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powered by ブクログ「狂気の山脈にて」読みました。 クトゥルー神話という、作られた神話の原点となる、 作家ラブクラフト氏による短編の傑作選です。 「ランドルフ・カーターの陳述」 「ピックマンのモデル」 「エーリッヒ・ツァンの音楽」 「猟犬」 「ダゴン」 「祝祭」 「狂気の山脈にて」 「時間からの影」 の8作品、収録されておりまして、 表題作でもある「狂気の山脈にて」は、南極探検に行った先で、 人類を遥かに凌駕する文明を誇った”最先(いやさき)のもの”が、どのような 文明を作り、そして、滅んでいったのか。その架空の文明を描いた作品でした。 それ以外の作品も、人類が我が物顔で繫栄している、その目に入らない部分・・・ それは古い地下室や、屋根裏部屋の窓の外、外洋のどこか。 そういった部分に、人知を超えた怪物が潜んでいる・・・というようなホラー作品でした。 一番、好きな作品は、最後の「時間からの影」でした。 ”偉大なる種族”による、精神の入れ替えを経験した男が、その時の経験を夢に思い出し、 西オーストラリアの遺跡の発掘に参加する話で、前作の「狂気の山脈にて」を踏まえつつ、 描かれた人類の短い歴史の外側を大きなスケールで描いたスペクタクルで、 「狂気の山脈にて」よりも、読みやすい筆致で描かれていました。 ラブクラフトが癌で死去する少し前に書いた作品とのことで、 物語の構成としても、比較的読みやすく書かれていました。 さて。 現在のゲームやアニメの常識として、たとえば、ファンタジーの世界観 ・・・例えば、剣や魔法の世界がありますね。それと同じように、さまざまなところで、 作家たちに引用され、登場することで、次第に、人工の神話という体系を作り上げてきた クトゥルー神話ですが、物語を書くものとして、履修しておこうと思ったわけです。 簡単に言うと、とにかく読みづらい本でした!! 世界観は、素晴らしいし、言葉の選び方も訳も含めて、語彙が豊富で素晴らしいのですが、 悪い意味で話が進まないのと、何を言っているのか分からなくなりがちなのと、 登場人物が何をしているのか分からなくなりがちな本でした。 短いとそこまで気にならないのですが、長編作品だと相性が悪いのです。 文章が、基本、否定形で書かれていて、 「よく分からない、ということはほとんどなかった。それどころか、名状しがたい面白さが分かりやすく伝わってくるのだった」みたいな、いや、面白いって言ってくれよ! みたいな表現は、なかなか慣れずに大変でした。 そういった意味でも、最後の「時間からの影」は、そのあたりの表現も成熟したものであり、その独特の世界を十分に楽しめました。 まあ、あーだこーだ書きましたが、なかなか苦心して読んだ本作の世界観は十分に楽しめました。 おわり。
0投稿日: 2025.08.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「ランドルフ・カーターの陳述」~「祝祭」までの短編6編はともかく、本書の3/4を占める「狂気の山脈から」「時間からの影」の中編2編が共に長く、読了まで時間がかかってしまった。超古代の文明の遺構の描写はとにかく壮大で想像を絶する……ことはわかるんだが、如何せん描写が冗長過ぎて逆にイメージが追い付いていかず、かえって怖さを削がれてしまったというか……。 固定観念―これまで無批判に信じていた常識や世界観がひっくり返されるということは即ち、自身の存在すら信じられなくなるということでもあり、それが途轍もなく“怖ろしい”とはわかるんだけれども。 とはいえ、現代より遥かにキリスト教的倫理観の根強い当時に「人類の出現以前に別の存在による文明が存在した」「人類もその存在によって創り出されたもの」という内容は斬新なものだったのだろう、と。
2投稿日: 2025.04.25
powered by ブクログ気の遠くなるような時間と空間を股にかけ、精神を操りあらゆる知識を収集する偉大なる存在‥『時間からの影』の構想スケールの大きさに圧倒された。
1投稿日: 2025.03.31
