対話を通して、三十路おひとり様女子の居心地の良さや生きづらさをほのぼのと描きます。映画版も観ましたが、余分と思えるエピソードがちょこちょこあって、映画版の方が整理されていますね。目をつむって飛ぶような恋愛は三十路にはできなさそう。でも、情がうつる、居心地がいいという感情の方が長い結婚生活を過ごすためには、持続性が高いのですよ。

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    投稿日: 2021.04.26
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    映画を見て、面白かったので、原作も読んでみました。映画と比較しながら読むのが楽しかったです。 みつ子の心の中に居るAは、魅力的です。優しくて温かくて、でも時々思いもよらないことを言うし、イケイケドンドンとみつ子を鼓舞することもあれば、落ち込んで、どこかに引きこもって出て来なくなってしまうこともある。こんなAが私の中にもいたらいいなぁ。 小説の心に残ったフレーズは、 「マウンティングに負けて、人間性で勝つ。つまり、そういうことだ。」 →カフェで女性2人の会話を聴いていた時のみつ子の総括の言葉。マウンティングに負けたくないと思ってしまいがちだが、外から見ている人には、本当の勝者が誰なのかは、分かるのだ。 「誰かをまるごと獲得しようともがくより、自分との接点だけを見つめて、大切にできる人なんだろう。」 →ノゾミさんについての描写。私も人との付き合いは、こうありたい! 「多田さんに優しくして、彼が疲れているときは寄り添い、暗いときは何気ない会話でリラックスさせてあげなさい。彼の喜ぶ顔が見られたらうれしい、そんなささやかな実感が、愛です。相手の心に自分の居場所を作るのは楽しいですよ。」 →この愛の定義好きです。  

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    投稿日: 2021.04.12
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    脳内会議?は自分もよくやるので分かる 独特な世界観だけど、好きな流れかなぁ 映画もアマプラで観てみます

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    投稿日: 2021.04.01
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    おひとりさまのOLの日常を脳内のAと共に物語が進んでいく。わたしにはあまりAの存在が理解できなかった。いや、頭の中にもう1人の自分、みたいな存在はいるのはわかるんだけど、ここまで人格をもったような書き方をされていることに違和感があってあまり楽しんで読めなかった。マイペースにゆるゆると物語は進む、なんてことない恋愛のまとまりに心はほっこりした。

    0
    投稿日: 2021.03.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    Aみたいな存在はいないけど、共感できることが多くて良かった。おひとり様あるある。 最後、Aに会えるのは意外だった。

