
総合評価
(14件)| 1 | ||
| 3 | ||
| 4 | ||
| 3 | ||
| 0 |
powered by ブクログミステリ評論家の森英俊さんがバークリーの「服用禁止」の解説の中で、英国黄金時代を代表する女性作家として挙げていたのが、本書のドロシー・L・セイヤーズであり、前回アンソロジーに収録されていた「疑惑」が、とても刺激的な作品だったので期待して読んでみたのだが、果たして? 本書は青年貴族「ピーター・ウィムジイ卿」が探偵役として事件を解決していく短編集であったのだが、まずはミステリ的にあっと驚くようなトリックや、どんでん返しといった分かりやすい爽快感のあるタイプではなく、所々怪奇要素が多いのが特徴的だったと書くと、江戸川乱歩や横溝正史を想像される方もいるのかもしれないけれど、彼らと雰囲気が異なるのは英国生まれの乾いたユーモアを潜ませたミステリでありながら、それを上回るようなピーター卿自身の魅力が更に加わっているからなのだと思う。 人一倍好奇心が強く『いうなれば、人間性の研究者』であると、自ら語るピーター卿はバークリーの探偵像とも似通った印象を与えそうだけれども、彼の場合はそれに加えて、自らの足を使ってできることは全て行わないと納得しない、『正確さを尊重する性格』である点には、犯罪学者である以前に人としての良心や優しさを感じさせる好感度の高さが印象深い上に、時には探偵の仕事よりも書物莵集を優先する彼の個性や、彼自身のプライベートが進展する時間軸のある世界観というのが(我が子の生まれた場面がある探偵ものというのも珍しい)、なんとも新鮮で、その辺りはセイヤーズ自身の嗜好が垣間見えそうな、微笑ましさすら感じられたのだ。 また、それとは対照的に人間の内面に眠る嫌な部分も描いていることで、本書がただの夢物語ではないことを痛感できた上に、セイヤーズの博識ぶりもあってか、物語の導入部の巧さにより、これからいったい何が起こるのだろうといった期待感も高めてくれるし、更には動機や真相に対する描き方も細やかで丁寧と、バークリーやクリスティと異なる魅力を何度も実感しながら、何よりも印象に残ったのは「不和の種、小さな村のメロドラマ」のような、人間同士の醜い争いをとことん見せながらも結末は意外な形となったことに、ピーター卿の人柄を何よりも優先させたかった、彼女自身の温情が垣間見えたことである。
46投稿日: 2026.05.30
powered by ブクログ2026/5/8 読了 アガサクリスティと双璧の女流ミステリー作家ということで期待していたが・・・。 短編集だからなのか、そこまで面白さを感じなかった。好みの問題かも。 個人的には圧倒的にクリスティ派です。
0投稿日: 2026.05.08
powered by ブクログ原題:The Casebook of Lord Peter 【収録作品】 鏡の映像」 ピーター・ウィムジー卿の奇怪な失踪 盗まれた胃袋 完全アリバイ 銅の指を持つ男の悲惨な話 幽霊に憑かれた巡査 不和の種、小さな村のメロドラマ
0投稿日: 2026.02.11
powered by ブクログ十五代デンヴァー公爵の次男坊であるピーター・ウィムジイは、ワインとコーヒーそして一流の謎が好きな貴族探偵。そんなウィムジイの魅力がたっぷり詰まった短編集。7篇収録。 「盗まれた胃袋」が一番好き! ウィムジイがいいキャラなんだよねー。飄々としていて雰囲気イケメン(容姿は普通)カッコつけすぎず、でもスマートで、ザ・英国紳士。夫婦喧嘩したら黙って皿洗い始めちゃうあたりでもうダメ、めちゃくちゃ好き。 周りも良キャラ揃いで読んでいて楽しい。 謎自体はバカミス味もあるし、本格派には ウケなさそうな気はするけど(クリスティの方が日本で売れているのがおそらくそれ)バカミス&キャラ小説好きな私にはたまらんぐらいハマりました。これからシリーズ読むの楽しみ!(東京創元社さんの名著復刊で常連だから安心感ある) 「盗まれた胃袋」で胃袋のこと「大叔父」って呼び合っているのがたまらなく好き。
7投稿日: 2025.10.19
powered by ブクログ我らが貴族探偵・ピーター・ウィムジイ卿が、様々な謎を解明する探偵譚、短(中)編七話が収録されております。 先日長編シリーズをコンプしてしまった私としては、ピーター卿に再会できて嬉しく思いながら読みました。 怪奇風味なものからサイコサスペンスチックな話、そして王道ミステリ等々・・各話、毛色の異なる謎解きモノで、何故かどこにでも現れるピーター卿が謎や事件を解決していく展開なんですけど、長編の時よりピーター卿の引用癖といったクセツヨな部分は控えめな印象です。 個人的に好きな話は、“ちゃんとミステリ”していた「盗まれた胃袋」、「完全アリバイ」ですかね。 加えて、「ピーター・ウィムジイ卿の奇怪な失踪」も、事件の異常性(犯人がサイコすぎて何気に一番怖いかも?)と、ピーター卿が仕掛けた解決方法のトリッキーさのコントラストが印象に残りました。 あと、しょーもない事なんですけど、ピーター卿&ハリエット夫妻に第一子が誕生した日に起こった不可解な出来事を描いた「幽霊に憑かれた巡査」」では、何故かこの話の時だけピーター卿の台詞の語尾が「~だぜ」とスギちゃんみたいになっていたので、「どうした?」と気になってしまった私です~(^^;) と、いうことで久々のピーター卿節とバラエティーに富んだ謎解きを楽しませて頂きました♪ (バンターの出番が少ないのが寂しかったですけどね) 因みに、本書の解説もピーター卿とセイヤーズのまとめサイトみたいな感じで(?)何気に情報満載でしたので、こちらも興味深く読ませて頂いた次第です~。
