
総合評価
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powered by ブクログタイトルが気になり、手に取る。 ミステリー要素を絡めた戦争ロードムービー形式の作品。 ミステリー要素は薄いが、終始作品の軸にある。 戦争が一人の市民にどれだけ深い傷をつけるのか、青年は経験からいかに学ぶのか、長編の中で語られていた。 欧州戦線や軍隊についての説明が、やや冗長なのが気になる。 一人の青年の成長譚として読んだ。
12投稿日: 2025.12.06
powered by ブクログ戦時中の謎を追いかける若者たち、とはいえ謎自体は小さなものではあるが隊の行方を左右する大事なもの。そこに触れながら成長し、疲弊していく兵隊たちがリアルに感じられる
0投稿日: 2025.12.04
powered by ブクログコロナ以降は、体力的にも読書の集中力が落ちて、一気読みとかは夢の話ですが、分厚い本を分割して一気読みしました。 重いテーマなのに、ノンフィクションとフィクションのあいだのようなストーリー性が、この作者の強みで、動画よりも読書体験が上だと思える作家は、貴重です。
6投稿日: 2025.08.24
powered by ブクログできればドラマ バンド・オブ・ブラザースと映画 プライベート・ライアンを見てから読むと情景がハマりやすいですよ!
1投稿日: 2025.08.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
表紙とタイトルから想像するよりずっと重たい小説だった。読んでよかった。 戦争小説において、あまり焦点が当てられることがないコック兵や補給部隊がメインなことが多く、彼らについて細かいところまで描写されているのがよかった。 戦争の怖さがどこにあるのか、ただ戦力が強ければいいのではないってことを改めて知った。 周りの一般人が恐ろしい、と言ったゾダンヒルの言葉を肯定するような話も多くて読み進めるのが怖い時があった。 途中までエドが主人公なのでは、と思ったけど、彼の視点からだと見え過ぎて我々読者に沿うようには進まないんだろうな。 戦争を経験した人が日常生活に戻るのが難しいという話はよく聞くけど、まさにキッドだったティムの変化にもそれなよく現れてて心苦しかった。 短編集から辿り着いた深緑野分さんですが、知ることができてよかった。 スタッフロールは合わせて読んだので、他の作品も読んでみたい。
1投稿日: 2025.08.04
powered by ブクログなかなか、よかった。少しミステリの部分があってどうかな。と思ったりましたけど楽しめました。でも、分厚かった。読み終えるのはたいへんでした。
0投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログアメリカ軍の若い兵士の視点から見た第二次世界大戦。 第二次世界大戦の話というと、日本の視点からの話を目にすることが多いので、アメリカの視点、しかもヨーロッパ戦線というのが新鮮でした。 アメリカ軍の後方基地様子では、こりゃ日本は負けるわと思うほど余裕のある設備や物資の数々がありました。 ヨーロッパにも焼夷弾を使った空襲があったのだということを知りました…あたり前だけど、焼け野原になった街は日本だけではなかったのだと改めて意識しました。一般人同士の疑心暗鬼や飢餓…国が違っても戦争中の様子はあまり変わらないのだと思いました。 軍の最前線で戦っているのは20歳前後の若い兵士ばかり…やっぱり戦争は嫌ですね… ティム達が心に傷を負いながらも身近な仲間や戦争で傷ついた人々を大事にするための行動が素敵でした。 敵兵に対する葛藤もきっと末端兵士はどこの国もこんな感じなのだろうなとリアルに感じました。
0投稿日: 2025.05.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
19歳という若さで戦場のコック、ティム。彼が経験し、目にしてきたものは。 作者の戦争に対する表現はとても胸に刺さるものがあった。一部抜粋すると。 「人間は忘れる生き物だ。やがて明らかな過ちさえ正当化する。誰かが勝てば誰かが負け、自由のために戦う者を、別の自由のために戦う者が潰し、そうして憎しみは連鎖していく」 それでも平和であることを祈るしかない。
6投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
食べることと料理が好きなティムが特技兵(コック)として戦場に出る物語。 料理を提供し、仲間と過ごし、不可解な謎を解き、時には敵を殺す。 死はいつ訪れるかわからないが、この瞬間にも死ぬかもしれない戦場は現代人からしたら遠い話のようで想像できなくはない現実だなと思う。 抗えないことに対抗するのではなく、 抗えないことの中で必死に生き(そして染まっていく)、非日常を日常に昇華する兵士たちは、帰還後に見慣れていたはずの生活に違和感を覚えるのは当然なのか。 何というのか、言語化できない思いが残る小説だった。
0投稿日: 2025.04.03
powered by ブクログタイトルから、戦火をくぐり抜け壮絶な環境で料理をする主人公の想像をしていたが、裏表紙および本文扉で「日常ミステリ」を描いたものだと知り、一体どんな話になるのだろうと期待半分、怖さ半分で読み始めた。 一章ごとにひとつの謎が提示されそれを解いていく形となるが、なるほど確かに戦場という非日常にありながらも、戦場という独自の環境ゆえの「日常の謎」が描かれており興味深く読み進めることができた。 一方で塹壕などの過酷な環境や次々といなくなっていく友人たちなど、戦場の悲惨さも、しかし読者の心の負担になりすぎない形ではありながらしっかりと描写されており、エピローグでは終戦後に残った友人たちで集まり過去を振り返る描写から平和の重さも噛みしめることができ、大変厚みのある作品であった。 途中で「これからどうなってしまうんだ」と思わされるストーリー展開もありハラハラさせられもし、内容が内容だけに「楽しい」というと語弊があるのだが、読み応えのある書籍であった。
2投稿日: 2025.03.21
powered by ブクログ帯を見るとなんだか推理ものっぽくてそれ目当てで買ったのだけども、割とシリアスな戦争ものだった。 小さな謎をテンポよく会話挟みながら進めてくのもあり、面白いんだけども結局は戦争の身近さ凄惨さを伝える要素が強い 時代背景、雰囲気、軍編隊、装備などあらゆるところが詳しくて日本人作者が書いたとは思えないほど。
1投稿日: 2025.03.15
powered by ブクログ17歳の少年が志願して戦争に行く なぜ? と思いながら 彼の傍で共に進んでいた 戦場で 後方で 多くの仲間と 数人の友と 彼の想いに共感し反発もしながら 悔しいときは怒り 悲しいときは泣きながら なぜ? そんなふうに思えるの? そう思うのが彼なのだから とも思う やっぱり 戦争は いやだね !
8投稿日: 2025.03.04
powered by ブクログ第一次世界大戦、ノルマンディに上陸したアメリカ兵の2年間を描いた物語。 表紙とタイトルはほのぼのしているし、17、8歳くらいののんびりした男の子が一人称で語る物語なので、最初は牧歌的ですらある。冒険に行くみたいに呑気だ。 しかしやはり内容が内容なので、どんどんハードになっていく。 料理もレーション(糧食、野戦で食べる缶詰など保存がきくもの)ばかりで、美味しそうじゃない。主人公はコックさんだが、彼が腕を振るうシーンは少ない。 最初は謎解きがいくつかあり、それを通して読者も登場人物に親しみが湧くのだか、すっかり愛着の湧いた頃に、衝撃が襲ってくる。喪失感半端ない。 おっとりして暖かな性格の彼がこの戦争に染まっていくところがリアルで悲しい。 戦争体験者のPTSDなどにも触れられていたが、希望のもてるエピローグでほっとした。 それにしても「ベルリンは晴れていたか」でも感じたが、作者の風景を再現する筆力がすごい。日本人でまだ若い作者が、まるで当時の外国を見てきたかのように再現できるのは才能もあるのだろうけど、膨大な調査力もあるのかなと思った。
0投稿日: 2024.12.22
powered by ブクログだいぶ前に『この本を盗む者は』を先に読んでいた朧気な記憶からすると、だいぶ思っていたものと違いました。創元推理文庫、ということなのかと
0投稿日: 2024.10.19
powered by ブクログ美味しい食事でも紹介してくれるような本なのかと思ったら... 浅はかな思いで読み始めた自分を一喝したい。 戦禍の中で起こるちょっとした謎をコック仲間と一緒に解きながら話が進んでいく。 戦争は、なんでも奪っていってしまう。 家族も家も居場所も思い出すらも。 戦い、引き金を引くということは 誰かの家族を奪うこと。 それに気づいた時の気持ちなんて、私には一生わからない。 読んでいて凄く胸が苦しくなる話だった。 それでも、希望を見出せる結末もいくつかあってよかった。 胸にグッと来た文章 「家族が笑っていられるのは、レンズの先にはお前がいると知っているからだ。お前がこの世からいなくなったら、永遠にこんな写真は撮れないだろう。だから生きねば。」
0投稿日: 2024.10.13
powered by ブクログ第二次世界大戦中、アメリカ軍の志願兵で特技兵(コック)となったティムのお話 以下、公式のあらすじ --------------------- 1944年6月、ノルマンディー上陸作戦が僕らの初陣だった。特技兵(コック)でも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだ。新兵ティムは、冷静沈着なリーダーのエド、お調子者のディエゴ、調達の名人ライナスらとともに、度々戦場や基地で奇妙な事件に遭遇する。不思議な謎を見事に解き明かすのは、普段はおとなしいエドだった。忽然と消え失せた600箱の粉末卵の謎、オランダの民家で起きた夫婦怪死事件など、戦場の「日常の謎」を連作形式で描く、青春ミステリ長編。 --------------------- あらすじには日常の謎とあるし、実際に最初は「同僚が何故もう不要なはずのパラシュートを集めているのか?」という謎だけれども 戦地を転々としていく中でどんどんきな臭くなってくる そして、最後に伏線回収される謎と、その解決法 冒頭からしてノルマンディー上陸作戦なので危ういと思ったけど 悲惨さが有名な方ではないビーチだった そして最初の謎は前述の通り「同僚が何故もう不要なはずのパラシュートを集めているのか?」という謎 いきなり死体が出てくるし、決して安穏としていられる状況ではないにの何故か牧歌的な雰囲気も感じてしまう しかし、物語が進むにつれて謎の深刻度が増していき 戦争があらゆる人の心を蝕むものだと思い知らされる パラシュートの謎の他、大量の糧食が消えた謎、自殺した夫婦の手が組まれていた謎、戦場で聞こえる刺すような音の謎、そしてとある人物の来歴の謎 序盤はあれほど呑気だったティムも、終盤には敵国に対する見方が変わってくる 人の死だけではない、戦争が起こす悲惨さ そりゃぁ荒みもするわなぁ 元々はアメリカの雑貨店の息子で、気の優しいむしろ気の弱い方だったであろうにね あらすじを読んで、日常の謎と安易に考えてしまっていた自分が情けなく思う 確かに謎解きの部分は面白いのだけれども、その背景には戦場の悲惨さや理不尽などだし そして謎が解決されたとしても爽快感を得られるものではない 最後の謎に関しては、すべてではないにしろ違和感を持っていたので何となく予感はしていた そして、その解決のために、これまでに築き上げた友たちやその功績によって成し遂げられる様は、戦場でも捨てたものではない人間の営みが感じられる エピローグでは戦場からの帰還が描かれているけれども そこには生き延びた喜びではなく、生き延びてしまったという若干の罪悪感や、元々暮らしていた土地と変わってしまった自分との乖離 家族との再会を喜びながらも、心の底からのものではないものがある そして、さらに後年のエピソード 亡くなった人はもう帰ってこないけれども、救いがあるとすれば、生き残った人たちはまた出会う事ができるという事でしょうねぇ 途中で悲惨な描写や展開がある戦勝小説だけれども 読後感はそんなに悪いものではない まぁ、何のしこりもないとは言わないけど、悪くはない結末だと思う
