
総合評価
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powered by ブクログこの本を読みながら、平等とは何か、格差とは何か、平等と格差について、望ましい状態は何かを考えさせられた。 本書が望む状態がクリアであれば、もっと楽しめたと思う。
0投稿日: 2025.10.31
powered by ブクログメモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1942512336490918254?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw
0投稿日: 2025.07.08
powered by ブクログ20世紀における不平等を解消した方法は、戦争・革命・崩壊・疫病だった。今世紀もいまだ不平等はなくなっていない。その解決策は紹介だけにとどまっているいるけれども、この実態を知ることができたことは実に有意義だった。
0投稿日: 2024.12.20
powered by ブクログ四騎士として戦争、革命、崩壊、疫病を挙げ歴史上それらが不平等の解消にどれくらい寄与したのかが細かいデータに基づいて述べられている。 結論から言うと暴力を伴わない富の再配分は効果が薄く、累進課税制をはじめとした平和的な制度によるアプローチは論外でフランス革命や共産主義革命ですら効果は限定的だったという救いのない考察。個人的にはベターな選択肢として第三次世界大戦が始まるよりも格差のある平和な世界を望んでしまう。 Chaos isn't a pit.Chaos is a ladder. 読みながら「ゲームオブスローンズ」リトルフィンガーの言葉を思い出した。
3投稿日: 2024.02.10
powered by ブクログ序論 不平等という難題 <第1部> 不平等の概略史 第1章 不平等の出現 第2章 不平等の帝国 第3章 不平等の拡大と圧縮 <第2部> 第一の騎士――戦争 第4章 国家総力戦――日本の大規模な平等化 第5章 大圧縮――2度の大戦による先進国の富の劇的な分配 第6章 前産業化時代の戦争と内戦――平等化の効果はあったか <第3部> 第二の騎士――革命 第7章 共産主義――全面的没収の実現 第8章 レーニン以前――共産主義革命の原型 <第4部> 第三の騎士――崩壊 第9章 国家の破綻と体制の崩壊 <第5部> 第四の騎士――疫病 第10章 黒死病――暴力ではない暴力的破壊 第11章 流行病、飢饉、戦争――複合して発揮する平等化の効果 <第6部> 四騎士に代わる平等化のてだて 第12章 改革、経済危機、民主主義――平和的平等化 第13章 経済発展と教育――最大級の力を持つのか 第14章 もしも……だったら? 歴史から反事実的仮定へ <第7部> 不平等の再来と平等化の未来 第15章 現代はどうか? 第16章 未来はどうなる? 補遺 不平等の限界
0投稿日: 2024.01.04
powered by ブクログ不平等とその是正が繰り返された社会の歴史。不平等が是正された時には、「戦争(特に総力戦)」「革命(ほぼ20世紀以後の共産主義革命)」「国家の崩壊」「疫病」の四つ(平等化の四騎士)が必ず要因になっていて、しかもそれ以外の出来事(平和的な改革など)は全く要因になっていない、という説の書。 石器時代からの歴史に数値を入れて分析しているので、仕方ないことではあるが説得力が低くなり勝ち。しかも数値の根拠を明示するのが大変なため、その説明に多量のページを割いている。その文章はおおよそ論文調だ。それが本書の分厚さと退屈さを増している。 結論は単純で、「やはり私の分析の結果、不平等解消には四騎士だけが効果がある」というもの。それでもこの暗澹たる結論ではいけなく思ったのか、最終章を「それでも歴史を数値で分析するのは甚だ限界があるし、現代多く言われている様々な人類の新たな技術で未来はどうなるかわからない」と申し訳程度に結んでいる。 理論自体はある程度興味深く、同意も出来るが、この堅苦しく長過ぎる文章はいただけない。 