powered by ブクログクトゥルフ神話TPRGから興味を持って、原作のクトゥルーを読み始めた。よくある話です。 海外作品って同じ作品でも翻訳者が違うと印象が変わったりするけど、クトゥルーはもうそもそもが難しくて読みづらい!笑 読了までかなり時間を要しました。 でも『時間からの影』は個人的にとても読みやすくて、最後の話がこれだったおかげでラストスパートは一気に読み切れたかな。他の傑作集も読む予定
0投稿日: 2025.01.03
powered by ブクログ怪奇小説を語るなら欠かせないだろう、というのとボクの嗜好で、読もうとうずうずしてたけどようやく読めた 表題作の「狂気の山脈にて」は言わずもがな、他の収録作もクトゥルー神話ならではの不気味さと深遠さを感じさせられた TRPGとかで見知ってたし、こんな感じの体系をなしたファンタジー大好きだから調べていたりもしたから、読んでて「こいつらってこうだったのか」みたいな気づきも得たりして楽しかった 次作の『アウトサイダー』と前作の『インスマスの影』も読みたい
0投稿日: 2025.01.02
powered by ブクログラヴクラフト初体験。 クトゥルフ神話の生みの親。ホラーが苦手ではあるが、これだけ有名な作品群なのだから一度は手に取ってみないとと思い挑戦。 本作は表題作「狂気の山脈にて」と「時間からの影」という中編2篇を含む8篇から成る。 真っ先の印象としては、ラヴクラフトが創出する恐怖を恐怖として堪能するためには、かなりの想像力が必要だなということ。 卓越した想像力の結果を余すところなく文章に落とし込むので、それを再構築するのにだいぶ骨が折れる。 おそらくホラーにはホラーを読むスキーマが必要なのだろうが、怖いの嫌いな私はそんなものもなく、ただひたすら彼の記述からイメージを構築する。 ただ、私が再構築したイメージは、そんなに怖くないのだ。 恐怖の基となる、恐怖の対象となるものが霊とかゾンビとか狂った人間とかではなく、宇宙的なもの、遙か昔に宇宙からやってきたものという設定なのでそういう意味ではSFとして読むことができる。 その視点からすると、割と面白い。とりわけ、中編2篇については導入から中盤にかけてはホラーというよりもSFテイストが強く、そこまでは興味深く読める。 ただそこから恐怖の場面に転換するときに、私の想像力がおっつかなくなる。 想像がおっつかないのに、たたみ込むように、あるときは内省的に、またあるときは状況を徹底的に細かく文章にして浴びせてくるので、うわあとなる。 物語そのものの恐怖よりも、「あれ、おれバカなのかなもしかして」と思う恐怖の方が上回ってしまったかもしれない。 これはもう、仕方ない。私の能力不足である。向いてなかった。 熱狂的なファンがいるし、クトゥルフ神話はある意味盤石のジャンルとして成立しているわけなので、好きな人にとってみればこのテイストがたまらなく面白いに違いない。 それもこれも試してみないとわからないので、ホラー系が好きかもな方は一度挑戦してみて欲しい。
18投稿日: 2024.08.25
powered by ブクログクトゥルフ神話と呼ばれるラブクラフト作の短編集。 ジャンルとしてはSFと怪奇ものが混ざった、というべきか。ネクロノミコンや大いなる古きものらというモチーフが複数の話で出てきて、世界観として緩やかに統一されている。舞台は現代。登場人物たちは偶然か必然か、この世の常識では創造出来ない何かに遭遇したり体験したりした結果、精神に何らかの異常を来してしまう。 研究科や探検など研究者の立場での主観で話が進むため、文章がやや学術的で表現が非常に複雑であったのが、あえての世界観ということは理解できるが非常に読みにくかった。
0投稿日: 2024.01.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「ダゴン」のラスト 私の初読は、文庫の全集(あの黒い有名な表紙)だったので、ダゴンのラストは「窓に」「あの手」があるものだとばかり思っていた。 しかし、久しぶりに令和の時代に発行されたこちらの訳をなんとなしに、再読の記憶をたどりながら、本当に何となく、読んでいたら、ラストに、「窓へ!」と来たもんだから、「(これ投身エンドか!?)」と、気付いてしまったときの鳥肌と言ったら、計り知れない恐怖、二度と味わえない面食らい、こっちが放り投げられたような気分。 調べてみたら海外でも読み取り方はそれぞれのようで、ラヴクラフトにやられたと嬉しくなる。ダゴン沼である。 ちなみに「ダゴン」は海外で短いゲームとして販売もされていて、YouTubeで九畝くぜさんという長らくクトゥルフTRPGをされている方が解説混じりに実況動画を投稿されている。 ゲーム版「ダゴン」のラストが気になる方へオススメです。