5投稿日: 2024.09.26
powered by ブクログ戦争は日常の隣にある。 17歳のアメリカの青年が、まるでイベントにでも参加するかのように志願し、戦争へ赴く。 昨日まで、横にいた仲間が死んでいく。 昨日まで、ただ普通に生活していただけの人が死んでいく。 現実の戦争が、かの国で起きている。 戦争が無くならないことを知ってしまった今、読み続けるのは辛かった。 今この瞬間にも、ティムたちのような思いをしている人々がいるのだと思うと、胸が苦しい。
0投稿日: 2024.09.25
powered by ブクログ子供のころからレシピ帖を眺めるのが大好きで、自宅の雑貨屋の店先で売るお惣菜が大人気の祖母の手料理で育ったティモシー。だけど、世界恐慌になると、食材は貧しくなり、父親は店を畳まざるを得なくなった。 第二次世界大戦にアメリカが参戦し、募兵ポスターが貼られるとティモシーは多くの若者と同様「給与」ともし自分が戦死した場合の「家族への見舞金」に惹かれて志願した。 しかし、訓練期間に早くも自分が軍人に向いていないことを悟ったティモシーは「コック兵増員」の貼紙を見て、志願した。コック兵、衛生兵、主計兵、通信兵など後方支援担当の「特技兵」は一般の兵から疎んじられ、軽んじられたが、彼らは気の合う仲間となった。 コックと言っても戦闘になれば銃を取り、普通の兵と一緒に前線で戦わねばならなかった。長い訓練を終えて、待ち侘びた戦場に赴いた。 最初の赴任地はフランスのノルマンディー地方。パラシュートにより、なんとか無事にエド達は上陸した(ノルマンディー降下作戦)が、敵襲に合って上陸に失敗した仲間は何千人もいた。そして、上陸したそのフランスの村もナチスにより凄惨な姿になっていた。それでも、連合軍の居留地として屋敷を貸してくれたフランス人がいて、そこにキッチンや野戦病院を設営していたが、敵襲に会い、収容されていた負傷者もティモシーの仲間も地元の住民も沢山死んだ。 オランダの国道とライン川を渡る橋を確保し、ドイツ入りするという「マーケット作戦」でも上層部の目論見は外れて苦戦を強いられた。そして陣地として家を貸してくれた家族の周辺にも密告されてナチスに捕まったユダヤ人や反ナチ宣言をして殺されたオランダ人がいたこと、更には「密告者」に対して住民たちは見せしめのように丸坊主にして罰を与えたという悲しい状況を知ることになった。 ベルギーのバストーニュでは雪の中何日と補給が途絶え、飢えと寒さの中での攻防だった。敵陣を全滅させる戦闘に加わった仲間は精神を病んでしまった。 ティモシーは分からなくなった。何のために命を賭し、心をすり減らして戦っているのか。「ドイツ兵を倒し、世界の平和を取り戻すため」という模範解答は心の中に用意できていたが、仲間や現地の市民が次々と虚しく命を落とす中で戦い続けているのは「一度呑まれた流れが速すぎて逆らえない」というだけだった。 敵も味方も区別がつきにくい真っ白な雪景色の中、そして生者が限りなく死者に近寄っていく極限状態の中、ティモシーは「早く家に帰って祖母の美味しいご飯が食べたい」と思った。仲間にも待っている家族がいるだろうと思い、話を聞いてみると、アル中の父親が亡くなってから家族はいない者や私生児として生まれて以来「家族」として認めてもらってない者など、そもそも帰るところさえない戦友がいてショックを受けた。人種(黒人、プエルトリコ人、ユダヤ人など)によっても背景も軍隊の中での扱いも違っていたのが現実だった。そういう、平時なら友達になれていたかどうかも分からない仲間と「家族」のような絆で結ばれていた。それはかけがえのないことだったが、戦争という状況はその友情で結ばれた「家族」をも引き裂いていった。 他のブク友さんも書かれていたが、私も初めは「南極料理人」のような料理中心の小説だと思っていたが、「料理」といえるものを作れるような状況ではない中で、何とか自分の団の仲間たちの胃袋を少しでも満たす策を考えながら敵と戦い、仲間を助けて生き延びる過酷な小説だった。そんな中で、ちょっとしたミステリーが起こり…例えば、使った後のパラシュートを大量に回収している仲間がいたり、粉末卵が大量に無くなったり、幽霊騒ぎが起こったり…それをコック仲間のリーダーのエドを中心に解決していく。そこからその頃の社会情勢や人種差別や戦争が人間に与えた影響など深い問題が見えてきた。 第二次世界大戦のことは日本が関わった太平洋戦争のことも殆ど知らない。ヨーロッパ側のことはホロコーストのことを少し知っているくらいだったが、フランスでもオランダでもベルギーでもドイツでも多数の住民を巻き込んだ悲惨な戦争であったと今さら知った。そしてドイツ側、連合国側それぞれの兵士が「軍人」になったのも必ずしも愛国心からばかりではない複雑な事情があったということも知った。 ジャーナリストかと思うくらい当時の戦争や社会状況のことを調べて、本当にその当時のティモシーの目でその時体験していた戦争を実況中継しているような(過去形ではあったが)臨場感のある小説だった。時代も国も自分とは異なる設定をここまで書き尽くせる筆力に感服! チラッと出てきた「ドクター・ブロッコリー」の話。「この戦争は食糧をめぐる戦いだ。ドイツ第三帝国を広めるための生存圏拡大。肥沃な国土を持つウクライナへ侵攻し、略奪したのは食糧事情によるものだという」に全ての悲劇の元が語られている。元は「飢え」を防ぐための生存圏拡大に人種だとか正義だとかの大義名分がくっつき、何のための争いか分からない悲劇が拡大した。戦争をせずに、食べて生きていく努力が本当はとても大切なのだと思った。
107投稿日: 2024.09.22
powered by ブクログ南極料理人みたいな感じで戦場で供給される物資をなんとか算段つけてお料理するユーモア系の小説かと思ったら全然違った。 戦場にふとあらわれる小さな謎を解きながら、軽快なおしゃべりとユーモアも交えながら、深まりゆく戦況につれこのお話のテーマがゆっくりと姿を表す。 戦争というものについて。 失われた者は2度と戻らないということ。 人生について。 失われた信頼は2度と元通りにはならないということ。 読み始めてみて、どうみても翻訳小説なんだけど、あれ?作者の名前日本人じゃなかった?翻訳者の名前だっけ?と表紙を二度見しました。 ちょっとこの重厚さと背景描写の丁寧さは日本人の書いた小説とは信じられない。
7投稿日: 2024.09.17
powered by ブクログ戦場のコックたち **著者**: 深緑野分 1944年6月、ノルマンディー降下作戦**から始まるこの物語は、特技兵(コック)として戦場に立つ新兵ティムと同年代の兵士たちの過酷なヨーロッパ戦線での経験を描いています。冷静沈着なリーダーのエドとともに、彼らは戦場や基地で奇妙な事件に遭遇し、時には謎解きに興じます。 ティムたちは戦場で、忽然と消えた600箱の粉末卵の謎、オランダの民家で起きた夫婦怪死事件、塹壕戦の最中に聞こえる謎の怪音など、様々な不可解な出来事に直面します。死と隣り合わせの状況で、若き兵士たちは戦場の「日常の謎」を解き明かすことで気晴らしを見つけます。 戦場という過酷な背景の中で、登場人物たちの人間らしさや仲間思いの姿が描かれ、心温まるシーンが多く含まれています。その一方で、戦争の悲惨さをリアルに描写し、読者に歴史の重みを伝えます。深緑野分氏の初の長編ミステリとして、戦争とミステリの融合が見事に表現された作品です。 ※出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 第二次世界大戦(だいにじせかいたいせん、英: World War II、略称:WWII)は、1939年(昭和14年)9月1日から1945年(昭和20年)9月2日[35]まで約6年にわたって続いたドイツ・イタリア・日本などの日独伊三国同盟を中心とする枢軸国陣営と、イギリス・フランス・中華民国・アメリカ・ソビエト連邦などを中心とする連合国陣営との間で戦われた戦争である。また、中立国も存在した。最終的には連合国陣営の勝利に終わったが、第一次世界大戦以来の世界大戦となり、人類史上最大の死傷者を生んだ。
12投稿日: 2024.07.26
powered by ブクログ第二次世界大戦の様子を特殊兵(コック)が連合国軍側(アメリカ兵)の立場から&ミステリという視点が目新しく、登場人物のキャラクターも立っている上に話としても読み応えがあった。ノルマンディー作戦などもかなり史実に即してて読了感は爽やかにサラッと書かれてても実際に前線はまともな精神ではいられない状況だったんだろうと想像できる。アメリカのこの豊富な物量で来られたらドイツも日本も負けるよな、と複雑な気分にならなくもなかった。
1投稿日: 2024.07.03
powered by ブクログタイトルとカバーからは想像できないレベルでゲキ重な小説だった。 グロテスクな描写が苦手な方はにはお勧めできません。
1投稿日: 2024.06.02
powered by ブクログ表紙はポップで可愛らしい感じだけど、その名の通り戦争のお話。ただの料理本だと思ったら痛い目をみる。料理本にしては出てくる料理がどれもこれも不味そう。過激な表現も沢山あるのでそういうのが苦手な方にはおすすめしない。 第二次世界大戦の様子がアメリカ兵の視点で描かれている。これを日本人の作家が考えてるっていうのに驚き。 兵隊の戦争に対する向き合い方や思いは、みんなやりたくないとか、行きたくないとか、そういうものだと思っていたけど、これを読んでから覆った。実際に戦場にいた人にしか分からない意外な考え方を知れる。
2投稿日: 2024.05.25
powered by ブクログ前情報なしで読みました。 コックとタイトルにもあったように、料理系の小説かと思いましたが、戦争とその中の友情がメインでした 戦争。ナチスとの戦いを書いていて、仲間が死んでいく辛さも生と死が隣り合わせの状況で最後らへんは涙が止まりませんでした。 ただ、推理小説なのか、戦争小説なのか、料理小説なのか。曖昧な感じでした。
1投稿日: 2024.05.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
臨場感あふれる描写、詳細な書き込み、魅力的なキャラクター、ミステリとしての面白さ。 これらを兼ね備えつつも、決して単なるエンタメ小説ではないと感じました。 本作はノルマンディー上陸作戦に始まり、第二次世界大戦のヨーロッパを進軍するアメリカ陸軍のコック兵、ティムの視点で進みます。 次第に語られる登場人物たちのバックグラウンド、主人公たちの過酷な体験、戦場で目にする凄惨な光景。 読み進めていくとやがて、戦争はなぜ絶えないのか、人間はなぜ憎悪し合うのかという命題に突き当たります。 非常に重厚な一冊でした。
1投稿日: 2024.04.27