移民政策のヨーロッパは、外国生まれの人口が増えている。その増加速度は史上類を見ない。これにより福祉政策などの不平等是正が減少する。何世代も自国に暮らしているグループ(多額の税を納め政治的影響力の大きい超富裕層もこのグループ)が他国ルーツ者への福祉に関心を持たなくなるからだ。これは元々移民国家であり、同時に超低福祉国家のアメリカの理路と同じになることであり、不平等もアメリカ水準に近づいていくと予想される544 不平等の是正に効果的な土地の再分配。これが史上初めて効果があったのは大化の改新の口分田制度451 中国の共産主義革命。当時の富農の資産は、他国や他時期に比べ極端に多かったわけではなく、むしろ格差は控えめたったが、革命のためにでっち上げられ没収された。この革命は過酷で、富農は全財産を奪われ殺された。1000万人の地主が土地を奪われ、200万人が殺された。「雇農」というものは無くなりほぼ全ての農民は「中規模の小作人」になった。彼らは土地の90%以上を所有した。 これは望みうる限り最も完璧に近い平等化だ。288 (日本の急速なアジア拡大、総力戦と敗北がもたらしたものを、その究極で代表的な例として)貧富の差を縮められるのは「格別に広範囲な軍事行動」だけだ155 時代や経済発展段階を超え、大きな暴力的破壊のないことこそが、甚だしい不平等の決定的な必要条件だった84 一般的には!不平等と格差は農耕が始まって起こったとされるが、狩猟採取社会でも起こっていた可能性が高い。北アメリカではシャケが登る川を巡り、序列と格差が存在した証拠がある。但し、その序列と格差は、農耕社会のそれに比べれば規模がはるかに小さそうだ46 われわれに最も近い現世類人猿は強い序列社会を作っていて、それは人間で言う収入格差を作っている。それから逃れる術はない。34 巨大な暴力である戦争・革命・国家崩壊・疫病の四騎士が唯一、格差・不平等を改善する。政策などの平和的メカニズムで歴史上この四騎士と同じ効果を産み出したものはない。現在、歴史上最高レベルでこの格差が広がっているのは、世界でこの四騎士が遠のいている(平和だから)だ12
0投稿日: 2023.11.18
powered by ブクログ歴史的に見て、不平等が解消されるのは(大量動員)戦争、革命、国家崩壊、疫病という非常に大きなイベントが起きたときのみで、それ以外の状況では格差はどんどん拡大していくという内容。 シンプルな内容だが、学術書としてデータ積み上げて事実を論証していく大著。
1投稿日: 2022.05.08
powered by ブクログ世界大戦により不平等が圧縮された歴史があるが、過去何度かにわたる戦争の中ではなかなか富は再分配されなかった ペストや疫病でも、不平等は圧縮された しかし、今後そのような大きな戦争は起こる可能性が低い(おこってほしくない) そのようか中で開いていく格差をどのように埋められるのだろうか… #速読
1投稿日: 2022.02.27
powered by ブクログ・世界の不平等の歴史を探究する難題 ・世界で最も裕福な1%の世帯が、世界の個人純資産の半分あまりを保有している ・「平等化の四騎士」=戦争、革命、国家破綻、伝染病が不平等を是正する ・本書の目的は、不平等が減少するのはなぜかという疑問に答え、平等化のメカニズムを突き止める。 ・古代の遺跡や埋葬からも、ヒエラルキーや階層社会のような不平等社会はみられている。 ・経済的な余剰の多寡が政治的不平等を発展させていることがわかる。たいした余剰生産のない集団は86%が政治的不平等の形跡がない。 ・最初の「1%」ー少数のエリートを生み出す構造 →国家構造がうまく維持されている限り、エリート支配は安定していた。 ・世界のリーダーとは、地位の低い農業生産者の搾取者にほかならなく、派手な消費をすることは、力関係を明らかにして強化する重要な手段であった。 ・富の獲得方法は、歴史上2つしかない。作るか、奪うか。 ・資源をおのずと権力者に集中させることが近代国家の特徴 ・大きな暴力的破壊がないことこそが「不平等」の決定的な必要条件 ・何百年と続いたエリートへの富の集中による不平等が、ヨーロッパと中東でおきた疫病によって一変する。