
総合評価
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powered by ブクログ中華SFの傑作である三体の前日章のSF小説。 三体と同一世界線の話であり、三体に登場した人物も1人登場するが、基本的には三体の話とは関係がない、雷の球のような現象についての小説。 (あとがきに記載されていたことだが、中国版の三体ではこの雷球のことが元々書かれていたそうで、翻訳の際に書き換えられたそう。なので、前日章というのは間違いではないらしい) 現実には存在しない科学技術も登場するが、科学的な理由付けも素人にはかなりそれっぽく思えるほど話が練られているので、非現実感はそれほど無く没入感を得られる。 もちろん、そんなもんあるかいというような物も出てくるのてSF感は感じられる。 科学や技術を突き詰めていくと突き当たる、兵器への転用ということについて、科学者から見た景色がリアルに書かれており、その知への欲求と殺人への加担の葛藤が興味深い。 三体が好きな人はもれなく好きな小説だと思うので、是非とも読んで見てほしい
0投稿日: 2025.10.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『三体』の前日譚という触れ込みであったけれど、実際には丁儀という物理学者が共通して出ているという程度で、話の繋がりはほとんどない。 が、そんなことはどうでもよくて、『三体』に比べて圧倒的に若書きで詰め込み過ぎなのが気になってしょうがなかった。 出だしは面白かったんよ。 14歳の誕生日に、目の前で両親が球電によって灰にされた陳は人一倍死を怖れながら、球電に魅せられ、物理学徒となる。 最初は気象を学んでいたが、自分が知りたいことは物理を学ばなければ分かり得ないと気づき、ひたすら球電についての研究を一人で行っていた。 ところが軍属の美女・林雲と出会ったところから、急速に物語は加速していく。 究極の兵器づくりだけを追い求める林雲とは目指すものが違うはずなのに、彼女に引きずられるように球電を兵器として活用するための研究を始める陳。 量子力学っぽい話が出てきて、なんだかシュレーディンガーの猫の話になりそうだと思ったら案の定。 観測者の有無で消失までの速度が変わる? 人間だけじゃなく、そこに観測装置があれば存在できない? 観測の意志を球電はどうやって判断するというのか? 空気中に存在するという、見えない球電の卵を捕獲する方法も、今一つ曖昧だし、球電が向かいターゲットに指向性があるってどうやって分かった? そして、その球電が何をターゲットにするのか、どうやって分かった? 実験して、分析して、何年もかかりそうな家庭はさっくり端折って、何千もの球電を捕獲って、全然現実的じゃない。 プロットが足りなすぎる。 林雲の恋人である江星辰が戦死したとき、ガンダムのウッディ大尉みたいな人だったなと思ったせいか、後に球電の兵器としての使われ方、周辺の電波の遮断もまたミノフスキー粒子の二番煎じみたいだと思ってしまった。 中国とアメリカとの戦争で海戦と言えば、日本は絶対に巻き込まれているはずなのに記載なしなのは、まあしょうがないとして、絶体絶命だった中国が結局連合国軍に勝って終わるというのもリアリティがなあ…。 そして、丁儀が陳にその後の林雲について話すのも、さらに戦後の彼らの生活も、もはや蛇足。 とにかくエキセントリックと言えばいいか、誇大妄想狂気味の林雲の行動を正当化するための言い訳にしか見えない。 第一部だけを丁寧に書き込んでくれれば良かったのに。 残念。
1投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログと言うわけで、三体の名を冠する本は全て読んだわけですが、やはり三体本編に引けを取らぬ面白さですね。特に球電の正体を解き明かすまでのドキドキ感は三体の黒暗森林仮説による抑止を,ルオジーが成し遂げるまでの流れと同じ感覚でした。最後の方で智子の存在が暗示されていたりと様々な伏線回収があり素晴らしい作品となっていました。 最も印象深いのはやはり軍人達ですね、日本や中国関係なくどの国でも軍隊は全てをそれに結びつけてしまいます。