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    投稿日: 2021.03.18
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     一人暮らしが長くなってくると、ふと仕事でないプライベートな部分に他人が入り込んでくると一刻も早く一人の空間を取り戻そうと内心必死、みたいなことってあるあるかもしれない。30代で独身のみつ子はそんな一人女子の典型で、ついには頭の中にもう一人に自分(この小説では“A”という名前がついているのだが)が住み着いてしまう始末。そして何かあればこの“A”との会話に逃げ込んでしまう。なんてことは現実にはないのかもしれないけど、一見してことさら社交性を欠いているような、いわゆる「変な人」の部類に入らずとも、自分の殻の中に閉じこもってしまっている人(つまりはこのお話のみつ子のような人)って結構いるのでは?  正直言って、この小説を最後の方まで読み進めるまでは、つまりみつ子が多田くんといい感じになる、社内でのちょっとした出来事、友人の住むイタリアに行く、といったところまでは「ちょっとつまらないかも…」と思ってしまったが、でも最後はよかった。彼氏となった多田くんが迫ってきたのを断るシーンの後の複雑な気持ちなんてすごくリアル(恋人の小さな傷つきに敏感になるのも、なられるのも苦手だ。相手の不機嫌に気づけば、ひっやっとして一分でも早く挽回したいのに、大体繕おうとすればするほど墓穴を掘り、逆に自分尾気持ちの変化に敏感な相手に顔色をうかがわれると、当惑する。)。本当になんということもない、でもちょっとこじらせた人の心情描写は一級品だなと思う。 (230608再読) 共感してしまった。ということは、ぼくも彼女と同類なのか…!? 性別は違うけど同年代で独身、1人を満喫してる。1人を満喫できる。1人でどこかに出かけるのだって抵抗がないし、なんならその方が気楽。 それにしても、相変わらず冒頭が秀逸。ロウでできた食品サンプルを作る体験に1人で出かけるという、1人で行く先が映画館でも焼肉でもなく、斜め上の目的地。そんな場所に1人で行く、というのがある意味でこの話の主人公、みつ子の人柄を端的に表していたのかもしれないなと思う。 みつ子は自分の中にAという別人物を住まわせていて、ことあるごとにAに相談を持ちかけるーといっても彼女の頭の中に住まわせている人物だから別人物だけど同一人物というなんだか矛盾をはらんでいるようだが、このAがみつ子とはまた違った視点でモノを言ってくる。今これを書きながら思ったのだが、もしかするもみつ子自身、今の彼女を決してよいとは思ってなくて、そんな潜在的な気持ちが別人格となって自分の中に現れていたのかもしれない。 話は多田くんという、みつ子の勤める会社に時折りやってくる営業マンー彼は出世はしなさそうな、悪くはないけどそんなにもパッともしない感じのようだがーとの関係性が一つの主軸となっている。たまたま近所に住んでいることがわかり、晩御飯のおかずを彼におすそわけする仲になり…そんな中で親友を訪ねてイタリア旅行に出かけ、飛行機で右往左往しながらも無事着いたイタリアで1人で孤軍奮闘する、それでいてイタリア人とも関係性を築く友人の姿を目の当たりにしたり、物語は様々な出来事を経ていく。 彼女は本当にぼっちを望んでいるのか?それが彼女の理想なのか?それはただ自分の殻に閉じこもって積極的に現実逃避をしているだけではないか?多田くんと付き合うことなり、そこで初めて自分は自分以外の人間を必要としていないということに気づくんだけど、だからといって再び自分の殻に閉じこもらず、人間には自分以外の人間が必要だって前に進んで行く、というのが希望があっていい。そのとき、みつ子はもはや頭の中のAに頼る必要もなくなるのだ。 希望のある終わり方だと書いたが、これを読んでるぼくが置いてかれてしまう…そんなことを感じてしまうくらい、この物語に没頭できたし、それくらい面白いテーマだった。間にちょくちょく入るシーンも印象的。たとえばたまに泊まるホテルは非日常が感じられていいけど、同じことを家でする、つまり自分のために掃除をしたり、家をきれいにするのって、この上なく贅沢だ、とか。細部も魅力的だ。

    0
    投稿日: 2021.02.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一つ前に読んでたSFがちょっと読むのにパワーがいるやつで(面白かったけど)、日常も忙しくてついつい読む時間が本からマンガに置き換わってて、でも本も読みたいな、ってときにちょうどいい、女子マンガの延長の気分で読める、綿矢りさ。 ミキとプッチのやりとりがとってもいい。 どっちかが悪者になりがちな女子マウント合戦のエピソードが、ちょっとダメージを負いつつも楽しかったな、で終わる、わたしが愛してる「友達と会った日」に落ち着いてて、そうそう、そういうのが楽しくて会うんだよね、って思えた。 最後、Aがぜんぜんいけめんじゃないっていうのがみつ子らしい。 わたしもいーっぱい突然自分を助けてくれる誰かを想像してるけど、みんな美形にしちゃうんだなぁ笑

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    投稿日: 2021.02.21
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    ちょっとした言葉遣いなんかが、さすが綿矢りさだなあというかんじ。 でもまあ、いつもこんなんだなあとも思う。 2と3の間くらい。

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    投稿日: 2021.01.29
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    何かあれば脳内の相談役「A」と会話し、"おひとりさま"を謳歌するみつ子。 みつ子は、おかずをお裾分けしているご近所の多田くんが好きなのかもしれないが、いつもと違う行動をとって現状が変わってしまうのが、怖いと思っている… 誰の脳内にもみつ子ほどではないが、相談役がいる気がする。他者と関わって自分が変化するのが怖いのに、関わりたいと思ってしまう、人間の心を描いた作品。