0投稿日: 2023.11.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ラヴクラフト作品は初めて読んだ。 人類誕生よりもはるか昔にかなり高度な文明を築いた存在がいた、という話だったのは初めて知った。名前は知っていたものの前情報無しで読んだので、一体どんな展開になるんだ?とワクワクしながら読めた。 現代の作品と比べると語り手の独白がかなり多いので読みづらさもあるけど、語り手の思考とシンクロして少しずつ恐怖を感じていく体験ができてよかった。 SF大好きなのでラヴクラフト作品はまた読みたい!けどおそらくどの話も同じ神話という設定らしいから展開は似てると思われるので、一気に読むと胸焼けしそうなので他の本を読みつつ合間で読みたい。
0投稿日: 2023.10.10
powered by ブクログ20世紀アメリカ。ラヴクラフトの暗黒神話。クトゥルー(邪神・発音できないのが目的なので便宜上) 神話、短編8作。 「狂気の山脈にて」 冒険ありの怪奇小説。 南極大陸の探検隊が、驚くべき発見をする。 独特な進化をした大型生物の化石群。 広大な都市跡。 人類史よりも古く、壁画に謎の文明の歴史を残す。 栄華を誇っていたその文明の崩壊は、下等生物の反乱か。 しかし、隊員隊は、未知の生物の復活により危険が迫る。 脱出できた隊員達は、この危険な場所を秘密にする。 なかなか大作で、込み入って、同じような表現がぐるぐる出てくるので、上手く説明できません、が! 2017年ドラえもん「南極カチコチ大冒険」が、オマージュっぽいという噂があるようです。 また、あの 「遊星からの物体X」は、こちらが元ネタらしいですね。 人類が現れるよりも遥か以前、宇宙から飛来して地球を支配していた存在。彼らは、地球の面舞台から姿を消したが、今も復活を伺っている。(訳者解説略) これが全編共通のテーマになっています。 「ランドルフ・カーターの陳述」 「ピックマンのモデル」 「エーリッヒ・ツアンの音楽」 「猟犬」 「ダゴン」 「祝祭」 「時間からの影」 テーマが同じで、恐ろしい経験をした人が、思い出すのも辛いけど、語らなければならないって感じでパターン化してるので、好きな方には、たまらない一冊ですね。私は、作品の区別がつかなくなってしまう。 狂気の山脈は、面白いと思います。
57投稿日: 2023.09.24
powered by ブクログSFかホラー。クトゥルー神話。太古の地球を支配した宇宙からの生命体が甦る、かも知れない。訳文が読みづらい。2023.9.6
0投稿日: 2023.09.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
南條竹則編訳のクトゥルフ神話作品集第2作。 編訳者解説でのクトゥルフ神話の説明──「人類が現れるよりもはるか以前に宇宙から飛来して、この地球を支配していた存在がいる。かれらは事情(わけ)あって地球の表舞台から姿を消したが、今も海底や、人跡到らぬ山林や、次元の隙間に身を隠して復活の機会をうかがっており、太古以来かれらを崇める秘密の教団がある──」というものも、とても分かりやすく、各話コメントも理解の助けになる。 『狂気の山脈にて』や『時間からの影』における旧支配者たちの設定はおぞましいながら壮大で面白い。
1投稿日: 2023.09.05
powered by ブクログ昨今の様々なコンテンツでパロディ・オマージュされていることを考えると、クトゥルフ神話はサブカルの教養書と呼んでも差し支えないと思う。 知っておくと、思いがけないところで出会した時に面白くて、漫画やゲームの楽しさが増える。もちろんTRPGも。 また、堅苦しくて変わった文体ではあるけれども、それが魅力だとも思う。狂気と正気の狭間のような文章が、主人公たちが熱意をもって書き殴ったものを直に読んでいるような臨場感を与えてくれる。 テケリ・リ!