powered by ブクログずっと読みたいと思っていて、やっと読めた一冊。500ページ越えの大作で、読了までにずいぶん時間がかかってしまった。 主人公は、第二次世界大戦下の合衆国陸軍で特技兵(コック)として従軍する19歳のティム。初陣を果たすノルマンディー降下作戦は手に汗握る緊迫感で描かれるが、その後はパラシュート集めの真相を追ったり、粉末卵の紛失事件を解き明かしたりと、わりにささやかな日常の謎が描かれる。お料理小説的要素も期待していたのだけれど、皆が食べるのはおもに糧食(レーション)である。 同じくくコックで頼れるエドやディエゴ、衛生兵のスパーク、補給兵のオハラほか、同じ釜の飯(もちろん満足にとは言えないが)を食べるたくさんの仲間たちとの厳しい環境ながらも築いてきた友情は、戦地という極限の地において唯一の明るさに感じられる。気の置けない相手との和気藹々とした会話ややり取りは、どれほど心休まるものであっただろう。 であるのだが、ナチス・ドイツ軍の猛攻激しく、戦況が苛烈さを増していくに伴い、ストーリーはどんどん悲壮感を増していく。 オランダ人夫妻の自殺、対独協力者だった娘の死、戦線を逃れようとする兵士たちが立てる痛ましい音、そして、共に戦ってきた同朋の正体——。 仲間が、日常が、それまでの自分が、どんどん失われていく。 後半はページをめくる手が止まらず、駆け抜けるように読み終えた。読み終えて振り返ったとき、プロローグとエピローグがこんなにも素晴らしいと思える小説には滅多に出会えないのではないか。 戦争によって奪われたたくさんの命、たくさんの未来。 私たちはそうした歴史から続いてきた世界で生まれ、明日食べるものや眠る場所に困らず、今もこうして安心して生きていられる。 その日常がいかに尊く、今後も大切にしなければいけないことであるか。ティムたちの友情に想いを馳せ、厳かな気持ちでそう思う。
5投稿日: 2024.03.10
powered by ブクログ一つ前に読んだ物よりもこちらの方が良く思えた。映画のように映像が立ち上がってくるようだった。重く苦しい感情が揺さぶられたし、気分良く終わる話ではないけど、物語として完成されていると思う。
1投稿日: 2024.02.25
powered by ブクログ深緑野分『戦場のコックたち』読了。第二次世界大戦下の米軍コック兵が主人公とあって、戦場における〈日常の謎〉ものかと思いきや、主人公同様に読者もまた戦争の美化されない本質に嫌が応にも向き合わさせる。
8投稿日: 2024.02.24
powered by ブクログ戦争物でもあまり取り上げられることのない特技兵(コック)を中心とした日常系ミステリー。しかしながら戦場は日常からかけ離れた世界であり、、、前作「オーブランの少女」で見せた、そういった非日常の世界を目の前に現出させる筆力が十分に生かされている。過酷な戦場での重い話を、どうでも良い(失礼)謎解きが推進力となってグイグイと読み進めていく。面白い組み合わせだ。 戦時下の裏切り、報復、処刑、慰安婦、強姦と言った暗部はドライに書きあらわされるのだが、人種差別については丁寧に語られており、作者のこだわりが感じられた。
9投稿日: 2023.12.18
powered by ブクログ何故かノンフィクションと思い違いして購入した本作。普段小説はあまり読まないのでどうかなと思ったけど、案外ハマり、比較的分厚い本だがあっという間に読み終えた。 タイトルと表紙のイラストから、戦場メシ的なのほほんな話を想像していたが全く違った。しっかり戦争小説。ノルマンディー上陸作戦からベルリン崩落までのヨーロッパ戦線を、コック兵の視点から描く。 序盤は謎解き部分含め比較的穏やかな感じだが、物語が進むにつれ、謎解きの内容も次第に重くなっていく。ショッキングな出来事が起こると、もちろん重々しい感じになるが、それと同時に淡々と進む印象もあり、もしかすると戦場の兵士たちはこんな感じなのかなと想像させられた。凄惨な出来事に傷を負いつつも、消化する暇もなく進まざるを得ず、次第に心が病んでいくような描写が非常に上手いと感じた。 それから、ドイツ兵について。ナチスの行った蛮行については擁護する余地はないが、ドイツ兵の中にも戦いたくなかった人、死にたくなかった人は絶対にいたであろうし、その点では敵味方など関係なく、結局みんな人間なんだと改めて思わせられた。その内容も上手く盛り込んであると思う。 この物語は完全なハッピーエンドとは言えないと思うが、救われる部分もあったので、読後感は悪くなく、なんだか不思議な感じがした。切なさもある。
1投稿日: 2023.05.09
powered by ブクログ戦争の凄惨さだけでなく、兵士として従軍した人の精神の変化も感じられて辛くなった。 でも、今読むことに意味のある本だと思ったし、読んでよかった。 とりあえず今はクラムチャウダーが食べたい。 解説に感じたことがまとまっていた。
3投稿日: 2023.05.04
powered by ブクログ第二次世界大戦時、アメリカで生まれ育ったテイムは雑貨店を営む家族、祖母の絶品料理に囲まれて育つ。戦争が身近に迫って来、従軍を決める。軍でコックとなり悲惨な戦争の中で様々な事件に出会う。 あまり知らない米軍側から見た第二次世界大戦中の話。戦争の悲惨さは伝わったが話が長く読み飛ばしてしまった。
0投稿日: 2023.04.27
powered by ブクログ第二次世界大戦、アメリカ兵として志願するティムは、味音痴のエドと知り合い技術兵(コック)に所属することになる。戦線に出て兵士として活動しながら、仲間の腹を満たすコックとしても活動する。見下されながらも、祖母のレシピをお守りにして仲間と過ごしていた。 ノルマンディー作戦や、名前は忘れたけど失敗に終わった壮絶な作戦を実行していたメンツだということにトリハダが立つ。その中で少しホッとするようなミステリーを解決することがティムの心の拠り所だった(実際に答えを出してるのはエドだが)。 おかしなことに、戦争が結びつけてくれた仲間の絆を感じられた。明日(ていうか今この瞬間)命を落とすかもしれないのに、一緒に過ごしている。極限の中のつながりは早々切れないし、あたたかく残るものもあれば苦々しく引っ掻き傷のようになるものもある。 ティムの祖母は本当に大事なことを孫に教えて育ててきた。エドもまた本当に大事なことを知って仲間と接してきた。言葉として出てしまったものは取り返しがつかない。言葉を、相手を考えながら私も生きていきたいな、としんみり最後は思ってしまった。
3投稿日: 2023.04.04
powered by ブクログ身内に勧められて読みましたが、本のタイトルから想像するお話とは少し違いました。本書にも描かれているように人間の憎悪は連鎖し止まることはなく、同じことを何度も繰り返すのが人間の性であるのだと思います。
0投稿日: 2023.03.07
powered by ブクログ戦争とコック。あまり見慣れない言葉の組み合わせに惹かれて購入しました。コックといえども現場は戦場。激しい戦争の光景に、胸が痛む場面も多いですが、戦争を他とは異なる視点から知れる一冊だと思います。
2投稿日: 2022.11.13
powered by ブクログ3年くらい前に買ったままだったもの。1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦に端を発する、戦場のコックの目から見る戦争の話。
0投稿日: 2022.10.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
第二次世界大戦の戦場における、 ノルマンディー降下作戦で使われたパラシュートの白い絹の生地をひっそり集めていた兵士がいたのはなぜか? 忽然と消えた600箱の粉末卵はどこへ? オランダの民家で起きた夫婦の奇妙な自殺はなぜ起こったのか? 塹壕戦の最中に聞こえる気味の悪い怪音の正体とは? といった日常の謎。 個々の事件は独立しているが戦況は進行しているというダイナミックな構成。 キャラクターたちが好きになる。 皆川博子を連想したが、たぶんホームズとワトソンあたりが源流なのだろう。 語り手のティム(キッド)がいい子で、彼がやさぐれていくのが辛いくらい。 いい小説。 ■プロローグ ■第一章 ノルマンディー降下作戦 ■第二章 軍隊は胃袋で行進する ■第三章 ミソサザイと鷲 ■第四章 幽霊たち ■第五章 戦いの終わり ■エピローグ ◇主要参考文献ほか ◇解説=杉江松恋
7投稿日: 2022.09.07
powered by ブクログロシアによるウクライナ侵攻が勃発してしばらく経った時、書店で今読んで欲しい本として並べられていた本作。 物語はノルマンディー降下作戦で初陣を果たす合衆国陸軍のコック、19歳のティムと彼の仲間たちが戦地で起こる不可解な出来事を謎解いていくミステリー。表紙の絵とあらすじから、もっとポップなものかと思いきや、ずっしりしっかり重い戦争の物語でした。 前半は比較的ライトで、ティムを始めとするコックたちの日常や戦地での謎解きが楽しいと感じました。ただ後半に進み、戦況が悪化していくにつれ、ティム自身もどっぷり戦争に浸かっていってしまい、こちらも本当にキツかった。ある種ティムたちの成長と青春群像劇のようでもあるが、これは到底青春なんて呼べるものではない。 著者はこの本を書くにあたって相当よく調べられたんだろうな、と感じるし、圧倒的な筆力で迫るものがありました。 この現実の世界で、たったいま戦争をしている地域があり、この物語で描かれているようなことが起きているのかと思うと、本当に胸が苦しいです。戦争なんて誰が得をするのか、一部の権利者のために犠牲になるのはいつだって何の罪もない市民です。そして彼らにも彼らのこれからの人生があった。死んでしまったらその人生は続かないし、生きていたとしても戦争が起こる前の自分には戻れない。戦争は人を変えてしまう。 一刻でも早く平穏な世の中になることを祈ってやみません。
2投稿日: 2022.09.06
powered by ブクログ圧倒的な筆力で第二次世界大戦ノルマンディ上陸作戦以降の闘いを、特技兵(コック)の視点から描く。ミステリー出身の作家らしく、ところどころに謎解きの要素を組み込まないと文章が書けなかったのか、たびたび入る陳腐な謎解きが興覚めで、例えば謎解きは 1章(or 2章)と5章だけにして、あとはもうちょっとサラリと流した方が良かったのではなかろうか。全体的には過酷な戦場、個性豊かな仲間達との友情や別れ、5章で明らかになる大仕掛けと、これが長編2作目の新人とは思えない傑作。
0投稿日: 2022.08.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
第二次世界大戦中のヨーロッパ、合衆国陸軍の特技兵(コック)のティモシー(ティム)は、ノルマンディー降下作戦で初陣を果たし、戦闘と炊事をこなしながら、仲間とともに戦地でのささやかな謎を解き明かし、心の慰めとする……。 ストーリー紹介だけ見ると、様々なミステリ賞にランクインしていたこともあり、戦地という非日常の中での日常の謎を描くミステリなのかと感じますが、実際読み始めてみると戦争小説の側面が非常に強いです。 序盤は戦況や物資などにもまだ余裕がありますが、章が進むごとに戦況は悪化し、さっきまで共に軽口をたたきあい、共に戦っていた仲間がどんどんと怪我を負い、心を病み、あるいは戦死して失われていく。 主要人物たちはフィクションなのですが、参考文献の多さからも分かる通り、しっかりとした下調べに裏打ちされたディティールの細かさは、まるで実際に戦場に出ていた方から話を聞いているようなリアリティがあり、とにかく情緒をぐちゃぐちゃにされます。物語に感情移入してしまう方なので、胸が潰されそうに辛かった。 けれど、昨今のこの情勢だからこそ、読んでよかったとも思えます。 人は忘れてしまう生き物ですが、二度とこの惨劇を繰り返さないように。 登場人物も多いですがそれぞれ個性があるので、混乱などは少なかったように思います。また、日本の小説ですが言葉選びなどには翻訳小説のような趣があり、比較的厚めの本にも関わらずぐいぐい読ませてしまう筆力にも感嘆です。
15投稿日: 2022.07.13
powered by ブクログ初めはこういった小説をあまり読むことがなく読み進められなかったのですが、中盤以降は登場人物同士の関係性と謎解き要素が面白くなり一気に読み終えました。
2投稿日: 2022.06.04