    0
    投稿日: 2021.01.22
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    綿谷りさの作品は蹴りたい背中以来な気がする。この作者はストーリーではなく文体で読ませる人だと思った。よってストーリー重視な私には少し退屈だった。飛行機やイタリアの細かい描写は不要な気がした。 30代前半は結婚や出産をする人としない人とで生活スタイルが分かれていく年だと思うので、その点は共感した。

    0
    投稿日: 2021.01.11
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    本屋さんで買おうかな…と思いつつ買わずに帰ったら家にあった。柚木麻子さんのTwitterに女性作家さんとの交流が垣間見え、女性作家作品が読みたくなり。 あまりハマらず、淡々と読み終える。全体の流れとか筋とかにはあまり感想を抱かないけど、細かい全ての描写が読んでいて心地よく、割と好き。 カーターの存在が良い。 ホテルで過ごした後に、自分の部屋に時間と労力を掛けて心地よい空間を作って過ごすことの価値と贅沢に気づいた、みたいな文章があったと思ったんだけど、これ書こうとして読み返したら、見つからない…これ読んでた時期に読んだ新聞記事かしら… 年末の、片付けの全くできていない我が身に刺さった文章。

    0
    投稿日: 2020.12.28
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    グッサグサ刺さりました。「おひとりさま」を謳歌しているけど、客観的に孤独を感じてるのではと考えてしまう。そんな時に「孤独を感じても溺れてはいけない。」Aが助けてくれる。冷静なように見えて、マイナスな方向に感情が向いてしまい、どうしようもなく止められなくなってしまうみつ子とAの関係性に目が離せなかった。 多田くんとの関係についても、男性と話す機会が少なくて、たまたまこの関係を好ましく思っているんじゃないかとか、恋愛に対する不安定さは30代になれば感じてしまうのかなって思うようないくつかの感情に出会えた気がする。 将来私も恐らくみつ子みたくおひとりさまを全うする気がするので、そろそろ頭の中にAが現れるんじゃないかな…

    1
    投稿日: 2020.12.21
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    黒田みつ子、もうすぐ33歳。悩みは頭の中の分身が解決してくれるし、一人で生き続けてゆくことになんの抵抗もない、と思っていた。でも、私やっぱりあの人のことが好きなのかな?同世代の繊細な気持ちの揺らぎを、たしかな筆致で描いた著者の真骨頂。 綿矢りささんは、確か『蹴りたい背中』を読んでしっくりこなくてそれ以来食わず嫌いになっていた。今回映画化を契機に読んでみようかなと本作を手に取りました。・・・反省。何だこの私を描写したようなアラサー女子!めちゃくちゃ親近感しかないんだが。Aという別人格はいないけど、まるで自分の思考回路を読まれてるんじゃないかと思うくらい、私はみつ子だった。正確にはこんなに冷静でもいい子でもないけれど。多田くんのことを気が狂いそうに愛している実感はわかなくても、隣で心地よさを感じたり、一歩踏み出すことに他人に依存したり今の関係が壊れてしまうことが怖くて動けない気持ち、本当によく分かるよ~~。それでも誰かを求めて生きていくことが、私たちには必要で、この本は怯えをくるんでそっと背中を押してくれる素敵な一冊だ。映画も楽しみ!

    2
    投稿日: 2020.12.14
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    脳内の誰かと話したことはないけれど、みつ子の思考傾向には共感部分多し。原作読むと映画のキャストに違和感ありますね。

    1
    投稿日: 2020.12.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一人ぼっちでピンチのとき、いつも脳内のAと話す私(黒田みつ子)が物語の主人公で、私から呼びかけるのは、これで最後にしますとAに話しかけ、感謝の気持ちを伝える場面が最後にあります。返事はなくても、頭の中でAが微笑んだような感覚があったところで物語は終わります。主人公にとっては、人生の新しい一歩を踏み出すという意味において意義のあることではあるが、主人公とAとの脳内の会話のやり取りを微笑ましいものと感じていた自分にとって、この終わり方は一抹の寂しさを感じさせるものでした。