人口が減ることで労働賃金は上がり、地代は減るのでエリート層の資産は下がる。 ・日本は鎖国まではあまり不平等が進んでいなかったが、世界経済に向けて国を開いてから不平等化が進んだ。 ・日本はかつては地球上で最も不平等な国の一つだったが、第二次世界大戦による劇的な展開で、類をみないレベルの平等化が起きた。日本は戦争由来の平等化の教科書的な事例。 ・日本は開国してから不平等化が進み、地主、株主、企業幹部は莫大な利益を得ていた。 ・ところが1938年の春に「国家総動員法」が制定されて、政府は日本の経済を戦争遂行のために自由に使うことができることになった。 ・戦争は勝者は不平等が拡大し、敗者は平等化になる。勝者側の指導者層は利益を期待できるのに対し、破壊された側は不平等が縮小された。 ・伝染病で土地の地価が下がり、労働賃金が上がるため、地主や雇用主が貧しく、労働者が裕福になり不平等が抑制された。 ・「誰もが世界の終わりと思った」中世後期の伝染病の流行。ペストに感染すると細胞壊死と神経系の中毒症状がでて50〜60%は数日で死亡。肺ペストに感染すると肺から放出される飛沫で人間同士で直接感染する。こちらは死亡率ほぼ100%。 ・ペストは一世代に2、3度発生して人口を抑制し、その結果1430年代のヨーロッパの人口は13世紀末と比べて半分以下になった。 ・平和的な平等化に関しては確実な証拠は得られていない。土地改革、不況、民主化は功を奏する時があるものの、不平等を体系的に軽減する効果はない。 ・未来はどうなるか。人体の改造も不平等の進展になる。富裕層だけがバイオテクノロジーや遺伝子改良を特権的に享受できるようになるかもしれない。 デザイナーズベイビーを創り出すことで、遺伝子操作やサイボーグ化による「持てるもの」と「持たざるもの」とにわかれ、最終的には2つの種に分岐することになる。それが遺伝子エリートとその他多勢=天然人 ・こんにちの世界では平等化の最も有効なメカニズム=4騎士はどれも作用していない。 ・時とともに人類は平和になってきている。 人類の平和化を強めている具体的な要因のひとつは人口の高齢化である。人口の高齢化が暴力的紛争の可能性を全体として減らすとみられている。 ・次に疫病の可能性について。近代以前の感染爆発の規模に匹敵する厄災が発生すれば世界で何億人もの死者が見込まれる。おおむね発展途上国に限られるかもしれない。 また兵器製造技術でスーパー細菌がつくられるかもしれないが、そのような物資をばらまこうとする発想を国家の首脳が抱くことはまずありえないという。 ・また、現代では疫病による経済的影響で所得と富の不平等が平準化するまでになるかはわからない。インフルエンザは貧しい人に影響はあるものの、経済全般にはほとんど害がない。 現代において真に破壊的な疫病が世界中で何億もの人命を奪うとすれば、少なくとも短期的には抑えられない。伝染病で疲弊した経済においては、やがてロボットが失われた労働者にとって変わるかもしれない。 ・四騎士が消えつつあることで、将来の平等化の見込みは薄い。 ・経済的平等性を称える者すべてが肝に銘じるべきなのは、ごく稀な例を除いて、それが悲嘆のなかでしか実現してこなかったこと。
5投稿日: 2021.09.19
powered by ブクログ暴力と不平等の歴史。一億総中流と言われた社会がかくも格差が広がった理由を知りたくて読んだ。結構難しく、読書カロリーは高め。ガチで論文のデータを載せているためである。 人類と不平等は農業畜産以前からの長い付き合いだが、時には不平等が是正されることもあった。その平等化のメカニズムは「戦争」「革命」「崩壊」「疫病」であるという。 この本では、なんとジニ係数を農業畜産以前まで持ち込むのがポイントだ。中世フランスイタリアの富裕税、オランダの家賃税、古代アステカの家屋サイズ、バビロニアの持参金の分配などを使うという。 前近代の文明については、漢、ローマ、スペインなどが挙げられる。これらは、経済的な影響ではなく政治的に下層民を搾取することで凄まじい上層部の富を生み出し、不平等を拡大させた。