powered by ブクログ青臭い青年は料理が得意で、戦場で現実を突きつけられてタフな大人に。。。的な感じではあります。 第二次世界大戦のアメリカ軍の話しを日本人が書いているというところに最初は違和感を持ちましたが、するっと物語に没入できた。 戦争のシーン以外に部隊で起こるちょっとした事件の謎解きの展開があるので、そこが本書の特徴でしょう。 後半の後半は、仲間が協力し合う場面が面白かった。 全体的にゆるく読めます。 この本を読みながら、映像が呼び起されてきて、プライベート・ライアンとか、バンド・オブ・ブラザーズというドラマを思い出した。 巻末の参考資料に「バンド・オブ・ブラザーズ」ってあって、納得。 私のなかでは、この本は「バンド・オブ・ブラザーズ」の補足資料的な位置づけです。 というわけで今「バンド・オブ・ブラザーズ」の小説版を読み始めた。
0投稿日: 2022.05.29
powered by ブクログ購入済み 2023.01.30.第二章まで読了したが、この先はもういいかな。 『ベルリンは晴れているか』がとても良かったのでこの作品を購入。 短編でもなく、連作でもない。 謎となるエピソードにも謎解きにもあまり興味をそそられなかった。 第二章までで10日くらいかかってしまった。 もういいかな。途中退場。
0投稿日: 2022.05.22
powered by ブクログコックたちという書名で緩い物語だと先入観を持ってしまいますが、様々な戦争の影にあたる部分がしっかり描かれています。 いい意味でミステリー小説とはあまり感じませんでした。
2投稿日: 2022.05.08
powered by ブクログ第一印象、戦場という非日常の中で日常ミステリーというミスマッチを楽しむ作品。 読み終えて、日常が非日常に侵食されていく、その動きを描いているんかーと印象が変わりました。 ミステリーとしては普通です。
0投稿日: 2022.04.18
powered by ブクログ読み応えのある本 結構なボリュームであった ただ もっと先を読みたくなるほど面白い訳ではない おおよそ想像通りの展開とラスト
0投稿日: 2022.04.10
powered by ブクログ第二次世界大戦のヨーロッパ戦線に参加したアメリカ料理兵の物語です。 タイトルと表紙の雰囲気的に、「南極料理人」の様なゆるい感じを想像してましたが、ガッツリ戦争の話しでした。 戦場なめてました。そうですよね、日常も死と隣り合わせですよね…。 第3章から次々に仲間も失い、身体的にも精神的にも疲労困憊していく描写は見ていて心が苦しかったです。 ミステリー描写がただただ救い。
0投稿日: 2022.01.23
powered by ブクログ読み終わってため息をついた。その小説は何を伝えたかったのだろう。数々のミステリー評価で上位となったが、どこにもミステリーなどない。あるのは軽いタッチで描かれる戦争に参加した若者たちの辛くて苦しい戦い、悲惨な戦場での生死を分ける偶然や必然など。4章まで退屈なストーリーが続いて途中でやめようかと思ったが、戦争の終わりが見えて生き残る次の時代にいきのこってしまってどうしたらいいのかというあたりからようやくこの小説のメッセージが見えてくる。ストーリー的に面白いところは多くないし、キャラクターに没入する訳でもなく、なんかモヤモヤした感じなのは、やはりこの小説は何を伝えたかったのだろうという思いだ。
1投稿日: 2022.01.15
powered by ブクログ読み終わり、その後またもう一度読んでしまった。 読み始めると、作品の世界に拉し去られる。 19歳で第二次世界大戦の欧州戦線に投入された米軍兵士を主人公とする物語。 彼の名はティモシー・コール。 南部の出身で、雑貨店を営む両親、料理人だった祖母、姉と妹に囲まれた、裕福ではないが幸せな家庭で育つ。 その彼が、戦時熱にうかされて、志願兵となる。 軍に入り、ほどなく軍人としての資質に疑問を感じ、従軍して料理を担いつつ戦闘もする、特技兵となる。 とはいえ、パラシュートでノルマンディに上陸したとき、いきなり兵士の死骸を踏みつけてしまう修羅場に放り込まれるのだ。 彼に陽気なプエルトリコ系のディエゴ、冷静沈着なユダヤ系のエドら、謎めいた大男のダンヒル(なんという名前だ!)仲間ができていくのが救いだ。 転戦していく中で、仲間のある者は死に、ある者は心を病む。 ティモシー自身も、何度もけがを負う。 軍隊の生活や、戦闘のありさまがリアルに描かれているだけではない。 進軍したフランスやオランダの村の荒廃ぶりも、すさまじい。 レジスタンスを匿う者、かつてドイツ兵士と関係を持った女たち、同じ村の人も引き裂かれ、傷つけあう。 こういった戦乱の中の社会も、きちんと描かれている。 以前読んだ『ベルリンは晴れているか』でも感じたが、この作家の取材力に圧倒される。 正直、ここまで「その後」を物語の中に回収しきらなくてもいいのではないか、と思わなくもない。 最後の最後でいろいろ起こりすぎるとか、そんなことも気にならないわけではないが、すごい小説だということは変わりはない。 私の中でちょっとわだかまるのは、例えばこれがアジア戦線に投入されたアメリカ軍の兵士が主人公だったら、と思ってしまうことだろうか。
1投稿日: 2021.12.30
powered by ブクログ「戦史」を勉強すればするほど、人間の残虐性・国際法を遵守しない現実・力なき者から淘汰される不条理が身に染みます。 戦場におけるミステリを解決するという、正直、万人受けするとは思えない題材ですが、心にずっしりと刻まれる作品でした。解説で杉江さんが指摘するように、深緑さんの戦場の描写が丁寧で、血と火薬の臭いを嗅ぎ取れる気がします。 本書を読むことに力を使い果たしたので、小説の一文を抜粋して、感想と代えさせて頂きます。 「もし俺を心配してくれるなら、外の世界でがんばってくれ。もうこんなことが起こらないように。俺たちが戦場へ行かなくて済むように。」 〇【さいごに】 軍事用語が多く、馴染みがあまりない人は?かもしれません。そして、美味しそうな料理はあまり登場しません。ただ、生きるための食事が描かれています。 前情報もなく、軽い気持ちで読み、”重さ”で挫折しかけましたが、読んで良かったと思える作品でした。スラスラ読める小説も素敵ですが、重厚な小説も素晴らしいと思える作品でした。 白でも黒でもない灰色の世界を、懸命に生き抜こう。
3投稿日: 2021.12.17
powered by ブクログ3.9。好評価なのは聞いていたが、思っていた以上に面白かったし良くできてるししっかり書かれてた。素直に良い作家、良い作品と感じるものを知る事ができて嬉しい。
0投稿日: 2021.10.11
powered by ブクログタイトルからして、もう少しライトな小説を想像していたので、思いの外、戦場のハードな内容に、気軽に読めるものではありませんでした。料理の場面や謎解きは束の間の休息時間になるけど、やはり戦争の悲惨さを伝える箇所も多く、、普通に暮らしていた青年が、こんなにも安易に入隊を希望して、ちょっとした訓練で戦場へ放り込まれ、戦争に加担していく過程が妙にリアルで、特別な事ではないという怖さがありました。 エピローグも、、戦争体験をした者は、その後の人生もずっと背負うものがあるんだと、改めて考えさせられる話でした。
1投稿日: 2021.10.09
powered by ブクログいろんなことを考えさせられる話 戦争での非日常 もしあの時こうしてたら、という生死を分ける瞬間。さっきまでいた仲間が死体になっていたり、人種が違うというだけで敵であったり味方であったり。凄まじい死への恐怖と合間合間に起こる戦場での謎解きのほっこりする時間 主人公のコックティムと眼鏡で頭の回転が速いエドワード、頭は悪いが場を和ませてくれるディエゴ、衛生兵で口の悪いスパーク、イケメンで腕利きの射手ライナス、通信手のワインバーガー、おしゃべりのオハラ、フランケンシュタインみたいなダンヒル 2020/06/05 13:59
0投稿日: 2021.09.20
powered by ブクログがっつり戦争小説でした。戦線にいる仲間や一般市民、敵が惨く死んでいく描写がすごい。戦争が8で謎解きは2ぐらい?分かっていたら読まなかった。このミス2位なのが解せない。
0投稿日: 2021.08.16
powered by ブクログ戦争という有事の最中に起こった謎を特技兵のコックたちが解き明かす。 その状況下でしか起こり得ない事件が面白い。 後半の別れと共闘が良かった。 戦場に身を置くことが当然にならないように、この先も戦争が日常にならないように願いたい。 作者が連作短編集と間違われることに困惑していたが、各章ごとの謎がその章で解決されるから短篇ぽいのでは?と思う。 長編だと1章の謎は5章で解けるイメージがある。
0投稿日: 2021.07.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦場のコックたち 第二次大戦、ノルマンディー上陸作戦からはじまる。主人公の語り手はパラシュート歩兵連隊、G中隊隊員で管理部付きコック、後方で料理もするが、戦場にも出る兵隊さんだ。プロローグで主人公の、平和な家庭で生まれ、兵隊に志願し、訓練、コックとなった経緯が人の好さそうな調子で語られる。語り手はノルマンディー上陸作戦から参戦し、戦闘、死に直面する、をくり返し、無謀な作戦で地味に精神を削られていく。カンナで薄く剥ぎ取っていくような。戦友の死がとどめとなり語り手の精神はついに凍りつく。戦場の暴力を、戦争を肯定しはじめる。 何が堪えるかというと、前半で戦友エドとの謎解きの話が紛れこでんいるからだ。パラシュートの使い道、糞まずい粉末卵紛失事件、奇妙な事件の底に人間くさい動機が横たわっている。軍隊とはいえ人間の集まりであることを痛感させられるのだ。連合軍はドイツの軍事力に勝っていたわけではない。ただ人間を人肉粉砕器に放り込んで、耐えていただけだ。圧倒的な物資量には、人間、も含まれるというわけだ。後半、ジリ貧になる戦闘で壊れていく心を、幽霊という言葉が無慈悲に表していると思う。 主人公ティムの人間性は壊れたのではなく、麻痺した段階だろうか。戦友の疑惑に対する怒りがティムの麻痺した心を揺さぶる。収容所に送られた戦友を助けるためにティムが取った行動は心を持つ人間のささやかなしっぺ返しだが、とても良かった。最後の、ユダヤ人収容所を目の当たりにした絶望的な光景がまた凄い。まだ底があるのか、というか。暴力が隠された世界に再び戻れるのか、ティムが故郷に帰り着いたとき、思い出したのは「蝿の王」のラストだ。迎えに来た船を見て泣き出す子ども達。 ティムは子どもではない。絶望も失望も踏み越え、大人になったのだ。エピローグは大人になり老人となったティムと仲間たちの話だ。プロローグとは対になってるんだろう。最後まできっちり面白かった。ありがとうございます。
2投稿日: 2021.07.16
powered by ブクログ正直タイトルに惹かれただけで読みはじめた作品だけど、プロローグからグイグイ惹きつけらました。文庫で500ページ超の割としっかりした量にも関わらず、すいすい読めました。過不足ない情報量と、文字を追うだけで自然に展開が頭に入ってくる表現力を感じます。 第二次大戦中の若き連合軍コック兵を主人公に、戦火のなかで巻き起こる事件を章ごとに解決していくという、戦争ものというよりは戦場を舞台にしたエンタメミステリが主軸だと最初は感じていました。 でも戦争のディテールに手抜きは一切感じないし、圧倒的な文章量で戦闘を含む兵士たちの日常が細かく描かれてるから、戦場の生々しさが伝わってくる。 衛生兵が手当ての際、兵士の体に巻かれた包帯の上に「コイツにはもうモルヒネを打ってある」という印のために血でMと書く、なんてディテールが沢山積み重なって、強固なリアリティをもって刺さってくる。史実がそうであるように、救いのない場面も後半には多く出てきます。 事件の謎解きミステリを楽しむ陽の部分と、兵士、民間人、国々を疲弊させていく戦争が描かれる陰を併せ持つ作品だと思います。満足です!