    0
    投稿日: 2020.12.09
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    一人でいるのが好きで、一人でないといられないように見えながら他者を求めてしまうみつ子に共感した。いいなと思う人はいるけれど関係を壊すのが怖いみつ子と、好きになった相手の悪いところも含めて全部好きで進んで貢ぐノゾミさんと、正反対に見えるようで他人への距離感の測り方がぎこちない点で似ていて、恋愛下手な現代人のプロトタイプというか、どちらにも自己投影してしまう。

    0
    投稿日: 2020.12.06
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    1人でいるということは、常に自分と対話することなのだと思う。自分にばかり向けられていた感度を、外の他者に向けたとき、1人ではなくなるのかな。 そういえば、幼いとき人形やぬいぐるみ相手に対話していたのと何だか似ている気がする。 成長していく過程でそれを手放し、また孤独になり、そしてまた新しい家族を作るために外に向かうということだろうか。

    0
    投稿日: 2020.12.05
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    脳内A脳内設定がどーにもこーにもはまれず、半分くらいでとじてしまいました。 2020.11.29 119

    0
    投稿日: 2020.11.29
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    ❤あらすじ❤ 黒田みつ子、もうすぐ33歳。悩みは頭の中の分身が解決してくれるし、一人で生き続けてゆくことになんの抵抗もない、と思っていた。でも、私やっぱりあの人のことが好きなのかな?同世代の繊細な気持ちの揺らぎを、たしかな筆致で描いた著者の真骨頂。 ─本書あらすじより ❤感想❤ わたしはみつ子が羨ましい。 脳内のAがいれば寂しくないし、Aは自分自身なのだから、人間関係に大きな摩擦が起きることもない。 ここに悠々自適な「おひとりさま」が誕生する。 一人で生きていけるって凄いことだし、やっぱり羨ましい。 わたしは、変に外交的な性格なので、誰かがいないと毎日が成立しない(一人になりたい日ももちろんあるけど) その割にはともだちは少ないし人間関係も下手だ。 人間関係と言えば、みつ子と多田くんの関係も不思議だ。 付き合っている訳ではないのに、「うちでご飯食べますか?」と訊くみつ子に、それを断るものの、ちゃっかり料理をGETして夜食にする多田くん。 お互い嫌いでは無いのだろうけれど、それ以上踏み込めない、又は踏み込む気がない? 読んでいて焦れったく思うわたしは、肉食女子なのだろうか…?

    3
    投稿日: 2020.11.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初の、合羽橋で食品サンプルを作っちゃったり、食玩にはまっちゃったりする「おひとりさま」描写に親近感が湧き、おひとりさまな主人公の脳内に、執事の如くぴたりと良いアドバイスをくれるAの存在。その設定や文章の読みやすさが良くて、中盤(イタリアに行く前)あたりまでは楽しくすらすら読めた。 けど、いくら作者が飛行機が嫌いだからといって、飛行機がどんなに怖いかをあんなにページ割かなくていいと思うし(やりとりの内容自体は本作とあまり関係ない気がする)、多田くんと付き合ってからの急なプチパニック、頭の中に他の人格を住まわす異常性、異性交流が苦手…みたいな、そこまでパニックになる人間に描かれてたか?みたいな違和感。タイトルの出し方も微妙だったなぁ。ただ、文章はとても読みやすくて、金原さんが言ったようにストレスフル。 うーん、多分、イタリア描写が中途半端だったんじゃないかしら。海外旅行!しかもイタリア!なのに、なんか箱根行ってきました、くらいの扱いな感じがする。

    0
    投稿日: 2020.09.11
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    アラサー女子のみつ子が、日々もう一人の自分Aと脳内会話をしながら、一人で体験イベントに参加したり、イタリアにいる友達を訪ねてみたり、いろんなことに挑戦していく日常を描いた話。最後には、気になっていた取引先の営業マン、多田くんと付き合い始める。 30代になっても、多田くんとの距離の縮め方がわからず思い悩むみつ子の不器用さに共感しつつ、先の展開が気になっていたので、無事付き合い始めてホッとした。(笑)

    14
    投稿日: 2020.08.19
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    あらすじを読んで、今の自分と重なるところが多かったので読んでみた。 趣味もあるし友達といる時の方が楽だし、恋愛はあんまりする気が起きない、というところが。 最後、付き合った彼氏と不穏になる場面、「だから嫌なんだ」っていう気持ちが、めちゃくちゃ共感出来てしまった。

