
総合評価
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powered by ブクログ孤独な守銭奴サイラスが、失った金貨と引き換えに金髪の孤児エピーと出会うことで、彼の止まっていた人生が動き出すという物語。今作の面白かった点の一つは、サイラスとゴッドフリーの対比描写である。エピーを受け入れた結果、孤独を免れ幸せな人生を送ったサイラス。一方エピーを当初受け入れなかった結果、自らの秘密に怯え、子宝に恵まれない人生を送ったゴッドフリー。このような因果応報的な展開は読んでいて爽快だった。また、実の父ゴッドフリーとの血の繋がりよりも、育ての父サイラスからの愛情の方が大切であることをエピーが告白するシーンは、爽快以上に感動的である。
0投稿日: 2025.10.29
powered by ブクログ親友に裏切られて街を離れ、田舎の村の近くで機織りとして孤独に暮らしていた男、サイラス・マーナーが、その地でもさらに災難にあった後に母を亡くした女の子、エピーを養育することになる。同じ作者の長大で重厚な大作といった作品であった『ミドルマーチ』とは大きく異なり、短くシンプルなプロットの作品ではあったが、エピーと出会うまでのマーナーの運命はとても苦しく心を打たれ、その後絶望の淵からエピーとの出会いを通じて幸福に至るマーナーの心情描写は精細で読み応えがあった。
0投稿日: 2025.10.23
powered by ブクログわたしはなあ、賢いお方とはちごうてねえ、神さまいうもんが、ほんとうはよう分からんのよ。 サイラスはなあ、故郷のランタン・ヤードで神さまのことを信じておったのに親友の裏切りで「盗人」にされてしまうたんよ。本当の盗人ではなかったのに牧師さんの前で「御神籤(おみくじ)」で盗人に決められてしもうたんよ。 そいでサイラスはなあ、なんもかんものうなってしもうて、とぼとぼと町を出て、ラヴィローいう村の片隅の砕石場の近くに小屋を建ててひっそりと機織り屋になったんよ。村人たちに「変人」とからかわれても何も言わんと、ただもう、真面目に機を織っとったと。サイラスの織った亜麻布はしっかりして美しもんじゃったから、注文した良家のご婦人方はサイラスに金貨、銀貨でお礼をしたそうじゃ。 サイラスには家族はおらんかったで、金貨、銀貨の使い道はなかったけんどな自分で稼いだ金銀の輝きが嬉しゅうて、毎晩、金貨、銀貨を数えて織り機の下の床に隠しておくことだけを楽しみ過ごしておった。 そうして15年もたったときにな、なんとサイラスが大事に床下に隠しておった金貨、銀貨が盗まれてしもうたんよ。ただ一つの慰みも無くなったしもうたサイラスはもぬけの殻になってしもうたんよ。 でもな、ある雪の日の晩にな、サイラスの小屋の暖炉の前に金が落ちとったんよ。「わたしの金貨が戻ってきた!」とおもって拾い上げようとしたら、なんとそれは金髪の赤ん坊だっと! その日からな、サイラスは生まれ変わったんよ。故郷にいたころのように心に喜びが訪れ、サイラスは「お父ちゃん」になり、エピー(娘)もお父ちゃんを大事にして、可愛い、良い子に育ったんよ。 ところがな、エピーが十六歳になった時にな、エピーを引き取りたいいう、偉いお方が現れたんよ。十六年前にサイラスがやっと掴んだ幸せをまたもぎ取ろうするもんがな。いやな、お金持ちのお方にはサイラスにとって何が幸せが分からんかったんやわな。 わたしはなあ、キリスト教のことはよう分からんのやけど、神さまのことはなあ、なんとなく分かる気ィがするんやわ。サイラスはなあ、エピーのお父ちゃんになってからエピーと一緒にまた教会に行くようになったけどな、自分の小屋の暖炉をずっと大事にしてたんや。暖炉の前でエピーが見つかったからな。 つまりはなあ、暖炉とかそういう、そこにいる人間の行ないをずっと見てくれてるもんの中に神さまはおられると思うんよ。 それからな、神さまは悪いことした人間には罰を与えなさるけど、「悪いことした」自覚を忘れずにその後慎ましく暮らした人間を決して地獄に行かせるような非情なお方やないな。 このお話はなあ、読み終わったら、なんかこう気持ちがすーっとするお話やったな。