1投稿日: 2021.07.07
powered by ブクログ5段階評価で言ったら10くらい。 キッドは戦いを経て大人になったのか。 短編連作、謎解き、バディもの、戦争物、ご飯小説…どの角度からも充実の一冊。 他作でもそうだが、著者の若さと、日本人であることにあらためて驚く。
0投稿日: 2021.06.01
powered by ブクログ戦闘をしながら調理も行うコック兵である主人公はノルマンディー上陸作戦から戦地に赴く。 そんな中、調理用の食料が大量に消えるという事件が起こり、コック仲間と共にその謎を解明していく。主人公が解明すると言うより、コック仲間で親友が解明する。 その後、前線でもいくつか事件が起こるたび的確に状況を判断してその原因を明らかにしていくのだった。 ミステリーでもあり戦争小説でもあり友情物語でもある。 戦争の描写はかなりリアルで日本人には知らされていない連合国軍の実情を伝えている。仲間が死、怪我をし、精神的に病む。戦後もそれを引きずる人もいる。戦争の勝者敗者に関係なく、誰に対してもキズを与える。 そんな過酷な状況の中でも個性豊かな仲間たちとの交流を深めかけがえのない存在となっていく。 タイトルからほっこり系かと思っていたが、想像以上に戦場だった。
1投稿日: 2021.05.14
powered by ブクログWWⅡのアメリカ軍空挺部隊に所属するコック兵達の戦場での生活を描いている。 主人公は19歳のティム。 食べることが大好きで料理上手な祖母のレシピ本を眺めるのが何よりの癒しだった少年が、時代の流れのままに兵士として戦争に参加することになった時に選んだ兵科は周囲からは蔑まれる調理部隊だった。 調理部隊とはいえ、戦闘が起きれば戦闘に参加するし、空挺部隊として落下傘降下もする。 本書はそんな彼が所属するコック部隊のメンバーが戦場を転戦しながら出会う首をかしげる出来事と謎解きをしながら進んでいく様子を描く。 戦闘はノールマンディー上陸作戦からフランス解放、オランダ進軍、バルジの戦い、そしてドイツ侵攻とまさに「バンドオブブラザース」と同じ戦場を辿っている。 (著者も大いに参考にしたみたい) 謎解きも面白いが、何よりも戦争が進むにつれて変化していく主人公と周囲の人々の心の変化が生々しくて、どんどん引き込まれていく。 ミステリーは2割くらいの印象。 また取材力が卓越しているのか、戦闘描写、調理シーン、その他細々とした兵站や戦略・戦術の描写まで実に細かく描かれていて、まざまざとシーンが脳裏に現れる。 正直、この本を日本人の女性が創作したものとは思えない。何も知らずに読んだら戦争を経験した元米兵かアメリカ人が入念な取材の元、書いたものを翻訳したんじゃないかと思った。(もちろん、バンドオブブラザースという下地はあるんでしょうが) 作者の想像力と創作の力に驚かされた本でした。 読む手が止まらない本でした。
1投稿日: 2021.04.19
powered by ブクログアメリカ陸軍のコックになった青年が第二次世界大戦でのヨーロッパでの戦いに参加していくなかでの悲惨な現実そのなかでの友情の物語。 ちょっとした日常の謎が気になってあっという間に読了。 歴史のなかでの第二次世界大戦の位置付けは分かっていても、犠牲となった数字の1人1人にそれぞれの生活があったことはどこか数字の大きさから分かっていなかったのだと思った。 主人公のティムの戸惑いの心情が読んでいる側のなんで戦争で殺しあうのか…という感覚を置き去りにしないでくれる
1投稿日: 2021.04.17
powered by ブクログ戦争ものは 読んだことがありませんでした。 深緑野分さんは テレビで飼い猫と一緒にでていらしたので 知りました。 現代の女の人が この時代の戦争をしている男のコックさんに なって こんなに書けるんだ! と驚きました。 読み始め 最後まで読んでしまいました。 書かれている戦友たちが 心に残ります。 読み終わっても心に残る作品です。
1投稿日: 2021.03.20
powered by ブクログ2021.3.17 読みやすかった。 エドはほとんど喋らないのに、こんなにも思い入れを湧かせれるのがすごい。 戦争物はやっぱり重くなっちゃうんだなぁ…
0投稿日: 2021.03.19
powered by ブクログ普段なら戦争小説は読まない。 だけど、コック兵の主人公と日常の謎、この2点が気になり手に取った。 案の定打ちのめされる展開が続き「これ読み切れるかな」と不安を感じたけれど、ちょっとした謎解きや仲間と心を通わせる場面には心が凪いだ。 第5章ではもう、読む手が止まらなかった。
1投稿日: 2021.03.08
powered by ブクログ―― 解説が、お前らこう読めよ、感が強くてあんまり好きじゃなかったです。 戦争小説として読めばそれまでだし、お仕事小説としてはコック感が弱いように思う。 “戦争という非日常における「日常の謎」”って裏表紙の文句にもなんだかセールストークを感じてしまってピンとこなくて。 でも確かに切り口はそこにあるんだろうな。 戦争を、そこに身を投じていく少年の視点から生々しいくらいに描いていて、 その中で徐々に変質していく少年自身の内面を描いていて、 そこには、“彼らにとっての日常”の謎があって、それを解いていくことが、けれど、何か劇的に物語を動かすわけじゃない。一発逆転で誰かを救うわけでも、勿論それで戦争の英雄になるわけでもない。 ディエゴの「謎解き謎解きって……戦争中だぞ」という台詞は、極限状態への暗示でもなんでもない。ほんとに、唯ただ真っ当な感想なのである。 読んでたってそう思う。この戦争の真っ只中で、何謎解きしてんのよ、って。 それは連続殺人事件がまさに起きている嵐の山荘で、部屋に籠もって身を守ってないで犯人探しをしているのと何処か似ているように感じられて。 沢山のメッセージが、向き合うべき課題、問題が、この世界の欠陥が、残酷さが、 散りばめられているその中心で、 ミステリが、我々を待っている。 それに向き合うときだけ、それて向き合うことによって、皆が平等になる。 そんなところに、創元推理文庫から出ている、という贔屓目を抜きにしても、この作品の中に流れるポスト新本格の血を、どくんどくんと感じてしまった。 謎を解く、そのことが、 単なる論理や知識、洞察の閃きであることを超えて、 それ以上の、世界を変える力になる。そんな、イメージ。 あー 久し振りに、もっと、この思考を語る為の材料がもっとあれば、と思っている。 こうすれば美味しい、って解っているのに、そうするための調味料を知らない。 悔しい。本当に、勉強不足。 いちばん好きなシーンは、ティムがレシピを暗唱するところ。 探偵は謎を解くもの。 コックは料理を作るもの。 んー、伝わるかなぁ… ☆4.4。
1投稿日: 2021.02.06
powered by ブクログ2021年11月22日追記:なんか色々調べてたら深緑野分氏の画像出てきた。えーっ!女性だったのね?ビックリでした。 単行本発刊時から注目していたが、文庫化されたのを待って購入した。こちらのサイトでのレビューや、各ランキング媒体の紹介などを見れば、第二次大戦時のヨーロッパ戦線における軍隊内の日常の謎…そしてコックが主人公…と予想していたが、既読して思うことは「日常の謎」を主体としたミステリというより、純然たる「戦争文学」ではないか?ということである。 以下ネタバレとなり、やや批判的論調になるかもしれません。ご注意ください! 文庫本の巻末には「主要参考文献」「映像資料」などなど公開されており、一目瞭然なのだが、今作のストーリー展開は米HBOTV制作の「バンド・オブ・ブラザーズ」をほぼなぞっている。ほとんどパクリといってもよい。作者もそれについては言及し認めているようだ。 ストーリー展開というのは、実在した組織、第101空挺師団の足跡をなぞるため、致し方ないのであろうがノルマンディー上陸からカランタン攻略、マーケットガーデンの失敗を経て、アルデンヌの森での死闘…とTVドラマと時系列を同じにして進んでいく。最初に気づいたのは上陸地点に向けられていた野戦砲軍をE中隊が殲滅した、という箇所(E中隊こそバンド・オブ・ブラザーズで描かれる空挺師団であり、88ミリ砲群の攻略は上陸降下直後の作戦である)やがてオランダの都市の独軍からの解放によって、独軍シンパであった女性がリンチにあい丸坊主にされる個所、気になってTVシリーズを見直してみたら、予備のパラシュート(シルク製)に言及しているシーンもあった。 とはいえ、TVシリーズには見られなかった「コック」を主人公に据え、軍隊と食にミステリ的謎解きを絡ませ、軍組織におけるさまざまの立ち位置のキャラクターを創出し、彼等を絡ませ、実に読み応えのある物語となっている。米の軍組織をここまで詳細に描ききったのが日本人である、というのは驚くばかりだった。 今作を既読の方のレビューを参考にしたが、TVドラマ「バンド・オブ・ブラザーズ」との関連について述べられているところは、見受けられなかった。70年以上昔の世界大戦末期の戦場については想像するに困難であろう、既読の方々にはこのTVシリーズを視聴して欲しい!今なら「amazon PRIME」で視聴可能である。映像からは確かに存在した、が、それほど語られていない「戦場のコック」が確実に存在したことが実感できる。そして彼等の体験した戦場がどのようなものであったのか?上質のドラマであることは保証できる。 実在した101空挺師団の道行き通りに、彼等の戦場は移り行き、地獄の果てに終戦となる流れであるが、ミステリとしては最後の仕掛けが待っていた。ここはTVドラマから完全に離れての展開であった。主人公ティムの心象の変化、そして仲間達の変化、それは地獄の戦場を戦い抜いていく中で確実に起こることである。命を含め様々な喪失を経ていく中で、辿り着くところとは?それは地獄で起こりうる以上、その人の数だけある答えであり、そこに善悪を差し込むことは門外漢の誰かがしていいことではないと思う。そんな中で主人公ティム達が選んだ選択は、地獄の戦場を描いた後で、人間を肯定的に描いた微かな希望に満ちたものであった。 エピローグは1989年のベルリンだった、ベルリンの壁が崩壊した直後である。数十年ぶりの再会を果たすかつての戦友達、ダンヒルが無事であったことは本当に良かった。懐かしい、でもなんとなくこそばゆい、そんな空気が描かれていて、戦場で背中を合わせる信頼からなる友情、永遠不変の何かがあるとすれば、それしかないのだ、と感慨深く思う。地獄しか生み出さない戦場の中生まれるものなら、この矛盾はいったいなんなのだ?戦争を描いた書物、映像を体験する度常に思う、多分人間、人類は戦争を辞めることができない。