統治者が強権を持てばその財産が没収されることもあるが、そうでなければ不平等は広がるばかりであった。 そして、戦争。太平洋戦争では日本全体がボコボコになったのは周知だが、日本の富裕層でも例外ではなかった。株式といった収入が消え果て、所得税は年々上がり、戦争後半は戦略爆撃で苦しみ、不労所得者や企業幹部といった身分は消滅した。戦後もハイパーインフレ(日中戦争と比して消費者物価は18000%増加したとの推定すらある)で金の価値が減った。富裕層は財閥解体の対象にもなりますます富が下層に流出。これで海外進出して貧困日本人を救うという大義名分を破壊したのである。 第一次二次大戦の平等化は、富裕層でも、超富裕層に強くのしかかったらしい。フランスでは一次大戦で上位0.01%の富が3/4に、二次大戦で2/3に。一方で上位1%では半分弱しか減ってないらしい。エリートの富は戦争用に再分配、あるいは徴収された。『軍事大量動員と、累進税率と、所得上位のエリートの資産の狙い撃ちが、財政的な平等化作用の三本柱をなしていた』とのこと。
0投稿日: 2021.06.05
powered by ブクログまず、本書については一言で言うと、 『重い』(物理的にも、内容的にも) ということに尽きる。 人類の歴史が始まって以来、人類の歴史は 持つ者と持たざる者との歴史 であると言って良いと思う。 本書をざっと読んでみて、平等を実現することがどれほど難しいということかが改めて確認できた。 農耕生活が始まる以前の 狩猟採取生活 が人類が最後に経験した平等であったのかもしれない。 本書で論じられる人類を平等化をさせる可能性のある四騎士 〇戦争 〇革命 〇崩壊 〇疫病 のうち、本当の意味である一定の社会を平等化できたのは 〇戦争→大量動員戦争である第二次世界大戦 〇革命→ソビエト連邦革命と中国共産党革命 だけだったのかもしれない。 〇崩壊(国の崩壊) 〇疫病(ペスト) も多少の平等化は実現できたが、根本的な平等化とは程遠かった。 ただ、第二次世界大戦もソ連革命、中国共産党革命も圧倒的な暴力とその犠牲により成立しており、いずれも平等化されたからといって手放しで喜べるものではない。 では、今の社会で平等化は実現できるだろうか? 著者は悲観的である。 それこそ前述したような圧倒的な暴力による平等化は可能であろう。 つまり、それは核戦争などによって、 全人類が『平等』に死滅する ということである。 この本を読んで、今までの人類の歴史では 「戦争や革命」はその固定化された社会を一旦リセットする という役割があったということは、目からうろこが落ちる思いであった。 いずれにせよ、今の固定化された社会が平等化されるのはなんらかの大きな力が作用しなけれならないのであろう。かなり難しい問題である。
24投稿日: 2021.05.23
powered by ブクログ一言でいうなら、大著である。それだけに読む者にもそれなりの労力が求められる。 本書は、古代からの人類の悠久の歴史が、持てる者と持たざる者の不平等の歴史であること、両者の格差は拡大と縮小を繰り返してきたことを実証していく。そして、格差が是正され、平等化に近づくのは、常に暴力的事象の後であることを指摘する。すなわち、戦争、革命、国家の崩壊、疫病であり、著者のシャイデルはこれをもって「平等化の四騎士」と命名した。ただし、小規模な破壊やどちらかの一方的な勝利などは、平等化にほとんど影響しないか、限定的な効果しかない。四騎士の剣が振るわれるのは、壊滅的なまでの暴力のみである。 ここ数十年、世界のグローバル化に伴い、所得と富の不平等が広範囲に拡大している(それでも大戦前の不平等よりはマシだという)。それらを抑制する暴力的衝撃である四騎士が力を失ったからだとシャイデルは指摘する。壊滅的な戦争も、大規模な国家の崩壊も現在ではほとんどない。 ちなみに本書の原著は2016年にまとめられ、2017年に刊行された。このため、疫病の観点から、昨今のコロナ禍に関する考察はない。コロナ禍の一年、株や債券を持つエリート層はさらに富を拡大させた。