80投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログ「蒔かれた種子は、その種類に応じた実を結ぶ」という、典型的な因果応報物語。憂鬱な序盤と打って変わり、中盤以降は物語に引き込まれました。ラストは幸せな気分になれる読了感の良い終わり方。なお、著者は女性です。オースティンやブロンテ姉妹同様に、19世紀のイギリス女性作家が直面した、男性より低い地位に見られる傾向から、男性名で出版されました。 物語は、機織りで生計を立てるサイラスの話しと、村の郷士の息子であるゴッドフリーの話しが交互に語られます。 サイラスはランタン・ヤードという町に育ちましたが、親友に裏切られてラヴィロー村に都落ち。その村人と親しくなるでもなく、機織りで稼いだ金を毎晩眺めるのを唯一の楽しみとして、まるで隠者のような暮らしぶり。 一方、サイラスが移り住んだラヴィロー村では、キャス郷士の長男ゴッドフリーが、ある問題に悩まされていました。 その問題に付け込んだ、キャス郷士の次男ダンスタンによって、何の関わりもなかった二人の運命が交錯していきます…… 友人に裏切られ、心を閉ざしてしまったサイラスが、最後に得た幸せは心温まるものがありました。孤独だった彼が最悪な事件から立ち直り、次第に村人と打ち解けていく様子や、お金だけが幸せではないと思わせるストーリー展開など好きですね。人生の晩年は、ハッピーに迎えたいものだなと思わされた作品でした。 追記: 訳者は『アルジャーノンに花束を』『くらやみの速さはどれくらい』『闇の左手』『われはロボット』『火星のタイムスリップ』などなど、好きな作品をたくさん翻訳されている方です。本作の訳者あとがきに、『書店主フィクリーのものがたり』を訳したときに、本作が言及されていて翻訳する契機になったことが書かれていました。自分もフィクリーを読んで気になって、本作を積読していましたが、今回読むことができて良かったです。お気に入りの本が増えました。
34投稿日: 2024.10.12
powered by ブクログ「なりたかった自分になるために、遅すぎるなんてことはない」 先日読んだ『夏の扉』がとてつもなく面白かったので、おかわりです ここでハインラインではなく訳者の小尾芙佐さんの方をおかわりするってところがもうセンス! ということでイギリス文学を代表する女流作家ジョージ・エリオットの名作『サイラス・マーナー』です エリオットの宗教観がどうのとか、彼女の結婚や人生がどうのとか、当時の女性の地位とか時代背景とか、あっしにゃ難しいことはさっぱり分かりませんよ 分かりゃーしませんよ だけどね旦那 正しい心を持った人たちが幸せな結末を迎える 正しくない心を持った人も最後には改心する それだけで十分じゃございませんか それだけで十分人の心を震わせることが出来るんじゃございませんか そしてこういう物語こそ残していかなきゃならないんじゃないですかね 南極の氷が全て溶けても残ってほしい物語でした(いや南極の氷も残ってほしいけども!)
63投稿日: 2023.12.14
powered by ブクログヴィクトリア朝を代表する男性名の女流作家ジョージ・エリオットの代表作の一つ。寓話的な物語に心打たれる傑作。 親友と恋人に裏切られ、信仰と故郷を捨てざるを得なくなるサイラス・マーナー。冒頭から悲劇のどん底に突き落とされる展開に引き込まれ、真面目で純朴なサイラスに愛着がわいた。不幸な境遇ゆえに彼が金貨に執着するようになってしまうのもどことなく共感できる。このまま孤独に人生を終えるかと思われた矢先に起きるサスペンスフルな事件――そこから一気に面白くなってくる。 本作でサイラスの対比となっているのはゴッドフリーだろう。弱点はあるが決して悪人ではない彼の人生の苦悩が、サイラスとは逆の立場から物語の主題に迫っていく。さらに、潔癖なナンシーの家庭生活のあり方が当時の社会通念をよく表現していて、本作の寓話的テーマを陰となって浮かび上がらせている。 寓話的といったが、繊細な心理描写は現代的でもあり、時代的背景もあって、小説として非常に面白い。「めでたしめでたし」で軽くすませられない、ヴィクトリア朝文学ならではの本物の感動があると思う。読後感は最高。
5投稿日: 2023.03.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
確か中学生の教科書に載っていて気になっていたのに今日まで読まず。人間は社会的な動物で、孤独でも一人きりでは生きてはいないし、生きてもいけない。マーナーの若かりし頃の辛さもエピーとの出逢いで幸せになっていく。我が子以上に大切に育てた子の幸せを願う父の愛の深さに涙が出そうになった。すごくきれいな物語。少し心が疲れたときに読み直したいかも。
1投稿日: 2022.10.11
powered by ブクログ光文社古典新訳文庫には本当に助けられる。古典を今息をしている言葉で、というコンセプトどおりだ。本作でそれを感じたのは、たしかに翻訳で田舎ことばなどは使っているが、さほど時代錯誤的ではないし、成長していくサイラスの娘エピーの言葉使いがとてもあたたかみを感じるように表現されているので、共感も強まる。だいぶ前に読んだ当時は、地主ゴッドフリーは嫌なやつでしかなかったが、今回は彼やその妻の苦悩も少しはくみ取れた。子供を育てることで変わったサイラスはもちろん、車大工一家たちや、周囲の人達の情にも胸が熱くなる。
1投稿日: 2022.10.09