4投稿日: 2021.01.14
powered by ブクログミステリーというより、戦争やそれぞれの生き様が描かれてる本でした。 今の平和があるのは、昔の戦争があったからこそ。 字が読むのが大変だったけど、サラッと読めて入り込めました。
0投稿日: 2021.01.12
powered by ブクログ合衆国陸軍 第101空挺師団第506パラシュート歩兵連隊第三大隊に所属するティムは管理部付きのコック、幼少から食いしん坊で、料理に興味があり、おばあちゃんのレシピ帖を持って入隊した。1942年のこと。 身分は五等特技兵、一般の兵士よりは少し軽んじられる身分だが、ノルマンディーに降下すると、限られた材料で、おいしい食事をとティムは頑張っている。 毎日食事だけ作っているかといえばそういうわけにもいかず、戦地は点々と移動し、しゃもじの代わりに機関銃を持つという風に戦況も変わってくる。 そんな中で、絹地のパラシュート生地を集めている仲間の謎や、粉末卵紛失事件や、自傷で戦列を離れようとする兵士たちにまつわる現象の謎、仲間だと思っていた兵士のスパイ容疑など、など。 ミステリー要素も満載。 だんだん厳しくなってくる戦況のなか、もうまともな食事さえ用意できず、次々に亡くなる仲間たち、すさんでいく気持ち、文中に年号が出てくるたび、もうすぐだよ、もうすぐ戦争は終わるからと語りかけている。 いよいよ戦いも終わり、帰郷の途中極めつけの出来事に遭遇する。 アルプス山麓で見つけた収容所、アメリカ人から見た収容所、まあ誰から見てもおぞましくて凄まじいものには変わりはない。生き残ったユダヤ人の手助けをし、薄めたコンソメスープを作り、少しずつ飲ませる。 やせ細った彼らの目にだんだん力が戻るのを見届け、収容所を後にする。そして懐かしい故郷、おばあちゃんの家へと帰る。 そしてエピローグ、生きながらえた戦友たちとの再会、結婚して養子として迎えた子供たち、明らかになっていく、明らかに。 ティム、なんていい奴なんだ!最高!! 体が震えるほどの感動。
0投稿日: 2021.01.05
powered by ブクログ「日常」の定義は、「非日常」の定義は、揺らぐ。環境によって、経験によって、各々の歩んできた、そして歩んでいく道のりによって。 新年1冊目の読書に相応しい本に出会えて良かった。
0投稿日: 2021.01.01
powered by ブクログww2のアメリカ軍に所属するコックの物語 登場人物の多さ、上下段組みの文字量に圧倒されてしまいますが 一度話に入るとどんどん進むし登場人物達がそれぞれキャラ立ちしてて 好きになってきます 短編?中編?5つで構成されており それぞれで事件が起こりそれを主人公と同僚エドが 解決していく戦場ミステリー 兵站は大事、というのが一番の感想
0投稿日: 2020.11.26
powered by ブクログ深緑さんは『ベルリンは晴れているか』に続いて2冊目。発表順からいえば後戻りです。 部隊はノルマンディー上陸からベルギー、オランダと転戦する第二次大戦末期のヨーロッパ。主人公はアメリカ南部出身の志願兵。銃を持って戦い、食事時にはコックにもなる空挺師団の特技兵(コック)です。 終戦直後のベルリンを描いた『ベルリン・・』と舞台は違いますが同じような印象を受けます。 ミステリー仕立てであるところも同じ。5つの各章で戦場の事件の謎解きをしながら、こちらが本題の多くの一般市民も巻き込む戦争の無残さ、次第に戦争の狂気に染まって行く主人公達、さらに人種差別~ナチスのユダヤ人虐殺やアメリカの黒人差別(この時代、まだ白人と黒人は別部隊なんですね)が描かれます。特に戦争の悲惨さ狂気は、あまり情緒的に陥らず乾いた筆致で客観的に描かれるのですが、それが次々に積み重なって深く迫ってきます。 舞台やテーマのせいもあるのでしょうが、どこか日本離れしています。人物・背景など余りに上手く描かれているので、何か上手い訳者の翻訳小説を読んでいるような気がします。もっとも私は野分さん文体は苦手なのですが。。。
2投稿日: 2020.11.01
powered by ブクログミステリー三賞にノミネートされた作品だが、私はミステリーというよりも心理小説の面を感じた。 様々な戦場における兵士の心理を描いた作品で、兵士間の連帯感・憎悪や恐怖などがよく描かれていると思う。 一介の兵士があそこまで戦場の状況を把握できるものかという意見もあるようだが、そういったマイナス点を払拭する作品だと思う。
2投稿日: 2020.09.30
powered by ブクログ推理があって面白く、戦争の悲惨さも知れる 戦争の話だと思って身構えてしまいましたが、読み終えることができました。 ちょっとしたミステリー的な感じで面白かったです。戦争の悲惨さも伝わってきました。
0投稿日: 2020.09.22
powered by ブクログ祖母譲りの料理の腕をいかし、合衆国陸軍特技兵(コック)になったティムは1944年6月、ノルマンディー降下作戦で、戦場デビューを果たす。軍隊では軽んじられたが、仕事は、戦闘に参加しながら炊事をこなすというハードなものだった。 沈着冷静なリーダー格のエドら同年代の後方支援を任務とする個性的な兵士たちと、対ドイツの苛酷なヨーロッパ戦線を戦い抜くなかで、戦地で見つけた謎の事件を解明することが彼にとって心の慰めとなる。 不要なパラシュートを集める兵士、忽然と消え失せた600個の粉末卵、オランダの民家で起きた夫婦の怪死事件、塹壕戦の最中に聞こえる謎の怪音、そして、雪原をさまよう幽霊。謎解きの名探偵役はエド、ティムはエドと友情を育み、他の兵士たちとも次第に打ち解けながら成長していく。 戦場ミステリー小説といったジャンルの作品であり、それぞれの事件には、戦場ならではの事情が絡んでいる。戦士たちの極限状態のなかでの心理や、不合理さへの憎悪、住民によるユダヤ人密告、戦線の中でもあった黒人蔑視など。 著者作「ベルリンは晴れているか」同様、ナチスドイツに主眼を置き、第2次世界大戦下のヨーロッパを舞台にした作品。今回は米軍の実態に踏み込んでおり、食糧供給体制が日本軍より、はるかに充実していたという点を実感できた。 ミステリーの面白さ、苛酷な戦場で生まれる友情(特に第5章)の物語に引き込まれながら、ヨーロッパ戦線記録の一端を知ることもできた。
0投稿日: 2020.09.19
powered by ブクログ同年良作が多かったのか無冠なのが不思議。 謎解き用の殺人は多いけど、この作品の殺人は謎解きを必要としない。そこが本当に皮肉で反戦の意をより感じる。 幸いなことに従軍の経験はないので「ノルマンディー上陸作戦」から「プライベートライアン」とか「硫黄島からの手紙」を思い出して読んだけど、映画を観てるみたいにするする読めたのは文章に拠るところが大きいと思う。 謎解きはちょっとした疑問から始まり、連作の短編集のように話は続くのだけど、それぞれが後半の布石で、回収が本当によかった。 エピローグは人によっては長いと感じるかもしれないけれど、知れてよかった。 改めて人は1000年も2000年も時代が変わっても同じ問題で火を立てるし燻ってるなぁ、と。 そして、こうして好きに小説を読んで好きに感想を述べることが出来ることは幸せなんだと再認識。
6投稿日: 2020.09.11
powered by ブクログ第二次世界大戦での米国とドイツの戦いが舞台。戦争の残酷さ虚しさ、人の人生や性格をも変えてしまう恐ろしさ。なぜこんなことが行われたのか、改めて考えるきっかけになった。
2投稿日: 2020.09.08
powered by ブクログ再読 仲間からキッドと渾名されるほど幼さの残るティム,章ごとに戦場を変え不思議な出来事の謎を頼りになるメガネのエドとともに解きながら,戦争の悲惨さを体験し隊のの皆と絆を深め成長していく.何より非日常な戦場にあって,誰もが生きるに必須の食事に関わるコックであることで,普通の日常がオーバーラップしてくる.その表現が本当に巧みで時々戦地であることを忘れるような箇所が多々あって,ほっとしてたら突然爆撃が起きる.戦争は絶対にしてはならないとまた強く思った.