    0
    投稿日: 2020.07.28
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    「どうして私は、いつでも不満なことがあるのだろう。」 綿矢りさ作品で最も好みと言える勝手にふるえてろ。あれに近しい雰囲気はありつつも、おひとりさまモテナイ思考があまりに痛々しく、かつ独りよがりで、なんだか没入しきれなかった。二作品において何が違うのだろう。考えてみた結果、恐らく先述した台詞がヒントになり得ると感じた。勝手にふるえてろでは、痛々しい妄想女子ではあっても、現状(どころか過去)に愛があった。ところが今作は、過去から現在、ひいては予想される未来にさえも不満を抱えかねない主人公で、ちょっぴりかわいそうであった。 年齢を飲み物に例えるという発想の絶妙な説得力には舌を巻いた。

    0
    投稿日: 2020.07.23
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    読書家を名乗っている割に、自分が綿矢りさを初めて読んだのは2018年のこと。だいぶ遅い。 初めて手に取ったのが「勝手にふるえてろ」。これは面白かった。映画化されたけど、そちらも良かった。 それから「かわいそうだね」。文句なしに星5つ。夢中になれて一気に駆け抜けるような読書体験。 たった2冊しか読んだことが無いけど、自分の中で綿矢りさの評価は高かった。 しかしこの「私をくいとめて」。申し訳ないけど「ふつう」の一言に尽きる。 事前の期待時が高すぎた。こじらせ系の女子の揺れる心を描く…かと思いきや、大した問題は起きず物語はスムーズに進んでいく…。 多田くんとの恋は予定調和のごとく進展していく。それに伴い、「もう1人の自分」であるAとの距離は開いていき、その存在感は限界まで逓減された。 確固たる現実の人間とのつながりを得て、自己幻想的な世界にお別れを告げるという。そういう構造だと思うのだけど、あまりにもシンプルであまりにも薄味。 ちょっと凡庸すぎた…という感想になってしまう。あと、途中に挿入されるカフェでの人間観察的なシーンがちょっと露悪的すぎるかな…w これ、映画もコケるんじゃないかなぁ…という余計な心配が湧く。 (書評ブログの方も宜しくお願いします) https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E3%81%82%E3%81%BE%E3%82%8A%E3%81%AB%E3%82%82%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AB%E3%81%A7%E3%81%82%E3%81%BE%E3%82%8A%E3%81%AB%E3%82%82%E8%96%84%E5%91%B3_%E7%A7%81%E3%82%92%E3%81%8F%E3%81%84%E3%81%A8

    14
    投稿日: 2020.06.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    設定が面白く、すらすらと楽しく読むことができた。 ノゾミさんの、年齢を飲み物に例える話が興味深かった。年齢を飲み物に例えることで人生を味わい深く生きてみたい。 人生には問題が山積していて、答えを解いて問題が書かれているカードをめくっても、すぐまた新しいカードが出てくると言う表現がしてあった。私の場合だと、重なっているカードが10枚位天井から吊るされていると言う感じだなぁと思った。 Aは男性だけど、みつ子さん自身である。自分で自分を奮い立たせて前に進んでいくその姿勢を見習いたいと思った。

    0
    投稿日: 2020.06.26
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    ひとりの時間を謳歌し、他人とかかわりを持たないで一人暮らしをするみつ子30代 唯一仲がいい会社の先輩ノゾミさん、会社のナルシーのターカーにゾッコン! 顔イケメン、見た目言うことなしだが性格に問題ありのターカー どれほど彼女ができようがどれほどバシリにされようが最終的に私と付き合うと信じているノゾミ ひとり暮らしをしてても心の支えであるもう一人の自分A、、 みつ子のよき理解者(と言っても自分だけどね)であるAは多角的にみつ子にアドバイスする。 会社の営業マン多田はご近所ということもあり夕飯をおすそ分けする中・・ 多田との恋の行方とノゾミの結末とは? ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ いちばんゆるい読書会In町田 第一金曜日の夜に読書会を町田にて開催していまーす。。 参加資格は・・・本が好きなこと以上! 持参した本を紹介するのではなくメンバー同士本の貸し借りを するのが特徴の読書会です。。 気になったあなた!ご連絡してくださーい。。 megumegu0753@yahoo.co.jp 「読書会希望」と書いてメールお待ちしています^^ ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