powered by ブクログ友人に裏切られ、免罪をかけられ、婚約者も失ったサイラス・マーナー。神にも人間にも絶望したサイラスを救ったのは何か? 金を蓄えることだけが彼の唯一の救いとなるが、そんな金も盗まれてしまう。孤独で寂しいマーナーからこれ以上何を取れば気が済むのかと言いたくなるほどの不幸。しかし、これを後に本人が、不思議な軌跡だと言う。 エピーという1人の赤ん坊が彼の人生を救った。19世紀は科学の目覚ましい発展(ex. 進化論)によって聖書の非論理的な神話性に疑問を抱く時代であった。著者エリオット自身、もともと福音主義者だったが、22歳に聖書を合理的客観的に解釈する高等批評に触れ、宗教観が一変する。 そんなエリオットが「孤独を救済するのは一体何か」と言う問いにアプローチする中で生まれたのが『サイラス・マーナー』なのかもしれない。
0投稿日: 2022.04.23
powered by ブクログ素朴な話。若い頃親友に貶められ、故郷を去ることを余儀なくされてしまった。流れ着いた見知らぬ土地で他人と交流を持たないように生きてきたが、ある時全財産が盗難にあってしまった。リアル泣きっ面に蜂状態。そこに突然迷い込んできた幼女二歳を養育することを自分の天命と信じる。この人物が表題の人。今までぬらりひょんと、人にされるがままに争いごとに目をつむり生きてきたが、育ててきた子供と離れることになり、初めて自分のエゴを他人に向けて発射する。それは愛ー、たぶん愛ー、きっと愛ー。。。
1投稿日: 2022.03.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
時代における女性云々の解説には興味がないが、キリスト教云々には感じることがある。 サイラスが無実の罪を着せられて故郷を去り、後年そこを訪問して事実を知ろうとしたとき、そこはすでになくなっていた。神の下した罰で燃え尽きたソドムの町ように。ダンスタンにも同様である。 パリサイ人のごとき信仰の礼拝堂は跡形もなく、苦しみの後に下された愛と思いやりという最上の恵みはキリストへの信仰を象徴するかのようだ。 しかしながら、読書とは登場人物の悲しみや苦しみにこそ深い共感と追究心がわくもので、幸せになった彼らにはよかったね、という軽い感情程度しかわかぬものなのだな。 喜びにこそ感動が大きくあってほしいのに、情けないものだ。
0投稿日: 2021.07.10
powered by ブクログエピーと出会えた良かった良かった。ゴッドフリー関係は退屈だったけど、最後の方でサイラスと対峙するシーンは感動した。
0投稿日: 2020.01.09
powered by ブクログジョージ・エリオットが男みたいな名前だけど女の作家であることは知っていた。「サイラス・マーナー」も人の名前だとは思っていたが、何故か女の人の名前だと勝手に思い込んでいた。男の人で、しかも変り者の老人の話とは思いもよらなかった。 しかし、こんな素敵な作家を今まで知らなかったなんて‼️最後がハッピーエンドなのはいかにもヴィクトリア朝だけど、思いもよらぬストーリー展開、人間の心の動き、人物の描き方、いずれも素晴らしい❗️ それにしても、ジェーン・オースティン、ブロンテ姉妹、ヴァージニア・ウルフ、それにこのジョージ・エリオット、イギリスは秀逸な女性作家の宝庫だ。
0投稿日: 2019.11.03
powered by ブクログ親友と恋人に恵まれ幸せに暮らしていたサイラス・マーナー。2人の策略で失意のどん底に。新たな地で孤独の中、毎日機を織り、たまっていく金貨を眺めるのが唯一の楽しみとなっていたサイラス。ある日、心の拠り所の金貨が盗まれ、可愛らしい2歳の女の子がやって来たことで新たな人生が始まる。この時、知らぬ間にサイラスと運命を交差させた村の有力者ゴッドフリー。彼も運命の転換期を迎えた。大事なものを失い、新たに素晴らしいものを手に入れる2人だか、結末は驚くほど違うものだった。作者の宗教観も盛り込まれて深く読ませる作品だった。
0投稿日: 2019.10.29
powered by ブクログ孤独な機織りが主役ということで惹かれて読んだ。宗教観や階級のことをその当時の基準で語りながらも、どこかそれらの空疎さを辛辣に語っている目線が素晴らしい。読みながら思い浮かんだのはクイーンとデビットボウイの歌うUnder Pressure 「愛は古臭い言葉だけど、どうして愛にもう一度チャンスを与えてやらないんだ?」愛って恋愛の愛とは限らない。 この本を書いた時エリオット41歳。 若さと利己心、正義を求める心。老いることと許し。エリオットがこれを書いたのが、今の私の年と同年代だからこそ、その間に立って、どちらも理解できる気がした。
0投稿日: 2019.09.25
powered by ブクログドリーさんに会ってみたいなあ。 終わり方も好きだ。古典によくあるように、とても深い。ドリーなんだな。
0投稿日: 2019.09.21