0投稿日: 2020.09.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これはミステリーなのか?確かに各章に謎解きはあるのだけれども、この本の比重はそこにはないような気がする。 戦争の描写がディテールまで描かれてリアルに迫る。戦後の世界は別世界のようだ。
0投稿日: 2020.08.01
powered by ブクログ「バンド・オブ・ブラザース」鑑賞後に。 つめたい銃声とあたたかなスープの匂い、混在する非日常と日常の真ん中で人を生かすために戦う、英雄ではない兵士たちのお話。 冬のバストーニュに毛糸の靴下を届けてあげたくなった。
1投稿日: 2020.07.26
powered by ブクログタイトル通りのお話。なので戦場での食についての話が多い。食べることという日常の基本と戦場という非日常の極致。幾つかのエピソードから成り立っていてテンポよく飽きさせない。それでいてやはり戦争について改めて考えさせられる良い作品だったと思う。
0投稿日: 2020.07.26
powered by ブクログ二次大戦のヨーロッパが好きでいろいろ読んでいますが、斬新な切り口だなと思います。アメリカ兵が主人公というところも面白い。最後まで楽しく読みました。
1投稿日: 2020.07.23
powered by ブクログ日常の謎が、戦争のもとだんだんと非日常になっていくのがとても切なかった。 あるシーンあたりからラストまで泣けて泣けて仕方がなかったけど、それでも読後感は良く、読んでよかったと思う。 主人公の成長物語…というのは適切でないかもしれないけど、ラスト付近、大尉との会話は痺れた。 (ミハイロフ大尉のわけわからんミステリアスな曲者感、とても好きです。)
0投稿日: 2020.07.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全部が丁寧に書き表されてる。料理シーンを読むとよだれが出そうなくらい。 エピローグがいただけなかったなあ。 結局テオとロッテを養子にしたとか、エドの遺書の文言とエドのメガネが最後になくなるのとか、てんこ盛りすぎて余韻がないというか。そこまでお喋りしてくれなくてもいいのに!と思ってしまった。
0投稿日: 2020.06.29
powered by ブクログ私は料理に凝る性分がなく、極めて雑なものしか作りません。 野菜の切り方も乱雑だし、味付けは繊細さのかけらもない。 そんな私が”コック”を冠する小説を読んだのは、この本が、いろんなところで紹介されていたからです。 それも、翻訳小説の文脈で見かけることが多かった。 その紹介のされ方にちょっとした興味を抱いて、読んでみました。 なかなか、おもしろかったです。 そして、たしかに読んだ味わいは、日本の小説というよりも翻訳小説。 どこがどうとはうまく言いにくいのですが、 日本の小説にあるような(悪い言い方をすると)”箱庭感”が希薄。 ”箱庭感”とは、たぶん、”みんな同じことを感じてるよね”というような共通の日常関心をベースに、ちょっと奇異な出来事をちりばめて好奇心をくすぐって、登場人物みんな「この世の終わりだ」みたいなことを煽っておきながら実はなんにも変わってなくて、で、最後は手垢のついたお説教めいたエピソードにつなげて、元の日常に戻ってみんな安心ね、というような感じ。 それに対して、この小説はむしろ、日常を相対化して揺り動かしてくれました。 この小説の中では、驚天動地の“大事件”が起こってえらいことになる、というようなことはほとんど起こりません(いや、戦場なんで大変なことは起こるのですが、それは「戦場だから起こるよね」という感覚で描かれます)。 むしろ、お話の中で登場人物たちは、目の前のありがちな事件に、普通の感覚で淡々と対処していくだけです。 しかし実は、その大前提である“普通の感覚”は、現代日本の我々とはずいぶんと異なっている。そのことが、読んでいるうちにだんだんと立ち上ってくる。 そのことによって、私の日常感が揺り動かされる。 そして、自分の“あたりまえ”が相対化され、次に、「自分はどう生きるのか?」という問いに直面させられるのです。たぶん。 だからでしょうか、私はこの小説を読み終わったときに思ったのは、 どんな状況下にあっても、自分の背筋を伸ばして、少しずつ焦らずにひとつひとつ対処していこうということでした。 なんだか私のこの感想文が、説教じみて終わってるのが、なんだか箱庭感満載でかっこわるいですね・・・【2020年4月25日読了】
12投稿日: 2020.06.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
日本人が描く、ヨーロッパで戦うアメリカ人兵士のストーリー。 圧倒的な情報量と緻密な描写。 文句なしのエンターテインメント。
0投稿日: 2020.06.21
powered by ブクログ合衆国陸軍の特技兵、19歳のティムはノルマンディー降下作戦で初陣を果たす。軍隊では軽んじられがちなコックの仕事は、戦闘に参加しながら炊事をこなすというハードなものだった。個性豊かな仲間たちと支え合いながら、ティムは戦地で見つけたささやかな謎を解き明かすことを心の慰めとするが。戦場という非日常における「日常の謎」を描き読書人の絶賛を浴びた著者の初長編。 「日常の謎」がテーマなのでライトな戦争小説かと思いきや、後半につれてすごい重い・・・。まさかの探偵役が死亡するという衝撃の展開だったし・・・。ティムの迷いや心が壊れてしまう過程に悲しくてたまらなくなる。ディエゴの怒りに、面白がって謎解きを読んでいた私たちも責められているような気持ちになってしまった。ティムの後悔が強く伝わってくる文章だった。でもダンヒルのエピソードはそれを救ってくれるような短編で良かった。当時は世界中でこんな状態になっていたんだと思うと、戦争を知らない私たちへの戒めとして読みました。あと人種差別についても考えさせられる。
0投稿日: 2020.06.20
powered by ブクログ第二次世界大戦合衆国陸軍の戦うコック、ティムが主人公。謎解きもあるけど、大部分は戦争。この戦争の日本側を読んだことはあったけど、連合国軍やドイツのことはあまり知らなかった。戦争の悲惨さ、と言ってしまうのは簡単だけど、平和な国日本に住んでいて、拳銃なんて作り物の世界でしか知らない人間には想像もつかない世界。すぐ隣にいる、普通の人が人殺しを平気になる、そんな異常な状態。あの時代のユダヤ人の身に起きたこと、差別とはなにか、その先にあるものを私達は知らなければいけないとも感じた。
0投稿日: 2020.05.31
powered by ブクログこの厚さの本、久しぶりに取り組んだかも。 厚い長編だけど大きく5つに分かれており、各章ごとに謎解きには決着がつくので数日かけて読んだ。 アメリカ軍のヨーロッパでの戦いを、日本語でこんなふうに物語に仕立てた作品は初めて読んだ。巻末のたくさんの参考資料をみて、すごいなぁと思う。国も時代も違う若者たちが、とてもしっかりした存在感をもって目の前に立ち現れてくる。兵士たちの食事や休日の様子が詳細なことにびっくりした。創作物とはいえ、それこそワインバーガーのような若者がいて体験を書き残してくれたから、今の私たちが物語に仕立てられたものを楽しめるんだと思うと、ふしぎな気分だ。 主人公ティムはコック兵なので頻繁に食事の様子が出てくる。大鍋で作られる料理、携帯用の糧食、栄養価だけを考えて開発された食品、一杯のコーヒーやタバコのひととき・・・それと戦闘が交互に繰り返される。私たちの日常でもある食べることと、敵を殺すこととが同様に語られて戦場の緊張感が伝わってくる。こんな毎日なら価値観が変わる、感覚がマヒするのも当たり前だと感じる。ティムが敵の人間性に気付きたくない、と混乱するシーンや、アメリカに帰国直後に虚しさを覚えるシーンがつらかった。 謎解きの物語ではあるけれど、若者たちの交流や変化がよくみえて、そこがおもしろかったな。
1投稿日: 2020.05.16
powered by ブクログ第2次世界大戦のヨーロッパ戦線。アメリカ人の青年ティムは戦闘に参加しながら、軍の食事を調理する「コック兵」として従軍していた。料理には慣れていたが、銃を撃ち、敵を殺し、味方が殺されることには慣れていない。そんな新米の青年兵が上司や仲間と戦闘を乗り越えるごとに成長していく青春グラフティ。そして、転戦する戦場にはささいな違和感があり、それをティムたちが解決するミステリー作品でもある。 探偵役はティムの先輩コック兵、エド。彼は常に冷静沈着で何かを考えている。それは今起こっている違和感のことだったり、自分の将来や過去のこと、仲間のことだったり。さらに、エドが何者で、どんな過去を背負っているのか。それもまた、本作の謎の1つ。 料理をしていると、気分転換になり、無心になれる。戦争という生死が隣り合う極限状態の中で、料理に没頭することは兵士の精神上、意外に良いことかもしれない。ティムやエドが他人へおせっかいを焼いたり、ささいな出来事に首を突っ込むのもコック兵ならではの視点だ。 生命の大事さ、殺し合いの虚しさ、仲間との友情など、戦争小説定番のテーマも描かれているが、それよりも戦場で戦闘のことを考えない時間のすばらしさをの方を感じる作品。
7投稿日: 2020.05.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
話の面白さVS戦争描写の悲惨さによる気分の乱高下に振り回されながらも、全体としてはとても完成度が高くて満足です。 昨今増えてきた、比較的ライトなお仕事系日常推理物の短編連作かと思いきや、これが全くの予想外。戦争という重いテーマに真っ向から挑んだ骨太の大作でした。全編がきちんとつながっており、それまでの章で堂々と、けれどそうとは気付かせずにバラ撒かれていたピースが、第五章で一気に揃ってパズルを完成させる展開には拍手。主要人物の役職や、史実、地理、情勢などを巧みに生かしてあり、ただただ驚嘆です。 でもね……どうしてもね……戦闘や怪我や死体の描写がリアルすぎて、特に最後の強制収容所とか、惨すぎて……まぁそれがこの作品の完成度に一役買ってはいるのですが、夜に一人で読むもんじゃないと激しく後悔しました……面白かったから読んだけど……(涙) 序盤はお気楽だったティムの、話が進むにつれて変わっていく心境が悲しい。彼がコックとして料理に携わっているシーンには、ほっこりした気持ちになれることが多いのですが、実際には戦場で満足に腕を振るう場面がほとんどないというのが、この作品のリアルさと現実の残酷さを如実に現わしている気がします。どんな美談で誤魔化そうとも、戦争にハッピーエンドなんてありはしないと、改めて認識させられました。 余談ですが……列挙される食べ物、それも「美味しいもの」として描かれている物を想像しても、あまりお腹が空いてこないあたり、さすがアメリカと言おうか……。あ、でも、ティムが暗唱するレシピは美味しそうだったな。クラムチャウダー食べたくなりました(笑)
1投稿日: 2020.05.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「戦争」というものに飲み込まれていく様子を、「日常の謎」の形式を踏まえつつ描ききった作品と思う。最初は世間のムードから入隊。が、戦局も徐々に激化し、親しい人びともどんどん亡くなり、「ひと」の死を思うこともなくなる……が、ドラマはそこで終わらない。救いのある物語。 追記:アメリカ国内の有色人種差別にもつよく触れてあったのは邦人作家としては珍しいかもしれないと思う。はじめ、米文学の邦訳を読んでいるのかと思ったほど。見逃してはいけない。
0投稿日: 2020.04.19