0投稿日: 2023.08.23
powered by ブクログ西洋ホラーの伝説的な作品、クトゥルフ神話の物語。 作者のラブクラフトは当時はあまり評価されなかったようだが、亡くなった後に再評価された作家。 それが今現在まで名作として残り続けているので、生きている間に評価されていればと思わないではない。 内容は前半の5作は数ページ~数10ページの短編になっており、クトゥルフ神話とは関係ない物語もしくは繋がりの薄い作品になっている。 どちらかと言えば悪魔や悪霊の話だ。 しかし後半の狂気の山脈と時間からの影はそれまでの作品とは全く異なる冒険譚となっている。 この2作品は難解ではあるものの、どんな展開になるのだろうと次が楽しみになる作品だった。 壮大なスケールの話であり、作者は明晰な頭脳を持っていたのだろうと想像させられる。 本シリーズがホラーかどうかは微妙な所ではあるが、西洋のホラーと日本のホラーの違いが良くわかる。 そういう意味でも面白い本だった。
0投稿日: 2023.08.20
powered by ブクログこの本を読んではっきりしたことがある。 私が好きなのは、クトゥルフ神話関連の二次創作物なのだ。 小説はどうも肌に合わなかった。 情景描写ばかりがつらなり、認知症の老人の長い長いたわごとを聞かされているような錯覚に陥る。 物語にはあっているが、文字がぎっちりと詰まったびっしりの誌面も目に辛かった。 他のコンテンツになった物語の原作は、またどこかで読んでおきたいと思う。
0投稿日: 2023.07.21
powered by ブクログ業績として人物を語るならば、ラヴクラフトは偉大な人かもしれない…とひとりごちつつ、「狂気の山脈を登攀する」みじめとしか言いようのない心境になっていって、最後、3割を残して名誉ある撤退を決意。 これも読書だと自分なりに判定して。 とてつもない著作群を執筆した人物らしいが、趙がつくほどの叙述的文体は長時間読み続ける精神力が続かない(むろん体力も) そうでなくても、近年と身にはやって居rというか、主流になっている、ショートセンテンス、酷いものになると頁の6割程度にパラリとちりばめられたかのような文体、文章構成が増えている、しかもも自分も慣れている 愚かしい現状では、よほどのマニアックな方でないと読むのは困難かなと思った次第。 日本にもこういった作品が明治大正期にあったが。海外にも19C末から20Cにかけ輩出されたのを記憶している。 では実際クトルゥー神話と称されるものの本質や如何と問えば、やたらこけおどしの形容詞、一定パターンの非日常的冠詞が連呼されるばかりで、最後は読み飛ばしてしまった。筆者の人物像を詳細は知らぬが「不遇のうちに病弱な身体での生活」で一生を終えたと。 世界は広い、多くのコアな読者がいまだに存し、彼の作品を愛してやまないだろうけど、私は軽薄なたち故無理でした。 「ランドルフ・・」だけはしょっぱなということもあるけれど、簡潔で読み通せた。 詰まるところ、【シュリーマンとトロイの木馬】の話にまつわる信ぴょう性問題にも通じているけれど、一般に事実に誤謬が多いのは真実のよう。 功名心に長け、虚言癖性格は共通している感が強い。 ランドルフは社会の中に染まることは好まず、真偽のほどを別にして、?へのあくなき追及欲一色に燃えている感覚が強い。それが文体にも表れているような・・ 降参です。
1投稿日: 2023.07.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
■ランドルフ・カーターの陳述 ・ラヴクラフト自身がモデルの登場人物(5回のうちの1度目)が、助手的に初登場。 ・電話というギミック……勝手に映画「シェラ・デ・コブレの幽霊」を連想した。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC ■ピックマンのモデル ・凄まじい画家。 ・写真という小道具。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%B3 ■エーリッヒ・ツァンの音楽 ・凄まじい音楽家。常軌を逸した芸術家という路線。 ・街で最も高い窓から見える景色……というのはいいな。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%81%AE%E9%9F%B3%E6%A5%BD ■猟犬 ・他の邦題に「魔犬」「妖犬」。 ・漫画で登場人物のビジュアルを先に見たためか、こいつら底の浅いザ・中二病! と少し笑ってしまった。 (田辺剛による漫画あり) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E7%8A%AC ■ダゴン ・今や古典中の古典だが、1919年に、第一次世界大戦(1914-1918)の海上を舞台にしているということは、当時最先端のナウい状況だったのだろう。→後に「インスマスの影」に進化。 ・これが俗にいう「窓に! 窓に!」だ。嬉しい。 (田辺剛による漫画あり) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%B4%E3%83%B3_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC) ■祝祭 ・他の邦題に「魔宴」「暗黒の秘儀」。 ・分家の末裔が、自ら望んで訪問し、なのに怯えているという、どうかしらんな話。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E5%AE%B4 ■狂気の山脈にて ・先に漫画を読んでなければ挫けたかもしれない、イメージしづらく冗長なところも。 ・全般にいえることだが、会話文が少ない。この迂遠で仰々しい文体が味なわけだが。対して漫画は会話も独白もたっぷりで助かる。絵の質もすさまじい。 (田辺剛による漫画あり) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%82%E6%B0%97%E3%81%AE%E5%B1%B1%E8%84%88%E3%81%AB%E3%81%A6 ■時間からの影 ・漫画のビジュアルも合わせてだが、一番の掘出し物だと感じた。 ・記憶が云々という導入からは「ジェイコブズ・ラダー」を連想した(後に別ベクトルと判ったが)。 ・何よりもカワイイのだ>イースの大いなる種族。 (田辺剛による漫画あり) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E5%BD%B1 ◇編訳者解説 南條竹則
5投稿日: 2023.06.10
powered by ブクログ初心者が噂のクトゥルーを読んでみるぞ2冊目! おどろおどろしくて不気味で冒涜的寄りな短編と、ちょっと冒険要素の入った長編二作。 どちらもどちらで面白い! 第一集『インスマスの影』収録のは前者寄りが多かったのかな。サクッと読めるけど、不気味さは格別。 表題作「狂気の山脈にて」は面白かったけど前半苦戦。 「名状しがたい」を事細かに描写するとこうなるのね…。 南極の地理、地形やあれこれの描写は、ファンアートのイラストなどのお手伝いが必要ですた。 「古きものども」「偉大なる種族」視点のサイドストーリーがとても読んでみたい。名状しがたくて冒涜的だけど、キャラがたってていいぞ! やはり面白い。怖いだけじゃなくて、冒険的な要素も楽しかった!
0投稿日: 2023.02.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
クトゥルフ神話TRPGを始めてしばらく経つが、本家大元を読めていなかったので、今回初めて読んだ。 邂逅してしまう、いないはずなのに感じる何か、奇妙な体験の追憶…背筋がぞおっとするよりも何か迫り上がるような、込み上げてくるものを感じた。
0投稿日: 2021.09.19
powered by ブクログタイトルのとおり、ラヴクラフトの傑作選。収録の「狂気の山脈にて」と「時間からの影」は中篇くらいの長さ。「狂気の山脈にて」は深層の岩石や土壌の標本を採るため南極大陸に調査に行き、そこでとあるチームが奇怪な化石を発見する。ところが発見者から連絡が途絶えたため、主人公がそのチームの救出に向かったところ、不可解な事態に巻き込まれるというもの。ずんずんと恐怖に中心に向かう様が面白い。かわいくないペンギンがなかなか想像しにくい…
0投稿日: 2021.05.31