    4
    投稿日: 2020.05.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    綿谷さんの新しい本。 昔より物語の展開が緩やかになった気がする。 自分の心の中と向き合って、少しずつすてきな自分になっていく女性の話。終わり方は微妙で、平凡な感じだった…

    1
    投稿日: 2020.04.22
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    タイトル買いしました。綿谷りさは人の切実な叫びみたいなのを表現するのが本当に巧みだなと感じます(小並感)

    1
    投稿日: 2020.04.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    描かれている不器用なおひとりさま女性等身大の姿に、思わず「わかる~」と感じてしまう物語。主人公と脳内Aとの会話がユニーク。おひとりさまな日常からほんの少し抜け出して「脳内Aに相談する自分を卒業する」姿に寂しさと爽やかさを感じる物語。 お一人様等身大、変わりたいけど変わりたくないリアルな気持ち。

    1
    投稿日: 2020.04.13
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    なんだかんだみつこは上手に生きれる人で、真の不器用陰キャではない。自分で自分への的確なアドバイザーを作り上げられちゃうくらいクリエイティブな人

    1
    投稿日: 2020.04.11
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    当時、わたしは高校生、だったのか、計算すると。とても歳の近い、若い二人が芥川賞をW受賞した、というのは話題になった。そして一人は、東京にあるとても有名な大学へ通う大学生だった。 やっぱり東京の大学ってすごいんだ、東京は、大学は、違った世界へわたしを連れていってくれる、そんな期待を抱いた記憶がある。 そして、これから自分が東京の大学という未知の世界に飛び込む、不安と喜びがないまぜになっていた、そんなふわふわした気持ちで、「蹴りたい背中」と「蛇にピアス」を読んだ。「蛇にピアス」は、わたしが思い描いていた東京とは全く違っていて、強烈な印象を残した。でも、なぜかその作品には引き込まれ、最近では数年に一度、映画作品の方を観たくなる。一方で、「蹴りたい背中」の印象は、さほど強くはなくって。気がつけば、金原さんの作品は結構読んできたけれど、綿矢さんの作品は、もう何年も読んでいなかった。 この同世代のお二人が、受賞から15年以上経って、お互いの作品の解説を執筆。本作品は金原さんが、金原さんの「クラウドガール」には綿矢さんが。なんとなく俺得感じちゃって、両方購入。 アラサーでおひとりさま。まさに読むなら今なんじゃないかと思って、本作品を読み始めた。共感ポイント山のごとし。 P54:なじみのゆっくりしたペースで進む毎日のなか、長く引きのばした青春をいつまでもうっすら夢心地で楽しんでいたい。 わかる、YELLOW MONKEYの「SO YOUNG」みたいなこの気持ち。日常に飽き飽きしたような気持ちを日々抱えながらも、どこかその日常に安心して、新しい何かが不安で面倒。結局自分が作り上げた小さな世界の中で生活する安心感。 P85:掃除を終えて、できあがった洗濯物を干すころには、そろそろ夕飯について考えなくちゃいけない時間になっていた。つまらない。私はもっと休みたかった。好きなことをやりたかった。日暮れまえにつのった軽い不満。 むっっっっっちゃわかる、この感覚。予定のない休みは、いつもこの不満と戦い、人生を無駄にしたような感覚にさせられる。実は、このあたりまで読んで、この先を読むのがしんどくなった。この「つまらなさ」にポップに「わかる!」という共感ではなく、うんざりと「わかるわ~」と共感してしまった。自分のホルモンバランスの乱れと、コロナウイルスの影響を受けて少しは減ったけれどまだまだ人間が詰め込まれている満員電車に対する不安とで、通勤で本を読む余裕がなくなった。けれど、ちまちま読み進めていって、カフェで同世代の女子二人の会話に耳をすませて突っ込んでいるみつ子にはポップに共感し、「あー、これやるのわたしだけじゃないんだー」と安心したり。わたしの心は不安と安心を行ったり来たり。 そんな中突然、仕事が休みになった。世界にはびこるコロナウイルスがとうとう身近に迫ってきて、約一ヶ月、なーんにもすることがなくなった。この間にいろんなことを吸収して生まれ変わってやろうと躍起になった。まずは手始めに。本作品を最後まで読もう。ホルモンバランスの乱れを乗り越え、電車の中で人間に脅えることなく、何の罪悪感もなく仕事を休めるわたしの心は、とても晴れやかだ。そんな気持ちで後半を一気に駆け抜けたら、サクサク、最後まで読めちゃった。解説の金原さんの夫のキャラクターには衝撃。金原さんは余談と言っている飛行機のエピソードが、わたしは結構好き。この、作風も人生も全く異なる二人の対話を、近くで聴いてみたい。