12投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログ謎の発光体、球電によって両親を奪われた主人公は取り憑かれた様に球電を追い求めるようになる。やがて球電の兵器利用を目論む軍部との接触をきっかけとして、その驚くべき正体が明らかになっていく... 「三体」の前日譚とは誇大広告もいいところだが、このタイトルでなければ読んでいないのも確かなので、まんまと命名者である大森望の術中にはまっていると言える。 主人公の感傷的すぎる一人称や終盤の悲劇的な展開はあまり好みではないが、大暴走の果てにとんでもないことになった「三体」3部作に比べて、一冊できちんと完結しているのは高評価。とはいえ球電の正体、捕獲、兵器化、そして量子状態など、今作も十分とんでもないことになっている。 個人的には世界が一変するような結末だったら最高だった。
9投稿日: 2025.09.24
powered by ブクログやはり劉慈欣の作品は面白い。 作品に登場する科学理論や事象を全て理解することは難解だが、それを超えるエンタメ性を提供してくれるから最後まで諦めずに読破できる。
1投稿日: 2025.09.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これは三体シリーズに位置付けていいのか? 本国では三体とは銘打っていないらしい。 それを抜きにしてなかなか面白かった。
0投稿日: 2025.09.05
powered by ブクログ本作のメインテーマである球電と三体本編との繋がりを探しながら読み進めていたが、ラストで三体本編の内容に入り込みすぎないような形で繋がりを示されて上手いなぁと感じた。 ディン・イーのバックグラウンド、球電の有する神秘性や可能性も三体本編と通ずるところがあり、まさに前日譚として完成度の高い作品だった。
0投稿日: 2025.08.13
powered by ブクログ流石に三体の本編よりもスケールダウンにはなったが、それでも斬新な発想で「物理おもしろいな」と思わせるSFだった。 量子効果についてはちょっと飛躍がすぎて、写真がいつのまにか変化するとか一部納得感に欠けるのと、戦争フェーズがさらっと始まりさらっと終わったり、あと美女いらない笑 みたいな細かいところが残念感があった。が、十分に楽しめたエンタメ小説だった。
0投稿日: 2025.08.11
powered by ブクログ三体の前日譚。登場人物の心情の機微や会話のやり取りが、ややAIの様で感じで違和感を感じたものの、球電というテーマ自体は奥深く壮大であり面白かったのと、三体を読んだ時によく分からなかった所がクリアになったりという箇所もあり、三体をもう一度読みたくなった。
0投稿日: 2025.08.06
powered by ブクログ三体でおじいさんの丁儀の印象が残ったままだったので、若いひねくれサイエンティストで登場して、ちょっと印象が変わった。面白かった。
0投稿日: 2025.08.05
powered by ブクログ三体のエピソード0。本編とは別の、"球電 BALL LIGHTING"という現象にまつわる話。 中盤がやや難解で苦戦しました。が、三体同様遠大な話ですが、大きく広げた風呂敷をストンと最後は収めたかな、と思います。
0投稿日: 2025.06.29
powered by ブクログマクロ世界もワクワクするな 三体シリーズの流れで、途中までは「丁儀が出てくるキャラもの」として読んでいた部分もあったけれど、最初から独立のSF小説の気持ちで読めば良かったと少し後悔。 それにしても、観察者効果で地球外文明の存在を匂わせる流れは期待したとおりでニヤニヤしてしまった。
1投稿日: 2025.06.13
powered by ブクログ三体三部作のスケールには及ばないものの、素粒子をベースにした読みごたえのあるSFとして楽しめます。 少しだけ現実社会に近い分、分かりやすくなってます。かな?
1投稿日: 2025.06.09
powered by ブクログ三体シリーズの前日譚.Ball lightningを題材に,これだけ想像力豊かな(しかも物理に裏打ちされた)世界が展開されるとは.SFの一方向であるディストピアに傾きそうで傾かず,人類の可能性を信じるある種の人間賛歌の通底した筆致に共感しながら,無から創造されたこの世界を堪能する.