powered by ブクログH. P. ラヴクラフト(1890-1937)といえば怪奇(ホラー)小説の有名どころで、マニアックなファンも世界中に多く抱え、多くの、今日言うところの「二次創作」の作品群のみなもととなった「クトゥルー神話」の作者であり、私も高校生の頃に創元推理文庫の『ラヴクラフト全集』全7巻のうち1巻から3巻までを買って読んだ。が、その当時どうもこの作家の作風に今ひとつ乗り切れないものを感じ、若干苦手なような、「好き」とまでは言えないような状態であった。 新潮文庫版のこれは新訳で、昨年12月に出たばかりの文庫オリジナルである。実はこれは新潮文庫版「クトゥルー神話傑作選」の2冊目のようで、既に既刊があるらしい。 さて、相当歳をとった今読み直してどうかな?と思いながら読み始めてみると、この作家の文章が、どうにも私には入り込みにくいのだと直ちに判明した。センテンス同士のつながり、複文節の構造、論理のプロセスなどが、いちいちしっくりこないのでスラスラと読めない。英米文学の文章はしばしば私にはそのような印象をもたらすので、英語のパロール体系、さらには英米文化のロジックに、馴染めないものを感じてしまうようだ。それでも、今回は時間をかけて味わいながら読み進めた。 読み進めるうちに更に気づいたのは、これらの小説に、カギ括弧でくくられた人物同士の会話が、ほぼ全くと言っていいくらいに無いことだ。会話が無くて、ひたすら地の文だけで進んで行く。特に、本巻で最も長く、「短めの長編小説」くらいの長さがある「狂気の山脈にて」(1936)でも、後半は南極で発見された遺跡を探索していく際に語り手の傍らには一人の探検隊仲間がずっと付き添っているのに、互いの会話は全く出てこないのだ。少なくとも、カギ括弧でくくられた台詞が全然無いままに、延々と地の文での叙述が続く。こんな書き方は小説では、一般的にはほとんど見られないのではないか。しかも本巻のすべての作品においてもそうなのだから、どうもラヴクラフトは、「ひたすらな叙述へと向かう」作家なのである。 少なくともテクストの書き手にとって、(人間の)他者には全然興味が無く、彼らとのコミュニケーションが織りなす場の推移にも一切関心がない。そういった夾雑物を排して、物語はひたすらに怪異への欲望に貫かれている。その怪異は、巻末の「狂気の山脈にて」「時間からの影」ではあからさまに、「クトゥルー神話」と後代から呼ばれた神話的な彼方の、気の遠くなるような太古の地球上の歴史である。 この「怪異」は、しかし、これらの長い2編以外では必ずしもクトゥルー神話に濃厚に結び付いているとも言いきれないもので、それらは最後まで正体のわからない「何か」として立ち現れるに過ぎず、この点、「怪奇小説のプロトタイプ」として非常に魅力的なテクストになっている。 一番気に入ったのは巻頭のごく短い「ランドルフ・カーターの陳述」(1920)だ。こういったものこそ、ホラーの古典として貴重な文学作品だと言えるのではないだろうか。 語り手であるランドルフ・カーターの友人ハーリー・ウォレンは「禁断の事柄に関する奇妙な稀覯本」を読み漁り、ある夜、カーターと共にある墓所に行く。石板を開くと石の階段が現れ、ウォレンは一人でそこから地下へと潜っていき、何かを見て大声で叫び、ついに戻ってこなくなってしまう。実際に地下で何が起こったか、そこに何があるのか、語り手にはさっぱり分からず取り残されたまま。最後に、霊的な声だけが聞こえる。 この簡潔な作品(および、本書中の、巻末2編以外の作品)においては、最後まで正体が明確には判明しないものへの欲望だけがあって、恐怖を盛り立てる怪奇小説においては怪異についての説明などは不要なのだということが明らかにされる。古典的な本格推理小説では事件の真犯人と真相(事情)が当初から<不在のシーニュ>として示されてそれへの欲望が、ディスクールの奔流の向かう先となっており、最後に真相のシニフィエ(意味内容)が明示されることにカタルシスがあったが、恐怖小説においては、<不在のシーニュ>への恐怖感だけが露出し読者の心を巻き込むことだけで良く、結末において真相をはっきりと解き明かす必要は全然無いのである。 本書全編にわたってラヴクラフトは「不気味な」「冒涜的な」「厭わしい」「異常な」「邪悪な」といった形容詞を大量に繰り出し続けており、こういった単一方向に向かう表現ばかりを連続させるというエドガー・アラン・ポーのモノクロームでシンプルな構築法(「アッシャー家の崩壊」の理論)と軌を一にている。