    40
    投稿日: 2020.04.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    運命の恋を叶えるスタンダールみたいだった。 好きな表現が一箇所だけ。 自分が根本的に人を必要としていないことに ショックを受けて自分を攻めてるとき Aがオレンジジュースと水で例えてるシーン、 とても良かった。 「オレンジジュースを飲まないと死んでしまう人はいますか?」 「めったにいない」 「水を飲まないと死んでしまう人はいますか?」 「人間はみんなそうだよ」 「では、オレンジジュースが好きな人はいますか?」 「根本的に必要じゃなくても、生活にあるとうれしい存在はたくさんあるんです。というか、私たちはそういうものばかりに取り囲まれて生きていますよ」

    1
    投稿日: 2020.04.09
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    普通でした。 わたしと脳内のAとの日常 カーターのお顔が超絶イケメンらしいので3次元だと誰になるのか気になる笑

    0
    投稿日: 2020.04.06
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    自分も同じような年齢だし、アラサー独身の気持ちすごくわかるーと思ってしまった。毎日会社漬けで、でも家に帰ったらふと孤独で寂しいと思う時もあり…。そんな日々を過ごしてたなぁ。 私にもAがいてくれたら、面白かったんだろうなぁ…。A欲しい笑 そして、ところどころドキドキするところもあり、楽しんで読むことが出来ました。

    1
    投稿日: 2020.04.02
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    大好きなお話でした。 アラサーになると、みんなそれぞれ少しずつライフスタイルが変わってきて、お互い気を遣いながら会話する機会も増え、、、 少し息苦しさを感じていたとき、みつことAの会話に癒され、救われた気がしました!

    3
    投稿日: 2020.03.14
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    2020.02読了 ひとりでいることに慣れ、他人と深い関係を持とうとしないみつ子。その姿勢はおひとりさまの楽しみを見出す域まで来ていたが、そんな生活を続けるある日、もうひとりの自分であるAと出会う。 Aとの対話により、これまでの生活から変わるほんの少しずつの努力を重ねることで、みつ子の世界に他者の存在が取り込まれていく。 残念なイケメンナルシスト カーターと彼を追う物好きなみつ子の先輩 ノゾミさん、そしてみつ子とご近所で同僚の多田くん。 みんな現実にもいそうで、また、それぞれに無理をしていない等身大なキャラクターなのが共感と安心を生みつつ、見守る気持ちで読み進められた。 是非実写版も観たい。

    5
    投稿日: 2020.03.05
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    久しぶりの綿矢りささん。 脳内のAの存在。自分にもいるのなら会ってみたい。笑 所々に共感できるくだりがあって、良かった。特に多田くんとのアウトレットデートのシーン。

    0
    投稿日: 2020.02.16
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    2020/2/11 30歳もとうに過ぎた独身OLのみつ子が主人公の、働く独身女子の日常…みたいな話。 とにかくおひとりさまあるあるが非常に多くて、とても共感することが多かったです。さすがに一人でディズニーランドはないわーと思ったけど。 また、この話の特徴的な部分として、みつ子と、脳内のもう一人の自分であるAとの会話が作中で普通に繰り広げられるところです。 二重人格なんじゃないの?と思ってしまいますが、そんなに深刻な感じを与えない文章なのが不思議なところ。最終的にはすごくいい展開だし、すごくほのぼのとすると思います。

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    投稿日: 2020.02.11