powered by ブクログ17歳で軍に志願し、特技兵として合衆国陸軍のコックとなった少年ティム。 いくつかの奇妙な出来事に見舞われながらも、そこで出会った仲間たちと共にヨーロッパ戦線を駆けていく。 ミステリ、戦争、青春、グルメと様々な要素を持ちながらも、それらのうちどれでもないと思わせる。 第二次大戦のヨーロッパにおける合衆国軍というやや遠い話を、映画をみるような鮮やかさで書き出す筆致は流石の一言。 序盤は後方でコックを勤め、戦場にいながらも戦いから距離のある雰囲気だったが、徐々に凄惨さを増していく様は、主人公と共に戦争に引きずられていく心地がした。 同作者の『ベルリンは晴れているか』に比べると、ミステリ部分が非日常でなく日常に伸ばされている分、若干のまとまりを欠いたような齟齬を感じる。 しかし、戦場におけるコック、ヨーロッパ大陸の争いに参加する合衆国という、どこか嵌りきらない視点と組み合わさることによって、いわゆる戦争モノとはちがった新しい作品に仕上がっているように思う。 巻末の参考文献から丹念に調べ上げたであろうことを信じて読むと、やはりあのころのアメリカは他国より豊かだったのだろうと思わせる場面が目についた。合衆国に帰ってくる場面では、戦争に行く前と変わらない街の風景、平和で清潔で飢えていない人々の様子が書かれている。同時期の日本を思うと、別の時代の風景を描写しているのではと思うような光景だ。 第二次世界大戦後も多くの戦争を経験することになるアメリカだが、どれも海を越えた先でのことだった。内戦を除くと、アメリカ国内が争いに初めてまともに晒されたのは9.11だろうか。 物語はベルリンの壁崩壊の1989年で終わっているので、その光景を彼らが目にしたのかは分からない。 戦争、テロ、ウイルスの蔓延。 日常と非日常の境なんて非常に曖昧なものだが、最後にエドのメガネがなくなっているのは、それでもしっかり生きていける証だと思いたい。
2投稿日: 2020.04.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦場の恐ろしさは、今、世界中を恐怖に陥れている、新型コロナウィルス以上だと思いました。 でも、食べ物は、人を元気にする力がありますね。 2020年、世界は新型コロナウィルスと戦っていますが、やっぱり食べ物は人や世界を元気にしてくれのではないかと思いました。 以下、第5章とエピローグが完全にネタバレしていますので、これから読まれる方はご注意ください。 第1章 ノルマンディー降下作戦 第二次世界大戦での合衆国軍のコック兵たちの物語。 コック兵は、僕ことティム、エド、ディエゴ、マッコーリーなど数人います。 この回は金髪碧眼の衛生兵のライナスが、みんなのパラシュートを集めているのはなぜかというお話でした。 民家でもらったゆで玉子、1個の貴重なおいしさが伝わってきました。 第2章 軍隊は胃袋で行進する ヨーロッパ戦線の真っただ中のこと。 科学の力で卵を噴霧乾燥させると、ただの黄色い粉になり、これに水を足せば、普通の卵と変わらない粉末卵というものがあったそうです。これが、一気に600箱消えるという事件が起こります。 第3章 ミソサザイと鷲 合衆国兵の滞在を快く許し家族を紹介してくれたオランダのおもちゃ屋経営者のヤンセン夫妻が銃で自殺しているのがみつかりました。 なぜ、戦場で自殺したのか。 意味不明の手紙とともに残された8歳の娘ロッテと弟のテオ。 そしてティムの仲間たちもどんどん死んでいきます。 第4章 幽霊たち 冬のベルギー戦。 クリスマス・イブの日。 皆、タコツボを雪の中に掘って戦っています。 そんな中ディエゴが「夜中、タコツボにいたら妙な音を聞いた。自分が殺した敵が化けて出たんじゃないか」と言い出します。 そして、ティムも榴弾が着弾し半月以上眠りますが、目覚めました。 第5章 戦いの終わり 途中から紛れ込んできた、負傷兵のダンヒルは、クラウス・ゾマーという元敵国兵でした。 ダンヒルにはスパイの容疑がかかっていて隠せばティムも同罪で連行されてしまいます。 ティムは衛生兵のスパークらとダンヒルを逃がす作戦を立て見事にダンヒルを逃がします。 そして、戦争も終わり、ティムは家族の元に帰り、その晩、一緒に戦った親友たちの夢をみます。 エピローグ 1989年12月。 ベルリンのマクドナルドでの再会。 ”キッド”と呼ばれていた、ティムは64歳の老人。 やってくるスパーク。 ライナス。 そして、ゾナーが現れてエドの遺品であるめがねをティムに返してくれます。 そして、これが、今生の皆との最後の別れとなりました。
38投稿日: 2020.04.03
powered by ブクログ面白かったです。どっしりとした読後感です。 戦場での「日常の謎」系かな…と思わせておいて、次第に戦争の悲惨さや、戦時の人はここまで残酷になれるのだ、という描写と、その中でも培われる信頼とあたたかさだったり。 いろいろな感情、それも正反対の感情が同時に存在するのが戦争なのだな。。 大きな流れと、最終章での伏線回収と希望。 エドとダンヒルが好きです。悲しむ暇も無かったけれど。 夢中になって読みましたが、心に痛みも残る作品でした。
1投稿日: 2020.03.19
powered by ブクログ最近読んだミステリの中で一番よかった。 日常の謎というミステリとしてシリアスさを欠きやすい、甘ったるくなりすぎたりナイーヴになりすぎたりしやすいジャンルと、過酷さを増す戦場という非日常であるべき部隊設定が、見事にハマっていた。 唯一読者に明かされない謎、ミハイロフ中尉の資質的な欠点とは、彼が同性愛者ということだろう。彼の謎めいた告白、「賭博もやらず、酒も飲まない。妻子もいない。…」の中の悪徳の列挙の中に妻帯が入っていること、一般人として暮らすには問題ないが軍では出世に悪影響であることなど、前後の文脈から明らかである。 また、この物語のエピローグの重要なテーマは、軍隊という男社会の中で負ったトラウマに各人がどう向き合うかということだった。トラウマは、戦場で背中を預け合う男同士の友情が裏切られたり死によって引き裂かれることで形成されるものだ。主要な登場人物の1人であるミハイロフ中尉のみがトラウマと無縁で戦後も軍の中で出世することができたのは、中尉だけが男同士の友情というホモソーシャルな繋がりと無縁でいられたからだと思う。 ミハイロフ中尉が自身の最も致命的な秘密としてそのことを主人公に告白したシーンを思い出すと、今の世の中はあなたにとってよき世界になっていますか?と自分も小説の登場人物になって彼に訊いてみたくなる。
0投稿日: 2020.03.15
powered by ブクログ1944年の第二次世界大戦中の物語。 主人公ティムが長い戦争の中で部隊のコックとして活躍する。 思っていたほど食事のシーンは少なかったけど、戦時中は兵士は本当に極限状態の中で生活していたんだなと思った。 話の中でいろいろな謎が出てきて、仲間たちで協力しながら解決に結びつくのが読んでいて面白い。 戦時中の話なので当然殺し合いの場面も多い。 できれば誰も殺めたくない。でもやらなければこちらがやられる。殺した後の罪悪感が後々になっても脳裏に残っているんだろうなと思う。絶対に味わいたくない感覚。 心理描写とか風景とかの描写が細かくてとても情景が浮かびやすかった。 すごく読み応えがある。一気読みがおすすめ。
0投稿日: 2020.02.23
powered by ブクログこの本は「おすすめ文庫王国」の“文庫Bリーグ”の中で、創元推理文庫では『シーズン中盤からは「アリス殺し」、「ジェリーフィッシュは凍らない」、「戦場のコックたち」などが活躍し』というのを見て、リストに追加したところ。 第二次世界大戦、“ノルマンディー上陸作戦”(空挺兵である主人公にとっては“降下作戦”)から始まる物語。 最初の話を読んでいる最中、頭の中ではずっと映画「史上最大の作戦」のテーマ曲がリフレインされていた。 ♪いつもー戦いーはー辛いーものだぜー…、The longest day, the longest day, this will be the longest day…. 映画でも結構詳細に戦いの模様が描かれていたのではないかと記憶するのだが、それを上回るディテールがあり、今まで私が触れたことがない兵站について書かれているのが特筆もの。 “兵士のリサイクル”なんて初めて知ったし、激しい前線の後ろに給養や補給があって戦いが成り立っていることが分かる。 加えて、戦争の凄惨さも淡々とだがこれでもかと描かれて重たい。 救護所への爆撃や国際法を無視した捕虜の扱い、村まるごとの虐殺、軍規違反、戦争孤児、仲間の死、人種迫害、収容所、戦争神経症、故郷の家族、生きて帰れば帰ったでの不安…。 簡単に言葉に出来ない心の中の澱が残る。 途中に挟まる謎解きも、最初はいらないかと思っていたが、話の主題にうまいこと繋がっていたと思う。 3話目からは舞台は“マーケット・ガーデン作戦”になり、これは「遠すぎた橋」。4話目はアルデンヌに舞台を移し、こちらは「バルジ大作戦」。 点で観た映画が線としてつながっていくのがこれまた新鮮。
2投稿日: 2020.02.22
powered by ブクログなんの関わりもない見ず知らずの人間が殺し合わねばならない戦争の理不尽さについて、『西部戦線異状なし』を読んだ時と同じ感想を抱かせるくだりがあった。全編を通して底にあるのは戦争が人に何をもたらすのかという問いだ。説明的な文章が多いのはミステリー仕立てなのでしょうがない。
0投稿日: 2020.02.15
powered by ブクログ戦場とあるが、これは第二次世界大戦で、主人公の志願兵ティムは特技兵のコックとなる。 少し読み進めると、彼が裕福でなくとも暖かい家庭でまっすぐに育ったんだなぁと感じるようになる。だから、周りからキッド(がきんちょ)って呼ばれたりするんだろう。がき呼ばわりは、彼の屈託のなさへの嫉妬や嫌悪感と憧れが混じった気持ちからかも知れない。この物語を推理小説とするなら、彼がワトソン役だ。 第二次世界大戦だけど、描かれるのは上陸戦。これまでなじみがなく、別世界に触れるように読み始めた。五感からの描写が細やかで、物語が進むにつれ、主人公が感じ取るものが変化していき、そこからも、戦況の苦しさや「死」への距離感の変化を感じる。中盤あたりで、作者は日本人だったはずと作者名を再確認して、巻末の資料リストを見て、その多さに驚く。直接体験していなくても、資料を綿密に読み解き、こういう物語を紡げるのかと思う。 もし、この本が翻訳されたら、アメリカ人は、この本をどう読むのだろうか。副題に、Armed with Skillets とあるが、こっちの方が物語に合ってるのではないだろうか。コックや衛生兵など特技兵たちの物語。 推理小説と言えるのかどうかはさておき、終盤は、ワトソンのホームズへの思いが伝わってくる。この小説のホームズは、とても印象的で、二人の別れが心に残る。
0投稿日: 2020.02.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
まるで映画をみているようだった。 当時のアメリカ軍の様子も興味深かったが、これを書いたのが女性作家だというのにも驚いた。 字は小さいしボリュームもあるが、5章に分かれているので読みやすかった。 それぞれに謎ときがあるが緩いものだし、全体を通してもひとつ謎がしかけられていたのが面白かった。 物語が進むにつれて戦況も過酷になり、純朴な青年にも変化が訪れる。 戦闘により抱えてしまったトラウマ、戦場から平和な家へ帰還した後のギャップ。 だが、その中にも彼らの青春はちゃんとあったのだ。 せつなさとやるせなさもあるが、青春小説としての眩しさもある物語だった。
0投稿日: 2020.01.26