単一の方向へと情動を動員させること、すなわち音楽で言うと19世紀ロマン派の「キャラクターピース」の組成。ホラー作品では常に似たような情動性が強調されるわけだが、この心的作用は、現在も無数に作られ続けている「ホラー映画」における、無調な不協和音やクレッシェンドを駆使した音楽の用い方を見ればよくわかる。 むしろホラー物語で最後にあまりにも辻褄を合わせた事情説明に持って行ってしまうと、逆に興が冷めてしまう場合もままある。謎の存在は謎のままでもよく、全く不条理であっても構わない。 しかしラヴクラフトは(恐らく後期において)クトゥルー神話と呼ばれる一連の太古の歴史物語を叙述することにやがて完全に没頭し、それが長大な「狂気の山脈にて」の後半を肥大させたのだろう。そういった作者側の叙述の情熱に対し、読者はどの程度魅惑されるのだろうか。人によるのではないか。私は、延々とそればかりだといくぶん飽きてしまう気がした。
5投稿日: 2021.01.10
powered by ブクログこの本の中で一番好きな話は、『ランドルフ・カーターの陳述』。『狂気の山脈にて』と『時間からの影』が順番に並んでるのは、よかった。
0投稿日: 2021.01.03
powered by ブクログ小説家・翻訳家の南條竹則=編、新訳ラヴクラフト選集全8編。 『インスマスの影』に続く2冊目。 https://booklog.jp/users/fukagawanatsumi/archives/1/4102401415 今回は全編創元推理文庫で既読だが、 やはり南條先生の訳は読みやすい。 が、それでも通読するのに時間がかかったのは、 単に私が遅読だからというだけではない、はずだ……。 収録作は、 ランドルフ・カーターの陳述 "The Statement of Randolph Carter"(1920年) ピックマンのモデル "Pickman's Model"(1927年) エーリッヒ・ツァンの音楽 "The Music of Erich Zann"(1922年) 猟犬 "The Hound"(1924年) ダゴン "Dagon"(1919年) 祝祭 "The Festival"(1925年) 狂気の山脈にて "At the Mountains of Madness"(1936年) 時間からの影 "The Shadow out of Time"(1936年) 以下、同じ年に発表され、 幾分繋がりを持つ長めの二編について。 いずれも見てはならぬ、知ってはならぬ 太古の大いなる種族の痕跡を垣間見た人が味わう 恐怖を描いている。 「狂気の山脈にて」 E.A.ポオの長編 「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」 (1838年)の影響下に書かれたSF怪奇作品。 ミスカトニック大学の地質学者 ウィリアム・ダイヤー教授率いる探検隊は 南極大陸の岩石や土壌の標本を採取すべく、 キャンプを設営。 別行動を取った分隊からの通信が途絶えたため、 捜索を開始し、奇怪な石造建築を、 次いで遙かに恐ろしいものを目にすることに……。 「時間からの影」 経済学教授ナサニエル・ウィンゲイト・ピーズリーを襲った 奇怪な出来事。 講義中に昏倒し、 意識を取り戻したときは記憶を失っていたかに見えたピーズリーは、 五年後、本来の彼自身に復して、失われた時間を取り戻そうとした。 彼の論文を読んだ鉱山技師の招きに応じ、 息子や同僚のダイヤー教授(!)らと オーストラリアの砂漠へ向かったが……。
3投稿日: 2020.12.15
powered by ブクログ新潮文庫のクトゥルー神話傑作選第二弾。今回のセレクションがちょっと変わったラインナップだなーと思いつつ読んでましたがそれらについては巻末の編訳者解説に書いてあるのでいろいろ納得。 なにはともあれ『狂気の山脈にて』→『時間からの影』の2作がこの順番で収録されているのは大変オイシイ展開なので、順番に読んでその世界観を堪能して欲しいですね。
1投稿日: 2020.12.12
powered by ブクログ必ずしも神話に組み込むことを意識した書かれたわけではない作品をも含む短編集。さすがに古風だけれども、普通に怪談として楽しい。ただ怪談語りとしてみると、お世辞にも語り口が見事とは言えないなあ。独特の世界観に魅せられるかが、評価の分かれ目。
0投稿日: 2020.12.09