本書の論理は間違いではないかという声が聞こえてきそうだ。 しかし、コロナはかつてのペストのように人口の何割もが命を落とす性質の暴力ではない。人口が減少し、労働力が不足して、賃金が上昇するということもない。コロナ禍で失われたのは労働力ではなく、仕事そのものである。コロナはむしろ貧しい人々に深刻な影響をもたらした。ただ、コロナが収束し、経済活動が再開されれば、労働賃金が増し、平等化が推し進められる可能性はあるだろう。 歴史家であるシャイデルが積み上げたデータは膨大である。特にジニ係数と所得シェア率に注目して論を組み立てていくのは非常に興味深い。また、戦前戦後の日本にかなりのページを割いているのも、我々日本人の好奇心をかき立てる。 高齢化や移民問題を重要な課題としつつ、シャイデルは不平等是正の処方箋をいくつか検討してみせる。しかし、歴史を省みて、暴力的な破壊なしにそれが達成されることに悲観的である。 シャイデルから渡されたバトンをどう未来につなぐか、まずは目の前のコロナ禍への各国の対応に注目していきたい。
13投稿日: 2021.03.02
powered by ブクログ不平等・平等化について 歴史的なデータから分析している 最近のITが発達している社会では 同様なことが起きても また違った展開になるのかな
0投稿日: 2021.01.07
powered by ブクログ歴史上のエビデンスから文明が平等化を平和裏に進めたことがないという事実は暗澹たる気にもなる。徳川~戦争~戦後処理にかけての日本への言及も多く非常に興味深い。
0投稿日: 2020.12.31
powered by ブクログ平等って、何なんだろう一体。ということを考えさせられる。その指標で果たして良いのか?というのも最後まで問われるし、最後でひっくり返される感もある。「地獄への道は善意で舗装されている」その裏返しとして、「地獄の経験は平等に向けた道に繋がっている」のかもしれないし、そうでもないかもしれない。希望があるかと問われれば苦笑するしかない。個人的には第9章が好き。どうしたもんかね。
1投稿日: 2020.06.15
powered by ブクログ過去では、大量に人が死ぬことで平等化されてきたんだよ、という話。 富裕層に余剰の資産があるのが常で、有事にはその余剰が没収され貧困層に再分配される、という極めてシンプルな市場原理を、4つのパターン(戦争、革命、崩壊、疫病)に分けて50個くらいの事例を用いて解説している。経済書と言うより歴史書。 めちゃめちゃ示唆に富んでいる。事例の網羅性がすごいので、過去に平等化が進んだケース、進まないケースの違いが様々な側面から示されている。 この本から何を持ち帰るか、と言う点では難しい。あくまで歴史書であり、現代に近い話はほぼ皆無なので。ここに、技術の介在などの現代の要素を取り入れることで、自分の意見にできるのだと思う。昨今の情勢を分析する視点を手に入れた、という意味で僕的には非常に読む価値があった。 如何せん事例が詳細すぎるし、世界中の歴史が出てきてついていけないし、書き方がP580にわたる論文なので、(索引がP140にわたる)読むにはめっちゃ体力が必要。が、趣旨自体はそこまで混み合ってないはず。おすすめです。
2投稿日: 2020.04.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「数千年にわたり、文明のおかげで平話裏に平等化が進んだことはなかった。既存の秩序を破壊し、所得と富の分配の偏りを均し、貧富の差を縮めることに何より大きな役割を果たしたのは、暴力的な衝撃だった。」
0投稿日: 2020.02.16
powered by ブクログ拾い読みで読了。もっと一般向けの読み物っぽいものを期待したんだけど、想像より論文的で、網羅的で数字も詳細なんだけど、詳しすぎて途中から退屈になってしまった。学びとしては、疫病などで人口が減ると労働者不足で賃金が上がり、富裕層から庶民へ資本が移って不平等が圧縮されるということ。現在は世界的に不平等が広がっているんだけど、これから人口が減少するターンになるとそれが起きるのだろうか?