33投稿日: 2025.05.11
powered by ブクログ収録されているのは1928年から1938年にかけて発表された、ドロシー・L・セイヤーズのウィムジイ卿シリーズの短編。 セイヤーズはどうもアガサ・クリスティと双璧のイギリスのミステリの女王とされているそうだが、やたら古めかしい『ナイン・テイラーズ』はさほど面白くもなかったし、どうなんだろう、と思っているところ。 こちらの短編集も、古典的な本格推理小説としてはディクスン・カーのそれよりはかなり劣るし、そもそもセイヤーズの持ち味なのかサスペンスフルな急展開がなく遅いテンポでのんびり進んで行くし、それぞれそれなりに興はあってもとりわけ優れている感じがしない。 そんな牧歌的な印象が強かった作品集だが、最も長く巻末に収められた「不和の種、小さな村のメロドラマ」が中では一番面白かった。
0投稿日: 2025.01.20
powered by ブクログ「誰の死体?」に続いて、著者作品2作目。 こちらは、7編の短編ミステリー。 「幽霊に憑かれた巡査」では、ピーター卿に子供が誕生したとは、興味深い。 これはやはり、ピーター卿シリーズをきちんと順番に読むしかない。 解説に、著者のプロフィールと小説とのリンクが、諸説あるようだが、有力説を詳細に記されている点も「新版」として面白い。
5投稿日: 2024.07.16
powered by ブクログ他の本で出てきた、セイヤーズを一度読んでみるか、と思い立って読み始めた。 しかし、ピーター卿の前知識が何もないままに読んでしまったので、いきなりお子様が生まれるのには驚いた。そうか、この本は、いくつかある短編中編をピックアップしたものだったのね。 あとがきを読むと、ピーター卿の生い立ちが分かるし、どのように結婚したかもわかるので、ピーター卿の話を初めて読む人はあとがきを読んでから読んだ方がいいと思う。 イギリスの上流社会が色濃く書かれていて、ちょっとわかりにくい部分もあった。ちょうど馬車と自動車が混在している頃の時代らしい。 アガサ・クリスティのほうが私は好みかな。
3投稿日: 2021.12.21
powered by ブクログ公爵で金に不自由がなく金髪で背が高く、粋で優しいスポーツマンのピーターウィムジィ卿の短編7篇収録。個人的にセイヤーズの長編より短編の方が無駄がなくて好きだ。この中でのおすすめは「幽霊に憑かれた巡査」。存在しない13番地の家はどこに?という不可能興味あふれる作品。左右の臓器が逆になってる男が記憶を失っている間に殺人を犯したらしい…「鏡の映像」や首のない馬と頭のない馭者の乗る馬車の話、中篇「不和の種、小さな村のメロドラマ」など怪奇趣味の意外な発端が面白い。
0投稿日: 2021.02.24
powered by ブクログ再読。今回は登場人物たちの関係性がわかるので、本編や解説がより楽しめた。魔法使を演じる場面が愉快な「ピ-タ-・ウィムジイ卿の奇怪な失踪」と、男の所業と結末にぞっとする「銅の指を持つ男の悲惨な話」がお気に入り。
0投稿日: 2020.09.16
powered by ブクログ【収録作品】鏡の映像/ピーター・ウィムジイ卿の奇怪な失踪/盗まれた胃袋/完全アリバイ/銅の指を持つ男の悲惨な話/幽霊に憑かれた巡査/不和の種、小さな村のメロドラマ
0投稿日: 2020.05.29
powered by ブクログ「ピーター卿の事件簿」ドロシー・L・セイヤーズ お初。雰囲気は金と気品と優雅さを持ったホームズ。短編集だからか、ピーター卿の人となりがイマイチ不明。前半は推理と言うより怪奇譚。推理も最初から犯人が分かってしまうし、今一つ醍醐味にかける。滅多にない事だが、半分で読み止め。 結局最後まで読む事にした。後書き見たら最後の二つが良さそうなんで(ピーター卿に子が生まれる。暗号解読の2編)。やっぱ、折角買ったのに読まないというのはね。出会いが勿体ない。 後書き読み違え。暗号解読はナシ。
1投稿日: 2020.03.15
powered by ブクログ新版になって、ウィムジー→ウィムジイと他の創元推理文庫のピーター卿シリーズと同じ表記になり、各短編の邦題&原題が1頁に記載されたのが良いです。解説も加筆・補填されている一方、「暗号ミステリ傑作選」収録の『龍頭の秘密の学究的解明』の解題は残っているので、これを機会にピーター卿短編全集を完成させるために、東京創元社さんには「事件簿3」の刊行を切に願います。
2投稿日: 2018.04.26
powered by ブクログセイヤーズの名作が新版に。 『鏡の映像』と『盗まれた胃袋』が面白かった。ピーター卿シリーズは創元が一通り版権を持っている筈なので、他の長編も是非新版にして欲しい。
1投稿日: 2017.11.11