0投稿日: 2025.06.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
三体シリーズの前日譚 三体に出てきた人物や描写の背景など本編をさらに深掘りもしてくれた一冊。 球電という自然現象をめぐる科学者の話。科学は純粋な研究にもなるし、恐ろしい兵器にも転用できてしまい、ほんとに使い手次第になってしまう。
9投稿日: 2025.05.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
やはり面白かった。『三体』三部作のスピンアウト作品、と位置付けされているが、先にこちらを読んでから、三部作を読む順番の方が良い気がする。 というのは、本作品では、球電の謎が解き明かされていくに従って、量子状態やマクロ電子など取っ付きにくい言葉で説明される超(?)自然現象が、あたかも我々のいる世界で起きているかのようにすっとイメージを抱けるのではないかと思ったから。 ある程度の現代物理学の基礎知識があった方が楽しめるシリーズだと思うので、三部作の壮大×100倍位のスケールで、いきなり馴染のない言葉を追っかけるよりも、まず我々の世界と地続きにある本作品の世界で馴化しておくと、より楽しめるのではないと思った。といいつつ、読みこなすひと手間もSFの醍醐味ではある。
0投稿日: 2025.05.16
powered by ブクログ激しい雷が鳴り響く、14歳の誕生日。 両親と食卓を囲んでいた少年陳の前に突然現れた、壁を通り抜けてきた球状の雷(ボール・ライトニング)。 それが、陳の父と母を一瞬で灰に変えてしまったのでした。 奇怪な自然現象に魅せられた陳は、球電の研究を始めます。 その過程で知り合った林雲は、新概念兵器開発センターで、雷兵器の開発に邁進する技術者にして少佐でした。 やがて研究に行き詰まった二人は、世界的に有名な理論物理学者丁儀に助力を求め、球電の真実を解き明かしていきます。 黄色の森の中で、道が二手に分かれていた。 残念なことに、二つの道を同時に歩むことはできない。 だから、人があまり通っていないほうを選んだが、 そのおかげで人生はまったく違うものになった。 ー 566ページ
0投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ三体シリーズの前日譚。驚愕展開が矢継早に放たれるシリーズとは打って変わり、ひとつの現象に生涯をかけて向き合う科学者や軍人たちの姿が描かれる。SF的エンタメ要素が盛り沢山だが、同時に人類の叡智への賛歌であり、警告でもある。科学技術の発展と軍事利用の切れない関係性。やや冗長かつ感傷的過ぎる気もしたが、充分に楽しめた。
0投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
やっぱしスケール、規模感よな 扱う内容がどれも自身の生活の範疇を超えすぎていて、ニヤけてしまう。 最強の武器とは?球電とは? そんなスケールを扱いつつ、叙情的でいちこましい描写が並び、そちら側でない人間の心にも寄り添ってくれたりしてにっこり。 男と女の関係性に関しては今作もほぼノータッチ、一方通行な恋慕があるだけ。まあこの作品はそれでいいんですよ。男女の関係はここに求めていないから。 シュレディンガーの猫やシェイクスピアを引用した人間存在が描かれているのは興味深いし、様々な武器を紹介するところは驚きとともに恐怖でもある。液体地雷とかね。 SFが強みだけどサイエンスフィクションの先端に行くに哲学的問が開かれその結果、見事にミクスチャーされ、面白みが増大する また時間ができたら三体読もかな
0投稿日: 2025.04.12
powered by ブクログ劉慈欣『三体0 球状閃電』ハヤカワ文庫。 『三体』シリーズの前日譚。『三体』の3部作同様に面白い。 突然発生し、あらゆる物質を透過し、突如として爆発的なエネルギーを放出する球電。何故、球状の中に電磁波が閉じ込められているのか。そんな謎に満ちた球電の正体を追う科学者たち。 ストーリーの中で語られる哲学や科学アプローチの方法は十分に現代の仕事に活用出来る考え方であり、決して創作と軽んじてはいけないと思った。 今の自分の存在が事実であるのか否か。そんな疑問が渦巻くような結末。 本作の中で興味深かったのは球電を発生させるためのパラメータと計算式のシミュレーションを行う過程であった。確かに大昔のコンピュータは演算能力が限られていたし、コンピュータを制御する言語にも苦労させられた。そんな中、クラウド・コンピューティングの思想を盛り込んで来たところは面白い。 自分も高校時代に自作したマイコンは機械語しか扱えなかったが、大学に入るとたちまちBASIC言語が登場して来た。社会人になると仕事でオフコンとメインフレームコンピュータを扱っていたが、それがパソコンからサーバーへとダウンサイジングされ、言語もCOBOL、FORTRANからC言語、VC++、PL-SQLなどに変わっていく過程を目の当たりにした。 14歳の誕生日に突然発生した謎の球電により両親を失ったことから、その後の人生を激変された陳は球電の研究に没頭する。 大学、大学院と進み、球電の研究を続ける陳は思わぬプロジェクトに巻き込まれる。陳が巻き込まれたのは、林雲が進める軍による球電を兵器に利用しようとするプロジェクトだった。一度だけ目撃した球電を再現しようと、パラメータと計算式を模索する陳だったが、なかなか結果を出せずに居た。 そんな中、陳と林雲はロシアの科学者から招待を受け、ロシアでの球電研究の結果に衝撃を受ける。 本体価格1,300円 ★★★★★
70投稿日: 2025.04.10
powered by ブクログ相変わらず、着地点がまったくわからないストーリーで面白かった! 球電、私は見たことないけど、以前家族が見た話を聞いていたので、そういった点でも興味深く面白かった 三体シリーズでの丁儀、Ⅱはなんだかとても印象に残ってるんだけど、記憶が朧な場面もあるので、また三体読もうかな
1投稿日: 2025.04.10