0投稿日: 2019.12.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
# 格差の前著 格差の前兆は農耕などによる、余剰生産がある。ほかの例外をも書かれているが、ほとんどの不平等の始まりは農耕の余剰生産力によるものとしている。また、農耕は定住を前提としていて、富を蓄え、守ることができる。これも不平等が拡大する要因だ。 そしてリーダーシップの必要性も不平等を生む。メソポタミアのバグダード北部では、7000年前から階層化と暴力の後が見られる。農耕のエリート層がやがて階層化して、不平等の固定化を生んだ。 # ヨーロッパの不平等の歴史 ローマ帝国の繁栄の間は不平等が拡大し続けていた。これはローマ帝国の衰退とともにいったん不平等が縮小した。 次に拡大したのは封建制の間。これはペストによって大圧縮が起こった。 15世紀半ばからペストが衰えてくると、人口が拡大して、経済成長と都市化によって近代初期まで不平等が拡大した。 # 4騎士 1. 戦争 2. 革命 3. 疫病 4. 国家崩壊 このうち、戦争が興味深い。https://booklog.jp/users/daijyu# # 戦争による格差縮小 戦争によって格差縮小がみられるのは古代アテナイと世界大戦だけだったとしている。共通するのは国家総動員体制な点。初期のアテナイは健康な男子全員が共同生活を行い、先頭に参加していた。これと同じような動員率が起こったのは二度の世界大戦まで待たなければならなかった。 例えば、中世の支配者は、自分の資本が壊滅するまでの動員をかけて戦争は行わなかった。ではなぜ二度の大戦は国家総動員となったのか?その理由の一つとして参政権の拡大との関係を上げている。マックスウェーバーを引用しながら、参政権の拡大によって、それまでは、支配層の存亡をかけた戦いだった戦争が、国家全体、国民全体の存亡をかけた戦いとなった。これによって、際限のないリソースの投下を可能にした。そして、際限のないリソースの投下は、資本財の壊滅を招き、結果的に不平等の圧縮につながったとしている。戦前にはなった戦後の平等化は、戦中の壊滅的な破壊と殺戮によって生まれた。
2投稿日: 2019.10.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
・注釈なども入れたら800Pほどの大作.事例紹介が多くてかなり読み飛ばせるが. ・不平等の発生は資本が蓄積可能になっていることが前提(狩猟採取から農耕牧畜型の生活にシフト) ・それは経済発展と権力者による搾取的行為により拡大した. ・その解消には「暴力的衝動」が必要不可欠だったと歴史が語っている.歴史を見ると戦争・革命・崩壊・疫病. ・しかし暴力的衝動は相対的な格差を縮めたというだけで当然,人々の死や社会の混乱を引き起こしておりこれを迎合することも難しい. ・人為的な,平和的な施策では不平等の解消の効果は「暴力的衝動」のそれには到底及ばない. 政治家などの不平等解消を説得する演説も大抵が抜本的なものになり得ないだろう. 不平等の解消には「貧者が持つもの(労働力)の高騰」「富者の持つ資本の価値低下」「富者の持つ資本の分配」のどれかが強く働かないとダメで,人為的/平和的にそれを執り行うのは困難.ブラックスワン的「暴力的衝動」でしかそれができないんだろう. ・テクノロジーの発展などにより近代以前とは世界の様相は変わったが,不平等の拡大は止まらないだろう. 次なる不平等の緩和をもたらすものは核戦争?シンギュラリティ?少子高齢化による社会の崩壊?何だろうね.
0投稿日: 2019.08.04
powered by ブクログ平等だった人間の狩猟採集社会は、農耕・牧畜で余剰生産と蓄積が可能になったことで、不平等化した。社会のしくみはレントとして不平等を維持・増加させる。過去、不平等を大きく減らしたのは、近代の戦争・革命や社会の崩壊・疫病、大きな厄災なしに起きたことはない。 如何に富を増やすかというテーマの本ばかり読んできたので、いかに不平等を減らすかという視点が新鮮でした。というか、いかに世の中、不平等に向けて染まっているか、ということを再認識しました。
0投稿日: 2019.07.22
